JP3482701B2 - 水分散性のアクリル系グラフト共重合体、製造方法および水性塗料 - Google Patents

水分散性のアクリル系グラフト共重合体、製造方法および水性塗料

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JP3482701B2 JP18939694A JP18939694A JP3482701B2 JP 3482701 B2 JP3482701 B2 JP 3482701B2 JP 18939694 A JP18939694 A JP 18939694A JP 18939694 A JP18939694 A JP 18939694A JP 3482701 B2 JP3482701 B2 JP 3482701B2
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    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、安定化層となる主鎖お
よび分散層となる側鎖を有し、水性塗料の塗膜形成成分
として有用な新規な水分散性のアクリル系グラフト共重
合体、その製造方法、ならびに前記水分散性のアクリル
系グラフト共重合体を含む水性塗料に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】水性塗料は、環境保全および労働安全性
の点において優れているため、溶剤型塗料に替って広く
採用されるようになっている。例えば自動車等の外板に
塗装されるメタリック塗料の分野においては、多量の有
機溶剤を用いた溶剤型メタリック塗料から、水を溶媒と
して用いた水性メタリック塗料への転換が進められてい
る。
【0003】一般の水性塗料または水性塗料組成物に使
用される水性樹脂として、水性化に必要な量のカルボキ
シル基を有するランダム重合体があり、この重合体を塩
基性物質で中和して水性媒体に分散させた水分散体が水
性塗料に用いられている。しかし、このような水分散体
からなる水性塗料、例えばアクリル系ランダム重合体の
水分散体からなる水性塗料は、顔料分散性および塗液の
流動性が良好であって、光沢および平滑性に優れた塗膜
を形成するので、美粧仕上げに適しているが、アクリル
系重合体の酸価が高いため、塗膜の耐水性が低い。また
水分散体の粘度が高くなるため、これから得られる水性
塗料を塗装に適した粘度に調整すると、その固形分濃度
が著しく低くなり、塗装時および乾燥時に塗膜にタレ、
ワキ、ムラ等の塗装欠陥が生じやすい。
【0004】このような点を改善するため、親水成分お
よび疎水成分からなるアクリル系グラフト共重合体を含
む水性塗料組成物が提供されている。例えば、特開昭5
6−49760号公報には、カルボキシ官能性アクリル
系重合体にグリシジル基含有不飽和単量体を反応させて
得た酸価40〜200の不飽和基含有アクリル系重合体
と、酸価が30以下になるようにα,β−エチレン性不
飽和カルボン酸および他の共重合性不飽和単量体を配合
した単量体配合物とを、両反応成分の組合せとして酸価
の差を25〜200として重合させ、これにより酸価1
5〜40およびガラス転移温度−10℃〜70℃を有す
るアクリル系グラフト共重合体を製造し、得られたアク
リル系グラフト共重合体の水分散体を樹脂成分として含
有する水性塗料組成物が記載されている。
【0005】しかし、上記のようなアクリル系グラフト
共重合体の製造では、まずカルボキシ官能性アクリル系
共重合体にグリシジル基含有不飽和単量体を反応させた
後、単量体配合物をグラフト重合させる必要があるの
で、反応工程が二段階となり、製造工程が煩雑である。
また前段のアクリル系重合体とグリシジル基含有不飽和
単量体との反応では、不飽和単量体がラジカル重合して
グラフト鎖が伸長しないように重合禁止剤を使用する必
要があり、また後段の反応では、重合禁止剤の存在下に
おいても単量体配合物のラジカル重合が進行してグラフ
ト鎖が形成されるように重合開始剤を多量に添加する必
要があり、重合の副反応が起きやすくなる。さらに、上
記のような方法で製造したアクリル系グラフト共重合体
を水性塗料の主体樹脂として用いた場合は、塗料中に混
入する重合禁止剤に起因して、形成される塗膜が黄変す
る場合がある。また塗装作業性の改善が望まれている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、水性
塗料の塗膜形成樹脂(主体樹脂)として利用でき、その
際耐水性、耐化学薬品性等の塗膜性能、および仕上り外
観に優れた塗膜を形成することが可能で、しかも塗装作
業性および貯蔵安定性に優れた水性塗料を得ることがで
きる新規かつ有用な水分散性のアクリル系グラフト共重
合体を提供することである。本発明の第2の目的は、上
記アクリル系グラフト共重合体を、アクリル系共重合体
を出発原料として一段階の反応で簡単に効率よく製造す
ることができる製造方法を提案することである。本発明
の第3の目的は、上記アクリル系グラフト共重合体を含
有し、耐水性、耐化学薬品性等の塗膜性能、および仕上
り外観に優れた塗膜を形成することが可能で、しかも塗
装作業性および貯蔵安定性に優れた水性塗料を提供する
ことである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は次の水分散性の
アクリル系グラフト共重合体、その製造方法および水性
塗料である。 (1)α,β−エチレン性不飽和単量体の共重合体から
なり、酸価35〜120mgKOH/g、水酸基価50
〜150mgKOH/g、ガラス転移温度−20〜+5
0℃、数平均分子量4500〜9000のアクリル系共
重合体(a)と、グリシジル基含有α,β−エチレン性
不飽和単量体(b1)および水酸基含有α,β−エチレ
ン性不飽和単量体(b2)を含み、酸価15mgKOH
/g以下、水酸基価50〜150mgKOH/gとなる
ように配合された単量体配合物(b)とを、(a)/
(b)〔重量比〕=10/90〜60/40、ゲルパー
ミュエーションクロマトグラフィーにより測定されたポ
リスチレン換算数平均分子量から計算して決定される
(b1)/(a)〔モル比〕=0.4〜1.5の割合で
反応させ、主鎖と側鎖がエステル結合を介してグラフト
重合したグラフト共重合体であって、酸価10〜30m
gKOH/g、水酸基価50〜150mgKOH/g、
ガラス転移温度−20〜+50℃、数平均分子量100
00〜100000を有することを特徴とする水分散性
のアクリル系グラフト共重合体。 (2)α,β−エチレン性不飽和単量体の共重合体から
なり、酸価35〜120mgKOH/g、水酸基価50
〜150mgKOH/g、ガラス転移温度−20〜+5
0℃、数平均分子量4500〜9000のアクリル系共
重合体(a)と、グリシジル基含有α,β−エチレン性
不飽和単量体(b1)および水酸基含有α,β−エチレ
ン性不飽和単量体(b2)を含み、酸価15mgKOH
/g以下、水酸基価50〜150mgKOH/gとなる
ように配合された単量体配合物(b)とを、(a)/
(b)〔重量比〕=10/90〜60/40、ゲルパー
ミュエーションクロマトグラフィーにより測定されたポ
リスチレン換算数平均分子量から計算して決定される
(b1)/(a)〔モル比〕=0.4〜1.5の割合で
反応させて、酸価10〜30mgKOH/g、水酸基価
50〜150mgKOH/g、ガラス転移温度−20〜
+50℃、数平均分子量10000〜100000を有
し、主鎖と側鎖がエステル結合を介してグラフト重合し
水分散性のアクリル系グラフト共重合体を製造するこ
とを特徴とする水分散性のアクリル系グラフト共重合体
の製造方法。 (3)上記(1)記載のアクリル系グラフト共重合体を
含有することを特徴とする水性塗料。
【0008】本発明の水分散性のアクリル系グラフト共
重合体(以下、単にアクリル系グラフト共重合体という
場合がある)は、水媒体中で分散させたときに水和して
安定化層となる親水性のアクリル系共重合体(a)を主
鎖とし、この主鎖に単量体配合物(b)が重合して、分
散したときに分散層となる疎水性の側鎖がエステル結合
を介してグラフト重合したグラフト共重合体である。本
発明において、「(メタ)アクリル酸」ならびに「(メ
タ)アクリレート」の表現は「アクリル酸および/また
はメタクリル酸」ならびに「アクリレートおよび/また
はメタクリレート」を表わす。
【0009】安定化層となる親水性のアクリル系共重合
体(a)は、カルボキシル基含有α,β−エチレン性不
飽和単量体および水酸基含有α,β−エチレン性不飽和
単量体のα,β−エチレン性不飽和単量体を必須成分と
し、このα,β−エチレン性不飽和単量体と必要に応じ
て用いられる他の共重合性不飽和単量体とから、公知の
溶液重合法により適当な重合触媒の存在下に製造され
る。カルボキシル基含有α,β−エチレン性不飽和単量
体の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン
酸、イタコン酸、マレイン酸等があげられる。これらは
それぞれ単独で、または2種類以上を組合せて使用する
ことができる。
【0010】水酸基含有α,β−エチレン性不飽和単量
体の例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリ
レート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレー
ト、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の
(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステル;ポ
リエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等の
ポリエーテルポリオールと、2−ヒドロキシエチル(メ
タ)アクリレート等の水酸基含有α,β−エチレン性不
飽和単量体とのモノエーテル;(メタ)アクリル酸のヒ
ドロキシアルキルエステルに、ε−カプロラクトン、γ
−ブチロラクトン等のラクトン類が1〜10モル付加し
たラクトン変性α,β−エチレン性不飽和単量体などを
あげることができる。これらはそれぞれ単独で、または
2種類以上を組合せて使用することができる。
【0011】必要に応じて用いられる他の共重合性不飽
和単量体としては、エステル:例えば、(メタ)アクリ
ル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アク
リル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、
(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシ
ル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸
ラウリル等の、(メタ)アクリル酸のC1〜C18アルキ
ルエステル;(メタ)アクリル酸メトキシブチル、(メ
タ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エ
トキシブチル等の、(メタ)アクリル酸のアルコキシア
ルキルエステル;アクリル酸またはメタクリル酸のアミ
ド:N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−イソ
ブトキシメチロール(メタ)アクリルアミド等の、(メ
タ)アクリル酸のアミド;スチレン、α−メチルスチレ
ン、ビニルトルエン等のビニル芳香族化合物などがあげ
られる。
【0012】アクリル系共重合体(a)は、これらの単
量体を用いて公知の重合開始剤、例えばアゾビスイソブ
チロニトリル、ベンジルペルオキシド、t−ブチルペル
オキシベンゾエート、t−ブチルペルオキシド、t−ブ
チルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート等の存在
下、常法に従い溶液重合を行うことにより得られる。こ
の反応は、生成するアクリル系共重合体(a)が酸価3
5〜120mgKOH/g、好ましくは50〜110m
gKOH/g、水酸基価50〜150mgKOH/g、
好ましくは60〜150mgKOH/g、ガラス転移温
度−20〜+50℃、好ましくは−20〜+30℃、数
平均分子量4500〜9000、好ましくは4800〜
7000となるように反応を行う。
【0013】アクリル系共重合体(a)の酸価が35m
gKOH/g未満の場合は、安定化層としての作用が十
分でなく、得られるアクリル系グラフト共重合体が水性
媒体中で凝集しやすく、貯蔵安定性に劣り、また120
mgKOH/gを超える場合は、親水性が高くなり、得
られるアクリル系グラフト共重合体を含有する水性塗料
から形成される塗膜の耐水性に劣る。アクリル系共重合
体(a)の水酸基価が50mgKOH/g未満の場合
は、得られるアクリル系グラフト共重合体と硬化剤とし
て用いられるアミノ樹脂との架橋点が不足するため、得
られる塗膜の耐化学薬品性に劣り、また150mgKO
H/gを超える場合は、得られるアクリル系グラフト共
重合体に親水性が付与されるため、これを含む水性塗料
から形成される塗膜の耐水性に劣る。
【0014】アクリル系共重合体(a)のガラス転移温
度が−20℃未満の場合は、得られるアクリル系グラフ
ト共重合体が水性媒体中で融着しやすく、水分散体の貯
蔵安定化性に劣り、またガラス転移温度が+50℃を超
える場合は、得られるアクリル系グラフト共重合体の軟
化温度が高くなるため、これを含む水性塗料が塗膜にな
る際の平滑性に劣る。アクリル系共重合体(a)の数平
均分子量が4500未満の場合は、十分な安定化層を形
成できず、得られるアクリル系グラフト共重合体の水分
散体の貯蔵安定性に劣り、また9000を超える場合
は、得られるアクリル系グラフト共重合体の水分散体の
粘度が高くなり、これより調製した水性塗料の塗装固形
分が低下し、タレ性に劣る。
【0015】上記のアクリル系共重合体(a)と反応さ
せる単量体配合物(b)は、グリシジル基含有α,β−
エチレン性単量体(b1)および水酸基含有α,β−エ
チレン性単量体(b2)を必須成分とし、必要によりこ
れらと共重合可能な他の共重合性単量体(b3)を配合
して、酸価15mgKOH/g以下、好ましくは10m
gKOH/g以下、水酸基価50〜150mgKOH/
g、好ましくは50〜120mgKOH/gになるよう
に配合したものである。
【0016】グリシジル基含有α,β−エチレン性不飽
和単量体(b1)としては、例えばグリシジル(メタ)
アクリレート、アリルグリシジルエーテルなどがあげら
れる。水酸基含有α,β−エチレン性不飽和単量体(b
2)および他の共重合性単量体(b3)としては、前記
アクリル系共重合体(a)について例示したものがあげ
られる。単量体配合物(b)の酸価が15mgKOH/
gを超える場合は、得られるアクリル系グラフト共重合
体が水溶性になって粘度が高くなり、これを含む水性塗
料の塗装性が悪くなる。また耐水性にも劣る。単量体配
合物(b)の水酸基価が50mgKOH/g未満の場合
は、得られるアクリル系グラフト共重合体と硬化剤とし
て用いられるアミノ樹脂との架橋点が不足するため、得
られる塗膜の耐化学薬品性に劣り、また150mgKO
H/gを超える場合は、親水性が高くなり、得られる塗
膜の耐水性に劣る。
【0017】本発明のアクリル系グラフト共重合体は、
前記アクリル系共重合体(a)と単量体配合物(b)と
を反応させることにより得られる。この反応はアクリル
系共重合体(a)と単量体配合物(b)との比が、
(a)/(b)〔重量比〕で10/90〜60/40、
好ましくは20/80〜40/60、かつ(b1)/
(a)〔モル比〕で0.4〜1.5、好ましくは0.8
〜1.2の条件で行われる。アクリル系共重合体(a)
のモル数は、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィ
ーにより常法で測定されたポリスチレン換算数平均分子
量から計算して決定される。
【0018】(a)/(b)〔重量比〕が10/90未
満の場合は十分な安定化層が形成されず、得られるアク
リル系グラフト共重合体の水分散体の貯蔵安定性に劣
り、また60/40を超える場合は得られるアクリル系
グラフト共重合体の水分散体の粘度が著しく高くなり、
このアクリル系グラフト共重合体を含有する水性塗料の
塗装固形分が低下し、タレ性に劣る。
【0019】またグリシジル基含有α,β−エチレン性
不飽和単量体(b1)の配合量がアクリル系共重合体
(a)に対して、モル比で0.4未満の場合は、成分
(b)とのグラフト化反応が不十分となり、得られるア
クリル系グラフト共重合体の水性媒体中への分散が困難
となるか、あるいは得られる水分散体の貯蔵安定性に劣
り、また1.5を超える場合はゲル化を生じ、アクリル
系グラフト共重合体の製造ができない。
【0020】アクリル系共重合体(a)と単量体配合物
(b)との反応は、別途製造したアクリル系共重合体
(a)と単量体配合物(b)とを、有機溶媒中で公知の
溶液重合法により行うこともできるし、アクリル系共重
合体(a)を製造した反応液に単量体配合物(b)を添
加し、アクリル系共重合体(a)の製造に引続いて、有
機溶媒中で公知の溶液重合法により行うこともできる。
後者の場合、アクリル系共重合体(a)の製造とアクリ
ル系グラフト共重合体の製造とを連続して行うことがで
きるので好ましい。
【0021】上記有機溶媒としては、トルエン、メチル
イソブチルケトン、メチルエチルケトン、エチレングリ
ココールモノエチルエーテル(エチルセロソルブ)、エ
チレングリコールモノブチルエーテル(ブチルセロソル
ブ)、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プ
ロピレングリコールモノエチルエーテル等、あるいはこ
れらの混合物などが使用できる。アクリル系共重合体
(a)の製造に引続いて行う場合は、アクリル系共重合
体(a)の製造に用いた有機溶媒をそのまま使用するこ
とができるし、新たに追加することもできる。
【0022】重合開始剤としては、アクリル系共重合体
(a)の製造の際に例示したものと同様の重合開始剤が
使用できる。アクリル系共重合体(a)の製造に引続い
て行う場合は、不足分を追加するだけでよい。
【0023】反応液中のアクリル系共重合体(a)およ
び単量体配合物(b)の合計濃度は30〜90重量%、
好ましくは50〜80重量%、重合開始剤の濃度は単量
体の総重量に対して0.1〜10重量%、好ましくは
0.5〜5重量%とするのが望ましい。また反応温度は
20〜180℃、好ましくは40〜160℃、反応時間
は1〜10時間とするのが望ましい。
【0024】得られるアクリル系グラフト共重合体の酸
価、水酸基価、ガラス転移温度、数平均分子量は、使用
するアクリル系共重合体(a)および単量体配合物
(b)の種類および使用量、反応温度、反応時間、なら
びに重合開始剤の種類および使用量等の反応条件を選択
することにより調節することができる。
【0025】上記の反応では、アクリル系共重合体
(a)のカルボキシル基と、グリシジル基を含有する
(b1)成分のグリシジル基との開環付加反応が進行す
るとともに、各単量体(b1)〜(b3)のラジカル重
合が同時に進行してグラフト共重合が行われ、一段階の
反応でアクリル系グラフト共重合体が製造される。前記
特開昭56−49760号のように、アクリル系共重合
体とグリシジル基含有単量体とをあらかじめ反応させる
方法では、グリシジル基含有単量体のラジカル反応を防
止するために重合禁止剤が必要になるが、本発明では付
加反応とラジカル反応とが同時に起こるため、重合禁止
剤が不要であり、このため重合禁止剤に起因する塗膜の
黄変が防止される。
【0026】本発明のアクリル系グラフト共重合体は、
上記のようにして製造されるグラフト共重合体であっ
て、酸価10〜30mgKOH/g、好ましくは15〜
30mgKOH/g、水酸基価50〜150mgKOH
/g、好ましくは50〜120mgKOH/g、ガラス
転移温度−20〜+50℃、好ましくは−10〜+30
℃、数平均分子量10000〜100000、好ましく
は10000〜50000を有する水分散性のアクリル
系グラフト共重合体である。
【0027】アクリル系グラフト共重合体の酸価が10
mgKOH/g未満の場合は、水性媒体中への分散が困
難となり、かつ貯蔵安定性に劣り、また30mgKOH
/gを超える場合は、得られる水分散体の粘度が著しく
高くなり、これを含有する水性塗料の塗装固形分が低下
し、タレ性に劣る。アクリル系グラフト共重合体の水酸
基価が50mgKOH/g未満の場合は、アクリル系グ
ラフト共重合体と硬化剤として用いられるアミノ樹脂と
の架橋点が不足するため、得られる塗膜の耐水性に劣
り、また150mgKOH/gを超える場合は、親水性
が大きくなるため、得られる塗膜の耐水性に劣る。
【0028】アクリル系グラフト共重合体のガラス転移
温度が−20℃未満の場合は、水性媒体中でアクリル系
グラフト共重合体が融着しやすく、得られる水分散体の
貯蔵安定性に劣り、また+50℃を超える場合は、この
アクリル系グラフト共重合体を含有する水性塗料が塗膜
になる際の平滑性に劣る。アクリル系グラフト共重合体
の数平均分子量が10000未満の場合は、このアクリ
ル系グラフト共重合体を含有する水性塗料から形成され
る塗膜の耐水性、耐化学薬品性に劣り、また10000
0を超える場合は、水性塗料を製造する際ゲル化する可
能性があり好ましくない。
【0029】本発明のアクリル系グラフト共重合体は上
記のようにして製造した後、脱溶媒し、さらに塩基性物
質で中和して水性分散媒体に分散させることにより、水
分散体とすることができる。水性分散媒体への分散は常
法により行うことができ、例えばジメチルエタノールア
ミン等のアミンを用いてアクリル系グラフト共重合体中
に存在するカルボキシル基の少なくとも40%を中和す
ることにより行うことができる。水性分散媒体として
は、水が40〜80重量%を占めるものが好ましい。
【0030】こうして得られる水分散体はそのまま水性
塗料に利用できるが、濃縮または希釈したり、あるいは
粉末化後再分散させて水性塗料とすることもできる。ア
クリル系グラフト共重合体はそれ単独でも水性塗料の塗
膜形成成分として利用できるが、これを主体樹脂成分と
し、さらに硬化剤成分と組合せて水性塗料(水性塗料組
成物)を調製すると、さらに塗膜性能が向上するので好
ましい。
【0031】硬化剤としては、アミノ樹脂、特に数平均
分子量1000以下のアミノ樹脂を使用するのが望まし
い。このようなアミノ樹脂としては、例えば市販品とし
てサイメル301、サイメル303、サイメル325、
サイメル327(三井サイテック(株)製、商品名)、
ニカラックMW−30、ニカラックMX43(三和ケミ
カル(株)製、商品名)、ユーバン120(三井東圧化
学(株)製、商品名)等があげられる。なお、アミノ樹
脂の数平均分子量は、ゲルパーミュエーションクロマト
グラフィーにより常法に従って測定されたポリスチレン
換算数平均分子量である。
【0032】本発明の水性塗料には、必要に応じて各種
の親水性有機溶剤を加えることができる。この親水性有
機溶剤としては、例えばエチレングリコールモノエチル
エーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジ
エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリ
コールモノヘキシルエーテル、プロピレングリコールモ
ノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエ
ーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等が
あげられる。また必要に応じて、メタリック顔料、無機
顔料、有機顔料などを加えることができる。顔料を添加
する方法としては、特に制限はなく、従来公知の方法で
行うことができる。さらにまた必要に応じて、酸触媒、
表面調整剤など、従来から水性塗料に添加されている添
加剤を配合することができる。
【0033】本発明の水性塗料は、極めて優れた貯蔵安
定性を有し、また塗装作業性に優れ、かつそれより得ら
れる塗膜は耐水性、耐化学薬品性、耐久性、平滑性など
の塗膜性能に優れている。本発明の水性塗料はベースコ
ートとして使用でき、この場合通常の水性ベースコート
と同様な処方が実施可能であり、特にウェットオンウエ
ット方式によりベースコートおよびトップコートを塗布
し、両方を同時に焼付ける従来公知の2コート1ベーク
塗装系に対して好適に使用することができる。塗装方法
はロールコータ、はけ塗り、スプレー塗装など、任意の
塗装方法を採用することができる。焼付は60〜180
℃で10〜60分間、好ましくは110〜150℃で1
5〜30分間とすることができる。
【0034】本発明においては、これまでに説明した種
々の数値範囲、例えばアクリル系共重合体(a)および
単量体配合物(b)の物性値、これらの反応割合、反応
条件、ならびにアクリル系グラフト共重合体の物性値な
どは、記載した数値範囲にある場合に、それぞれについ
て記載したような効果が得られるが、それぞれの数値範
囲について好ましい範囲と記載された範囲の数値範囲と
した場合には、特に優れた効果が得られる。
【0035】
【発明の効果】本発明の水分散性のアクリル系グラフト
共重合体は、新規であり、水性塗料の塗膜形成樹脂とし
て有用である。本発明のアクリル系グラフト共重合体
は、安定化層となる主鎖および分散層となる側鎖がエス
テル結合を介してグラフト重合して構成されているので
水分散性に優れており、このためこのようなアクリル系
グラフト共重合体を水性塗料の塗膜形成樹脂として用い
た場合、得られる水性塗料は凝集を生じることなく貯蔵
安定性に優れたものとなる。また本発明のアクリル系グ
ラフト共重合体は、特定の物性値を有する特定のアクリ
ル系共重合体(a)と単量体配合物(b)とを特定の割
合で反応させたものであって、しかも特定の物性値を有
しているので、このようなアクリル系グラフト共重合体
を水性塗料の塗膜形成樹脂として用いた場合、得られる
水性塗料は塗装作業性に優れ、またこれから形成される
塗膜は耐水性、耐化学薬品性等の塗膜性能、および仕上
り外観に優れたものとなる。
【0036】本発明の水分散性のアクリル系グラフト共
重合体の製造方法は、特定の物性値を有する特定のアク
リル系共重合体(a)と単量体配合物(b)とを特定の
割合で反応させているので、上記アクリル系グラフト共
重合体を、アクリル系共重合体(a)から一段階の反応
で簡単に効率よく製造することができる。
【0037】本発明の水性塗料は、上記アクリル系グラ
フト共重合体を塗膜形成樹脂として含んでいるので、塗
装作業性および貯蔵安定性に優れ、しかも形成される塗
膜は耐水性、耐化学薬品性等の塗膜性能、および仕上り
外観に優れている。
【0038】
【実施例】次に、実施例により本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定される
ものではない。各例中、「部」は特に断らない限り「重
量部」を示す。各例中の塗装方法ならびに塗膜外観、塗
膜性能および貯蔵安定性の評価方法は次の通りである。
【0039】〔塗装方法〕被塗物の試験板としては次の
ものを用いた。すなわち、リン酸亜鉛処理鋼板にカチオ
ン電着塗料〔アクアNo.4200、日本油脂(株)
製、商品名〕を乾燥膜厚20μmとなるように電着塗装
し、185℃で20分間焼付け、さらに中塗り塗料〔ハ
イエピコNo.100CPシーラー、日本油脂(株)
製、商品名〕を乾燥膜厚40μmとなるようにエアスプ
レーし、140℃で20分間焼付けたものを用いた。こ
の試験板に各例で調製した水性塗料組成物を塗装するに
あたっては、公知の2コート1ベーク方式に従った。す
なわち、水性塗料組成物を25℃の温度、75%相対湿
度の塗装環境で乾燥膜厚約15μmになるようにスプレ
ー塗装した後、80℃の温度で10分間加熱乾燥し、そ
の後室温まで冷却した後、市販の上塗りクリヤー塗料
〔ベルコートNo.6000、日本油脂(株)製、商品
名〕を乾燥膜厚約40μmになるようにスプレー塗装
し、10分間のセッティング後、140℃で30分間焼
付けた。被塗物の位置は全工程を通じて垂直に保った。
【0040】〔塗膜外観〕 1)60°光沢 JIS K5400(1990)7.6鏡面光沢度によ
る。 2)平滑性 塗膜を目視で観察し、次の判定基準に従って評価した。 ○:良好 ×:劣る 3)タレ性 被塗物に直径10mmの穴を開け、乾燥膜厚30μmに
なるように塗装した時の穴の下のタレの長さにより、次
の判定基準に従って評価した。 ○:2mm未満 ×:2mm以上
【0041】〔塗膜性能〕 1)耐水性 90℃以上の熱水に4時間浸漬後の塗面状態を目視で観
察し、次の判定基準に従って評価した。 ○:異常なし ×:フクレがある 2)耐化学薬品性 40℃でレギュラーガソリンに1時間浸漬後の塗面状態
を目視で観察し、次の判定基準に従って評価した。 ○:異常なし ×:チヂミがある
【0042】〔貯蔵安定性〕水性塗料組成物を40℃で
20日間貯蔵した後の粘度を、初期の粘度〔ps/6r
pm(B型粘度計)〕に対する変化率(%)で評価し、
次の判定基準に従って評価した。 ○:±15%未満 ×:±15%以上
【0043】実施例1〜8 1)アクリル系グラフト共重合体の製造 攪拌機、温度調節機、冷却管、滴下装置を備えた反応容
器にメチルイソブチルケトン56.4部を仕込み、攪拌
下に昇温し、還流させた。次に2−ヒドロキシエチルメ
タクリレート41.8部、アクリル酸11.6部、n−
ブチルアクリレート93.6部、2−エチルヘキシルメ
タクリレート33.0部およびアゾビスイソブチロニト
リル3.6部の混合物を2時間を要して滴下した。さら
に還流下に攪拌を2時間継続し、重合を終結させた(以
下、この反応工程を「工程1」という)。得られた樹脂
は酸価50mgKOH/g、水酸基価100mgKOH
/g、ガラス転移温度−20℃、数平均分子量5000
を有するアクリル系共重合体であった。
【0044】次に、この樹脂溶液にメチルイソブチルケ
トン328.6部を仕込み、攪拌下に還流させた。次に
グリシジルメタクリレート5.1部、2−ヒドロキシエ
チルメタクリレート97.5部、メチルメタクリレート
200.2部、n−ブチルアクリレート122.3部お
よびアゾビスイソブチロニトリル6.3部の混合物を2
時間を要して滴下した。さらに5時間攪拌を継続するこ
とにより、付加および重合反応を終結させた(以下、こ
の反応工程を「工程2」という)。得られたアクリル系
グラフト共重合体A−1は、酸価12mgKOH/g、
水酸基価100mgKOH/g、ガラス転移温度+13
℃、数平均分子量42000を有する樹脂溶液であっ
た。また表1〜表2の処方により上記と同様な方法で、
アクリル系グラフト共重合体A−2〜A−8を製造し
た。物性値を表1〜表2に示す。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】2)水分散体の製造 上記1)で得られたアクリル系グラフト共重合体A−1
の533.0部にエチレングリコールモノブチルエーテ
ル80.0部を加えた後、メチルイソブチルケトン20
5.0部を減圧蒸留によって留去した。このポリマー溶
液にジメチルエタノールアミン3.0部(カルボキシル
基に対して0.5当量)を加えて攪拌した後、脱イオン
水588.9部を加えて均一になるまで攪拌を行い、ア
クリル系グラフト共重合体A−1の乳白色低粘度の水分
散体B−1を得た。また表3に示す配合で上記と同様な
方法により、アクリル系グラフト共重合体A−2〜A−
8の水分散体B−2〜B−8を得た。得られた水分散体
の性状を表3に示す。
【0048】
【表3】
【0049】3)水性塗料組成物の調製および性能試験 表4に示した配合に基づき水性塗料組成物を調製した。
すなわち、上記2)で得た水分散体B−1〜B−8、ア
ミノ樹脂〔サイメル327(三井サイテック(株)製、
商品名)〕、二酸化チタン〔テイカルチル形二酸化チタ
ンJR602(テイカ(株)製、商品名)〕、ジメチル
エタノールアミン、脱イオン水を加え、固形分65重量
%の水性塗料組成物を調製した。これらの水性塗料組成
物に脱イオン水を加え、B型粘度計を用いて6rpm回
転粘度で、3±1psに調整し、前記塗装方法に従い評
価した。得られた塗膜の外観および性能試験結果、なら
びに貯蔵安定性結果を表5に示す。
【0050】
【表4】
【0051】
【表5】
【0052】比較例1〜10 1)アクリル系グラフト共重合体の製造 表6〜表8の処方により、実施例1〜8の1)と同様な
方法でアクリル系グラフト共重合体a−1〜a−10を
製造した。物性値を表6〜表8に示す。
【0053】
【表6】
【0054】
【表7】
【0055】
【表8】
【0056】2)水分散体の製造 上記1)で得られたアクリル系グラフト共重合体a−1
〜a−10を用いて、表9に示す配合で、実施例1〜8
の2)と同様な方法によりアクリル系グラフト共重合体
a−1〜a−10の水分散体b−1〜b−10を製造し
た。なお、アクリル系グラフト共重合体a−7を用いた
場合は、最終的に脱イオン水589.0部を加えて攪拌
を行ったが、沈殿を生じ、安定な水分散体は得られなか
った(比較例7)。
【0057】
【表9】
【0058】3)水性塗料組成物の調製および性能試験 表10に示した配合に基づき、実施例1〜8の3)と同
様にして水性塗料組成物を調製し、実施例1〜8と同様
にして評価した。結果を表11に示す。
【0059】
【表10】
【0060】
【表11】
【0061】表11の結果からわかるように、比較例1
は、アクリル系グラフト共重合体の成分(a)のガラス
転移温度が低すぎるため、水性塗料組成物の貯蔵安定性
に劣った。比較例2は、アクリル系グラフト共重合体の
成分(a)のガラス転移温度が高すぎるため、得られた
塗膜の平滑性に劣った。比較例3は、アクリル系グラフ
ト共重合体の成分(a)の水酸基価が低すぎるため、得
られた塗膜の耐化学薬品性に劣った。比較例4は、アク
リル系グラフト共重合体の成分(a)の水酸基価が高す
ぎるため、得られた塗膜の耐水性に劣った。比較例5
は、アクリル系グラフト共重合体の数平均分子量が低す
ぎるため、得られた塗膜の耐水性、耐化学薬品性に劣っ
た。比較例6は、アクリル系グラフト共重合体の成分
(b)の酸価が高すぎるため、またアクリル系グラフト
共重合体の酸価が高すぎるため、得られた水性塗料組成
物の塗装固形分が低くなり、タレが生じ、塗膜外観が劣
った。また、得られた塗膜の耐水性に劣った。
【0062】比較例8は、アクリル系グラフト共重合体
の成分(a)の酸価が高すぎるため、またアクリル系グ
ラフト共重合体の酸価が高すぎるため、得られた水性塗
料組成物の塗装固形分が低くなり、タレが生じ、塗膜外
観が劣った。また、得られた塗膜の耐水性に劣った。比
較例9は、アクリル系グラフト共重合体の成分(b)の
水酸基価が低すぎるため、得られた塗膜の耐化学薬品性
に劣った。比較例10は、アクリル系グラフト共重合体
の成分(b)の水酸基価が高すぎるため、またアクリル
系グラフト共重合体の水酸基価が高すぎるため、得られ
た塗膜の耐水性に劣った。これに対して実施例1〜8の
水性塗料組成物は、表5からわかるように、仕上り外
観、塗装作業性、塗膜性能および貯蔵安定性に優れてい
る。
【0063】比較例11 攪拌機、温度調節機、冷却管、滴下装置を備えた反応容
器に、メチルイソブチルケトン95.5部を仕込み、攪
拌下に昇温し、還流させた。次に2−ヒドロキシエチル
メタクリレート34.8部、アクリル酸19.4部、n
−ブチルアクリレート35.8部、2−エチルヘキシル
メタクリレート60.0部およびt−ブチルペルオキシ
ベンゾエート4.5部の混合物を、2時間を要して滴下
した。さらに還流下に攪拌を2時間継続し、重合を終結
させた。得られた樹脂は、酸価100mgKOH/g、
水酸基価100mgKOH/g、ガラス転移温度0℃、
数平均分子量4700のアクリル系共重合体であった。
【0064】次に、この樹脂溶液にメチルイソブチルケ
トン293.6部を仕込み、攪拌下に還流させた。次
に、グリシジルメタクリレート4.4部、2−ヒドロキ
シエチルメタクリレート104.4部、メチルメタクリ
レート214.5部、n−ブチルアクリレート1311
部およびt−ブチルペルオキシ2−エチルヘキサノエー
ト2.0部の混合物を2時間を要して滴下した。この滴
下した混合物の酸価は0mgKOH/g、水酸基価10
0mgKOH/g、成分(a)/成分(b)の重量比は
25/75、成分(b1)/成分(a)のモル比は1.
0である。滴下後さらに攪拌を継続すると、ゲル化を生
じ、グラフト共重合体は製造できなかった。
フロントページの続き (72)発明者 松倉 慶明 神奈川県横浜市戸塚区下倉田町296 ニ チユ ビーエーエスエフ コーテイング アールアンドデイ 株式会社内 (72)発明者 谷口 仁 神奈川県横浜市戸塚区下倉田町296 ニ チユ ビーエーエスエフ コーテイング アールアンドデイ 株式会社内 (72)発明者 酒井 淳啓 神奈川県横浜市戸塚区下倉田町296 ニ チユ ビーエーエスエフ コーテイング アールアンドデイ 株式会社内 (72)発明者 川村 義明 神奈川県横浜市戸塚区下倉田町296 ニ チユ ビーエーエスエフ コーテイング アールアンドデイ 株式会社内 (56)参考文献 特開 昭53−97083(JP,A) 特開 昭63−118310(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 265/04 C08L 51/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 α,β−エチレン性不飽和単量体の共重
    合体からなり、酸価35〜120mgKOH/g、水酸
    基価50〜150mgKOH/g、ガラス転移温度−2
    0〜+50℃、数平均分子量4500〜9000のアク
    リル系共重合体(a)と、 グリシジル基含有α,β−エチレン性不飽和単量体(b
    1)および水酸基含有α,β−エチレン性不飽和単量体
    (b2)を含み、酸価15mgKOH/g以下、水酸基
    価50〜150mgKOH/gとなるように配合された
    単量体配合物(b)とを、 (a)/(b)〔重量比〕=10/90〜60/40、
    ゲルパーミュエーションクロマトグラフィーにより測定
    されたポリスチレン換算数平均分子量から計算して決定
    される(b1)/(a)〔モル比〕=0.4〜1.5の
    割合で反応させ、主鎖と側鎖がエステル結合を介してグ
    ラフト重合したグラフト共重合体であって、 酸価10〜30mgKOH/g、水酸基価50〜150
    mgKOH/g、ガラス転移温度−20〜+50℃、数
    平均分子量10000〜100000を有することを特
    徴とする水分散性のアクリル系グラフト共重合体。
  2. 【請求項2】 α,β−エチレン性不飽和単量体の共重
    合体からなり、酸価35〜120mgKOH/g、水酸
    基価50〜150mgKOH/g、ガラス転移温度−2
    0〜+50℃、数平均分子量4500〜9000のアク
    リル系共重合体(a)と、 グリシジル基含有α,β−エチレン性不飽和単量体(b
    1)および水酸基含有α,β−エチレン性不飽和単量体
    (b2)を含み、酸価15mgKOH/g以下、水酸基
    価50〜150mgKOH/gとなるように配合された
    単量体配合物(b)とを、 (a)/(b)〔重量比〕=10/90〜60/40、
    ゲルパーミュエーションクロマトグラフィーにより測定
    されたポリスチレン換算数平均分子量から計算して決定
    される(b1)/(a)〔モル比〕=0.4〜1.5の
    割合で反応させて、 酸価10〜30mgKOH/g、水酸基価50〜150
    mgKOH/g、ガラス転移温度−20〜+50℃、数
    平均分子量10000〜100000を有し、主鎖と側
    鎖がエステル結合を介してグラフト重合した水分散性の
    アクリル系グラフト共重合体を製造することを特徴とす
    る水分散性のアクリル系グラフト共重合体の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のアクリル系グラフト共重
    合体を含有することを特徴とする水性塗料。
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