JP2009275170A - ビニル系重合体の製造方法、該ビニル系重合体を含有する塗料及び該塗料を用いた塗膜の形成方法。 - Google Patents

ビニル系重合体の製造方法、該ビニル系重合体を含有する塗料及び該塗料を用いた塗膜の形成方法。 Download PDF

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Abstract

【課題】塗膜外観に優れた塗膜を形成できるビニル形重合体の製造方法、そして該ビニル系重合体を含有した不揮発分の高い塗料及び該塗料を用いた塗膜の形成方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明のビニル系重合体の製造方法は、数平均分子量が1000〜5000であり、酸価が15〜50であり、かつ、水酸基価が50〜180であるビニル系重合体の製造方法であって、ビニル系単量体とラジカル重合開始剤とを含有する原料混合物を、重合温度170℃以上の条件で重合することを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、ビニル系重合体の製造方法、該ビニル系重合体を含有する塗料及び該塗料を用いた塗膜の形成方法に関する。
自動車等の塗装では、金属基材に、電着塗料、中塗り塗料、上塗り塗料をこの順に塗装して塗膜を形成する方法が過半数を占めている。
この塗膜において、電着塗料の層は、金属基材の防食を主目的として設けられている。中塗り塗料の層は、機能の異なる電着塗料の層と上塗り塗料の層とを、長期間に亘って密着せしめる作用を有している。上塗り塗料の層は、通常、ベース塗料の層とクリヤー塗料の層とを有している。ベース塗料の層は、通常の無機顔料及び/又は有機顔料を含む着色剤、或いはアルミまたはブロンズなどのメタリック粉を含有しており、着色美装と、長期間に及ぶ耐候性とを金属基材に与えることを主目的としている。クリヤー塗料の層はベース塗料の層を保護し、耐水性、耐食性、耐擦傷性等を高めることを主目的としている。
さらに、自動車の塗装においては、低コスト化の観点から、中塗り塗料の塗装を省略し、上塗り塗料である、ベース塗料を2層塗装して、その上にクリヤー塗料を塗装する方法も採用されている。
以上のような自動車の塗装においては、工程短縮や省エネルギーの観点から、下層の塗料を塗装した後、該塗料を焼き付ける前に次の層の塗料を塗装し、複数層とした塗料を同時に焼き付ける、いわゆるウエット・オン・ウエット方式で塗膜を形成することがある。
具体的には、上塗り塗料である、ベース塗料の層とクリヤー塗料の層とを同時に焼き付ける、2コート1ベイク方式や、中塗り塗料の層、ベース塗料の層及びクリヤー塗料の層を同時に焼き付ける3コート1ベイク方式などが採用されている。
ところで近年、環境汚染対策としての揮発性有機化合物(以下「VOC」という。)低減化を目的として、高VOCであるベース塗料のハイソリッド化(高不揮発分化)が進んでいる。塗料のハイソリッド化に伴って塗料の粘度は増加する傾向にあり、このため塗料中のアクリル樹脂を低分子量化して低粘度とする必要があった。
しかしながら、ウエット・オン・ウエット方式で塗膜を形成する際に、低分子量化に起因し、各層間の界面でなじみが起こりやすくなるため、光輝顔料が緻密に配向し難くなり、ムラ感が生じ、緻密な光揮感が低位となる;更にクリヤー塗料の層がベース塗料の層を浸食して艶感が低下する等塗膜外観に問題が生じた。
そこで、塗料に架橋性重合体微粒子を配合し、塗装界面で塗料が混和して境界線が不明瞭となることを防ぐ方法がある(特許文献1[0005]段落参照。)。
また、塗料に粘性付与材として非水ディスパージョン樹脂を添加することで、塗装界面での塗料の混和を防ぎ、且つ焼き付け時の体積収縮率を小さくし、塗膜外観を良好にする方法もある(特許文献1参照。)。
特開2002−38096号公報
しかしながらこれらの方法を用いても、塗料の不揮発分が高い場合に、ムラが無く、艶感の良い塗膜外観が良好な塗膜を得ることは難しかった。
本発明は、上記事情を鑑みてなされたもので、塗膜外観に優れた塗膜を形成できるビニル形重合体の製造方法、そして該ビニル系重合体を含有した不揮発分の高い塗料及び該塗料を用いた塗膜の形成方法を提供することを目的とする。
本発明のビニル系重合体の製造方法は、数平均分子量が1000〜5000であり、酸価が15〜50であり、かつ、水酸基価が50〜180であるビニル系重合体の製造方法であって、ビニル系単量体とラジカル重合開始剤とを含有する原料混合物を、重合温度170℃以上の条件で重合することを特徴とする。
また、本発明の塗料は前記製造方法により得られるビニル系重合体を含有することを特徴とする。
また、本発明の塗膜の形成方法は、基材にベース塗料の層とクリヤー塗料の層をこの順に塗装した後に、同時に焼付け硬化させる塗膜の形成方法であって、該ベース塗料が前記塗料であることを特徴とする。
本発明のビニル系重合体の製造方法によれば、塗膜外観に優れた塗膜を形成できるビニル系重合体を得ることができる。
また該ビニル系重合体を含有した塗料は不揮発分が高いものでありながら、ムラが無く艶感に優れた塗膜を形成することが可能である。
更に本発明の塗膜の成形方法によれば、工程短縮や省エネルギーが可能なウエット・オン・ウエットの方法でありながら、と膜外観に優れた塗膜を形成できる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本明細書において、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸またはメタクリル酸を意味し、(メタ)アクリレートは、アクリレートまたはメタクリレートを意味する。
[ビニル系重合体の製造方法]
本発明のビニル系重合体は、ビニル系単量体を重合温度170℃以上の条件下で、ラジカル重合開始剤を用いて重合して得られる重合体である。
(ビニル系単量体)
ビニル系単量体は、最終的に得られるビニル系重合体の用途に応じて選ばれる。
例えば、酸基を有する単量体類、水酸基を有する単量体類、炭化水素置換基を有する(メタ)アクリル酸エステル類、スチレン系単量体類、エチレン性不飽和ニトリル類、ビニルエステル類、エポキシ基含有ビニル単量体類、エチレン性不飽和塩基性ビニル単量体類、N−アルコキシアルキル置換アミド基を有するα,β−不飽和ビニル単量体類などが挙げられる。
酸基を有する単量体としては、例えば、メタクリル酸、アクリル酸、クロトン酸、ビニル安息香酸、フマール酸、イタコン酸、マレイン酸、シトラコン酸等の一塩基酸または二塩基酸ビニル単量体類、無水マレイン酸等の二塩基酸無水物ビニル単量体類、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、β−カルボキシプロピル(メタ)アクリレート、β−(メタ)アクリロキシエチルアシッドサクシネート、β−(メタ)アクリロキシエチルアシッドマレエート、β−(メタ)アクリロキシエチルアシッドフタレート、β−(メタ)アクリロキシエチルアシッドヘキサヒドロフタレート、β−(メタ)アクリロキシエチルアシッドメチルヘキサヒドロフタレート、γ−(メタ)アクリロキシプロピルアシッドサクシネート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートへのε−カプロラクトンまたはγ−ブチロラクトンの開環付加物(例えば、ダイセル化学(株)製プラクセルF単量体、UCC社製トーンM単量体)の末端水酸基を無水コハク酸、無水フタル酸、あるいは無水ヘキサヒドロフタル酸でエステル化して末端にカルボキシル基を導入したコハク酸モノエステル、フタル酸モノエステル、あるいは無水ヘキサヒドロフタル酸モノエステル等のカプロラクトン変性水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルと二塩基酸無水物のモノエステル反応生成物等の長鎖カルボキシル基含有ビニル単量体類、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノブチル、マレイン酸モノオクチル、イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノエチル、イタコン酸モノブチル、イタコン酸モノオクチル、イタコン酸モノ2−エチルヘキシル、フマール酸モノメチル、フマール酸モノエチル、フマール酸モノブチル、フマール酸モノオクチル、シトラコン酸モノエチル等の二塩基酸または二塩基酸無水物ビニル単量体のモノエステル化物類等が挙げられる。
水酸基を有する単量体としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル類、メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルへのε−カプロラクトンまたはγ−ブチロラクトンの開環付加物(ダイセル化学工業社製の「プラクセルF(商品名)」、UCC社製の「トーンM(商品名)」等。)、(メタ)アクリル酸へのエチレンオキシドの開環付加物、(メタ)アクリル酸へのプロピレンオキシドの開環付加物、モノエポキシ化合物と、(メタ)アクリル酸、フマール酸、マレイン酸等とのエステル化反応物、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートまたは2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートの2量体や3量体等の末端に水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステル類、p−ヒドロキシスチレン、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、3−ヒドロキシブチルビニルエーテル、5−ヒドロキシペンチルビニルエーテル、6−ヒドロキシヘキシルビニルエーテル等のヒドロキシ基含有ビニル類;2−ヒドロキシエチルアリルエーテル、4−ヒドロキシブチルアリルエーテル、グリセロールモノアリルエーテル等のヒドロキシ基含有アリルエーテル類;アリルアルコール;末端がヒドロキシ基であるポリオキシアルキレン鎖を有する単量体等が挙げられる。
炭化水素置換基を有する(メタ)アクリル酸エステル類としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
スチレン系単量体としては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−フェニルスチレン、3,4−ジクロシルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン誘導体類などが挙げられる。
エチレン性不飽和ニトリル類としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。
ビニルエステル類としては、例えば、酢酸ビニル等が挙げられる。
エポキシ基含有ビニル単量体類としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等が挙げられる。
エチレン性不飽和塩基性ビニル単量体類としては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
N−アルコキシアルキル置換アミド基を有するα,β−不飽和ビニル単量体類等としては、例えば、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−メトキシメチルメタクリルアミド、N−エトキシメチルアクリルアミド、N−プロポキシメチルアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド等が挙げられる。
これらのビニル系単量体は、必要に応じて単独であるいは2種以上を併用して用いることができる。
本発明において、酸基を有するビニル系単量体の使用量は、ビニル系重合体を構成する単量体の総量に対して1〜15質量%であると好ましく、1.5〜10質量%であるとより好ましい。
酸基を有するビニル系単量体の使用量が1〜15質量%の範囲内であれば、ビニル系重合体における好ましい酸価を得やすい傾向にある。
また水酸基を有するビニル系単量体の使用量が1〜70質量%であると好ましく、5〜50質量%であるとより好ましい。水酸基を有するビニル系単量体の使用量が1〜70質量%の範囲内であれば、ビニル系重合体における好ましい水酸基価を得やすい傾向にある。
酸基を有するビニル系単量体および水酸基を有するビニル系単量体以外の単量体の使用量は、ビニル系重合体を構成する単量体の総量に対して15〜90質量%が好ましい。
(ラジカル重合開始剤)
ラジカル重合開始剤としては、2,2−アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)等のアゾ系重合開始剤;過酸化ベンゾイル、クメンヒドロペルオキサイド、ラウリルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−アミルパーオキサイド、ジ−t−ヘキシルパーオキサイド等が挙げられる。
これらのラジカル重合開始剤は、必要に応じて単独であるいは2種以上を併用して用いることができる。
本発明のビニル系重合体におけるラジカル重合開始剤の使用量は、ビニル系単量体100質量部に対し0.1〜15質量部であると好ましく、0.5〜10質量部であると更に好ましい。
ラジカル重合開始剤の使用量が15質量部を超えるとコストが高くなり、0.1質量部未満であればビニル系重合体の低分子量化が困難となる。
(その他の成分)
上記ビニル系単量体とラジカル重合開始剤とを含有する原料混合物より、本発明のビニル系重合体を得るにあたり、原料混合物中には必要に応じて、溶剤や連鎖移動剤等を含有させてよい。
溶剤としては、トルエン、キシレン、芳香族炭化水素混合物(例えば、商品名:ソルベッソ150(エクソン化学(株)製)、商品名:ソルベッソ100(エクソン化学(株)製)等)等の芳香族炭化水素類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類;グリコールエーテル類の酢酸エステル;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、ノルマルブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類等が挙げられる。
また、ビニル系重合体を使用する製品が溶剤を含まないことが好ましい場合には、ビニル系重合体の重合において溶剤を一切使用しないことが好ましい。
溶剤の使用量は、ビニル系単量体の総量100質量部に対し、10〜100質量部が好ましい。
連鎖移動剤としては、2−メルカプトエタノール、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン等のメルカプタン類;α−メチルスチレンダイマー等が挙げられる。
(ビニル系重合体の重合方法)
本発明のビニル系重合体の製造方法としては、例えば、溶液重合、塊状重合等公知の重合法が挙げられる。
これらの重合法においては、ビニル系単量体を重合する際に、重合温度を170℃以上とすればよい。
ビニル系重合体の重合温度は170℃以上であり、上限値が300℃であることが好ましい。より好ましくは、180℃以上、250℃以下である。300℃を超えるとビニル系単量体の分解が著しくなり、170℃未満では本発明の、緻密感、艶感の優れた良好な塗膜外観が得られない。
具体的には、170〜300℃に保持された溶剤等に、ビニル系単量体、重合開始剤、必要に応じて連鎖移動剤を含む混合物を供給し、単量体を重合させる方法がある(以下、「重合方法1」とする。)。
特に、重合温度170〜300℃、滞在時間1〜60分でビニル系単量体、重合開始剤、必要に応じて連鎖移動剤、溶剤を含む混合物を連続的に供給し単量体を重合する第一工程を行った後に、未反応ビニル系単量体を低減するため、重合温度80〜200℃、滞在時間10〜240分で未反応ビニル系単量体を重合する第二工程を経ることが好ましい(以下「重合方法2」とする)。
重合方法2では、重合温度が170〜300℃である第1工程における、ビニル系重合体の重合率が60%以上であると好ましく、70%以上であるとより好ましい。
第一工程における重合率が60%以上であると、重合温度170℃〜300℃条件下において生成したビニル系重合体の含有量が最終的に生成したビニル系重合体中において充分な量となり、緻密感、艶感に優れた塗膜が得られる傾向にある。
なお、第一工程にてある程度の重合率が得られた場合、第二工程における重合温度は170℃以上である必要はない。
また、これら重合方法1及び重合方法2等、本発明の重合方法における最終的な重合率は85〜100%であると好ましく、90〜100%であるとより好ましい。最終的な重合率が85%未満の場合、残存するビニル系単量体の影響が顕著となる。
なお、重合率は未反応単量体の質量を求め、下記式(I)によって算出した。
重合率={1−(未反応単量体の質量)/(重合体混合物の質量−溶剤の質量−重合開始剤の質量)}×100・・・(I)
なお、未反応単体の質量は以下の方法によって測定する。
アセトン約10gに、溶剤および未反応単量体を含むビニル系重合体溶液約0.5gを溶解し、内標準として酢酸ブチルを加えて測定サンプルとした。この測定サンプルについて、2種類のカラムを備えたガスクロマトグラフィ装置(島津製作所社製、GC−14A)を用いて下記条件にて未反応単量体の質量を測定した。
カラム:SUPELCO製SPB−5
注入量:1μL
インジェクション温度:150℃
検出器温度:190℃
カラム温度:50℃で1分間保持した後、毎分10℃で180℃まで昇温した後、10分間保持。
カラム:SUPELCO製WAX−10
注入量:1μL
インジェクション温度:150℃
検出器温度:190℃
カラム温度:50℃で1分間保持した後、毎分10℃で180℃まで昇温した後、10分間保持。
(ビニル系重合体)
本発明のビニル系重合体は数平均分子量が、1000〜5000であり、1500〜4000であるとより好ましい。数平均分子量が1000以上であれば、焼き付けの際の硬化性が十分で、良好な塗膜外観が得られる。対して5000以下であれば、塗料の不揮発分を高くすることができ、ハイソリッドの塗料を得やすい。
また、本発明のビニル系重合体は質量平均分子量が、2000〜15000であると好ましく、3000〜12000であるとより好ましい。質量平均分子量が2000以上であると焼付けの際の硬化性が十分で、良好な塗膜外観が得られる。対して、15000以下であると塗料の不揮発分を高くすることができ、ハイソリッドの塗料を得やすい。
数平均分子量及び質量平均分子量は、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィ(以下、「GPC」とする)を用いて測定される、ポリスチレン換算の数平均分子量である。
ビニル系重合体の酸価は15〜50mgKOH/gであり、20〜40mgKOH/gが好ましい。
酸価が15mgKOH/g以上であれば、緻密感、艶感の優れた良好な塗膜外観が得られる。これは酸価が15mgKOH/g以上であると、ビニル系重合体の硬化性が良好となり、他の塗料となじみにくくなるためだと予測される。一方、50mgKOH/g以下であれば、塗膜の耐水性が保持される傾向にある。
酸価を調整する方法としては酸基を有するビニル系単量体の調整が挙げられる。
ビニル系重合体の水酸基価は50〜180mgKOH/gであり、60〜150mgKOH/gであると好ましい。水酸基価が50mgKOH/g以上であれば、塗膜の架橋密度が保たれ、耐チッピング性や耐溶剤性が良好である。一方、180mgKOH/g以下であれば、耐水性が保持される傾向にある。
溶液重合によって得られるビニル系重合体溶液の固形分は40〜100質量%であると好ましく、60〜100質量%であると更に好ましい。固形分が40質量%以上であればハイソリッド型の塗料を配合が容易となる。
[塗料]
本発明の塗料は、上記ビニル系重合体を含有しており、その他に水酸基と反応しうる硬化剤を含有していると好ましい。
硬化剤としては、アミノ樹脂、イソシアネートプレポリマー、ブロックドポリイソシアネート、シランカップリング剤、アルミニウムキレート系硬化剤等が挙げられる。
アミノ樹脂としては、アミノトリアジン、尿素、ジシアンジアミド、またはN,N−エチレン尿素のメチロール化物をシクロヘキサノールまたは炭素数1〜6のアルカノールでアルキルエーテル化したアミノ樹脂が挙げられる。中でも、水酸基含有ビニル系重合体の硬化剤としては、アミノトリアジンより得られたアミノ樹脂(例えばメチルエーテル化メラミン樹脂、ブチルエーテル化メラミン樹脂等。)が好ましい。
本発明の塗料における硬化剤の含有量は、10〜50質量%であると好ましい。
硬化剤の含有量が50質量%を超えると硬化膜が脆くなり、10質量%未満である場合硬化性が不十分となる。
本発明の塗料は、ビニル系重合体の他、光輝性顔料、粘性制御剤を含有していてもよい。
光輝性顔料としては、無着色の、または着色された金属性光輝材(金属、合金等。)該金属性光輝材を含む混合物;干渉マイカ粉、着色マイカ粉、ホワイトマイカ粉、グラファイト、無色または有色の偏平顔料等が挙げられる。
これらのうち、分散性に優れ、透明感の高い塗膜を形成できる点から、金属性光輝材およびその混合物、干渉マイカ粉、着色マイカ粉、ホワイトマイカ粉が好ましい。
また、金属としては、例えば、アルミニウム、酸化アルミニウム、銅、亜鉛、鉄、ニッケル、スズ等が挙げられる。
粘性制御剤としては、脂肪酸アマイドの膨潤分散体、アマイド系脂肪酸、長鎖ポリアミノアマイドの燐酸塩等のポリアマイド系のもの、酸化ポリエチレンのコロイド状膨潤分散体等のポリエチレン系のもの、有機酸スメクタイト粘土、モンモリロナイト等の有機ベントナイト系のもの、ケイ酸アルミ、硫酸バリウム等の無機顔料、顔料の形状により粘性が発現する偏平顔料等、極性基の相互作用を利用する非架橋あるいは架橋型の樹脂あるいは粒子が挙げられる。
本発明の塗料は、その他必要に応じて、造膜助剤、消泡剤、顔料分散剤、増粘剤、ワックス、防腐剤等の公知の添加剤を含んでいてもよい。
また、本発明の塗料は、必要に応じて希釈溶剤によって、所望の粘度となるように希釈してもよい。希釈溶剤としては、上述の芳香族炭化水素類、エステル類、グリコールエーテル類、グリコールエーテル類の酢酸エステル、アルコール類、ケトン類等が挙げられる。
[塗膜の形成方法]
本発明の塗料は、自動車等に用いられると好ましい。
本発明の塗料を、自動車等に用いる際、以下の工程を経て塗膜を形成すると好ましい。
(i)塗装対象の基材に化成処理を施す工程
(ii)化成処理された基材に、電着塗料を塗装する工程。
(iii)中塗り塗料を塗装する工程。
(iv)上塗り塗料を塗装する工程。
(i)の工程
基材としては特に限定されず、例えば、金属、プラスチック、発泡体等が挙げられ、これらのうち、金属が有利に用いられるが、カチオン電着塗装が可能な金属製品が特に好適に使用される。
上記金属製品としては特に限定されず、例えば、鉄、銅、アルミニウム、スズ、亜鉛等の金属単体、並びに、これらの金属単体を含む合金及び鋳造物が挙げられる。具体的には、乗用車、トラック、オートバイ、バス等の自動車の車体及び部品が挙げられる。
これら金属製品を、リン酸塩、クロム酸塩等で予め化成処理すると特に好ましい。
(ii)の工程
化成処理を施された基材上に、防食性、防錆性の付与を目的として、電着塗料を塗装し、焼き付けて電着塗料の層を形成する。電着塗料としては、カチオン型又はアニオン型の電着塗料を使用することができるが、カチオン型電着塗料が防食性に優れた塗膜を与えるため好ましい。
(iii)の工程
電着塗料の層の上に、更に中塗り塗料の層を形成する。
中塗り塗料の層が形成されていると、下地の欠陥が隠蔽され、上塗り塗料を塗装した後の表面平滑性が確保されて外観が向上するほか、耐衝撃性、耐チッピング性等の塗膜物性を付与することが容易になる。
中塗り塗料としては、一般的に、カーボンブラックと二酸化チタンとを主要顔料としたグレー系のメラミン硬化系樹脂、又はイソシアネート硬化系の樹脂等が用いられる。また、中塗り塗料は、上塗り塗料と明度や色相等を合わせた所謂カラー中塗り塗料とすることもできる。
中塗り塗料は塗装後直ぐに焼き付け硬化を行ってもよく、塗装後すぐには行わず、続く(iv)の工程において上塗り塗料を塗装した後に焼き付け硬化を行ってもよい。
(iv)の工程
中塗り塗料の層又は電着塗料の層の上に、上塗り塗料の層を形成する。
上塗り塗料の層は、通常、ベース塗料の層とクリヤー塗料の層とを有している。ベース塗料の層は、着色美装と、長期間に及ぶ耐候性とを金属基材に与えることを主目的としており、クリヤー塗料の層はベース塗料の層の上に塗装され、ベース塗料の層を保護することを主目的としている。
本発明のビニル系重合体を含有する塗料は、このベース塗料として用いると好ましい。
本発明の塗料をベース塗料として用いる場合、クリヤー塗料としては、塗膜形成樹脂、硬化剤等を含む塗料が挙げられる。
クリヤー塗料の塗膜形成樹脂としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられる。硬化剤としては、アミノ樹脂、ブロックイソシアネート樹脂等が挙げられる。中でも特に、透明性、耐酸エッチング性等の点から、アクリル樹脂及び/又はポリエステル樹脂と、アミノ樹脂との組み合わせ、またはカルボン酸・エポキシ硬化系を有するアクリル樹脂及び/又はポリエステル樹脂等が好ましい。
クリヤー塗料の形態としては、溶剤型、水性型(水溶性、水分散性、エマルジョン等。)、非水分散型、粉体型等が挙げられる。
クリヤー塗料の固形分は、クリヤー塗料(100質量%)のうち、30〜70質量%であると好ましく、35〜65質量%であるとより好ましい。固形分が30〜70質量%の範囲であれば、塗装作業性に有効である。
本発明のビニル系重合体を含有するベース塗料は、他の塗料となじみにくいため、下層の塗料を塗装した後、該塗料を焼き付ける前に次の層の塗料を塗装し、複数層とした塗料を同時に焼き付ける、所謂ウエット・オン・ウエット方式で塗装することが可能である。
具体的には、本発明の塗料をベース塗料として塗装した後、クリヤー塗料をその上にウエット・オン・ウエット方式で塗り重ねて一度に焼付け硬化させる、2コート1ベーク法、または中塗り塗料、ベース塗料、及びクリヤー塗料を下からこの順にウェット・オン・ウェット方式で塗り重ね一度に焼付け硬化させる、3コート1ベーク法等が挙げられる。
これら、中塗り塗料、ベース塗料及びクリヤー塗料を塗装する方法としては、それぞれ特に限定されず、例えば、当業者に知られた方法を用いることができる。
具体的には、通称「リアクトガン」と言われるエアー静電スプレー;通称「マイクロ・マイクロ(μμ)ベル」、「マイクロ(μ)ベル」、「メタベル」等と言われる回転霧化式の静電塗装機等を用いることにより行うことができる。好ましくは、回転霧化式の静電塗装機等を用いる方法である。
上記ベース塗料を自動車車体等に対して塗装する場合には、意匠性を高めるために、エアー静電スプレーによる多ステージ塗装、好ましくは2ステージで塗装するか、又は、エアー静電スプレーと上記の回転霧化式の静電塗装機とを組み合わせた塗装方法により行うことが好ましい。
上記各塗料によって形成される各層の厚さは、用途により変化するが、それぞれ、中塗り塗料の層が5〜40μm、ベース塗料の層が10〜30μm、クリヤー塗料の層が10〜70μmであると好ましい。
各層の厚さがこれらの上限を超えると、鮮映性が低下することや、塗装時にムラ、流れ等の不具合が起こることがあり、下限を下回ると、下地の凹凸が隠蔽できず、膜切れが発生することがある。
本発明の塗料を用いた上記ベース塗料は、塗装後、クリヤー塗料を塗装する前に、一定時間室温で放置、又は、例えば60〜100℃未満にて2〜10分間加熱することによって予め乾燥させる工程を施すこともできる。予めベース塗料の層を乾燥させることにより高い架橋度の硬化塗膜が得られる。
クリヤー塗料を塗装した後の焼き付け硬化は、通常100〜180℃にて行うと好ましく、120〜160℃であるとより好ましい。焼き付け温度がこの範囲であると、高い架橋密度の硬化塗膜が得られる傾向にある。
対して、焼き付け温度が100℃未満であると、硬化が充分ではなく、180℃を超えると、塗膜が固く脆くなる傾向にある。
また、焼き付けによる硬化時間は硬化温度により変化するが、120〜160℃で10〜60分間が適当である。焼き付け時間が10分未満の場合硬化性が不十分となり、60分を超えると、乾燥工程の長時間化につながり不利益となる傾向にある。
このようにして得られる中塗り塗料の層、ベース塗料の層及びクリヤー塗料の層からなる塗膜の膜厚の合計は、通常30〜300μmであると好ましく、50〜250μmであるとより好ましい。
膜厚が、300μmを超えると、冷熱サイクル等の膜物性が低下し、30μm未満であると、膜自体の強度が低下する傾向にある。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例中の「部」は質量部を、「%」は質量%を示す。
また、本実施例及び比較例における各物性の測定及び評価は以下の方法で行った。
(水酸基価)
ビニル系重合体溶液の固形分1g中の水酸基を無水酢酸でアセチル化し、アセチル化に伴って生成した酢酸を中和するのに要した水酸化カリウムのmg数を滴定にて測定し、水酸基価を求めた。
(酸価)
ビニル系重合体溶液の固形分1gを中和するのに要した水酸化カリウムのmg数を滴定にて測定し、酸価を求めた。
(固形分)
試料を105℃で2時間加熱した後、残量をはかりとり、下記一般式(I)より算出した。
固形分(%)=残量(g)/試料(g)×100・・・(I)
(分子量)
ビニル系共重合体のテトラヒドロフラン溶液(0.2%)を調整後、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(東ソー社製、HLC−8220GPC)に調整した溶液を注入し、以下の条件で、標準ポリスチレン換算の質量平均分子量、数平均分子量を測定した。
カラム :東ソー社製、HZ2000
流速 :0.35ml/min
溶離液 :テトラヒドロフラン
カラム温度:40℃
(反応開始時間)
得られたベース塗料の硬化開始時間を、自由減衰振動型粘弾性測定装置により測定し、塗膜温度が140℃に達した時間をゼロ(±0)として、振動周期測定値の減少開始時間を、反応開始時間(分)として求めた。
具体的には、自由減衰振動型粘弾性測定装置として振り子型物性試験機(オリエンテック社製、DDV−OPA)を用いて、金属基材(鋼板)上に乾燥ベース膜厚が、15μmになるようにベース塗料を塗布し、温度25度、湿度60%の室内で3分間セッティングした後、塗膜を25℃から140℃に10分かけて昇温し、その後140℃で20分間保持して、反応開始時間を求めた。
(ムラ)
得られた試験片(塗装板)の塗膜を目視し、塗装ムラ状態を下記基準により評価した。
○:ムラなし。
△:ムラが僅かに見られる。
×:ムラが顕著に見られる。
(塗膜外観)
得られた試験片(塗装板)の塗膜を目視し、塗膜外観、特に艶感について以下の評価基準により評価した。
5:非常に艶が良い。
4:艶が良い。
3:艶はある。
2:若干艶が落ちる。
1:艶感がない。
[調整例1]クリヤー塗料CL1の調整
下記カルボキシル基含有アクリル樹脂50部(固形分)、下記エポキシ基含有アクリル樹脂50部(固形分)、紫外線吸収剤(チバガイギ社製、「チヌビン900(商品名)」)1部、テトラブチルアンモニウムブロマイドとモノブチルリン酸との当量配合物2部、および表面調整剤(ビッグケミー社製、「BYK−300(商品名)」)0.1部を混合し、混合物を得た。
該混合物を、炭化水素系溶剤(1)(新日本石油化学社製、「SS100(商品名)」)50部、炭化水素系溶剤(2)(新日本石油化学社製、「SS150(商品名)」)50部からなる希釈シンナーにて、粘度がNo.4フォードカップで24秒(20℃)となるように希釈し、クリヤー塗料CL1を得た。
(カルボキシル基含有アクリル樹脂)
無水マレイン酸のメタノールハーフエステル化物20部、アクリル酸2−ヒドロキシエチル15部、アクリル酸2−エチルヘキシル45部、およびスチレン20部からなる単量体成分を重合した共重合体。
数平均分子量4,000、水酸基価73mgKOH/g、酸価86mgKOH/g。
(エポキシ基含有アクリル樹脂)
グリシジルメタクリレート30部、アクリル酸2−ヒドロキシエチル15部、アクリル酸n−ブチル38部およびスチレン17部からなる単量体成分を重合した共重合体。
数平均分子量3,000、水酸基価73mgKOH/g。
[実施例1]ビニル系重合体溶液(A−1)の製造
撹拌機、温度計、温度制御装置、窒素ガス導入管、原料供給ライン、重合物抜出ラインを備えた連続式槽型反応器を第一反応器として用いた。
この反応容器中に容器上部から、溶剤として前記炭化水素系溶剤(1)35部と表1に記載の組成としたビニル系単量体および重合開始剤の混合物を、内温200℃、1.0MPaに保たれた第一反応器に滞在時間が8分となるように連続的に供給し、重合して反応中間混合物を生成させた。
反応中間混合物を生成するのと同時に、第一反応器内から反応中間混合物をギアポンプで連続的に抜き出した。この反応中間混合物を、第二反応器である攪拌機、温度計、温度制御装置、コンデンサーを備えた槽型反応器に仕込み、重合開始剤としてジ−t−ヘキシルパーオキサイド0.5部、前記炭化水素系溶剤(1)3.5部を加え、160℃で1時間保持して重合添加率を上昇させた後、n−ブタノール4.3部を添加し反応を終了させ、ビニル系重合体溶液(A−1)を得た。
得られたビニル系重合体溶液(A−1)の特性を表1に示す。
[実施例2、比較例1]ビニル系重合体溶液(A−2)、(A−3)の製造
ビニル系単量体および重合開始剤の混合物の組成、及び第一反応器における重合温度を表1に示すように変更した以外は、製造例1と同様にして、ビニル系重合体溶液(A−2)及び(A−3)を得た。
得られた各ビニル系重合体溶液の特性を表1に示す。
[比較例2]ビニル系重合体溶液(A−4)の製造
撹拌機、温度計、窒素ガス導入管、温度制御装置、ならびにコンデンサーを備えた耐圧構造を有する重合反応器に、前記炭化水素系溶剤(1)35部を仕込み、攪拌しながら150度まで温度を上昇させた。
次いでこの溶剤中に表1記載のビニル系単量体および重合開始剤の混合物を2時間かけて滴下し、さらにジ−t−ヘキシルパーオキサイド0.5部、前記炭化水素系溶剤(1)3.5部を加え、同温度で1時間攪拌しながら重合添加率を上昇させた後、n−ブタノール4.3部を添加し反応を終了させ、ビニル系重合体溶液(A−4)を得た。
得られたビニル系重合体溶液(A−4)の特性を表1に示す。
Figure 2009275170
表中の略号は、下記の通りである。
St :スチレン
n−BA :アクリル酸n−ブチル
t−BMA:メタクリル酸t−ブチル
FM2 :メタクリル酸2−ヒドロキシエチルのε‐カプロラクトン2モル付加物(ダイセル化学工業社製水酸基含有ビニル系単量体)
HEA :アクリル酸2−ヒドロキシエチル
MAA :メタクリル酸
PO1 :ジ−t−ヘキシルパーオキサイド(日本油脂社製)
PO2 :ジ−t−アミルパーオキサイド(アルケマ吉富社製)
次に、各実施例及び比較例で得られたビニル系重合体溶液(A−1)〜(A−4)について、以下に示す方法でベース塗料を作成した後、該ベース塗料を用いて塗膜を形成し、各評価を行った。
(ベース塗料の調整)
配合用容器にビニル系重合体溶液((A−1)〜(A−4)のいずれか)85.7部、硬化剤としてメラミン樹脂(サイメル211、日本サイテック社製)50部、アルミニウム顔料(アルミペーストMH−8801、旭化成ケミカルズ社製)を入れ、卓上攪拌機で攪拌して混合物を得た。
該混合物を、3−エトキシプロピオン酸エチル40部、酢酸エチル20部、前記炭化水素系溶剤(1)40部からなる希釈シンナーにて、No.4フォードカップで15秒(23℃)となるように希釈し、ベース塗料を得た。
(塗膜形成方法)
リン酸亜鉛処理した鋼板(30cm×45cm)に、自動車用カチオン系電着塗料を塗装し、180℃で30分焼き付けた。
次いでアルキッド樹脂とアミノ樹脂とからなる中塗り塗料を塗装して、160℃で30分焼き付けた後、塗膜をサンディングし、水研し、乾燥させて被塗物板を得た。
得られた被塗物板に上記ベース塗料を乾燥膜厚が15μmになるようにスプレー塗装し、室温で5分間放置した後、クリヤー塗料CL1をウェット・オン・ウェット方式で乾燥膜厚が40μmになるように重ね塗りした。
未乾燥の重ね塗り塗膜を室温(23℃)で10分間セッティング後、140度で25分間焼付けて、試験片を得た。
得られた該試験片について、各評価を行った。結果を表2に示す。
Figure 2009275170
表2に示されるように、重合温度が170℃以上であり、酸価が15〜50の範囲内である実施例1及び2のベース塗料から形成された塗膜は、ムラがなく、塗膜外観が“5”と良好なものであった。また、実施例1、2の反応開始時間は2分及び3分と短いものであった。
対して、重合温度180℃にて重合して、酸価が15以下であるビニル系重合体溶液(A−3)を含む比較例1のベース塗料より形成された塗膜は、ムラが僅かに見られ、塗膜外観が“3”と良好ではなかった。
また、重合温度150℃にて重合して、酸価が15〜50の範囲内となっているビニル系重合体溶液(A−4)を含む比較例2のベース塗料から形成された塗膜は、ムラが僅かに見られ、塗膜外観が“4”と良好ではなかった。また、反応開始時間は比較例1が8分、比較例2が4分であった。塗膜外観が良好とならなかったのは、反応開始時間が遅いためと推測される。
本発明の塗料用樹脂組成物は、ムラ、塗膜外観に優れた塗膜の提供が可能であり、工業上非常に有益なもので、自動車等に用いることが可能である。

Claims (3)

  1. 数平均分子量が1000〜5000であり、酸価が15〜50であり、かつ、水酸基価が50〜180であるビニル系重合体の製造方法であって、
    ビニル系単量体とラジカル重合開始剤とを含有する原料混合物を、重合温度170℃以上の条件で重合するビニル系重合体の製造方法。
  2. 請求項1記載の製造方法により得られるビニル系重合体を含有する塗料。
  3. 基材にベース塗料の層とクリヤー塗料の層をこの順に塗装した後に、同時に焼付け硬化させる塗膜の形成方法であって、
    該ベース塗料が請求項2に記載の塗料である塗膜の形成方法。
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