JP4780838B2 - メタリック塗膜の形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車車体等の塗装に用いられる自動車用メタリック塗膜の形成方法およびその方法により得られたメタリック塗膜に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、自動車用上塗り塗膜として、光輝性顔料を含有するいわゆるメタリック塗料により形成されるメタリック塗膜が増えてきている。このメタリック塗膜は、メタリックベース塗膜とクリヤー塗膜とをウエットオンウエットで形成するが、このメタリックベース塗膜とクリヤー塗膜とが混じり合うと、メタリックベース塗膜中の光輝性顔料の配列が不均一になり、フリップフロップ性が低下したり、塗膜光沢の低下を引き起こす。
【0003】
また、一般に塗装時あるいは焼付硬化時の粘性制御の為、メタリックベース塗料に粘性付与剤として、架橋重合体微粒子を含有させることが知られているが、これだけでは十分ではない場合があった。
【0004】
【解決しようとする課題】
本発明の目的は、メタリックベース塗膜中の光輝性顔料の配向性を向上し、メタリックベース塗膜とクリヤー塗膜との微少な混じり合いにより起こる色戻りを防止することにより、フリップフロップ性に優れたメタリック塗膜を安定提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下塗り塗膜および、必要により中塗り塗膜を形成した基材上に、メタリックベース塗膜及びクリヤー塗膜を形成するメタリック塗膜の形成方法において、上記メタリックベース塗膜を形成するメタリックベース塗料が、平均粒径(D50)0.05〜10μmである非架橋重合体微粒子と、平均粒径(D50)0.01〜1μmである架橋重合体微粒子とを含有し、且つ、上記非架橋重合体微粒子と架橋重合体微粒子との固形分重量比が、5/1〜1/5であることを特徴とするメタリック塗膜の形成方法を提供するものである。
【0006】
また、本発明は、上記方法に用いられるメタリックベース塗料を提供するものであり、また更に、本発明は上記方法により形成されたメタリック塗膜を提供するものである。
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
【0007】
【発明の実施の形態】
メタリックベース塗膜
本発明のメタリック塗膜の形成方法において、メタリックベース塗膜の形成は、メタリックベース塗料により行われる。このメタリックベース塗料は、非架橋重合体微粒子、架橋重合体微粒子、光輝性顔料、有機系あるいは無機系の各種着色顔料、塗膜形成性樹脂および硬化剤等を含有する。
【0008】
本発明においてメタリックベース塗料に用いる非架橋樹脂粒子は、分散安定樹脂と有機溶剤との混合液中で、重合性単量体を共重合させることにより、この混合液に不溶な非架橋樹脂粒子として調製することができる。非架橋樹脂粒子を得るため分散安定樹脂の存在下で共重合させる単量体は、ラジカル重合性の不飽和単量体であれば特に制限されない。
【0009】
但し、上記分散安定樹脂及び非架橋重合体微粒子を合成するためには、官能基を有する重合性単量体を用いることが好ましい。官能基を有する非架橋重合体微粒子は官能基を含有せしめた分散安定樹脂と共に後記硬化剤と反応して三次元に架橋した塗膜を形成することができるからである。
【0010】
上記分散安定樹脂は、非架橋重合体微粒子を有機溶剤中で安定に合成できるものであれば特に限定されるものではない。具体的には、水酸基価が10〜250、好ましくは20〜180であり、酸価が0〜100mgKOH/g、好ましくは0〜50mgKOH/g、数平均分子量が800〜100000、好ましくは1000〜20000であるアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂等を用いることが好ましい。上限を越えると、樹脂のハンドリング性が低下し、非架橋重合体微粒子自身のハンドリングも低下する。下限を下回ると塗膜にした場合に樹脂が脱離したり、粒子の安定性が低下したりする。
【0011】
上記分散安定樹脂の合成方法は、特に限定されるものではないが、ラジカル重合開始剤の存在下でラジカル重合により得る方法、縮合反応や付加反応により得る方法等が好ましいものとして挙げられる。更に、上記分散安定樹脂を得るために用いられる単量体としては、樹脂の特性に応じて適宜選択され得るが、後述する非架橋重合体微粒子を合成するために用いられる重合性単量体が有するような、水酸基、酸基等の官能基を有するものを用いることが好ましく、更に必要に応じて、グリシジル基、イソシアネート基等の官能基を有するものを用いてもよい。
【0012】
また、上記分散安定樹脂と上記重合性単量体との構成比率は目的に応じて任意に選択できるが、例えば、該両成分の合計重量に基いて分散安定樹脂は3〜80重量%、特に5〜60重量%、重合性単量体は97〜20重量%、特に95〜40重量%が好ましい。さらに有機溶剤中における分散安定樹脂と重合性単量体との合計濃度は合計重量を基準に、30〜80重量%、特に40〜60重量%が好ましい。
【0013】
上記非架橋重合体微粒子は、分散安定樹脂の存在下でラジカル重合性の単量体を重合させることによって得ることができる。この非架橋重合体微粒子としては、水酸基価が50〜400、好ましくは100〜300であり、酸価が0〜200mgKOH/g、好ましくは0〜50mgKOH/g、平均粒径(D50)が0.05〜10μm、好ましくは0.1〜2μmであるものが好ましい。下限を越えると粒子形状を維持できず、上限を越えると塗料に分散した場合の安定性が低下する。
【0014】
上記非架橋重合体微粒子を合成するために用いられる官能基を有する重合性単量体としてその代表的なものは以下のとおりである。水酸基を有するものとして、例えば、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル、メタクリル酸ヒドロキシメチル、アリルアルコール、(メタ)メタクリル酸ヒドロキシエチルとε−カプロラクトンとの付加物等が挙げられる。
【0015】
一方、酸性基を有するものとしては、カルボキシル基、スルホン酸基等を有する重合性単量体が挙げられる。カルボキシル基を有するものの例としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、3−ブテン酸、4−ペンテン酸、2−メチル−3−ブテン酸、イタコン酸、無水マレイン酸、フマール酸等が挙げられる。スルホン酸基を有する重合性単量体の例としては、t−ブチルアクリルアミドスルホン酸等が挙げられる。酸性基を有する重合性単量体を用いる場合は、酸性基の一部はカルボキシル基であることが好ましい。
【0016】
また、(メタ)アクリル酸グリシジル等のグリシジル基含有不飽和単量体、m−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート、アクリル酸イソシアナトエチル等のイソシアネート基含有不飽和単量体等が官能基を有する重合性単量体として挙げられる。
【0017】
この他の重合性単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、メタクリル酸トリデシル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、油脂肪酸とオキシラン構造を有するアクリル酸またはメタクリル酸エステルモノマーとの付加反応物(例えば、ステアリン酸とグリシジルメタクリレートの付加反応物等)、C3 以上のアルキル基を含むオキシラン化合物とアクリル酸またはメタクリル酸との付加反応物、スチレン、α−メチルスチレン、ο−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、(メタ)アクリル酸ベンジル、イタコン酸エステル(イタコン酸ジメチルなど)、マレイン酸エステル(マイレン酸ジメチルなど)、フマール酸エステル(フマール酸ジメチルなど)、その他に、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、メチルイソプロペニルケトン、酢酸ビニル、ベオバモノマー(シェル化学社製、商品名)、ビニルプロピオネート、ビニルピバレート、エチレン、プロピレン、ブタジエン、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、アクリルアミド、ビニルピリジン等の重合性単量体が挙げられる。
【0018】
上記非架橋重合体微粒子を得るための重合反応は、ラジカル重合開始剤の存在下で行うことが好ましい。ラジカル重合開始剤としては、例えば2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系開始剤、ベンゾイルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、t−ブチルパーオクトエート等が挙げられる。これらの開始剤の使用量は重合性単量体合計100重量部あたり0.2〜10重量部、好ましくは0.5〜5重量部が望ましい。分散安定樹脂を含有する有機溶剤中での非架橋重合体微粒子を得るための重合反応は、一般に60〜160℃程度の温度範囲で約1〜15時間行うことが好ましい。
【0019】
また、上記非架橋重合体微粒子は架橋重合体微粒子と異なり、塗料中においては粒子成分であるが、塗膜においては粒子構造を形成しない特徴を有する。つまり非架橋重合体微粒子は粒子内に架橋部位が存在しないため、焼き付け過程で粒子形状が変化し、樹脂成分となり得る点が架橋重合体微粒子とは異なる。
【0020】
しかしながら、非架橋重合体微粒子はそれ自身単独で塗料系に添加しても構造粘性は発現されない。架橋重合体微粒子と併用することでより大きな構造粘性を発現する。
【0021】
更に、例えば色材,48巻(1975)第28頁〜第34頁中に記載されているNAD塗料に用いられるNAD(Non Aqueous Dispersion、非水系重合体分散液)と言われる樹脂粒子も使用することができる。
【0022】
一方、上記架橋重合体微粒子は、有機溶剤に不溶で、平均粒径(D50)が0.01〜1μmのものである。平均粒子径が上限を越えると安定性が低下し、下限未満では生産設備上の困難性が高く、粒子形状の維持も困難になる。上記の架橋重合体微粒子としては、両イオン性基を分子内に有する単量体を多価アルコール成分のひとつとして用いて合成したアルキド樹脂あるいはポリエステル樹脂等の乳化能を有する樹脂と、重合開始剤との存在下に、水性媒体中で重合性単量体を乳化重合させることにより得られるものが好ましい。
【0023】
上記の両イオン性基は、−N+−R−COO-または−N+−R−SO3 -として表され(式中、RはC1〜C6の直鎖もしくは分岐状アルキレン基を表す)、これを分子内に有する単量体としては、二つ以上のヒドロキシル基を有するものを用いることができる。このような単量体としては、ヒドロキシル基含有アミノスルホン酸型両性イオン化合物が樹脂合成上好ましい。具体的には、ビスヒドロキシエチルタウリン等が挙げられる。
【0024】
上記の単量体を用いて合成された乳化能を有する両イオン性基を分子内に有する樹脂としては、酸価が30〜150mgKOH/g、好ましくは40〜150mgKOH/g、数平均分子量が500〜5000、好ましくは700〜3000のポリエステル樹脂であるのが良い。上限を越えると、樹脂のハンドリング性が低下し、下限を下回ると塗膜にした場合に乳化能を有する樹脂が脱離したり、耐溶剤性が低下したりする。
【0025】
また架橋重合体微粒子の合成で、乳化重合される重合性単量体として、分子内に2個以上のラジカル重合可能なエチレン性不飽和基を有するモノマーを含有させる必要がある。このような分子内に2個以上のラジカル重合可能なエチレン性不飽和基を有するモノマーは、全単量体中の0.1〜70重量%の範囲で含有させることが好ましい。この量は、微粒子重合体が溶剤に溶解しないだけの充分な架橋が与えられる程度に選択される。
【0026】
上記分子内に2個以上のラジカル重合可能なエチレン性不飽和基を有する単量体としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0027】
本発明で用いる架橋重合体微粒子は、一般にエマルジョン樹脂に含有されるものであり、塗膜化したときに性能を低下させるような低分子乳化剤あるいは保護コロイドを含まず、しかも分子内に2個以上のラジカル重合可能なエチレン性不飽和基を有するモノマーを共重合することにより架橋されているので、塗膜の耐水性、耐溶剤性および光沢等が優れている。
【0028】
上記架橋重合体微粒子の添加量は、メタリックベース塗料の樹脂固形分100重量部に対して0.01〜20重量部であり、好ましくは0.1〜17重量部、より好ましくは0.2〜15重量部の量で添加される。架橋重合体微粒子の添加量が、20重量部を越えると、外観が低下し、0.01重量部を下回ると粘性制御効果が得られず、層間でなじみや反転をおこす原因となる。
【0029】
上記メタリックベース塗料含まれる非架橋重合体微粒子と架橋重合体微粒子の混合固形分重量比は、5/1〜1/5の範囲であり、2/1〜1/2の範囲であることが更に好ましい。上記範囲を外れると、粘性制御効果が得られない。
【0030】
上記メタリックベース塗料に含有される光輝性顔料としては、形状は特に限定されず、更に着色されていても良いが、例えば、平均粒径(D50)が2〜50μmであり、且つ厚さが0.1〜5μmである鱗片状のものが好ましい。また、平均粒径が10〜35μmの範囲のものが光輝感に優れ、更に好適に用いられる。
【0031】
上記光輝性顔料の塗料中の顔料濃度(PWC)は、一般に23.0%以下である。上限を越えると塗膜外観が低下する。好ましくは、0.01%〜20.0%であり、より好ましくは、0.01%〜18.0%である。
【0032】
上記光輝性顔料としては、金属または合金等の無着色あるいは着色された金属性光輝材及びその混合物、干渉マイカ粉、着色マイカ粉、ホワイトマイカ粉、グラファイトあるいは無色有色偏平顔料等を挙げることができる。分散性に優れ、透明感の高い塗膜を形成することができるため、金属または合金等の無着色あるいは着色された金属性光輝材及びその混合物が好ましい。その金属の具体例としては、アルミニウム、酸化アルミニウム、銅、亜鉛、鉄、ニッケル、スズ等を挙げることができる。
【0033】
上記着色顔料としては、有機系のアゾキレート系顔料、不溶性アゾ系顔料、縮合アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、インジゴ顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、ジオキサン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、金属錯体顔料などが挙げられ、無機系では黄鉛、黄色酸化鉄、ベンガラ、カーボンブラック、二酸化チタンなどが挙げられる。また更に、体質顔料として、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、クレー、タルク等を併用しても良い。
【0034】
上記光輝性顔料およびその他の全ての顔料を含めたメタリックベース塗料中の全顔料濃度(PWC)としては、0.1〜50%であり、好ましくは、0.5%〜40%であり、より好ましくは、1.0%〜30%である。上限を越えると塗膜外観が低下する。
【0035】
また、上記メタリックベース塗料に含有される塗膜形成性樹脂としては、特に限定されるものではなく、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等の塗膜形成性樹脂が利用でき、これらはアミノ樹脂および/またはブロックイソシアネート樹脂等の硬化剤と組み合わせて用いられる。顔料分散性あるいは作業性の点から、アクリル樹脂および/またはポリエステル樹脂とメラミン樹脂との組合わせが好ましい。
【0036】
上記メタリックベース塗料を水性型塗料で用いる場合には、塗膜形成性樹脂として、米国特許第5151125号および同5183504号等に具体的に説明されている塗膜形成性樹脂が用い得る。特に米国特許第5183504号記載のアクリルアミド基、水酸基および酸基を有するアクリル樹脂とメラミン樹脂とを組み合わせた塗膜形成性樹脂は仕上がり、外観性能の点で良好である。
【0037】
また、上記メタリックベース塗料には、塗装作業性を確保するために、その他の粘性制御剤を添加しても良い。このようなものとしては例えば、脂肪酸アマイドの膨潤分散体、アマイド系脂肪酸、長鎖ポリアミノアマイドの燐酸塩等のポリアマイド系のもの、酸化ポリエチレンのコロイド状膨潤分散体等のポリエチレン系等のもの、有機酸スメタイト粘土、モンモリナイト等の有機ベントナイト系のもの、ケイ酸アルミ、硫酸バリウム等の無機顔料、顔料の形状により粘性が発現する偏平顔料等を挙げることができる。
【0038】
本発明で用いられるメタリックベース塗料の塗装時の固形分量は、15〜70重量%であり、好ましくは20〜50重量%である。上限を越えると、粘性が高すぎて塗膜外観が低下し、下限を下回ると粘性が低すぎてなじみやムラ等の外観不良が発生する。また、この範囲外では、塗料安定性が低下する。
【0039】
上記メタリックベース塗料は、一般には溶液型のものが好ましく用いられ、溶液型であれば有機溶剤型、水性型(水溶性、水分散性、エマルジョン)、非水分散型のいずれでもよい。
【0040】
本発明に用いられる塗料組成物の製造には、後述するものを含めて、特に限定されず、顔料等の配合物をニーダーまたはロール等を用いて混練、分散する等の当業者に周知の全ての方法を用い得る。
【0041】
クリヤー塗膜
本発明のメタリック塗膜の形成方法では、クリヤー塗膜を形成する為にクリヤー塗料を使用する。このクリヤー塗料として、塗膜形成性樹脂および硬化剤等を含有するクリヤー塗料を利用できる。上記塗膜形成性樹脂としては、特に限定されるものではなく、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等を用いることができ、これらはアミノ樹脂および/またはブロックイソシアネート樹脂等の硬化剤と組み合わせて用いられる。透明性あるいは耐酸エッチング性等の点から、アクリル樹脂および/またはポリエステル樹脂とアミノ樹脂との組合わせ、あるいはカルボン酸・エポキシ硬化系を有するアクリル樹脂および/またはポリエステル樹脂等を用いることが好ましい。
【0042】
上記クリヤー塗料中の固形分含有量は、20〜60重量%であり、好ましくは35〜55重量%である。塗布時の固形分含有量は、10〜50重量%であり、好ましくは20〜50重量%である。
【0043】
尚、クリヤー塗料は、通常メタリックベース塗料を塗装後、未硬化の状態で塗装するため、層間のなじみや反転、あるいは、タレ等の防止のため、上述のメタリックベース塗料で記載した粘性制御剤を含有することが好ましい。粘性制御剤の添加量は、クリヤー塗料組成物の樹脂固形分100重量部に対して0.01〜10重量部であり、好ましくは0.02〜8重量部、より好ましくは0.03〜6重量部の量で添加される。粘性制御剤の量が、10重量部を越えると、外観が低下し、0.1重量部を下回ると粘性制御効果が得られず、タレ等の不具合をおこす原因となる。
【0044】
本発明で用いるクリヤー塗料の塗料形態としては、有機溶剤型、水性型(水溶性、水分散性、エマルジョン)、非水分散型、粉体型のいずれでもよく、また必要により、硬化触媒、表面調製剤等を用いることができる。
【0045】
基材
本発明の塗膜形成方法は、種々の基材、例えば金属、ガラス、プラスチック、発泡体等に用いうるが、特にカチオン電着塗装可能な金属製品に対し好適に使用できる。上記金属製品としては、例えば、鉄、銅、アルミニウム、スズ、亜鉛等およびこれらの金属を含む合金及び鋳造物が挙げられる。具体的には、乗用車、トラック、オートバイ、バス等の自動車車体および部品が挙げられる。これらの金属は予めリン酸塩、クロム酸塩等で化成処理されたものが特に好ましい。
【0046】
下塗り塗膜
本発明のメタリック塗膜形成方法に用いられる基材上に塗布され、形成される下塗り塗膜は、電着塗料により形成される。この電着塗料としては、カチオン型及びアニオン型を使用できるが、カチオン型電着塗料組成物が防食性において優れた積層塗膜を与える。
【0047】
中塗り塗膜
本発明のメタリック塗膜の形成方法において、必要により形成される中塗り塗膜は、中塗り塗料により形成される。この中塗り塗料は、有機系、無機系の各種着色顔料、体質顔料等、塗膜形成性樹脂および硬化剤等を含有する。中塗り塗膜は、下地を隠蔽し、上塗り塗装後の表面平滑性を確保(外観向上)し、塗膜物性(耐衝撃性、耐チッピング性等)を付与することができる。
【0048】
上記中塗り塗料に用いられる着色顔料としては、例えば上述のメタリックベース塗料で記載した有機系の顔料、及び無機系の顔料が挙げられる。また、体質顔料、更に、アルミニウム粉、マイカ粉等の扁平顔料を併用しても良い。
【0049】
標準的には、カーボンブラックと二酸化チタンを主要顔料としたグレー系中塗り塗料が用いられる。更に、上塗り塗色と明度あるいは色相等を合わせたセットグレーや各種の着色顔料を組み合わせた、いわゆるカラー中塗り塗料を用いることもできる。
【0050】
上記中塗り塗料に用いられる塗膜形成性樹脂としては、特に限定されるものではなく、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等を用いることができ、これらはアミノ樹脂および/またはブロックイソシアネート樹脂等の硬化剤と組み合わせて用いられる。顔料分散性あるいは作業性の点から、アルキド樹脂および/またはポリエステル樹脂とアミノ樹脂との組合わせが好ましい。
【0051】
中塗り塗膜は、下塗りされた基材上へ塗装された後、未硬化の状態でも用い得るが、硬化させる場合には、硬化温度は100〜180℃、好ましくは120〜160℃で焼き付けることにより高い架橋度の硬化塗膜を得られる。上限を越えると、塗膜が固く脆くなり、下限未満では硬化が充分でない。硬化時間は硬化温度により変化するが、120℃〜160℃で、10〜30分が適当である。未硬化で用いる場合は、この限りではない。
【0052】
メタリック塗膜の形成方法
本発明のメタリック塗膜の形成方法においては、下塗り塗膜および、必要により中塗り塗膜を形成した基材上に、まず光輝性顔料を含むメタリックベース塗料を塗布し、メタリックベース塗膜を形成する。
【0053】
一般に、メタリックベース塗料を自動車車体等に塗装する場合には、意匠性を高めるためにエアー静電スプレー塗装による多ステージ塗装、好ましくは2ステージで塗装するか、或いは、エアー静電スプレー塗装と、通称「μμ(マイクロマイクロ)ベル」、「μ(マイクロ)ベル」あるいは「メタベル」等と言われる回転霧化式の静電塗装機とを組み合わせた塗装方法により塗膜形成するが、本発明の方法はこれらの塗装方法に好適に用い得る。
【0054】
本発明のメタリック塗膜の形成方法に用いるメタリックベース塗料には、非架橋重合体微粒子と架橋重合体微粒子とが含有されている。この非架橋重合体微粒子はそれ自身単独で塗料系に添加しても構造粘性は発現されないが、架橋重合体微粒子と併用することでより大きな構造粘性を発現する。
【0055】
このことが、メタリックベース塗膜とクリヤー塗膜との微少な混じり合いによる色戻りや、噴霧塗装における塗料粒子の塗着直後の潰れ易さに顕著に現れる。例えば、塗料粒子が被塗物に衝突する瞬間のズリ速度(剪断力)は、10(1/sec)であり、塗料粒子が被塗物に衝突した直後のズリ速度(剪断力)は、0.1(1/sec)といわれていることより、塗料の各ズリ速度(剪断力)における塗料粘度を測定することにより類推することができ、これらの差が大きいほど、塗料粒子は潰れやすく、塗料粒子に内包される光輝性顔料の被塗物面への配向が進むということである。但し、塗着後の粘度は、低いことが好ましいが、被塗物と平行に配向した光輝性顔料を、タレや流れにより再配向させない程度に維持する必要がある。
【0056】
実際には、シリコンオイルによる液浸法で塗着直前の噴霧塗料の粒子を捕獲してその粒径を測定し、同時にシリコンオイルの無い部分に塗着して潰れた塗着直後の塗料粒子の直径を測定して、先に測定した粒径で除することで潰れ易さの尺度としての変形率をもとめることができる。
【0057】
すなわち、上記変形率が大きいということは、光輝性顔料を内包している塗料粒子が、塗着と同時に球状からドーム状、皿状へと潰れる変形率が大きいということであり、この潰れる割合が大きいほど、内包される光輝性顔料が被塗物と平行に配向し、塗膜として見た場合にフリップフロップ性が高いということになる。この変形率が小さいと、内包される光輝性顔料は被塗物と平行にならず、フリップフロップ性は低下する。
【0058】
上述したように、メタリックベース塗料に構造粘性を付与することにより、塗料の粘度、更に塗料粒子の塗着後の変形率を大きくし、得られたメタリック塗膜のフリップフロップ性を向上することができる。
【0059】
本発明のメタリックベース塗料による塗装時の塗膜の膜厚は所望の用途により変化するが、多くの場合5〜35μmが有用である。上限を越えると、鮮映性が低下したり、塗装時にムラあるいは流れ等の不具合が起こることがあり、下限を下回ると、下地が隠蔽できず膜切れが発生する。
【0060】
すなわち、本発明の塗膜形成方法で形成するメタリックベース塗膜自身は約100〜180℃の温度で加熱硬化させることができるが、本発明の方法では、クリヤー塗膜とを組合わせ、同時に加熱硬化させる。
【0061】
本発明のメタリック塗膜形成方法では更に、未硬化のメタリックベース塗膜の上に、ウエットオンウエット塗装でクリヤー塗料を塗布し、クリヤー塗膜を形成した後に、積層された塗膜を硬化させる方法が好ましく用いられる。
【0062】
上記方法により得られたメタリック塗膜は、正面方向(塗面に対して直角)からでは白く、かつキラキラとして光輝感にすぐれており、一方、斜め方向からは光輝感が少なく見え、両者の差異が大きい塗膜を形成できる。つまり、見る角度によってメタリック感が顕著に変化するフリップフロップ性が強いメタリック塗膜を形成することができる。
【0063】
但し、上記メタリックベース塗料を水性型塗料で用いる場合には、良好な仕上がりの塗膜を得るために、クリヤー塗料を塗装する前に、それぞれ予め塗膜を60〜100℃で2〜10分間加熱しておくことが望ましい。
【0064】
上記メタリックベース塗膜層を形成した後に塗装されるクリヤー塗膜は、上記メタリックベース塗膜層に含まれる光輝性顔料に起因する凹凸、チカチカ等を平滑にし、保護するために形成される。塗装方法として具体的には、先に述べたμμベル、μベル等の回転霧化式の静電塗装機により塗膜形成することが好ましい。
【0065】
上記クリヤー塗料により形成されるクリヤー塗膜の乾燥膜厚は、一般に10〜70μm程度が好ましく、より好ましくは20〜60μm程度である。上限を越えると、塗装時にワキあるいはタレ等の不具合が起こることもあり、下限を下回ると、下地の凹凸が隠蔽できない。
【0066】
上記クリヤー塗膜の塗装後、メタリックベース塗膜とクリヤー塗膜とからなるメタリック塗膜を硬化させる硬化温度は100〜180℃、好ましくは120〜160℃に設定することで高い架橋度の硬化塗膜を得られる。上限を越えると、塗膜が固く脆くなり、下限未満では硬化が充分でない。硬化時間は硬化温度により変化するが、120℃〜160℃で10〜30分が適当である。
【0067】
本発明で形成される積層塗膜の膜厚は、多くの場合30〜300μmであり、好ましくは50〜250μmである。上限を越えると、冷熱サイクル等の膜物性が低下し、下限を下回ると膜自体の強度が低下する。
【0068】
【実施例】
以下、具体的な実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例により限定されるものではない。尚、以下に於いて「部」とあるのは「重量部」を意味する。
【0069】
製造例
I−1 非架橋重合体微粒子の製造例
(a)分散安定樹脂の製造
攪拌機、温度制御装置、還流冷却器を備えた容器に酢酸ブチル90部を仕込んだ。次に下記組成の溶液
メタクリル酸メチル 38.9部
ステアリルメタクリレート 38.8部
2−ヒドロキシエチルアクリレート 22.3部
アゾビスイソブチロニトリル 5.0部
の内20部を加え、攪拌しながら加熱し、温度を上昇させた。110℃で上記混合溶液の残り85部を3時間で滴下し、次いでアゾビスイソブチロニトリル0.5部と酢酸ブチル10部からなる溶液を30分間で滴下した。反応溶液をさらに2時間攪拌還流させて樹脂への変化率を上昇させた後、反応を終了させ、固形分50%、数平均分子量5600のアクリル樹脂を得た。
【0070】
(b)非架橋重合体微粒子の製造
攪拌機、冷却器、温度制御装置を備えた容器に酢酸ブチル35部、上記の(a)分散安定樹脂の製造で得たアクリル樹脂60部を仕込んだ。次に下記組成の溶液
スチレン 7.0部
メタクリル酸 1.8部
メタクリル酸メチル 12.0部
エチルアクリレート 8.5部
2−ヒドロキシエチルアクリレート 40.7部
アゾビスイソブチロニトリル 1.4部
を100℃で3時間で滴下し、次いでアゾビスイソブチロニトリル0.1部と酢酸ブチル1部からなる溶液を30分間で滴下した。反応溶液をさらに1時間攪拌を続けたところ、固形分60%、粒子径0.18μmのエマルジョンを得た。このエマルジョンを酢酸ブチルで希釈し、粘度300cps(25℃)、粒子径0.18μmの非架橋重合体微粒子含量40重量%の酢酸ブチル分散体を得た。
【0071】
I−2 非架橋重合体微粒子の製造例
攪拌機、冷却器、温度制御装置を備えた容器に酢酸ブチル35部、上記のI−1非架橋重合体粒子の製造例の(a)分散安定樹脂の製造で得たアクリル樹脂100部を仕込んだ。次に下記組成の溶液
メタクリル酸 1.3部
メタクリル酸メチル 18.4部
エチルアクリレート 18.2部
2−ヒドロキシエチルメタクリレート 12.2部
アゾビスイソブチロニトリル 1.4部
を100℃で3時間で滴下し、次いでアゾビスイソブチロニトリル0.1部と酢酸ブチル1部からなる溶液を30分間で滴下した。反応溶液をさらに1時間攪拌を続けたところ、固形分60%、粘度80ps(25℃)、粒子径0.14μmのエマルジョンを得た。
【0072】
II 架橋重合体微粒子の製造例
(a)両イオン性基を有するポリエステル樹脂の製造
攪拌機、窒素導入管、温度制御装置、コンデンサー、デカンターを備えた2Lコルベンに、ビスヒドロキシエチルタウリン134部、ネオペンチルグリコール130部、アゼライン酸236部、無水フタル酸186部およびキシレン27部を仕込み、昇温した。反応により生成する水をキシレンと共沸させ除去した。還流開始より約2時間をかけて温度を190℃にし、カルボン酸相当の酸価が145になるまで攪拌と脱水を継続し、次に140℃まで冷却した。次いで140℃の温度を保持し、「カージュラE−10」(シェル社製のバーサティック酸グリシジルエステル)314部を30分で滴下し、その後2時間攪拌を継続し、反応を終了した。このようにして得られたポリエステル樹脂は、酸価59、ヒドロキシル価90、数平均分子量1054であった。
【0073】
(b)架橋重合体微粒子の製造
攪拌機、冷却器、温度制御装置を備えた1Lの反応容器に、脱イオン水232部、上記のII(a)両イオン性基を有するポリエステル樹脂の製造で得たポリエステル樹脂10部およびジメチルエタノールアミン0.75部を仕込み、攪拌下温度を80℃に保持しながら溶解し、これにアゾビスシアノ吉草酸4.5部を脱イオン水45部とジメチルエタノールアミン4.3部に溶解した液を添加した。次いでメチルメタクリレート130部、スチレン40部およびエチレングリコールジメタクリレート140部からなる混合溶液を60分間を要して滴下した。滴下後、さらにアゾビスシアノ吉草酸1.5部を脱イオン水15部とジメチルエタノールアミン1.4部に溶かしたものを添加して80℃で60分間攪拌を続けたところ、固形分45%、pH7.2、粘度92cps(25℃)、粒子径0.1μmのエマルジョンが得られた。このエマルジョンを共沸を利用してキシロール溶液に置換し、架橋重合体微粒子粒径0.07μmで架橋重合体微粒子含量20重量%のキシロール分散体を得た。
【0074】
III−1 アクリル樹脂の製造
攪拌機、温度制御装置、還流冷却器を備えた容器にキシレン50部、n−ブタノール25部を仕込んだ。次に下記組成の溶液
スチレン 5.0部
メタクリル酸 1.5部
メタクリル酸メチル 20.0部
エチルアクリレート 45.0部
2−ヒドロキシエチルアクリレート 6.6部
ブトキシメチルアクリルアミド 5.0部
プラクセルFM−2 17.6部
(ダイセル化学工業水酸基含有モノマー)
アゾビスイソブチロニトリル 7.0部
の内20部を加え、攪拌しながら加熱し、温度を上昇させた。還流させながら上記混合溶液の残り87.7部を3時間で滴下し、次いでアゾビスイソブチロニトリル0.2部とキシロール8部からなる溶液を30分間で滴下した。反応溶液をさらに1時間攪拌還流させて樹脂への変化率を上昇させた後、反応を終了させ、固形分55%、数平均分子量3800のアクリル樹脂ワニスを得た。
【0075】
III−2 アクリル樹脂の製造
製造例III−1と同様の装置を用いてキシレン55部、n−ブタノール25部を仕込み、次いで下記の組成の溶液
スチレン 5.0部
メタクリル酸 3.6部
メタクリル酸メチル 15.0部
エチルアクリレート 37.4部
2−ヒドロキシエチルアクリレート 9.0部
ブトキシメチルアクリルアミド 10.0部
プラクセルFM−2 20.0部
(ダイセル化学工業社製水酸基含有モノマー)
アゾビスイソブチロニトリル 7.0部
の内20部を加え、攪拌しながら加熱し、温度を上昇させた。還流させながら上記混合溶液の残り87.0部を3時間で滴下し、次いでアゾビスイソブチロニトリル0.2部、キシレン8部からなる溶液を30分間で滴下した。反応溶液をさらに1時間攪拌還流させて反応を終了し、固形分55%、数平均分子量3700のアクリル樹脂ワニスを得た。
【0076】
III−3 アクリル樹脂の製造
製造例III−1と同様の装置を用いてキシレン82部を仕込み、次いで下記の組成の溶液
メタクリル酸 4.5部
エチルアクリレート 26.0部
プラクセルFM−1 64.5部
(ダイセル化学工業社製水酸基含有モノマー)
MSD−100 5.0部
(三井東圧化学社製メチルスチレンダイマー)
アゾビスイソブチロニトリル 13.0部
の内20部を加え、攪拌しながら加熱し、温度を上昇させた。還流させながら上記混合溶液の残り93.0部を3時間で滴下し、次いでアゾビスイソブチロニトリル1.0部、キシレン12部からなる溶液を30分間で滴下した。反応溶液をさらに1時間攪拌還流させたのちに、減圧下で63部の溶剤を溜去して反応を終了した。固形分75%、数平均分子量2000のアクリル樹脂ワニスを得た。
【0077】
IV メタリックベース塗料の製造
ステンレス容器に、製造例III−1のワニス73部、製造例III−3のワニス27部、ユーバン20N60(三井東圧社製メラミン樹脂、固形分60%)50部、製造例IIの架橋重合体微粒子50部、製造例I−1の非架橋重合体微粒子25部、アルペースト91−0562(東洋アルミニウム社製アルミニウム顔料)15部、を秤量し、卓上攪拌機で攪拌してメタリックベース塗料を調整した。
【0078】
実施例1
メタリック塗膜の形成
りん酸亜鉛化成処理を施した厚さ0.8mmのダル鋼板上にカチオン電着塗料「V−50」(日本ペイント社製)を硬化膜厚が約20μmになるように電着塗装し、160℃で30分加熱し硬化させてから、グレー中塗塗料「オルガP−2プライマー」(日本ペイント社製)を硬化膜厚が約25μmになるようにエア−スプレ−塗装し、室温で3分放置してから140℃で30分加熱し硬化させて被塗物とした。
【0079】
先に製造したIVのメタリックベース塗料を、ソルベッソ150(エクソン石油社製炭化水素系溶剤)50部、酢酸エチル25部、トルエン25部からなる希釈シンナーにて、No.4フォードカップで12.5秒/20℃に希釈調整した。
【0080】
溶剤で脱脂処理した上記被塗物板を垂直に立て、メタリックベース塗料を乾燥膜厚で15μmとなるように、1.5分間隔の2ステージで「メタベル」(ランズバーグ社製回転霧化型静電塗装機)により塗装した。室温で4分間放置し、メタリックベース塗膜を作成した。
【0081】
ついで、予め、No.4フォードカップで25秒/20℃に希釈調整されたクリアー塗料「マックフローO−380」(日本ペイント社製)を、ウエットオンウエットにより、クリヤー塗膜の乾燥塗膜が35μmになるように1回塗りで塗装した。ついで室温にて、垂直で7分間放置した後、垂直の状態のままで、140℃の乾燥器で30分間焼付けた。2コート/1ベークによりメタリック塗膜が得られた。
【0082】
比較用メタリックベース単層塗膜の形成
先のメタリック塗膜の形成で用いたのと同様のグレー中塗塗板に、先に製造したIVのメタリックベース塗料のみを、同様の方法で、ベース塗料を2回塗りで乾燥塗膜にして15μmの厚みに塗装し、メタリックベース塗膜を作成した。ついで室温にて垂直で7分間放置した後、垂直のままの状態で、140℃の乾燥器で30分間焼付け、メタリックベース単層塗膜を得た。
【0083】
以下の評価方法に従って、得られたメタリック塗膜の評価を実施した。
<アルミの配向>
2コート/1ベークにより得られたメタリック塗膜と、メタリックベース単層塗膜とにおいてフリップフロップ性を目視により判定し、下記判定基準で評価した。
判断基準
5;かなり優れている
4;やや優れている
3;標準と同等である
2;やや劣る
1;かなり劣る。
【0084】
<色戻り性>
対応するメタリックベース単層塗膜を基準とし、2コート/1ベークにより得られたメタリック塗膜との色差を測定し下記の基準で判定した。
判断基準
5;色差が0.5以下
4;色差が1.0〜0.6
3;色差が1.5〜1.1
2;色差が2.0〜1.6
1;色差が2.1以上
【0085】
<光沢>
2コート/1ベークにより得られたメタリック塗膜を東海理化電機製作所「グロステスタGOT−01」を用いて、得られた塗膜の光沢を測定した。
【0086】
<塗料粘度>
先の製造例IVのメタリックベース塗料を塗着直後の固形分率(70%)に予め調製した後、レオメーターMR−300(レオロジー社製ソリキッドメーター)を用いて、ズリ速度(剪断力)10(1/sec)における粘度を測定すると、150ポイズであり、ズリ速度(剪断力)0.1(1/sec)における粘度は、620ポイズの粘度を有することが判った。
【0087】
<噴霧塗料の粒子径>
シリコンオイルによる液浸法で、噴霧塗料の塗着直前の粒子を捕獲してその粒径を測定した。同時にシリコンオイルの無い部分に塗着して潰れた粒子の直径を測定して、先の測定した粒径で除することで潰れ易さの尺度として変形率をもとめた。
【0088】
架橋重合体微粒子と非架橋重合体微粒子の併用系である製造例IVのメタリックベース塗料の塗料粒子粒径は12.6μmであり、変形率は1.89であることがわかった。
以上の評価結果を表1に示す。
【0089】
実施例2、3
表1に示した配合で実施例1のメタリックベース塗料と同様に製造したメタリックベース塗料を用いて、実施例1と同様にメタリック塗膜とメタリックベース単層塗膜を作成し、同様に評価した。
【0090】
実施例4〜10
表1に示した配合で予め、シャニンブルー5206(大日精化社製青色顔料)及びシンカシャマゼンタBRT−343D(チバガイギー社製赤色顔料)の着色顔料を分散し、実施例1で用いたアルミニウム顔料を、アルミペーストMH−8801(旭化成社製アルミニウム顔料)及びアルミペーストMH−9901(旭化成社製アルミニウム顔料)に置き換えた他は、実施例1のメタリックベース塗料と同様に製造したメタリックベース塗料を用いて、実施例1と同様にメタリック塗膜とメタリックベース単層塗膜を作成し、同様に評価した。
【0091】
比較例1〜4
先の実施例1〜10で用いた架橋重合体微粒子あるいは非架橋重合体微粒子を用いずに、メタリックベース塗料を調整し、実施例1と同様にメタリック塗膜とメタリックベース単層塗膜を作成し、同様に評価した。
【0092】
更に、上記比較例1及び2で用いたメタリックベース塗料の噴霧塗装時のズリ速度(剪断力)10(1/sec)における粘度を、実施例1と同様に測定すると、比較例1の架橋重合体微粒子含有メタリックベース塗料では250ポイズ、比較例2の非架橋重合体微粒子含有メタリックベース塗料では120ポイズであった。塗着時のズリ速度(剪断力)0.1(1/sec)においては、比較例1の架橋重合体微粒子含有メタリックベース塗料では650ポイズ、比較例2の非架橋重合体微粒子含有メタリックベース塗料では120ポイズの粘度を有していた。
【0093】
また更に、実施例1と同様にシリコンオイルによる液浸法により、上記比較例1で用いたメタリックベース塗料の噴霧塗料の粒子を捕獲してその粒径を測定した。同時にシリコンオイルの無い部分に塗着して潰れた粒子の直径を測定して、先の測定した粒径で除することで潰れ易さの尺度として変形率をもとめた。比較例1の架橋重合体微粒子含有メタリックベース塗料は、塗料粒子粒径は13.4μmであり、変形率は1.46であることがわかった。更に比較例2の塗料粒子粒径は12.5μmであり、変形率は1.90であることがわかった。
以上の実施例と比較例との評価結果を表1に示す。
【0094】
【表1】
(*:量は固形分換算値)
【0095】
表1の結果から、本発明に従う実施例1〜10のメタリック塗膜は、非架橋重合体粒子と架橋重合体粒子とを添加することにより、得られたメタリックベース塗膜に含有されるアルミニウム顔料の配向及び色戻り性が向上し、更に2コート/1ベークにより得られたメタリック塗膜の光沢も良好である。
【0096】
すなわち、アルミニウム顔料の微細な戻りを抑制することができるため、塗膜にムラ感が無くなり、フリップフロップ性の高い、光沢感のある塗膜が得られた。しかし、比較例の非架橋重合体粒子の入らない系は、アルミの配向、色戻り性、光沢が不良であった。
【0097】
更に、ズリ速度(剪断力)10(1/sec)における粘度と、ズリ速度(剪断力)0.1(1/sec)における粘度の差より、構造粘性は架橋重合体粒子と非架橋重合体粒子との併用系が最も大きいことがわかる。このことは、噴霧塗装時の塗料粒子の粒径と塗着時の塗料粒子の潰れ易さに顕著に現れ、この変形率は、架橋重合体微粒子と非架橋重合体微粒子の併用系の方が、微粒化と潰れ易さに優れることを意味し、アルミニウム顔料を塗面に平行に配向し易くなっていることを示している。
【0098】
【発明の効果】
本発明において得られたメタリック塗膜は、メタリックベース用塗料に非架橋重合体微粒子と架橋重合体微粒子を上記範囲内で併せて用いると、架橋重合体微粒子単独で用いた系と比較して構造粘性の発現が大きく、メタリックベース塗膜とクリヤー塗膜が混じり合って、色戻りを起こすことなく、更にアルミニウム顔料が該塗面に平行に配向し易い為、見る角度によってメタリック感が顕著に変化するフリップフロップ性が強いメタリック塗膜を工業的に安定に形成することができる。
Claims (3)
- 下塗り塗膜および、必要により中塗り塗膜を形成した基材上に、メタリックベース塗膜及びクリヤー塗膜をウエットオンウエット塗装で塗装し、次いでこれらの積層された塗膜を硬化させる、メタリック塗膜の形成方法であって、
前記メタリックベース塗膜を形成するメタリックベース塗料が、
アクリル樹脂、
メラミン樹脂、
光輝性顔料、
水酸基を有する重合性単量体および酸性基を有する重合性単量体を含むラジカル重合性の単量体を重合させて得られる、水酸基価50〜400、酸価0〜200mgKOH/g、平均粒径(D50)0.05〜10μmである非架橋重合体微粒子、および
両イオン性基を分子内に有する単量体を含む多価アルコールを用いて合成したポリエステル樹脂と、重合開始剤との存在下に、水性媒体中で重合性単量体を乳化重合させることにより得られた、平均粒径(D50)0.01〜1μmである架橋重合体微粒子、
を含有し、且つ、
前記非架橋重合体微粒子と架橋重合体微粒子との固形分重量比が、5/1〜1/5である、
メタリック塗膜の形成方法。 - 請求項1記載の方法に用いられるメタリックベース塗料。
- 請求項1記載の方法により形成されたメタリック塗膜。
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