JP3486111B2 - ミシンの上飾り縫い装置 - Google Patents

ミシンの上飾り縫い装置

Info

Publication number
JP3486111B2
JP3486111B2 JP20753198A JP20753198A JP3486111B2 JP 3486111 B2 JP3486111 B2 JP 3486111B2 JP 20753198 A JP20753198 A JP 20753198A JP 20753198 A JP20753198 A JP 20753198A JP 3486111 B2 JP3486111 B2 JP 3486111B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
lever
thread
upper decorative
fixed
movable lever
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP20753198A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2000037579A (ja
Inventor
尚文 池田
賢二 梅村
清志 上田
弘恭 岩越
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Brother Industries Ltd
Original Assignee
Brother Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Brother Industries Ltd filed Critical Brother Industries Ltd
Priority to JP20753198A priority Critical patent/JP3486111B2/ja
Publication of JP2000037579A publication Critical patent/JP2000037579A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3486111B2 publication Critical patent/JP3486111B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Sewing Machines And Sewing (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ミシンの上飾り縫
い装置に関し、特に上飾り糸が係合する湾曲状スリット
を形成した上飾り糸案内体を前後揺動可能に構成して、
上飾り糸が湾曲状スリットを後方に滑るタイミングを変
更可能にした技術に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば、ズボンの身頃生地にポケ
ット向当て布片の端部を縫合する場合、このポケット向
当て布片を縫製したズボンを洗濯することにより、その
ポケット向当て布片の端部がほつれ易いことから、上飾
り縫い装置を設けたポケット向当て布付け用二重環縫い
ミシンにより、ポケット向当て布片の端部に二重環縫目
を形成するのと同時に、上飾り糸を二重環縫目にジグザ
グ状に縫い込む上飾り縫目を形成するようにして、ポケ
ット向当て布片のほつれを防止するようにしている。
【0003】例えば、特開平6−327857号公報に
記載の「カバー糸を備えた三針ステッチ」には、細長い
湾曲状のスリットを形成した糸案内器を下端部に取付け
たロッドがその右端部でミシンフレームに固着され、そ
の糸案内器の湾曲状スリットに交差状に回動しながら、
そのスリットを通過した上飾り糸を3本の縫針に順次係
合させるスプレッダーが設けられ、3本の縫針が上昇移
動するに際してスプレッダーが平面視にて時計回り方向
(左方向)に回動するときに、スプレッダーの係合部で
上飾り糸を係合しながら移動し、縫針の略最上位置付近
で上飾り糸は湾曲状のスリットを後端部まで滑るので、
上飾り糸は右針の下側を通過して後側に移動し且つ中央
針と左針には手前側に係合可能になっている。
【0004】そして、縫針が下降移動するに際して、ス
プレッダーが平面視にて反時計回り方向に回動するの
で、上飾り糸は先に加工布に刺さる左針と中央針とに対
して後側から前側にループ状に係合するとともに、遅れ
て加工布に刺さる右針にも後側から前側にループ状に係
合することにより、上飾り糸が3つの針糸に対してジグ
ザグ状に縫い込まれる上飾り縫目が形成されるようにな
っている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前記特開平6−327
857号公報に記載の技術においては、上飾り糸が湾曲
状のスリットを後端部まで滑ることで右針の下側を通過
して後側に移動するタイミングは、縫針が略所定の移動
位置、つまり縫針がその最上位置よりも若干手前から最
上位置を越えるときまでの糸滑り期間内であることが望
ましいが、上飾り糸の種類や太さや上糸張力の大きさな
どに関係して、上飾り糸が湾曲状スリットに沿ってその
後端部まで滑るタイミングが微妙に変わることになる。
【0006】即ち、縫針が前記糸滑り期間に達する位相
よりも早いタイミングで、上飾り糸が湾曲状スリットを
滑って後方に移動する場合には、上飾り糸は上昇途中の
右針に手前側から係合して、右針を後方に強く押圧する
ようになり、右針が曲がったり折損する可能性が発生す
るという問題がある。一方、縫針が糸滑り期間に達する
位相よりも遅いタイミングで、上飾り糸が湾曲状スリッ
トを滑って後方に移動する場合には、上飾り糸は下降途
中の右針に手前側から係合するようになり、目飛びが発
生するという問題がある。
【0007】この場合に、糸調子器により上飾り糸に付
与する張力の大きさを変更することも考えられ、糸張力
の大きさを変更することで上飾り糸の湾曲状スリットを
滑るタイミングを変更することが可能ではあるが、縫目
の糸調子が緩くなったり、逆に強すぎてしまったりし
て、縫目の見栄えが悪くなるという問題がある。本発明
の目的は、上飾り糸による上飾り縫目を、良好な糸調子
で見栄え良く、目飛びすることなく、しかも針の曲がり
や針折損することなく形成すること、縫針に対する湾曲
状スリットの位置を調節できること、などである。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1のミシンの上飾
り縫い装置は、針棒により上下駆動される複数の縫針の
側方に配設された上飾り糸案内体と、この上飾り糸案内
体の湾曲状スリットを通過した上飾り糸を係合させる係
合部を有し上飾り糸案内体と協働して上飾り糸を複数の
縫針に夫々係合させるように往復駆動されるスプレッダ
ーとを備えた上飾り縫い装置において、上飾り糸案内体
は、上端部でミシンフレームに固定されて下方に延びる
本体レバーと、この本体レバーの下端部に一体形成され
湾曲状スリットを有する水平状の糸案内部とを備え、本
体レバーは、その上側部分を構成する固定レバーと、そ
の下側部分を構成する可動レバーとに分割され、固定レ
バーの下端部に可動レバーの上端部を固定解除可能に連
結する連結機構を設け、この連結機構の固定を解除した
状態において可動レバーを前後揺動させたときに糸案内
部に形成された湾曲状スリットを前後に位置調節可能に
構成したことを特徴とするものである。
【0009】上飾り糸案内体の本体レバーは、上側部分
を構成する固定レバーと、その下側部分を構成する可動
レバーとに分割され、可動レバーは固定レバーに連結機
構により固定解除可能に連結されている。そして、この
連結機構の固定を解除し、可動レバーを前後揺動させた
ときには、可動レバー下端部に一体形成された糸案内部
に形成された湾曲状スリットを、縫針に対して前後に位
置調節できる。
【0010】また、上飾り糸が湾曲状スリットを正規の
タイミングよりも早いタイミングで滑って後端部に移動
して、右針を後方に強く押圧すことで、右針が曲がった
り折損するような場合、可動レバーを後方に揺動させる
ことにより、実施形態に係る図6(a)に示すように、
滑り開始時に上飾り糸18が係合する湾曲状スリット1
4の係合位置における、湾曲状スリット14の接線Aと
スプレッダー30の係合部30aの移動軌跡Kの接線B
との開角αが大きくなって、上飾り糸18が湾曲状スリ
ット14を後方に滑り難くなり、滑り始めるタイミング
を遅らせることができ、縫針の曲がりや折損を確実に防
止できる。
【0011】一方、上飾り糸が湾曲状スリットを正規の
タイミングよりも遅いタイミングで滑って後端部に移動
して、右針に上飾り糸が係合しないで目飛びが生じるよ
うな場合、可動レバーを前方に揺動させることにより、
実施形態に係る図6(b)に示すように、滑り開始時に
上飾り糸18が係合する湾曲状スリット14の係合位置
における、接線Aと接線Bとの開角αが小さくなって、
上飾り糸18が湾曲状スリット14を後方に滑り易くな
り、滑り始めるタイミングを早めることができ、目飛び
の発生を防止することができる。
【0012】請求項2のミシンの上飾り縫い装置は、請
求項1の発明において、前記連結機構は、可動レバーの
上端部に形成した連結部を固定レバーの下端部に形成し
た連結部に対して回動可能に枢支する枢支ボルトと、可
動レバーの連結部に形成した長穴を介して可動レバーを
固定レバーに固定する固定ボルトとを有することを特徴
とするものである。
【0013】この場合、可動レバーは、その連結部と固
定レバーの連結部とを枢支ボルトで枢支することにより
前後揺動可能に枢支されている。しかも、常には、可動
レバーは、その連結部に形成した長穴を介して固定ボル
トにより固定レバーに固定されているが、固定ボルトを
緩めるだけで、その固定を解除して揺動可能になるとと
もに、長穴の大きさに応じた揺動範囲内で可動レバーを
揺動させることができる。また、固定ボルトを締めるに
際して、可動レバーが共回りすることがない。その他請
求項1と同様の作用を奏する。
【0014】請求項3のミシンの上飾り縫い装置は、請
求項2の発明において、前記枢支ボルトには少なくとも
スプリング座金が装着され、可動レバーは枢支ボルトの
スプリング座金を介してその揺動位置を保持可能に枢支
されることを特徴とするものである。この場合、枢支ボ
ルトに少なくともスプリング座金が装着して、可動レバ
ーが枢支ボルトにより可動レバーに枢支されているの
で、固定ボルトを緩めたときに、可動レバーの揺動位置
が保持されており、可動レバーの現在の揺動位置からの
微小揺動位置調節が可能になる。その他請求項2と同様
の作用を奏する。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して説明する。本実施形態は、ズボンの身
頃生地にポケット向当て布片の端部を二重環縫いする二
重環縫いミシンに設けられた上飾り縫い装置に本発明を
適用した場合のものである。図1に示すように、図示外
の二重環縫いミシンのヘッド部に配設された上下方向向
きの針棒1の下端部には針抱き2が固着され、この針抱
き2には、2本の縫針3,4がその上端部でビス5によ
り着脱可能に取付けられるとともに、上飾り糸18を案
内する糸案内48が高さ位置調節可能にビス6で固着さ
れている。
【0016】前記左側の縫針4は、右側の縫針3に対し
て所定距離だけ前側に位置するとともに、所定高さだけ
低くなっている。そして、針板の下側に設けられた図示
外のルーパーがこれら縫針3,4の上下動と同期して駆
動され、これら縫針3,4の針糸7,8とルーパーのル
ーパー糸とが交絡することにより、2重環縫目N1(図
9にルーパー糸を省略した2つの針糸7,8の縫目を図
示)が形成されるようになっている。次に、2本の針糸
7,8とルーパー糸とで形成される二重環縫目N1に上
飾り糸18をジグザグ状に縫い込む上飾り縫目N2を形
成する上飾り縫い装置10について、図1〜図6に基づ
いて説明する。
【0017】上飾り縫い装置10は、ミシンフレーム
(図示略)に取付けられた上飾り糸案内体11と、前記
2本の縫針3,4の各々に上飾り糸18を係合させるよ
うに駆動されるスプレッダー30と、このスプレッダー
30を駆動する駆動機構35と、上飾り糸18に張力を
付与する糸調子器45などから構成されている。先ず、
上飾り糸案内体11について説明する。
【0018】図1〜図4に示すように、上飾り糸案内体
11は2本の縫針3,4の側方に設けられ、上端部にお
いてミシンフレームに固定された固定レバー15と、こ
の固定レバー15に連結機構20を介して前後揺動可能
に連結され、下端部に水平状の糸案内部13を一体的に
設けた可動レバー16とから構成されている。ここで、
固定レバー15と可動レバー16とから本体レバー12
が構成されている。即ち、本体レバー12は、上側部分
を構成する固定レバー15と、下側部分を構成する可動
レバー16に分割されている。
【0019】前記固定レバー15は、その固定部15a
に形成された1対の縦長の取付け穴15bを介して取付
けビス19によりミシンフレームに高さ位置調節可能に
固定され、その下端部には、前方に突出状の連結部15
cが形成されている。一方、可動レバー16は、その上
端部に前方突出状の連結部16aが形成され、その下端
部には、左斜め後方に延出する水平状且つ湾曲状の糸案
内部13が形成されるとともに、その糸案内部13には
湾曲状スリット14が形成されている。この糸案内部1
3は、図6(a)に示すように、右針3の直ぐ右側にま
で湾曲状に延びている。
【0020】次に、これら固定レバー15と可動レバー
16とを連結する連結機構20について説明する。前記
両連結部15c,16aの上側には、ボルト穴15d,
16bが相互に対向する位置に形成され、スプリング座
金21と座金22とを挿通した段付き枢支ボルト23が
これらボルト穴15d,16bを挿通し、ナット24を
段付き枢支ボルト23に締め込むことにより、可動レバ
ー16が固定レバー15に対して前後に揺動可能に枢支
されている。
【0021】但し、段付き枢支ボルト23をボルト穴1
6bに、スプリング座金21による適度なバネ力が得ら
れるように締め込み、更にナット24を段付き枢支ボル
ト23に締め込むことで緩み止めが成されているので、
可動レバー16は、スプリング座金21のバネ力により
固定レバー15に対する揺動位置を保持される一方、可
動レバー16をスプリング座金21のバネ力に抗して揺
動させたときは、可動レバー16は容易に揺動すること
ができ、揺動後の揺動位置を保持されるようになってい
る。
【0022】一方、連結部15cの下側には、前後方向
に長い長穴15eが形成されるとともに、連結部16a
にはこの長穴15eに対向するボルト穴16cが形成さ
れ、座金25を挿通した固定ボルト26がこの長穴15
eに挿通され、固定ボルト26をボルト穴16cに締め
込むことにより、可動レバー16が固定レバー15に対
して固定できるようになっている。
【0023】即ち、固定ボルト26を緩めたときには、
可動レバー16の揺動位置が保持されているので、図2
に示すように、長穴15eの大きさに応じた揺動範囲内
で、可動レバー16を現在の揺動位置から所望の揺動量
だけ前後方向に揺動させることができ、その揺動後に固
定ボルト26を締め込むことで、可動レバー16を固定
レバー15に固定することができる。次に、前記スプレ
ッダー30について説明する。図1、図5に示すよう
に、スプレッダー30は平面視湾曲状であり、その先端
近傍部には、上飾り糸18を係合させる係合部30aが
形成され、その上側に曲げられた鉛直軸部30bが駆動
機構36の駆動アーム44に固着されている。
【0024】次に、このスプレッダー30を往復駆動す
る駆動機構35について、図5に基づいて簡単に説明す
る。二重環縫いミシンの主軸36には偏心カム37が固
着され、この偏心カム37には連結レバー部38aを有
するロッド38が外嵌され、このロッド38の連結レバ
ー部38aが、主軸36と平行に配設された駆動軸39
の突出部39aに連結されている。一方、この駆動軸3
9の左端部には、下方に延びる枢支軸部40aを一体形
成した駆動レバー40が固着され、この枢支軸部40a
には、回動部材41がその上半部分において回動可能に
外嵌されている。
【0025】この回動部材41の下半部分には二股部4
1aが形成され、この二股部41aには角駒42が回動
自在に内装されている。一方、鉛直軸43の上端部に水
平突出状に形成された係合ピン43aが角駒42の挿入
孔42aに回動自在に挿入されている。この鉛直軸43
の下端部に駆動アーム44が固着され、この駆動アーム
44の先端部にスプレッダー30の鉛直軸部30bが固
着されている。即ち、これら枢支軸部40aと回動部材
41と二股部41aと角駒42と係合ピン43aとによ
り、ユニバーサルジョイント的に連結されている。
【0026】主軸36が所定の方向に回転駆動される
と、偏心カム37を介してロッド38が揺動するのに伴
って駆動軸39と駆動レバー40とが同時に往復揺動
し、二股部41aと角駒42と係合ピン43aによるユ
ニバーサルジョイント的な連結を介して鉛直軸44が鉛
直軸回りに往復回動するので、縫針3,4の最上位置を
0°としたときに、スプレッダー30は約189 °〜8°
に亙って左方(時計回り方向)に移動駆動され、約8°
〜約189 °に亙って左方(反時計回り方向)に移動駆動
される(図10参照)。
【0027】前述したように、固定ボルト26を緩めて
可動レバー16の糸案内部13を湾曲状スリット14と
共に後方に揺動させて、湾曲状スリット14の位置を後
方へ位置調節した場合には、図6(a)に示すように、
滑り開始時に上飾り糸18が係合する湾曲状スリット1
4の係合位置における、湾曲状スリット14の接線Aと
スプレッダー30の係合部30aの移動軌跡Kの接線B
との開角αは大きくなるので、上飾り糸18が湾曲状ス
リット14に沿って後方に滑り難くなる。一方、可動レ
バー16の糸案内部13湾曲状スリット14と共に前方
に揺動させて湾曲状スリット14の位置を前方へ位置調
節した場合には、図6(b)に示すように、接線Aと接
線Bとの開角αは小さくなり、上飾り糸18は湾曲状ス
リット14に沿って後方に滑り易くなる。
【0028】次に、このように構成された上飾り縫い装
置10により上飾り縫目を形成するときの作用及び効果
について説明する。ここで、前記糸調子器45は、糸案
内46とともに固定レバー15に固着されており、固定
レバー15はミシンフレームに固着されている。この糸
案内46には糸案内孔46aが形成されている。先ず、
図示外の糸駒から繰り出された針糸7,8は、糸案内9
で案内されて縫針3,4の目孔3a,4aに夫々別経路
で供給されている。一方、図示外の糸駒から繰り出され
た上飾り糸18は、糸調子器45を経た後、糸案内孔4
6a、糸案内48で案内され、湾曲状スリット14を挿
通している。
【0029】この状態で縫製が開始されると、縫針3,
4の上下動とルーパーの駆動により、図9に示すよう
に、2重環縫目が形成される。但し、図9においては、
ルーパー糸を省略してある。一方、図10に示すよう
に、縫針3,4が上昇し始めた約215 °のタイミングT
1において、左方へ移動するスプレッダー30の係合部
30aに、湾曲状スリット14を通過した上飾り糸18
を係合する。そして、スプレッダー30が更に左方へ移
動するのに応動して、約308 °のタイミングT2におい
て、上飾り糸18が湾曲状スリット14に沿って後方へ
滑り始める。
【0030】更に、スプレッダー30が左方へ移動し且
つ縫針3,4が上昇する約324 °のタイミングT3にお
いて、1針前の縫目から延びて係合部30aに至る縫目
側飾り糸18aが左針4の下側を後方に通過する(図7
参照)。次に、スプレッダー30が更に左方へ移動する
のに応動して、約330 °のタイミングT4において、上
飾り糸18が湾曲状スリット14の後端部まで後方へ移
動完了する。このとき、係合部30aから湾曲状スリッ
ト14に至るスリット側飾り糸18bは、右針3の先端
部を若干ではあるが後方に押している。
【0031】次に、縫針3,4が更に上昇する約338 °
のタイミングT5において、スリット側飾り糸18bが
右針3の下側を潜って後方へ移動する。次に、縫針3,
4が略最上位置となる約360 °(0°) のタイミングT6
において、右針3はスリット側飾り糸18bよりも微小
距離だけ上側に移動している。
【0032】次に、縫針3,4が下降し始め且つスプレ
ッダー30が右方へ移動開始する約18°のタイミング
T7において、右針3がスリット側飾り糸18bの前側
に降りるようになる。次に、縫針3,4が更に下降する
約47°のタイミングT8において、図7、図8に示す
ように、スリット側飾り糸18bが、右針3と針糸7と
の間に係合される。
【0033】このとき以降において、スリット側飾り糸
18bが針糸7により縫い込まれることになる。次に、
縫針3,4が更に下降する約55°のタイミングT9に
おいて、縫目側飾り糸18aが、左針4と針糸8との間
に係合される。このとき以降において、縫目側飾り糸1
8aが針糸8により縫い込まれることになる。次に、縫
針3,4が更に下降する途中であって、スプレッダー3
0の係合部30aが左針4の中心まで右方へ移動した約
74°のタイミングT10において、上飾り糸18が係
合部30aから外れ、これ以降において、上飾り糸18
は両針糸7,8により縫い込まれるようになる。
【0034】即ち、縫針3,4が更に下降する約90°
のタイミングT11において、先ず、左針4の針糸8に
より上飾り糸18が縫い込まれ、続いて右針3の針糸7
により上飾り糸18が縫い込まれる。次の約140 °のタ
イミングT12においては、スプレッダー30の右方向
への移動と糸案内48の下降動作により、湾曲状スリッ
ト14を滑りながら前方に移動してきた上飾り糸18
は、スプレッダー30の後側に接するようになる。
【0035】そして、最終的に、約177 °のタイミング
T13において、右方向へ移動するスプレッダー30の
係合部30aに上飾り糸18が再度係合するようにな
り、次の縫製サイクルの準備が完了する。その結果、図
9に示すように、上飾り糸18は左側の針糸8の縫目と
右側の針糸7の縫目とにジグザグ状に縫い込まれた上飾
り縫目N2が形成される。
【0036】ところで、図6で説明したように、上飾り
糸18が湾曲状スリット14を後方へ滑り始めるタイミ
ングT2が、例えば約270 °や約 280°のように図10
に示す糸滑り期間より早い場合には、スリット側飾り糸
18bが右針3の下側を潜って後方へ移動するタイミン
グT5までの期間において、スリット側飾り糸18b
は、その滑り出すタイミングが早い程、図11、図12
に示すように、右針3を強く後方に押圧することにな
り、右針3が曲がったり折損する可能性がある。この場
合、固定ボルト26を緩めて、図2に2点鎖線で示すよ
うに可動レバー16の糸案内部13を湾曲状スリット1
4と共に後方に揺動させることで、接線Aと接線Bとの
開角αが大きくなって、上飾り糸18が湾曲状スリット
14を後方に滑り難くなり、滑り始めるタイミングT2
を遅らせることができる。
【0037】このように、可動レバー16を後方に揺動
させて、湾曲状スリット14と共に糸案内部13の位置
を上飾り糸18の太さや種類などに応じて調節すること
ができ、右針3が曲がったり折損するのを防止すること
ができる。一方、図6で説明したように、上飾り糸18
が湾曲状スリット14を後方へ滑り始めるタイミングT
2が、例えば約20°や約30°のように図10に示す
糸滑り期間より遅い場合には、図13に示すように、右
針3がスリット側飾り糸18bの高さよりも低い位置ま
で下降してから、スリット側飾り糸18bが湾曲状スリ
ット14を後方へ滑るようになって、スリット側飾り糸
18bを右針3の後側に係合できないことから、目飛び
が発生することになる。
【0038】この場合、前述したように、固定ボルト2
6を緩めて、図2に3点鎖線で示すように可動レバー1
6の糸案内部13を湾曲状スリット14と共に前方に揺
動させることで、接線Aと接線Bとの開角αが小さくな
って、上飾り糸18が湾曲状スリット14が後方に滑り
易くなり、滑り始めるタイミングを早めることができ
る。このように、可動レバー16を前方に揺動させて、
湾曲状スリット14と共に糸案内部13の位置を上飾り
糸18の太さや種類などに応じて適切な位置に位置調節
することができ、目飛びの発生を防止することができ
る。
【0039】ところで、図14に示すように、前記タイ
ミングT4において、スリット側飾り糸18bが湾曲状
スリット14の後端部まで移動完了したときでも、スリ
ット側飾り糸18bが右針3の後側に移動できないで、
目飛びが発生するようなときにも、鎖線で示すように可
動レバー16を後方に揺動させることにより、湾曲状ス
リット14を縫針3,4に対する正規の位置に揺動で
き、この目飛びの発生を容易に防止することができる。
【0040】尚、前記連結機構20は、固定レバー15
の下端部に可動レバー16を固定解除可能な各種の連結
機構であってもよく、また本体レバー12の上段部に設
けられるようにしてもよい。更に、可動レバー16を揺
動させたときに糸案内部13が水平移動するような連結
機構であってもよい。前記実施形態に関し、既存の技術
や当業者に自明の技術に基づいて種々の変更を加えるこ
ともあり得る。更に、両面飾り縫いミシンなどの各種の
ミシンの上飾り縫い装置に本発明を適用し得ることは勿
論である。
【0041】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、複数の縫針の
側方に配設された上飾り糸案内体とスプレッダーとを備
えた上飾り縫い装置において、上飾り糸案内体は、上端
部でミシンフレームに固定されて下方に延びる本体レバ
ーと、この本体レバーの下端部に一体形成され湾曲状ス
リットを有する水平状の糸案内部とを備え、本体レバー
は固定レバーと可動レバーとに分割され、固定レバーの
下端部に可動レバーの上端部を固定解除可能に連結する
連結機構を設け、この連結機構の固定を解除した状態に
おいて可動レバーを前後揺動させたときに糸案内部に形
成された湾曲状スリットを前後に位置調節可能に構成し
たので、連結機構の固定を解除して可動レバーを前後に
揺動させることにより、糸案内部に形成された湾曲状ス
リットを、縫針に対して前後に容易に位置調節すること
ができる。
【0042】また、上飾り糸が湾曲状スリットを滑るタ
イミングが早い場合に、可動レバーを後方に揺動させる
ことで上飾り糸18の滑り始めるタイミングを遅らせる
ことができ、縫針の曲がりや折損を確実に防止できる。
一方、上飾り糸が湾曲状スリットを滑るタイミングが遅
い場合に、可動レバーを前方に揺動させることで上飾り
糸18の滑り始めるタイミングを早めることができ、目
飛びの発生を防止することができる。
【0043】請求項2の発明によれば、請求項1と同様
の効果を奏するが、前記連結機構は、可動レバーの上端
部に形成した連結部を固定レバーの下端部に形成した連
結部に対して回動可能に枢支する枢支ボルトと、可動レ
バーの連結部に形成した長穴を介して可動レバーを固定
レバーに固定する固定ボルトとを有するので、可動レバ
ーは枢支ボルトにより固定レバーに前後揺動可能に枢支
され、しかも固定ボルトを緩めるだけで、その固定を解
除して揺動可能になるとともに、長穴の大きさに応じた
揺動範囲内で可動レバーを揺動させることができる。ま
た、固定ボルトを締めるに際して、可動レバーが共回り
することがない。
【0044】請求項3の発明によれば、請求項2と同様
の効果を奏するが、前記枢支ボルトには少なくともスプ
リング座金が装着され、可動レバーは枢支ボルトのスプ
リング座金を介してその揺動位置を保持可能に枢支され
るので、固定ボルトを緩めたときには、可動レバーの揺
動位置が保持されており、可動レバーの現在の揺動位置
からの微小揺動位置調節が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る上飾り装置の斜視図で
ある。
【図2】上飾り糸案内体の斜視図である。
【図3】上飾り糸案内体の側面図である。
【図4】図3のD−D線縦断正面図である。
【図5】スプレッダー駆動機構の斜視図である。
【図6】(a)は可動レバーを後方に揺動させて上飾り
糸が湾曲状スリットを滑り難くなる説明図であり、
(b)は可動レバーを前方に揺動させて上飾り糸が湾曲
状スリットを滑り易くなる説明図である。
【図7】図3のG−G線横断平面図である。
【図8】可動レバーの下端部分及びスプレッダーと縫針
の斜視図である。
【図9】二重環縫目と上飾り縫目の概略斜視図である。
【図10】縫針に上下動をパラメータとする上飾り糸の
動作タイミングを示すタイムチャートである。
【図11】上飾り糸の滑りタイミングが早いときの図7
相当図である。
【図12】上飾り糸の滑りタイミングが早いときの図8
相当図である。
【図13】可動レバーの下端部分及びスプレッダーと縫
針の斜視図である。
【図14】可動レバーの位置調節不良のときの図7相当
図である。
【符号の説明】
針 4 針 10 上飾り縫い装置 11 上飾り糸案内体 12 本体レバー 13 糸案内部 14 湾曲状スリット 15 固定レバー 15c 連結部 15e 長穴 16 可動レバー 16a 連結部 18 上飾り糸 21 スプリング座金 23 段付き枢支ボルト 26 固定ボルト 30 スプレッダー 30a 係合部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岩越 弘恭 名古屋市瑞穂区苗代町15番1号 ブラザ ー工業株式会社内 (56)参考文献 特開 平6−327857(JP,A) 特開 昭50−149445(JP,A) 実開 平5−1469(JP,U) 実開 昭53−84461(JP,U) 実開 平1−99373(JP,U) 実開 昭51−22060(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D05B 1/00 - 97/12

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 針棒により上下駆動される複数の縫針の
    側方に配設された上飾り糸案内体と、この上飾り糸案内
    体の湾曲状スリットを通過した上飾り糸を係合させる係
    合部を有し上飾り糸案内体と協働して上飾り糸を複数の
    縫針に夫々係合させるように往復駆動されるスプレッダ
    ーとを備えた上飾り縫い装置において、 前記上飾り糸案内体は、上端部でミシンフレームに固定
    されて下方に延びる本体レバーと、この本体レバーの下
    端部に一体形成され湾曲状スリットを有する水平状の糸
    案内部とを備え、 前記本体レバーは、その上側部分を構成する固定レバー
    と、その下側部分を構成する可動レバーとに分割され、 前記固定レバーの下端部に可動レバーの上端部を固定解
    除可能に連結する連結機構を設け、この連結機構の固定
    を解除した状態において可動レバーを前後揺動させたと
    きに糸案内部に形成された湾曲状スリットを前後に位置
    調節可能に構成したことを特徴とするミシンの上飾り縫
    い装置。
  2. 【請求項2】 前記連結機構は、可動レバーの上端部に
    形成した連結部を固定レバーの下端部に形成した連結部
    に対して回動可能に枢支する枢支ボルトと、可動レバー
    の連結部に形成した長穴を介して可動レバーを固定レバ
    ーに固定する固定ボルトとを有することを特徴とする請
    求項1に記載のミシンの上飾り縫い装置。
  3. 【請求項3】 前記枢支ボルトには少なくともスプリン
    グ座金が装着され、可動レバーは枢支ボルトのスプリン
    グ座金を介してその揺動位置を保持可能に枢支されるこ
    とを特徴とする請求項2に記載のミシンの上飾り縫い装
    置。
JP20753198A 1998-07-23 1998-07-23 ミシンの上飾り縫い装置 Expired - Fee Related JP3486111B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP20753198A JP3486111B2 (ja) 1998-07-23 1998-07-23 ミシンの上飾り縫い装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP20753198A JP3486111B2 (ja) 1998-07-23 1998-07-23 ミシンの上飾り縫い装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2000037579A JP2000037579A (ja) 2000-02-08
JP3486111B2 true JP3486111B2 (ja) 2004-01-13

Family

ID=16541276

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP20753198A Expired - Fee Related JP3486111B2 (ja) 1998-07-23 1998-07-23 ミシンの上飾り縫い装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3486111B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN113604984B (zh) * 2021-07-29 2022-04-01 河北奔发制衣有限公司 一种链双针合缝机

Also Published As

Publication number Publication date
JP2000037579A (ja) 2000-02-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5799599A (en) Chain-stitch sewing machine with yarn feed adjusting
JPH09225163A (ja) 縫い目ほつれ防止方法及び装置
US6422165B1 (en) Apparatus for preventing raveling of seam
KR100685060B1 (ko) 단추를 다는 재봉틀
JP3486111B2 (ja) ミシンの上飾り縫い装置
JP3754710B2 (ja) 多本針二重環縫いミシン
JP2001137584A (ja) ボタン孔ミシン
JPH08246323A (ja) 刺繍素材の縫い付け方法
JP5241449B2 (ja) 鳩目ボタン穴かがりミシン
JP3508371B2 (ja) 鳩目穴かがりミシン
JPS6029514B2 (ja) ボタン孔縢りミシンにおける上糸張力付与装置
JP4819237B2 (ja) 千鳥本縫ミシン及びピンタック形成方法
JPS6060895A (ja) ボビンに下糸を巻取る方法
JPH0587278B2 (ja)
JP4862322B2 (ja) 鳩目穴かがり縫いミシンの芯糸供給装置
JPH09290081A (ja) 環縫いの結び目形成方法及び環縫いミシン
JPH0438988A (ja) 電子制御式ジグザグミシン
JP3946571B2 (ja) ボタン付け環縫いミシン
JP2541601B2 (ja) ミシンに使用するオ―バ―ロック縫い器
JP2000279676A (ja) ミシン
JP2571036Y2 (ja) 複数針偏平縫いミシン
JPH08141252A (ja) ミシンの布押え
EP0293477A1 (en) Overlock sewing device for use in sewing machine
JPH05115650A (ja) ミシン
JPH0740374Y2 (ja) ハンドステッチミシンの糸締り調整装置

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20071024

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081024

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091024

Year of fee payment: 6

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees