JP3704855B2 - 横型湿式凝固浴槽及び該凝固浴槽を用いる湿式紡糸法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は人造繊維を工業的に製造する、横型湿式凝固浴槽及び該凝固浴槽を用いる湿式紡糸法に関する。その目的は、紡糸時における凝固液の流れを制御し、凝固浴槽内の凝固液濃度・温度を均一化し、可及的均一な品質の繊維製品を得ること、及び凝固液の流れの乱れによる単糸切れ、異常繊維の発生を防止すること、さらに凝固液の流れの乱れを防止することにより高速の紡糸を可能とすることにある。
【0002】
【従来の技術】
従来、人造繊維の湿式凝固浴槽において、所定の成分・濃度・温度等に調整された凝固液を、凝固液供給源から凝固液供給管に導き、該凝固液供給管を凝固浴槽に直結して、凝固液を凝固浴槽に供給する方法や、凝固液を凝固液供給源から凝固液供給管を通り、整流板や多孔整流板を有する凝固液供給装置に導き、ついで凝固浴槽に供給する方法が採用されている。
【0003】
しかるに、上述の如き凝固液を直接凝固浴槽に供給する直接方式では、凝固液の流れに乱れを生じる。特に紡糸口金周辺部での凝固液の流れの乱れは、単糸切れや、異常繊維を生じさせる。又、凝固液を凝固液供給装置によって整流し、凝固浴槽に供給する後者の方法では、供給される凝固液の流れの乱れは減少するものの、凝固浴槽内での凝固液の流れの乱れは解消されず、やはり凝固液の流れの乱れによる単糸切れや、異常繊維を生じさせる。
【0004】
一方、スパン糸用人造繊維を湿式紡糸法にて工業的に製造する場合においては、凝固液供給必要量は紡糸口金径と紡出糸引取速度の積により決定される。一般的にスパン糸用人造繊維を湿式紡糸するのに用いられる紡糸口金は口金径が大きく、凝固液供給必要量が多くなるために、凝固浴槽内の凝固液の流れの乱れを大きくし、単糸切れや、異常繊維を生じるとともに、エネルギ−コストが高くなる。そこでこれを防ぐために、凝固液供給量は低く制限し、その替わりに、紡出糸篠により紡糸口金付近では吸入され、凝固浴槽出口付近では搾り出されて生じる、凝固液の復流液によってその不足分を補う方法が一般的に採用されている。
【0005】
ところがこの方法では、凝固浴槽出口側からの反転流(復流)と系外から供給される新鮮な凝固液とは、凝固浴槽内で混合をされないまま、制御されない位置で紡出糸篠に吸入されるという現象を起こす。この現象は、凝固液の流れに乱れを生じ、単糸切れや、異常繊維を発生させるばかりでなく、凝固浴槽内での凝固液濃度・温度の斑を大きくし、湿式紡糸で最も重要な凝固速度の差を生じ、得られる繊維製品の品質の不均一をもたらす。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは上述の如き従来技術に付随する欠陥を改善すべく研究を繰り返した結果、本発明に至ったものである。
すなわち本発明の目的とするところは、紡糸時における凝固浴槽内の凝固液の流れを制御し、該浴槽内の凝固液濃度・温度を均一化し、可及的均一な品質の繊維製品を得ること、及び凝固液の流れの乱れによる単糸切れ、異常繊維の発生を防止すること、さらに凝固液の流れの乱れを防止することにより高速の紡糸を可能にするという要求を満たす横型湿式凝固浴槽を提供すること、並びに該浴槽を用いる湿式紡糸法を提案することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
かかる本発明の目的は、凝固浴槽の一端に紡糸口金を沈設し、他端より紡出糸を引出し、凝固液の供給は紡糸口金沈設側から行うようにした湿式凝固浴槽において、該凝固浴槽は、上面のみが開放されている浴槽と、供給凝固液流を調整するためのル−バ−を備えた凝固液供給部が直列に接続されてなり、該ル−バ−の俯角を可変にした横型湿式凝固浴槽を採用することによって、達成される。さらに、凝固浴槽における紡糸口金表面位置の凝固液の垂直断面積/紡出糸の該凝固液面から離脱する位置の凝固液の垂直断面積の比が2.5〜15の範囲にある横型湿式凝固浴槽を採用することによって、本発明はより良く達成される。
【0008】
本発明の目的はさらに、凝固浴槽の一端に紡糸口金を沈設し、他端より紡出糸を引出し、凝固液の供給は紡糸口金沈設側から行うようにした湿式凝固浴槽において、該凝固浴槽は、上面のみが開放されている浴槽と、供給凝固液流を調整するためのル−バ−を備えた凝固液供給部が直列に接続されてなり、該ル−バ−の俯角を可変にしたことを特徴とする横型湿式凝固浴槽を用い、該ル−バ−の俯角を調整して、供給凝固液流と紡出糸から搾出されて浴槽内を復流する搾出凝固液流との会合位置を、紡糸口金表面位置から100〜250mmの範囲内とする湿式紡糸法によって、高度に達成される。又、凝固浴槽における紡糸口金表面位置の凝固液の垂直断面積/紡出糸の該凝固液面から離脱する位置の凝固液の垂直断面積の比が2.5〜15の範囲にある横型湿式凝固浴槽を用いる湿式紡糸法によって、より高度に達成される。
【0009】
湿式紡糸法によって均一な品質の繊維製品を工業的に生産するためには、均一な凝固液濃度・温度の凝固液を整流された状態で紡糸口金表面に大量に供給する必要がある。しかしながら、浴槽内で凝固液濃度・温度の異なる凝固液の供給液と復流液を混合させ均一化しようとする場合、混合を促進させようとすればするほど浴槽内での凝固液の流れの乱れの増大は避けられず、凝固液濃度・温度の均一化と凝固液の整流とは二律背反する現象であり、本発明と言えども該現象から自由という訳のものではないが、凝固液の供給液と復流液の会合点を好適な範囲に制御し得る横型湿式凝固浴槽を用いる湿式紡糸法によって該現象に伴う悪影響を最小限に止め、より均一な品質の繊維製品を工業的に生産し得る技術を提供したのである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて本発明の構成、実施の概要(発明の実施の形態)、及び効果について更に詳しく説明する。図1、図2ないし図3は、本発明横型湿式凝固浴槽の1実施例の斜視図、平面図と側面図である。
図1は、本発明のル−バ−を備えた凝固液供給部が浴槽に直結され、該浴槽には紡糸口金が沈設されており、該口金から吐出された紡出糸が浴槽内の凝固液々面から点Pの位置で離脱したり、紡出糸にル−バ−を経由した凝固液が吸入され、紡出糸から絞り出された凝固液の復流が紡糸口金側に戻ろうとする様子を模式的に示している。
図2は、図1の横型湿式凝固浴槽の平面図であり、浴槽の巾をWとする。又、図3の側面図は、11で示すル−バ−が水平より下向きに開口していること、即ち俯角をもって設置されていることなどを示している。尚、波線は凝固液々面を表す。
【0011】
図1において、紡糸原液は紡糸口金1から浴槽2に吐出され、紡出糸3は凝固液から離脱点Pで離脱し(図3)ガイドバ−4を通り、引取ロ−ラ−(図示せず)に導かれる。
一方、凝固液は、凝固液供給管5から凝固液供給部6に供給され、俯角をもって設置され、且つ該俯角が可変にされているル−バ−11を備える凝固液流調整装置7を通り、紡糸口金1周囲から紡出糸3の束内に吸入され、紡出糸と共に流動し紡出糸が凝固液から離脱する点に近づくにつれ紡出糸より搾出される。搾出された凝固液は浴槽底板に沿って紡糸口金1に向かって復流し、凝固液供給部6から供給される新鮮な凝固液と混合されて、再び紡糸口金1周囲から紡出糸3に吸入される。
【0012】
また図4は、該凝固液流調整装置7の1実施例の側面図である。図4において、ル−バ−11はル−バ−支持部13を支点として、調整ハンドル12を回す事によって、調整ハンドル12に直結したネジ部14が上下し、ル−バ−11に連結した針金15によって、ル−バ−の俯角θを調整する。尚、俯角θが水平基準に下方に測った角度であることは言うまでもないが、該俯角は、原液吐出量、口金径、口金孔数、凝固液供給量、紡出糸引取速度、等の諸条件によって決定されるべきものであるが、概ね60〜20°の角度が良く、さらに好ましくは50〜30°の範囲である。
【0013】
また図5は、本発明横型湿式凝固浴槽の1実施例の2つの位置の断面図である。より詳しくは側面図図3における浴槽有効長L1 の左端側、即ち紡糸口金表面位置の凝固液の垂直断面を図5左図に示し、斜線部分は該部の垂直断面積S1 を表す。右図はL1 の右端側、即ち紡出糸の凝固液面からの離脱点Pにおける凝固液の垂直断面図であり、斜線部分は該部の垂直断面積S2 を表す。
図示の様に本発明では、凝固液供給部6が浴槽に直列に接続されている。凝固液供給部6には、凝固液供給管5から新鮮な凝固液が導入される。浴槽には、凝固液供給部6に近い側に紡糸原液導入管を付随する、紡糸口金1が沈設されている。又浴槽は底板8と、平行に設置した例で示す側板9からなる。
尚、浴槽側板9は本例の如く平行なものの他、浴槽出口側が狭まったものや、拡がったものも採用し得る。
【0014】
紡糸原液は紡糸口金1から浴槽2に吐出され、紡出糸3は該凝固液面から離脱点Pで離脱しガイドバ−4を通り引取ロ−ラ−に導かれる。この時紡糸口金1周囲から紡出糸3に供給された凝固液は、紡出糸の束に吸入され、さらに紡出糸束の走行に伴う随伴流として流動し、離脱点Pに近づくにつれ紡出糸3の集束により搾出される。搾出された凝固液(以下 搾出凝固液という)は一部は浴槽出口部から溢流するが、他の一部は浴槽底板8に沿って紡糸口金1に向かって復流し、凝固液供給管5から凝固液流調整装置7に供給される新鮮な凝固液(以下 供給凝固液という)と混合されたあと、紡糸口金1周囲に供給されるようになっている。
【0015】
即ち、搾出凝固液の復流が直接紡糸口金1周囲から勝手に紡出糸3に供給されるのでは無く、搾出凝固液と供給凝固液が混合されたのち、紡糸口金1周囲から供給されるのが好ましいが、本発明では、凝固液流調整装置7に設けられたル−バ−11の作用によりこれを実現しているのである。
【0016】
従来の如く、本発明のように凝固液流調整装置が設置されていない場合、搾出凝固液は供給凝固液より溶剤濃度が高く、比重が大きいことから浴槽内底部に沿って、凝固液供給必要量不足分の補充のため凝固液供給部6にまで到達する前で紡糸口金周囲に反転吸入される。即ち、濃度・温度の高い搾出凝固液が供給凝固液と混合されないまま紡糸口金周囲に供給されることになることから、単糸切れや、異常繊維が発生するばかりでなく、湿式紡糸で最も重要な凝固速度差に基づく単糸間での品質差を生じ、繊維製品の品質変動を大きくする。
【0017】
一方、本発明による横型湿式凝固浴槽においては、凝固液流調整装置に俯角可変に設置されたル−バ−によって、搾出凝固液は供給凝固液と混合されるので、濃度・温度の高い搾出凝固液が紡糸口金周囲に混合されないまま供給されることが減少し、単糸切れや、異常繊維の発生が抑制され、生産性の向上が図れるとともに、単糸間の品質差が減少し繊維製品の品質変動が改善される。
【0018】
又、凝固浴槽の形状や大きさは、紡出条件、例えば、原液吐出量、口金径、口金孔数、凝固液供給量、紡出糸引取速度等によって本来決定されるべきものであるが、浴槽を生産条件に合わせ、都度交換することは、設備費・生産ロスが大きく、工業的には1基の湿式凝固浴槽のみで広範囲の紡出条件に適用出来る必要がある。
本願発明では、凝固液流調整装置に供給凝固液吹き出し角度を調整する、俯角可変式ル−バ−を取り付けることにより、広範囲の紡出条件で浴槽内の流れを制御することを可能ならしめている。
【0019】
さらに詳しくは、一般に湿式紡糸においては、搾出凝固液流と供給凝固液流が会合し、混合する位置(以下 凝固液会合点という)での凝固液の流れの乱れは避けられず、この影響を最小限にとどめるため該凝固液会合点は紡出糸の凝固状態によって最適化する必要があり、例えば、原液吐出量、口金径、口金孔数、凝固液供給量、紡出糸引取速度等、の紡出条件によってこれを行っている。
【0020】
本願発明においては、前述のように浴槽に設置したル−バ−の俯角を可変式にすることによって、広範囲の紡出条件に適応可能ならしめた。
即ち、凝固液流調整装置に、俯角が固定され凝固液会合点も紡出条件によって固定されてしまうル−バ−が設置されている場合は、紡出条件によっては、凝固液会合点を紡糸口金表面位置から測った距離が紡糸口金表面位置より反紡出糸進行方向の位置であることを意味するマイナスの値である、凝固液流調整装置7と紡糸口金1の間に来ることがあり、混合されていない搾出凝固液の大部分が紡糸口金周囲から紡糸口金表面に供給され、凝固速度の不均一を生じ、繊維製品の品質変動や、単糸切れ、異常繊維を発生させてしまい、多くの広い紡出条件に適応することが出来ない。しかし本発明では俯角が可変であるので、該俯角を調整することにより、巾広い紡出条件に対応し適正な凝固液会合点の設定が可能となる。かかる凝固液会合点は、紡出糸の進行方向を正にとった測定で紡糸口金表面位置から100〜250mmの範囲内である必要がある。
【0021】
該凝固液会合点が100mm未満であり、紡糸口金1近くにある場合には、凝固液の流れの乱れにより、凝固が充分に完了していない紡出糸に凝固液の流れの乱れが直接影響を及ぼし、単糸切れや異常繊維を発生させる。
さらに、該凝固液会合点が250mmを越えて、浴槽出口部側に紡糸口金から離れている場合においては、凝固液の流れは大きく乱れ、著しい単糸切れや、異常繊維を発生させる。
【0022】
該凝固液流調整装置の使用にあたっては、可変式ル−バ−俯角を、紡出条件に応じて手動で制御する方法、電動で制御する方法が採用される。
紡出条件に応じて手動で制御する凝固液流調整装置の1実施例としては、図4において、3枚のル−バ−11はそれぞれのル−バ−支持部13を支点として、調整ハンドル12を回す事によって、調整ハンドル12に直結したネジ部14が上下し、ル−バ−11に連結した針金15によって、ル−バ−の俯角を調整する方法が挙げられる。
【0023】
これら、上記凝固液流調整装置の作用によって、1基の湿式凝固浴槽を用いて、凝固液会合点を調整することによって、広範囲の紡出条件下で工業的に湿式紡糸が可能となり、単糸切れや、異常繊維の発生が抑制され、生産性の向上が図れるとともに、繊維製品の品質変動が改善される。
【0024】
次に本発明の凝固浴槽においては、浴槽出口部10に近づくにつれ凝固液の垂直断面積を小さく、具体的には、沈設されている紡糸口金の存在する部位における凝固液の垂直方向に測った断面積が、紡出糸が該凝固液々面から離脱する位置の凝固液垂直断面積の2.5〜15倍、好ましくは3〜10倍の範囲にあるのが望ましい。(以下、説明の便宜のためこの2つの部位における凝固液の垂直方向断面積の比を「凝固液入口/出口垂直断面積比」あるいは単に「垂直断面積比」という。) すなわち、先にも述べたが搾出凝固液は供給凝固液に対し、濃度が高く、比重が高い。又より細かく見れば、凝固浴槽出口部に近づくにつれ紡出糸から凝固液への溶剤の拡散が進行しているので、搾出凝固液濃度は凝固浴槽出口部に近づくにつれ高くなる。
【0025】
従って、凝固液入口/出口垂直断面積比が2.5未満の時は、浴槽出口部分の巾が広いか、凝固液々深が深いことから、凝固液の断面流速が低下し、浴槽底部に搾出凝固液が滞留し、浴槽底部に沿って流れる高濃度の搾出凝固液と供給凝固液の混合が不充分となり、浴槽内の凝固液濃度斑を生じ、操業性の向上と品質変動の減少を図る効果が減少する。
【0026】
一方、凝固液入口/出口垂直断面積比が15を越える時は、浴槽の出口部分の巾が狭いか、凝固液々深が浅いことから、凝固液の断面流速が速くなり、浴槽内での反転流の流速が速くなり、凝固液会合点での凝固液の流れの乱れが大きくなり、単糸切れや、異常繊維の発生を減少させるという効果が発現し難くなる。
【0027】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するため、便宜上アクリル繊維の無機溶媒湿式紡糸の例を挙げて説明する。しかし本発明が適用出来る範囲はこの例に限るものではなく、本発明装置は人造繊維の湿式紡糸に広く及ぶものである。又、実施例中の口金周囲凝固液温度差、口金周囲凝固液濃度差、紡糸性、異常繊維含有率、強度、伸度、他の特性値は次の定義、測定法により求めた値である。さらに、実施例中で使用する用語の略号及び単位を以下に示す。
【0028】
(1)口金周囲凝固液温度差(ΔT ℃)
図1の紡糸口金1周囲a,b,c,d点で測定した凝固液温度の最高値と最低値の差。
(2)口金周囲凝固液濃度差(ΔC 重量%)
アッペ式屈折計を用い、上述ΔT(℃)測定点から採取した試料で測定した凝固液重量濃度の最高値と最低値の差。
【0029】
(3)紡糸性
臨界ジェット延伸比(J)は、紡糸原液の紡出孔からの平均吐出線速度で、紡出糸のノズル切れ本数が総紡出孔数の0.1%、又は20本のいずれか小さい方の値になる紡出糸引取速度(後述するV1 )を除した比で定義する。この値が大きい程、高速紡糸ができる。即ち高生産性であり、紡糸性に優れることを表す。
【0030】
(4)異常繊維含有率(M 重量%)
【0031】
(5)強度(DS)(JIS L1015)
強度(g/d) :n=30
変動率(CV%):(標準偏差/平均値)×100
(6)伸度(DE)(JIS L1015)
伸度(%) :n=30
変動率(CV%):(標準偏差/平均値)×100
【0032】
(7)凝固液の流れの乱れ
湿式紡糸中の浴槽に凝固液供給部から墨を流し、凝固液の流れを観察。
××:浴槽内の液の流れの乱れが大きく、操業不能なレベル
×:浴槽内の液の流れの乱れがあり、長時間操業が不能なレベル
△:浴槽内の液の流れの乱れが若干あるものの、長時間操業が可能なレベル
○:浴槽内の液の流れは安定で、安定的に長時間操業が可能なレベル
(8)凝固液会合点
【0033】
(9)用語の略号及び単位
V1 :紡出糸引取速度 (m/分)
V2 :紡糸速度=V1 ×沸水中延伸倍率 (m/分)
L1 :浴槽有効長 (mm)
浴槽における紡糸口金沈設位置から紡出糸が凝固液面から離脱する位置までの長さ
Q :供給凝固液流量 (l/分)
W :浴槽巾 (mm)
S1/S2 :凝固液入口/出口垂直断面積比
【0034】
実施例−1
アクリロニトリル90重量%、アクリル酸メチルエステル9.5重量%、メタアリルスルホン酸ソ−ダ0.5重量%を含有する30℃、DMF中での[η]=1.5の共重合体をロダンソ−ダ48重量%の水溶液に溶解し、共重合体濃度が11重量%となるよう紡糸原液を準備した。
【0035】
ついで前記紡糸原液を70℃に加熱し、紡糸口金径:120mmφ、孔直径:80mμ、孔数:16000の紡糸口金から、供給凝固液温度/ロダンソ−ダ濃度が0℃/10重量%である凝固液を用い、図1〜5の諸元として表1に示す値の横型湿式凝固浴槽及び条件で湿式紡糸し、得られた湿潤紡出糸は沸水中で10倍延伸後、115℃の熱風中で乾燥する。ついで得られた繊維を130℃の加圧蒸気中で熱処理を行い3dの繊維を作成した。
【0036】
尚、ここで用いた浴槽は、厚さが2mmの塩化ビニ−ル樹脂製である。 かくして得られた繊維の原綿強伸度及び変動率と、引取速度を1m/分ピッチで上昇させ測定した臨界ジェット延伸比(J)は表2に示すごとき特性であった。
【0037】
【表1】
【0038】
表2の記載から、本発明である、ル−バ−を3枚設置した凝固液供給部からなる凝固液流調整装置を有し、且つ凝固液会合点Cが100mm〜250mmに制御された凝固浴槽(以下 本発明−1という)に紡出した試料No.5〜7に対し、凝固液流調整装置を設置していない凝固浴槽に紡出した試料No.1、2は、供給凝固液と槽内を反転して流れる搾出凝固液が、混合されない状態で口金周囲に供給されるために、口金周囲での凝固液温度差・濃度差が大きく、反転流による液の流れの乱れも大きい。従って、紡糸性が劣るばかりか、品質面でも異常繊維含有率が大きく、且つ強伸度の変動率も大きくなる。又、新鮮な供給凝固液が紡出糸に吸入されることなく、浴槽内をショートパスして浴槽出口から排出され、即ち供給凝固液の有効利用率が低下し、原液の凝固、紡出糸の脱溶剤に大きく影響する凝固液温度が上昇するために平均の強度は低く、伸度が高くなる。
【0039】
又、同条件で紡糸速度のみを高くした試料No.2では、浴槽内を反転する搾出凝固液が増加し、口金周囲での凝固液温度差・濃度差がさらに大きくなり、反転流による液の流れの乱れも増大する。従って、紡糸性はさらに悪化し、品質面でも異常繊維含有率・強伸度の変動率等が増加した。
【0040】
更に、凝固液流調整装置を有しているが、凝固液会合点Cが100mm未満であり、且つ凝固液供給部と口金表面の間にある試料No.3では、凝固液の流れは充分に制御されず、凝固液流調整装置を設置していない凝固浴槽に紡出した場合と比較すれば、口金周囲での凝固液温度差、濃度差、紡糸性及び品質面でも若干改善されるものの、紡糸性が劣るばかりか、品質面でも異常繊維含有率が大きく、且つ強伸度の変動率も大きい。
【0041】
又、凝固液会合点Cが口金表面と浴槽出口の間にあり、100mm未満である試料No.4では、供給凝固液と搾出凝固液は混合され、口金周囲での凝固液温度差・濃度差は小さくなり、強伸度の変動率は小さくなるが、凝固液の流れの乱れが大きくなり、紡糸性は劣り、品質面でも異常繊維含有率が大きくなる。一方、凝固液会合点Cが250mmを越える試料No.8では、凝固液流調整装置を有している効果が発揮されず、高生産性に高品位の繊維製品を得る事が出来ない。
【0042】
一方、本発明−1からなる、凝固浴槽に紡糸した試料No.5〜7では、口金周囲での凝固液温度差・濃度差は減少し、凝固液の流れの乱れも減少することによって、紡糸性・異常繊維含有率・強伸度の変動率が改善される事が容易に理解出来る。
【0043】
【表2】
【0044】
実施例−2
実施例−1による紡糸原液を同じ紡糸口金を用い、表3に示す凝固浴槽及び条件で紡出し、得られた湿潤紡出糸は同じ延伸、乾燥、熱処理を行い3dの試料No.9〜15の繊維を作成した。
かくして得られた繊維の原綿品質および変動率と引取速度を1m/分ピッチで上昇させ測定した臨界ジェット延伸比(J)は表4に示すごとき特性であった。
【0045】
【表3】
【0046】
表4の記載から、本発明に推奨する凝固液入口/出口垂直断面積比S1 /S2 が2.5〜15である凝固浴槽(以下 本発明−2という)に紡出した試料No.10〜14に対し、該凝固浴槽の凝固液入口/出口垂直断面積比S1 /S2 が2.5未満である試料No.9では、凝固液会合点Cが浴槽底部にあるうえ推奨範囲上限を外れており、供給凝固液と搾出凝固液がそれぞれ口金表面に吸い込まれ、口金周囲での凝固液温度差・濃度差が大きく、強伸度の変動率は大きくなるとともに、紡糸性が劣り、異常繊維含有率も増大する。 更に、凝固液入口/出口垂直断面積比S1 /S2 が推奨の範囲15を越える試料No15では、搾出凝固液の槽内反転流の流速が速く、且つ口金近くまで反転することから、凝固液会合点Cが口金表面に近く、凝固液の流れの乱れが大きい。従って紡糸性が劣るばかりでなく、異常繊維含有率が増大する。
【0047】
一方、本発明−2からなる試料No.10〜14では、口金周囲の凝固液温度差・濃度差、及び凝固液の流れの乱れも小さく、紡糸性・異常繊維含有率・強伸度の変動率もさらに改善されることが明白であり、本願発明がより良く達成されることが容易に理解される。
【0048】
【表4】
【0049】
【本発明の効果】
本発明は人造繊維を工業的に製造する横型湿式凝固浴槽、及び該凝固浴槽を用いた湿式紡糸法に関するものであり、第1の効果は、ル−バ−を設置した凝固液流調整装置によって、紡糸時の凝固液の流れを制御し、凝固浴槽内の凝固液濃度・温度を均一化し、可及的均一な品質の繊維製品が得られることである。第2の効果は、該ル−バ−の俯角を可変式にし、供給凝固液と搾出凝固液の会合し、混合する位置を或る範囲で制御することにより、凝固液の流れの乱れを最小限に抑え、広い範囲の紡糸条件に適用可能な凝固浴槽及び該凝固浴槽を用いた湿式紡糸法を提供出来ることである。さらに、第3の効果は凝固浴槽の垂直断面積比をある範囲に制御することで、凝固浴槽内の凝固液濃度・温度をより均一化し、工業的に、高生産性に高品位の繊維製品を容易に提供出来ることであり、一般的湿式紡糸全てに適用可能であることである。
【0050】
本発明が適用出来る例としては、例えば、繊維素繊維、アクリル繊維、アクリル系繊維、ポリビニ−ルアルコ−ル繊維等の湿式紡糸であり、これらに用いられる溶剤としてはアクリル繊維で例示すると、塩化亜鉛、ロダンソ−ダ、硝酸等の無機溶剤や、DMF、DMSO、DMA、等の有機溶剤である。
【0051】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の横型湿式凝固浴槽の1実施例の斜視図である。
【図2】図2は、本発明の横型湿式凝固浴槽の1実施例の平面図である。
【図3】図3は、本発明の横型湿式凝固浴槽の1実施例の側面図である。
【図4】図4は、本発明の手動制御式ル−バ−の1実施例の側面図である。
【図5】図5は、本発明の横型湿式凝固浴槽の浴槽の入口/出口部の1実施例の断面図であり、「垂直断面積比」を説明するものである。
【0052】
【符号の説明】
1: 紡糸口金
2: 浴槽
3: 紡出糸
4: ガイドバ−
5: 凝固液供給口
6: 凝固液供給部
7: 凝固液流調整装置
8: 浴槽底板
9: 浴槽側板
10: 浴槽出口部
11: ル−バ−
12: 調整ハンドル
13: ル−バ−支持部
14: ネジ部
15: 針金
θ: ル−バ−の俯角
a: 口金周囲温度・濃度測定点
b: 口金周囲温度・濃度測定点
c: 口金周囲温度・濃度測定点
d: 口金周囲温度・濃度測定点
L1 : 浴槽有効長
W : 浴槽巾
Claims (4)
- 凝固浴槽の一端に紡糸口金を沈設し、他端より紡出糸を引出し、凝固液の供給は紡糸口金沈設側から行うようにした湿式凝固浴槽において、該凝固浴槽は、上面のみが開放されている浴槽と、供給凝固液流を調整するためのル−バ−を備えた凝固液供給部が直列に接続されてなり、該ル−バ−の俯角を可変にしたことを特徴とする横型湿式凝固浴槽。
- 凝固浴槽における紡糸口金表面位置の凝固液の垂直断面積/紡出糸の該凝固液面から離脱する位置の凝固液の垂直断面積の比が2.5〜15の範囲にあることを特徴とする、請求項1記載の横型湿式凝固浴槽。
- 凝固浴槽の一端に紡糸口金を沈設し、他端より紡出糸を引出し、凝固液の供給は紡糸口金沈設側から行うようにした湿式凝固浴槽において、該凝固浴槽は、上面のみが開放されている浴槽と、供給凝固液流を調整するためのル−バ−を備えた凝固液供給部が直列に接続されてなり、該ル−バ−の俯角を可変にしたことを特徴とする横型湿式凝固浴槽を用い、該ル−バ−の俯角を調整して、供給凝固液流と紡出糸から搾出されて浴槽内を復流する搾出凝固液流との会合位置を、紡糸口金表面位置から100〜250mmの範囲内とすることを特徴とする湿式紡糸法。
- 凝固浴槽における紡糸口金表面位置の凝固液の垂直断面積/紡出糸の該凝固液面から離脱する位置の凝固液の垂直断面積の比が2.5〜15の範囲にある横型湿式凝固浴槽を用いることを特徴とする請求項3記載の湿式紡糸法。
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JPH10183420A JPH10183420A (ja) | 1998-07-14 |
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-
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