JP3495726B2 - 入力回路監視型トランスデューサ - Google Patents

入力回路監視型トランスデューサ

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JP3495726B2
JP3495726B2 JP2001306231A JP2001306231A JP3495726B2 JP 3495726 B2 JP3495726 B2 JP 3495726B2 JP 2001306231 A JP2001306231 A JP 2001306231A JP 2001306231 A JP2001306231 A JP 2001306231A JP 3495726 B2 JP3495726 B2 JP 3495726B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は入力回路監視型トラ
ンスデューサに関し、とくに電力系統の計測データを遠
隔監視所、指令所等へ伝送する遠隔管理制御装置に使用
する入力回路監視型トランスデューサに関する。
【0002】
【従来の技術】図5は、従来の電力系統の遠隔監視制御
装置の計測回路用トランスデューサの一例を示す。同図
のトランスデューサは、電力系統の電気量のアナログ計
測信号を入力端子1から取り込み、取り込んだ入力信号
をアナログフィルタ34経由でA/Dコンバータ(以下、
A/D変換器ということがある。)35へ導いてディジタ
ル信号に変換し、ディジタル変換後の信号をディジタル
フィルタ36経由で入力信号演算部37ヘ入力し、演算部37
で監視制御に必要な計測データを算出し、算出結果を出
力部38から遠隔監視所等へ伝送するものである。
【0003】トランスデューサの信頼性を維持するため
には回路異常の点検が必要であり、とくにソフトウェア
処理であるディジタルフィルタ36や演算部37に比しアナ
ログフィルタ34及びA/D変換器35を含むアナログ入力
回路の特性劣化・不良の点検が重要である。図5では、
入力端子1とA/D変換器35との間に入力/試験信号切
替装置30を設け、点検操作時に試験信号スイッチ32を導
通させて試験信号の交流電圧をアナログフィルタ34に印
加する。アナログフィルタ34、A/D変換器35、ディジ
タルフィルタ36及び入力信号演算部37で処理した試験信
号を入力回路異常判定部39へ入力し、異常判定部39にお
いて処理後の試験信号が正常であるか否か判定すること
により点検を行なう。点検操作以外(通常操作)の時
は、信号切替装置30の試験信号スイッチ32を遮断し、入
力信号スイッチ31を導通させる。
【0004】しかし、切替装置30による点検方法は、入
力回路の点検時に当該入力回路による通常操作を中断し
なければならず、計測の中断を避けるためには予備入力
回路への切り替え等を必要とするので手間と労力を要す
る問題点がある。また、通常操作時に発生する特性劣化
等が発見し難く、定期点検時まで計測データに誤差を含
んだまま運用され続けるおそれもある。
【0005】この問題を解決するため、本発明者はアナ
ログ入力回路を連続的に監視するアナログ入力回路監視
装置を開発し、特許第2950818号公報に開示した。図4
を参照するに、同公報の監視装置は、入力端子1とアナ
ログフィルタ4との間にアナログ入力信号の周波数のN
倍(Nは自然数)とは異なる試験周波数ftのアナログ試
験信号を前記入力信号に連続的に重畳する試験信号重畳
部3を設け、試験信号重畳後の入力信号(以下、アナロ
グ重畳信号という。)をA/D変換器5へ入力してディ
ジタル変換し、ディジタル変換後の重畳信号(以下、デ
ィジタル重畳信号という。)を試験信号分離部9へ入力
してディジタル重畳信号から試験信号成分を分離し、分
離後の試験信号を入力回路異常判定部18へ入力してアナ
ログ入力回路の異常を連続的に監視するものである。同
図の符号6は、ディジタル重畳信号から入力信号成分を
分離するディジタルフィルタを示す。
【0006】図4の監視装置によれば、入力回路による
通常操作と当該入力回路の点検操作とを同時に且つ連続
的に行なうことができるので、回路異常の早期発見によ
る信頼性向上が図れる。また、入力信号の周波数のN倍
とは異なる周波数の試験信号を重畳することにより、入
力信号が基本波のN次高調波を含む場合でもN次高調波
が誤って入力回路の異常として検出されるおそれがな
く、高精度の入力回路監視が可能となる。
【0007】図4の実施例では、試験信号分離部9に、
ディジタル重畳信号と試験周波数ftのディジタル正弦波
信号とを掛け合わせる第一乗算器191、ディジタル重畳
信号と試験周波数ftのディジタル余弦波信号とを掛け合
わせる第二乗算器192、及び第一乗算器191と第二乗算器
192とに接続した試験信号の実効値演算器23を設けてい
る。下記式(1)で表されるディジタル重畳信号から試験
信号の成分を抽出するため、第二乗算器192により(1)式
とディジタル余弦波cos(ωtt)とを掛け合わせて(2)式を
得、この場合ローパスフィルタであるディジタルフィル
タ222により(2)式中の下線付き項以外の項を除去するこ
とにより、試験信号の実数部Rを(3)式として得る。ま
た、第一乗算器191により(1)式とディジタル正弦波sin
tt)を掛け合わせて(4)式を得、この場合ローパスフ
ィルタであるディジタルフィルタ221により(4)式中の下
線付き項以外の項を除去することにより、試験信号の虚
数部Iを(5)式として得る。実効値演算器23において、
(3)式の実数部R及び(5)式の虚数部Iを(6)式の複素演
算式へ代入することにより、試験信号成分の実効値を求
めることができる。
【0008】他方、アナログ試験信号をA/D変換器5
へ直接入力し、実効値演算器27で変換後のディジタル試
験信号の実効値を求める。図4の入力回路異常判定部18
は、演算器23及び27による実効値を比較することによ
り、アナログ入力回路が正常であるか否かを連続的に監
視している。
【0009】なお、(1)から(6)式において、V1、……、
VNは入力信号の基本波及びN次高調波の振幅、Vtは試験
信号の振幅、θ1、……、θNは入力信号の基本波及びN
次高調波の初期位相、θtは試験信号の初期位相、ω'は
入力信号の基本波の角周波数(ω'=2πf'、f'は基本
波周波数。)、ωtは試験信号の角周波数(ωt=2π
f t、ftは試験周波数。)を示す。
【0010】
【数1】 V(t)=V1cos(ω't+θ1)+……+VNcos(Nω't+θN)+Vtcos(ωtt+θt)……(1) cos(ωtt)・V(t) =cos(ωtt){V1cos(ω't+θ1)+……+VNcos(Nω't+θN)+Vtcos(ωtt+θt)} =V1/2[cos{(ω'−ωt)t+θ1}+cos{(ω'+ωt)t+θ1}]+…… +VN/2[cos{(Nω'−ωt)t+θN}+cos{(Nω'+ωt)t+θN}] +Vt/2[cos{(ωt−ωt)t+θt}+cos{(ωt+ωt)t+θt}] ……………………(2) 実数部R=(Vt /2)cosθt……………………………………………………………(3) sin(ωtt)・V(t) =sin(ωtt){ V1cos(ω't+θ1)+……+VNcos(Nω't+θN)+Vtcos(ωtt+θt) } =V1/2[sin{(ω'+ωt)t+θ1}−sin{(ω'−ωt)t+θ1}]+…… +VN/2[sin{(Nω'−ωt)t+θN}+sin{(Nω'+ωt)t+θN}] +Vt/2[sin{(ωt−ωt)t+θt}+sin{(ωt+ωt)t+θt}] ……………………(4) 虚数部I=(Vt/2)sinθt ……………………………………………………………(5) 実効値V/√2=√{(R2+I2)×2}………………………………………………(6)
【0011】
【発明が解決しようとする課題】図4の監視装置では、
試験信号源として、分離器9(又は入力信号演算部7)
の試験周波数記憶部24に記憶した試験周波数ftに基づき
ディジタル矩形波信号を発生する矩形波信号発生部25、
及びディジタル矩形波信号を入力してアナログ試験信号
を出力する正弦波波形整形回路26を設けている。
【0012】しかし図4の監視装置は、試験信号源がA
/D変換器5から独立しており、A/D変換器5のサン
プリング動作のタイミングが試験信号の時計と一致しな
い場合があるので、上述した実効値の演算結果に誤差が
生じ得る問題点がある。例えば、上記(2)式のディジタ
ル余弦波cos(ωtt)の角周波数ωtは試験周波数記憶部24
に記憶した試験周波数ftのみで決まるのに対し、A/D
変換器5からのディジタル重畳信号V(t)における試験信
号の角周波数ωtはA/D変換器5のサンプリング制御
信号(以下、サンプリング信号ということがある。)に
よって決まるので、理論的には(2)式の中の下線付き項
における(ωt―ωt)は零となるべきであるが、サンプ
リング動作のタイミングと試験信号の時計とが一致しな
い場合は零とならず誤差が発生し、監視精度の低下の原
因となっている。
【0013】また、試験信号周波数がサンプリング信号
周波数の整数倍(例えばM倍)である場合は、図4の実
効値演算器27において、試験信号1周期分のディジタル
値、即ち連続したM個のディジタル値の2乗平均の平方
根を算出することによりディジタル試験信号の実効値を
求めることができる。しかし、A/D変換器5のサンプ
リング信号の時計と試験信号の時計とが一致しない場合
は、連続したM個のディジタル値に基づく実効値演算結
果に誤差が発生し、やはり監視精度の低下の原因とな
る。
【0014】そこで本発明の目的は、入力回路を高精度
で監視できる入力回路監視型トランスデューサを提供す
るにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】図1の実施例を参照する
に、本発明の入力回路監視型トランスデューサは、所定
周波数のアナログ入力信号をA/D変換器5によりディ
ジタル信号に変換する入力回路2を有するCPUクロッ
ク10付きトランスデューサにおいて、CPUクロック10
の信号の分周により前記所定周波数とは異なる試験周波
数のディジタル試験信号を生成する試験信号発生部11、
ディジタル試験信号をアナログ試験信号に変換する正弦
波波形整形回路12、アナログ試験信号をアナログ入力信
号に連続的に重畳する試験信号重畳部3、CPUクロッ
ク10の信号の分周により試験周波数の2倍以上の周波数
のA/D変換器5用サンプリング信号を生成するサンプ
リング信号発生部13、前記重畳部3の出力の入力回路2
による変換後のディジタル重畳信号中の試験信号の実効
値を求める第一実効値演算部14、アナログ試験信号のA
/D変換器5による変換後のディジタル試験信号の実効
値を求める第二実効値演算部17、及び第一及び第二実効
値演算部14、17の出力の比較により入力回路2の異常を
判定する判定部18を備えてなるものである。
【0016】好ましくは、サンプリング信号発生部13に
より試験周波数のM倍周波数(Mは2以上の自然数)の
サンプリング信号を生成し、第二実効値演算部17により
ディジタル試験信号の連続したM個の二乗平均から当該
試験信号の実効値を算出する。更に好ましくは、試験信
号発生部11により、アナログ入力信号の所定周波数のN
倍(Nは自然数)とは異なる試験周波数のディジタル信
号を生成する。
【0017】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の入力回路監視型
トランスデューサ40の一実施例を示す。図示例では、ア
ナログフィルタ4とA/D変換器5とにより構成された
入力回路2を示す。但し、入力回路2はA/D変換器5
を有するものであれば足り、入力回路2の構成及び入力
信号数は図示例に限定されない。例えば、入力回路2に
マルチプレクサ等を設けることができる。
【0018】本発明は、A/D変換器5のサンプリング
信号の時計及びディジタル試験信号の時計の両者を、ト
ランスデューサのCPUクロック10の分周により生成す
る。ディジタル試験信号発生部11がCPUクロック10の
信号の分周によりアナログ入力信号の所定周波数とは異
なる試験周波数のディジタル試験信号を生成し、サンプ
リング信号発生部13がCPUクロック10の信号の分周に
より試験周波数の2倍以上の周波数のサンプリング信号
を生成する。
【0019】試験信号発生部11で生成したディジタル試
験信号を正弦波波形整形回路12へ送り、ディジタル試験
信号をアナログ試験信号に変換する。変換後のアナログ
試験信号を入力端子1と入力回路2との間、図1では入
力端子1とアナログフィルタ4との間に設けた試験信号
重畳部3へ送り、所定周波数のアナログ入力信号にアナ
ログ試験信号を連続的に重畳する。試験信号が重畳され
たアナログ重畳信号を入力回路2へ入力し、例えばロー
パスフィルタであるアナログフィルタ4で処理したの
ち、A/D変換器5でディジタル信号に変換する。
【0020】試験信号の周波数は、入力信号との分離を
容易にするため、入力信号の周波数から極力離して選択
する。好ましくは、試験信号の周波数をアナログ入力信
号の所定周波数のN倍(Nは自然数)とは異なる周波数
とする。入力信号が基本波のN次高調波を含む場合で
も、試験信号を基本波の周波数のN倍とは異なる周波数
とすることにより、入力信号と試験信号との分離を不可
能とするような相互干渉を避け、N次高調波が誤って入
力回路の異常として検出されるおそれがないので、入力
回路の高精度な監視が可能となる。
【0021】例えばアナログ入力信号を電力系統の電圧
量、電流量等の計測信号とし、CPUクロックを18.432
MHzとした場合は、基本波周波数50Hzのときは試験信号
の周波数を320Hz(=18.432×106/57600)とし、基本
波周波数60Hzのときは試験信号の周波数を384Hz(=18.
432×106/48000)とすることができる。なお、入力信
号が基本波の1/N次(Nは2以上の自然数)の分数調
波をも含む可能性のある場合は、試験信号の周波数f
tを、入力信号の基本波周波数の1/N倍とも異なるも
のとすることができる。
【0022】他方、サンプリング信号発生部13で生成し
たサンプリング信号を入力回路2のA/D変換器5へ入
力する。サンプリング信号の周波数をアナログ重畳信号
の周波数、即ち入力信号及び試験信号の周波数の2倍以
上とすることにより、標本化定理(sampling theory)
に基づき、変換後のディジタル重畳信号からアナログ重
畳信号の波形を再生することができる。好ましくは、後
述する実効値演算の容易化を図るため、サンプリング信
号の周波数を試験周波数のM倍(Mは2以上の自然数。
以下、同じ。)とする。例えば、前述したようにCPU
クロックを18.432MHzとした場合は、試験信号の周波数3
20Hzに対してサンプリング信号の周波数を4,800Hz(=1
8.432×106/3840=320×15)とし、試験信号の周波数3
84Hzに対してサンプリング信号の周波数を5,760Hz(=1
8.432×106/3200=384×15)とすることができる。
【0023】ディジタル重畳信号を入力信号分離部6へ
入力し、入力信号分離部6においてディジタル重畳信号
から入力信号成分を分離する。入力信号分離部6の一例
は、ディジタル重畳信号のうち試験周波数成分の通過を
阻止し且つそれ以外の成分を減衰させずに通過させる帯
域消去フィルタ又はローパスフィルタ等のディジタルフ
ィルタである。分離部6で入力信号成分のみを抽出する
ことにより、試験信号による影響を避けつつ、入力信号
演算部7において入力信号に対する演算処理が可能とな
る。演算部7の演算結果は、図4及び5の場合と同様
に、出力部8から遠隔監視所等へ伝送することができ
る。
【0024】また、ディジタル重畳信号を第一実効値演
算部14へ入力し、第一実効値演算部14においてディジタ
ル重畳信号中の試験信号の実効値を算出する。図示例の
演算部14は、ディジタル重畳信号から試験信号成分を分
離する試験信号分離部15と、分離後の試験信号の実効値
を算出する演算部16とを有する。試験信号分離部15の一
例は、ディジタル重畳信号のうち試験周波数成分を減衰
させずに通過させ且つそれ以外の成分の通過を阻止する
ディジタル帯域フィルタである。また、サンプリング信
号の周波数を試験周波数のM倍とした場合は、演算部16
において連続したM個の二乗平均から試験信号の実効値
を算出することができる。但し、演算部16における実効
値算出方法はこの例に限定されない。算出した実効値は
入力回路異常判定部18へ入力する。
【0025】更に、正弦波波形整形回路12の出力するア
ナログ試験信号をA/D変換器5へ直接入力し、直接入
力の試験信号のA/D変換器5によるディジタル試験信
号の実効値を第二実効値演算部17において算出する。サ
ンプリング信号の周波数を試験周波数のM倍とした場合
は、演算部17において連続したM個の二乗平均からディ
ジタル試験信号の実効値を算出できる。但し、演算部17
における実効値算出方法もこの方法に限定されない。第
二実効値演算部17で算出した実行値も異常判定部18に入
力する。
【0026】異常判定部18において、第一及び第二実効
値演算部14、17の演算結果を比較することにより、入力
回路2の異常を判定する。入力回路2で変換した試験信
号と単にディジタル変換した試験信号との比較による異
常判定方法によれば、入力信号が何らかの理由で不安定
となる場合でも回路異常として誤判定するおそれがな
く、回路異常判定の高精度化が図れる。異常判定部18で
異常を検出した時は、異常判定信号を例えば遠隔監視所
等へ伝送することができる。
【0027】なお図1のA/D変換器5は、例えばアナ
ログ重畳信号とアナログ試験信号とを含む2以上のアナ
ログ信号を、同一のサンプリング周波数、同一の量子化
ビット数により並列的にディジタル変換する2以上の処
理経路を有するものである。またはA/D変換器5を、
アナログ信号を入力する2以上のサンプルホールド回
路、各サンプルホールド回路の出力信号を入力して何れ
かを選択的に出力するマルチプレクサ、マルチプレクサ
の出力信号を量子化する量子化器、及び量子化器の出力
信号を符号列に変換する符号器を有するものとしてもよ
い。
【0028】本発明によれば、A/D変換器5のサンプ
リング信号の時計及びディジタル試験信号の時計を完全
に一致させることができるので、両時計の不一致に起因
する誤差の発生を避けることができる。また、サンプリ
ング信号の周波数を精確に試験周波数のM倍とすること
により、実効値演算部14、17において連続したM個の二
乗平均から常に理想的な試験信号の実効値を算出するこ
とができるため、入力回路監視の更なる高精度化を図る
ことができる。更に本発明では、CPUのクロックを生
成する回路に環境変化や部品劣化に伴う精度劣化が発生
した場合でも、影響を受けずに精確な入力回路の連続監
視を継続することができる。
【0029】こうして本発明の目的である「入力回路を
高精度で監視できる入力回路監視型トランスデューサ」
の提供を達成することができる。
【0030】
【実施例】図2は、第一実効値演算部14に、図4に示し
たディジタル重畳信号とディジタル正弦波sin(ωtt)信
号との第一乗算器191、ディジタル重畳信号とディジタ
ル余弦波cos(ωtt)信号との第二乗算器192、及び第一乗
算器191と第二乗算器192とに接続した実効値演算器23を
設けた実施例を示す。本発明では、A/D変換器5のサ
ンプリン動作のタイミングを試験信号の時計と一致さ
せ、ディジタル重畳信号V(t)中の試験信号の角周波数ω
tとディジタル正弦波及び余弦波の角周波数ωtとを常に
一致させることができるので、演算器23において上述し
た(2)〜(5)式により試験信号の精確な実効値を求めるこ
とが可能である。
【0031】図3は、複数のアナログ信号をそれぞれデ
ィジタル信号に変換する複数の入力回路21〜26を設けた
本発明の入力回路監視型トランスデューサの実施例を示
す。同実施例のトランスデューサは、複数の入力回路21
〜26に対応して試験信号重畳部31〜36と第一実効値演算
部141〜146との複数対を設けている。また同図のA/D
変換器5は、複数の重畳部31〜36の出力をサンプリング
信号発生部13のサンプリング信号に応じてサンプリング
する複数のサンプルホールド回路281〜286と、各サンプ
ルホールド回路281〜286の出力をA/D変換器5へ選択
的に入力する入力選択部(図示せず)と、入力選択部の
選択に連動してA/D変換器5による変換後のディジタ
ル重畳信号を重畳部31〜36に対応する第一実効値演算部
141〜146へ出力する出力選択部(図示せず)とを有して
いる。入力選択部の一例は、制御信号に応じて複数の入
力信号から1つを選択して出力するマルチプレクサであ
り、出力選択部の一例は制御信号に応じて複数の出力か
ら1つを選択して入力信号を出すデマルチプレクサであ
る。
【0032】従来のトランスデューサは計測項目に応じ
て1台/1計測のアナログ型が殆どであり、計測対象の
アナログ入力信号が多くなるに従ってトランスデューサ
を収納する計測架の面積が大きくなり、コスト高の一因
となっていた。図3の実施例によれば、複数のアナログ
入力信号を単独のトランスデューサで処理・伝送するこ
とができるので、収容面積の大幅な縮小が可能となる。
また、複数の入力回路21〜26の特性劣化等をそれぞれ連
続的に監視できるので、特性劣化等を早期に発見し、誤
差が生じたままでの運用を避けることができる。
【0033】また、図3のトランスデューサのアナログ
入力信号に電気系統の電圧量及び電力量、例えば3相4
線式の各相電圧V1、V2、V3及び各相電流I1、I2、I3を含
め、例えばディジタルフィルタである入力信号分離部6
(図1参照)により各ディジタル重畳信号から入力信号
成分を分離し、演算処理部7において分離後の電圧量及
び電力量のディジタル入力信号に基づき電力系統の遠隔
監視に必要な各種の計測データ、例えば有効電力、無効
電力、電圧、電流等の各種電気量を算出することができ
るので、いわば最小の入力電気量から複数の計測データ
を求めるマルチトランスデューサが実現できる。この場
合、必要に応じて計測データの種類を増加又は選択する
ことも可能であり、トランスデューサの効率的利用を図
ることができる。計測データは、出力部8から遠隔の監
視所等へディジタル伝送することが可能であり、受信側
でのA/D変換処理の省略により計測精度を維持するこ
とができる。
【0034】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明の入
力回路監視型トランスデューサは、CPUクロック信号
の分周により前記所定周波数とは異なる試験周波数を生
成し、試験周波数のアナログ試験信号をアナログ入力信
号に連続的に重畳してトランスデューサのA/D変換器
付きのアナログ入力回路へ入力し、A/D変換器用サン
プリング信号をCPUクロック信号の分周により試験周
波数の2倍以上の周波数で生成し、前記サンプリング信
号で変換後のディジタル重畳信号中の試験信号の実効値
に基づき入力回路の異常を判定するので、次の顕著な効
果を奏する。
【0035】(イ)トランスデューサの入力回路の性能
劣化等を連続的に且つ高精度で監視できるので、トラン
スデューサの信頼性向上に寄与できる。 (ロ)A/D変換器のサンプリング信号の時計及びディ
ジタル試験信号の時計を完全に一致させるので、両時計
の不一致に起因する実効値の演算誤差の発生を避け、入
力回路監視の高精度化を実現できる。 (ハ)サンプリング信号の周波数を精確に試験周波数の
M倍とすることができるので、簡単な演算処理による精
確な試験信号実効値の算出が可能である。 (ニ)CPUクロックの回路に環境変化や部品劣化に伴
う精度劣化が発生した場合でも、影響を受けずに精確な
入力回路監視を継続することができる。
【0036】(ホ)試験信号の周波数を入力信号の所定
周波数のN倍(Nは自然数)とは異なるものとすること
により、入力信号がN次高調波を含む場合でも、そのN
次高調波の影響を避けつつ入力回路の高精度な連続監視
を行なうことができる。 (ヘ)複数の入力回路を設けて各入力回路を連続的に監
視できるので、従来の1台/1計測型のトランスデュー
サに比し、収容面積の大幅な縮小が可能である。 (ト)電力系統の各相の電圧量及び電流量を入力信号に
含め、ディジタル演算処理で必要な各種計測データを算
出することにより、いわば最小の入力信号から多数の計
測データを求めるマルチトランスデューサが実現でき
る。 (チ)入力信号と試験信号との切替作業が不要となるの
で、アナログ入力回路の点検操作の手間と労力が著しく
削減できる。 (リ)入力信号と試験信号との切替装置が不要であり、
可動部のない入力回路監視装置とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】は、本発明の一実施例のブロック図である。
【図2】は、本発明の他の実施例のブロック図である。
【図3】は、本発明の更に他の実施例のブロック図であ
る。
【図4】は、従来のアナログ入力回路監視装置の一例の
ブロック図である。
【図5】は、従来の切替式のアナログ入力回路監視装置
のブロック図である。
【符号の説明】
1…入力端子 2…入力回路 3…試験信号重畳回路 4…アナログフィルタ 5…A/D変換器 6…入力信号分離部 7…入力信号演算部 8…出力部 9…試験信号分離部 10…CPUクロック 11…試験信号発生部 12…正弦波整形回路 13…サンプリング信号発生部 14…第一実効値演算部 15…試験信号分離部 16…実効値演算部 17…第二実効値演算部 18…入力回路異常判定部 19…乗算器 20…余弦波発生器 21…正弦波発生器 22…ディジタルフィルタ 23…実効値演算器 24…試験周波数記憶部 25…ディジタル矩形波信号発生部 26…正弦波波形整形回路 27…実効値演算器 28…サンプリングホールド回路 30…入力/試験信号切替装置 31…入力信号スイッチ 32…試験信号スイッチ 33…試験信号源 34…アナログフィルタ 35…A/D変換器 36…ディジタルフィルタ 37…入力信号演算部 38…出力部 39…入力回路異常判定部 40…入力回路監視型トラン
スデューサ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開2000−76579(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01R 31/28 - 31/3193 G01R 31/00 H03M 1/10

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】所定周波数のアナログ入力信号をA/D変
    換器によりディジタル信号に変換する入力回路を有する
    CPUクロック付きトランスデューサにおいて、前記C
    PUクロック信号の分周により前記所定周波数とは異な
    る試験周波数のディジタル試験信号を生成する試験信号
    発生部、前記ディジタル試験信号をアナログ試験信号に
    変換する正弦波波形整形回路、前記アナログ試験信号を
    前記アナログ入力信号に連続的に重畳する試験信号重畳
    部、前記CPUクロック信号の分周により前記試験周波
    数の2倍以上の周波数の前記A/D変換器用サンプリン
    グ信号を生成するサンプリング信号発生部、前記重畳部
    の出力の前記入力回路による変換後のディジタル重畳信
    号中の試験信号の実効値を求める第一実効値演算部、前
    記アナログ試験信号の前記A/D変換器による変換後の
    ディジタル試験信号の実効値を求める第二実効値演算
    部、及び前記第一及び第二実効値演算部の出力の比較に
    より前記入力回路の異常を判定する判定部を備えてなる
    入力回路監視型トランスデューサ。
  2. 【請求項2】請求項1のトランスデューサにおいて、前
    記サンプリング信号発生部により前記試験周波数のM倍
    周波数(Mは2以上の自然数)のサンプリング信号を生
    成し、前記第二実効値演算部により前記ディジタル試験
    信号の連続したM個の二乗平均から当該試験信号の実効
    値を算出してなる入力回路監視型トランスデューサ。
  3. 【請求項3】請求項2のトランスデューサにおいて、前
    記第一実効値演算部に、前記ディジタル重畳信号から試
    験信号成分を分離する試験信号分離部と、分離後の試験
    信号の連続したM個の二乗平均から当該分離後の試験信
    号の実効値を算出する演算部とを設けてなる入力回路監
    視型トランスデューサ。
  4. 【請求項4】請求項1又は2のトランスデューサにおい
    て、前記第一実効値演算部に、前記ディジタル重畳信号
    と前記ディジタル試験信号の正弦(sin)成分との積を
    求める第一乗算部、前記ディジタル重畳信号と前記ディ
    ジタル試験信号の余弦(cos)成分との積を求める第二
    乗算部、及び前記第一及び第二乗算器の出力から前記デ
    ィジタル重畳信号中の試験信号の実効値を求める演算部
    を設けてなる入力回路監視型トランスデューサ。
  5. 【請求項5】請求項1から4の何れかのトランスデュー
    サにおいて、前記試験信号発生部により、前記所定周波
    数のN倍(Nは自然数)とは異なる試験周波数のディジ
    タル信号を生成してなる入力回路監視型トランスデュー
    サ。
  6. 【請求項6】請求項1から5の何れかのトランスデュー
    サにおいて、複数の前記アナログ信号をそれぞれディジ
    タル信号に変換する複数の入力回路、及び前記複数の入
    力回路に対応して設けた前記試験信号重畳部と第一実効
    値演算部との複数対を設け、前記A/D変換器に、前記
    複数の重畳部の出力を前記サンプリング信号に応じてサ
    ンプリングする複数のサンプルホールド回路と、各サン
    プルホールド回路の出力を前記A/D変換器へ選択的に
    入力する入力選択部と、前記入力選択部の選択に連動し
    て前記A/D変換器による変換後のディジタル重畳信号
    を前記重畳部に対応する第一実効値演算部へ出力する出
    力選択部とを設けてなる入力回路監視型トランスデュー
    サ。
  7. 【請求項7】請求項6のトランスデューサにおいて、前
    記入力信号に電気系統の電圧量及び電力量のアナログ計
    測信号を含め、前記ディジタル重畳信号から入力信号成
    分を分離するディジタルフィルタと、分離後の電圧量及
    び電力量のディジタル入力信号に基づき電力系統の遠隔
    監視用計測データを算出する演算処理部と、算出した計
    測データを遠隔監視所へ伝送する出力部とを設けてなる
    入力回路監視型トランスデューサ。
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