JP3480883B2 - たばこ香喫味改善剤 - Google Patents
たばこ香喫味改善剤Info
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Description
【発明の詳細な説明】
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、たばこの香喫味改
善剤に関し、更に詳しくは、たばこ製造原料あるいはた
ばこに添加して、喫煙時における原料葉たばこに由来す
る異味異臭を抑制し、優れた香気香味を賦与することの
できる下記式（化２） 【０００２】 【化２】 （式中、Ｒは、シス−３−ヘキセニル基、ベンジル基、
２−フェニルエチル基、４−（３’−オキソブチル）フ
ェニル基、４−アリル−２−メトキシフェニル基を示
す）で表される香料配糖体を有効成分として含有するこ
とを特徴とするたばこ香喫味改善剤に関する。 【０００３】 【従来の技術】原料葉たばこを燃焼させると、それ自身
特有の香喫味を発散させると同時に、葉たばこ特有の刺
激、青臭みまたは生臭みのような異臭、並びに、渋味、
苦味のような嫌味が発生してくる。これらを解決するた
めに、たばこの抽出物又は各種の植物の抽出エキスある
いは種々の香料化合物の一種もしくは二種以上をたばこ
の賦香料としてたばこ葉に添加して使用することは、従
来から行われている。 【０００４】しかしながら、たばこの抽出物は青臭い匂
いを伴った樹脂臭があり、そのままではたばこの賦香料
としてあまり価値が高くないことが知られている［日本
専売公社中央研究所研究報告、第８８巻，第１〜２１頁
(1953 年) ］。また、各種の植物の抽出エキスあるいは
種々の香料化合物からなるたばこの賦香料は、たばこの
製造工程中、例えば、乾燥工程、膨化処理工程のような
工程ではたばこが高温にさらされるため、該賦香料が揮
発または熱分解してしまうので、原料葉たばこに添加し
たたばこ賦香料の大部分が失われ、所期の香喫味改善効
果が期待したほど得られないという問題点があった。 【０００５】 【発明が解決しようとする課題】更に、近年、消費者の
たばこに対する嗜好性が多様化し、それに伴って各種各
様の香気香味を有するたばこが製造されている。これら
の多様化に対して、従来から葉たばこの賦香料としてよ
く使用されているワニリン、メントールなどの公知の香
料化合物あるいは植物エキスだけからでは、これらの多
様化の需要には対応しきれず、従来の賦香料に代わる新
規な賦香材料の開発が強く望まれている。 【０００６】一方、たばこの製造工程並びに保存期間中
に安定で喫煙の際に十分な香喫味改善効果を発揮させる
目的で、香料配糖体を配合したたばこ香喫味改良剤がい
くつか提案されている。例えば、香料配糖体として、ｌ
−メントール又はボルネオールのテルペングルコシドを
含むことを特徴とするたばこ香喫味改良剤（特開平５−
２１９９２９号公報参照）によれば、喫煙時における香
喫味はある程度の改善は認められるものの、テルペン類
が熱に不安定であるため、喫煙時の熱分解により分解臭
などの異味異臭の発生を伴い、これがために多様化した
たばこに対する喫煙者の嗜好性を十分満足させることは
できず、更に改善されたたばこの香喫味改善剤の出現が
待たれている。 【０００７】 【課題を解決するための手段】そこで本発明者らは、上
述の課題を解決するため、鋭意研究を行った。その結
果、前記式（化１）化合物は不揮発性で、たばこの製造
工程及び保存期間中はもとより高温条件下でも安定であ
るが、喫煙時には香料配糖体が熱分解し、熱分解により
生成する香料化合物がたばこの香喫味改善に優れた効果
を発揮し、たばこらしい香気香味がすっきり出て、たば
こ葉が本来有している青臭さ、渋味、辛味が減少してや
わらかいふくらみが増し、優れた香気香味改善効果を有
することを見出して本発明を完成した。即ち、本発明
は、下記式（化３） 【化３】 （式中、Ｒは、シス−３−ヘキセニル基、ベンジル基、
２−フェニルエチル基、４−（３’−オキソブチル）フ
ェニル基、４−アリル−２−メトキシフェニル基を示
す）で表される香料配糖体を有効成分として含有するこ
とを特徴とするたばこ香喫味改善剤である。従って、本
発明の目的は、従来たばこに使用されたことのない香料
配糖体をたばこに添加し、喫煙時に熱分解して発生する
香料化合物により、従来の香喫味改善剤では得ることの
できなかった青臭さ、渋味、辛味を減少させ、ソフトで
ふくらみを増すことのできる優れた特性を有する香喫味
改善剤を提供することにある。 【０００８】 【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の前記式（化１）に包含される香料配糖体（以
下、グルコシド類と称することもある）としては、Ｒが
シス−３−ヘキセニル基のシス−３−ヘキセニルグルコ
シド、Ｒがベンジル基のベンジルグルコシド、Ｒが２−
フェニルエチル基の２−フェニルエチルグルコシド、Ｒ
が４−（３’−オキソブチル）フェニル基のラズベリー
ケトングルコシド、Ｒが４−アリル−２−メトキシフェ
ニル基のオイゲノールグルコシドを挙げることができ
る。これらのグルコシド類は、例えば、ラズベリー果実
抽出物（Phytochemistry 29(12) 3853〜3858,1990 ）の
成分として従来の文献に記載された化合物である。 【０００９】本発明によれば、前記式（化１）の香料配
糖体の製造は、公知の方法でグルコースと対応するアル
コール類を反応させることにより、容易に合成すること
ができる。例えばグルコ−ス１重量部に対して約２〜約
２０重量部の上記アルコ−ル類とを約０．１〜約１０重
量部の塩酸、硫酸、酸性イオン交換樹脂などの酸類の存
在下に、約−２０℃〜約１００℃程度の温度範囲で約
０．５〜約２４時間反応させ、必要に応じて酸を中和ま
たは濾過により除き、過剰のアルコール類を回収するこ
とにより容易に合成できる。更に、カラムクロマトなど
の手段を用いてこれらの配糖体を精製することもでき
る。この他、従来公知のＫｏｅｎｉｇｓ−Ｋｎｏｒｒ反
応を用いることにより、合成することも可能である［Ｃ
ｈｅｍ．Ｂｅｒ．，３４ ９５７（１９０１）］。 【００１０】上述のようにして得ることのできる本発明
の式（化１）の化合物は、無色・無臭の固体物質である
が、喫煙時に熱により分解して香料化合物を発生するこ
とにより、たばこにフローラル様（ローズ様）、ハネー
様、スパイス様の香気と甘臭甘味を付与し、更にたば
こ、特にバーレーたばこ様の香気香味特性を付与するこ
とができる。即ち、式（化１）の香料配糖体を単独或い
は他のたばこ用香料組成物と共に葉巻煙草、パイプたば
こなどに添加することにより、各種のたばこ葉の喫煙時
における青臭み、生臭み、薬品臭などの異臭、セルロー
ス分解臭などの異臭、渋味、苦味、辛味、いやみなどの
異味および鼻、喉、口などに対する刺激、えぐみ、喉ご
し、煙のきめの粗さが抑えられ、たばこらしい本来の香
気香味が素直にでて香喫味がやわらかくふくらみ、煙量
感を増すなど多くの優れた効果を有することが官能検査
の結果明らかに認められた。 【００１１】また、本発明のたばこ香喫味改善剤をフイ
ルターなどたばこ製造用材料に添加することにより、た
ばこの主流煙の異味異臭、刺激を抑制し、たばこらしい
香気香味特にスモーク臭が増強されてスムーズでふくら
みが増しソフト感がでる。さらに、中骨、再生たばこ、
人工たばこなどに添加することにより、上記と同様な効
果がでて、煙量感豊かな香喫味が改善されたたばこ製品
を得ることができる。 【００１２】本発明によって得られるたばこ香喫味改善
剤の添加方法、時期および手段には特別の制限はなく、
適当な時期に適宜な手段によって添加することができる
が、一般的には、式（化１）の香料配糖体を、通常使用
される他の香料化合物と同様に、エタノールのような有
機溶媒または水に溶かして香喫味改善剤とした後、水溶
性香料又はアルコール溶性香料と同じように通常の製造
工程中に添加することができる。また、本発明における
香料配糖体の添加量は、格別制限されるものではなく、
原料たばこ又はたばこフイルターなどに対して、約０．
００００１〜約０．１重量％程度の添加量がしばしば採
用される。 【００１３】 【実施例】以下、実施例により本発明の態様を更に具体
的に説明する。 【００１４】（製造例１） シス−３−ヘキセニルグル
コシドの合成。 Ｄ−グルコース１重量部、シス−３−ヘキセノール６重
量部、強酸性イオン交換樹脂０．２重量部を仕込み、８
０〜８５℃で８時間反応させる。反応液を冷却した後セ
ライト濾過し、母液より過剰のシス−３−ヘキセノール
を減圧下に回収する。得られた粗生成物に３倍量の水を
加えた後、トルエンで洗浄し、不純物を除去する。トル
エンを回収して粗製のシス−３−ヘキセニルグルコシド
を得た（収率：６３．５％）。 【００１５】（製造例２） ベンジルグルコシド及び２
−フェニルエチルグルコシドの合成。 製造例１のシス−３−ヘキセノールの代わりにベンジル
アルコール、２−フェニルエチルアルコールを用いた以
外は、製造例１と同様の方法により対応するベンジルグ
ルコシド及び２−フェニルエチルグルコシドを合成し
た。 【００１６】（製造例３） ラズベリーケトングルコシ
ドの合成。 ラズベリーケトン１重量部、ペンタアセチルグルコース
２．５重量部、トルエン１０重量部を仕込み、ＢＦ3 ・
エーテル錯体０．３重量部を２０〜２５℃で加える。室
温で１６時間撹拌後、水中に注ぎトルエンで抽出する。
油層を５％の苛性ソーダ水溶液、次いで５％食塩水で洗
浄し、トルエンを回収する。得られた残液１重量部に対
し、３重量部のメタノールと０．０５重量部の２８％ナ
トリウムメトキシド溶液を加え、室温下に１時間撹拌す
る。酢酸で中和後、溶液を回収し、ラズベリーケトング
ルコシドを得た。 【００１７】（製造例４） オイゲノールグルコシドの
合成。 製造例３のラズベリーケトンの代わりにオイゲノールを
用いた以外は、製造例３と同様の方法によりオイゲノー
ルグルコシドを合成した。 【００１８】（実施例１）製造例１で得られたシス−３
−ヘキセニルグルコシドを、“しんせい”銘柄刻上品に
０．０００５重量％になるようにエタノールに溶解して
注射器で注入し、実施例１品とした。実施例１品とシス
−３−ヘキセニルグルコシドを添加していない対照品
を、官能検査員２０名よりなる専門パネルによる喫煙時
における官能検査により香気香味を比較した結果、実施
例１品の香気香味は対照品に比べて青臭さ、生臭さ、渋
味、苦味、辛味が著しく減少して、たばこらしい香味、
煙量感、ボデー感が著しく増加したと全員が認めた。 【００１９】（実施例２〜実施例５）実施例１で使用し
たシス−３−ヘキセニルグルコシドの代わりにベンジル
グルコシド（実施例品２）、２−フェニルエチルグルコ
シド（実施例品３）、ラズベリーケトングルコシド（実
施例品４）、オイゲノールグルコシド（実施例品５）を
各々単独で実施例１と全く同様にして添加したたばこを
用いて、実施例１と同様に香気香味の比較を行った結
果、官能検査員の評価は下記の（表１）に示す通りであ
った。 【００２０】 【表１】【００２１】表中の数字は、実施例品または対照品の香
喫味が各々相手方に比較して、青臭さ、生臭さ、渋味、
苦味、辛味が減少して、たばこらしい香気香味、煙量
感、ボデー感増加の点で優れていると判定した専門パネ
ラーの人数を示す。（表１）から明らかなように本発明
における香料配糖体を有効成分として含有する香喫味改
善剤は、たばこ原料に起因するたばこ葉の青臭さ、生臭
さ、渋味、苦味、辛味が著しく減少して、たばこらしい
香味、煙量感、ボデー感が著しく増加し、たばこ葉の香
喫味改善に優れた効果を有することが確認された。 【００２２】 【発明の効果】前記式（化１）で表される香料配糖体を
有効成分として含有する本発明の香喫味改善剤をたばこ
製造原料あるいはたばこに添加すると、たばこの喫煙時
における原料葉たばこに由来する異味異臭を抑制し、た
ばこ葉の香喫味を改善することができる。
善剤に関し、更に詳しくは、たばこ製造原料あるいはた
ばこに添加して、喫煙時における原料葉たばこに由来す
る異味異臭を抑制し、優れた香気香味を賦与することの
できる下記式（化２） 【０００２】 【化２】 （式中、Ｒは、シス−３−ヘキセニル基、ベンジル基、
２−フェニルエチル基、４−（３’−オキソブチル）フ
ェニル基、４−アリル−２−メトキシフェニル基を示
す）で表される香料配糖体を有効成分として含有するこ
とを特徴とするたばこ香喫味改善剤に関する。 【０００３】 【従来の技術】原料葉たばこを燃焼させると、それ自身
特有の香喫味を発散させると同時に、葉たばこ特有の刺
激、青臭みまたは生臭みのような異臭、並びに、渋味、
苦味のような嫌味が発生してくる。これらを解決するた
めに、たばこの抽出物又は各種の植物の抽出エキスある
いは種々の香料化合物の一種もしくは二種以上をたばこ
の賦香料としてたばこ葉に添加して使用することは、従
来から行われている。 【０００４】しかしながら、たばこの抽出物は青臭い匂
いを伴った樹脂臭があり、そのままではたばこの賦香料
としてあまり価値が高くないことが知られている［日本
専売公社中央研究所研究報告、第８８巻，第１〜２１頁
(1953 年) ］。また、各種の植物の抽出エキスあるいは
種々の香料化合物からなるたばこの賦香料は、たばこの
製造工程中、例えば、乾燥工程、膨化処理工程のような
工程ではたばこが高温にさらされるため、該賦香料が揮
発または熱分解してしまうので、原料葉たばこに添加し
たたばこ賦香料の大部分が失われ、所期の香喫味改善効
果が期待したほど得られないという問題点があった。 【０００５】 【発明が解決しようとする課題】更に、近年、消費者の
たばこに対する嗜好性が多様化し、それに伴って各種各
様の香気香味を有するたばこが製造されている。これら
の多様化に対して、従来から葉たばこの賦香料としてよ
く使用されているワニリン、メントールなどの公知の香
料化合物あるいは植物エキスだけからでは、これらの多
様化の需要には対応しきれず、従来の賦香料に代わる新
規な賦香材料の開発が強く望まれている。 【０００６】一方、たばこの製造工程並びに保存期間中
に安定で喫煙の際に十分な香喫味改善効果を発揮させる
目的で、香料配糖体を配合したたばこ香喫味改良剤がい
くつか提案されている。例えば、香料配糖体として、ｌ
−メントール又はボルネオールのテルペングルコシドを
含むことを特徴とするたばこ香喫味改良剤（特開平５−
２１９９２９号公報参照）によれば、喫煙時における香
喫味はある程度の改善は認められるものの、テルペン類
が熱に不安定であるため、喫煙時の熱分解により分解臭
などの異味異臭の発生を伴い、これがために多様化した
たばこに対する喫煙者の嗜好性を十分満足させることは
できず、更に改善されたたばこの香喫味改善剤の出現が
待たれている。 【０００７】 【課題を解決するための手段】そこで本発明者らは、上
述の課題を解決するため、鋭意研究を行った。その結
果、前記式（化１）化合物は不揮発性で、たばこの製造
工程及び保存期間中はもとより高温条件下でも安定であ
るが、喫煙時には香料配糖体が熱分解し、熱分解により
生成する香料化合物がたばこの香喫味改善に優れた効果
を発揮し、たばこらしい香気香味がすっきり出て、たば
こ葉が本来有している青臭さ、渋味、辛味が減少してや
わらかいふくらみが増し、優れた香気香味改善効果を有
することを見出して本発明を完成した。即ち、本発明
は、下記式（化３） 【化３】 （式中、Ｒは、シス−３−ヘキセニル基、ベンジル基、
２−フェニルエチル基、４−（３’−オキソブチル）フ
ェニル基、４−アリル−２−メトキシフェニル基を示
す）で表される香料配糖体を有効成分として含有するこ
とを特徴とするたばこ香喫味改善剤である。従って、本
発明の目的は、従来たばこに使用されたことのない香料
配糖体をたばこに添加し、喫煙時に熱分解して発生する
香料化合物により、従来の香喫味改善剤では得ることの
できなかった青臭さ、渋味、辛味を減少させ、ソフトで
ふくらみを増すことのできる優れた特性を有する香喫味
改善剤を提供することにある。 【０００８】 【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の前記式（化１）に包含される香料配糖体（以
下、グルコシド類と称することもある）としては、Ｒが
シス−３−ヘキセニル基のシス−３−ヘキセニルグルコ
シド、Ｒがベンジル基のベンジルグルコシド、Ｒが２−
フェニルエチル基の２−フェニルエチルグルコシド、Ｒ
が４−（３’−オキソブチル）フェニル基のラズベリー
ケトングルコシド、Ｒが４−アリル−２−メトキシフェ
ニル基のオイゲノールグルコシドを挙げることができ
る。これらのグルコシド類は、例えば、ラズベリー果実
抽出物（Phytochemistry 29(12) 3853〜3858,1990 ）の
成分として従来の文献に記載された化合物である。 【０００９】本発明によれば、前記式（化１）の香料配
糖体の製造は、公知の方法でグルコースと対応するアル
コール類を反応させることにより、容易に合成すること
ができる。例えばグルコ−ス１重量部に対して約２〜約
２０重量部の上記アルコ−ル類とを約０．１〜約１０重
量部の塩酸、硫酸、酸性イオン交換樹脂などの酸類の存
在下に、約−２０℃〜約１００℃程度の温度範囲で約
０．５〜約２４時間反応させ、必要に応じて酸を中和ま
たは濾過により除き、過剰のアルコール類を回収するこ
とにより容易に合成できる。更に、カラムクロマトなど
の手段を用いてこれらの配糖体を精製することもでき
る。この他、従来公知のＫｏｅｎｉｇｓ−Ｋｎｏｒｒ反
応を用いることにより、合成することも可能である［Ｃ
ｈｅｍ．Ｂｅｒ．，３４ ９５７（１９０１）］。 【００１０】上述のようにして得ることのできる本発明
の式（化１）の化合物は、無色・無臭の固体物質である
が、喫煙時に熱により分解して香料化合物を発生するこ
とにより、たばこにフローラル様（ローズ様）、ハネー
様、スパイス様の香気と甘臭甘味を付与し、更にたば
こ、特にバーレーたばこ様の香気香味特性を付与するこ
とができる。即ち、式（化１）の香料配糖体を単独或い
は他のたばこ用香料組成物と共に葉巻煙草、パイプたば
こなどに添加することにより、各種のたばこ葉の喫煙時
における青臭み、生臭み、薬品臭などの異臭、セルロー
ス分解臭などの異臭、渋味、苦味、辛味、いやみなどの
異味および鼻、喉、口などに対する刺激、えぐみ、喉ご
し、煙のきめの粗さが抑えられ、たばこらしい本来の香
気香味が素直にでて香喫味がやわらかくふくらみ、煙量
感を増すなど多くの優れた効果を有することが官能検査
の結果明らかに認められた。 【００１１】また、本発明のたばこ香喫味改善剤をフイ
ルターなどたばこ製造用材料に添加することにより、た
ばこの主流煙の異味異臭、刺激を抑制し、たばこらしい
香気香味特にスモーク臭が増強されてスムーズでふくら
みが増しソフト感がでる。さらに、中骨、再生たばこ、
人工たばこなどに添加することにより、上記と同様な効
果がでて、煙量感豊かな香喫味が改善されたたばこ製品
を得ることができる。 【００１２】本発明によって得られるたばこ香喫味改善
剤の添加方法、時期および手段には特別の制限はなく、
適当な時期に適宜な手段によって添加することができる
が、一般的には、式（化１）の香料配糖体を、通常使用
される他の香料化合物と同様に、エタノールのような有
機溶媒または水に溶かして香喫味改善剤とした後、水溶
性香料又はアルコール溶性香料と同じように通常の製造
工程中に添加することができる。また、本発明における
香料配糖体の添加量は、格別制限されるものではなく、
原料たばこ又はたばこフイルターなどに対して、約０．
００００１〜約０．１重量％程度の添加量がしばしば採
用される。 【００１３】 【実施例】以下、実施例により本発明の態様を更に具体
的に説明する。 【００１４】（製造例１） シス−３−ヘキセニルグル
コシドの合成。 Ｄ−グルコース１重量部、シス−３−ヘキセノール６重
量部、強酸性イオン交換樹脂０．２重量部を仕込み、８
０〜８５℃で８時間反応させる。反応液を冷却した後セ
ライト濾過し、母液より過剰のシス−３−ヘキセノール
を減圧下に回収する。得られた粗生成物に３倍量の水を
加えた後、トルエンで洗浄し、不純物を除去する。トル
エンを回収して粗製のシス−３−ヘキセニルグルコシド
を得た（収率：６３．５％）。 【００１５】（製造例２） ベンジルグルコシド及び２
−フェニルエチルグルコシドの合成。 製造例１のシス−３−ヘキセノールの代わりにベンジル
アルコール、２−フェニルエチルアルコールを用いた以
外は、製造例１と同様の方法により対応するベンジルグ
ルコシド及び２−フェニルエチルグルコシドを合成し
た。 【００１６】（製造例３） ラズベリーケトングルコシ
ドの合成。 ラズベリーケトン１重量部、ペンタアセチルグルコース
２．５重量部、トルエン１０重量部を仕込み、ＢＦ3 ・
エーテル錯体０．３重量部を２０〜２５℃で加える。室
温で１６時間撹拌後、水中に注ぎトルエンで抽出する。
油層を５％の苛性ソーダ水溶液、次いで５％食塩水で洗
浄し、トルエンを回収する。得られた残液１重量部に対
し、３重量部のメタノールと０．０５重量部の２８％ナ
トリウムメトキシド溶液を加え、室温下に１時間撹拌す
る。酢酸で中和後、溶液を回収し、ラズベリーケトング
ルコシドを得た。 【００１７】（製造例４） オイゲノールグルコシドの
合成。 製造例３のラズベリーケトンの代わりにオイゲノールを
用いた以外は、製造例３と同様の方法によりオイゲノー
ルグルコシドを合成した。 【００１８】（実施例１）製造例１で得られたシス−３
−ヘキセニルグルコシドを、“しんせい”銘柄刻上品に
０．０００５重量％になるようにエタノールに溶解して
注射器で注入し、実施例１品とした。実施例１品とシス
−３−ヘキセニルグルコシドを添加していない対照品
を、官能検査員２０名よりなる専門パネルによる喫煙時
における官能検査により香気香味を比較した結果、実施
例１品の香気香味は対照品に比べて青臭さ、生臭さ、渋
味、苦味、辛味が著しく減少して、たばこらしい香味、
煙量感、ボデー感が著しく増加したと全員が認めた。 【００１９】（実施例２〜実施例５）実施例１で使用し
たシス−３−ヘキセニルグルコシドの代わりにベンジル
グルコシド（実施例品２）、２−フェニルエチルグルコ
シド（実施例品３）、ラズベリーケトングルコシド（実
施例品４）、オイゲノールグルコシド（実施例品５）を
各々単独で実施例１と全く同様にして添加したたばこを
用いて、実施例１と同様に香気香味の比較を行った結
果、官能検査員の評価は下記の（表１）に示す通りであ
った。 【００２０】 【表１】【００２１】表中の数字は、実施例品または対照品の香
喫味が各々相手方に比較して、青臭さ、生臭さ、渋味、
苦味、辛味が減少して、たばこらしい香気香味、煙量
感、ボデー感増加の点で優れていると判定した専門パネ
ラーの人数を示す。（表１）から明らかなように本発明
における香料配糖体を有効成分として含有する香喫味改
善剤は、たばこ原料に起因するたばこ葉の青臭さ、生臭
さ、渋味、苦味、辛味が著しく減少して、たばこらしい
香味、煙量感、ボデー感が著しく増加し、たばこ葉の香
喫味改善に優れた効果を有することが確認された。 【００２２】 【発明の効果】前記式（化１）で表される香料配糖体を
有効成分として含有する本発明の香喫味改善剤をたばこ
製造原料あるいはたばこに添加すると、たばこの喫煙時
における原料葉たばこに由来する異味異臭を抑制し、た
ばこ葉の香喫味を改善することができる。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(72)発明者 伊藤 雅通
神奈川県川崎市中原区苅宿335 長谷川
香料株式会社技術研究所内
(72)発明者 立原 徹
神奈川県川崎市中原区苅宿335 長谷川
香料株式会社技術研究所内
(56)参考文献 特開 昭57−45198（ＪＰ，Ａ)
特開 平10−52297（ＪＰ，Ａ)
特開 昭57−212197（ＪＰ，Ａ)
特開 平５−219929（ＪＰ，Ａ)
(58)調査した分野(Int.Cl.7，ＤＢ名)
A24B 15/40
A24B 3/12
C07H 15/04
C11B 9/00
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項１】下記式（化１） 【化１】 （式中、Ｒは、シス−３−ヘキセニル基、ベンジル基、
２−フェニルエチル基、４−（３’−オキソブチル）フ
ェニル基、４−アリル−２−メトキシフェニル基を示
す）で表される香料配糖体を有効成分として含有するこ
とを特徴とするたばこ香喫味改善剤。
Priority Applications (1)
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|---|---|---|---|
| JP20478296A JP3480883B2 (ja) | 1996-08-02 | 1996-08-02 | たばこ香喫味改善剤 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP20478296A JP3480883B2 (ja) | 1996-08-02 | 1996-08-02 | たばこ香喫味改善剤 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH1042846A JPH1042846A (ja) | 1998-02-17 |
| JP3480883B2 true JP3480883B2 (ja) | 2003-12-22 |
Family
ID=16496264
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP20478296A Expired - Fee Related JP3480883B2 (ja) | 1996-08-02 | 1996-08-02 | たばこ香喫味改善剤 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP3480883B2 (ja) |
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2013523113A (ja) * | 2010-03-26 | 2013-06-17 | フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム | アルカノイル化グリコシドを含む喫煙物品及び製作方法 |
Families Citing this family (3)
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| CN103305342B (zh) * | 2013-06-28 | 2014-11-26 | 湖北中烟工业有限责任公司 | 一种用于膨胀烟丝的加料香精 |
| CN103833798B (zh) * | 2013-12-03 | 2016-03-30 | 贵州省烟草科学研究院 | 树脂串联层析柱分离烟草多种类糖苷的方法 |
-
1996
- 1996-08-02 JP JP20478296A patent/JP3480883B2/ja not_active Expired - Fee Related
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|---|---|---|---|---|
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| JPH1042846A (ja) | 1998-02-17 |
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