JP3496812B2 - 排ガスダスト又は焼却灰からの水溶性成分の分離方法 - Google Patents

排ガスダスト又は焼却灰からの水溶性成分の分離方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、排ガスダスト又は焼
却灰から水溶性成分を分離する方法、排ガスダスト又は
焼却灰中に含まれる水溶性成分の高濃度水溶液を製造す
る方法、排ガスダスト又は焼却灰の水性溶媒抽出液およ
び水性溶媒抽出残渣の使用方法、並びに排ガスダスト又
は焼却灰の水性溶媒抽出液を利用した植物の生育方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】セメント焼成炉、都市ゴミ焼却炉、都市
ゴミ溶融炉、下水汚泥焼却炉、下水汚泥溶融炉等より排
ガスに随伴するダスト(排ガスダスト)は、通常バグフ
ィルターや、電気集塵器により捕集され、一部有効利用
されるが大部分は廃棄処分されている。例えば、セメン
ト焼成炉は石灰質、塩化カリ等を主体とするダストが多
量に発生する。また都市ゴミ焼却時の排ガス飛灰、更に
は都市ゴミ灰の溶融排ガス飛灰は、水溶性のアルカリ金
属塩化物、アルカリ土類金属塩化物及び重金属類を含有
しており、環境保全上からも、これらをどのように処理
するかが重要な課題となっている。また、都市ゴミ焼却
灰、下水汚泥焼却灰などの焼却灰についても同様の問題
がある。
【0003】一方、近年、産業廃棄物をセメント原料と
して利用するとともに、セメントダストをセメント中に
再混合して利用することが行われている。しかし、産業
廃棄物をセメント原料として用いると、セメントダスト
中に塩分が含まれるため、このようなセメントダストを
そのまま混入したセメントを用いたコンクリート構造物
には亀裂、ひび割れが生じやすい。また、都市ゴミや下
水汚泥を焼却した際に発生するダストは、セメント等の
固化剤と混合固化し、またその一部は溶融処理して重金
属等の浸出を防止した上で路盤材として使用されるもの
の、多くは埋立等により最終処分されている。しかし、
最終処分場で雨水等による水溶性成分の漏出があり、浸
出水の管理が必要となっている。これらの方法は廃棄物
をリサイクルしない限り、有効性に限界があり、早晩行
きづまらざるを得ない。
【0004】このような問題を解決するため、従来、セ
メントダストをセメント原料として再利用するに際し、
予め適当な処理を施す方法が提案されている。例えば、
特開昭62−252351号公報には、セメントキルン
排ガスの一部を処理して得た微粒ダストを水洗いし、脱
水した後、セメント原料として再利用する方法が開示さ
れている。特開平4−77337号公報には、セメント
ダストに水を添加してスラリーとなし、該スラリーを濾
過することを特徴とする低アルカリセメントの製造方法
が開示されている。特開平6−157089号公報に
は、キルン燃焼ガスのダストに第1pH調整剤を添加
し、前記ダスト中の第1障害物質の沈殿に最適なpHの
1次スラリーにする工程と、該1次スラリー中で沈殿し
た第1障害物質を除去する工程と、前記1次スラリーに
第2pH調整剤を添加し、第2障害物質の沈殿に最適な
pHの2次スラリーにする工程とを備えているキルンダ
ストの処理システムが開示されている。また、特開平7
−277786号公報には、都市ゴミ焼却炉などの塩素
含有原料を焼成するセメント及びセメント系固化剤の製
造において、キルン排ガス中のダストを回収して水洗
し、水洗したダストを原料として再利用すると共に、水
洗液を原料成形水として利用することを特徴とするキル
ン排ガスダストの処理方法が開示されている。
【0005】また、焼却飛灰の処理方法として、特開平
7−123857号公報には、都市ゴミ焼却飛灰の焼成
ペレットを塩類溶解性溶液により洗浄して塩類を溶出し
た後、液状肥効性物質と接触させて、該ペレットの気孔
内に液状肥効性物質を混入させる園芸用培養土の製造方
法が開示されている。また、特開平8−309309号
公報には、焼却飛灰を水で洗浄して焼却飛灰中の水溶性
塩類を除去し、この焼却飛灰に重金属不溶化剤を加えて
焼却飛灰中の重金属類を不溶化し、不溶化重金属類を含
む焼却飛灰を加熱圧縮して水熱反応を生ぜしめ固化させ
ることを特徴とする焼却飛灰の処理方法が開示されてい
る。
【0006】しかし、セメントダストや焼却飛灰などの
ダストをそのまま水洗処理する方法では、液と固体との
分離性が悪く、水溶性成分の抽出率も低い。また、洗浄
したダストだけでなく、洗浄液中に含まれる水溶性成分
をも有効利用しようとする場合には、極めてコスト高と
なり実用性に乏しい。すなわち、ダスト中に含まれる塩
分などの水溶性成分は10μm以下の微粒子中に多く存
在することから、通常スラリー状態にして洗浄される
が、攪拌可能なスラリーを得るためには多量の水を必要
とする。そのため、得られた洗浄液中の水溶性成分濃度
は非常に低く、該水溶性成分を回収して有効利用するに
は多大なコストがかかる。また、ダストと液とを分離す
る際には、静置させて上澄み液をとるか、遠心分離や圧
搾するなどの操作が必要であるが、静置により分離する
場合には長時間を要する上、固体中に含まれる水分量が
極めて多く、しかも上澄み液の量が少ないため、水溶性
成分の分離効率、回収率は非常に低い。また、上澄み液
中の塩分濃度を上げるため、上澄み液を繰り返し用いよ
うとしても、水洗液の比重が次第に大きくなり、ダスト
の静置による沈降分離にさらに長時間を要し、分離でき
る上澄み液の比率は極端に小さくなる。また、遠心分離
や圧搾等により分離する方法でも、得られるケーキ状の
固形分中の含水率が大きく、水溶性成分の分離効率が悪
い上、装置も大型化する。また、水溶性成分濃度を高め
るため、水洗液を繰り返し抽出液として再利用する場合
には、その都度煩雑な機械分離を繰り返す必要があるな
どの欠点がある。
【0007】また、前記ダストの焼成ペレットを水洗す
る方法では、塩類などの水溶性成分が焼成により溶融体
内に溶封されるため、水溶性成分の回収率が低く、該水
溶性成分を有効に利用するには不適当である。
【0008】なお、都市ゴミの焼却により発生する排ガ
スダストはアルカリ土類金属や重金属類の含有量が大き
いなどの特徴があり、また下水汚泥を焼却する際に発生
する排ガスダストは前記不純分の他、リン酸塩を含有す
るなどの特徴があり、何れも水洗処理及び処理後の再利
用が困難となるなどの問題がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、排ガスダストや焼却灰から塩類などの水溶性成分を
効率よく簡単に分離できる方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、排ガスダストや焼却灰から、重金
属類等を溶出させることなく、水溶性成分を効率よく回
収できる方法を提供することにある。本発明のさらに他
の目的は、排ガスダストや焼却灰から重金属類の含有量
の少ない水溶性成分の水溶液を得る方法を提供すること
にある。本発明の他の目的は、排ガスダストや焼却灰か
ら、塩類などの水溶性成分を高濃度に含む水溶液を得る
方法を提供することにある。本発明のさらに他の目的
は、排ガスダストや焼却灰の経済的で有効な利用法を提
供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成するため、ダストを水性溶媒と接触させるに際
し、水中でのダスト濃度を上げ、ダストの含水率を減少
させる方法について鋭意検討した結果、ダストを予め造
粒し、得られた造粒物を焼成することなく、特定のpH
値を有する適量の水と接触させると、簡易な操作によ
り、水溶性成分濃度の高い水溶液と水溶性成分含有量の
少ないダスト残渣とが得られることを見出し、本発明を
完成した。
【0011】 すなわち、本発明は、排ガスダスト又は
焼却灰から水溶性成分を分離する方法であって、アルカ
リ金属含量が5〜45重量%、塩素(Cl)含量が5〜
40重量%の排ガスダスト又は焼却灰を造粒して得られ
た平均粒径又は一辺の長さ若しくは直径が1〜30mm
の造粒物を、pHが6〜14で且つ該造粒物100重量
部に対して60〜130重量部の水性溶媒と接触させて
水溶性成分を抽出し、次いで抽出残渣と抽出液とを分離
することを特徴とする排ガスダスト又は焼却灰からの水
溶性成分の分離方法を提供する。
【0012】 本発明は、また、アルカリ金属含量が5
〜45重量%、塩素(Cl)含量が5〜40重量%の排
ガスダスト又は焼却灰を造粒して得られた平均粒径又は
一辺の長さ若しくは直径が1〜30mmの造粒物100
重量部をpH6〜14の水性溶媒60〜130重量部と
接触させて水溶性成分を抽出することを特徴とする排ガ
スダスト又は焼却灰中の水溶性成分高濃度水溶液の製造
法を提供する。本発明は、さらに、上記の分離方法によ
り得られた抽出液又はその処理液を肥料若しくは道路凍
結防止剤又はそれらの原料として利用する排ガスダスト
又は焼却灰の水性溶媒抽出液の使用方法を提供する。本
発明は、さらにまた、上記の分離方法により得られた抽
出液又はその処理液を肥料又はその原料として用いる植
物の生育方法を提供する。本発明は、また、上記の分離
方法により得られた抽出残渣をセメント原料として利用
する排ガスダスト又は焼却灰の水性溶媒抽出残渣の使用
方法を提供する。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明で用いられるダストには、
排ガスダスト及び焼却灰(以下、これらを「ダスト」と
総称する場合がある)が含まれる。排ガスダストとして
は、セメントダスト、都市ゴミ焼却飛灰(都市ゴミ焼却
時に発生する排ガスダスト)、都市ゴミ焼却灰溶融飛灰
(都市ゴミ焼却灰を溶融する際に発生する排ガスダス
ト)、下水汚泥焼却飛灰(下水汚泥焼却時に発生する排
ガスダスト)、下水汚泥焼却灰溶融飛灰(下水汚泥焼却
灰を溶融する際に発生する排ガスダスト)などが挙げら
れる。また、排ガスダストとして、製鋼ダスト、非鉄製
鋼ダスト、原油燃焼煤塵(原油灰)なども使用できる。
一方、焼却灰としては、都市ゴミ焼却灰、下水汚泥焼却
灰、海難流出石油ボール焼却灰などが例示できる。排ガ
スダスト及び焼却灰は、単独で又は2種以上混合して使
用できる。
【0014】好ましいダストには、セメントダスト(セ
メントキルンの排ガス中に含まれる塩素含有ダスト等)
が含まれる。特に、排ガス中のダストを分級し、塩素分
の多い粒径数10μm以下の微粒ダストを含むダストな
どが好適である。また、都市ゴミ焼却飛灰、都市ゴミ焼
却灰溶融飛灰、下水汚泥焼却飛灰、下水汚泥焼却灰溶融
飛灰も好ましい。これらの排ガスダストは、通常、粒径
数10μm以下の微粒子より成り、バグフィルターや電
気集塵器により捕集される。
【0015】上記ダストには、塩素(Cl)が含まれて
いる場合が多い。塩素(Cl)の存在形態はダストの種
類により異なる。例えば、セメントダストでは粘土由来
のカリウムと結合して主として塩化カリウムの形態で排
出されるのに対し、都市ゴミ系の排ガスダストでは主と
して塩化ナトリウム、塩化カリウムのほか、排ガス中に
含まれる酸性成分を中和する目的で添加される水酸化カ
ルシウム等と反応して生成した塩化カルシウムの形態で
存在する。
【0016】ダスト中には、水溶性成分として、上記の
塩化カリウム、塩化ナトリウムなどのアルカリ金属塩化
物、塩化カルシウムなどのアルカリ土類金属塩化物のほ
か、アルカリ金属やアルカリ土類金属などの硫酸塩や炭
酸塩、アルカリ金属の酸化物なども含まれている。
【0017】一方、セメント系の排ガスダストには、水
不溶性成分乃至水難溶性成分として、Al23、Fe
0、SiO2、CaOなどが含まれており、都市ゴミ焼
却飛灰では、これ以外にPb、Zn、Cu化合物などの
水に難溶性の金属化合物が含まれていることが多い。
【0018】 本発明で用いる好ましいダストとして
は、K、Naなどのアルカリ金属の含量が5〜45重量
%(特に好ましくは7〜40重量%程度)のダスト、塩
素(Cl)含量が5〜40重量%(特に好ましくは7〜
40重量%程度)のダスト、前記アルカリ金属とCaな
どのアルカリ土類金属の総含量が10重量%以上(例え
ば10〜70重量%程度)のダストが挙げられる。ま
た、特に好ましいダストには、Kの含量が1重量%以上
(例えば1〜50重量%、好ましくは3〜50重量%、
さらに好ましくは5〜50重量%程度)のダストが含ま
れる。
【0019】排ガスダスト又は焼却灰を造粒する方法と
しては、特に限定されず、慣用の造粒法、例えば、転動
法、振動法、圧縮成形法、押出成形法、噴霧法などが用
いられる。造粒は、通常、ダストに少量の水を添加して
行われる。水の量は、造粒性や造粒物の硬度等を損なわ
ない範囲であればよく、例えば、ダスト100重量部に
対して、5〜100重量部、好ましくは10〜50重量
部程度である。
【0020】一般に、800℃以上の高温で焼成された
ダスト中には水硬成分(酸化カルシウム、ケイ酸カルシ
ウム、アルミン酸カルシウム等)が含まれていることが
多いので、ダストと水の混合物を造粒し、必要に応じて
養生することにより充分な強度を有する造粒物が得られ
る。養生は大気中で行ってもよいが、密閉容器中や湿空
気中で行ってもよい。養生の時間は、例えば1日程度以
上(1〜90日程度)である。
【0021】なお、長期間空気中に放置したダストなど
水硬成分が不足しているダストを用いる場合には、造粒
した後、水性溶媒と接触させた際に崩壊することがない
ように、前記水硬成分やバインダーを適当量添加して造
粒することもできる。前記バインダーとしては、例え
ば、セメント、水ガラス、ベントナイト、水酸化カルシ
ウム、水酸化マグネシウム、澱粉、リグニンスルホン酸
ソーダ、CMCなどの無機又は有機バインダーを用いる
ことができる。水性溶媒との接触時における崩壊を抑制
し、また、機械的強度を上げるため、造粒後に、乾燥、
加熱固化を行ってもよい。
【0022】造粒の際、重金属不溶化剤(金属封鎖剤)
や吸着剤を添加することもできる。重金属不溶化剤とし
ては、例えば、重金属の硫化物を形成可能な化合物、例
えば、硫化アンモニウム、硫化ソーダ、硫化カリウム、
水硫化アンモニウム、水硫化ソーダ、水硫化カリウム、
硫化水素など;重金属のジチオカルバミン酸塩を形成可
能な化合物、例えば、ジチオカルバミン酸ナトリム、ジ
チオカルバミン酸カリウムなどが例示できるが、これら
に限定されるものではない。吸着剤としては、例えば活
性炭などが挙げられる。重金属不溶化剤(金属封鎖
剤)、吸着剤の添加量は、例えば、前記ダスト100重
量部に対して、それぞれ、0.001〜5重量部、好ま
しくは0.005〜0.5重量部程度である。
【0023】造粒物に重金属不溶化剤を含有させること
により、ダスト中に含まれる重金属類が水性溶媒に溶出
するのを抑制でき、重金属類を含まない高純度の水溶液
(例えば、塩化カリウム水溶液など)を得ることができ
る。このような水溶液は、例えば肥料等の用途に好適に
使用できる。また、造粒物に吸着剤を含有させることに
より、コロイド粒子などの水性溶媒への移行を防止でき
る。
【0024】 造粒物の大きさは、水溶性成分の水性溶
媒への移行速度や、使用する水性溶媒の量などを考慮し
て適宜選択できるが、通常、平均粒径1〜30mm程
度、さらに好ましくは2〜10mm程度である。なお、
球状以外の形状、例えば円盤状、円柱状、ドーナツ型、
立方体状、直方体状などの形状を有する造粒物では、水
との接触面積を考慮してその大きさを設定すればよい
が、一辺の長さや直径を上記の範囲とするのが好まし
い。造粒物の粒径が0.5mm未満では、水性溶媒に浸
漬した場合、部分的に濡れが遅れたり、抽出液と抽出残
渣とを分離する際の分離性が悪くなりやすい。また、粒
径が50mmを超えると、水溶性成分の抽出に時間がか
かり、抽出分離後の取扱い中に破損しやすくなる。
【0025】本発明において、造粒物と水性溶媒とを接
触させる方法としては、造粒物を水性溶媒中に浸漬静置
する方法(浸漬法)、抽出液をポンプ等を用いて循環も
しくは流動させる方法、或いは少量の水性溶媒を造粒物
上に散布しつつ、造粒物の表面から水溶性成分を洗い出
す方法などが用いられる。造粒物と水性溶媒との接触
は、流動床方式、固定床方式、回分式、連続式等の何れ
の方式で行うこともできる。
【0026】水性溶媒としては、通常、水が用いられる
が、抽出成分の種類によっては、水と水溶性有機溶媒
(アルコール類、ケトン類、エーテル類、非プロトン性
極性溶媒など)との混合溶媒を用いることもできる。水
と水溶性有機溶媒との混合溶媒を用いる場合、水の割合
は50重量%以上、好ましくは80重量%以上、さらに
好ましくは90重量%以上である。
【0027】造粒物中には、上記のように通常水硬成分
があるので、水分の存在下、時間の経過と共に強固に固
化する。従って多量の塩分等の水溶性成分が除去されて
も粒子内の空隙は水で置換され、崩壊することがほとん
どなく、造粒物の大きさもほとんど変化しない。
【0028】造粒物と水性溶媒とを接触させる際の温度
(抽出温度)としては、操作性や抽出効率を損なわない
範囲で適当に選択できるが、一般には5℃〜水性溶媒の
沸点(水単独、常圧の場合は100℃)、好ましくは1
5〜90℃程度である。水性溶媒と造粒物の接触時間は
水性溶媒の組成、造粒物の組成や粒径、水性溶媒と造粒
物の量比、抽出温度、さらには所望する抽出液中の水溶
性成分の濃度等により異なるが、通常、常温で0.5時
間〜7日程度、好ましくは1時間〜2日程度である。接
触時間を短縮するため、粒径を小さくしたり、水溶性成
分の液(水性溶媒又は抽出液)中における濃度と造粒物
中における濃度との差を大きくしたり、加温した液を用
いるなどの方法は特に有効である。
【0029】水性溶媒の液性は、pH6〜14であり、
例えば重金属類の溶出を抑制したい場合には、pH8〜
12程度に調整するのが好ましい。なお、セメントダス
トや、都市ゴミ焼却飛灰中に含まれる塩化水素等を除去
するためアルカリ分を前記ガス中に噴霧させる場合があ
るが、このような場合には、ダスト自身がアルカリ性を
示すので、中性の水性溶媒を用いれば充分である。
【0030】 水性溶媒の使用量は、抽出効率を損なわ
ない範囲であればよいが、抽出液中の水溶性成分濃度を
高めるには、水溶性成分の飽和濃度に必要な水分量が必
要である。本発明における水性溶媒の使用量は、造粒物
100重量部(乾量基準)に対して60〜130重量部
である。水性溶媒の使用量を上記範囲に設定することに
より、水溶性成分の高濃度溶液(例えば飽和溶液又は飽
和濃度に近い溶液)を得ることができ、回収された水溶
性成分を種々の用途に利用する際、水性溶媒の除去に要
する費用を大幅に低減できる。
【0031】浸漬法では、流体の間隙を満たす最少量の
水性溶媒を用いる場合に最も濃厚な抽出液が得られる。
そのため、真球状の造粒物の場合には、直径の異なる粒
子を適当な割合で混合して空隙率を下げ、抽出液中の水
溶性成分濃度を高めることができる。また、円柱状、円
盤状の造粒物を用いる場合には、方向をそろえるなどし
て充てんを密にするのが好ましい。さらには、多重段抽
出、向流多段抽出などにより水溶性成分の濃度と抽出効
率を上げることもできる。
【0032】抽出後、抽出液と抽出残渣(造粒物)は、
デカンテーションや濾過等の簡単な操作により容易に且
つ高い回収率で分離でき、それぞれを各種用途に有効利
用できる。
【0033】本発明の方法によれば、排ガスダストをス
ラリーとして抽出した場合に比して、抽出液中の水溶性
成分濃度を著しく高めることができる。また、通常、難
溶性の重金属等の物質はコロイド状又は溶液となって水
性溶媒中に移行するが、本発明では、コロイド粒子は造
粒により凝集するため水性溶媒への移行が抑制されると
共に、前記重金属等の物質の水性溶媒への溶解量は溶解
度積に関係するので、使用液量が少ないと水相へ移行す
る量は減少する。従って、スラリー抽出法に比し水溶性
成分の純度は高くなり、精製の際の処理も容易になる。
また、本発明の方法では、造粒物と水性溶媒とを接触さ
せるため、従来のスラリー抽出法に比べ、抽出液と抽出
残渣とを速やかに分離することができ、しかも1回の分
離操作で高い回収率が得られるので、作業効率、分離効
率を大幅に向上できる。さらに、本発明では、造粒物を
焼成することなく抽出操作に付すので、従来のダストの
焼成ペレットを水洗する方法と比較した場合、造粒物か
らの水溶性成分の抽出効率が極めて高い。
【0034】前記抽出液は、必要に応じて重金属不溶化
処理、吸着剤処理、中和処理などを施してもよい。重金
属不溶化処理を施すことにより、抽出液中に微量に存在
する重金属類を除去できる。また、吸着剤処理では、抽
出液中のコロイド粒子などを除去できる。また、中和処
理を施すことにより抽出液の利用性を高めることができ
る。
【0035】重金属不溶化処理又は吸着剤処理は、抽出
液と前記重金属不溶化剤(金属封鎖剤)又は前記吸着剤
とを接触させた後、濾過等により分離することにより実
施できる。重金属不溶化剤、吸着剤の添加量は、抽出液
中に含まれる重金属類などの量や重金属不溶化剤等の量
などにより適宜設定できるが、一般には、抽出液100
重量部に対して、それぞれ0.001〜1.0重量部程
度である。
【0036】中和処理は前記抽出液にアルカリ又は酸を
添加することにより行うことができる。アルカリとして
は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア水
などが挙げられ、酸としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン
酸などが例示できる。
【0037】本発明の方法により得られる抽出液又はそ
の処理液は、カリ肥料として使用することにより、植物
(例えば、野菜、花卉、穀物、樹木など)の生育に利用
したり、少量の塩化ナトリウム、塩化カルシウムが存在
しても差し支えない道路凍結防止剤、或いは水溶液のま
ま塩素イオンを酸化、電解させて、次亜塩素酸イオンと
し、下水道放流時の殺菌剤(消毒薬剤)などとして使用
することができる。
【0038】例えば、セメントダストから抽出される陽
イオンはそのほとんどがカリウムで、残りの少量がナト
リウム、カルシウムであるため、抽出液をカリ肥料とし
て利用することができる。抽出液は、重金属による土壌
汚染を防止するため重金属不溶化処理を施したり、植害
の発生を防止するため中和処理を施すのが望ましい。カ
リ肥料として用いる場合、pHを6〜8の範囲内に調整
するのが好ましい。
【0039】都市ゴミ由来の飛灰(都市ゴミ焼却飛灰、
都市ゴミ焼却灰溶融飛灰)は塩化カリ、塩化カルシウ
ム、塩化ナトリウムなどの水溶性成分が多く、抽出液と
してこれらの混合物の水溶液が得られる。この水溶液
は、上記の用途にそのまま利用できるほか、必要な場合
には濃縮による部分晶析や、温度による溶解度の差を利
用した晶析等の慣用の方法により各成分を分離精製して
使用することもできる。
【0040】本発明の方法により得られる抽出残渣はセ
メント原料や非鉄金属材料として利用できる。例えば、
セメントダストからの抽出残渣は、セメント原料に、ま
た重金属の含有量により非鉄金属原料として利用するこ
ともできる。また、都市ゴミ焼却飛灰の抽出残渣は、一
般に重金属の含有率が高いので、非鉄金属の原料として
も利用できる。
【0041】また、前記ダストのほか、ストーカー炉等
の都市ゴミ灰、高炉、転炉、電気炉などの製鋼ダスト、
非鉄製鋼ダスト、下水汚泥焼却灰などを抽出して得られ
る抽出液及び抽出残渣も、含有成分の種類に応じて、前
記用途に有効利用することができる。
【0042】
【発明の効果】本発明によれば、排ガスダスト又は焼却
灰の造粒物を特定のpH値を有する特定量の水性溶媒と
接触させて水溶性成分を抽出するので、排ガスダストな
どから塩類等の水溶性成分を効率よく簡単に分離でき
る。また、排ガスダストなどから塩類等の水溶性成分を
高濃度に含む水溶液を得ることができる。前記造粒物に
重金属不溶化剤などを添加した場合には、排ガスダスト
などから重金属類等を溶出させることなく、水溶性成分
を効率よく回収できる。また、抽出液に重金属不溶化処
理等を施す場合には、排ガスダストなどから重金属類の
含有量の少ない水溶性成分の水溶液を得ることができ
る。さらに、本発明によれば、排ガスダストや焼却灰を
経済的且つ有効に利用できる。
【0043】
【実施例】以下に実施例に基づいて、本発明をより詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定され
るものではない。なお、特に断りのない限り、「部」、
及び濃度や含量を示す「%」、「ppm」は重量基準の
値を示す。
【0044】実施例1 セメント製造工程において、キルンから抽気した高温の
燃焼ガスを急冷し、集塵機で回収されたセメントダスト
100部と水20.8部を、皿の直径1m、リム20c
mの転動造粒機を用いて、16rpm、角度55°の条
件で造粒した。用いたセメントダストの組成を表1に示
す。
【表1】 得られた造粒物は平均粒径10mmで、含水率は17.
2%であった。これを密閉した容器の中で7日間放置し
て硬化させた。硬化させた造粒物100部に、造粒物全
体が水中に浸漬するよう、水49.4部を添加し、25
℃で24時間放置して造粒物中の水溶性成分を抽出し
た。放置中に造粒物が崩壊することはなかった。造粒物
と液の分離は良好で、デカンテーションにより抽出液と
造粒物(抽出残渣)とを分離し、得られた抽出液中の濁
りを取るために、ろ布を用いてろ過すると、黄色透明な
アルカリ性の液体(pH=12.5)が49.9部得ら
れた。ろ布上の湿ケーキは0.18部(含水率45.0
%)で、粉化率は0.10%であった。濾液中の塩素
(Cl)濃度は8.71%であった。上記濾液の一部を
とり(100部とする)、水分を蒸発させると固体が2
0部得られた。この固体の組成分析値を表2に示す。
【表2】 仕込み塩素(セメントダスト中の塩素Cl)に対する塩
素(Cl)回収率は52.2%であり、上記回収固体の
塩化カリウム含量は89%であった。なお、前記抽出残
渣の塩素(Cl)濃度は5.51%(Dry)であり、セ
メント原料として使用できる。また、上記濾液の一部を
とり(100部とする)、これに0.1N硫化ソーダ水
溶液を沈殿が出なくなるまで添加し(約1.1部)、一
晩静置した後、沈殿をろ別した。この時ろ別された硫化
物は3.6部(Wet)であった。濾液に1N塩酸約3.
7部を加えて中性にした。中性に調整した溶液100部
を用いて水分を蒸発させたところ、固体19.1部が得
られた。この固体の組成分析値を表3に示す。
【表3】 回収固体の塩化カリウム含量は89%であった。
【0045】実施例2、3 造粒物100部に対する水の添加量を90.4部とし、
抽出時間を4時間(実施例2)又は24時間(実施例
3)とした以外は、実施例1と同様に抽出、デカンテー
ション、濾過、濾液の蒸発乾固の各操作を行った。その
結果を表4に示す。なお、実施例1の結果も併せて示
す。
【表4】
【0046】実施例4 抽出温度を25℃、50℃又は83℃とし、抽出時間を
4時間とした以外は、実施例1と同様に抽出操作を行っ
た。その結果、抽出液中の塩素(Cl)濃度は、それぞ
れ3.76%、6.03%、7.71%であり、抽出速
度は高温になるほど速くなった。
【0047】実施例5 実施例1で抽出した後の造粒物(抽出残渣)100部
に、水49部を用いて常温(25℃)で24時間放置し
て造粒物中に残存している水溶性成分を抽出した。放置
中に造粒物が崩壊することはなかった。造粒物と液の分
離は良好で、デカンテーションにより抽出液と造粒物
(抽出残渣)とを分離したところ、抽出液中の濁りはほ
とんど無かった。抽出液として、微黄色透明のアルカリ
性液体(pH12.5)が53部得られた。この液の塩
素(Cl)濃度は3.66%、比重は1.047であっ
た。第1回(実施例1)と第2回(実施例5)の合計の
塩素(Cl)回収率はセメントダスト中の塩素(Cl)
に対して74.3%であった。
【0048】実施例6(向流抽出実験) 実施例1と同様の方法で得られた造粒物(硬化させた造
粒物)100部に、実施例5で得られた抽出液75部を
添加し、25℃で24時間放置して、造粒物中の水溶性
成分を抽出した。放置中に造粒物が崩壊することはなか
った。造粒物と液の分離は良好で、デカンテーションに
より抽出液と造粒物(抽出残渣)とを分離した。抽出液
中の濁りをとるために、ろ布を用いて濾過すると、黄色
透明なアルカリ性液体(pH12.9)が73部得られ
た。ろ布上の湿ケーキは0.19部(含水率45.0
%)で、粉化率は0.11%であった。濾液中の塩素
(Cl)濃度は9.33%であった。
【0049】実施例7〜10 実施例1と同じセメントダスト100部と水17.0部
を、ディスクペレッター(不二パウダル(株)F5/1
1−175)を用いて押出し成形し、直径5mm、長さ
5〜20mmの円柱形の造粒物を得た。成形直後の水分
は14.5%であった。この造粒物を6日間自然乾燥し
た。乾燥後の水分は7.33%であった。この乾燥した
造粒物を用い、表5に示す条件で抽出操作を行った。抽
出液と造粒物(抽出残渣)とをデカンテーションにより
分離し、抽出液は濾過に付した。なお、抽出液と造粒物
(抽出残渣)との分離は極めて容易であり、抽出中に造
粒物が崩壊することはなかった。抽出液を蒸発乾固して
得られた固体の組成分析を行い、塩素(Cl)回収率を
求めた。結果を表5に示す。
【表5】
【0050】実施例11〜14 実施例7で得た押出し成形品をマルメライザー(昭和エ
ンジニヤリングKK、形式:SK−450−4540)
で整粒した。得られた造粒物は粒径5〜7mmの球(楕
球)であり、造粒直後の水分は14.5%であった。こ
の造粒物を6日間自然乾燥した。乾燥後の水分は9.3
2%であった。この乾燥した造粒物を用い、表6に示す
条件で抽出操作を行った。抽出液と造粒物(抽出残渣)
とをデカンテーションにより分離した。なお、抽出液と
造粒物(抽出残渣)との分離は極めて容易であり、抽出
中に造粒物が崩壊することはなかった。抽出液を蒸発乾
固して得られた固体の組成分析を行い、塩素(Cl)回
収率を求めた。結果を表6に示す。
【表6】
【0051】実施例15、16 下記表7に示す組成のダスト73.5部と、水26.5
部と、硫化ソーダ(実施例15のみ)0.03部を用
い、実施例1に準じた方法により造粒した。造粒物の平
均粒径は15mm、含水率は26.5%であった。
【表7】 この造粒物を17時間湿空気中で放置した後、32.3
部の水を添加し、24時間放置して造粒物中の水溶性成
分を抽出した。なお、抽出温度は90℃から40℃まで
徐々に低下させた。その後、デカンテーションにより抽
出液と造粒物(抽出残渣)とを分離し、抽出液を蒸発乾
固して得られた固体中のKCl及びPbの含量を分析
し、ダスト中の塩素(Cl)に対する塩素(Cl)回収
率、KCl回収量、及びKCl純度を求めた。結果を表
8に示す。
【表8】
【0052】実施例17 下記表9に示す組成のダストを用いて、実施例1と同様
にして造粒した。得られた造粒物の平均粒径は0.5〜
4mm、含水率は17.0%であった。
【表9】 これを密閉した容器中で、50日間放置して硬化させ
た。硬化させた造粒物100部に、造粒物全体が水中に
浸漬するよう、水47.5部を添加し、25℃で16時
間放置して造粒物中の水溶性成分を抽出した。その間に
造粒物が崩壊することはなかった。造粒物と液の分離は
良好で、デカンテーションにより造粒物(抽出残渣)と
抽出液とを分離し、得られた抽出液中の濁りを取るため
に、ろ布を用いて濾過すると、黄色透明なアルカリ性液
体(pH13.3)が44.6部得られた。ろ布上の湿
ケーキは0.21部(含水率46.2%)で、粉化率は
0.11%であった。濾液中の塩素(Cl)濃度は1
1.15%であった。
【0053】実施例18 都市生ゴミをストーカ炉を用いて焼却処理する際に発生
する飛灰[塩素(Cl)含量9.86%]100部と、
消石灰2.5部と、水27部とを用いて、実施例1に準
じて造粒した。造粒物の平均粒径は10mm、含水率は
20.8%であった。この造粒物を、湿空気中で1週間
養生した。養生した造粒物100部に水79部を添加
し、室温で23時間静置して、造粒物中の水溶性成分を
抽出した後、液と固体を分離した。その際、造粒物は崩
壊することなく、また、粉化物はほとんどなかった。上
記操作により、抽出液69.8部と、濡れた造粒物9
9.8部を得た。抽出液のpHは11.8、比重は1.
08、塩素(Cl)濃度は5.42%であり、塩素の抽
出率(回収率)は55.3%であった。抽出液中には、
Na+、K+、Ca2+などが認められた。
【0054】比較例1〜3 実施例1と同じセメントダスト100部と下記表10に
示す量の水(25℃)とを混合し、スラリー液を調製し
た。
【表10】 得られたスラリー液を、それぞれ25℃で1時間攪拌し
た後、24時間放置してダスト中の水溶性成分を抽出し
た。なお、比較例1の場合には、攪拌ができず以降の実
験を行うことができなかった。放置後、液と湿ダストは
分離していた。上澄み液をデカンテーションにより分離
した後、下層の湿ダストを吸引ろ過し、上澄み液と吸引
ろ過して得た濾液を合わせて抽出液とした。なお、吸引
濾過に要した時間(分離時間)を表10に示す。抽出液
は黄色透明のアルカリ性液体であった。抽出液量、抽出
液中の塩素(Cl)濃度、塩素(Cl)回収率、抽出液
のpH、ろ紙上の湿ケーキ(抽出残渣)重量、及び湿ケ
ーキ(抽出残渣)含水率を表11に示す。
【表11】 また、比較例2の抽出液の一部(100部とする)をと
り、水分を蒸発させると6.6部の固体が得られた。こ
の固体の組成分析値を表12に示す。固体中の塩化カリ
ウム含量は85%であった。
【表12】 以上の結果、スラリー法による抽出ではデカンテーショ
ンによって得られる抽出液量は少なく、抽出液の回収量
を上げるためには、吸引ろ過が必要であった。しかしな
がら、吸引ろ過後の抽出残渣中の水分も40%台と大き
く、且つ抽出液中の塩素濃度を上げることが困難であ
り、しかも得られた回収固体には重金属である鉛の含量
が多かった。また、上記の各実施例では、造粒物(抽出
残渣)と抽出液との分離に要する時間は極めて短いが、
スラリー法(比較例)の場合には長時間を要した。例え
ば、同一スケールで同一装置を用いて分離操作を行った
場合、スラリー法の場合には、吸引濾過に、実施例の場
合と比較して80〜100倍の時間を要した。
【0055】実施例19 実施例1において、抽出液に硫化ソーダ処理及び中和処
理を施して得られた水溶液を濃縮して得られた固体(回
収塩化カリウム)の肥料としての有効性を確認するた
め、幼植物試験法に基づき、こまつなを用いて発芽及び
生育収量調査試験を行った。その結果を表13に示す。
なお、試薬特級の塩化カリウムを用いた例を対照とし
た。
【表13】 表に示されるように、実施例1で得られた回収塩化カリ
ウムを用いた場合、播種後3日目の発芽率は各区とも9
5%〜98%の値を示し、発芽抑制などの植害症状は見
られなかった。また、発芽後の生育も対照区とほぼ同等
であった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平10−99816(JP,A) 特開 昭59−95984(JP,A)

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 排ガスダスト又は焼却灰から水溶性成分
    を分離する方法であって、アルカリ金属含量が5〜45
    重量%、塩素(Cl)含量が5〜40重量%の排ガスダ
    スト又は焼却灰を造粒して得られた平均粒径又は一辺の
    長さ若しくは直径が1〜30mmの造粒物を、pHが6
    〜14で且つ該造粒物100重量部に対して60〜13
    重量部の水性溶媒と接触させて水溶性成分を抽出し、
    次いで抽出残渣と抽出液とを分離することを特徴とする
    排ガスダスト又は焼却灰からの水溶性成分の分離方法。
  2. 【請求項2】 排ガスダスト又は焼却灰として、セメン
    トダスト、都市ゴミ焼却飛灰、都市ゴミ焼却灰溶融飛
    灰、下水汚泥焼却飛灰及び下水汚泥焼却灰溶融飛灰から
    なる群から選択された少なくとも1種のダストを用いる
    請求項1記載の分離方法。
  3. 【請求項3】 排ガスダスト又は焼却灰の造粒に際し、
    重金属不溶化剤又は吸着剤を添加する請求項1又は2
    載の分離方法。
  4. 【請求項4】 重金属不溶化剤又は吸着剤の添加量が、
    排ガスダスト又は焼却灰100重量部に対して0.00
    1〜5重量部である請求項記載の分離方法。
  5. 【請求項5】 抽出液に重金属不溶化処理、吸着剤処理
    及び中和処理から選択された少なくとも1つの処理を施
    す請求項1〜の何れかの項に記載の分離方法。
  6. 【請求項6】 アルカリ金属含量が5〜45重量%、塩
    素(Cl)含量が5〜40重量%の排ガスダスト又は焼
    却灰を造粒して得られた平均粒径又は一辺の長さ若しく
    は直径が1〜30mmの造粒物100重量部をpH6〜
    14の水性溶媒60〜130重量部と接触させて水溶性
    成分を抽出することを特徴とする排ガスダスト又は焼却
    灰中の水溶性成分高濃度水溶液の製造法。
  7. 【請求項7】 請求項1〜の何れかの項に記載の方法
    により得られた抽出液又はその処理液を肥料若しくは道
    路凍結防止剤又はそれらの原料として利用する排ガスダ
    スト又は焼却灰の水性溶媒抽出液の使用方法。
  8. 【請求項8】 請求項1〜の何れかの項に記載の方法
    により得られた抽出液又はその処理液を肥料又はその原
    料として用いる植物の生育方法。
  9. 【請求項9】 請求項1〜の何れかの項に記載の方法
    により得られた抽出残渣をセメント原料として利用する
    排ガスダスト又は焼却灰の水性溶媒抽出残渣の使用方
    法。
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