JP3488811B2 - 積層セラミックコンデンサ - Google Patents

積層セラミックコンデンサ

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JP3488811B2
JP3488811B2 JP20689597A JP20689597A JP3488811B2 JP 3488811 B2 JP3488811 B2 JP 3488811B2 JP 20689597 A JP20689597 A JP 20689597A JP 20689597 A JP20689597 A JP 20689597A JP 3488811 B2 JP3488811 B2 JP 3488811B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は積層セラミックコン
デンサに関し、特に、外部電極と電気的に接続される部
分を除く内部電極の外周部が内部電極を構成する金属の
酸化物によって電気的に絶縁された積層セラミックコン
デンサに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、積層セラミックコンデンサとして
は、誘電体層と、1種類の内部電極層とを交互に積層
し、この積層体の両端面に内部電極層の一端を露出さ
せ、この露出部分に外部電極を形成した構造としてい
た。
【0003】以下に、このような積層セラミックコンデ
ンサの一般的な製造方法について説明する。
【0004】まず、誘電体セラミック粉末と有機バイン
ダーを溶媒に加え分散させたセラミックスラリーを、シ
ート状に成形してセラミックグリーンシートを作製し、
スクリーン印刷法などにより、このセラミックグリーン
シート上に導電ペーストの内部電極パターンを印刷す
る。
【0005】そして、この内部電極パターンが印刷され
たセラミックグリーンシートを積層し、さらにその上下
に内部電極パターンが印刷されていないセラミックグリ
ーンシートを複数枚積層する。
【0006】こうして得られた積層体を、内部電極が両
端面に露出するようにチップ状に切断し、これを焼成す
る。そして、この焼結された積層体の内部電極が露出し
た部分を研磨することで、その端面に内部電極の一部を
露出させ、さらにこの端面に外部電極用の導電ペースト
を塗布し、これを焼き付けて外部電極を形成することに
より、所望の積層チップコンデンサが作製されていた。
【0007】また、他の積層セラミックコンデンサの製
造方法として、セラミックの積層体を焼成する前に、そ
の両端部に予め外部電極となる導電ペーストを焼き付け
るといったものもある。
【0008】さらに、積層体を得る方法として、セラミ
ックグリーンシートを使用する、いわゆるシート積層法
の他に、セラミックペーストと内部電極となる導電ペー
ストとを交互に印刷していく、いわゆる印刷法も採用さ
れている。
【0009】ところで、このような積層コンデンサにお
ける内部電極は、例えば、ニッケル、銀、銅、パラジウ
ム等の金属を含む単一種類から構成されており、誘電体
層の上面に形成された内部電極層の一端は一層おきに外
部電極と所定間隔を置いて離間して形成されており、内
部電極層の一端はマージン領域により外部電極から電気
的に絶縁されていた。
【0010】また、このような積層コンデンサは、近年
においては小型化と共に大容量化が要求されている。こ
の要求に応えるため、誘電体セラミック層を薄層化する
ことにより高積層化を可能にしている。しかし、積層数
が多くなると、内部電極の厚みにより、積層体内部でセ
ラミック層を介して内部電極が重なり合っている部分
と、それ以外のマージン部分との積層厚みの差が大きく
なる。大きな容量を得るためにサイドマージンを狭めた
場合には、内部電極の上下に位置するセラミックス同士
の接着が損なわれ、デラミネーションと呼ばれる層剥離
が生じがちであった。
【0011】このような問題点を解決する手段として、
例えば特開平3−82005号公報には、内部電極の側
端部が酸化された積層セラミックコンデンサが提案され
ている。この積層セラミックコンデンサの内部電極層の
各層(奇数層,偶数層)における断面図を図7に示す。
このコンデンサの構造によれば、内部電極層1の側端部
が酸化されて酸化物2が形成されているため、内部電極
層1とこの上下に位置する誘電体層との結合が強く、デ
ラミネーションが抑制され、高容量コンデンサが得られ
る。なお、図中、符号6は外部電極を示し、符号8はエ
ンドマージン領域を示す。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、積層セ
ラミックコンデンサでは、内部電極層の一端は外部電極
と接続されており、その他端は外部電極と絶縁されてい
るが、上記特開平3−82005号公報に開示された積
層セラミックコンデンサでは、図7に示すように、内部
電極層1の他端が外部電極6と接続しないように、内部
電極形成面積を印刷パターンによって制御し、いわゆる
エンドマージン領域8を形成させている。このため、印
刷精度による短絡及びデラミネーションを防止するに
は、大きなエンドマージン領域8を形成する必要があ
り、有効面積が小さく静電容量が小さくなるという問題
があった。
【0013】また、この技術を用いて誘電体層を薄層
化、高積層化した場合、内部電極1が重なり合っている
部分と、それ以外のエンドマージン領域8との積層厚み
の差が大きくなり、未だ厚み差によるひずみが大きいと
いう問題があった。
【0014】高周波領域で用いられるコンデンサとして
は、周波数が高くなるにしたがって容量成分のインピー
ダンスが次第に減少し、インダクタンス成分が周波数と
ともに増加していく。このため、高周波用として用いる
ためには、インダクタンス成分をいかに減少させるかが
重要である。そのための一つの手段として、1本の電流
経路が形成する磁場を近接する別の電流経路が形成する
磁場により相殺低減する方法がある。すなわち、誘電体
層を挟持する内部電極層に流れる電流の向きをできるだ
け同一方向にしないようにすればよい。しかしながら、
上記図7のコンデンサでは内部電極と外部電極とが接続
される部分がコンデンサ本体に対して対向する側に形成
されていたので、電流の向きが同一方向となり、高周波
用としては不向きであった。
【0015】そこで本発明は、上述の従来の諸問題を解
消するとともに、有効電極面積を大きくして静電容量を
向上させることができるとともに、誘電体層を薄層化、
高積層化しても、マージン領域がないために厚み差によ
るひずみが全く発生せず、高周波用としても用いること
ができる、非常に優れた積層セラミックコンデンサを提
供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記問題
について鋭意検討した結果、内部電極層を異なる金属を
主成分とする2種類の内部電極層ペーストを用いて全面
に形成し、内部電極層の外部電極に接する部分を一層お
きに非酸化領域を形成すると、有効電極面積を大きくす
ることができると同時に、全面に内部電極領域が形成さ
れるためにコンデンサの場所による厚み差が生じないこ
とを知見し、本発明に至った。
【0017】具体的には、本発明の積層セラミックコン
デンサは、コンデンサ本体と該コンデンサ本体の両端部
に配設された一対の外部電極とからなる積層セラミック
コンデンサであって、前記コンデンサ本体は、一端角部
の少なくとも一方の角部を除く外周部が酸化領域である
四角形状の第1導体層と、他端角部の少なくとも一方の
角部を除く外周部が酸化領域である四角形状の第2導体
層とを、間に誘電体層を挟んで交互に積層して形成され
ており、第1導体層の一端角部が一方の外部電極に、第
2導体層の他端角部が他方の外部電極に電気的に接続さ
れていることを特徴とする。
【0018】また、第1及び第2導体層が、貴金属を主
成分とする貴金属部と、貴金属以外の金属を主成分とす
る卑金属部とから構成されていることを特徴とする。
【0019】また、貴金属部がパラジウムを主成分と
し、卑金属部がニッケルを主成分とすることを特徴とす
る。
【0020】
【作用】本発明の積層セラミックコンデンサによれば、
内部電極層の第1導体層と第2導体層とが間に誘電体層
を介して形成され、かつ、外部電極と電気的に接続され
る内部電極層の一端角部の少なくとも一方の角部を除く
外周部、他端角部の少なくとも一方の角部を除く外周部
が酸化領域であるので、外周部の酸化領域により外部と
電気的に絶縁できるとともに、内部電極の他端と外部電
極との間の絶縁するための距離を最小にすることがで
き、これにより有効電極面積を大きくすることができ、
静電容量を大きくすることができる。
【0021】即ち、上記特開平3−82005号公報に
開示された積層セラミックコンデンサでは、内部電極の
他端が外部電極と接続しないように、内部電極形成面積
を印刷パターンによって制御していたため、大きなエン
ドマージン領域を形成せざるを得なかったが、本発明で
は、内部電極層を形成するための印刷パターンを制御す
ることなく、内部電極層の端部を酸化することにより外
部電極と絶縁できるため、有効電極面積を大きくするこ
とができるのである。
【0022】また、誘電体層の間に形成される導体層の
面積は、誘電体層と同じ面積であるため、コンデンサの
場所による厚み差が生じることはない。これにより、厚
み差に起因する内部応力からデラミネーションが発生す
ることを防止できる。
【0023】さらに、内部電極層が、外部電極と電気的
に接続される角部に形成されたパラジウムを主成分とす
る領域と、その他のニッケルを主成分とする領域から構
成することにより、コンデンサ本体を作製する際におい
て、内部電極層の一端角部に、外部電極と電気的に接続
できるようにパラジウム主成分の領域が形成され、その
他の部分にニッケルを主成分とする領域が形成される。
【0024】従って、コンデンサ本体を酸化処理するこ
とにより、ニッケルを主成分とする領域の外周部が酸化
され、酸化ニッケルが形成され、コンデンサ本体に外部
電極を形成した時、内部電極層の一端角部と外部電極と
が電気的に接続されるとともに、内部電極層の他端部と
外部電極とが絶縁され、内部電極層の側面部が酸化され
るために外部と絶縁されることになる。また、酸化され
ない非酸化領域が角部に形成されるため、その面積が小
さく、高価な貴金属であるPd使用量を低減できる。
【0025】さらに本発明によれば、縦方向の印刷ずれ
に対して有効電極面積の変化が全くないため、内部電極
の両側近縁部分のみを絶縁体化する従来の方法より静電
容量のばらつきを小さくすることができる。
【0026】そして、本発明のコンデンサでは、誘電体
層を挟持する内部電極層に流れる電流の向きを異なる方
向とすることができ、高周波領域におけるインダクタン
ス成分を低減でき、高周波用のコンデンサとして用いる
ことができる。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について
図面に基づき詳細に説明する。図1は、本発明の積層セ
ラミックコンデンサC1の一例を示す断面図である。図
1に示すように、積層セラミックコンデンサC1は、誘
電体層11と内部電極層(第1導体層12,第2導体層
13)とが交互に積層され、該積層体の両側に14積層
されたコンデンサ本体Cの両端部に、一端角部の少なく
とも一方の角部を除く外周部が酸化領域である四角形状
の第1導体層12、他端角部の少なくとも一方の角部を
除く外周部が酸化領域である四角形状の第2導体層13
が電気的に接続される外部電極16を配設してなるもの
であり、コンデンサ本体Cは、誘電体層11と内部電極
層(第1導体層12,第2導体層13)とが交互に積層
された有効積層体Aと、この有効積層体Aの両面に誘電
体層14から成る非有効積層体Bとから構成されてい
る。
【0028】図2は、内部電極層の各層(第1導体層1
2,第2導体層13)の断面図を示すものであり、図2
(a)は有効積層体Aの下側から数えて奇数層(第1導
体層12)の断面を、図2(b)は偶数層(第2導体
層)の断面をそれぞれ示す。
【0029】図2(a)(b)に示すように、有効積層
体Aにおいては、第1及び第2導体層12,13の一方
の外部電極16に位置する一端角部12a,13aを貴
金属(金,銀,および白金族(Ru,Rh,Pd,O
s,Ir,Pt))を主成分とする貴金属部とし、それ
以外の外周部12b,13b,内側領域12c,13c
を貴金属以外の金属(貴金属よりイオン化傾向の小さい
金属)を主成分とする卑金属部とし、例えば図示されて
いるように外周部12b,13bを酸化領域としてい
る。ここで、卑金属部を構成する金属としては、Ni、
Co、Fe、Cu等が好適であるが、貴金属部としては
パラジウムを、卑金属部としてニッケルを主成分とする
のが望ましい。これは、ニッケルが安価である上、ニッ
ケルとパラジウムの融点が近似しており、共晶等の低融
点の化合物を生成しない組み合わせとして最適であるか
らである。
【0030】また、第1〜第2導体層12〜13は金属
を主成分とするものであれば良く、金属の他に金属の酸
化物やガラス等を含有していても良いが、金属のみから
なる場合が静電容量のばらつきを最小化するので最も望
ましい。
【0031】本発明の積層セラミックコンデンサC1
は、例えば、まず、誘電体層となるグリーンシートを作
製することにより得られる。グリーンシートは、例え
ば、チタン酸バリウムを主成分とし、酸化イットリウ
ム、炭酸マンガン及び酸化マグネシウムを加えた誘電体
粉末に、水及び分散剤を加え、ボールミルにて混合粉砕
した後、有機バインダーを混合し、得られたスラリーを
所定厚みのテープ状に成形することにより得られる。
【0032】誘電体層の材料としては、チタン酸バリウ
ムを主成分とし、この主成分100モル部に対して、酸
化マグネシウムを0.5〜8モル部、炭酸マンガンを
0.05〜0.5モル部、酸化イットリウムを0.3〜
4モル部添加含有したものを用いることが誘電率などの
特性を向上するという点から望ましい。
【0033】導体ペーストは、例えば、ニッケル粉末に
有機可塑剤を加えたペースト、及びパラジウム粉末に有
機可塑剤を加えたペーストを作製する。なお、ニッケル
やパラジウムはペースト中に例えば40〜60重量%程
度含有するものとする。
【0034】そして、図3(a),(b)に示すよう
に、誘電体層のグリーンシート31の上面に、例えば、
スクリーン印刷法によりニッケルの導体ペースト及びパ
ラジウムの導体ペーストを塗布し、ニッケル内部電極領
域33とパラジウム内部電極領域35を形成する。ここ
で、有効積層体における奇数層においては、4分割用の
グリーンシート上のほぼ中央部にパラジウム内部電極領
域35を形成するようにし、偶数層においては、グリー
ンシート31の角部にパラジウム内部電極領域35を形
成するようにする。そして、これら導体ペーストを塗布
したグリーンシート31を積層し有効積層体を形成する
ようにする。
【0035】また、有効積層体の上面に誘電体グリーン
シートを積層し非有効積層体を形成する。
【0036】そして、得られた積層成形体を所定寸法に
切断したのち、例えば、酸素分圧3×10-8〜3×10
-3Pa、温度1150〜1300℃で0.5〜3時間焼
成し、この後、酸素分圧1×10-2〜2×104 Pa、
温度800〜1100℃で1〜5時間熱処理を行う。さ
らに、外部電極接続部の一端を焼結体の表面に露出させ
るため、焼結体表面を研磨する。そして、酸素分圧1×
10-2〜2×104 Pa、温度900〜1150℃で1
〜5時間熱処理することにより、焼結体表面に露出した
ニッケル電極の両端部及び側端部を酸化させ、コンデン
サ本体Cを作製する。このコンデンサ本体Cの斜視図を
図5に示す。
【0037】次に、銅粉末に有機可塑剤を加えたペース
トを作製し、このペーストを内部電極層と交互に電気的
に接続するようにコンデンサ本体の両端に焼き付けて、
外部電極を作製して所望の積層セラミックコンデンサを
作製する。このコンデンサの断面は図2に示したように
なる。なお、外部電極はNi,銀,金等の金属で作製し
てもよい。
【0038】以上のように構成された積層セラミックコ
ンデンサでは、外部電極の非接続部を酸化することによ
り、完全に外部電極と絶縁することができるため、印刷
パターンの制御によってマージン領域を形成した、従来
の積層セラミックコンデンサよりも有効電極面積を大き
くすることができ、静電容量を大きくすることができ
る。つまり、内部電極となる導電ペーストを外部電極と
所定間隔を置いて離間することなく、内部電極を酸化す
ることにより外部電極と絶縁するため、容量を発生する
内部電極面積を大幅に向上できる。また、従来のように
印刷パターンを制御する必要がないため、従来のような
印刷精度の低下による外部電極との短絡や、容量精度の
低下を極力防止できる。また、角部のみを外部電極と接
続させるようにしたので、流れる電流の方向を一部異な
るようにすることができ、これにより高周波領域におい
てインダクタンスを小さくすることができ、高周波特性
に非常に優れた積層セラミックコンデンサを提供でき
る。
【0039】なお、上記例では、ニッケルとパラジウム
の組み合わせからなる内部電極を形成したが、本発明は
上記例に限定されるものではない。
【0040】また、グリーンシート上に形成する電極領
域は図3(a),(b)に限定されるものではなく、例
えば、図4(a),(b)のようにすることができ、こ
のようにして作製した積層セラミックコンデンサによれ
ば、流れる電流の方向を大きく異ならせることができ、
上記実施例よりいっそう高周波領域におけるインダクタ
ンスを小さくすることができるので好適である。図6に
図3(a),(b)のグリーンシートを用いたコンデン
サの横断面図を示す。
【0041】さらに、導体層を貴金属部と卑金属部とに
分割して形成することにより、焼結収縮による応力を緩
和させることができ、デラミネーションの発生を抑制で
きる。
【0042】
【実施例】次に、本発明のより具体的な実施例について
説明する。まず、チタン酸バリウムを主成分とし、この
主成分100モル部に対して、酸化イットリウムを1モ
ル部、酸化マグネシウムを2モル部、酸化マンガンを
0.1モル部を添加した誘電体粉末に、水及び分散剤を
加え、ZrO2 ボールを用いたボールミルにて混合粉砕
した後、有機バインダーを混合し、得られたスラリーを
厚み13μmのテープ状に成形した。
【0043】一方、内部電極層として、ニッケル粉末に
有機可塑剤を加えたペースト、及びパラジウム粉末に有
機可塑剤を加えたペーストを用意し、上記テープ上に図
3(a),(b)に示すような態様でスクリーン印刷法
にて形成し、これらテープを交互に積層した。
【0044】また、従来の図8に示すような一般的なコ
ンデンサを作製するため、内部電極層としてニッケルを
用い、スクリーン印刷によりエンド及びサイドマージン
領域を形成したグリンシートを積層した成形体を用意す
るとともに、図7に示したようなコンデンサを作製する
ため、内部電極層としてニッケルを使用し、スクリーン
印刷によりエンドマージン部のみを形成したグリーンシ
ートを積層した成形体も用意した。なお、図8において
符号1は内部電極、符号6は外部電極、符号8はエンド
マージン領域、符号9はサイドマージン領域である。
【0045】さらに、図1に示したようなコンデンサを
作製するため、上記有効積層体の積層成形体の上下面に
非有効積層体用のグリーンシートを積層した。
【0046】次に、得られた成形体を切断したのち、酸
素分圧1×10-6Pa、温度1260℃で2時間焼成
し、次に、酸素分圧1×10-1Pa、温度900℃で1
時間熱処理を行った。この後、焼結体に、スパッタ法を
用いて金からなる外部電極を形成し、誘電体層厚み9μ
m、有効誘電体層数100層、外形寸法2mm×1.2
mm×1.2mm、有効電極面積1.19(1.56×
0.76)mm2 の積層コンデンサを得た。
【0047】次にこれらの試料を、LCRメーター42
84Aを用いて周波数1.0kHz、入力信号レベル
1.0Vrmsにて+25℃における静電容量を測定し
た。
【0048】この結果、従来の一般的な図8のコンデン
サの場合、静電容量は560nFであり、図7に示した
ようなコンデンサの場合700nFであったのに対し
て、内部電極層としてニッケルとパラジウムを交互に形
成し、内部電極層の外部電極に接する角部分を一層おき
に非酸化領域であるパラジウムで形成した本発明の場
合、静電容量は800nFであった。これにより静電容
量の大きい積層セラミックコンデンサを作製できること
がわかる。
【0049】次にこれらのコンデンサのデラミネーショ
ン発生状況を確認した。この結果、従来の図8のコンデ
ンサでは、50個中45個にデラミネーションまたはク
ラックが発生した。
【0050】一方、本発明の有効積層体内に外周部が露
出するように金属層を形成した場合は、クラック、デラ
ミネーションの発生は無かった。これにより、本発明の
積層セラミックコンデンサは、従来の積層セラミックコ
ンデンサと比較して、デラミネーションおよびクラック
がみられず、非常に高い信頼性が得られることが判明し
た。
【0051】また、インピーダンスアナライザ4291
Aを用いて、100MHz ,25℃における等価直列イ
ンダクタンスを測定した。従来の図8のコンデンサでは
等価直列インダクタンスが3.0nHであったのに対し
て、本発明の図3のコンデンサでは2.5nH、図4の
コンデンサでは1.2nHであり、高周波用としても優
れていることがわかる。
【0052】
【発明の効果】本発明の積層セラミックコンデンサは、
第1及び第2導体層からなる内部電極層が誘電体層を間
に挟んで積層され、かつ、外部電極と電気的に接続され
る内部電極層の角部を非酸化領域とし、内部電極層の外
周部が酸化され、酸化物が形成されるようにしたので、
以下に述べる作用効果の顕著な優れた積層セラミックコ
ンデンサを提供できる。
【0053】すなわち、外部と完全に絶縁することがで
きるとともに、内部電極層の他端と外部電極との間の絶
縁するための距離を最小に、かつ有効電極面積を大きく
することができ、ひいては静電容量を大きくすることが
できる。
【0054】さらに、誘電体層の間に形成される内部電
極層の面積は、誘電体層とほぼ同じ面積であるため、コ
ンデンサの場所による厚み差が生じることはなく、これ
により、厚み差に起因する内部応力からデラミネーショ
ンが発生することを極力防止できる。
【0055】また、角部のみを外部電極と接続させるよ
うにしたので、高価な貴金属量を低減できるため安価に
製造でき、しかも流れる電流の方向を異なるようにする
ことができ、これにより高周波領域においてインダクタ
ンスを小さくすることができ、高周波特性に非常に優れ
た積層セラミックコンデンサを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る積層セラミックコンデンサを説明
する縦断面図である。
【図2】図1における横断面図であり、(a)および
(b)はそれぞれ内部電極層の各層の横断面図である。
【図3】(a),(b)はそれぞれ奇数層,偶数層にお
いて、グリーンシートにニッケル内部電極ペーストとパ
ラジウム内部電極ペーストを塗布した様子を説明する平
面図である。
【図4】(a),(b)はそれぞれ奇数層,偶数層にお
いて、グリーンシートにニッケル内部電極ペーストとパ
ラジウム内部電極ペーストを塗布した様子を説明する平
面図である。
【図5】コンデンサ本体を説明する斜視図である。
【図6】図4のグリーンシートを用いて形成したコンデ
ンサの横断面図であり、(a)及び(b)はそれぞれ内
部電極層の各層の断面図である。
【図7】従来の内部電極の側端部を酸化して形成された
積層セラミックコンデンサの横断面図である。
【図8】従来の一般的な積層セラミックコンデンサの横
断面図である。
【符号の説明】
11 ・・・ 誘電体層 12 ・・・ 第1導体層(内部電極層) 13 ・・・ 第2導体層(内部電極層) 16 ・・・ 外部電極 12a,13a ・・・ 貴金属部 12b,13b,13c ・・・ 卑金属部 A ・・・ 有効積層体 B ・・・ 非有効積層体 C ・・・ コンデンサ本体 C1 ・・・ 積層セラミックコンデンサ

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コンデンサ本体と該コンデンサ本体の両
    端部に配設された一対の外部電極とからなる積層セラミ
    ックコンデンサであって、前記コンデンサ本体は、一端
    角部の少なくとも一方の角部を除く外周部が酸化領域で
    ある四角形状の第1導体層と、他端角部の少なくとも一
    方の角部を除く外周部が酸化領域である四角形状の第2
    導体層とを、間に誘電体層を挟んで交互に積層して形成
    されており、前記第1導体層の一端角部が一方の外部電
    極に、第2導体層の他端角部が他方の外部電極に電気的
    に接続されていることを特徴とする積層セラミックコン
    デンサ。
  2. 【請求項2】 前記第1及び第2導体層が、貴金属を主
    成分とする貴金属部と、貴金属以外の金属を主成分とす
    る卑金属部とで構成されていることを特徴とする請求項
    1に記載の積層セラミックコンデンサ。
  3. 【請求項3】 前記貴金属部がパラジウムを主成分と
    し、前記卑金属部がニッケルを主成分とすることを特徴
    とする請求項2に記載の積層セラミックコンデンサ。
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