JP3383558B2 - 積層セラミックコンデンサ - Google Patents

積層セラミックコンデンサ

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JP3383558B2
JP3383558B2 JP26631597A JP26631597A JP3383558B2 JP 3383558 B2 JP3383558 B2 JP 3383558B2 JP 26631597 A JP26631597 A JP 26631597A JP 26631597 A JP26631597 A JP 26631597A JP 3383558 B2 JP3383558 B2 JP 3383558B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、積層セラミックコ
ンデンサに関し、特に、外部電極と電気的に接続される
部分を除く内部電極の外周部が内部電極を構成する金属
の酸化物によって電気的に絶縁された積層セラミックコ
ンデンサに関する。
【0002】
【従来技術】従来、積層セラミックコンデンサとして
は、誘電体層と、1種類の内部電極層とを交互に積層
し、内部電極層の一部分を交互に積層体表面の異なる場
所に露出させ、この露出部分に端子電極を形成した構造
としていた。
【0003】以下に、このような積層セラミックコンデ
ンサの一般的な製造方法について説明する。まず、誘電
体セラミック粉末を有機バインダーに分散させたセラミ
ックスラリーをシート状に成形してセラミックグリーン
シートを作製し、スクリーン印刷法などにより、このセ
ラミックグリーンシートの上に導電ペーストで内部電極
パターンを印刷する。そして、この内部電極パターンが
印刷されたセラミックグリーンシートを積層し、さらに
その両側に内部電極パターンが印刷されていないセラミ
ックグリーンシートを複数枚積み重ねる。
【0004】こうして得られた積層体を内部電極が端面
に露出するようにしてチップ状に切断し、これを焼成す
る。そして、この焼結された積層体を研磨することで、
その端面に内部電極を露出させ、さらにこの端面に導電
ペーストを塗布し、これを焼き付けて外部電極を形成す
ることにより、所望の積層チップコンデンサが作製され
ていた。
【0005】また、他の積層セラミックコンデンサの製
造方法として、セラミックの積層体を焼成する前に、そ
の端部に予め導電ペーストを塗布し、同時焼成するとい
う製造方法もある。さらに、積層体を得る方法も、セラ
ミックグリーンシートを使用する、いわゆるシート法の
他に、セラミックペーストと導電ペーストとを交互に印
刷していく、いわゆる印刷法も採用されている。
【0006】ところで、このような積層コンデンサは、
近年においては小型化と共に大容量化が要求されてい
る。この要求に応えるため誘電体セラミック層を薄層化
することにより高積層化を可能にしている。しかし、積
層数が多くなると、内部電極の厚みにより、積層体内部
でセラミック層を介して内部電極が重なり合っている部
分と、それ以外のマージン部分との積層厚みの差が大き
くなる。大きな容量を得るためにサイドマージンを狭め
た場合には内部電極の上下に位置するセラミックス同士
の接着が損なわれ、デラミネーションと呼ばれる層剥離
が生じがちであった。
【0007】このような問題点を解決する手段として、
例えば特開平3−82005号公報には、内部電極の側
端部が酸化された積層セラミックコンデンサが提案され
ている。この積層セラミックコンデンサの内部電極層の
各層(奇数層、偶数層)における断面図を図5に示す。
このコンデンサの構造によれば、内部電極層1の側端部
が酸化されて酸化物2が形成されているため、内部電極
層1とこの上下に位置する誘電体層との結合が強く、デ
ラミネーションが抑制され、高容量コンデンサが得られ
る。尚、図中、符号6は外部電極を示し、符号8はエン
ドマージン領域を示す。
【0008】さらに、例えば特開平8−181032号
公報には、外部電極とは電気的に接続しない内部電極層
と同一組成の導体層を形成した非有効積層体を備えた積
層セラミックコンデンサが開示されている。これによれ
ば、内部電極層を積層している有効積層体とそれ以外の
非有効積層体の焼成収縮差が緩和され、デラミネーショ
ンの発生が抑制され、信頼性の高い積層セラミックコン
デンサが得られるとされている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】積層セラミックコンデ
ンサでは、内部電極層の一端は外部電極と接続されてお
り、その他端は外部電極と絶縁されているが、上記特開
平3−82005号公報に開示された積層セラミックコ
ンデンサでは、図5に示すように、内部電極層1の他端
が外部電極6と接続しないように、内部電極形成面積を
印刷パターンによって制御し、いわゆるエンドマージン
領域8を形成させている。このため、印刷精度による短
絡及びデラミネーションを防止するためには、大きなエ
ンドマージン領域8を形成する必要があり、従って有効
電極面積を大きくするには限界があった。
【0010】また、この技術を用いて誘電体層を薄層
化、高積層化した場合、内部電極1が重なり合っている
部分とそれ以外のエンドマージン領域8との積層厚みの
差が大きくなり、未だ厚み差によるひずみが大きいとい
う問題があった。
【0011】上記特開平8−181032号公報に開示
された積層セラミックコンデンサでは、非有効積層体内
部に導体層を形成している。このため、印刷精度による
導体層の露出を防止するには、大きなエンドマージン領
域及びサイドマージン領域を形成する必要があり、導体
層が重なり合っている部分とそれ以外のエンド及びサイ
ドマージン領域との積層厚みの差が導体層を形成しない
ものに比べて大きくなり、厚み差によるひずみが大きい
という問題があった。
【0012】さらに、上記いずれの技術においても、内
部電極層に含まれる金属とセラミックとの焼成時におけ
る収縮率や熱膨張係数等の違いにより、コンデンサに発
生する内部応力が大きくなり、歪みが大きくなる。この
歪みによって、同じ誘電体層厚みであっても積層数の増
大により誘電特性が悪化すると共に、表面実装工程で生
じる熱応力や機械的応力さらには熱衝撃等によりコンデ
ンサにクラックを生じ、その信頼性の低下を引き起こす
という問題があった。
【0013】そこで本発明は、上述の従来の諸問題を解
消するとともに、有効電極面積を大きくして静電容量を
向上させることができるとともに、誘電体層を薄層化、
高積層化による誘電特性の悪化を防止し、さらには表面
実装工程でのクラック発生を抑制し、コンデンサとして
の信頼性を向上し得る積層セラミックコンデンサを提供
することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記問題
について鋭意検討した結果、積層セラミックコンデンサ
の有効積層体における内部電極層を、異なる金属を主成
分とする2種類の内部電極層ペーストを用いて全面に形
成し、内部電極層の外部電極に接する部分を一層おきに
内部電極層を構成する金属の酸化物によって電気的に絶
縁すると、有効電極面積を大きくすることができると同
時に、全面に内部電極領域が形成されるためにコンデン
サの場所による厚み差が生じないことを知見し、さらに
内部電極層の形成されていない非有効積層体内に、内部
電極層の卑金属部と同一組成の導体層を全面に形成する
ことにより、焼成時の有効積層体と非有効積層体の収縮
差も緩和できることを知見し、さらにまた前記非有効積
層体の誘電体層の熱膨張係数が前記有効積層体の誘電体
層の熱膨張係数より4〜10×10-7/℃だけ小さく、
かつ全体の厚みに対する非有効積層体の厚みの割合をそ
れぞれ2.5〜25%とすることにより、内部電極層に
含まれる金属とセラミックとの焼成時における収縮率や
熱膨張係数等の違いにより、コンデンサに発生する内部
応力を小さくできることを見出し本発明に至った。
【0015】即ち、本発明の積層セラミックコンデンサ
は、コンデンサ本体と該コンデンサ本体の両端部に配設
された一対の外部電極からなる積層セラミックコンデン
サであって、前記コンデンサ本体を、一端側に酸化領域
を有する第一導体層と他端側に酸化領域を有する第2導
体層とを、間に誘電体層を挟んで交互に積層してなる有
効積層体と、該有効積層体の両面にそれぞれ配置され、
両端に酸化領域を有する第3導体層と誘電体層とを交互
に積層してなる非有効積層体とから構成するとともに、
前記有効積層体の第1導体層を一方の外部電極に、前記
第2導体層を他方の外部電極に接続し、さらに、前記非
有効積層体の誘電体層の熱膨張係数を前記有効積層体の
誘電体層の熱膨張係数より4〜10×10-7/℃だけ小
さくし、かつ前記コンデンサ本体の厚みに対する前記非
有効積層体の厚みの割合を2.5〜25%としたことを
特徴とする。
【0016】ここで、有効積層体の第1導体層および第
2導体層が、貴金属を主成分とする貴金属部と、貴金属
以外の金属を主成分とする卑金属部とから構成されてい
ることが望ましい。また、非有効積層体の第3導体層
が、貴金属以外の金属を主成分、即ち、前記卑金属部と
同一組成とすることを特徴とする。尚、導体層は1層以
上とする。
【0017】
【作用】本発明の積層セラミックコンデンサは、内部電
極層の第1導体層と第2導体層とが間に誘電体層を介し
て形成され、かつ外部電極と電気的に接続される内部電
極層の一端部分を除き、内部電極層の外周部が酸化さ
れ、酸化物が形成されているため、外部と電気的に絶縁
できるとともに、内部電極の他端と外部電極との間の絶
縁するための距離(エンドマージン)を最小にすること
ができ、これにより有効電極面積を大きくすることがで
き、静電容量を大きくすることができる。
【0018】即ち、上記した特開平3−82005号公
報に開示された積層セラミックコンデンサでは、内部電
極の他端が外部電極と接続しないように、内部電極形成
面積を印刷パターンによって制御していたため、大きな
エンドマージン領域を形成せざるを得なかったが、本発
明では、内部電極層を形成するための印刷パターンを制
御することなく、内部電極層の端部を酸化することによ
り外部電極と絶縁できるため、有効電極面積を大きくす
ることができるのである。
【0019】さらに、特開平8―181032号公報に
開示された積層セラミックコンデンサでは、非有効積層
体内部に導体層を形成するため、印刷精度による導体層
の露出を防止するには、大きなエンド及びサイドマージ
ン領域を形成する必要があったが、本発明では、内部電
極層を形成するための印刷パターンを制御することな
く、内部電極層の端部を酸化することにより外部電極と
絶縁できるため、有効積層体と非有効積層体の焼結時の
収縮差をより小さくすることができる。
【0020】また、誘電体層の間に形成される内部電極
及び導体層の面積は、誘電体層と同じ面積であるため、
コンデンサの場所による厚み差が生じることはない。こ
れにより、厚み差に起因する内部応力からデラミネーシ
ョンが発生することを防止できる。
【0021】さらに、内部電極層が、外部電極と電気的
に接続される側に形成されたパラジウムを主成分とする
貴金属領域と、その他の例えばニッケルを主成分とする
卑金属領域から構成することにより、コンデンサ本体を
作製する際において、内部電極層の一端部に、外部電極
と電気的に接続できるようにパラジウム主成分の領域が
形成され、その他の部分に卑金属を主成分とする領域が
形成される。
【0022】従って、コンデンサ本体を酸化処理するこ
とにより、卑金属を主成分とする領域の外周部が酸化さ
れ、卑金属の酸化物が形成され、コンデンサ本体に外部
電極を形成した時、内部電極層の一端部と外部電極とが
電気的に接続されるとともに、内部電極層の他端部と外
部電極とが絶縁され、さらに、内部電極層の側面部が酸
化されるために外部と絶縁されることになる。
【0023】また、本発明の積層セラミックコンデンサ
は、非有効積層体の誘電体層の熱膨張係数が有効積層体
の誘電体層の熱膨張係数より所定量小さく、かつ、コン
デンサ本体の厚みに対する非有効積層体の厚みの割合を
2.5〜25%としたために、焼結後の冷却過程で有効
積層体に引張応力が、非有効積層体に圧縮応力が蓄積さ
れ残留し、この応力によって有効積層体の誘電体セラミ
ック層は本来の特性を示すことができる。
【0024】即ち、例えば、図8に示すように、本発明
の積層セラミックコンデンサの一対の外部電極6を、銅
配線されたガラスエポキシ等の基板17上に半田18に
より実装する場合、外部電極6の間のコンデンサ本体に
は、実装過程で生じる熱応力、機械的応力さらには熱衝
撃(基板に加わる曲げ応力やハンダ付けの際の熱負荷等
による)等による引張応力が作用するが、この引張応力
は非有効積層体の圧縮応力により吸収され、その結果非
有効積層体と有効積層体との間にストレスが生じず、ク
ラックの発生が未然に防止される。
【0025】また、積層セラミックコンデンサの幅及び
厚みが同等の場合、実装方向の峻別が難しいが、応力が
集中するコーナー部は上記熱膨張係数の特定された非有
効積層体であるため、どの方向に実装しても引張応力の
大半を吸収することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について
図面に基づき詳細に説明する。
【0027】図1は、本発明の積層セラミックコンデン
サC1の一例を示す断面図である。
【0028】図1に示すように、積層セラミックコンデ
ンサC1は、誘電体層11と内部電極層(第1導体層1
2、第2導体層13)とが交互に積層され、さらにコン
デンサ本体Cの両端部に、一部の導体層(一端側に酸化
領域を有する第1導体層12、他端側に酸化領域を有す
る第2導体層13)が電気的に接続される外部電極16
を配設してなるものであり、コンデンサ本体C1は、誘
電体層11aと内部電極層(第1導体層12、第2導体
層13)とが交互に積層された有効積層体Aと、この有
効積層体Aの両面側に配設され、誘電体層11bと両端
14aに酸化領域を有する第3導体層14とが交互に積
層された非有効積層体Bとから構成されている。
【0029】図2は、内部電極層の各層(第1導体層1
2、第2導体層13)の断面図を示すものであり、図2
(a)は有効積層体Aの下側から数えて奇数層(第1導
体層12)の断面を、図2(b)は偶数層(第2導体層
13)の断面をそれぞれ示す。
【0030】図2(a)(b)に示すように、有効積層
体Aにおいては、第1及び第2導体層12,13の外部
電極16に位置する一端部12a,13aを貴金属
(金、銀、及び白金族(Ru、Rh、Pd、Os、I
r、Pt))を主成分とする貴金属部とし、それ以外の
外周部12b、13b、内側領域12c,13cを貴金
属以外の金属(貴金属よりイオン化傾向の小さい金属)
を主成分とする卑金属部とし、例えば図1に示すように
外周部12b、13bを酸化領域としている。ここで卑
金属部を構成する金属としては、Ni、Co、Fe、C
u等が好適であるが、貴金属部としてはPdを、卑金属
部としてニッケルを主成分とするのが望ましい。これは
PdやNiが安価である上、互いに融点が近似してお
り、共晶等の低融点の化合物を作らない組み合わせとし
て最適であるからである。
【0031】また、非有効積層体B内の第3導体層14
は上記内部電極層の卑金属部と同一組成とすると作製上
好ましく、第3導体層14の外周部14aは酸化されて
いる。
【0032】また、第1〜第3導体層12〜14は金属
を主成分とするものであればよく、金属の他に金属の酸
化物やガラス、誘電体層と同一のセラミック材料等を含
有していても良い。
【0033】そして、非有効積層体Bの誘電体層11b
の熱膨張係数が有効積層体Aの誘電体層11aの熱膨張
係数より4〜10×10-7/℃だけ小さく、かつ、図1
に示すように、コンデンサ本体Cの厚み(A+2B)に
対する非有効積層体Bの厚みの割合(B/(A+2
B))がそれぞれ2.5〜25%とされている。
【0034】非有効積層体Bと有効積層体Aの誘電体層
の熱膨張係数差及びコンデンサ本体Cの厚みに対する片
側の非有効積層体Bの厚みの割合を上記のごとく特定し
た理由は、熱膨張係数差が4×10-7/℃未満の場合、
誘電特性の悪化を防止するための引張応力を有効積層体
Aに十分付与できず、かつ表面実装工程で生じる熱応
力、機械的応力さらには熱衝撃を吸収し得るに十分な圧
縮応力を非有効積層体に付与できず表面からクラックが
生じ易くなるからである。
【0035】また、コンデンサ本体Cの厚みに対する非
有効積層体Bの割合が2.5%未満の場合、誘電特性の
悪化を防止するための引張応力を有効積層体Aに付与で
きないからである。一方熱膨張係数差が10×10-7
℃を越え、あるいはコンデンサ本体Cの厚みに対する非
有効積層体Bの厚みの割合が25%よりも大きい場合、
有効積層体Aに付与される引張応力が大きくなり過ぎ
て、有効積層体Aからクラックが生じ易くなるからであ
る。
【0036】非有効積層体Bと有効積層体Aの誘電体層
の熱膨張係数差は、誘電特性の悪化を防止すると共に、
表面実装工程等で生じる圧縮応力を低減するために、有
効積層体Aに最適な引張応力を付与するという理由か
ら、有効積層体Aが6〜10×10-7/℃大きいことが
望ましい。
【0037】また、コンデンサ本体Cの厚みに対する片
側の非有効積層体Bの厚みの割合は、有効積層体Aに最
適な引張応力を付与するという理由から、7.5〜20
%であることが望ましい。
【0038】誘電体層は、誘電特性向上という点から、
主に、チタン酸バリウム、チタン酸ランタン、チタン酸
カルシウム、チタン酸ネオジウム及びチタン酸マグネシ
ウム等のチタン酸塩を主成分とする誘電体セラミックス
から構成することが望ましい。この場合は、上記非有効
積層体の誘電体層が有効積層体の誘電体層よりジルコニ
ウム酸塩を5〜15mol%多く含むよう調整すること
により、非有効積層体と有効積層体との熱膨張係数の差
を上記のごとく設定することができる。非有効積層体に
おけるジルコニウム酸塩の過剰含有量が5mol%未満
の場合、上記熱膨張係数差が4×10-7/℃を下回り、
逆に15mol%を越えると同熱膨張係数差が10×1
-7/℃を上回ることになる。
【0039】尚、誘電体層の原料として、ジルコニウム
酸塩を用いてはいないが、原料中に不可避的に含まれて
いる場合があること、誘電体層の一組成材料としてジル
コニウム酸塩を後添加する場合もあることから、ジルコ
ニウム酸塩について非有効積層体が5〜15mol%多
く含むと表現した。このように、誘電体層の原料として
ジルコニウム酸塩を添加すると、コンデンサとしての磁
器強度も大となるので望ましい。
【0040】本発明の積層セラミックコンデンサC1
は、例えば、先ず、誘電体層となるグリーンシートを作
製することにより得られる。グリーンシートは、例え
ば、チタン酸バリウムを主成分とし、酸化イットリウ
ム、炭酸マンガン及び酸化マグネシウムを加えた誘電体
粉末に、水及び分散剤を加え、ボールミルにて混合粉砕
した後、有機バインダーを混合し、得られたスラリーを
所定厚みのテープ状に成形することにより得られる。
【0041】有効積層体の誘電体層の材料としては、チ
タン酸バリウムを主成分とし、この主成分100モル部
に対して、酸化マグネシウムを0.5〜8モル部、炭酸
マンガンを0.05〜0.5モル部、酸化イットリウム
を0.3〜4モル部添加含有したものを用いることが誘
電率などの特性を向上するという点から望ましい。
【0042】有効積層体の誘電体層の原料粉末に、ジル
コン酸塩、例えばジルコン酸カルシウム(CaZr
3 )、ジルコン酸バリウム(BaZrO3 )粉末を5
〜15モル%加え、非有効積層体の材料とする。
【0043】導体ペーストは、例えば、ニッケル粉末に
有機可塑剤を加えたペースト、及びパラジウム粉末に有
機可塑剤を加えたペーストを作製する。なお、ニッケル
やパラジウムはペースト中に例えば40〜60重量%程
度含有するものとする。
【0044】そして、図3に示すように、上記有効積層
体用の誘電体層のグリーンシート31の上面に、例え
ば、スクリーン印刷法によりニッケルの導体ペースト及
びパラジウムの導体ペーストを塗布し、ニッケル内部電
極領域33とパラジウム内部電極領域35が交互に並ぶ
ように、導体ペーストを塗布したグリーンシート31を
積層し有効積層体を形成する。
【0045】一方、有効積層体両面にスクリーン印刷法
により内部電極と同一のニッケルの導体ペーストを塗布
した非有効積層体用の誘電体グリーンシートを複数枚積
層し非有効積層体を形成する。
【0046】そして、得られた積層成形体を所定寸法に
切断したのち、例えば、酸素分圧3×10-8〜3×10
-3Pa、温度1150〜1300℃で0.5〜3時間焼
成し、この後、大気中において温度800〜1150℃
で30分〜5時間熱処理することにより焼結体表面に露
出したニッケルを酸化させ、コンデンサ本体を作製す
る。このコンデンサ本体を図4に示す。
【0047】次に、銅粉末に有機可塑剤を加えたペース
トを作製し、このペーストを、前記内部電極層と交互に
電気的に接続するようにコンデンサ本体の両端に焼き付
けて積層セラミックコンデンサを作製する。
【0048】尚、上記例では、ニッケルとパラジウムの
組み合わせからなる内部電極を形成したが、本発明は上
記例に限定されるものではない。さらに、例えばスパッ
タ法等の薄膜形成手法を用いて、外部電極を前記内部電
極層と交互に電気的に接続するように焼結体に形成すれ
ば有効電極面積を更に大きくすることができる。
【0049】
【実施例】先ず、チタン酸バリウムを主成分とし、この
主成分100モル部に対して、酸化イットリウムを1モ
ル部、酸化マグネシウムを2モル部、酸化マンガンを
0.1モル部添加した誘電体粉末に、水及び分散剤を加
え、ZrO2 ボールを用いたボールミルにて混合粉砕し
た後、有機バインダーを混合し、得られたスラリーを厚
み8μmのテープ状に成形し、有効積層体用および非有
効積層体の誘電体グリーンシートを得た。
【0050】一方、内部電極として、ニッケル粉末に有
機可塑剤を加えたペースト、及びパラジウム粉末に有機
可塑剤を加えたペーストを用意し、各々上記有効積層体
用のテープ上に図3に示すようにニッケルとパラジウム
が交互に並ぶようにスクリーン印刷法にて形成し、テー
プを積層した。
【0051】次に、従来の図6に示すような一般的なコ
ンデンサを作製するため、内部電極としてニッケルを用
い、スクリーン印刷によりエンド及びサイドマージン領
域を形成したグリーンシートを積層して成形体を作製す
るとともに、図5に示したようなコンデンサを作製する
ため、内部電極としてニッケルを使用し、スクリーン印
刷によりエンドマージン部8を形成したグリーンシート
を積層して成形体を作製した。
【0052】尚、図5、図6において符号1は内部電
極、符号6は外部電極、符号8はエンドマージン領域、
符号9はサイドマージン領域である。さらに、図7に示
したような非有効積層体を有するコンデンサ(特開平8
−181032号)を作製するため、非有効積層体内の
内部導体層にニッケルを使用し、スクリーン印刷により
エンド及びサイドマージン領域を形成した成形体を用意
した。尚、有効積層体の内部電極層は図6と同じであ
る。得られた成形体を切断したのち、酸素分圧1×10
-6Pa、温度1260℃で2時間焼成し、次に、酸素分
圧1×101 Pa、温度1000℃で1時間熱処理を行
った。
【0053】この焼結体をバレル研磨後、コンデンサの
内部電極が露出した両端面に銅ペーストを塗布し、90
0℃で焼き付け、さらにその上にNiメッキ及びSnメ
ッキを施し、誘電体層厚み5μm、有効誘電体層数15
0層、外形寸法3.2mm×1.6mm×0.96〜
2.1mm、有効電極面積4.38(3.04×1.4
4)mm2 の積層コンデンサを得た。
【0054】次にこれらの試料を、LCRメーター42
84Aを用いて周波数1.0kHz、入力信号レベル
1.0Vrmsにて+25℃における静電容量を測定し
た。
【0055】この結果、従来の一般的な図6及び図7の
コンデンサの場合、静電容量は3350nFであり、図
5に示したようなコンデンサの場合3560nFであっ
たのに対して、内部電極としてニッケルとパラジウムを
交互に並ぶように形成し、内部電極層の外部電極に接す
る部分を一層おきに内部電極を構成する金属の酸化物に
よって電気的に絶縁した本発明の場合、静電容量は45
00nFであった。よって静電容量の大きい積層セラミ
ックコンデンサを作製できることがわかる。
【0056】次にこれらのコンデンサのデラミネーショ
ン発生状況を確認した。この結果、従来のコンデンサ
(図6)では50個中49個にデラミネーションまたは
クラックが発生し、非有効積層体に金属を設けない場合
(図5)は、50個中20個にデラミネーションが発生
し、有効積層体内に導体層を形成した場合(図7)は、
50個中17個にデラミネーションが発生し、本発明の
有効積層体内に外周部が露出するように金属層を形成し
た場合は、クラック、デラミネーションの発生は無かっ
た。これにより、本発明の積層セラミックコンデンサは
従来の積層セラミックコンデンサと比較して、デラミネ
ーションおよびクラックがみられず、高い信頼性が得ら
れることがわかる。
【0057】次に、上記誘電体材料粉末にジルコン酸カ
ルシウム(CaZrO3 )及び/またはジルコン酸バリ
ウム(BaZrO3 )粉末を、表1に示す量だけ加え、
上記誘電体セラミック用のスラリーと同様に処理して非
有効積層体用のグリーンシートを得、上記と同様にして
積層セラミックコンデンサを作製した。
【0058】そして、非有効積層体の厚み、CaZrO
3 及びBaZrO3 の添加量を変えた試料について、図
1に示す片側の非有効積層体の厚みBとコンデンサ本体
の厚み(A+2B)との比を表1に示した。また有効積
層体の誘電体層の熱膨張係数から非有効積層体の誘電体
層の熱膨張係数を差し引いた値Δαを測定算出し、さら
に残留応力(非有効積層体の圧縮応力、有効積層体の引
張応力)をFEM解析法により求めた。
【0059】また、試料をLCRメーター4284Aを
用いて、周波数1kHz、入力信号レベル1.0Vrm
sにて−55〜125℃における静電容量を測定し、+
25℃での静電容量に対する各温度での静電容量の変化
率TCCを算出した。
【0060】上記コンデンサを銅配線されたガラスエポ
キシ基板上にハンダ付けし、該基板を間隔が90mmの
支持台に載せ、基板の裏面より押圧してコンデンサにク
ラックが入るまでのたわみ変形量を求めた(日本電子機
械工業会規格RC−3402に準拠)。
【0061】上記焼結体の研磨断面を実体顕微鏡(×4
0)で観察し、内部のクラックの有無を調べた。
【0062】非有効積層体の厚み、CaZrO3 及びB
aZrO3 の添加量、非有効積層体の熱膨張係数α、非
有効積層体と有効積層体との熱膨張係数の差Δα、残留
応力、誘電特性、クラックが入るまでのたわみ変形量及
び内部クラックの有無の観察結果を一括して表1、2に
示す。
【0063】
【表1】
【0064】
【表2】
【0065】これらの表1、2において、試料No.3
〜9、11、12、14、15は、いずれも非有効積層
体部の圧縮応力が有効積層体の引張応力より大きいた
め、上記規格RC−3402の試験法によるクラックが
入るまでの変形量が大きく、表面実装時の引張応力に十
分耐えることが理解される。また、有効積層体の引張応
力が5kg/mm2 よりも小さく従って内部クラックが
皆無である。
【0066】これに対し、試料No.1、17は、非有
効積層体と有効積層体との熱膨張係数に差がないため、
非有効積層体に圧縮応力が蓄積されず、従ってクラック
が入るまでの変形量が小さく、表面実装の際の引張応力
によりクラックが発生する可能性がある。
【0067】試料No.13は、積層セラミックコンデ
ンサの全厚みに対する非有効積層体の割合が大きいため
有効積層体の引張応力が大となり、焼結体内部にクラッ
クが発生した。
【0068】逆に試料No.10は非有効積層体の割合
が小さいために有効積層体の引張応力が0.5kg/m
2 よりも小さくTCCを改善できない。また試料N
o.2は熱膨張係数の差が小さいために有効積層体の引
張応力が0.5kg/mm2 よりも小さくなりTCCを
改善できない。更に、試料No.16は、熱膨張係数の
差が大きいため有効積層体の引張応力が5kg/mm2
よりも大となり試料No.13と同様内部クラックが発
生した。
【0069】尚、上記では非有効積層体の熱膨張係数を
小さくする手段として、有効積層体の誘電体材料にジル
コン酸塩を添加する方法を採用したが、他の方法の採用
を除外するものではない。
【0070】
【発明の効果】本発明の積層セラミックコンデンサは、
内部電極層が誘電体層の全面に形成され、かつ、外部電
極と電気的に接続される内部電極層の一端部分を除き、
内部電極層の外周部が酸化され、酸化物が形成されてい
るため、外部と絶縁することができるとともに、有効電
極面積を大きくすることができ、静電容量を大きくする
ことができる。
【0071】さらに、非有効積層体に金属層を形成して
いるため、有効積層体と非有効積層体の焼結収縮による
応力が緩和される。また、非有効積層体部の熱膨張係数
が有効積層体のそれより所定量小さく、コンデンサ本体
の厚みに対する非有効積層体の厚みの割合が2.5〜2
5%であるため、焼結後、有効積層体には引張応力が蓄
積残留し、高積層時においても誘電特性が劣化せず、非
有効積層体に圧縮応力が蓄積残留し、表面実装時の引張
応力が吸収され、クラック発生が抑止され、コンデンサ
の信頼性が維持される。上記優れた特性を有する積層セ
ラミックコンデンサが確実に得られる。
【0072】このように特筆すべき効果を有する本発明
の実用価値はきわめて大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の積層セラミックコンデンサを説明する
縦断面図である。
【図2】図1における横断面であり、(a)、(b)は
それぞれ内部電極層の各層の横断面図である。
【図3】導電ペーストが塗布されたグリーンシートを積
層する状態を模式的に示す斜視図である。
【図4】コンデンサ本体の斜視図である。
【図5】従来の内部電極の側端部を酸化して形成された
積層セラミックコンデンサの横断面図である。
【図6】従来の一般的な積層セラミックコンデンサの横
断面図である。
【図7】従来の非有効積層体に導体層を形成した積層セ
ラミックコンデンサの非有効積層体を示す横断面図であ
る。
【図8】積層セラミックコンデンサの基板への表面実装
を示す縦断面図である。
【符号の説明】
11・・・誘電体層 12・・・第1導体層 13・・・第2導体層 14・・・第3導体層 16・・・外部電極 12a、13a・・・貴金属部 12b、13b、13c、14a・・・卑金属部 A・・・有効積層体 B・・・非有効積層体 C・・・コンデンサ本体 C1・・・積層セラミックコンデンサ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01G 4/00 - 4/42

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】コンデンサ本体と該コンデンサ本体の両端
    部に配設された一対の外部電極からなる積層セラミック
    コンデンサであって、前記コンデンサ本体を、一端側に
    酸化領域を有する第一導体層と他端側に酸化領域を有す
    る第2導体層とを、間に誘電体層を挟んで交互に積層し
    てなる有効積層体と、該有効積層体の両面にそれぞれ配
    置され、両端に酸化領域を有する第3導体層と誘電体層
    とを交互に積層してなる非有効積層体とから構成すると
    ともに、前記有効積層体の第1導体層を一方の外部電極
    に、前記第2導体層を他方の外部電極に接続し、さら
    に、前記非有効積層体の誘電体層の熱膨張係数を前記有
    効積層体の誘電体層の熱膨張係数より4〜10×10-7
    /℃だけ小さくし、かつ前記コンデンサ本体の厚みに対
    する前記非有効積層体の厚みの割合を2.5〜25%と
    したことを特徴とする積層セラミックコンデンサ。
  2. 【請求項2】有効積層体の第1導体層および第2導体層
    が、貴金属を主成分とする貴金属部と、貴金属以外の金
    属を主成分とする卑金属部とから構成されていることを
    特徴とする請求項1記載の積層セラミックコンデンサ。
  3. 【請求項3】非有効積層体の第3導体層が、貴金属以外
    の金属を主成分とすることを特徴とする請求項1または
    2記載の積層セラミックコンデンサ。
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