JP3497215B2 - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物

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JP3497215B2 JP26574393A JP26574393A JP3497215B2 JP 3497215 B2 JP3497215 B2 JP 3497215B2 JP 26574393 A JP26574393 A JP 26574393A JP 26574393 A JP26574393 A JP 26574393A JP 3497215 B2 JP3497215 B2 JP 3497215B2
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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、帯電防止性およびその
持続性に優れ、なおかつ難燃性に優れた熱可塑性樹脂組
成物に関するものである。 【0002】 【従来の技術と発明が解決しようとする課題】従来にお
いて、熱可塑性樹脂に持続性に優れた帯電防止能を発現
させるため、例えば、特開昭60−23435号公報、
特開平4−5691号公報、特開平3−258850号
公報などに見られるポリエーテルジオールのアミドもし
くはエステル縮合物や、特開昭63−314261号公
報などに見られるポリエーテル系共重合体を熱可塑性樹
脂に含ませていた。また、熱可塑性樹脂に含臭素系化合
物を添加し難燃化する試みや、さらにその組成物に界面
活性剤を添加して帯電防止性を付与しようとする試みも
行なわれてきた。 【0003】しかしながら、前者のポリエーテルのエス
テル(アミド)縮合物や、エチレンオキサイド、エピク
ロルヒドリン等から得られるポリエーテル共重合体を添
加する方法においては、それ自体において、多量のエー
テル酸素を持つがゆえに非常に燃焼し易く、通常使われ
ている臭素系難燃剤との組成物とした場合においても、
満足できる難燃性、さらに言えばUL規格などの試験規
格に合致するような組成物が得られない。 【0004】また、後者のような含臭素系化合物と界面
活性剤を併用する方法において、難燃性はある程度得ら
れるが、帯電防止能が界面活性剤の表面移行により発現
するため、長期に渡ってその効果を持続することが困難
である。また、難燃剤として使用した含臭素系化合物と
の相互作用から効果が現われない場合も多く、満足でき
る組成物は得られていない。 【0005】 【課題を解決するための手段と作用】この発明は、この
ような従来の問題点に着目してなされたものである。す
なわち、優れた帯電防止性を長期に渡って持続し、か
つ、難燃性を兼ね備えた本発明の熱可塑性樹脂組成物
は、(A)熱可塑性樹脂100重量部(以下、単に
「部」という)、(B)含臭素系有機系難燃剤2.0〜
40部、(C)無機系難燃助剤0〜15部、及び(D)
下記構造単位(I)〜(IV)が線状に配列してなる重量
平均分子量1,000〜50,000のカチオン変性共
重合体1.0〜30部を含有してなる熱可塑性樹脂組成
物である。 【0006】一般式化5で表されるポリオレフィン構造
単位(I)97.9〜65モル%、一般式化6で表され
るエステル構造単位(II)1〜15モル%、一般式化7
で表されるカルボン酸構造単位(III) 0.1〜2モル%
及び、一般式化8で表されるアミド構造単位(IV)1〜
35モル%で表わされるカチオン変性共重合体。 【0007】 【化5】【0008】 【化6】 【0009】 【化7】 【0010】 【化8】 【0011】(但し、化5,化6,化7及び化8におい
て、Rは水素原子又はメチル基を示し、R1 は炭素数1
〜4のアルキル基を示し、R2 は炭素数2〜8のアルキ
レン基を示し、R3 及びR4 は各々独立に炭素数1〜4
のアルキル基を示し、R5 は炭素数1〜18のアルキル
基又は炭素数6〜8のアリールアルキル基を示し、さら
に、X- はハロゲン化物イオン,ClO3 ,CH3 OS
3 -又はC25 OSO3 -を示す。) なお、上記構造単位は、規則的に配列していてもよい
し、不規則に配列していてもよい。 【0012】成分(A) 本発明で用いられる熱可塑性樹脂としては、ポリオレフ
ィン樹脂,ポリ塩化ビニル,ポリスチレン樹脂,ABS
樹脂,ポリアミド樹脂,ポリエステル樹脂,ポリカーボ
ネート樹脂,変性ポリフェニレンエーテルなどが例示で
きるが、これらのうち、ポリオレフィン樹脂,ABS樹
脂,ポリスチレン樹脂,ポリアミド樹脂,ポリエステル
樹脂,ポリカーボネート樹脂を使用することが、本発明
をより効果的に実施できる、という利点があり好まし
い。 【0013】ここでポリオレフィン樹脂とは、ポリオレ
フィン類,エチレン−ビニルエステル共重合体,エチレ
ン−アクリルエステル共重合体などであり、これらの各
種ポリオレフィンおよび共重合体のブレンドも含まれ
る。中でもポリオレフィン類を使用することが、本発明
において(D)成分との相溶性が優れたものとなる、と
いう利点があり好ましい。 【0014】より詳細には、上記ポリオレフィン類は、
高密度ポリエチレン,中密度ポリエチレン,低密度ポリ
エチレン,ポリプロピレン,ポリブテン,ポリ−4−メ
チルペンテン−1,エチレンとα−オレフィンの共重合
体などであり、このようなポリオレフィン樹脂のうち、
高密度ポリエチレン,中密度ポリエチレン,低密度ポリ
エチレン,ポリプロピレンが好ましく、その数平均分子
量としては通常5,000〜500,000のものが用
いられるが、好ましくは10,000〜200,000
のものが適合する。 【0015】また、ABS樹脂については、種類は特に
限定されず、グラフト法やポリマーブレンド法によるも
のが使用できる。また、AS樹脂(アクリロニトリル−
スチレン樹脂)、AES樹脂(アクリロニトリル−EP
DM−スチレン樹脂)なども使用可能であるが、好まし
いのはABS樹脂である。 【0016】ポリスチレン樹脂としては、ポリスチレ
ン、(メタ)アクリル酸エステル−スチレン共重合体、
スチレン−αメチルスチレン共重合体で数平均分子量1
0,000〜200,000のものが適合する。 【0017】ポリアミド樹脂についても特に限定され
ず、各種のものを使用することができ、脂肪族,芳香族
のいずれのポリアミド樹脂であってもよい。分子量につ
いては特に制限はないが、得られる組成物の成形性や物
性を考慮すると数平均分子量としては、4,000〜5
0,000、好ましくは5,000〜30,000が適
合する。 【0018】このようなポリアミド樹脂は、様々な公知
の方法で製造することができる。例えば、三員環以上の
ラクタム、重合可能なω−アミノ酸、二塩基酸とジアミ
ン等の開環(共)重合や(共)重縮合等によって製造す
ることができる。 【0019】上述のポリアミド樹脂としては、様々なも
のを充当することができるが、その具体例を挙げれば、
ナイロン6;ナイロン6−6;ナイロン6−10;ナイ
ロン11;ナイロン12;ナイロン6−12;ナイロン
4−6等の脂肪族ポリアミド、ナイロン6/6(ナイロ
ン6、ナイロン6−6の共重合体)と;ナイロン6/
6,10;ナイロン6/6,12等の脂肪族共重合ポリ
アミド、ポリヘキサメチレンジアミンテレフタルアミ
ド;ポリヘキサメチレンジアミンイソフタルアミド;キ
シレン基含有ポリアミド等の芳香族ポリアミドなどがあ
る。さらには、ポリエステルアミド、ポリエステルエー
テルアミドなどを挙げることができる。このうち好まし
いポリアミド樹脂はナイロン6;ナイロン6−6であ
る。 【0020】上記ポリエステル樹脂とは、ポリエチレン
テレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレー
ト(PBT)等、結合単位がエステルである樹脂のこと
である。また、上記ポリカーボネート樹脂は、ビスフェ
ノールA等のビスフェノール類をホスゲン若しくは炭酸
エステル等で重縮合させて得られる樹脂である。成分
(A)は単独でも2種以上を任意の比率でブレンドした
系においても差し支えない。 【0021】成分(B) 本発明に用いられる含臭素系有機系難燃剤とは、芳香族
臭素置換体、脂肪族臭素置換体、脂環族臭素置換体等で
あり、分子内にリン、窒素等が同時に存在するものであ
っても差し支えない。 【0022】例示すれば、テトラブロモジフェニルエー
テル、オクタブロモジフェニルエーテル、デカブロモジ
フェニルエーテル等のジフェニルエーテルの臭素化物や
トリフェニレンオキサイドの臭素化物、テトラブロモビ
スフェノールA、トリブロモフェノール、トリス(トリ
ブロモフェニル)ホスファイト、ヘキサブロモシクロド
デカン、テトラブロモシクロオクタン、テトラブロモ無
水フタル酸とジアミンのイミド縮合物、ペンタブロモト
ルエン、ヘキサブロモベンゼン、トリス(トリブロモフ
ェノキシ)シアヌレート、1,2−ビス(ペンタブロモ
フェノキシ)エタン等や、さらにはテトラブロモビスフ
ェノールA、ジグリシジルエーテルのポリマーやトリブ
ロモフェノールの付加物、テトラブロモビスフェノール
Aのポリカーボネート、臭素化ポリスチレン、臭素化ポ
リフェニレンオキサイド等の含臭素ポリマーも含まれ
る。 【0023】成分(C) ここで用いる無機系難燃助剤とは、含臭素系有機系難燃
剤との相互作用により難燃性を増加させるものであり、
例示すれば、赤リン、三塩化硼素、三酸化アンチモン、
五酸化アンチモン、硼酸亜鉛等が挙げられるが、その中
で、効果の点において三酸化アンチモン、五酸化アンチ
モン等のアンチモン化合物が特に好ましい。 【0024】成分(D) 本発明の成分(D)として用いるカチオン変性共重合体
は前記したように4つの構成単位、ポリオレフィン構造
単位(I)、エステル構造単位(II)、カルボン酸構造
単位(III) 、アミド構造単位(IV)が線状に配列した
(規則的に配列していてもよく、不規則に配列していて
もよい)重量平均分子量1000〜50000の共重合
体である。 【0025】本発明のカチオン変性共重合体において、
一般式化5で表されるポリオレフィン構造単位(I)
は、前述したように分子内に97.9〜65モル%含有
されている。この含有割合が65モル%未満である場合
には、相対的にエステル構造単位(II)及びアミド構造
単位(IV)の含有割合が増加するため熱可塑性樹脂、特
にポリオレフィンに配合したときに相溶性が悪化し、そ
の結果樹脂の機械的物性の悪化を招く。また、ポリオレ
フィン構造単位(I)の含有割合が97.9モル%を超
える場合は、本発明のカチオン変性共重合体の帯電防止
能が小さくなる。ポリオレフィン構造単位(I)の含有
割合は軟化点、機械的物性及び帯電防止能の釣り合いの
点から97〜85モル%であることが特に好ましい。前
記ポリオレフィン構造単位(I)におけるRは水素原子
又はメチル基であるが、Rが水素原子のものとメチル基
のものとが混在していても構わない。 【0026】本発明のカチオン変性共重合体において、
一般式化6で表されるエステル構造単位(II)は、前述
したように分子内に1〜15モル%含有されている。こ
の含有割合が15モル%を超える場合には、共重合体の
結晶性が低くなり粘着性やべたつきを生じて、帯電防止
能の湿度依存性が大きくなる。さらには、ポリオレフィ
ン等に配合する場合に機械的物性の悪化を招く。エステ
ル構造単位(II)が含有されていることにより、メチル
メタクリレート樹脂等のアクリレート系樹脂,ABS樹
脂などに対する相溶性が大きく改善され、本発明のカチ
オン変性共重合体を内部添加型帯電防止剤として用いる
場合に種々の構造をもつ樹脂に対して相溶性が良好とな
り樹脂物性の低下を少なくするので好ましい。なお、エ
ステル構造単位(II)の含有割合は軟化点及び樹脂に対
する相溶性の点から3〜7モル%であることが特に好ま
しい。なお、エステル構造単位(II)において、Rは水
素原子又はメチル基を示し、これらの基は1分子中に混
在してもよい。 【0027】R1 は炭素数1〜4のアルキル基を示し、
具体例として、メチル基,エチル基,n−プロピル基,
iso−プロピル基,n−ブチル基,iso−ブチル
基,tert−ブチル基が挙げられ、これらの基は1分
子中に混在してもよい。これらの中でメチル基及びエチ
ル基が得られるカチオン変性共重合体の軟化点を維持す
る上でより好ましい。 【0028】本発明のカチオン変性共重合体において、
一般式化7で表されるカルボン酸構造単位(III) は分子
内に0.1〜2モル%含有されている。本発明のカチオ
ン変性共重合体においてカルボン酸構造単位(III) の含
有割合が2モル%を超える場合には、内部添加した熱可
塑性樹脂が硬くなる。また、カルボン酸構造単位(III)
とイオン結合するアミド構造単位(IV)が多くなり、共
重合体の帯電防止能が不足する。カルボン酸構造単位(I
II) の含有割合が0.1モル%未満である場合は、内部
添加した熱可塑性樹脂の耐衝撃性及び耐屈曲性が改善さ
れない。 【0029】カルボン酸構造単位(III) の含有割合は帯
電防止能、耐衝撃性、耐屈曲性及び密着性の点から0.
2〜1.5モル%がより好ましく、0.3〜0.8モル
%が特に好ましい。なお、カルボン酸構造単位(III) に
おいて、Rは水素原子又はメチル基を示し、これらの基
は1分子中に混在してもよい。 【0030】本発明のカチオン変性共重合体において、
一般式化8で表されるアミド構造単位(IV)は、分子内
に1〜35モル%含有されているが、この含有割合が1
モル%未満である場合には共重合体の帯電防止能が不足
する。また、含有割合が35モル%を超える場合には熱
可塑性樹脂に配合したときに吸湿性が生じたり、相溶性
の悪化により樹脂の機械的物性が低下する。これらのか
ねあいから、アミド構造単位(IV)の含有割合は2〜1
5モル%であることが特に好ましい。なお、アミド構造
単位(IV)において、Rは水素原子又はメチル基を示
し、これらの基は1分子中に混在してもよい。 【0031】R2 は炭素数2〜8のアルキレン基を示
し、具体例として、エチレン基,プロピレン基,ヘキサ
メチレン基,ネオペンチレン基等が挙げられ、これらの
基は1分子中に混在していてもよい。これらの基の中
で、製造の容易性や経済性の点からエチレン基,プロピ
レン基がより好ましく、プロピレン基が特に好ましい。 【0032】R3 及びR4 は各々独立に炭素数1〜4の
アルキル基を示し、具体例として、メチル基,エチル
基,プロピル基,ブチル基等が挙げられ、これらの基は
構造単位毎に同一であっても異なってもよい。これらの
基の中で、帯電防止性付与の点からメチル基及びエチル
基が特に好ましい。 【0033】R5 は炭素数1〜18のアルキル基又は炭
素数6〜8のアリールアルキル基を示し、具体例とし
て、メチル基,エチル基,n−プロピル基,iso−プ
ロピル基,ベンジル基等が挙げられ、これらの基は1分
子中に混在していてもよい。これらの基の中では、帯電
防止能付与の点から低級アルキル基がより好ましく、耐
熱性の点から低級アルキル基又はベンジル基がより好ま
しい。特に好ましいのはメチル基とエチル基である。 【0034】さらに、X- はCl- ,Br- ,I- 等の
ハロゲン化物イオン,ClO3 ,CH3 OSO3 -又はC
25 OSO3 -を示し、これらのイオンは構造単位毎に
同一であっても異なってもよい。これらの中では、帯電
防止能付与の点からCl- ,CH3 OSO3 -及びC2
5 OSO3 -が特に好ましい。 【0035】上記構成のカチオン変性共重合体の重量平
均分子量の測定はゲルパーミュエーションクロマトグラ
フィーで行い、ポリスチレン換算の重量平均分子量で超
高温GPC法(絹川等,「高分子論文集第44巻2
号」,139〜141頁,1987)に準じて測定でき
るが、その重量平均分子量の範囲は1,000〜50,
000である。重量平均分子量が1,000未満である
場合には分子量が小さくなりすぎて、本発明のカチオン
変性共重合体は熱可塑性樹脂に配合し加熱したときに熱
により揮散する。また、重量平均分子量が50,000
を超える場合には、本発明のカチオン変性共重合体を溶
融したときの粘度が大きくなりすぎ、作業性が悪化す
る。本発明のカチオン変性共重合体の特に好ましい重量
平均分子量は、3,000〜35,000の範囲であ
る。 【0036】以下に、本発明に係る上記カチオン変性共
重合体の製造方法について説明する。本発明に係るカチ
オン変性共重合体の製造方法は、ポリオレフィン構造単
位(I)97.9〜65モル%と、エステル構造単位
(II)1〜15モル%と、カルボン酸構造単位(III)
1.1〜37モル%とを分子内に含有する原料共重合体
に、上記カルボン酸構造単位(III) のカルボキシル基に
対し0.7〜0.99倍モルの一般式化9で表されるジ
アミン(V)を反応させてアミド化した後、 【0037】 【化9】 【0038】上記アミド化反応によって導入された3級
アミノ基に対して1倍モルの一般式化10で表される4
級化剤(VI)を用いて4級化することにより、 【0039】 【化10】【0040】ポリオレフィン構造単位(I)と、エステ
ル構造単位(II)と、カルボン酸構造単位(III) と、ア
ミド構造単位(IV)とを分子内に含有する共重合体を得
るものである。 【0041】(但し、化9及び化10において、R2
炭素数2〜8のアルキレン基を示し、R3 及びR4 は各
々独立に炭素数1〜4のアルキル基を示し、R5 は炭素
数1〜18のアルキル基又は炭素数6〜8のアリールア
ルキル基を示し、さらに、Xはハロゲン原子,ClO
3 ,CH3 OSO3 又はC25 OSO3 を示す。) 【0042】本発明に係るカチオン変性共重合体の製造
方法の構成について、以下にさらに詳しく説明する。 (1)原料共重合体 まず、本発明の製造方法において用いる原料共重合体
は、ポリオレフィン構造単位(I)とエステル構造単位
(II)とからなる共重合体の(部分)加水分解物であ
る。より詳細には、このポリオレフィン−エステル共重
合体は分子量が大きいので、例えば、水の存在下、高温
高圧で加水分解すると同時に熱分解を行う減成方法によ
り低分子量化して原料共重合体を得ればよい。具体的に
は、特開昭53−57295号公報、特開昭53−65
389号公報、特開昭60−79008号公報及び特開
昭60−79015号公報に記載されているが、特に特
開昭60−79008号公報に記載の方法が好ましい。
この他に使用できる原料共重合体としては、酸化ポリエ
チレンワックスを部分的にエステル化したものが挙げら
れる。 【0043】原料共重合体の各構造単位の含有割合は、
式化5で表されるポリオレフィン構造単位(I)が9
7.9〜65モル%であり、一般式化6で表されるエス
テル構造単位(II)が1〜15モル%であり、さらに一
般式化7で表されるカルボン酸構造単位(III) が1.1
〜37モル%である。 【0044】(2)アミド化反応 次に、(1)に記載した原料共重合体と一般式化9で表
されるジアミン(V)とのアミド化反応を行うことによ
って、原料共重合体のカルボン酸構造単位(III) が部分
的に一般式化11で表される中間アミド構造単位(VII)
に変換された中間共重合体が得られる。この中間共重合
体の中間アミド構造単位(VII) は3級アミノ基を有して
いる。 【0045】 【化11】 【0046】(但し、化11において、Rは水素原子又
はメチル基を示し、R2 は炭素数2〜8のアルキレン基
を示し、R3 及びR4 は各々独立に炭素数1〜4のアル
キル基を示す。なお、R及びR2 〜R4 はそれぞれ構造
単位毎に同一であっても異なってもよい。) 【0047】ジアミン(V)の具体例としては、N,N
−ジメチルアミノエチルアミン,N,N−ジメチルアミ
ノプロピルアミン,N,N−ジエチルアミノエチルアミ
ン,N,N−ジエチルアミノプロピルアミン,N,N−
ジプロピルアミノエチルアミン,N,N−ジプロピルア
ミノプロピルアミン,N,N−ジブチルアミノエチルア
ミン,N,N−ジブチルアミノプロピルアミン,N,N
−ジメチルアミノブチルアミン,N,N−ジエチルアミ
ノブチルアミン,N,N−ジメチルアミノネオペンチル
アミン,N,N−ジメチルアミノヘキシルアミン、N,
N−ジメチルアミノオクチルアミン等が挙げられる。こ
れらのジアミンは単独で又は2種以上を混合して使用さ
れる。 【0048】ジアミン(V)の使用量は、原料共重合体
のカルボン酸構造単位(III) によるカルボン酸成分に対
して0.70〜0.99倍モル、好ましくは0.85〜
0.99倍モルである。ジアミン(V)の使用量が少な
い場合はアミド化反応に長時間を要する。また、ジアミ
ン(V)の使用量が多い場合には、アミド化反応によっ
て得られる中間共重合体中にカルボン酸構造単位(III)
が残らず、従って、帯電防止性、耐衝撃性及び耐屈曲性
に優れた熱可塑性樹脂組成物を提供できない。 【0049】(3)4級化反応 (2)で得られたアミド化反応終了後の反応混合物は、
必要に応じて多量のメタノールなどの不混和性溶媒中に
投入して精製することも可能であるが、通常は、そのま
まで以下に説明する4級化反応に導くことができる。本
発明の製造方法における4級化反応に用いる4級化剤
(VI)は、一般式化10で表されるアルキル化剤であ
る。 【0050】一般式化10において、R5 は、炭素数1
〜18のアルキル基又は炭素数6〜8のアリールアルキ
ル基を示しているが、得られるカチオン変性共重合体の
耐熱性の観点から直鎖状アルキル基及びアリールアルキ
ル基が好ましく、また帯電防止性の観点から低級アルキ
ル基が好ましい。特に好ましいR5 はメチル基とエチル
基である。 【0051】Xは、Cl,Br,I等のハロゲン原子,
ClO3 ,CH3 OSO3 又はC25 OSO3 を示し
ており、これらの中では、帯電防止性の観点からCl,
CH3 OSO3 及びC25 OSO3 が特に好ましい。 【0052】上記4級化剤の具体例としては、ジメチル
硫酸,ジエチル硫酸等のアルキル硫酸、アルキルベンジ
ルクロライド、ベンジルクロライド、メチルクロライ
ド、エチルクロライド、ブチルクロライド、プロピルク
ロライド、エチルブロマイド、ブチルブロマイド、メチ
ルアイオダイド、エチルアイオダイド、ブチルアイオダ
イド、α−クロロパラキシレンなどが挙げられ、これら
の4級化剤は通常単独で又は2種以上を混合して用いら
れる。 【0053】4級化剤の使用量は、アミド化反応によっ
て原料共重合体中に導入された3級アミノ基量に対して
1.00倍モルである。3級アミノ基のモル数は、前述
の如くアミド化反応終了後の反応混合物を一部採取した
ものをメタノール中へ投入し、反応溶媒等を除去して精
製した後、中和滴定により求めることができる。 【0054】4級化反応は、反応物の着色を防止する観
点から窒素雰囲気下、反応温度70〜140℃で行うこ
とが望ましい。4級化反応は、上記アミド化反応終了後
の反応混合物又はこれを精製したものに4級化剤を添加
した後、70〜140℃で約1〜6時間熟成することで
完了する。反応終了後には、溶剤を留去した後、粉砕す
るか又はメタノール,エタノール,イソプロパノール,
n−ヘキサン等の不混和性溶媒中に投入することにより
析出、単離した後乾燥することにより、最終生成物であ
る本発明のカチオン変性共重合体が得られる。 【0055】成分(A),(B),(C),(D)の配
合方法 一軸、または二軸押出し機、または加圧ニーダー等を用
いて成分(A),(B),(C),(D)を加熱溶融下
で混練することにより組成物とする。あるいは、予め成
分(A)の少量と成分(B),(C),(D)の全量と
を混合してマスターバッチにした後、これに残りの
(A)成分を混合し、更に混練またはそのまま射出成形
機、押出し機等の成形機にかけてもよい。 【0056】成分(A),(B),(C),(D)の配
合割合 本発明における(B)である含臭素系化合物の配合割合
は、(A)成分100部に対して2.0〜40部であ
る。2.0部未満であれば所望の難燃性が得られず、4
0部を超える添加は不経済であるのみならず、得られた
組成物の物性(耐衝撃性、耐候性等)を極端に低下させ
る。 【0057】また、成分(C)は良好な難燃性を得る成
分(B)との組成比を持ち、本発明においては(A)成
分100部に対して0〜15部であるが、特に高度な難
燃性を得るためには2.0〜15部の配合が望ましい。 【0058】さらに、本発明に含まれる成分(D)のカ
チオン変性共重合体は1.0〜30部であり、1.0部
未満であれば、良好な帯電防止性は得られず、30部を
超える量を添加した場合は、得られた熱可塑性樹脂の耐
衝撃性の低下が著しい。帯電防止性と物性とのバランス
から、3.0〜25部の配合が特に望ましい。 【0059】本発明の成分(D)に用いたカチオン変性
共重合体は、それ自身にイオン導電性を有し、成形時に
成形体内において、静電荷の漏洩層を形成し、その後は
溶融等が起こらない限りその形態を保っている。 【0060】したがって、通常用いられている界面活性
剤系の帯電防止剤のような、フィラーや添加剤同士の吸
着等による表面移行の阻害や、表面での外的因子による
脱離等が起こらないため、帯電防止性能の持続性が極め
て良好である。また、従来用いられてきたポリエーテル
変性物のように分子中にエーテル酸素原子を多量に含ま
ないため、難燃樹脂に成分(D)を用いた場合、その難
燃性を低下させることなく、高度な帯電防止能を付与す
ることができる。 【0061】 【実施例】以下に、本発明の実施例について説明する
が、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。 <製造例1> (カチオン変性共重合体[D−a]の製造例)温度計,
撹拌機,滴下ロート及びディーン・スターク分水器を備
えた内容量1Lの4つ口フラスコに、キシレン400m
Lとエチレン−アクリル酸エチル−アクリル酸共重合体
(エチレン/アクリル酸エチル/アクリル酸=92/3
/5モル%)(原料共重合体)150g(カルボキシル
基0.231モル含有)とを仕込み、100℃に加熱し
て均一に溶解させた。次に、N,N−ジメチルアミノプ
ロピルアミン21.3g(0.208モル)を仕込み1
40℃に加熱し、生成した水をキシレンとの共沸により
連続的に除去した。さらに140℃で20時間反応し、
生成する水の共沸が認められなくなるまでアミド化反応
を継続した。得られた反応混合物を80℃に冷却し、反
応混合物に対し5倍量のメタノール中へ反応混合物を投
入することにより析出させ、さらにメタノールで洗浄を
重ね減圧乾燥して中間共重合体を得た。得られた中間共
重合体に導入された3級アミノ基量を中和滴定により求
めたところ1.24meq/gであった。 【0062】次に、中間共重合体150gを再度キシレ
ンに溶解し、メチルアイオダイド26.4gを滴下ロー
トより1時間かけて滴下した。この間発熱が認められた
が冷却により反応温度を110℃に保ち、滴下終了後は
120℃で3時間熟成反応を行い、3級アミノ基を4級
アンモニウム塩基に変換した。得られた反応混合物をメ
タノール中に投入し析出させ、さらにメタノールで洗浄
し減圧乾燥して、アクリルアミド系のカチオン変性共重
合体173gを得た。得られたカチオン変性共重合体の
赤外吸収スペクトル、13C−NMRスペクトル及び重量
平均分子量を下記方法により測定した。測定結果とアミ
ド構造単位(IV)の置換基を表2に示す。 【0063】(重量平均分子量の測定)「高分子論文集
第44巻2号(1987年)」の139〜141頁に記
載の方法に準じて測定した。ウォーターズ社製GPC−
244(カラム;昭和電工(株)製Shodex,A−
80M/S(2本))を用い、溶媒として1−クロロナ
フタレンを用い流量0.7mL/min、カラム温度2
10℃で測定した。 【0064】(赤外吸収スペクトルの測定)株式会社堀
場製作所製FT−200を用いてKBr錠剤法により測
定した。 【0065】(13C−NMRスペクトルの測定)日本電
子(株)製JMN−GSX270を用いて、溶媒として
重DMSOを用い100℃で測定した。 【0066】<製造例2〜5>(共重合体[D−b]〜
[D−e]の製造) 製造例1において用いたエチレン−アクリル酸エチル−
アクリル酸共重合体の代わりに表1に示した原料共重合
体を用い、また、ジアミン及び4級化剤も表1に示した
ものを用いて、製造例1と同様にしてカチオン変性共重
合体を得た。 【0067】得られたカチオン変性共重合体の赤外吸収
スペクトル、13C−NMRスペクトル及び重量平均分子
量を製造例1と同様にして測定した。測定結果とアミド
構造単位(IV)の置換基を表2に示す。 【0068】 【表1】 【0069】 【表2】【0070】実施例1〜11、及び比較例1〜21 [表3][表4]に示した(A)成分〜(D)成分を、
同表に示した割合で、2軸押出し機(栗本鉄工所社製
KRCニーダー)にて混練し、コールドカットして熱可
塑性樹脂組成物ペレットを得た(なお、表中におけるB
成分は、下記の[化12]〜[化20]を参照)。 【0071】得られたペレットを射出成形機(新潟鉄工
所社製 ハイパーショット3000)にて成形して試験
片を作製し、表面固有抵抗試験、耐久性試験、難
燃性試験に供した。それぞれの試験方法は以下の通りで
あり、結果を[表3][表5]に記載した。 【0072】表面固有抵抗試験 60×60×3mmの試験片を用い、アドバンテスト社
製の超絶縁抵抗計にて20℃×65%RHの条件で表面
固有抵抗値を測定した。 【0073】耐久性試験 上記試験片の表面を、水を浸したガーゼにて80回拭き
取り、風乾後24Hr以上20℃×65%RHの条件下
で調湿して表面固有抵抗値を測定した。 【0074】難燃性試験 UL−94試験法に従い、1/16インチ厚試験片にて
等級を判定した。 【0075】 【表3】 【0076】 【表4】【0077】 【表5】【0078】 【化12】 【0079】 【化13】 【0080】 【化14】 【0081】 【化15】 【0082】 【化16】 【0083】 【化17】 【0084】 【化18】 【0085】 【化19】 【0086】 【化20】 【0087】 【発明の効果】従来困難とされていた難燃性と永久帯電
防止性を兼ね備えた熱可塑性樹脂組成物を得る事ができ
た。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−198308(JP,A) 特開 昭62−225541(JP,A) 特開 平5−310818(JP,A) 特開 昭61−183332(JP,A) 特開 平1−174558(JP,A) 特開 平7−97525(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 1/00 - 101/16 C08K 3/00 - 13/08

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 (A)熱可塑性樹脂 100重量部 (B)含臭素系有機系難燃剤 2.0〜40重量部 (C)無機系難燃助剤 0〜15重量部、及び (D)下記構造単位(I)〜(IV)が線状に配列してな
    る重量平均分子量1000〜50000のカチオン変性
    共重合体1.0〜30重量部 を含有してなる熱可塑性樹脂組成物。一般式化1で表さ
    れるポリオレフィン構造単位(I)97.9〜65モル
    %、 一般式化2で表されるエステル構造単位(II)1〜15
    モル%、 一般式化3で表されるカルボン酸構造単位(III) 0.1
    〜2モル%及び、 一般式化4で表されるアミド構造単位(IV)1〜35モ
    ル%で表わされるカチオン変性共重合体。 【化1】 【化2】【化3】 【化4】 (但し、化1,化2,化3及び化4において、Rは水素
    原子又はメチル基を示し、R1 は炭素数1〜4のアルキ
    ル基を示し、R2 は炭素数2〜8のアルキレン基を示
    し、R3 及びR4 は各々独立に炭素数1〜4のアルキル
    基を示し、R5 は炭素数1〜18のアルキル基又は炭素
    数6〜8のアリールアルキル基を示し、さらに、X-
    ハロゲン化物イオン,ClO3 ,CH3 OSO3 -又はC
    25 OSO3 -を示す。)
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