JP3489844B2 - 透明導電性フィルムおよびその製造方法 - Google Patents

透明導電性フィルムおよびその製造方法

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JP3489844B2 JP34284992A JP34284992A JP3489844B2 JP 3489844 B2 JP3489844 B2 JP 3489844B2 JP 34284992 A JP34284992 A JP 34284992A JP 34284992 A JP34284992 A JP 34284992A JP 3489844 B2 JP3489844 B2 JP 3489844B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、水蒸気バリヤー性、酸
素バリヤー性などのガスバリヤー性、導電性および透明
性が良好であり、かつフィルム基板と透明バリヤー性薄
膜との付着力が十分な透明導電性フィルムおよびその製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】エレクトロニクス技術の急速な進歩にと
もない、液晶表示素子、太陽電池用光電交換素子などへ
の応用が進んでいる透明電極、さらには、該透明電極あ
るいはその他の用途に好適な導電性薄膜の特性の向上が
急務となっている。
【0003】一般に、このような透明電極は導電性薄膜
をガラス基板上に形成して得られる。ガラス基板上に導
電性薄膜を形成することにより得られる製品の例として
は、酸化スズなどにより薄膜を形成したネサガラス、酸
化インジウムと酸化スズとの混合物(ITO)により薄
膜を形成したITOガラス、金・銀などにより導電性薄
膜を形成した導電性ガラスなどが知られている。しかし
ながら、基板として用いるガラスには、衝撃に弱い、重
い、可とう性がない、大面積化がしにくいなどの欠点が
ある。
【0004】それらの欠点を補うために、例えばプラス
チックフィルムを基板とする透明導電性フィルムが製造
されている。プラスチックフィルムには、耐衝撃性、可
とう性、軽量、大面積化のしやすさ、加工性の良さなど
の利点があり、プラスチックフィルムを基板とする透明
電導性フィルムは、この利点を活用して液晶表示素子、
タッチパネル、帯電防止用フィルム、赤外線反射膜など
に用いられている。
【0005】現在、透明導電性フィルムは、エレクトロ
ニクス表示デバイス分野で広く利用されており、それに
用いられている透明導電性薄膜としては、導電性と透明
性との双方に優れ、しかもパターン加工が容易であるこ
とからITO薄膜が主流である。
【0006】前記ITO薄膜をプラスチックフィルム基
板上に形成する方法としては、真空蒸着法、スパッタリ
ング法、イオンプレーティング法などが知られている。
これらの中では、フィルムへの密着性がよい、膜の均一
性がよい、膜質のコントロールが容易である、生産性が
よいなどの理由から、マグネトロンスパッタリング法が
多く利用されている。
【0007】一般に、基板として単一のプラスチックフ
ィルム材料を用いる場合には、酸素バリヤー性、水蒸気
バリヤー性、耐溶剤性などの諸特性を満足することがで
きない。そのため、フィルム材料に対して下塗や表面処
理を施して複合化したものが用いられる。複合化には、
コーティング法、スパッタリング法などの公知の方法を
用いるが、従来はコーティング法による複合化が広く用
いられてきた。コーティング法による複合化において、
酸素バリヤー性を付与するために、通常エバール樹脂を
コーティングするが、糊が必要であるし、エバール樹脂
自身耐熱性が不足し、できた複合化材料の耐熱性が不十
分であった。スパッタリング法による複合化において
は、SiOXを蒸着するのが普通であったが、必要なバ
リヤー性を得るには60nm程度の厚みが必要であり、
この厚みになると、クラックが発生しやすい、着色しや
すいなどの問題がある。さらに、酸素バリヤー性が十分
な水蒸気バリヤー性材料はなかった。このほか、液晶表
示素子用の基板には、その製造工程上、フィルム基板と
薄膜層との十分な付着力が必要となるが、パターン加工
中に薄膜剥離などの障害が発生するなどの問題がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の欠点
を解決しようとするもので、その目的は、水蒸気バリヤ
ー性、酸素バリヤー性などのガスバリヤー性、導電性お
よび透明性が良好な透明導電性フィルムを提供すること
にある。本発明の他の目的は、透明フィルム基板上に、
バリヤー性薄膜および導電性薄膜が積層され、上記性能
を有する透明導電性フィルムであって、フィルム基板と
透明バリヤー性薄膜との接着性に優れた透明導電性フィ
ルムを提供することにある。
【0009】本発明の他の目的は、そのような透明導電
性フィルムの製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは前記問題点
を解決するために鋭意研究を行った結果、スパッタリン
グ法により透明バリヤー性薄膜および透明導電性薄膜を
フィルム基板上に形成する際に、成膜条件を制御するこ
とによって、ガスバリヤー性、導電性および透明性が良
好であり、かつフィルム基板と透明バリヤー性薄膜との
付着力が十分な透明導電性フィルムが得られることを見
いだし、本発明を完成した。
【0011】本発明の透明導電性フィルムは、透明フィ
ルム基板上に、ケイ素酸化物を主体とする金属酸化物、
またはケイ素窒化物を主体とする金属窒化物の透明バリ
ヤー性薄膜が20〜100nmの厚みで形成され、さら
にインジウム酸化物を主体とする金属酸化物の透明導電
性薄膜が20〜200nmの厚みで形成された透明導電
性フィルムであって;該フィルム基板を含む透明バリヤ
ー性薄膜の酸素透過度が1ml/m2/日以下および水
蒸気透過度が1g/m2/日以下であり、かつフィルム
基板と透明バリヤー性薄膜との付着力が100g/cm
以上であり;そのことにより上記目的が達成される。
【0012】本発明の透明導電性フィルムの製造方法
は、透明フィルム基板上に、マグネトロンスパッタリン
グ法により、ケイ素酸化物を主体とする金属酸化物、ま
たはケイ素窒化物を主体とする金属窒化物の透明バリヤ
ー性薄膜を形成する工程、および該透明バリヤー性薄膜
上に、マグネトロンスパッタリング法により、インジウ
ム酸化物を主体とする金属酸化物の透明導電性薄膜を形
成する工程を包含し、そのことにより上記目的が達成さ
れる。
【0013】本発明の透明導電性フィルムに用いられる
透明フィルム基板は、透明なプラスチックフィルムから
形成され、厚みが20〜200μm、好ましくは75〜
125μmの範囲の基板であり、光線透過率が85%以
上、好ましくは90%以上であり、表面の平滑性が良好
なフィルムである。
【0014】前記基板の厚みが20〜200μmであれ
ば、光線透過率が85%以上となり、表面の平滑性が良
好で、フィルムの厚みが均一な透明導電性フィルムが得
られやすい。前記基板の光線透過率が90%以上の場合
には、形成された透明導電性フィルムの透明度も良好で
あり、かつ透明導電性フィルムの表面の平滑性も良好と
なるため、エッチングなどの微細加工性も向上する。ま
た、前記基板の光線透過率が85%未満の場合には、作
成された透明導電性フィルムの透明度が低くなるため、
一般には好ましくない。
【0015】上記プラスチックフィルムを形成するプラ
スチック材料としては、ポリアリレート(PAR)、ポ
リエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネー
ト(PC)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリ
サルフォン、ポリアミド、セルローストリアセテート
(TAC)などが挙げられるが、これらに限定されな
い。上記プラスチック材料の中では、透明性が高く、耐
熱性に優れたポリアリレートが好ましく、特に液晶表示
素子の用途に使用するのに適している。
【0016】上記プラスチックフィルムは、単一の材料
から形成されるフィルムに限定されず、フィルム基板と
透明バリヤー性薄膜との付着強度の改善、ガスバリヤー
性の向上、耐溶剤性の改善などの目的で、各種下塗また
は表面処理が施された複合フィルムを用いてもよい。複
合化にあたっては、コーティング法またはスパッタリン
グ法などの公知の方法が用いられる。
【0017】上記透明フィルム基板上に形成される透明
バリヤー性薄膜は、ケイ素酸化物を主体とする金属酸化
物、またはケイ素窒化物を主体とする金属窒化物で形成
され、その厚みは20〜100nm、好ましくは25〜
60nmの範囲であり、酸素透過度が5ml/m2/日
以下、好ましくは1ml/m2/日以下であり、水蒸気
透過度が5g/m2/日以下、好ましくは1g/m2/日
以下である。厚みが20nm未満の場合には、ガスバリ
ヤー性が不十分で好ましくなく、100nmを越える場
合には、クラックが発生しやすくなり、好ましくない。
【0018】上記ケイ素酸化物を主体とする金属酸化物
とは、二酸化ケイ素であるか、あるいはこれを主成分と
する混合物であり、該混合物中には一酸化ケイ素、酸化
アルミニウムなどの金属酸化物の少なくとも1種が含有
され得る。上記ケイ素窒化物を主体とする金属窒化物と
は、窒化ケイ素であるか、あるいはこれを主成分とする
混合物であり、該混合物中には窒化アルミニウムなどの
金属窒化物の少なくとも1種が含有され得る。
【0019】これらの化合物としては、SiOX、Si
AlNなどが挙げられる。これらの化合物のうち、Si
X、特にxの値が1.3〜1.8、好ましくは1.5
である化合物を用いた透明バリヤー性薄膜においては、
酸素バリヤー性および水蒸気バリヤー性が十分であり、
透明バリヤー性薄膜の透明フィルム基板に対する付着力
を発現することから好ましい。
【0020】透明バリヤー性薄膜上に形成される透明導
電性薄膜は、インジウム酸化物を主体とする金属酸化物
で形成され、その厚みは20〜200nm、好ましくは
50〜150nmの範囲である。この薄膜は、好ましく
はその光線透過率が80%以上、さらに好ましくは85
%以上であり、好ましくはシート抵抗が100Ω/□以
下、さらに好ましくは50Ω/□以下である。上記透明
導電性薄膜の厚みが60〜150nmの範囲の場合に
は、光線透過率およびシート抵抗の双方を好適な範囲
(80%以上、100Ω/□以下)に調節ししやすい。
上記の厚みが20nm未満の場合には、シート抵抗が1
00Ω/□以上となり、好ましくなく、200nmを越
える場合には、光線透過率が80%以下となり、またク
ラックも発生しやすく、好ましくない。上記光線透過率
が85%程度以上の場合には、形成された透明導電性フ
ィルムの透明性が良好であるため特に好ましい。
【0021】上記インジウム酸化物を主体とする金属酸
化物とは、酸化インジウムであるか、またはこれを主成
分とする混合物であり、該混合物中には、酸化インジウ
ムが80重量%以上、好ましくは90〜95重量%の割
合で含有され、酸化スズ、酸化カドミウムなどの、1種
以上の金属酸化物が20重量%以下、好ましくは5〜1
0重量%の割合で含有され得る。
【0022】これらの化合物としては、ITO(酸化イ
ンジウムと酸化スズとの混合物)、CdIn24などが
挙げられる。これらの化合物のうち、特に金属換算でス
ズが10重量%以下、好ましくは5〜10重量%の割合
で含有される化合物を用いると、得られた透明導電性薄
膜は透明性が高く、シート抵抗が低いため好ましい。本
発明の透明導電性フィルムは、例えば、上記透明フィル
ム基板上にマグネトロンスパッタリング法により透明バ
リヤー性薄膜および透明導電性薄膜を形成することによ
って製造される。
【0023】フィルム基板上に透明バリヤー性薄膜を形
成する場合に使用されるターゲットとしては、上述のケ
イ素酸化物を主体とする金属酸化物の混合焼結体、また
はケイ素窒化物を主体とする金属窒化物の混合焼結体が
用いられる。特に、二酸化ケイ素と一酸化ケイ素との複
合酸化物焼結体を用いるのが好ましい。スパッタリング
時のガス組成としては、アルゴンなどの不活性ガスか、
またはこれを主成分として酸素、水素などを加えたもの
が用いられる。総ガス圧としては、1×10-3〜3×1
-3Torrの範囲が好ましい。1×10-3Torr未
満の場合には放電が不安定になり、好ましくなく、3×
10-3Torrを越える場合には、透明バリヤー性薄膜
が十分なガスバリヤー性を示さず、好ましくない。使用
する電源は、バリヤー材料のターゲットが絶縁材料であ
るため、高周波電源(以下、RFとする)が好ましく、
電力密度をRF1.0〜4.0W/cm2にして成膜す
ることが好ましい。RF1.0W/cm2未満の場合に
は、形成された透明バリヤー性薄膜のフィルム基板に対
する付着力が不十分となり、好ましくなく、RF4.0
W/cm2を越える場合には、ターゲットの冷却不足が
起こり、ターゲットが破損する恐れがあり好ましくな
い。このようにして形成された透明バリヤー性薄膜の厚
みは20〜100nmであり、好ましくは25〜60n
mである。
【0024】透明バリヤー性薄膜上に透明導電性薄膜を
形成する場合に使用されるターゲットとしては、酸化イ
ンジウムを主体とする金属酸化物の複合酸化物焼結体が
用いられる。特に、ITOの焼結体を用いるのが好まし
い。ITOにおける酸化インジウムと酸化スズの比率と
しては、上述のように、スズを金属換算で10重量%以
下の割合で含有することが好ましい。スパッタリング時
のガス組成は、上記透明バリヤー性薄膜の場合と同様で
ある。総ガス圧としては、3×10-3〜9×10-3To
rrの範囲が好ましい。3×10-3Torr未満の場合
には、透明導電性薄膜の内部応力が増大するために透明
導電性薄膜の反りが大きくなり、また透明導電性薄膜お
よび透明バリヤー性薄膜のフィルム基板に対する付着力
が低下するため、剥離が起こし易くなり、好ましくな
い。また、9×10-3Torrを越える場合には、シー
ト抵抗がきわめて大きくなるために実用的でなく、好ま
しくない。添加ガスとして、例えばITO薄膜の場合、
酸素分圧を総ガス圧の0〜5.0%の範囲内でコントロ
ールするのが好ましい。酸素分圧が、5.0%を越える
場合には、シート抵抗が100Ω/□以上となり、好ま
しくない。使用する電源は、生産性の観点から直流電源
(以下、DCとする)が好ましい。DC0.1〜2.0
W/cm2の電力密度で成膜することが好ましく、さら
に好ましくは、1.2W/cm2未満で成膜することが
好ましい。電力密度が0.1W/cm2未満の場合に
は、生産性が低くなる恐れがあり好ましくなく、電力密
度が2.0W/cm2 を越える場合には、ITO薄膜の
内部応力が大きくなるためにITO薄膜の反りが大きく
なり、また透明導電性薄膜および透明バリヤー性薄膜の
フィルム基板に対する付着力が低下するために、剥離な
どを起こす恐れがあり、好ましくない。透明導電性薄膜
の厚みは20〜200nm、好ましくは50〜150n
mである。厚い方が電気抵抗が低下するので好ましい
が、折り曲げ時にクラックなどを引き起こし易い。
【0025】このようにして得られた透明導電性フィル
ムは、水蒸気バリヤー性、酸素バリヤー性などのガスバ
リヤー性、導電性および透明性が良好であり、かつフィ
ルム基板と透明バリヤー性薄膜との付着力が十分である
ので、液晶セル基板、液晶表示素子などの用途に好適に
用いられる。
【0026】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて説明する
が、本発明はこれに限定されない。実施例中の評価にお
ける得られた透明導電性フィルムの評価は、下記の方法
により行った。 (1)酸素バリヤー性 フィルム基板上に形成させた透明バリヤー性薄膜の酸素
バリヤー性を、米国モダンコントロール社製OX−TR
AN100を用いて測定し、ml/m2/日の単位で表
示した。
【0027】(2)水蒸気バリヤー性 フィルム基板上に形成させた透明バリヤー性薄膜の水蒸
気バリヤー性を、防湿包装材料の透湿度試験方法(カッ
プ法)JIS−Z−0208に基づいて測定した。
【0028】(3)シート抵抗 透明導電性フィルムのシート抵抗を四探針抵抗率測定法
に準じて測定した。
【0029】(4)光線透過率 空気をリファレンスとして、波長550nmでの透明導
電性フィルムの光線透過率を百分率で表した。
【0030】(5)付着力 JIS−C−2107、Z−0237に準じて、透明導
電性フィルムの90度引き剥し付着力を測定した。
【0031】(実施例1)基板として厚みが125μm
のポリアリレート透明フィルムを使用し、直径6インチ
のターゲットを2台備えたマグネトロンスパッタ機(島
津製作所株式会社製HSM−720型)を用いて、透明
バリヤー性薄膜および透明電導性薄膜を順次フィルム基
板上に形成した。透明バリヤー性薄膜を形成する際に、
ターゲットとしてSiO1.5を用い、スパッタガスとし
てアルゴンのみを用いた。総ガス圧1.0×10-3To
rrおよびガス流量10sccm、パワー条件として、
RF400W(2.35W/cm2)、スパッタ時間
1.5分間の条件で成膜を行うと、30nmの厚みの透
明バリヤー性薄膜が得られた。このようにしてフィルム
基板上に形成された透明バリヤー性薄膜を用いて、上記
(1)および(2)項の試験を行った。
【0032】次いで、この透明バリヤー性薄膜上に透明
電導性薄膜を形成した。そのときの条件は、次の通りで
ある。ターゲットとしては酸化スズ比10重量%のIT
Oを用い、スパッタガスとしてアルゴンに酸素を1%加
えたものを用いた。総ガス圧7.0×10-3Torrお
よびガス流量20sccm、パワー条件としてDC0.
6A250V(0.88W/cm2)、スパッタ時間3
分間の条件で成膜を行い、100nmの厚みの透明電導
性薄膜が得られた。このようにして得られた透明電導性
フィルムについて、上記(3)〜(5)項の試験を行っ
た。上記のスパッタ条件および試験の結果を表1に示
す。後述の比較例1および2についても同様に試験を行
った。それらの結果も併せて表1に示す。
【0033】透明バリヤー性薄膜の成膜パワーを2.3
5W/cm2にして成膜すると、シート抵抗が74Ω/
□、光線透過率が79%、酸素バリヤー性が0.5ml
/m2/日、水蒸気バリヤー性が0.5g/m2/日、お
よび付着力が150g/cmである透明導電性フィルム
が得られた。
【0034】(比較例1)透明電導性薄膜の成膜パワー
をDC1.6A250V(2.35W/cm2)とした
こと以外は実施例1と同様にして、透明導電性フィルム
を作成した。結果を表1に示す。透明電導性薄膜の成膜
パワーを0.88W/cm2から2.35W/cm2に上
げて成膜すると、付着力が20g/cmと不十分で薄膜
層が剥離してしまった。
【0035】(比較例2)透明電導性薄膜の成膜時のプ
ロセス圧力を1.0×10-3Torrとしたこと以外は
実施例1と同様にして、透明導電性フィルムを作成し
た。結果を表1に示す。透明電導性薄膜の成膜時のプロ
セス圧力を7.0×10-3Torrから1.0×10-3
Torrに下げて成膜すると、シート抵抗が35Ω/□
となり、電気抵抗の低い透明電導性薄膜が得られるもの
の、付着力が不足するため剥離が起こった。
【0036】
【表1】
【0037】(実施例2)200×700mm2のター
ゲットを2台備えたマグネトロンスパッタリング装置
(島津製作所株式会社製SLC−15S型)を使用し
て、次のように透明電導性フィルムを作成した。基板と
して厚みが125μmのポリアリレート透明フィルムを
使用した。透明バリヤー性薄膜を形成する際に、ターゲ
ットとしてSiO1.5を用い、スパッタガスとしてアル
ゴンのみを用いた。総ガス圧1.4×10- 3Torrお
よびガス流量100sccm、パワー条件として、RF
1000W(1.11W/cm2)、スパッタ時間7.
5分間の条件で成膜を行うと、40nmの厚みの透明バ
リヤー性薄膜が得られた。このようにしてフィルム基板
上に形成された透明バリヤー性薄膜を用いて、上記
(1)および(2)項の試験を行った。 次いで、この
透明バリヤー性薄膜上に透明電導性薄膜を形成した。そ
のときの条件は、次の通りである。ターゲットとしては
酸化スズ比10重量%のITOを用い、スパッタガスと
してアルゴンに酸素を1%加えたものを用い、総ガス圧
5.0×10-3Torrおよびガス流量50sccm、
パワー条件として、DC0.5A300V(0.17W
/cm2)、スパッタ時間30分間の条件で成膜を行
い、100nmの厚みの透明電導性薄膜が得られた。得
られた透明電導性フィルムについて、上記(3)〜
(5)項の試験を行った。上記のスパッタ条件および試
験の結果を表2に示す。後述の比較例3についても同様
に試験を行った。それらの結果も併せて表2に示す。
【0038】透明バリヤー性薄膜の成膜パワーを1.1
1W/cm2にして成膜すると、シート抵抗が50Ω/
□、光線透過率が80%、酸素バリヤー性が1.0ml
/m2/日、水蒸気バリヤー性が0.5g/m2/日、お
よび付着力が150g/cmである透明導電性フィルム
が得られた。
【0039】(比較例3)透明電導性薄膜の成膜時のプ
ロセス圧力を1.0×10-3Torrとすること以外は
実施例2と同様にして、透明電導性フィルムを作成し
た。透明電導性薄膜の成膜時のプロセス圧力を5.0×
10-3Torrから1.0×10-3Torrに下げると
シート抵抗が45Ω/□、光線透過率が80%、酸素バ
リヤー性が1.0ml/m2/日、水蒸気バリヤー性が
0.5g/m2/日である透明電導性フィルムが得られ
るものの、付着力が20g/cmと低下し、付着力不足
による剥離が発生してしまった。
【0040】
【表2】
【0041】
【発明の効果】本発明によれば、酸素バリヤー性、水蒸
気バリヤー性、導電性、透明性などの諸特性を満足し、
かつ、フィルム基板と透明バリヤー性薄膜との付着力が
100g/cm以上という、これまでに得られなかった
特性を有する透明導電性フィルムを提供することができ
る。このフィルムは、透明バリヤー性薄膜および透明電
導性薄膜の成膜条件を適切にコントロールすることによ
って調製され得る。透明フィルム基板を使用しているた
めに、耐衝撃性、軽量、可とう性、大面積化のしやす
さ、加工性のよさなどの特徴も有するこの透明導電性フ
ィルムは、各種用途に利用され、特に液晶表示素子用フ
ィルムとして好適に用いられる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C23C 14/35 C23C 14/35 Z H01B 13/00 503 H01B 13/00 503B (72)発明者 斎木 幸治 大阪府豊中市北条町4−6−1 ルネ豊 中121 (56)参考文献 特開 平1−130408(JP,A) 特開 平1−130409(JP,A) 特開 昭63−108614(JP,A) 特開 平4−306513(JP,A) 実開 昭62−136562(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01B 5/14 B32B 9/04 C08J 7/06 C23C 14/06 C23C 14/08 C23C 14/35 H01B 13/00 503

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】厚みが20〜200μmで光線透過率が8
    5%以上の透明フィルム基板上に、ケイ素酸化物を主体
    とする金属酸化物、またはケイ素窒化物を主体とする金
    属窒化物の透明バリヤー性薄膜が20〜100nmの厚
    みで形成され、さらにインジウム酸化物を主体とする金
    属酸化物の透明導電性薄膜が20〜200nmの厚みで
    形成された透明導電性フィルムであって、 該フィルム基板を含む透明バリヤー性薄膜の酸素透過度
    が1ml/m2/日以下および水蒸気透過度が1g/m2
    /日以下であり、かつフィルム基板と透明バリヤー性薄
    膜との付着力が100g/cm以上である、 透明導電性フィルム。
  2. 【請求項2】透明導電性フィルムのシート抵抗が100
    Ω/□以下であり、かつ光線透過率が75%以上であ
    る、請求項1に記載の透明導電性フイルム。
  3. 【請求項3】前記透明フィルム基板がポリアリレートフ
    ィルム基板である、請求項1あるいは2に記載の透明導
    電性フィルム。
  4. 【請求項4】厚みが20〜200μmで光線透過率が8
    5%以上の透明フィルム基板上に、マグネトロンスパッ
    タリング法により、ケイ素酸化物を主体とする金属酸化
    物、またはケイ素窒化物を主体とする金属窒化物の透明
    バリヤー性薄膜を20〜100nmの厚みに形成する工
    であって、ターゲット上の成膜電力密度が1.0〜
    4.0W/cm 2 であり、かつ成膜プロセス圧力が1×
    10 -3 〜3×10 -3 Torrである工程、および該透明
    バリヤー性薄膜上に、マグネトロンスパッタリング法に
    より、インジウム酸化物を主体とする金属酸化物の透明
    導電性薄膜を20〜200nmの厚みに形成する工程で
    あって、ターゲット上の成膜電力密度が0.1〜2.0
    W/cm2であり、かつ成膜プロセス圧力が3×10-3
    〜9×10-3Torrである工程を包含する、 透明導電性フイルムの製造方法。
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