JP6778515B2 - インピーダンス測定装置およびインピーダンス測定方法 - Google Patents
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Description
同期検波によるインピーダンス測定装置については、以下の先行技術文献がある。
図5は、従来の同期検波によるインピーダンス測定装置を説明する図である。
測定交流電流iは、定電流源10から、試料11(DUT:device under testの略)に供給される。なお、ここでは、試料11は、内部抵抗Rxをもつ電池である。抵抗(Rs)12は、測定交流電流iの電流値を検出するための電流検出用抵抗であり、定電流源10、試料11に直列に挿入されている。符号15は、測定交流電流iに応じて試料11に現れた検出信号(電圧信号)を増幅する増幅器である。同様に、符号16は、電流検出用抵抗(Rs)12で検出された電圧信号を増幅する増幅器である。増幅器15で増幅された電圧検出信号v1は、測定周波数を通過させるバンドパスフィルタ(BPF)17を通して同期検波器20に入力される。また、測定交流電流iに同期する基準信号v2は増幅器16で増幅され同期検波器20に入力される。同期検波器20は、電圧検出信号v1を基準信号v2で同期検波し、その検波出力は、交流成分を除去するためのローパスフィルタ(LPF)22に入力され交流成分が除去されて、アナログデジタルコンバータ(ADC)23に入力される。アナログデジタルコンバータ23は、同期検波出力をデジタル信号に変換する。変換されたデジタル信号は、図示されない演算装置に入力され、試料11の交流インピーダンス値が演算され、これらの値は、図示しない表示装置等に表示され、あるいはプリントされて出力される。
定電流源10からは、測定交流電流として、i=Isin(ω1t)の正弦波が試料11に印加される。試料11の両端には、電池の内部抵抗Rxに対応した電圧が発生し、その電圧は増幅器15で増幅されてv1=iRxとして出力される。また、増幅器16からは、電流検出抵抗Rsに対応したv2=iRsが出力され、同期検波器20で同期検波される。ここで、v1、v2は、
v1=Vsin(ω1t)=IRxsin(ω1t)
v2=iRs=IRssin(ω1t)=ksin(ω1t)
である。なお、kは定数とする(IとRsは一定であるとする)
同期検波出力は、
v1×v2=kIRxsin(ω1t)sin(ω1t)
=1/2・kIRx[cos(0)−cos(2ω1t)]
交流成分をローパスフィルタで遮断すると、アナログデジタルコンバータ23の入力は、
VAD=1/2・kIRxcos(0)=1/2・kIRx
となり、これにより、試料の抵抗値Rxは、
Rx=2/k・(VAD/I)
により求めることができる。
図6のv1、v2、v1×v2、vADの波形がそれぞれ、図5の信号v1、v2、v1×v2、vADの信号波形になる。
例えば、測定周波数が1kHzであり、ノイズの周波数が1.01kHzであった場合、直流ではない低い交流成分は、除去できても少しであって、すべてを除くことはできない。また、バンドパスフィルタも測定周波数である中心周波数の近傍の周波数のノイズを除くことはできないから、測定周波数近傍のノイズを除去することは難しい。
例えば、ローパスフィルタは、図7に示すような周波数特性を有しており、高い周波数については十分取り除くことができるが、低い周波数は除去できない部分が残る。
本発明は、このような、測定交流電流と同一あるいは近い周波数のノイズ成分から生ずる影響を小さくして、測定誤差を少なくし、安定した測定が可能なインピーダンス測定装置および測定方法を提供することを目的とする。
本実施の形態では、まず、測定周波数としてf1を選択して、試料11に生ずるノイズレベルを測定し、ノイズレベルが規定値内(許容範囲内)であるときは、f1で試料11のインピーダンスを測定し、測定周波数f1で、ノイズレベルが規定値内でない場合は、異なる測定周波数のf2、f3・・のノイズレベルを測定し、f1,f2,f3・・のうち、ノイズレベルの影響が少ない、すなわち、ノイズレベルがもっとも小さい測定周波数で試料11のインピーダンスを測定する。
スイッチSW1をオフ、スイッチSW2をオンとする。そして、定電流源10から、測定しようとする周波数f(sin(ωit))としてf1を指定して測定交流電流を電流検出用抵抗12に印加し、試料11には、測定交流電流を印加しない。電流検出用抵抗12に現れた電圧信号は、増幅器16によって増幅され、その出力信号は、分岐されて一方は、そのまま基準信号として同期検波器20に入力される。分岐された出力の他方の基準信号は、位相調整器19で、一方の基準信号に比べて位相が90°異なる基準信号とされて、もうひとつの同期検波器21に入力される。
測定交流電流が印加されていない状態の試料に現れる検出信号は、増幅器15で増幅され、通過周波数が異なる複数のバンドパスフィルタ171〜17nに入力され、スイッチSW3で定電流源10が入力している測定周波数f1を通過させるバンドパスフィルタ171の出力が選択されその出力が同期検波器20と21の双方に入力される。同期検波器20、21の出力は、スイッチSW4で順次選択されて、ローパスフィルタ22に入力される。ローパスフィルタ22は、スイッチSW4で順次選択された同期検波器20と21の出力の交流成分を除去してアナログデジタルコンバータ23に出力する。
定電流源10で測定周波数を設定して同期検波で参照する基準信号v2、v3が生成される。v3は、位相調整器19によって、v2とは位相差として90°(π/2)が与えられている。
v2=IRssin(ωNt)・・・・・(測定交流電流iと同位相 Nは1〜n)
v3=IRssin(ωNt+90°)・(測定交流電流iとの位相差90°)
試料11の両端から検出したv1をバンドパスフィルタ17のうち測定周波数sin(ωNt)を中心周波数とするバンドパスフィルタ171を通した後の信号をv1’とする。バンドパスフィルタ171〜17nでは、スイッチSW3で測定周波数に適したバンドパスフィルタを選択して、v1を通過させる。
v1’=GBPFVxcos(ωxt+θ+θBPF)
GBPFは、バンドパスフィルタのゲイン、Vxは、試料(Rx)によって生ずるノイズの電圧、θは、ノイズの位相角、θBPFは、バンドパスフィルタによって生ずる位相角とする。
同期検波器20、21で、v1’をv2、v3で同期検波することにより、
同期検波器20の検波出力v1’×v2、同期検波器21の検波出力v1’×v3は、以下のように表される。
v1’×v2=1/2・GBPFvxIRs{cos(ωxt+θ+θBPF−ωNt
)}−cos(ωxt+θ+θBPF+ωNt)
v1’×v3=1/2・GBPFvxIRs{cos(ωxt+θ+θBPF−ωNt
−90°)}−cos(ωxt+θ+θBPF+ωNt+90°)
この同期検波されたv1’×v2、v1’×v3をローパスフィルタ22に通すことにより、測定周波数成分が除去され、ノイズ成分が残る。アナログデジタル変換された結果は、すべてノイズであり、バンドパスフィルタ、ローパスフィルタで除去できない成分となる。
同期検波されたv1’×v2、v1’×v3の二乗和の平方根がノイズレベルとなる。
図2(a)は、ノイズの周波数が測定周波数f1と等しい場合であり、ローパスフィルタの出力には、直流成分のノイズが出力されている例である。図2(b)は、ノイズの周波数が測定周波数f2に近い場合で、ローパスフィルタの出力には、交流成分も現れている。図2(c)は、ノイズの周波数が測定周波数f3と相当に離れている場合であり、ローパスフィルタの出力は、ほぼゼロレベルである。
ここで、バンドパスフィルタの切替については、定電流源10の測定周波数の切替に対応するバンドパスフィルタを切り替えるときに、設定された複数の周波数に対応して順次手動で切り替えることも、順次自動で切り替えることも可能である。
また、図1では図示されていないが、インピーダンス測定装置として、アナログデジタルコンバータ23の出力が入力される演算部、記憶部、操作部、表示部を備えており、演算部は、CPUを具備して、ノイズレベルの演算、判定、インピーダンスの演算、測定、表示の制御を行っている。
ここで、最初の目標測定周波数の測定周波数f1か否かを判断し(ステップS4)、測定周波数f1の場合には、ノイズレベルが規定値以内か否かを判定する(ステップS5)。規定値以内である場合には、測定周波数f1の測定交流電流を与えてインピーダンス測定を行う動作になり、SW1をオン、SW2をオフにして、測定交流電流として測定周波数f1の測定交流電流を定電流源10から試料11に与えて、試料11のインピーダンスを測定する(ステップS6)。ノイズレベルが規定値以内でない場合には、他の測定周波数f2、f3でのノイズレベルの測定を行う(ステップS1からステップS4)。この場合には、f2、f3のすべてについて、ノイズレベルを測定する。そして、f1、f2、f3のノイズレベルを比較して、ノイズレベルの最小の測定周波数で試料11のインピーダンスを測定する。(S7)。
ノイズレベルが許容範囲である場合、複数の周波数からどれがノイズの影響を受けにくいか選択しないことで、インピーダンス測定を目標周波数で行うことができる。これにより周波数変更に伴うL成分やC成分による影響を受けることなくインピーダンス測定を行うことができる。目標周波数で許容できないノイズが存在していた場合は最も影響が小さい測定周波数を選択することで安定した測定値を得ることができる。また、測定周波数が目標周波数と異なる時のみノイズが存在することを表示するため測定環境が悪いかどうかを判断することもできる。
11 試料(DUT)
12 電流検出用抵抗(Rs)
15、16 増幅器
17、171〜17N バンドパスフィルタ(BPF)
19 位相調整器
20、21 同期検波器
22 ローパスフィルタ(LPF)
23 アナログデジタルコンバータ
SW1〜SW4 スイッチ
Claims (5)
- 測定対象の試料に所定周波数の測定交流信号を供給する交流源と、
前記測定交流信号に同期する基準信号を生成する基準信号生成部と、
前記試料に現れる検出信号を前記基準信号で同期検波する同期検波部と、
前記同期検波部で同期検波された信号の直流成分を抽出して前記試料のノイズレベルを測定するとともに前記試料のインピーダンスを測定する演算手段と
を備えたインピーダンス測定装置であって、
前記基準信号生成部は、
前記試料に測定交流信号を供給しない状態で、前記所定周波数であって、位相が異なる二つの基準信号を生成する手段を備え、
前記同期検波部は、
通過周波数が異なる複数のバンドパスフィルタと、
前記バンドパスフィルタの一つを選択する選択手段と、
測定交流信号を供給しない状態の試料に現れる検出信号を前記二つの基準信号でそれぞれ同期検波する手段と、
を備え、
前記演算手段は、
前記選択手段で、通過周波数が第一の周波数の前記バンドパスフィルタを選択し、前記交流源の測定交流信号を第一の周波数の測定交流信号に設定して、前記第一の周波数の測定交流信号を前記試料に供給しない状態の同期検波結果からノイズレベルを測定し、ノイズレベルが所定の許容範囲である場合には、当該第一の周波数の測定交流信号を前記試料に供給して前記試料のインピーダンスを測定し、
前記ノイズレベルが所定の許容範囲でない場合には、前記選択手段で、通過周波数が第二の周波数の前記バンドパスフィルタを選択し、前記交流源の前記測定交流信号の周波数を第二の周波数に設定して、前記第二の周波数の測定交流信号を前記試料に供給しない状態の同期検波結果からノイズレベルを測定する
ことを特徴とするインピーダンス測定装置。 - 請求項1記載のインピーダンス測定装置であって、
前記演算手段は、前記第一の周波数のノイズレベルが所定の許容範囲でない場合には、前記所定周波数であって、ノイズレベルが最も低い周波数の測定交流信号を前記試料に供給して、前記試料のインピーダンス測定を行う
ことを特徴とするインピーダンス測定装置。 - 請求項1または2に記載のインピーダンス測定装置であって、
前記試料は、電池であって、前記交流源は、定電流源である
ことを特徴とするインピーダンス測定装置。 - 測定対象の試料に交流源から所定周波数の測定交流信号を供給し、前記試料に現れる検出信号を前記測定交流信号と同期する位相が異なる二つの基準信号でそれぞれ同期検波し、同期検波された信号の直流成分を抽出して前記試料の交流インピーダンスを測定するインピーダンス測定方法であって、
通過周波数が異なる複数のバンドパスフィルタと前記複数のバンドパスフィルタの一つを選択する選択手段を備え、
前記選択手段で通過周波数が第一の周波数の前記バンドパスフィルタを選択し、前記交流源の測定交流信号の周波数を前記第一の周波数に設定し、前記試料に前記測定交流信号を供給しない状態で同期検波を行って、測定交流信号が給されない状態で前記試料に現れるノイズレベルを測定し、測定したノイズレベルが所定の許容範囲である場合には、当該第一の周波数の測定交流信号を前記試料に供給して前記試料のインピーダンスを測定し、
前記第一の周波数のノイズレベルが所定の許容範囲でない場合には、前記選択手段で通過周波数が第二の周波数の前記バンドパスフィルタを選択し、前記交流源の測定交流信号の周波数を第二の周波数に設定し、前記試料に測定交流信号を供給しない状態で同期検波を行って、前記試料に現れるノイズレベルを測定する
ことを特徴とするインピーダンス測定方法。 - 請求項4に記載のインピーダンス測定方法であって、
前記第一の周波数のノイズレベルが所定の許容範囲でない場合には、前記所定周波数であって、ノイズレベルが最も低い周波数の測定交流信号を前記試料に供給して、前記試料のインピーダンス測定を行う
ことを特徴とするインピーダンス測定方法。
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