JP3483070B2 - 湿式紡糸装置 - Google Patents
湿式紡糸装置Info
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Description
製造する湿式紡糸装置に関する。その目的は、紡糸時に
おける凝固液の流れを制御し、凝固浴槽内の凝固液濃度
・温度を均一化し、可及的均一な品質の繊維製品を得る
こと、及び凝固液の乱れによる単糸切れ、異常繊維の発
生を防止すること、さらに凝固液の乱れを防止すること
により高速の紡糸を可能とすることにある。
て、凝固浴槽内に好適な成分・濃度・温度等に調整され
た凝固液を凝固液供給源から凝固液供給管に導き、該凝
固液供給管を凝固浴槽に直結して、凝固液を凝固浴槽に
供給する方法や、凝固液を凝固液供給源から凝固液供給
管を通り、整流板や多孔整流板を有する凝固液供給装置
に導き、ついで凝固浴槽に供給する方法が採用されてい
る。
槽に供給する方式では凝固液の流れに乱れを生じる。特
に紡糸口金周辺部での凝固液の乱れは、単糸切れや、異
常繊維を生じさせる。又、凝固液を凝固液供給装置によ
って整流し、凝固浴槽に供給する方法では、供給される
凝固液流の乱れは減少するものの、凝固浴槽内での凝固
液の乱れは解消されず、凝固液の乱れによる単糸切れ
や、異常繊維を生じさせる。
て工業的に製造する場合においては、凝固液供給必要量
は紡糸口金径と紡出糸引取速度の積により決定される。
一般的にスパン糸用人造繊維を湿式紡糸するのに用いら
れる該紡糸口金は口金径が大きく、凝固液供給必要量が
多くなるために、凝固浴槽内の凝固液流の乱れを大きく
し、単糸切れや、異常繊維を生じるとともに、エネルギ
−コストが高くなる。そこでこれを防ぐために、凝固液
供給量は低く制限し、その替わりに、紡出糸状により紡
糸口金付近では吸入され、凝固浴槽出口付近では搾り出
されて生じる、凝固液反転流によってその不足分を補う
方法が一般的に採用されている。
流と系外から供給される新鮮な凝固液は、凝固浴槽内で
均一な混合を受けないまま、制御されない位置で紡出糸
状に吸入されるという現象を起こす。この現象は、凝固
液流に乱れを生じ、単糸切れや、異常繊維を発生させる
ばかりでなく、凝固液濃度・温度の斑を大きくし、湿式
紡糸で最も重要な凝固速度の差を生じ、得られる繊維製
品の品質の不均一をもたらす。
き従来技術に付随する欠陥を改善すべく研究を繰り返し
た結果本発明に至ったものである。すなわち本発明の目
的とするところは、紡糸時における凝固浴槽内の凝固液
の流れを制御し、該槽内の凝固液濃度・温度を均一化
し、可及的均一な品質の繊維製品を得ること、及び凝固
液の乱れによる単糸切れ、異常繊維の発生を防止するこ
と、さらに凝固液の乱れを防止することにより高速の紡
糸を可能とすることを特徴とする湿式紡糸装置を提供す
ることである。
凝固液供給部と該部に直結されており、該供給部に近い
側に紡糸口金を沈設する凝固浴槽でなる人造繊維を紡出
する湿式紡糸装置において、該凝固浴槽は、底板と凝固
液抜き出し穴を有する内・外槽仕切り側板(以下仕切り
側板という)によって内・外槽の2槽に仕切られ、且つ
前記凝固液抜き出し穴に、凝固液の外槽から内槽への流
入を阻止し、内槽から外槽への流出を調整する調整装置
(以下凝固液流調整装置という)を備えている、上部開
放型の横型湿式紡糸装置によって達成される。
凝固浴内槽における紡糸口金表面位置の凝固液の垂直断
面積/紡出糸の該内槽凝固液面から離脱する位置の凝固
液の垂直断面積の比が2.5〜15の範囲にある上部開
放型の横型湿式紡糸装置を採用することにより、本発明
がさらにより良く達成される。
概要(発明の実施の形態)、及び効果について更に詳し
く説明する。図1、図2ないし図3は、本発明湿式紡糸
装置の1実施例の斜視図、平面図と側面図であり、図4
は、凝固液抜き出し穴に凝固液流調整装置を備えた内・
外槽仕切り側板の側面図である。
凝固浴内槽4に吐出され、紡出糸11は凝固液から点P
で離脱し(図3)ガイドバ−10を通り、引取ロ−ラ−
(図示せず)に導かれる。一方、凝固液は、凝固液供給
口13から供給され、紡糸口金1周囲から紡出糸束11
に吸入され、紡出糸と共に流動し紡出糸が凝固液から離
脱する点に近づくにつれ紡出糸より搾出される。搾出さ
れた凝固液は凝固液抜き出し穴8を通って内・外槽仕切
り側板7によって仕切られた外槽3を通り、凝固液供給
部5に復流し、凝固液供給菅2よって供給される新鮮な
凝固液と混合されて、凝固液供給口13より、再び凝固
浴内槽4に供給される。
いられる凝固浴槽の1実施例の断面図である。より詳し
くは側面図図3における凝固浴内槽有効長L1 の左端
側、即ち紡糸口金表面位置の凝固液の断面を図5左図に
示し、斜線4部は該部の垂直断面積S1 を表す。右図は
L1 の右端側、即ち紡出糸の内槽凝固液面からの離脱点
Pにおける凝固液の断面図であり、斜線4部は該部の垂
直断面積S2 を表す。
凝固浴外槽3、凝固浴内槽4でなる凝固浴槽に直結され
ている。凝固液供給部5には、凝固液供給管2から新鮮
な凝固液が導入される。凝固浴槽には、凝固液供給部5
に近い側に紡糸原液導入管を付随する、紡糸口金1が沈
設されている。又凝固浴槽は、凝固浴内・外槽共用の底
板6と、平行に設置した例で示す内・外槽仕切り側板7
で仕切られ、上述のように凝固浴内槽、及び外槽を形成
している。内・外槽仕切り側板7には、円形の例で示し
た凝固液抜き出し穴8が設けられている。
行なものの他、凝固浴槽出口12側が狭まったものも採
用し得る。又、凝固液抜き出し穴8も円形に限らず楕円
形や正方形、矩形、台形等々でもよく、その個数も限定
は無いが、実用的には概ね5〜10個程度である。一
方、該凝固液抜き出し穴8の配置される位置が本例の如
く凝固液面に平行であるものの他、凝固浴内槽底板に平
行であるもの、或いはその間にあるものも採用し得る。
さらに、楕円形や矩形等々の凝固液抜き出し穴8におい
ては、その長軸の向きが凝固液面に垂直であるもの、又
は水平であるもの、或いはその間にあるものも採用し得
る。
吐出され、紡出糸11は該内槽凝固液面から離脱し(以
下 離脱点Pという)ガイドバ−10を通り引取ロ−ラ
−に導かれる。この時紡糸口金1周囲から紡出糸11に
供給された凝固液は、紡出糸の束に吸入され、さらに走
行に伴う随伴流として流動し、離脱点Pに近づくにつれ
紡出糸11の集束により搾出される。搾出された凝固液
(以下 搾出凝固液という)は凝固液抜き出し穴8を通
って内・外槽仕切り側板7によって仕切られた凝固浴外
槽3を通り、凝固液供給部5に復流し、凝固液供給管2
によって供給される新鮮な凝固液(以下 供給凝固液と
いう)とぶつかって混合され、凝固液供給口13から再
び凝固浴内槽4に導かれ、紡糸口金1周囲に供給される
ようになっている。
仕切り側板の作用により、搾出凝固液が走行する紡出糸
束に勝手な位置で吸入されることが無い。又これによ
り、紡出糸の走行速度が上がっても必要量の凝固液が紡
出糸に供給され、凝固浴槽出口付近で搾出されるのであ
る。一方、かくして走行速度に応じて凝固浴槽内での循
環量の高められた搾出凝固液の一部、即ち供給凝固液量
に等しい量が、紡出糸とともに凝固浴槽出口12から排
出されるが、それ以外の凝固液抜き出し穴8から凝固浴
外槽を通り、凝固液供給部5に反転する凝固液は、外槽
から内槽への流入を阻止し、内槽から外槽への流出を調
整する凝固液流調整装置9の設置により、その流れを凝
固液供給部5にのみ向かうようにするのがよい。
・外2槽に仕切られていない場合、搾出凝固液は供給凝
固液より溶剤濃度が高く、比重が大きいことから凝固浴
槽内底部に沿って、凝固液供給必要量不足分の補充のた
め凝固液供給口13に至る前で紡糸口金周囲に反転吸入
される。この流れは紡出糸の随伴流、及び供給凝固液の
流れと逆行することから、凝固液流の乱れを生じ、単糸
切れや、異常繊維の原因となる。さらに、濃度・温度の
高い搾出凝固液が供給凝固液と混合されないまま紡糸口
金周囲に供給されることになることから、単糸切れや、
異常繊維が発生するばかりでなく、湿式紡糸で最も重要
な凝固速度差に基づく単糸間での品質差を生じ、繊維製
品の品質変動を大きくする。
いては、搾出凝固液は凝固液抜き出し穴より凝固浴外槽
に流出させることにより、凝固浴槽内底部に沿って紡糸
口金周囲に反転する搾出凝固液量が減少することから、
紡出糸と逆行した流れによる凝固液流の乱れや、濃度・
温度の高い搾出凝固液が紡糸口金周囲に混合されないま
ま供給されることが減少し、単糸切れや、異常繊維の発
生が抑制され、生産性の向上が図れるとともに、繊維製
品の品質変動が改善される。
出し穴の数・開孔面積・開孔位置は紡出条件、例えば、
原液吐出量・口金径・口金孔数・供給凝固液量・紡出糸
引取速度等によって本来決定されるべきものであるが、
凝固浴槽を生産条件に合わせ、つど交換することは、設
備費・生産ロスが大きく、工業的には1基の湿式紡糸装
置のみで広範囲の紡出条件に適用出来る必要がある。本
願発明では、内・外槽仕切り側板の凝固液抜き出し穴
に、搾出凝固液の外槽から内槽への流入を阻止し、紡出
条件に応じて、内槽から外槽へ流出させる凝固液量を調
整する凝固液流調整装置を取り付けることにより、広範
囲の紡出条件で凝固浴槽内の反転流を抑制することを可
能ならしめている。
槽から内槽への流入を阻止するとともに、凝固浴内槽か
ら外槽へ流出させる凝固液量を、紡出条件に応じて自動
的に制御する方法が採用される。紡出条件に応じて自動
的に制御する凝固液流調整装置の1実施例としては、内
・外槽仕切り側板に複数設置された凝固液抜き出し穴の
外槽側に、使用条件(凝固液薬剤・温度等)に耐えうる
材質から選ばれた、金属・プラスチックあるいはゴム等
の薄板からなり、上部の一辺が固定された、小さい力で
作動する逆流防止弁が採用される。即ち凝固液供給必要
量や、紡出速度によって変化する各々の凝固液抜き出し
穴における、凝固浴内槽内の液圧に対応して該逆流防止
弁を押し開き、内槽から外槽に凝固液を自動的に流出さ
せる方法である。
って、1基の湿式紡糸装置で広範囲の紡出条件下で凝固
浴内槽内の凝固液流の制御が可能となり、単糸切れや、
異常繊維の発生が抑制され、生産性の向上が図れるとと
もに、繊維製品の品質変動が改善される。生産性の向上
はかかる単糸切れや異常繊維発生の減少によるもののみ
ならず、凝固浴内槽の凝固液が凝固液抜き穴を介して凝
固浴外槽側に流れ、凝固液供給部で新鮮な供給凝固液と
合流するという流れを形成することにより凝固浴内・外
槽間での循環凝固液量が増大することに負うところが大
である。
浴槽出口部に近づくにつれ凝固液の垂直断面積を小さ
く、具体的には、沈設されている紡糸口金の存在する部
位における凝固液の垂直方向に測った断面積が、紡出糸
が該内槽から離脱する位置の凝固液垂直断面積の2.5
〜15倍、好ましくは3〜10倍の範囲にあるのが望ま
しい。(以下、説明の便宜のためこの2つの部位におけ
る凝固液の垂直方向断面積の比を「凝固液入口/出口垂
直断面積比」あるいは単に「垂直断面積比」という。)
すなわち、先にも述べたが搾出凝固液は供給凝固液に
対し、濃度が高く、比重が高い。又より細かく見れば、
凝固浴槽出口部に近づくにつれ紡出糸からの凝固液への
溶剤の拡散が進行しているので、搾出凝固液濃度は凝固
浴槽出口部に近づくにつれ高くなる。
2.5未満の時は、凝固浴内槽の凝固浴槽出口部分の巾
が広いか凝固液々深が深いことから、凝固液の断面流速
が低下し、凝固浴内槽底部に搾出凝固液が滞留したり、
凝固液抜き出し穴が水平に配置されている場合におい
て、凝固浴内槽底部と凝固液抜き出し穴との距離が離れ
る事になる。こうなると凝固浴内槽底部に沿って流れる
高濃度の搾出凝固液が効率良く凝固浴外槽に流出され
ず、凝固浴内槽内の凝固液濃度斑を生じ、操業性の向上
と品質変動の減少を図る効果が減少する。
5を越える時は、凝固浴内槽の凝固浴槽出口部分の巾が
狭いか凝固液々深が浅いことから、凝固液の断面流速が
速くなり、凝固液抜き出し穴が水平に配置されている場
合において、搾出凝固液の凝固浴外槽への流出が凝固浴
槽出口部付近の凝固液抜き出し穴に集中し、排出能力を
越え、凝固浴内槽内での反転流が増加し、凝固液流の乱
れが生じ、単糸切れや、異常繊維の発生を減少させると
いう効果が発現し難くなる。
説明するため、便宜上アクリル繊維の無機溶媒湿式紡糸
の例を挙げて説明する。しかし本発明が適用出来る範囲
はこの例に限るものではなく、本発明装置は人造繊維の
湿式紡糸に広く及ぶものである。又、実施例中の口金周
囲凝固液温度差、口金周囲凝固液濃度差、紡糸性、異常
繊維含有率、強度、伸度、他の特性値は次の定義、測定
法により求めた値である。さらに、実施例中で使用する
用語の略号及び単位を以下に示す。
液温度の最高値と最低値の差。 測定器:デジタル温度計 タイプ AP−210 安立
計器製 測定点:口金表面から紡出糸取り出し位置の方向に2
〜3cm離れ、且つ口金最外周孔から2〜3cm外側に
離れた位置。 測定点aは凝固浴内槽に沈設された紡糸口金の外周最
上端部であっての条件を満足する位置。 測定点b,c,dは測定点aを起点に時計廻りに90
°づつずらした、の条件を満足する位置。 (2)口金周囲凝固液濃度差(ΔC %) アッペ式屈折計を用い、ΔT(℃)測定点から採取した
試料で測定した凝固液濃度の最高値と最低値の差。
平均吐出線速度に対する、紡出糸のノズル切れ本数が総
紡出孔数の0.1%、又は20本のいずれか小さい方の
値になる紡出糸引取速度(後述するV1 )の比で定義す
る。この値が大きい程、高速紡糸ができる。即ち高生産
性であり、紡糸性に優れることを表す。
す。 解繊された綿から未解繊の綿を分別採取し、精秤し、
W(g)とする。 計算 :含有率(M%)=(W/20)×100
5) 強度(g/d) :n=30 変動率(CV%):(標準偏差/平均値)×100 (6)伸度(DE)(JIS L1015) 伸度(%) :n=30 変動率(CV%):(標準偏差/平均値)×100
レベル ×:凝固浴内槽内の液流に乱れがあり、長時間操業が不
能なレベル △:凝固浴内槽内の液流に乱れが若干あるものの、長時
間操業が可能なレベル ○:凝固浴内槽内の液流は安定で、安定的に長時間操業
が可能なレベル
ル9.5重量%、メタアリルスルホン酸ソ−ダ0.5重
量%を含有する30℃、DMFでの[η]=1.5の共
重合体をロダンソ−ダ48%の水溶液に溶解し、共重合
体濃度が11重量%となるよう紡糸原液を準備した。
糸口金径:120mmφ、孔直径:80mμ、孔数:1
6000の紡糸口金から、供給凝固液温度/ロダンソ−
ダ濃度が0℃/10%である凝固液を用い、図1〜3の
諸元として表1に示す値の湿式紡糸装置及び条件で湿式
紡糸し、得られた湿潤紡出糸は沸水中で10倍延伸後、
115℃の熱風中で乾燥する。ついで得られた繊維を1
30℃の加圧蒸気中で熱処理を行い3dの繊維を作成し
た。
が2mmの塩化ビニ−ル樹脂製である。 かくして得ら
れた繊維の原綿品質、及び変動率と引取速度を1m/分
ピッチで上昇させ測定した臨界ジェット延伸比(J)は
表2に示すごとき特性であった。
出し穴を有する内・外槽仕切り側板によって2槽に仕切
られてなる凝固浴槽(凝固液流調整装置を設けていない
ことのみが特許請求する本発明(本発明−2,−3)と
異るだけであるので、以下 便宜上本発明−1という)
に紡出した試料No.3、4に対し、内・外槽仕切り側
板を有さず凝固浴槽が1槽のみでなる凝固浴槽からの試
料No.1は、供給凝固液と内槽内を反転して流れる搾
出凝固液が、混合されない状態で口金周囲に供給される
ために、口金周囲での凝固液温度差・濃度差が大きく、
反転流による液流の乱れも大きい。従って、紡糸性が劣
るばかりか、品質面でも異常繊維含有率が大きく、且つ
強伸度の変動率も大きくなる。又、新鮮な供給凝固液が
紡出糸に吸入されることなく、凝固浴内槽内をショート
パスして凝固浴槽出口から排出され、即ち供給凝固液の
有効利用率が低下し、原液の凝固、紡出糸の脱溶剤に大
きく影響する凝固液温度が上昇するために平均の強度は
低く、伸度が高くなる。さらに、同条件で紡糸速度のみ
を高くした試料No.2では、凝固浴内槽内を反転する
搾出凝固液が増加し、口金周囲での凝固液温度差・濃度
差がさらに大きくなり、反転流による液流の乱れも増大
する。従って、紡糸性はさらに悪化し、品質面でも異常
繊維含有率・強伸度の変動率等が増加した。このよう
に、試料No.1及び2の凝固浴槽では高生産性に高品
位の繊維製品を得る事が出来ない。
内・外2槽からなり、内・外槽仕切り側板に凝固液抜き
出し穴を有する凝固浴槽に紡糸した試料No.3、4で
は、搾出凝固液の凝固浴内槽内反転流が減少して、口金
周囲での凝固液温度差・濃度差は減少し、液流の乱れも
減少することによって、紡糸性・異常繊維含有率・強伸
度の変動率が改善される事が容易に理解出来る。しか
し、後述するように、凝固液流調整装置を備え更には凝
固液入口/出口垂直断面積比を適正にする本発明−2,
−3には及ばない。
に示す凝固浴槽及び条件で紡出し、得られた湿潤紡出糸
は同じ延伸、乾燥、熱処理を行い3dの試料No.5、
6の繊維を作成した。なお、ここで用いた凝固浴槽は、
材質の厚さが2mmの塩化ビニ−ル樹脂製である。又、
凝固液流調整装置としては、材質の厚さが0.2mmの
アルミ箔を凝固液抜き出し穴の上部に、アルミ箔上部の
一辺のみを接着剤で仕切り側板の外槽側に接着して製作
した逆流防止弁タイプを用いた。かくして得られた繊維
の原綿品質および変動率と引取速度を1m/分ピッチで
上昇させ測定した臨界ジェット延伸比(J)は表4に示
すごとき特性であった。尚、表3、4共に参考のために
実施例1における比較試料No.1や本発明−1の試料
No.3、4の値も併記した。
浴槽に紡糸された試料No.3、4に対し、凝固浴槽が
凝固液抜き出し穴を有する内・外槽仕切り側板によって
2槽に仕切られ、且つ該凝固液抜き出し穴に凝固液流調
整装置を有してなる凝固浴槽(以下 本発明−2とい
う)に紡出した試料No.5、6では、凝固浴内槽内の
液流の乱れはさらに減少し、搾出凝固液が凝固浴内槽か
ら外槽へスム−スに流出し、外槽から内槽への流入が阻
止されていることから、口金周囲の凝固液温度差・濃度
差はさらに減少していることが明白である。又、紡糸性
・異常繊維含有率・強伸度の変動率も改善されることが
明白であり、凝固液抜き出し穴に凝固液流調整装置を有
してなる凝固浴槽(本発明−2)によって本願発明がよ
り良く達成されることが容易に理解される。
・外槽兼用の底板として凝固液入口/出口部に傾斜を有
し、凝固液入口/出口垂直断面積比他が表5の諸元であ
る凝固浴槽、及び条件で紡出し、得られた湿潤紡出糸は
実施例−1と同じ延伸、乾燥、熱処理を行い3dの試料
No.8〜13の繊維を作成した。紡糸速度V2 は20
0m/分という高速紡糸である。尚、凝固浴槽及び凝固
液流調整装置の材質・厚さ及び取り付け法は実施例−2
に同じである(以下 本発明−3という)。かくして得
られた繊維の原綿品質および変動率と引取速度を1m/
分ピッチで上昇させ測定した臨界ジェット延伸比(J)
は表6に示すごとき特性であった。
板の凝固液抜き出し穴に凝固液流調整装置を有してなる
凝固浴槽であって、凝固液入口/出口垂直断面積比が
2.5〜15の範囲にある凝固浴槽(本発明−3)を用
いて紡出した試料No.8〜13は、凝固液入口/出口
垂直断面積比が2.5未満(本発明−2)である凝固浴
槽を用いて紡出した試料No.7と比較して、口金周囲
の凝固液の濃度・温度の差が小さく、紡糸性も優れて、
品質面でも異常繊維含有率、強伸度変動率も減少してい
る。尚、試料No.7の速度V1 、V2 を15、150
m/分とする以外は、全く同様にして作成される試料N
o.6と比較すると、試料No.7のS1/S2=2は紡糸
速度200m/分には不向きなことが判る。
5を越える試料No.14の時、搾出凝固液の凝固浴外
槽への排出が出口部抜き出し穴に集中し、排出能力を越
え、凝固浴内槽での反転流による液流の乱れ、及び紡糸
性が悪化するとともに異常繊維含有率が増加し、凝固液
流調整装置を備えていても、200m/分もの高速紡糸
には耐えられないこと、さらに試料No.9〜12か
ら、凝固液入口/出口垂直断面積比が3〜10の範囲で
より良好であることが明白である。
2.5〜15の範囲で、好ましくは3〜10の範囲で、
本願発明の目的である高生産性に高品位の繊維製品を得
る目的がより良く達成されることが容易に理解される。
びに紡糸口金を用い、表7に示すように実施例−3にお
ける本発明−3の試料No.10と、同じ諸元の凝固浴
槽、及び条件で速度(V1、V2)のみを変えて作成し
た試料No.15、16の値を表8に記した。
置を有してなる試料No.10、15、16からは、広
い紡出条件範囲で良好な紡糸性が得られ、品質面では異
常繊維含有率・強伸度変動率も良好であることが明白で
あり、凝固浴内・外槽仕切り側板に凝固液流調整装置を
取り付けることによって、1基の凝固浴槽でより広範囲
の紡出条件に対応できることが容易に理解される。
湿式紡糸装置に関するものであり、第1の効果は、凝固
液抜き出し穴を有する仕切り側板によって内・外2槽に
仕切ることにより、紡糸時の凝固液の流れを制御し、凝
固浴槽内の凝固液濃度・温度を均一化し、可及的均一な
品質の繊維製品が得られることである。第2の効果は、
凝固液抜き出し穴に、搾出凝固液の外槽から内槽への流
入を阻止し、内槽から外槽への流出をスム−スに行う凝
固液流調整装置を備えることによって、広い範囲の紡糸
条件に適用可能な凝固浴槽を提供出来ることである。さ
らに、第3の効果は凝固浴槽の垂直断面積をある範囲に
制御することで、凝固浴槽内の凝固液濃度・温度をより
均一化し、工業的に、高生産性に高品位の繊維製品を容
易に提供出来ることであり、一般的湿式紡糸全てに適用
可能であることである。
繊維素繊維、アクリル繊維、アクリル系繊維、ポリビニ
−ルアルコ−ル繊維等の湿式紡糸であり、これらに用い
られる溶剤としてはアクリル繊維で例示すると、塩化亜
鉛、ロダンソ−ダ、硝酸等の無機溶剤や、DMF、DM
SO、DMA、等の有機溶剤である。
の斜視図である。
の平面図である。
の側面図である。
て、凝固液抜き出し穴と該穴に凝固液流調整装置として
逆流防止弁を使用した1実施例の側面図である。
の入口/出口部の1実施例の断面図である。
線で示す) a: 口金周囲温度・濃度測定点 b: 口金周囲温度・濃度測定点 c: 口金周囲温度・濃度測定点 d: 口金周囲温度・濃度測定点 L1 : 凝固浴内槽有効長 L2 : 凝固液抜き出し穴開始位置 W1 : 凝固浴内槽巾 W2 : 凝固浴外槽巾
Claims (2)
- 【請求項1】凝固液供給部と該部に直結されており、該
供給部に近い側に紡糸口金を沈設する凝固浴槽でなる人
造繊維を紡出する湿式紡糸装置において、該凝固浴槽
は、底板と凝固液抜き出し穴を有する内・外槽仕切り側
板によって内・外槽の2槽に仕切られ、且つ前記凝固液
抜き出し穴に、凝固液の外槽から内槽への流入を阻止
し、内槽から外槽への流出を調整する調整装置を備えて
いることを特徴とする、上部開放型の横型湿式紡糸装
置。 - 【請求項2】凝固浴内槽における紡糸口金表面位置の凝
固液の垂直断面積/紡出糸の該内槽凝固液面から離脱す
る位置の凝固液の垂直断面積の比が2.5〜15の範囲
にあることを特徴とする、請求項1記載の横型湿式紡糸
装置。
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