JP3485257B2 - プラズマ表示装置用の誘電体の組成物 - Google Patents

プラズマ表示装置用の誘電体の組成物

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プラズマ表示装置
用の誘電体の組成物に係るもので、詳しくは、プラズマ
表示装置の後面基板に形成されて各放電セル間を物理的
に区切る隔壁及び後面基板の誘電体厚膜の材料の組成に
関する。
【0002】
【従来の技術】最近、液晶表示装置、電界放出表示装置
及びプラズマ表示装置などの平面表示装置が盛んに開発
されており、特に、単純な構造のため制作が容易で、メ
モリ機能を有し、160°以上の広視野角を有し、かつ
40インチ以上の大画面を実現し得るという利点を有す
るプラズマ表示装置が注目されている。
【0003】そのようなPDPの従来の構造を図1に示
す。従来のPDPは複数のアドレス電極11が平行に配
置された後面ガラス基板10と同様に平行に多数の透明
電極21が配置された前面ガラス基板20とを備えてい
る。それぞれの電極の並ぶ方向は図示のように直交して
いる。アドレス電極を配置した後面ガラス基板10の一
面、前面基板を向く面には壁電荷を充填させる後面誘電
体厚膜12が所定の厚さに塗布されている。同様に、前
面ガラス基板10の電極を形成させた面にも壁電荷を充
填させる前面誘電体厚膜22が塗布されている。これら
の前面と後面のガラス基板の間にはそれらを一定の間隔
で平行になるように支えると共に、放電セル30を分離
する隔壁13が形成されている。この隔壁13の面と後
面誘電体厚膜12の表面にはプラズマ放電時に発生した
光によって励起されて発光する蛍光体14が塗布されて
いる。また、前面誘電体厚膜22の上には放電によるス
パッタリングから前面誘電体厚膜22を保護する保護膜
23が塗布されている。
【0004】従来のプラズマ表示装置の構造は、図1に
示したように、前後両側(図中上下)に相互平行にそれ
ぞれ配置された平板状の後面基板(10)と前面基板
(20)及びそれら平板状の後面基板(10)と前面基
板(20)間に密封して形成された放電セル(30)を
備えていた。そして、後面基板(10)の一面、前面基
板側の面には、所定の間隔で複数のアドレス電極(1
1)が形成され、そのアドレス電極(11)が形成され
た後面基板(10)の上には壁電荷を帯電させるための
下部誘電体厚膜(12)が形成されている。下部誘電体
厚膜(12)の上であってアドレス電極(11)の間に
それぞれ隔壁(13)が形成されていた。隔壁(13)
は、各放電セル(30)を物理的にそれぞれ分割する役
割を果たすものである。各隔壁(13)の両側面と下部
誘電体厚膜(12)の表面には蛍光体(14)が塗布さ
れていた。
【0005】後面基板(10)の上側に隔壁によって一
定間隔はなして平行に配置されている前面基板(20)
の一面(図中の下面)に、複数の透明電極(21)が平
行に形成されている。それらの透明電極(21)が形成
された前面基板(20)の一面(図中の下面)には上部
誘電体厚膜(22)が塗布され、上部誘電体厚膜(2
2)の表面に保護膜(23)が塗布されていた。
【0006】隔壁(13)は、高い縦横比を有利に得る
ために従来はLTCCM(Low Temperature Cofired Ce
ramic on Metal)方法で形成していた。すなわち、グリ
ーンシートを作成した後、そのグリーンシートをプラズ
マ表示装置用の後面基板(10)の面に付着させ、グリ
ーンシートの上に所定形状の金型を載せて、その金型を
均一な圧力で加圧してクリーンシートを隔壁の形状とし
た後、金型を除去し、300〜350℃の温度で15〜
20分間乾燥させて、有機溶剤を除去した後、750〜
800℃の温度範囲で焼結することで隔壁(13)を形
成していた。
【0007】隔壁(13)の材料となるグリーンシート
は、母材ガラス粉末に有機溶媒を混合してスラリーを製
造した後、テープキャスティング装置を利用してスラリ
ーをシート状に形成するが、このようなグリーンシート
の主材料となる母材ガラス粉末の組成比を表すと、次の
表1のようになる。
【0008】
【表1】
【0009】上記表1に示したような組成比を有する従
来プラズマ表示装置の後面基板の隔壁の特性を表すと、
表2のようになる。
【0010】
【表2】
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかるに、このような
従来のプラズマ表示装置用の誘電体の組成物は、隔壁材
料として使用されるSiO2、B23及びMgOなど焼
成温度の高い物質が多く含まれているため、焼成温度が
高くなるという不都合な点があった。且つ、焼成温度が
高いと、焼成を施す途中でプラズマ表示装置の後面基板
の薄い金属基板に変形が発生するという不都合な点があ
った。従って、誘電率及び熱膨張係数が低く、耐電圧が
高く、かつ焼成温度が低い隔壁材料の開発が要請されて
いる。そこで、本発明は、このような従来の問題点に鑑
みてなされたもので、その目的は、焼成温度、熱膨張係
数及び誘電率が低く、耐電圧が高い隔壁を製造し得るプ
ラズマ表示装置用の誘電体の組成物を提供することであ
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するた
め、本発明に係るプラズマ表示装置用の誘電体の組成物
は、20〜40重量%のZnOと、15〜30重量%の
SiO2と、10〜20重量%のB23と、0<PbO
30重量%のPbOと、0<MgO≦20重量%のM
gOと、1〜10重量%のCaOと、1〜10重量%の
Al23と、0<K 2 O≦10重量%のK2Oと、0<N
2 O≦8重量%のNa2Oと、0<Li 2 O≦5重量%
のLi2Oと、0<Sb 2 3 2重量%のSb23と、
0<As 2 3 2重量%のAs23と、を含有する母材
ガラス粉末からなることを特徴とする。
【0013】そして、本発明に係るプラズマ表示装置用
の誘電体の組成物、PbO、MgO及びCaO成分の合
計が40重量%以下であることを特徴とする。さらに、
本発明に係るプラズマ表示装置用の誘電体の組成物は、
Li20、K20及びNa20の成分の合計が10重量%
以下であることを特徴とする。さらに、本発明に係るプ
ラズマ表示装置用の誘電体の組成物は、母材ガラス粉末
に所定比率の酸化物充填剤を混合することを特徴とす
る。
【0014】さらに、本発明に係るプラズマ表示装置用
の誘電体の組成物は、酸化物充填剤として、Mg2Al4
Si518、2MgOSiO2、Zn2SiO4、PbTi
2、水晶(Quartz)、Al23、TiO2、Zr
2、MgOAl23、3Al23(2SiO2)、Mg
TiO3、Zn2SiO4、LiAl(SiO4)及びB
PO4のうち何れか1つ以上を選択して用いることを特
徴とする。
【0015】 さらに、本発明に係るプラズマ表示装置
用の誘電体の組成物は、母材ガラス粉末に酸化物充填剤
5〜50重量%を混合することを特徴とする。又、本発
明に係るプラズマ表示装置用の誘電体の組成物は、隔壁
として使用できるだけでなく、後面基板上に形成する誘
電体厚膜としても使用することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て説明する。本発明に係るプラズマ表示装置用の誘電体
の組成物の第1実施形態は、20〜40重量%のZnO
と、15〜30重量%のSiO2と、10〜20重量%
のB23と、0〜30重量%の Pb0と、0〜20重
量%のMgOと、1〜10重量%のCaOと、1〜10
重量%のAl23と、0〜10重量%のK2Oと、0〜
8重量%のNa2Oと、0〜5重量%のLi2Oと、0〜
2重量%のSb23と、0〜2重量%のAs23と、を
含有する母材ガラス粉末で構成される。
【0017】このように構成された本発明の第1実施形
態に係るプラズマ表示装置用の誘電体の組成を表にして
示すと、次の表3のようになる。
【0018】
【表3】
【0019】上記表3中、組成比(%)は、母材ガラス
粉末の重量を100重量%として算出した値である。
【0020】即ち、上記表3に示したように、焼成温度
が高いSiO2、MgO、B23の含有量を従来誘電体
の組成物に比べて減らし、焼成温度が低いPbOを0〜
30重量%だけ添加した。そして、本発明の第1実施形
態では、PbO、MgO及びCaO成分の合計を40重
量%以下とすることが好ましく、Li2O、K2O及びN
2Oの成分の合計を10重量%以下とすることが好ま
しい。
【0021】次に、本発明に係るプラズマ表示装置用の
誘電体の組成物の第2実施形態は、第1実施形態の誘電
体の組成物(母材ガラス粉末)と、酸化物充填剤とを所
定比率で混合して組成物を形成させたものである。
【0022】 このとき、母材ガラス粉末に酸化物充填
剤を5〜50重量%を混合することが望ましい。酸化物
充填剤は、Mg2Al4Si518、2MgOSiO2、Z
2SiO4、PbTiO2、水晶、Al23、TiO2
ZrO2、MgOAl23、3Al23(2SiO2)、
MgTiO3、Zn2SiO4、LiAl(SiO4)及び
BPO4のうち何れか1つ以上を選択して用いる。
【0023】このように酸化物充填剤を母材ガラス粉末
と混合すると、焼成温度を一層低下させることができ
る。本発明の第1及び第2実施形態に係るプラズマ表示
装置用の誘電体組成物の特性を表すと、次の表4のよう
になる。
【0024】
【表4】
【0025】上記表4に示したように、本発明に係るプ
ラズマ表示装置用の誘電体の組成物においては、従来誘
電体組成物と同様な程度の誘電率、熱膨張係数及び耐電
圧を維持して、焼成温度が550〜750℃に低下する
という特性がある。このような本発明に係るプラズマ表
示装置用の誘電体の組成物は、プラズマ表示装置の後面
基板用誘電体層又は隔壁の形成に使用される。
【0026】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係るプラ
ズマ表示装置用の誘電体の組成物は、焼成温度が低く
て、焼成時にプラズマ表示装置用後面基板の変形を防止
できると共に、焼成工程のサイクルタイムを減らして、
プラズマ表示装置の信頼性を向上し得るという効果があ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 一般のプラズマ表示装置を示した断面斜視図
である。
【符号の説明】
10:後面基板 11:アドレス電極 12:下部誘電体厚膜 13:隔壁 14:蛍光体 20:前面基板 21:透明電極 22:上部誘電体厚膜 23:保護膜 30:放電セル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI H01J 11/02 H01J 11/02 B (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C03C 1/00 - 14/00 H01J 11/00 - 17/64 WPI

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 20〜40重量%のZnOと、15〜3
    0重量%のSiO2と、10〜20重量%のB23と、
    0<PbO≦30重量%のPbOと、0<MgO≦20
    重量%のMgOと、1〜10重量%のCaOと、1〜1
    0重量%のAl23と、0<K2O≦10重量%のK2
    と、0<Na2O≦8重量%のNa2Oと、0<Li2
    ≦5重量%のLi2Oと、0<Sb23≦2重量%のS
    23と、0<As23≦2重量%のAs23と、を含
    有する母材ガラス粉末からなることを特徴とするプラズ
    マ表示装置用の誘電体の組成物。
  2. 【請求項2】 前記PbO、MgO及びCaO成分の合
    計が、40重量%以下であることを特徴とする請求項1
    に記載のプラズマ表示装置用の誘電体の組成物。
  3. 【請求項3】 前記Li2O、K2O及びNa2O成分の
    合計が、10重量%以下であることを特徴とする請求項
    1に記載のプラズマ表示装置用の誘電体の組成物。
  4. 【請求項4】 前記母材ガラス粉末に5〜50重量%の
    酸化物充填剤を混合することを特徴とする請求項1に記
    載のプラズマ表示装置用の誘電体の組成物。
  5. 【請求項5】 前記酸化物充填剤は、Mg2Al4Si5
    18、2MgOSiO2、Zn2SiO4、PbTiO2
    水晶(Quartz)、Al23、TiO2、ZrO2
    MgOAl23、3Al23(2SiO2)、MgTi
    3、Zn2SiO4、LiAl(SiO4)及びBPO4
    のうち何れか1つ以上を選択して用いることを特徴とす
    る請求項4に記載のプラズマ表示装置用の誘電体の組成
    物。
  6. 【請求項6】 前記誘電体組成物は、プラズマ表示装置
    の隔壁又は後面基板の誘電体厚膜として使用されること
    特徴とする請求項1又は4に記載のプラズマ表示装置
    用の誘電体の組成物。
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