JP3334922B2 - ガスバリアー性高分子フィルムおよびその製造方法 - Google Patents
ガスバリアー性高分子フィルムおよびその製造方法Info
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Description
ム、およびエレクトロルミネッセンス素子または液晶表
示素子の透明導電フィルムの基板として好適に用いられ
るガスバリアー性高分子フィルムおよびその製造方法に
関する。詳しくは、高分子フィルム基板の上に酸化珪素
膜が形成されてなるガスバリアー性に優れたガスバリア
ー性高分子フィルムであって、高分子フィルム基板に対
する酸化珪素薄膜の付着力が強いガスバリアー性高分子
フィルムおよびその製造方法に関する。
膜が形成されたフィルムは、ガスバリアー性を有するた
め包装材料として使用され、さらにエレクトロルミネッ
センス素子、液晶表示素子等において、薄型表示素子用
の基板として使用されている。この酸化珪素薄膜を有す
る透明高分子フィルムが表示素子用の基板として用いら
れる場合には、通常、上記酸化珪素薄膜の上にさらに導
電性を有する透明薄膜を堆積し、透明電極が形成され
る。透明電極を形成する材料としては、導電率、エッチ
ングの容易さ等の点から酸化錫を10重量%含有する酸
化インジウムが最も多く使用されている。
に用いられる基板の素材としては、ポリアリレート(P
AR)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ
カーボネート(PC)、ポリエーテルスルフォン(PE
S)、ポリスルフォン、セルローストリアセテート(T
AC)などがありこの基板に、透明な酸化珪素SiOy
(1<y<2)が形成されている。
として使用する場合には蒸着法で、表示素子用基板とし
て使用する場合にはスパッタリング法で、形成されるこ
とが多い。しかしながら、ガスバリアー性が充分であ
り、かつ高分子フィルム基板に対する酸化珪素薄膜の付
着力が十分に強い、ガスバリアー性高分子フィルムは得
られていない。
フィルムにおいて、水蒸気および酸素に対するガスバリ
アー性が不十分であると、特に表示素子用基板として用
いる場合には、透過した水蒸気および酸素によって、例
えばエレクトロルミネッセンス素子の発光層を形成する
硫化亜鉛や液晶表示素子の液晶が劣化する。
足していると、例えば、ガスバリアー性高分子フィルム
を液晶表示素子の基板として用いた場合に、該素子の製
造工程中、例えば、レジストを塗布した後のパターニン
グ工程、アルカリ洗浄工程、ポリイミド配向膜焼成工程
等において、上記透明導電膜が上記酸化珪素薄膜ととも
に上記高分子フィルム基板から剥離する。
問題点を解決するものであり、その目的とするところ
は、透明高分子フィルム基板とその上に形成された酸化
珪素薄膜を有するガスバリアー性高分子フィルムであっ
て、ガスバリアー性に優れ、かつ該基板と該薄膜との付
着力が良好なガスバリアー性高分子フィルム、およびそ
の製造方法を提供することにある。
高分子フィルムは、透明高分子フィルム基板の上に、S
iOx(1.3≦x≦1.8)でなる厚さ200〜10
00オングストロームの酸化珪素薄膜が形成されたフィ
ルムであって、該ガスバリアー性高分子フィルムの水蒸
気透過率が1g/m2/日以下であり、かつ該高分子フ
ィルム基板に対する該酸化珪素薄膜の剥離強度が100
g/cm以上であり、そのことにより上記目的が達成さ
れる。
製造方法は、高分子フィルム基板上に、高周波マグネト
ロンスパッタリング法によってSiOx(1.3≦x≦
1.8)でなる酸化珪素薄膜を形成する工程を包含する
ガスバリアー性高分子フィルムの製造方法であって、該
高周波マグネトロンスパッタリング法におけるアルゴン
ガス圧が0.5〜5mTorr、カソード磁束密度が2
00〜400ガウス、投入電力密度が1〜4W/cm2
の条件で行い、そのことにより上記目的が達成される。
用いられる透明な上記高分子フィルム基板としては、ポ
リアリレート(PAR)、ポリエチレンテレフタレート
(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテル
スルフォン(PES)、ポリスルフォン、ポリアミド、
セルローストリアセテート(TAC)等からなる表面の
平滑性が良好なフィルムまたはシートが挙げられ、特に
ポリアリレートのフィルムまたはシートが耐熱性にも優
れることから好ましく用いられる。上記基板の厚みは、
20μm〜1mm程度が好ましく、さらに好ましくは7
5〜125μm程度である。また、後述の光線透過率で
示される透明度が85%以上であることが好ましく、さ
らに好ましくは90%以上であるフィルムが使用され
る。
出法、キャステング法等によってフィルム状に成形して
得られる。特に、キャステング法を用いて成形すると、
表面の平滑性が優れ、光学的な用途に好適に用いられる
基板が得られるので好ましい。
化珪素薄膜は、SiOx(1.3≦x≦1.8)からな
る薄膜である。xが1.8を越えると、得られるガスバ
リアー性高分子フィルムのガスバリアー性が劣り、1.
3未満であると透明度が劣る。この酸化珪素薄膜の厚み
は200〜1000オングストロームである。厚みが2
00オングストローム未満では、得られるガスバリアー
性高分子フィルムのガスバリアー性が劣り、1000オ
ングストロームを越えると酸化珪素薄膜にクラックが発
生しやすくなる。
板の上に、好ましくは以下に示すスパッタリング法によ
って形成される。スパッタリングを行う前に、上記基板
の表面をアルゴン放電処理等のドライプロセスによって
洗浄すると、酸化珪素薄膜と基板との付着力をさらに良
好にすることができる。
パッタリング法が用いられる。特に高周波マグネトロン
スパッタリング法が好ましく用いられる。
上に形成する所望の酸化珪素薄膜と同じ組成比xを有す
るSiOx(1.3≦x≦1.8)の焼結ターゲットを
使用し、所望の組成比xの酸化珪素薄膜を得ることがで
きる。
Sm−Co合金磁石、Nd−Fe合金磁石等の希土類磁
石が使用されるが、フェライト磁石を用いた場合には特
に酸化珪素の付着力に優れたフィルムが得られ、好適で
ある。
面における磁束密度は200〜400ガウスとする。上
記磁束密度が200ガウス未満であると安定したマグネ
トロン放電を行うことができず、そのため酸化珪素が高
分子フィルム基板上に堆積する速度が遅くなる。上記磁
束密度が400ガウスを越えると得られる酸化珪素薄膜
の高分子フィルム基板に対する十分な付着力が得られな
い。
れ、アルゴンガス圧は0.5〜5mTorrとする。ア
ルゴンガス圧が0.5mTorr未満であると放電が安
定せず、5mTorrを越えると得られるガスバリアー
性高分子フィルムのガスバリアー性が劣る。
ここで投入電力密度とは、ターゲットの単位面積当りの
投入電力をいう。上記投入電力密度が大きいほど、得ら
れる酸化珪素薄膜の成膜速度が速くなり、かつ高分子フ
ィルム基板に対する付着力が強くなるが、投入電力密度
が4W/cm2を越えるとターゲットの冷却が追いつか
ず、ターゲット割れが生じるので、好ましくない。
ルムの耐熱温度の間で適宜選択され、一般的には約15
0℃程度以下である。作製されるガスバリアー性高分子
フィルムのガスバリアー性および高分子フィルム基板と
酸化珪素薄膜との付着力へ及ぼす上記基板温度の差の影
響は比較的小さい。
上にSiOx(1.3≦x≦1.8)でなる酸化珪素薄
膜が形成される。上記薄膜の形成条件を適宜制御するこ
とにより、厚みが200〜1000オングストローム
で、所定の水蒸気透過率を有し、基板に密着性の高い薄
膜が形成される。このようにして得られた本発明のガス
バリアー性高分子フィルムは、優れたガスバリアー性を
有する。ガスバリアー性は後述の水蒸気透過率で評価さ
れ、水蒸気透過率は40℃において1g/m2/日以下
である。このフィルムは、酸素に対しても優れたガスバ
リアー性を示し、酸素ガス透過率が5ml/m2/日以
下であり、1ml/m2/日程度のガスバリアー性高分
子フィルムも容易に得ることができる。本発明のガスバ
リアー性高分子フィルムは、上記酸化珪素薄膜を有する
ため、上記高分子フィルム基板を溶解するような有機薬
品に対して優れた耐性を有する。
ィルムは、高分子フィルム基板に対する酸化珪素薄膜の
付着力が強い。高分子フィルム基板に対する酸化珪素薄
膜の付着力は、後述の90度引き剥し法JIS−C−2
107による剥離強度で評価すると100g/cm以上
であり、300g/cm程度の剥離強度を有するガスバ
リアー性高分子フィルムを得ることも容易である。本発
明によれば、このように、高分子フィルム基板に対する
上記酸化珪素薄膜の付着力が良好なガスバリアー性高分
子フィルムが得られる。
化珪素薄膜上の少なくとも一部に、透明導電膜を形成す
れば、ガスバリアー性に優れた透明導電性フィルムが得
られる。この透明導電膜としては、例えば、10%以下
の酸化錫を含む酸化インジウムが挙げられる。透明導電
膜の形成方法としては、直流スパッタリング法が挙げら
れ、上記酸化珪素薄膜の形成に引き続いて形成すること
ができる。このスパッタリングは、上記酸化珪素薄膜に
応力ひずみを生じさせず、該酸化珪素薄膜の上記基板に
対する付着力に影響を及ぼさない条件で行われ、アルゴ
ンガス圧3〜7mTorr、ターゲット投入電力密度1
W/cm2の条件で行われ得る。
性高分子フィルムは、酸化珪素薄膜と高分子フィルム基
板との付着力が大きいので、例えば液晶セルの基板とし
て用いても、酸化珪素薄膜にクラックが生じたり、高分
子フィルム基板から剥離することがない。
れ、かつ酸化珪素薄膜が基板から剥離しにくいので、ガ
スバリアー性を必要とする各種の包装用に、さらに導電
性薄膜を有するフィルムは、エレクトロルミネッセンス
素子、液晶表示素子等における透明電極やその他の用途
に好適に用いられ得る。
らは単なる例示であり、本発明はこれらに限定されな
い。
リング法を用い、以下のようにして高分子フィルムを作
製した。使用された高周波マグネトロンスパッタリング
機においては、ターゲットに対向する基板ホルダーはそ
の裏面より水冷される構造を有し、基板ホルダーとター
ゲットとの距離は7cmとした。高分子フィルム基板と
して厚さ75μmのポリアリレート透明フィルム(以
下、ポリアリレート基板という)を用い、ターゲットと
してSiO1.5からなる直径6インチの焼結ターゲット
を用いた。カソード磁石としてフェライト磁石を用い、
ターゲット表面におけるカソード磁束密度を250ガウ
スとした。
レート基板を固定し、スパッタリング室の圧力が2×1
0-6Torrとなるまで排気し、その後放電ガスとして
アルゴンを導入して1mTorrとした。投入電力密度
が2.7W/cm2となるように、500Wの高周波電
力を投入し、1分間スパッタリングを行って、ポリアリ
レート基板上に厚さ300オングストロームの酸化珪素
薄膜を形成し、ガスバリアー性高分子フィルムを得た。
得られたガスバリアー性高分子フィルムについて、以下
に示す試験を行い評価した。その結果を表1に示す。
90度引き剥し法により評価した。図1に示すように、
酸化珪素薄膜1が形成された高分子フィルム基板2を幅
wが1cmの短冊に切断し、同型の短冊2枚を酸化珪素
薄膜1、1が互いに内側になるようにしてエポキシ樹脂
3を用いて接着した。接着完了後、短冊の一方の高分子
フィルム基板2を、図中矢印で示すように接着面に対し
て90度の方向に引き剥し、そのときの引っ張り力をも
って剥離強度とした。単位はg/cmである。水蒸気透
過率:JIS−Z−0208の防湿包装材料の透湿度試
験方法(カップ法)によって、40℃における水蒸気透
過率を測定した。光線透過率:吸光光度法により、波長
550nmにおける光線透過率を測定した。
した値としたこと以外は、実施例1と同様にしてガスバ
リアー性高分子フィルムを作製し、実施例1と同様にし
て評価した。その結果を表1に示す。
した値としたこと以外は、実施例1と同様に行った。し
かし、比較例1においては、ターゲット割れが生じ、酸
化珪素薄膜が形成できなかった。比較例2のガスバリア
ー性高分子フィルムを実施例1と同様にして評価した。
その結果を表1に示す。
−Co合金磁石を用い、ターゲット上の磁束密度を50
0ガウスとしたこと以外は、実施例1と同様にしてガス
バリアー性高分子フィルムを作製し、実施例1と同様に
して評価した。その結果を表2に示す。
10%含む酸化インジウムを使用し、アルゴンガス圧5
mTorr、直流投入電力密度1W/cm2の条件にて
直流スパッタリングを行い、実施例1で得られたガスバ
リアー性高分子フィルムの酸化珪素薄膜上に、厚さ10
00オングストロームの酸化インジウム透明導電膜を形
成し、ガスバリアー膜下地付透明導電フィルムを得た。
得られた透明導電フィルムのシート抵抗は35Ω/□で
あった。このガスバリアー膜下地付透明導電フィルムに
ついて、実施例1と同様にして高分子フィルム基板に対
する酸化珪素薄膜の剥離強度を測定した結果、150g
/cmであり、強い付着力を示した。
に酸化珪素膜が形成され、優れたガスバリアー性を有
し、良好な透明度を有するガスバリアー性高分子フィル
ムを提供することができる。このガスバリアー性高分子
フィルムにおいては、酸化珪素薄膜と高分子フィルム基
板との付着力が強く、製造工程および加工工程におい
て、クラックを生じることがない。
は、包装材料などに、さらに酸化珪素薄膜上に導電性薄
膜が形成された導電性フィルムは、エレクトロルミネッ
センス素子または液晶表示素子用基板として好適に用い
ることができる。
を評価する剥離強度試験における該基板の引き剥し状態
を示す斜視図である。
Claims (4)
- 【請求項1】透明高分子フィルム基板の上に、SiOx
(1.3≦x≦1.8)でなる厚さ200〜1000オ
ングストロームの酸化珪素薄膜が形成されたガスバリア
ー性高分子フィルムであって、該ガスバリアー性高分子
フィルムの水蒸気透過率が1g/m2/日以下であり、
かつ該高分子フィルム基板に対する該酸化珪素薄膜の剥
離強度が100g/cm以上であるガスバリアー性高分
子フィルム。 - 【請求項2】前記酸化珪素薄膜上の少なくとも一部に、
透明導電膜が形成された請求項1に記載のガスバリアー
性高分子フィルム。 - 【請求項3】前記高分子フィルム基板が、ポリアリレー
トでなる請求項1または2に記載のガスバリアー性高分
子フィルム。 - 【請求項4】高分子フィルム基板上に、高周波マグネト
ロンスパッタリング法によってSiOx(1.3≦x≦
1.8)でなる酸化珪素薄膜を形成する工程を包含する
ガスバリアー性高分子フィルムの製造方法であって、 該高周波マグネトロンスパッタリング法におけるアルゴ
ンガス圧が0.5〜5mTorr、カソード磁束密度が
200〜400ガウス、投入電力密度1〜4W/cm2
の条件で行なわれる、 ガスバリアー性高分子フィルムの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP34889592A JP3334922B2 (ja) | 1992-12-28 | 1992-12-28 | ガスバリアー性高分子フィルムおよびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP34889592A JP3334922B2 (ja) | 1992-12-28 | 1992-12-28 | ガスバリアー性高分子フィルムおよびその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH06192819A JPH06192819A (ja) | 1994-07-12 |
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ID=18400115
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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Country | Link |
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JP (1) | JP3334922B2 (ja) |
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---|---|---|---|---|
JP5741220B2 (ja) * | 2011-05-30 | 2015-07-01 | 大日本印刷株式会社 | ガスバリアフィルムの製造方法及び製造装置 |
-
1992
- 1992-12-28 JP JP34889592A patent/JP3334922B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH06192819A (ja) | 1994-07-12 |
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