JPH11340083A - 積層セラミックコンデンサ - Google Patents

積層セラミックコンデンサ

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JPH11340083A
JPH11340083A JP10149386A JP14938698A JPH11340083A JP H11340083 A JPH11340083 A JP H11340083A JP 10149386 A JP10149386 A JP 10149386A JP 14938698 A JP14938698 A JP 14938698A JP H11340083 A JPH11340083 A JP H11340083A
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capacitor
generating portion
capacity
internal electrode
capacitance
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JP10149386A
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Yoshihiro Fujioka
芳博 藤岡
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Kyocera Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】温度に対する静電容量の変化を小さくすること
ができ、さらには表面実装工程でのクラック発生を抑制
し、コンデンサとしての信頼性を維持し得る積層セラミ
ックコンデンサを提供する。 【解決手段】コンデンサ本体1を、異なる金属を主成分
とする複数種類の内部電極層5と複数のセラミック誘電
体層4を交互に積層してなる容量発生部7と、該容量発
生部7の周囲に形成されたセラミックスからなる非容量
発生部9とから構成するとともに、非容量発生部9の熱
膨張係数が容量発生部7のセラミック誘電体層4の熱膨
張係数より4〜10×10-7/℃だけ小さく、かつ非容
量発生部9の体積がコンデンサ本体1の体積の5〜50
%である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、誘電体層と内部電
極層とを交互に積層してなる積層セラミックコンデンサ
本体の両端部に、一対の外部電極を形成した積層セラミ
ックコンデンサに関する。
【0002】
【従来技術】従来、積層セラミックコンデンサとして
は、誘電体層と、金属を含有する1種類の内部電極層と
を交互に積層し、内部電極層の一端部を交互にコンデン
サ本体表面の異なる場所に露出させ、該露出部分に端子
電極を形成した構造を有していた。
【0003】このような積層セラミックコンデンサの一
般的な製造方法は、例えば、誘電体セラミック粉末を有
機バインダーに分散させたセラミックスラリーをシート
状に成形してセラミックグリーンシートを作製し、スク
リーン印刷法などにより、このセラミックグリーンシー
トの上に導電ペーストで内部電極パターンを印刷する。
【0004】この後、この内部電極パターンが印刷され
たセラミックグリーンシートを複数枚積層し、さらにそ
の上下両面に内部電極パターンが印刷されていないセラ
ミックグリーンシートを複数枚積み重ねる。こうして得
られた積層体を内部電極が端面に露出するようにチップ
状に切断し、これを焼成する。そして、この焼結された
積層体を研磨することで、その端面に内部電極を露出さ
せ、この端面に導電ペーストを塗布し、これを焼き付け
て外部電極を形成することにより、積層チップコンデン
サを作製していた。
【0005】また、他の積層セラミックコンデンサの製
造方法として、セラミックの積層体を焼成する前に、そ
の端部に予め導電ペーストを塗布し、外部電極を同時焼
成するという製造方法もある。さらに、積層体を得る方
法も、セラミックグリーンシートを使用する、いわゆる
シート法の他に、セラミックペーストと導電ペーストと
を交互に印刷していく、いわゆる印刷法も採用されてい
る。
【0006】このようなチップ型積層コンデンサは、近
年においては小型化と共に大容量化が要求されている。
この要求に応えるためセラミック誘電体層を薄層化する
ことにより高積層化を図っている。
【0007】しかしながら、誘電体層を薄層、高積層化
することにより、内部電極に含まれる金属と誘電体層の
セラミックとの収縮率や熱膨張係数等の違いにより、内
部応力が大きくなり、歪が大きくなる。これにより表面
実装工程で生じる熱衝撃によりコンデンサにクラックを
生じ、その信頼性の低下を引き起こすことが多々あっ
た。
【0008】熱衝撃により発生する内部応力を緩和して
クラック発生を防止する方法として、特開平8−557
53号には、内部電極に多数の微細空孔が均一に形成さ
れた積層セラミックコンデンサが開示されている。この
積層セラミックコンデンサ及びその製造方法によれば、
熱衝撃により生じた内部応力を、内部電極の微細空孔の
変形によって吸収、緩和できるとされている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平
8−55753号に開示された積層セラミックコンデン
サでは、コンデンサに生じる熱衝撃を内部電極の微細空
孔の変形によって吸収、緩和できるものの、焼成時にお
いて内部電極に含まれる金属と誘電体層のセラミックス
との焼成収縮率の違いによりコンデンサに発生する内部
応力(圧縮)を緩和することはできない。
【0010】さらに積層セラミックコンデンサで用いら
れる内部電極は、ニッケル、銀、銅、パラジウム等の金
属を含む単一種類であったため、例えば内部電極がパラ
ジウムから構成される場合には高価となり、内部電極が
ニッケルから構成される場合には内部電極の収縮率が大
きいため、誘電体層に発生する内部応力が大きくなり、
歪みが大きくなる。この歪みによって、同じ誘電体厚み
であっても積層数の増大により、温度に対する静電容量
の変化が大きくなるとともに、表面実装工程で生じる熱
応力や機械的応力さらには熱衝撃等によりコンデンサに
クラックを生じ、その信頼性の低下を引き起こすという
問題があった。
【0011】
【発明の目的】本発明は、温度に対する静電容量の変化
を小さくすることができ、さらには表面実装工程でのク
ラック発生を抑制し、コンデンサとしての信頼性を維持
し得る積層セラミックコンデンサを提供することを目的
とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明の積層セラ
ミックコンデンサは、コンデンサ本体と該コンデンサ本
体の両端部に配設された一対の外部電極とを具備した積
層セラミックコンデンサであって、前記コンデンサ本体
を、異なる金属を主成分とする複数種類の内部電極層と
複数のセラミック誘電体層を交互に積層してなる容量発
生部と、該容量発生部の周囲に形成されたセラミックス
からなる非容量発生部とから構成するとともに、前記非
容量発生部の熱膨張係数が前記容量発生部のセラミック
誘電体層の熱膨張係数より4〜10×10-7/℃だけ小
さく、かつ前記非容量発生部の体積がコンデンサ本体の
体積の5〜50%であることを特徴とする。ここで、内
部電極層がニッケルを主成分とする内部電極層と、パラ
ジウムを主成分とする内部電極層の2種類からなり、こ
れらの内部電極層が交互に形成されていることが望まし
い。
【0013】
【作用】本発明の積層セラミックコンデンサは、誘電体
層と、異なる金属を主成分とする複数種類の内部電極層
とから容量発生部が形成されているため、例えば、ニッ
ケルを含有する内部電極層とパラジウムを含有する内部
電極層を用いることにより、ニッケルからなる内部電極
層のみで形成されたコンデンサよりも内部電極の焼成時
における収縮率が小さくなり、容量発生部の誘電体層に
発生する内部応力(圧縮応力)が緩和される。また、全
ての内部電極をパラジウムで形成する必要がなく、一部
を安価なニッケル等の内部電極層を用いることができ、
パラジウムからなる内部電極層のみで形成されたコンデ
ンサよりも安価に製造することができる。
【0014】さらに、非容量発生部の熱膨張係数を容量
発生部の誘電体層の熱膨張係数よりも4〜10×10-7
/℃だけ小さくすることにより、焼結後の冷却過程で容
量発生部に引張応力が蓄積され、非容量発生部に圧縮応
力が蓄積され残留し、この応力により温度に対する静電
容量の変化を小さくできるとともに、表面実装工程での
クラック発生を抑制し、コンデンサとしての信頼性を維
持し得るのである。
【0015】即ち、例えば、図4に示すように、本発明
の積層セラミックコンデンサの一対の外部電極3を、銅
配線されたガラスエポキシ等の基板11上に半田13に
より実装する場合、両側を半田13により固定されるた
め、外部電極3の間のコンデンサ本体1には、実装工程
で生じる熱応力、機械的応力さらには熱衝撃(基板に加
わる曲げ応力や半田付けの際の熱負荷等による)等によ
る引張応力が作用するが、この引張応力は非容量発生部
の圧縮応力により吸収され、その結果非容量発生部と容
量発生部との間にストレスが生じず、クラックの発生が
未然に防止される。
【0016】また、積層セラミックコンデンサの幅およ
び厚みが同等の場合、実装方向の峻別が難しいが、応力
が集中するコーナー部は上記熱膨張係数の特定された非
容量発生部であるため、どの方向に実装しても引張応力
の大半を吸収することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明の積層セラミックコンデン
サは、図1、図2及び図3に示すように、コンデンサ本
体1の両端部に外部電極3を配設して構成され、コンデ
ンサ本体1は、セラミック誘電体層4と、異なる金属を
主成分とする複数種類の内部電極層5とを交互に積層し
てなる容量発生部7と、該容量発生部7の外周囲に形成
されたセラミックからなる非容量発生部9とから構成さ
れている。尚、非容量発生部9は、図1〜図3において
斜線部で示す。また、容量発生部7は、図2に示す上下
端の内部電極層5に囲まれた部分であって、図3に示す
ように、外部電極3と接続されないコンデンサ本体1の
側面における内部電極層5の両端間を言う。
【0018】非容量発生部9は、コンデンサとして機能
しないセラミックからなるものであり、複数種類の内部
電極層5a、5bとしては、異なる2種類の内部電極層
5a、5bを交互に積層することが誘電体層4の内部応
力緩和という点から望ましいが、これに限定されるもの
ではない。
【0019】内部電極層5に用いられる金属としては、
ニッケル、銀、銅、パラジウム等があるが、これらのう
ちでも、安価で内部応力緩和に有効であるという理由か
ら、ニッケルからなる内部電極層5aと、パラジウムか
らなる内部電極層5bの2種類を用いることが望まし
い。内部電極層5は、金属を主成分とするものであれば
良く、金属の他に金属の酸化物やガラス等を含有してい
ても良いが、金属のみからなる場合が最も望ましい。
【0020】そして、セラミックスからなる非容量発生
部9の熱膨張係数が容量発生部7のセラミックス誘電体
層4の熱膨張係数より4〜10×10-7/℃だけ小さ
く、かつ、図1に示すように、非容量発生部9の体積が
外部電極3を除くコンデンサ全体の体積、即ち、コンデ
ンサ本体1の体積(容量発生部7と非容量発生部9の体
積を合わせた体積)の5〜50%とされている。このよ
うに非容量発生部9の熱膨張係数を容量発生部7の誘電
体層4の熱膨張係数より4〜10×10-7/℃だけ小さ
くし、非容量発生部9の体積の割合をコンデンサ本体1
の体積の5〜50%とした理由は、熱膨張係数差が4×
10-7/℃未満の場合、誘電特性の悪化を防止するため
の引張応力を容量発生部7に付与できず、かつ表面実装
工程で生じる熱応力、機械的応力更には熱衝撃を吸収し
得るに十分な圧縮応力を非容量発生部9に付与できず、
表面からクラックが生じ易くなるからである。
【0021】そして、コンデンサ本体1の体積に対する
非容量発生部9の体積の割合が5%未満の場合には、誘
電特性の悪化を防止するための引張応力を容量発生部7
に付与できないからである。
【0022】一方、熱膨張係数差が10×10-7/℃を
越え、或は非容量発生部9の体積の割合が50%よりも
大きい場合、容量発生部7の引張応力が大きくなり過ぎ
て容量発生部7からクラックが生じ易くなるからであ
る。
【0023】非容量発生部9と容量発生部7の誘電体層
4との熱膨張係数差は、誘電特性の悪化を防止するとと
もに、表面実装工程等で生じる圧縮応力を低減するため
に、容量発生部7に最適な引張応力を付与するという理
由から、容量発生部7の誘電体層4が非容量発生部9よ
りも6〜10×10-7/℃大きいことが望ましい。
【0024】また、コンデンサ本体1の体積に占める非
容量発生部9の体積の割合は、容量発生部7に最適な引
張応力を付与するという理由から12〜40%であるこ
とが望ましい。誘電体層4は、誘電特性向上という点か
ら、主に、チタン酸バリウム、チタン酸ランタン、チタ
ン酸カルシウム、チタン酸ネオジウム及びチタン酸マグ
ネシウム等のチタン酸塩を主成分とする誘電体セラミッ
クから構成することが望ましい。非容量発生部9も同様
である。
【0025】この場合は、上記非容量発生部9が容量発
生部7の誘電体層4よりジルコニウム酸塩を5〜15m
ol%多く含むよう調整することにより、非容量発生部
9と容量発生部7との熱膨張係数の差を上記のごとく設
定することができる。非容量発生部9に於けるジルコニ
ウム酸塩の過剰含有量が5mol%未満の場合、上記熱
膨張係数差が4×10-7/℃を下回り、逆に15mol
%を越えると同熱膨張係数差が10×10-7/℃を上回
ることになる。
【0026】尚、セラミック誘電体層の原料として、ジ
ルコニウム酸塩を用いてはいないが、原料中に不可避的
に含まれている場合があること、誘電体セラミックの一
組成材料としてジルコニウム酸塩を後添加する場合もあ
ることから、ジルコニウム酸塩について非容量発生部9
が5〜15mol%多く含むと表現した。このように、
誘電体層4、非容量発生部9の原料としてジルコニウム
酸塩を添加すると、コンデンサとしての磁器強度も大と
なるので望ましい。
【0027】本発明の積層セラミックコンデンサは、例
えば、先ず、誘電体層となるグリーンシートを作製する
ことにより得られる。グリーンシートは、例えば、チタ
ン酸バリウムを主成分とし、酸化イットリウム、炭酸マ
ンガン及び酸化マグネシウムを加えた誘電体粉末に、水
及び分散剤を加え、ボールミルにて混合粉砕した後、有
機バインダーを混合し、得られたスラリーを所定厚みの
テープ状に成形することにより得られる。
【0028】容量発生部の誘電体層の材料としては、チ
タン酸バリウムを主成分とし、この主成分100モル部
に対して、酸化マグネシウムを0.5〜8モル部、炭酸
マンガンを0.05〜0.5モル部、酸化イットリウム
を0.3〜4モル部添加含有したものを用いることが誘
電率などの特性を向上するという点から望ましい。
【0029】容量発生部の誘電体層の原料粉末に、ジル
コン酸塩、例えばジルコン酸カルシウム(CaZr
3 )、ジルコン酸バリウム(BaZrO3 )粉末を5
〜15モル%加え、上記と同様に処理して側面マージン
部用のスラリーを作製する。またこのスラリーを公知の
成形法、例えばドクターブレード法により所定の厚みの
グリーンシートを作製し、上下マージン部用のグリーン
シートとする。
【0030】導体ペーストは、例えば、ニッケル粉末に
有機可塑剤を加えたペースト、及びパラジウム粉末に有
機可塑剤を加えたペーストを作製する。なお、ニッケル
やパラジウムはペースト中に例えば40〜60重量%程
度含有するものとする。
【0031】そして、上記容量発生部用の誘電体層のグ
リーンシートの上面に、例えば、スクリーン印刷法によ
りニッケルの導体ペーストまたはパラジウムの導体ペー
ストを塗布し、ニッケル内部電極とパラジウム内部電極
が交互となるように、導体ペーストを塗布したグリーン
シートを積層し、容量発生部用の積層成形体を作製す
る。
【0032】一方、この積層成形体の上下面に上下マー
ジン部用のグリーンシートをそれぞれ積層し、熱圧着し
た後、内部電極層が側面に露出するように所定の寸法に
切断する。
【0033】次に、側面マージン部用スラリーを容量発
生部の積層成形体の側面の内部電極層が露出した部分
に、公知の方法、例えばオフセット印刷法により所定の
厚みに印刷塗布し、乾燥し、生チップを作製する。
【0034】そして、得られた生チップを、例えば、酸
素分圧3×10-8〜3×10-3Pa、温度1150〜1
300℃で0.5〜3時間焼成し、この後、酸素分圧1
×10-2〜2×104 Pa、温度800〜1150℃で
30分〜5時間熱処理を行いコンデンサ本体を作製す
る。
【0035】次に、銅粉末に有機可塑剤を加えたペース
トを作製し、このペーストを、前記内部電極層と交互に
電気的に接続するようにコンデンサ本体の両端に焼き付
けて積層セラミックコンデンサを作製する。
【0036】尚、上記例では、ニッケルとパラジウムの
組み合わせからなる内部電極を形成したが、本発明は上
記例に限定されるものではない。さらに、例えばスパッ
タ法等の薄膜形成手法を用いて、外部電極を前記内部電
極層と交互に電気的に接続するように焼結体に形成する
ことにより、有効電極面積を更に大きくすることができ
る。
【0037】本発明の積層セラミックコンデンサは、特
に、セラミック誘電体層を40層以上積層したものにお
いて特に有効である。
【0038】
【実施例】先ず、チタン酸バリウムを主成分とし、この
主成分100モル部に対して酸化イットリウムを1モル
部、酸化マグネシウムを2モル部、酸化マンガンを0.
1モル部添加した誘電体粉末に、水及び分散剤を加え、
ZrO2 ボールを用いたボールミルにて混合粉砕した
後、有機バインダーを混合し、得られたスラリーを厚み
5μmのテープ状に成形し、容量発生部の誘電体層用の
グリーンシートを得た。
【0039】上記誘電体材料粉末にジルコン酸カルシウ
ム(CaZrO3 )及び/またはジルコン酸バリウム
(BaZrO3 )粉末を、表1に示す量だけ加え、上記
誘電体層用のスラリーと同様に処理して側面マージン部
用のスラリーを得た。また、このスラリーを用い、厚さ
10〜50μmの上下マージン部用のグリーンシートを
作製した。
【0040】一方、内部電極として、ニッケル粉末に有
機可塑剤を加えたペースト、及びパラジウム粉末に有機
可塑剤を加えたペーストを用意し、各々上記容量発生部
用のグリーンシート上にスクリーン印刷法にて形成し、
ニッケル及びパラジウムが各々一層おきに交互に配置さ
れるようにグリーンシートを積層し、容量発生部の積層
成形体を作製した。
【0041】上下マージン部用のグリーンシートを、容
量発生部の積層成形体の上下面にそれぞれ積層した後、
熱圧着して積層成形体を作製し、この後内部電極が側面
に露出するように所定の寸法に切断した。次に、側面マ
ージン部用スラリーを、積層成形体の内部電極が露出し
た側面にオフセット印刷法により印刷塗布し、乾燥し内
部電極を絶縁する層を形成して生チップを得た。
【0042】比較のため、内部電極としてニッケルのみ
を使用した成形体と、非容量発生部に容量発生部と同じ
誘電体材料を用い、内部電極としてニッケルのみを使用
した成形体も用意した。
【0043】この生チップを、酸素分圧1×10-6
a、温度1260℃で2時間焼成し、次に、酸素分圧1
×10Pa、温度1000℃で1時間熱処理を行い、誘
電体層厚み3μm、有効誘電体層数150層、外形寸法
2.0mm×1.1mm×0.62〜0.8mm、有効
電極面積1.6×(0.66〜1.09)mm2 の積層
コンデンサを得た。この焼結体をバレル研磨後、コンデ
ンサの内部電極が露出した両端面に銅ペーストを塗布
し、900℃で焼き付け、さらにその上にNiメッキ及
びSnメッキを施した。
【0044】側面マージン部の厚み及び上下マージン部
の厚み、CaZrO3 及びBaZrO3 の添加量を変え
た試料について、非容量発生部の全体に占める体積を算
出し、また容量発生部の誘電体層の熱膨張係数から非容
量発生部の熱膨張係数を差し引いた値Δαを測定算出
し、さらに残留応力(非容量発生部の圧縮応力、容量発
生部の引張応力)をFEM解析法により求めた。
【0045】また、試料をLCRメーター4284Aを
用いて、周波数1kHz、入力信号レベル1.0Vrm
sにて−55〜125℃における静電容量を測定し、+
25℃での静電容量に対する各温度での静電容量の変化
率(TCC)を算出した。
【0046】上記コンデンサを銅配線されたガラスエポ
キシ基板上にハンダ付けし、該基板を間隔が90mmの
支持台に載せ、基板の裏面より押圧してコンデンサにク
ラックが入るまでのたわみ変形量を求めた(日本電子機
械工業会規格RC−3402に準拠)。
【0047】上記焼結体の研磨断面を実体顕微鏡(×4
0)で観察し、内部のクラックの有無を調べた。また、
非容量発生部におけるCaZrO3 及びBaZrO3
添加量、コンデンサ本体に占める非容量発生部の体積の
割合(%)、非容量発生部の熱膨張係数、非容量発生部
と容量発生部の誘電体層との熱膨張係数の差、残留応力
(kgf/mm2 )、クラックが入るまでのたわみ変形
量(mm)、焼成後の容量発生部の内部クラックの有
無、静電容量の温度変化率TCC(%)の結果、及び側
面マージン部の厚みおよび上下面マージン部の厚み、一
層の有効電極面積を表1、2に示す。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】表1、2から、試料No.3〜9,11,
12, 14,15は、いずれも非容量発生部の圧縮応力
が大きいため、上記規格RC−3402の試験法による
クラックが入るまでの変形量が3.3mm以上と大き
く、表面実装時の引張応力に十分耐えることが理解され
る。また、容量発生部の引張応力が小さく従って内部ク
ラックが皆無である。
【0051】これに対し、試料No.1,17は、非容
量発生部と容量発生部のとの熱膨張係数に差がないた
め、非容量発生部に圧縮応力が蓄積されず、従ってクラ
ックが入るまでの変形量が2.6mm以下と小さく、表
面実装の際の引張応力によりクラックが発生する可能性
がある。試料No.1,17により積層数を増加すると
たわみ変形量が大きくなり、大きな変形にも耐えられる
ようになるが、静電容量の温度変化率TCCが悪化する
ことが分かる。本発明の試料では積層数が増加してもT
CCが良好であることがわかる。また、試料No.13
は、非容量発生部の体積の割合が大きいため容量発生部
の引張応力が大となり、焼結体内部にクラックが発生し
た。
【0052】逆に試料No.10は非容量発生部の割合
が小さいために容量発生部の引張応力が小さくTCCを
改善できない。また試料No.2は熱膨張係数の差が小
さいために容量発生部の引張応力が小さくなりTCCを
改善できない。更に、試料No.16は、熱膨張係数の
差が大きいため容量発生部の引張応力が大となり試料N
o.13と同様内部クラックが発生した。
【0053】尚、試料No.18は内部電極としてNi
のみを使用した場合であり、Niの収縮による応力によ
り容量発生部の引張応力が小さく、静電容量の変化率が
大きくなる。No.19は非容量発生部に容量発生部と同
じ誘電体材料を用い、内部電極としてNiのみを使用し
た場合であり、容量発生部にNiの収縮による圧縮応力
が発生するため、たわみ量が低下し、静電容量の変化率
が大きくなる。
【0054】また、上記では非容量発生部の熱膨張係数
を小さくする手段として、容量発生部の誘電体層にジル
コン酸塩を添加する方法を採用したが、他の方法の採用
を除外するものではない。
【0055】
【発明の効果】本発明の積層セラミックコンデンサで
は、異なる金属を主成分とする複数種類の内部電極層を
用いることにより、例えば、ニッケルからなる内部電極
層とパラジウムからなる内部電極層を用いたので、ニッ
ケルからなる内部電極層のみで形成されたコンデンサよ
りも内部電極の焼成時における収縮率が小さくなり、誘
電体層に発生する内部応力が緩和される。これにより内
部電極層をパラジウムで形成する必要がないので、安価
に製造できる。さらに、非容量発生部の熱膨張係数を容
量発生部のセラミック誘電体層の熱膨張係数よりも小さ
くすることにより、焼結後の冷却過程で容量発生部に引
張応力が非容量発生部に圧縮応力が蓄積され残留し、こ
の応力によって温度に対する静電容量の変化を小さくで
きるとともに、表面実装工程でのクラック発生を抑制
し、コンデンサとしての信頼性を維持し得るのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の積層セラミックコンデンサの一部を切
り欠いて示す斜視図である。
【図2】本発明の積層セラミックコンデンサの縦断面図
である。
【図3】本発明の積層セラミックコンデンサの横断面図
である。
【図4】積層セラミックコンデンサの基板への表面実装
を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1・・・コンデンサ本体 3・・・外部電極 4・・・誘電体層 5・・・内部電極層 7・・・容量発生部 9・・・非容量発生部

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】コンデンサ本体と該コンデンサ本体の両端
    部に配設された一対の外部電極とを具備した積層セラミ
    ックコンデンサであって、前記コンデンサ本体を、異な
    る金属を主成分とする複数種類の内部電極層と複数のセ
    ラミック誘電体層を交互に積層してなる容量発生部と、
    該容量発生部の周囲に形成されたセラミックスからなる
    非容量発生部とから構成するとともに、前記非容量発生
    部の熱膨張係数が前記容量発生部のセラミック誘電体層
    の熱膨張係数より4〜10×10-7/℃だけ小さく、か
    つ前記非容量発生部の体積がコンデンサ本体の体積の5
    〜50%であることを特徴とする積層セラミックコンデ
    ンサ。
  2. 【請求項2】内部電極層がニッケルを主成分とする内部
    電極層と、パラジウムを主成分とする内部電極層の2種
    類からなり、これらの内部電極層が交互に形成されてい
    ることを特徴とする請求項1記載の積層セラミックコン
    デンサ。
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