JP3489198B2 - 感光性絶縁ガラスペースト - Google Patents

感光性絶縁ガラスペースト

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JP3489198B2
JP3489198B2 JP18720894A JP18720894A JP3489198B2 JP 3489198 B2 JP3489198 B2 JP 3489198B2 JP 18720894 A JP18720894 A JP 18720894A JP 18720894 A JP18720894 A JP 18720894A JP 3489198 B2 JP3489198 B2 JP 3489198B2
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powder
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孝樹 正木
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、プラズマ・ディスプレ
イ・パネル(PDP)の隔壁(障壁、リブ、バリアリブ
ともいう)あるいはヴィアホール形成に用いられる感光
性絶縁ガラスペーストに関するものである。
【0002】
【従来の技術】プラズマ・ディスプレイ・パネル(PD
P)は、液晶パネルに比べて高速の表示が可能であり且
つ大型化が容易であることから、OA機器および広報表
示装置などの分野に浸透している。また、高品位テレビ
ジョンの分野などでの進展が非常に期待されている。
【0003】このような用途の拡大にともなって、微細
で多数の表示セルを有するカラーPDPが注目されてい
る。PDPは、前面ガラス基板と背面ガラス基板との間
に備えられた放電空間内で対向するアノードおよびカソ
ード電極間にプラズマ放電を生じさせ、上記放電空間内
に封入されているガスから発光させることにより表示を
行うものである。この場合、放電の広がりを一定領域に
押さえ、表示を規定のセル内で行わせると同時に、且つ
均一な放電空間を確保するために隔壁が設けられてい
る。特に、カラーPDPでは、隣接するセル間の誤放電
や色滲みを防ぐため、あるいはPDP内外の圧力差を支
えたり、放電の拡がりを単位発光領域内に制限するた
め、また放電用電極間距離を規定するためのスペーサと
して、前面と背面基板間には隔壁が形成されている。さ
らに、直流型(DC型)PDPでは、放電電流の集中を
防止するための電極保護に誘電体(絶縁体ともいう)層
が設けられている。この誘電体層は50〜200μmφ
のヴィアホールに導体を埋め込んで形成されている。
【0004】上記の隔壁の形状は、およそ幅30〜80
μm、高さ100〜200μmであるが、通常は前面ガ
ラス基板や背面ガラス基板にガラスからなる絶縁ペース
トをスクリーン印刷法で印刷・乾燥し、この印刷・乾燥
工程を10〜20回繰り返して所定の高さにした後、焼
成して形成している。しかしながら、通常のスクリーン
印刷法では、あらかじめ前面透明平面板上に形成された
放電電極と絶縁ガラスペーストの印刷場所との位置合わ
せが難しいといった問題がある。しかも10〜20回の
ガラスペーストの重ね合わせ印刷を行うことによって隔
壁および壁体の側面エッジ部の波打ちや裾の乱れが生
じ、高さの精度が得られないこと、また、絶縁層のヴィ
アホールが欠点を有すること等のために、表示品質が悪
くなり、また作業性が悪い、歩留まりが低いという問題
がある。
【0005】PDPの大面積化、高解像度化にともな
い、このようなスクリーン印刷による方法では、高アス
ペクト比、高精細の隔壁や微細で均一なヴィアホールの
製造がますます技術的に困難となり、且つコスト的に不
利になってきている。
【0006】これらの問題を改良する方法として、特開
平1−296534号公報、特開平2−165538号
公報、特開平5−342992号公報では、隔壁を感光
性ペーストを用いてフォトリソグラフィ技術に形成する
方法が提案されている。しかしながら、これらの方法で
は感光性絶縁ペーストのガラス含有量が低いために焼成
後に緻密な膜が得られなかったり、また感光性絶縁ペー
ストの感度や解像度が低いために高アスペクト比、高精
細の隔壁が得られないためにスクリーン印刷・露光・現
像の工程を繰り返し行う必要があった。このためコスト
を下げるには限界があった。
【0007】また、特開平2−165538号公報で
は、感光性ペーストを転写紙上にコーティングした後、
転写フィルムをガラス基板上に転写して隔壁を形成する
方法が、特開平3−57138号公報では、ホトレジス
ト層の溝に誘電体ペーストを充填して隔壁を形成する方
法がそれぞれ提案されている。また特開平4−1095
36号公報では、感光性有機フィルムを用いて隔壁を形
成する方法が提案されている。しかしながら、これらの
方法では、転写フィルムやホトレジストあるいは有機フ
ィルムを必要とするために工程が増えるのでコストを下
げるには限界があった。また、高精細度、高アスペクト
比の壁を得るには問題があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、従来
の厚膜印刷用絶縁ペーストや感光性絶縁ペーストが有す
る隔壁および壁体の側面エッジ部の波打ちや裾の乱れな
どの欠点、あるいは微細で均一なヴィアホールの製造が
できないという欠点を大幅に解消し、高精細で且つ高ア
スペクト比の隔壁、壁体および微細で均一な絶縁層のヴ
ィアホールを形成することのできる感光性絶縁ガラスペ
ーストを提供することにある。また、今後の大画面化に
も対応できるPDP用隔壁、壁体および絶縁層を形成す
ることのできる感光性絶縁ガラスペーストを提供するこ
とにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】かかる本発明の目的は、
ガラス粉末、側鎖または分子末端にカルボキシル基とエ
チレン性不飽和基を有するアクリル系共重合体、光反応
性化合物、光重合開始剤、および紫外線吸光剤を含有す
るプラズマ・ディスプレイ・パネル用感光性絶縁ガラス
ペーストであって、紫外線吸光剤が有機系染料である
とを特徴とするプラズマ・ディスプレイ・パネル用感光
性絶縁ガラスペーストにより達成される。
【0010】すなわち、本発明は、特定の感光性ポリマ
を用いることによって、絶縁ガラスペーストに感光性を
付与せしめることが重要であり、これによりホトリソグ
ラフィ技術を用いて隔壁やヴィアホールの形成が容易に
精度よく、高アスペクト比で且つ作業性が良く形成でき
るものである。
【0011】本発明のプラズマ・ディスプレイ・パネル
用感光性絶縁ガラスペーストは、ガラス粉末、側鎖また
は分子末端にカルボキシル基とエチレン性不飽和基を有
するアクリル系共重合体、光反応性化合物、光重合開始
、および紫外線吸光剤を含有するものである。
【0012】本発明において使用されるガラス粉末とし
ては、特に限定されず、公知のガラス絶縁材料が適用で
きるが、500〜610℃で焼き付けできるガラス粉末
が好ましい。
【0013】したがって、ガラス粉末が、酸化物換算表
記で、 SiO2 3.0〜60重量% Al2 3 0.5〜5重量% B2 3 5〜40重量% Bi2 3 20〜60重量% ZnO 2.0〜40重量% の組成範囲からなるものを90重量%以上含有すること
が好ましい。この範囲であると500〜610℃でガラ
ス基板上に焼き付けできるガラス粉末が得られる。
【0014】ガラス粉末中の組成としては、SiO2
3.0〜60重量%の範囲で配合することが好ましく、
3.0重量%未満の場合はガラス層の緻密性、強度や安
定性が低下し、またガラス基板と熱膨張係数のミスマッ
チが起こり、所望の値から外れる。また60重量%より
多くなると耐熱温度が増加し、600℃以下でガラス基
板上への焼き付けが難しくなり、電気絶縁性が低下す
る。
【0015】Al2 3 は0.5〜5重量%の範囲で配
合することが好ましい。0.5重量%未満ではガラス相
中の強度が低下する。5重量%を越えるとガラスの耐熱
温度が高くなり過ぎてガラス基板上への焼き付けが難し
くなる。また、緻密な絶縁層が600℃以下の温度で得
られにくくなる。
【0016】B2 3 は5〜40重量%の範囲で配合す
ることが好ましい。B2 3 はガラス粉末を800〜1
200℃付近の温度で溶解するため、およびAl2 3
が多い場合でも電気絶縁性、強度、熱膨張係数、絶縁層
の緻密性などの電気、機械および熱的特性を損なうこと
のないようにガラス粉末の焼付け温度を500〜610
℃の範囲に制御するために配合される。5重量%未満で
は絶縁層の強度が低下し、また40重量%を越えるとガ
ラスの安定性が低下する。
【0017】Bi2 3 は20〜60重量%の範囲で配
合することが好ましい。20重量%未満ではペーストを
ガラス基板上に焼付けする時に、焼付け温度を制御する
のに効果が少ない。60重量%を越えるとガラスの耐熱
温度が低くなり過ぎてガラス基板上への焼き付けが難し
くなる。
【0018】ZnOは2.0〜40重量%の範囲で配合
することが好ましい。2.0重量%未満では、絶縁層の
緻密性向上に効果が少ない。40重量%を越えると、ガ
ラス基板上に焼付けする温度が低くなり過ぎて制御でき
なくなり、また絶縁抵抗が低くなるので好ましくない。
【0019】ガラス粉末には、プラズマの放電特性を劣
化させるNa2 O,K2 O,BaO,Y2 3 などの金
属酸化物を含まないことが好ましい。微量含有した場合
にも0.1重量%以下であることが望ましい。
【0020】また、ガラス粉末中に、Li2 O,Ca
O,TiO2 ,ZrO2 ,BaOなどを含有することが
できるが、その量は10重量%未満であることが好まし
い。
【0021】ガラス粉末の作製法としては、例えば原料
であるSiO2 ,Al2 3 ,B23 ,Bi2 3
よびZnOを所定の配合組成となるように混合し、90
0〜1200℃で溶融後、急冷し、ガラスフリットにし
てから粉砕して1.0〜7μm程度の微細な粉末にす
る。原料としては高純度の炭酸塩、酸化物、水酸化物な
どを使用できる。またガラス粉末の種類や組成によって
は99.99%以上の超高純度なアルコキシドや有機金
属の原料を使用し、ゾル・ゲル法で均質に作製した粉末
を使用すると高電気抵抗で緻密な気孔の少ない、高強度
な絶縁層が得られるので好ましい。
【0022】上記において使用されるガラス粉末粒子径
は、作製しようとする隔壁の幅や高さおよび絶縁層のヴ
ィアホール径や厚みを考慮して選ばれるが、50重量%
が粒子径1.0〜7μm、比表面積0.2〜3.0m2
/g、球形率80個数%以上のサイズを有していること
が好ましい。より好ましくは粒子径1.5〜5μm、比
表面積0.25〜2.0m2 /g、球形率90個数%以
上である。この範囲にあると紫外線露光時に光が十分透
過し、上下の孔径差のない均一なヴィアホールが得られ
る。粒子径が1.0μm未満、比表面積が3.0m2
gを越えると粉末が細かくなりすぎて露光時において光
が散乱されて未露光部分を硬化するようになる。このた
め現像時に隔壁の裾の乱れが発生したり高さの精度が得
られなくなる。また、均一で真円度のあるヴィアホール
を有する絶縁膜が得られなくなる。また、球形率80個
数%未満である場合には、紫外線露光時に、ガラス粉末
による散乱の影響を受けて高精細で、且つ高アスペクト
比の隔壁が得られなくなる。
【0023】ガラス粉末のガラス転移温度(Tg)は、
350〜470℃であるのが好ましい。この範囲にある
とガラス基板上に、500〜610℃の範囲に焼き付け
する場合に、ポリマーやモノマーなどの有機物の分解が
完全に起こり、隔壁の膨れなどの発生がしないので好ま
しい。
【0024】本発明において使用される側鎖または分子
末端にカルボキシル基とエチレン性不飽和基を有するア
クリル系共重合体は、ポリマーバインダー成分(感光性
ポリマー)であり、不飽和カルボン酸とエチレン性不飽
和化合物とを共重合させて形成したアクリル系共重合体
にエチレン性不飽和基を側鎖または分子末端に付加させ
ることによって製造することができる。好ましいのは、
側鎖にカルボキシル基とエチレン性不飽和基を有するも
のである。
【0025】不飽和カルボン酸の具体的な例としては、
アクリル酸、メタアクリル酸、イタコン酸、クロトン
酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル酢酸、これらの酸無
水物などがあげられる。一方、エチレン性不飽和化合物
の具体的な例としては、メチルアクリラート、メチルメ
タアクリラート、エチルアクリラート、エチルメタクリ
ラート、n−プロピルアクリラート、イソプロピルアク
リラート、n−ブチルアクリラート、n−ブチルメタク
リラート、sec−ブチルアクリラート、sec−ブチ
ルメタクリラート、イソブチルアクリラート、イソブチ
ルメタクリラート、tert−ブチルアクリラート、t
ert−ブチルメタクリラート、n−ペンチルアクリラ
ート、n−ペンチルメタクリラート、スチレン、p−メ
チルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレ
ンなどがあげられるが、これらに限られない。これらの
アクリル系主鎖ポリマの主重合成分として前記のエチレ
ン性不飽和化合物の中から少なくともメタクリル酸メチ
ルを含むことによって熱分解性の良好な共重合体を得る
ことができる。
【0026】側鎖または分子末端のエチレン不飽和基と
してはビニル基、アリル基、アクリル基、メタクリル基
などがあげられる。このような側鎖をアクリル系ポリマ
に付加させる方法は、アクリル系ポリマ中のカルボキシ
ル基にグリシジル基を有するエチレン性不飽和化合物や
アクリル酸クロライド化合物を付加反応させて作る方法
がある。
【0027】グリシジル基を有するエチレン性不飽和化
合物としては、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グ
リシジル、アリルグリシジルエーテル、エチルアクリル
酸グリシジル、クロトニルグリシジルエーテル、クロト
ン酸グリシジルエーテル、イソクロトン酸グリシジルエ
ーテルなどがあげられる。また、アクリル酸クロライド
化合物としては、アクリル酸クロライド、メタアクリル
酸クロライド、アリルクロライドなどがあげられる。こ
れらのエチレン性不飽和化合物あるいはアクリル酸クロ
ライド化合物の付加量はアクリル系ポリマ中のカルボキ
シル基に対して0.05〜1モル当量が好ましく、さら
に好ましくは0.1〜0.8モル当量である。付加量が
0.05当量未満では感光特性が不良となりパターンの
形成が困難となる。付加量が1モル当量より大きい場合
は、未露光部の現像液溶解性が低下したり、塗布膜の硬
度が低くなり好ましくない。
【0028】こうして得られた側鎖または分子末端にカ
ルボキシル基とエチレン性不飽和基を有するアクリル重
合体の酸価(AV)は50〜180であることが好まし
く、より好ましくは70〜140である。さらに好まし
くは80〜120である。酸価が50未満であるとエチ
レン性不飽和基の量が増加し、感光性を有するカルボキ
シル基の割合が低下するので現像許容幅が狭いうえ、隔
壁パターンの裾の切れや絶縁層のヴィアホール形成にお
いてL(厚み)/D(ヴィアホール径)が1以上のヴィ
アホール形成ができなくなる。また酸価が180を越え
ると未露光部の現像液に対する溶解性が低下するように
なるため、現像液濃度を濃くすると露光部まで剥がれが
発生し、高精細度、高アスペクト比を有する隔壁が得ら
れにくくなる。また塗布膜の硬度が低下する。また上記
の好ましい酸価を有するポリマにおいてポリマの分子量
分布が鋭いほど、現像特性が向上し、高精細な隔壁が得
られるので好ましい。
【0029】本発明における感光性絶縁ペースト中に
は、ポリマーバインダー成分として上記のアクリル系共
重合体以外の感光性ポリマーや非感光性ポリマーを含有
することもできる。
【0030】感光性ポリマーとしては、光不溶化型のも
のと光可溶化型のものがあり、光不溶化型のものとし
て、1分子に不飽和基などを1つ以上有する官能性のモ
ノマーやオリゴマーを適当なポリマーバインダーと混合
したもの、芳香族ジアゾ化合物、芳香族アジド化合物、
有機ハロゲン化合物などの感光性化合物を適当なポリマ
ーバインダーと混合したもの、既存の高分子に感光性の
基をペンダントさせることにより得られる感光性高分子
あるいはそれを改質したもの、ジアゾ系アミンとホルム
アルデヒドとの縮合物などいわゆるジアゾ樹脂といわれ
るものなど、光可溶型のものとしては、ジアゾ化合物の
無機塩や有機酸とのコンプレックス、キノンジアゾ類な
どを適当なポリマーバインダーと混合したもの、キノン
ジアゾ類を適当なポリマーバインダーと結合させた、例
えばフェノール、ノボラック樹脂のナフトキノン1,2
−ジアジド−5−スルフォン酸エステルなどがあげられ
る。感光性ポリマーバインダー成分中に含まれる上記の
側鎖または分子末端にカルボキシル基とエチレン不飽和
基を有するアクリル系共重合体の割合は少なくとも5重
量%以上が好ましく、さらに好ましくは20重量%以上
である。該アクリル系共重合体の含有量が5重量%未満
では現像許容幅の拡大効果が小さい上、現像性が低下し
やすく隔壁の裾野において尖鋭なパターンを作り難いた
め好ましくない。
【0031】非感光性ポリマーとしては、ポリビニルア
ルコール、ポリビニルブチラール、メタクリル酸エステ
ル重合体、アクリル酸エステル重合体、アクリル酸エス
テル−メタクリル酸エステル共重合体、α−メチルスチ
レン重合体、ブチルメタクリレート樹脂などがあげられ
る。
【0032】本発明で使用される光反応性化合物として
は、光反応性を有する炭素−炭素不飽和結合を含有する
化合物を用いることができ、その具体的な例としてアリ
ルアクリラート、ベンジルアクリラート、ブトキシエチ
ルアクリラート、ブトキシトリエチレングリコールアク
リラート、シクロヘキシルアクリラート、ジシクロペン
タニルアクリラート、ジシクロペンテニルアクリラー
ト、2−エチルヘキシルアクリラート、グリセロールア
クリラート、グリシジルアクリラート、ヘプタデカフロ
ロデシルアクリラート、2−ヒドロキシエチルアクリラ
ート、イソボニルアクリラート、2−ヒドロキシプロピ
ルアクリラート、イソデキシルアクリラート、イソオク
チルアクリラート、ラウリルアクリラート、2−メトキ
シエチルアクリラート、メトキシエチレングリコールア
クリラート、メトキシジエチレングリコールアクリラー
ト、オクタフロロペンチルアクリラート、フェノキシエ
チルアクリラート、ステアリルアクリラート、トリフロ
ロエチルアクリラート、アリルかシクロヘキシルジアク
リラート、ビスフェノールAジアクリラート、1,4−
ブタンジオールジアクリラート、1,3−ブチレングリ
コールジアクリラート、エチレングリコールジアクリラ
ート、ジエチレングリコールジアクリラート、トリエチ
レングリコールジアクリラート、ポリエチレングリコー
ルジアクリラート、ジペンタエリスリトールヘキサアク
リラート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペン
タアクリラート、ジトリメチロールプロパンテトラアク
リラート、グリセロールジアクリラート、メトキシかシ
クロヘキシルジアクリラート、ネオペンチルグリコール
ジアクリラート、プロピレングリコールジアクリラー
ト、ポリプロピレングリコールジアクリラート、トリグ
リセロールジアクリラート、トリメチロールプロパント
リアクリラートおよび上記のアクリラートをメタクリラ
ートに変えたもの、γ−メタクリロキシプロピルトリメ
トキシシラン、1−ビニル−2−ピロリドンなどが挙げ
られる。本発明ではこれらを1種または2種以上使用す
ることができる。
【0033】側鎖または分子末端にカルボキシル基とエ
チレン性不飽和基を有するアクリル系共重合体は、光反
応性化合物に対して、通常、重量比で0.1〜10倍量
用いる。該アクリル系共重合体の量が少なすぎると、ス
ラリーの粘度が小さくなり、スラリー中での分散の均一
性が低下するおそれがある。一方、アクリル系共重合体
の量が多すぎれば、未露光部の現像液への溶解性が不良
となる。
【0034】本発明で用いられる光重合開始剤の具体的
な例として、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸
メチル、4,4−ビス(ジメチルアミン)ベンゾフェノ
ン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、
4,4−ジクロロベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4
−メチルジフェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオ
レノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−
ジメトキシ−2−フェニル−2−フェニルアセトフェノ
ン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、p
−t−ブチルジクロロアセトフェノン、チオキサント
ン、2−メチルチオキサントン、2−クロロチオキサン
トン、2−イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオ
キサントン、ベンジル、ベンジルジメチルケタノール、
ベンジル−−メトキシエチルアセタール、ベンゾイン、
ベンゾインメチルエ−テル、ベンゾインブチルエ−テ
ル、アントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、
2−アミルアントラキノン、β−クロルアントラキノ
ン、アントロン、ベンズアントロン、ジベンゾスベロ
ン、メチレンアントロン、4−アジドベンザルアセトフ
ェノン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)シク
ロヘキサノン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデ
ン)−4−メチルシクロヘキサノン、2−フェニル−
1,2−ブタジオン−2−(o−メトキシカルボニル)
オキシム、1−フェニル−プロパンジオン−2−(o−
エトキシカルボニル)オキシム、1,3−ジフェニル−
プロパントリオン−2−(o−エトキシカルボニル)オ
キシム、1−フェニル−3−エトキシ−プロパントリオ
ン−2−(o−ベンゾイル)オキシム、ミヒラ−ケト
ン、2−メチル−[4−(メチルチオ)フェニル]−2
−モルフォリノ−1−プロパノン、ナフタレンスルホニ
ルクロライド、キノリンスルホニルクロライド、N−フ
ェニルチオアクリドン、4、4−アゾビスイソブチロニ
トリル、ジフェニルジスルフィド、ベンズチアゾールジ
スルフィド、トリフェニルホルフィン、カンファーキノ
ン、四臭素化炭素、トリブロモフェニルスルホン、過酸
化ベンゾイン及びエオシン、メチレンブルーなどの光還
元性の色素とアスコルビン酸、トリエタノールアミンな
どの還元剤の組合せなどがあげられる。本発明ではこれ
らを1種または2種以上使用することができる。
【0035】光重合開始剤は、側鎖または分子末端にカ
ルボキシル基とエチレン性不飽和基を有するアクリル系
共重合体と光反応性化合物の和に対し、0.1〜50重
量%の範囲で添加されることが好ましく、より好ましく
は2〜25重量%である。光重合開始剤の量が少なすぎ
ると光感度が不良となり、光重合開始剤の量が多すぎれ
ば、露光部の残存率が小さくなりすぎるおそれがある。
【0036】本発明において、隔壁、壁体や絶縁膜のヴ
ィアホール形成のために紫外線吸光剤を添加することが
好ましい。紫外線吸収効果の高い吸光剤を添加すること
によって高アスペクト比、高精細、高解像度が得られ
る。
【0037】すなわち、通常、ガラス粉末だけでは、余
分な部分まで光硬化し、現像しても隔壁やヴィアホール
が形成できなくなったり、真円度が大きく低下すること
が起こる。この原因について本発明者らが鋭意検討を行
った結果、散乱された紫外光が吸収されてあるいは弱め
られて露光マスクによる遮光部分にまでまわり込むこと
が原因であることが判明した。したがって紫外線吸光剤
を添加することによって散乱光のまわり込みがほぼ回避
され,マスク部分の感光性樹脂の硬化を防ぎ、露光マス
クに相当したパターンが形成される。
【0038】紫外線吸光剤としては有機系染料からなる
ものが好ましく用いられ、中でも350〜450nmの
波長範囲で高UV吸収係数を有する有機系染料が好まし
く用いられる。具体的には、、アゾ系染料、アミノケト
ン系染料、キサンテン系染料、キノリン系染料、アミノ
ケトン系染料、アントラキノン系、ベンゾフェノン系、
ジフェニルシアノアクリレート系、トリアジン系、p−
アミノ安息香酸系染料などが使用できる。有機系染料は
吸光剤として添加した場合にも、焼成後の絶縁膜中に残
存しないで吸光剤による絶縁膜特性の低下を少なくでき
るので好ましい。これらの中でもアゾ系およびベンゾフ
ェノン系染料が好ましい。
【0039】アゾ系染料としての代表的なものとして、
スダンブルー(Sudan Blue、C22182 2 =342.4
)、スダンR(C17142 2 =278.31)、スダンI
I(C18142 O=276.34)、スダンIII (C2216
4 O=352.4 )、スダンIV(C24204 O=380.4
5)、オイルオレンジSS(Oil Orange SS 、CH3 6
4 N:NC106 OH=262.31)、オイルバイオレッ
ト(Oil Violet,C24215 =379.46)、オイルイエ
ローOB(Oil Yellow OB 、CH3 4 4 N:NC10
4 NH2 =261.33)などがある。
【0040】ベンゾフェノン系染料としては、ユビナー
ルD−50(C13105 =246.22,2,2´,4,4
´−テトラハイドロオキシベンゾフェノン)、ユビナー
ルMS40(C14126 S=308 ,2−ヒドロキシ−
4−メトキシベンゾフェノン5−スルフォン酸)、ユビ
ナールDS49(C1512112 Na2 =478 ,2,
2−ジヒドロキシ−4,4´−ジメトキシベンゾフェノ
ン5,5´−ジスルフォン酸ナトリウム)などがある。
【0041】有機系染料の添加量としては、高アスペ
クト比で高精細の隔壁および壁体を形成できること、
絶縁層のヴィアホールの真円度が高いこと、およびヴ
ィアホール形成した後の上部と下部とのヴィアホール孔
径差が少ないこと、の各条件を満たす範囲であり、ガラ
ス粉末に対して0.05〜1重量%が好ましい。0.0
5重量%未満では紫外線吸光剤の添加効果が減少し、1
重量%を越えると吸光剤の量が多すぎて紫外線を照射し
た時に、下部に達するまでにガラス粉末によって吸収さ
れてしまい、高アスペクト比、高精細の隔壁が得られな
かったり、ヴィアホールの形成不良となるので好ましく
ない。より好ましくは、0.1〜0.3重量%である。
【0042】有機系染料からなる紫外線吸光剤の添加方
法としては、以下の方法によることが好ましい。すなわ
ち、有機系染料を予め有機溶媒に溶解した溶液を作製す
る。次に該有機溶媒中にガラス粉末を混合・攪拌しなが
ら乾燥する。この方法によって個々のガラス粉末表面に
均質に有機系染料の膜をコートした、いわゆるカプセル
状のガラス粉末が作製できる。
【0043】本発明において、好ましい吸光度の積分値
(波長測定範囲;350〜450nm)の範囲がある。
吸光度の積分値は、粉末の状態で測定されるもので、ガ
ラス粉末の表面を有機染料でコートした粉末について測
定される。
【0044】本発明で、吸光度は下記のように定義され
る。すなわち、市販の分光光度計を使用して積分球の中
で光を測定用試料に当て、そこで反射された光を集めて
検出する。また積分球により検出された光以外は、すべ
て吸収光とみなして下記の式から求められる。
【0045】対照光の光強度をIr、(Irは試料の吸
光度を測定する前に、積分球内面に塗布してある材料と
同じ材料のBaSO3 を試料台に取り付けて反射による
光強度を測定したデータ) 試料に入射した光の光強度をI、試料に当たった後、吸
収分の光強度をIoとすると、試料からの反射分の光強
度は(I−Io)で表わされ、吸光度は下記の(1) 式の
ように定義される。上記で光強度の単位は、W/cm2
で表わす。 吸光度=−log((I−Io)/Ir) 吸光度の測定は下記のようにして行う。 1.吸光剤を添加した粉末をプレス機で直径20mm、
厚み4mmのサイズに成型する。 2.次に分光光度計を用いて積分球の反射試料の取り付
け口に粉末の成型体を取り付けて、反射光による吸光度
を波長範囲200〜650nmで測定すると図1のよう
なグラフが得られる。縦軸は(1) 式の吸光度で、横軸は
測定波長を示す。 3.次に図1で波長350〜450nmの範囲を10n
m毎の10区間に分け、それぞれの区間毎の面積を求め
る。面積は次のように求められる。例えば、 350nmのときの吸光度を0.75 360nmのときの吸光度を0.80 370nmのときの吸光度を0.85 ・ ・ 440nmのときの吸光度を0.60 450nmのときの吸光度を0.55として、 350〜360nmの部分の面積をAとし、台形とみな
すとAは下記のように計算される。 面積A=(0.75+0.80)×10/2=7.75 同様に面積Bは 面積B=(0.80+0.85)×10/2=8.25 ・ ・ 同様に面積Jは 面積J=(0.60+0.55)×10/2=5.75 となる。10区間の面積の積分値Sは下記のようにして
求められる。 S=A+B+・・・・+J 上記の面積Sを350〜450nmにおける吸光度の積
分値として定義した。
【0046】本発明で上記の吸光度の積分値の好ましい
範囲は、20〜80であり、さらに好ましい範囲は30
〜60である。吸光度が20未満であると紫外線露光時
において光が絶縁層の下まで十分透過する前にガラス粉
末によって散乱されて未露光部を硬化するようになり、
高アスペクト比および高精細度の隔壁、上部と下部孔と
の孔径差のない真円度のヴィアホル形成ができなくな
る。また吸光度が80を超えると光が絶縁層の下部に達
する前にガラス粉末に吸収されてしまい、下部の絶縁層
まで光が透過しないため光硬化できなくなる。この結
果、現像時に剥がれるようになり、良好な隔壁やヴィア
ホールの形成が困難になる。
【0047】本発明においてガラス粉末に含まれるP
b,Fe,Cd,Mn,Co,Mgなどの金属およびそ
れらの酸化物がペースト中に含有する感光性ポリマーの
カルボキシル基と反応してペーストが短時間でゲル化
し、塊となりペーストとして印刷できなくなる場合があ
る。これは感光性ポリマーのイオン架橋反応と推定され
るが、このような架橋反応を防止するために、感光性ポ
リマーは勿論のこと、光反応性化合物、光重合開始剤あ
るいは可塑剤などに悪い影響を与えない化合物(安定化
剤)を添加してゲル化を防止することが好ましい。すな
わち、ゲル化反応を引き起こす金属あるいは酸化物粉末
との錯体化あるいは酸官能基との塩形成などの効果のあ
る化合物で粉末を表面処理し、感光性絶縁ガラスペース
トを安定化させる。そのような安定化剤としては、トリ
アゾール化合物が好ましく用いられる。トリアゾール化
合物の中でも特にベンゾトリアゾールが有効に作用す
る。
【0048】ベンゾトリアゾール等のトリアゾール化合
物によるガラス粉末の表面処理は次のようにして行うと
好ましい。すなわちガラス粉末に対して所定の量のベン
ゾトリアゾールを酢酸メチル、酢酸エチル、エチルアル
コール、メチルアルコールなどの有機溶媒に溶解した
後、これら粉末が十分に浸すことができるように溶液中
に1〜24時間浸漬する。浸漬後、好ましくは20〜3
0℃下で自然乾燥して溶媒を蒸発させてトリアゾール処
理を行った粉末を作製する。
【0049】本発明において使用される安定化剤の割合
(安定化剤/ガラス粉末)は0.2〜4重量%が好まし
く、0.4〜3重量%であることがより好ましい。0.
2重量%未満ではポリマーの架橋反応を防止するのに効
果がなく、短時間でゲル化する。また4重量%を越える
と安定化剤の量が多くなり過ぎて非酸化性雰囲気中での
絶縁ペーストの焼成時においてポリマー、モノマーおよ
び安定化剤などの脱バインダーが困難となり、隔壁や絶
縁層の特性が低下する。
【0050】また、感光性絶縁ガラスペースト中に水分
が微量でも存在すると絶縁ペーストのゲル化を促進す
る。これを防止するためにガラス粉末を120〜150
℃で5〜15時間乾燥して水分を十分除去するとゲル化
が防止できるので好ましい。
【0051】本発明において感光性絶縁ガラスペースト
中に、増感剤、熱重合禁止剤、可塑剤、酸化防止剤、増
感助剤、増粘剤、分散剤、有機あるいは無機の沈殿防止
剤などを添加することも好ましく行われる。
【0052】増感剤は、高感度を向上させるために添加
される。増感剤の具体例としては、2、4−ジエチルチ
オキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,3−
ビス(4−ジエチルアミノベンザル)シクロペンタノ
ン、2,6−ビス(4−ジメチルアミニベンザル)シク
ロヘキサノン、2,6−ビス(4−ジメチルアミノベン
ザル)−4−メチルシクロヘキサノン、ミヒラ−ケト
ン、4,4、−ビス(ジエチルアミノ)−ベンゾフェノ
ン、4,4−ビス(ジメチルアミノ)カルコン、4,4
−ビス(ジエチルアミノ)カルコン、p−ジメチルアミ
ノシンナミリデンインダノン、p−ジメチルアミノベン
ジリデンインダノン、2−(p−ジメチルアミノフェニ
ルビニレン)−イソナフトチアゾール、1,3−^ビス
(4−ジメチルアミノベンザル)アセトン、1,3−カ
ルボニル−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)アセト
ン、3,3−カルボニル−ビス(7−ジエチルアミノク
マリン)、N−フェニル−N−エチルエタノールアミ
ン、N−フェニルエタノールアミン、N−トリルジエタ
ノールアミン、N−フェニルエタノールアミン、ジメチ
ルアミノ安息香酸イソアミル、ジエチルアミノ安息香酸
イソアミル、3−フェニル−5−ベンゾイルチオ−テト
ラゾーラゾール、1−フェニル−5−エトキシカルボニ
ルチオ−テトラゾールなどがあげられる。本発明ではこ
れらを1種または2種以上使用することができる。な
お、増感剤の中には光重合開始剤としても使用できるも
のがある。増感剤を本発明の感光性絶縁ガラスペースト
に添加する場合、その添加量は側鎖または分子末端にカ
ルボキシル基とエチレン性不飽和基を有するアクリル系
共重合体と光反応性化合物の和に対して通常0.1〜3
0重量%、より好ましくは0.5〜15重量%である。
増感剤の量が少なすぎれば光感度を向上させる効果が発
揮されず、増感剤の量が多すぎれば露光部の残存率が小
さくなりすぎるおそれがある。
【0053】熱重合禁止剤は、保存時の熱安定性を向上
させるために添加される。熱重合禁止剤の具体的な例と
しては、ヒドロキノン、N−ニトロソジフェニルアミ
ン、フェノチアジン、p−t−ブチルカテコール、N−
フェニルナフチルアミン、2,6−ジ−t−ブチル−p
−メチルフェノール、クロラニール、ピロガロールなど
が挙げられる。熱重合禁止剤を添加する場合、その添加
量は、側鎖または分子末端にエチレン性不飽和基を有す
るアクリル系共重合体と光反応性重合性化合物の和に対
し、通常、0.1〜20重量%、より好ましくは、0.
5〜10重量%である。熱重合禁止剤の量が少なすぎれ
ば、保存時の熱的な安定性を向上させる効果が発揮され
ず、熱重合禁止剤の量が多すぎれば、露光部の残存率が
小さくなりすぎるおそれがある。
【0054】可塑剤の具体的な例としては、ジブチルフ
タレート、ジオクチルフタレート、ポリエチレングリコ
ール、グリセリンなどがあげられる。
【0055】酸化防止剤は、保存時におけるアクリル系
共重合体の酸化を防ぐために添加される。酸化防止剤の
具体的な例として2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾ
ール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2、6−ジ−t
−4−エチルフェノール、2,2−メチレン−ビス−
(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2−
メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノ
ール)、4,4−チビス−(3−メチル−6−t−ブチ
ルフェノール)、1,1,3ートリス−(2−メチル−
6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−
(2−メチル−4−ヒドロキシ−t−ブチルフェニル)
ブタン、ビス[3,3−ビス−(4−ヒドロキシ−3−
t−ブチルフェニル)ブチリックアッシッド]グリコー
ルエステル、ジラウリルチオジプロピオナート、トリフ
ェニルホスファイトなどが挙げられる。酸化防止剤を添
加する場合、その添加量は通常、無機粉末、側鎖または
分子末端にエチレン性不飽和基を有するアクリル系共重
合体、光反応性化合物および光重合開始剤の総和に対し
て0.01〜5重量%、より好ましくは0.1〜1重量
%である。酸化防止剤の量が少なければ保存時のアクリ
ル系共同重合体の酸化を防ぐ効果が得られず、酸化防止
剤の量が多すぎれば露光部の残存率が小さくなりすぎる
おそれがある。
【0056】感光性絶縁ガラスペーストの組成として
は、次の範囲で選択するのが良い。
【0057】(a)ガラス粉末 ;(a)、
(b)の和に対して80〜96重量% (b)側鎖または分子末端にカルボキシル基とエチレン
不飽和基を有するアクリル系共重合体と光反応性化合
物;(a)、(b)の和に対して20〜4重量% (c)光重合開始剤 ;(b)に対して2〜25重
量% (d)紫外線吸光剤 ;(a)に対して0.05〜
2重量% 上記においてより好ましくは、(a),(b)および
(d)成分の組成をそれぞれ86〜92重量%、14〜
8重量%、および0.1〜0.8重量%である。この範
囲にあると露光時において紫外線が良く透過し、光硬化
の機能が十分発揮され、後の現像時における未露光部の
残膜の発生をほとんどなくすることができ、高アスペク
ト比で高精細度の隔壁および高い真円度を有するヴィア
ホールの形成ができる。また、焼成後の絶縁層が緻密に
なり、絶縁抵抗の高い膜が得られる利点がある。
【0058】本発明の感光性絶縁ガラスペーストは、側
鎖または分子末端にカルボキシル基とエチレン性不飽和
基を有するアクリル系共重合体と光重合開始剤を光反応
性化合物に溶解し、この溶液に紫外線吸光剤を分散させ
ることによって製造することができる。該アクリル系共
重合体と光重合開始剤が光反応性化合物に溶解しない場
合、あるいは溶液の粘度を調整したい場合には該アクリ
ル系共重合体、光重合開始剤及び光反応性化合物の混合
溶液が溶解可能である有機溶媒を加えてもよい。このと
き使用される有機溶媒としては、メチルセルソルブ、エ
チルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルエチルケト
ン、ジオキサン、アセトン、シクロヘキサノン、シクロ
ペンタノン、イソブチルアルコール、イソプロピルアル
コール、テトラヒドロフラン、ジメチルスルフォキシ
ド、γ−ブチロラクトンなどやこれらのうちの1種以上
を含有する有機溶媒混合物が用いられる。
【0059】さらに必要に応じて有機溶媒、増感剤、熱
重合禁止剤、可塑剤、酸化防止剤、増感助剤、増粘剤、
分散剤および有機あるいは無機の沈殿防止剤等を添加
し、混合物のスラリーとする。所定の組成となるように
調合されたスラリーを3本ローラや混練機で均質に分散
し、ペーストを作製する。
【0060】ペーストの粘度はガラス粉末、増粘剤、有
機溶媒、可塑剤および沈殿防止剤などの添加割合によっ
て適宜調整されるが、その範囲は2000〜20万cp
s(センチ・ポイズ)であることが好ましい。例えばガ
ラス基板への塗布をスクリーン印刷法以外にスピンコー
ト法で行う場合は、2000〜5000cpsが好まし
い。スクリーン印刷法で1回塗布して膜厚10〜20μ
mを得るには、5万〜20万cpsが好ましい。
【0061】次に、本発明の感光性絶縁ガラスペースト
を用いて隔壁あるいは絶縁層にヴィアホールを形成する
方法の一例について説明するが、本発明はこれに限定さ
れない。
【0062】まず、隔壁の場合は、ITOなどの透明電
極を形成した前面ガラス基板上に、絶縁層にヴィアホー
ルを形成する場合は、ガラス基板上に、それぞれスクリ
ーン印刷法等で感光性絶縁ガラスペーストを塗布し、乾
燥する。塗布膜の形成は、印刷法以外にバーコータ法、
ロールコータ法など公知の方法でできる。ここでペース
トをガラス基板上に塗布する場合、基板と塗布膜との密
着性を高めるために基板の表面処理を行うとよい。表面
処理液としてはシランカップリング剤、例えばビニルト
リクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルト
リエトキシシラン、トリス−(2−メトキシエトキシ)
ビニルシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシ
シラン、γ−(メタクリロキシプロピル)トリメトキシ
シラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリ
メトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラ
ン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−
アミノプロピルトリエトキシシランなど、あるいは有機
金属、例えば有機チタン、有機アルミニウム、有機ジル
コニウムなどを、有機溶媒、例えばエチレングリコール
モノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエ
ーテル、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピ
ルアルコール、ブチルアルコールなどで0.1〜5%の
濃度に希釈したものを用いることができる。この表面処
理液をスピナーなどで基板上に均一に塗布した後に80
〜140℃で10〜60分間乾燥することによって表面
処理を行なうことができる。
【0063】絶縁層および隔壁の塗布厚みは塗布回数、
スクリーンのメッシュ、ペーストの粘度を選ぶことによ
って調整できるが、30〜300μmである。好ましく
は、30〜150mである。30μm未満では緻密な膜
を均質にしかも高電気絶縁性を保持することが難しい。
また150μmを越えると一回の紫外線露光では、紫外
線が下部まで透過が難しくなり、現像時に剥がれが発生
し、隔壁や絶縁層の形成ができなくなる。隔壁の場合、
通常は幅40〜60μm、高さ100〜300μm、ピ
ッチ150〜250μmであるので一回の印刷でこの厚
みを形成するのは困難であり、5〜10回の印刷・乾燥
が繰り返される。
【0064】本発明の絶縁ペーストの場合、絶縁層のヴ
ィアホールの形成において上下の孔径差がなく微細に且
つ均一にでき、しかも絶縁層が緻密にできる好ましい厚
みの範囲は20〜150μmである。この範囲にあると
30〜150μmφを有するヴィアホールを上下の孔径
差がつかずに形成できる利点がある。またヴィアホール
の解像度は絶縁層の厚みによって異なるが、アスペクト
比(絶縁膜の厚み/ヴィホール径)は1以下であるのが
紫外線の透過が十分行われるので好ましい。60μm厚
の場合は60μmφのヴィアホールの形成が好ましい。
【0065】基板上に塗布したペーストの膜(隔壁およ
びヴィアホール形成用の絶縁層を含めて塗布膜と呼ぶ)
を70〜120℃で数分から1時間加熱乾燥して溶媒類
を蒸発させ、絶縁膜を形成する。
【0066】つづいて、感度をさらに向上させるため、
絶縁膜の表面にPVAの膜を形成することが好ましい。
PVA膜の形成方法は濃度が0.5〜5重量%のPVA
の水溶液をスピナーなどの方法で基板上に均一に塗布し
た後に70〜90℃で10〜60分間乾燥し、水分を蒸
発させることにより行う。またPVAの水溶液中にアル
コールを少量添加すると絶縁膜との塗れ性が良くなり蒸
発が容易になるので好ましい。さらに好ましいPVAの
溶液濃度は、1〜3重量%である。この範囲にあると感
度が一層向上する。PVA塗布によって感度が向上する
のは次の理由が推定される。すなわち感光性ポリマーお
よびモノマーが光硬化する際に、空気中の酸素があると
光硬化の感度を妨害すると考えられるが、PVAの膜が
あると余分な酸素を遮断できるので露光時に感度が向上
する。PVA以外にも水溶性で、透明なポリマー例えば
セルロース系のメチルセルロースなども使用できる。
【0067】このように必要に応じてPVA等の膜を形
成した後、露光現像処理を行なう。露光は、通常のフォ
トマスク法により行なわれる。フォトリソグラフィー法
により選択的に露光した後、現像して未硬化部分を除去
して(ネガ型)、所定の隔壁やヴィアホールを形成す
る。
【0068】露光の際使用される活性光源としては、た
とえば紫外線、電子線、X線などが挙げられるが、これ
らの中で紫外線が好ましく、その光源としてはたとえば
低圧水銀灯、高圧水銀灯、ハロゲンランプ、殺菌灯など
が使用できる。これらのなかでも超高圧水銀灯が好適で
ある。露光条件は隔壁や絶縁層の厚みによって異なる
が、5〜100mW/cm2 の出力の超高圧水銀灯を用
いて1〜30分間露光を行なう。
【0069】露光後、現像液を使用して現像を行なう
が、この場合、浸漬法やスプレー法で行なう事ができ
る。現像液としては前記の側鎖または分子末端にカルボ
キシル基及びエチレン性不飽和基を有するアクリル系共
重合体、光反応性化合物及び光重合開始剤の混合物が溶
解可能である有機溶媒を使用できる。また該有機溶媒に
その溶解力が失われない範囲で水を添加してもよい。ま
たアクリル系共重合体の側鎖にカルボキシル基が存在す
るので、アルカリ水溶液で現像できる。アルカリ水溶液
として水酸化ナトリウムや水酸化カルシウム水溶液など
のような金属アルカリ水溶液を使用できるが、有機アル
カリ水溶液を用いた方が焼成時にアルカリ成分を除去し
やすいので好ましい。有機アルカリの具体例としては、
テトラメチルアンモニウムヒドロキサイド、トリメチル
ベンジルアンモニウムヒドロキサイド、モノエタノール
アミン、ジエタノールアミンなどが挙げられる。アルカ
リ水溶液の濃度は通常0.01〜10重量%、より好ま
しくは0.1〜5重量%である。アルカリ濃度が低すぎ
れば未露光部が除去されずに、アルカリ濃度が高すぎれ
ば、パターン部を剥離させ、また露光部を腐食させるお
それがあり良くない。
【0070】また、隔壁を形成する場合、その高さが1
00〜300μmあるので一回の露光・現像によっては
高精細度の隔壁が得られない場合がある。このときは、
塗布厚み50〜100μmに形成し、非露光部をマスク
し、露光する。さらに印刷・乾燥・露光工程を数回繰り
返して積層し、最後に一括現像して所要高さの隔壁を形
成することができるのが本発明の感光性絶縁ガラスペー
ストの特徴の一つである。
【0071】本発明の感光性絶縁ガラスペーストの調
合、印刷、露光、現像工程では紫外線を遮断できるとこ
ろで行う必要がある。そのようにしないとペーストある
いは塗布膜が紫外線によって光硬化してしまい、本発明
の効果を発揮できる隔壁や絶縁膜が得られない。
【0072】次に焼成炉にて焼成を行って隔壁や絶縁層
が形成される。焼成温度はガラス基板や、ガラス基板上
に先に形成された銀、銀−パラジウム、金などの導体の
種類によって異なるが、通常は空気中で焼成する。ガラ
ス基板や銀導体の場合は、520〜610℃の温度で1
0〜60分間保持して隔壁や絶縁層を作製する。
【0073】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれに限定されない。下記の実施例にお
いて特に断らない限りすべて重量部で表わす。
【0074】A.ガラス粉末成分 ガラス組成は、SiO2 ;27.5%,Al2 3
2.8%,B2 3 ;14%,Bi2 3 ;47.8
%,ZnO;2.6%,ZrO2 ;4.8%,Na
2 O;0.5%である。ガラス粉末は、予めアトライタ
ーにて微粉末にした後、プラズマ気流中で球状化処理し
た平均粒子径2.6μm,比表面積0.92m2/g、
球形率95個数%の粉末を使用した。球形率の測定は、
粉末を光学顕微鏡で300倍の倍率にて撮影し、このう
ち計数可能な粒子を計数し、球形のものの比率を表わ
す。
【0075】ガラス組成は、SiO2 ;6.5%,A
2 3 ;1.8%,B2 3 ;30%,Bi2 3
35.5%,ZnO;25.4%,Na2 O;8%であ
る。ガラス粉末は、予めアトライターにて微粉末にした
後、プラズマ気流中で球状化処理した平均粒子径3.5
μm、比表面積0.62m2 /g,球形率92個数%の
粉末を使用した。
【0076】B.紫外線吸光剤 有機染料;アゾ系染料;スダン(Sudan)、化学
式;C242 ON4 O,分子量;380.45。
【0077】有機染料;ベンゾフェノン系染料;ユビ
ナールD−50,化学式;C13105 ,分子量;24
6.22。
【0078】C.ポリマーバインダ 40%のメタアクリル酸(MAA)、30%のメチルメ
タアクリレート(MMA)および30%のスチレン(S
t)からなる共重合体のカルボキシル基(MAA)に対
して0.4当量(40%に相当する)のグリシジルメタ
アクリレート(GMA)を付加反応させたポリマー。ポ
リマーの酸価は95であった。
【0079】D.モノマ トリメチロール・プロパン・トリアクリラート E.溶媒 γ−ブチロラクトン(γ−BL) F.光重合開始剤 2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2
−モルホリノプロパノン−1と2,4−ジエチルチオキ
サントンをポリマーとモノマーとの総和に対してそれぞ
れ20重量%添加した。
【0080】G.増感剤 2,4−ジエチルチオキサントン(光重合開始剤と同じ
割合添加)。
【0081】H.光重合促進剤 p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル(EPA)
(光重合開始剤の半分添加) I.可塑剤 ジブチルフタレート(DBP) J.増粘剤 酢酸2−(2−ブトキシエトキシ)エチルに溶解させた
SiO2 濃度15%をポリマーに対して4%添加した。
【0082】<絶縁ペーストの製造> A.有機ビヒクルの作製 溶媒およびポリマーバインダを50%溶液となるよう混
合し、攪拌しながら120℃まで加熱しすべてのポリマ
ーバインダを均質に溶解させた。ついで溶液を室温まで
冷却し、光重合開始剤、増感剤および光重合促進剤を加
えて溶解させた。その後この溶液を400メッシュのフ
ィルターを用いて濾過した。
【0083】B.吸光剤添加粉末の作製 有機染料を所定の量秤量し、イソプロピルアルコール
(IPA)に溶解させた溶液に分散剤を加えてホモジナ
イザで均質に攪拌した。次にこの溶液中にガラス粉末を
所定の量添加して均質に分散・混合後、ロータリーエバ
ポレータを用いて、150〜200℃の温度で乾燥し、
IPAを蒸発させた。こうして有機染料の膜でガラス粉
末の表面を均質にコーティングした(いわゆるカプセル
処理した)粉末を作製した。粉末の吸光度の積分値(3
50〜450nm)について測定した結果を表1に示し
た。
【0084】C.絶縁ペースト調製 ペーストの作製は上記の有機ビヒクルに光反応性化合
物、吸光剤添加の粉末(有機染料でカプセル処理したガ
ラス)、増粘剤および可塑剤を所定の組成となるように
添加し、3本ローラで混合・分散して調製した。調製し
た組成を表1に示す。
【0085】
【表1】 D.ガラス基板の表面処理 表面処理液として(2−アミノエチル)アミノプロピル
トリメトキシシランのイソプロピルアルコールの1重量
%溶液を用いる。次にこの溶液1.0mlをガラス基板
(10インチ×10インチ×2.0mm厚み)上に落と
し、スピナーを用いて回転数3000rpmで10秒間
塗布した後、100℃で30分 間保持して乾燥し、表
面処理を行った。
【0086】E.隔壁およびヴィアホール形成 隔壁形成のために上記のガラス基板上に、325メッシ
ュのスクリーンを用いて絶縁ペーストを印刷した。塗布
膜にピンホールなどの発生を回避するためにに印刷・乾
燥を4回繰り返し行い、膜厚みの調整を行った。途中の
乾燥は、80℃で10分間行った。その後、80℃で4
0分間保持して乾燥し、厚み70μmの隔壁用の絶縁膜
を作製した。
【0087】ヴィアホール形成用の絶縁膜は、上記と同
じように塗布し、厚み60μmの絶縁膜を作製した。
【0088】F.露光・現像 隔壁の形成は、上記Eで作製した隔壁用の膜上に、L
(ライン)60μm,S(スペース)160μm、ピッ
チ220μmを有するネガ型のクロムマスクを用いて、
上面から2000mJ/cm2 出力の超高圧水銀灯で紫
外線露光した。続いて、露光した膜上に上記Eの条件で
印刷・乾燥を繰り返して膜厚の高さ180μmに調整し
た絶縁膜に上記と同じクロムマスクを用いて紫外線露光
した。さらに印刷・乾燥・露光・乾燥の工程を繰り返し
て高さ200μmの隔壁用の絶縁膜を作製した。次に2
5℃に保持したモノエタノールアミンの0.5重量%の
水溶液に浸漬して現像し、その後シャワースプレーを用
いて光硬化していないスペース部分を水洗浄し、除去し
てストライプ状の隔壁を形成した。
【0089】ヴィアホール形成は、絶縁ペーストの膜上
に直径(φ)60μmのヴィアホールを5000ホール
有するクロムマスクを用いて、上面から1000mJ/
cm2 出力の超高圧水銀灯で紫外線露光した。次に25
℃に保持したモノエタノールアミンの0.5重量%の水
溶液に浸漬して現像し、その後スプレーを用いて光硬化
していないヴィアホールを水洗浄した。
【0090】H.焼き付け 上記Fで得られた隔壁およびヴィアホールを形成したガ
ラス基板を空気中で585℃で20分焼成を行い、隔壁
およびヴィアホールを有する絶縁層を作製した。
【0091】J.評価 隔壁を形成したガラス基板について隔壁の裾の乱れ、線
幅の精度、断面の形状、スペース幅の精度を測定し、評
価した。ヴィアホールを形成したガラス基板についてヴ
ィアホールの真円度、上部と下部の孔径差、孔内面形状
を測定し、評価した。表1に示した。
【0092】本発明の絶縁ペーストを用いて作製した隔
壁は、裾野乱れも殆どなく、線幅の精度は±2μm、断
面は矩形形状、隔壁高さ精度±5μmが得られ、優れた
ものであった。ヴィアホールを形成した絶縁膜は、ヴィ
アホールの真円度が高く、上部と下部の孔径差も±10
%以内であり、且つ全ホールにわたって均一に形成され
ていた。
【0093】比較例1 上記のガラス粉末のうちのガラス粉末を用いて粉末組
成53%,アクリレート樹脂10%,トルエン24%、
イソプロピルアルコール8%およびジブチルフタレート
5%を3本ローラで混合・分散し、絶縁ペーストを作製
した。
【0094】次に、スクリーン印刷法で325メッシュ
スクリーンを用いて20インチ角のガラス基板上にL
(線幅);60μm,スペース;160μm,ピッチ;
220μmで高さが200μmのストライプ状の隔壁を
形成した。200μm高さの隔壁は、15回重ね刷りを
行い、形成した。
【0095】ヴィアホールの形成は、150μmφのヴ
ィアホールが5000ホールあるスクリーンを用いて上
記と同様にガラス基板上に絶縁ペーストで5回重ね塗り
を行い、厚み60μmの絶縁膜を作製した。
【0096】続いて、隔壁およびヴィアホールを形成し
たガラス基板を空気中585℃で30分間保持して焼き
付けた。
【0097】得られた隔壁には、側面エッジ部に波打ち
や裾の乱れが多数観察された。また、15回絶縁ペース
トの印刷・乾燥の工程を繰り返す必要があるためピッチ
の許容誤差が±8μmに対して±50μmと大きくな
り、許容誤差の限界を大きく越えた。また、隔壁高さの
精度や作業性が低かった。
【0098】また、ヴィアホールを形成した絶縁層は、
孔径が不均一で、真円度も悪く、PDP用の絶縁層とし
ては使用できないものであった。
【0099】
【発明の効果】本発明は上述の構成を有するため、隔壁
の形成が極めて容易にかつ幅や裾の乱れがなく、均一高
さとなり、高精彩、高アスペクト比、高精度にできる。
また、微細なヴィアホールを大型の基板上に確実且つ精
度良く形成できる。したがって、本発明の感光性絶縁ペ
ーストを用いて形成した隔壁やヴィアホールを用いたプ
ラズマ・ディスプレイ・パネル(PDP)は高精細、高
表示品位、高密度表示が可能となる。また、40インチ
以上の大型PDPの達成を容易にすることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI H01J 11/02 H01J 11/02 B (56)参考文献 特開 平2−268870(JP,A) 特開 平5−311097(JP,A) 特開 平6−48767(JP,A) 特開 昭57−49106(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01B 3/00,3/44 H01J 9/02,11/02

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ガラス粉末、側鎖または分子末端にカルボ
    キシル基とエチレン性不飽和基を有するアクリル系共重
    合体、光反応性化合物、光重合開始剤、および紫外線吸
    光剤を含有するプラズマ・ディスプレイ・パネル用感光
    性絶縁ガラスペーストであって、紫外線吸光剤が有機系
    染料であることを特徴とするプラズマ・ディスプレイ・
    パネル用感光性絶縁ガラスペースト。
  2. 【請求項2】ガラス粉末のうち、50重量%が粒子径1
    〜7μm、比表面積0.2〜3.0m2 /g、球形率8
    0個数%以上のサイズを有していることを特徴とする請
    求項1記載の感光性絶縁ガラスペースト。
  3. 【請求項3】ガラス粉末のガラス転移温度(Tg)が、
    350〜470℃であることを特徴とする請求項1記載
    の感光性絶縁ガラスペースト。
  4. 【請求項4】ガラス粉末が、Bi 2 3 またはZnOを
    含有することを特徴とする請求項1記載の感光性絶縁ガ
    ラスペースト。
  5. 【請求項5】ガラス粉末が、酸化物換算表記で SiO2 3.0〜60重量% Al23 0.5〜5重量% B23 5〜40重量% Bi23 20〜60重量% ZnO 2.0〜40重量% の組成範囲からなるものを90重量%以上含有すること
    を特徴とする請求項1記載の感光性絶縁ガラスペース
    ト。
  6. 【請求項6】紫外線吸光剤の350〜450nmにおけ
    る吸光度の積分値が30〜100であることを特徴とす
    る請求項記載の感光性絶縁ガラスペースト。
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