JP3478684B2 - ガラス回路基板 - Google Patents

ガラス回路基板

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JP3478684B2 JP28407396A JP28407396A JP3478684B2 JP 3478684 B2 JP3478684 B2 JP 3478684B2 JP 28407396 A JP28407396 A JP 28407396A JP 28407396 A JP28407396 A JP 28407396A JP 3478684 B2 JP3478684 B2 JP 3478684B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ガラスを湿式めっ
きにより金属化することで、配線、電極などを形成した
ガラス回路基板に関するものであり、さらに詳しく言え
ば、本発明はガラス基板表面の平滑さを保ったままで、
湿式めっきにより密着性良く、配線、電極などを形成し
たガラス回路基板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より絶縁性基体であるガラスの湿式
めっきによる金属化には、以下に示される方法が知られ
ている。すなわち、ガラスの表面を脱脂洗浄後に、エッ
チングにて表面を粗化し、これをSn・Pdコロイド溶
液に浸漬して粗面にコロイド粒子を捕捉させ、次に、ス
ズ・パラジウムコロイドのスズ保護膜を酸により除去
し、めっきのためのPd金属核を得る。
【0003】このような処理を施した基体を無電解ニッ
ケル・リンめっき(以下Ni−Pと記載)液中に浸漬す
ることにより、上記のPd金属核を触媒核としてNi−
Pめっき膜による導電性金属層が基体表面に形成され
る。
【0004】公知例としては、ガラスを10%のフッ酸
にて粗化した後にPd核を付与し、しかる後に無電解N
i−Pめっきを形成する研究論文が本間らによって発表
されている(表面技術vol.44,No.10,19
93)。
【0005】めっきにより絶縁性基体上に金属配線パタ
ーンを形成する場合には、通常、上記Ni−Pめっき膜
を絶縁性基体表面に1μm程度付与した後に、その上に
Cuめっき等の低抵抗金属層を数μm〜数十μm積層す
る。
【0006】この場合、Ni−Pめっき被膜は、絶縁性
基体表面へ低抵抗金属めっき膜を積層するための下地層
的な役割を果たしている。
【0007】上記に示した金属化方法以外にも、絶縁性
基体表面と親和性を有する官能基を一端に持ち、他方に
アミノ基を持ったアミノシランカップリング剤等を基体
表面に塗布後、塩化パラジウム水溶液に接触させて、P
dイオンをアミノ基に捕捉させ、このPdイオンを次亜
リン酸ナトリウム等の還元剤で金属Pdに還元する方法
が知られている。このようにして形成した触媒核上に無
電解ニッケルめっき等を利用して金属層を形成すること
ができる。
【0008】他の公知例としては、ZnO、WO3 のい
ずれかからなる半導体層を絶縁体上に形成後、この上に
Pd、Pt、Au、Ag等を析出させ、しかる後にCu
等の導電性層を積層するという絶縁体への導電性層形成
法が、藤嶋らによって出願されている(特開平6−61
619号公報、特開平4−17211号公報)。
【0009】また、これらの絶縁性基体上に所望の金属
パターンを形成しようとする場合には、まず、金属基体
全面にめっきにより必要とする金属層を形成し、次い
で、フォトレジストプロセス等を用いて必要な部分の金
属層を保護し、未保護の部分をエッチャントによって除
去するサブトラクティブ法が知られている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
ガラス基板上に形成されためっき膜には、以下のような
問題があった。
【0011】すなわち、ガラス表面に密着性良く金属層
をめっきしようとする場合、従来技術では、表面をフッ
酸などで粗面化処理する必要があった。次に、塩化第1
スズ(SnCl2 )を0.1g/l程度含有するセンシ
タイジング溶液に粗化処理を施した基板を浸漬する感受
性化処理を施し、粗化面にSn2+イオンを捕捉させる。
【0012】この基板をアクチベーション溶液(塩化パ
ラジウムを0.1g/l程度含有)に浸漬して、捕捉し
たSn2+イオンとPd2+イオンを置換し、無電解めっき
のためのPd接触核を形成する。この前処理方法の他に
も、pH9〜13において、Pdの有機錯体化合物をガ
ラス基板表面に吸着させるアルカリキャタリスト法など
が知られている。
【0013】次に、この触媒核上に無電解Ni−Pめっ
きを0.5(μm)程度析出させ、さらに、Cuめっき
を必要な厚さ(通常は3〜20μm程度)まで積層し、
その上層にCuの酸化防止層としてNi及びAuめっき
を施す。このような構成を持った回路基板において、無
電解Ni−Pめっき層とガラス基板との間の密着力は、
複雑な形状を持つガラス粗化面にめっき層が入り込むこ
とによるアンカー効果によって発現されている。
【0014】ところが、回路パターンとして使用可能な
密着力をアンカー効果によって発現させようとすると、
ガラスの平均表面粗さRaが0.2μm前後になるまで
粗化する必要が生じ、透明・平滑というガラス基板が本
来具備している特性が損なわれてしまうばかりか、表面
全体にマイクロクラックが発生し易くなり基板の強度低
下を招くことが多く、さらに、電子デバイスなどに必要
な細線パターンの精度が得られにくくなるばかりか、細
線をパタニングする際に断線する確率も高くなるという
問題点がある。
【0015】また、Ni−Pめっき膜は加熱温度が10
0℃を越えたあたりからリン化ニッケルの生成による結
晶化の影響を受け初め、400℃前後ではNi3 Pに転
化してPd触媒核とNiめっき層間に歪みが生じ、密着
性が劣化するという問題がある。
【0016】基体表面の平滑さを損なわないように、カ
ップリング剤をガラス基板とめっき層の間に付与する方
法もあるが、カップリング剤の分解温度以下でしかアニ
ール処理ができず、しかも、使用雰囲気温度もカップリ
ング剤の分解温度以下に制限されてしまうという問題点
がある。
【0017】さらに、ガラス上へ金属ペーストを印刷す
ることにより回路パターンを形成する方法もあるが、パ
タニングした金属ペーストは高温で焼成する必要があ
り、その際に基板の変形が発生しやすく、耐熱性の高い
結晶性ガラスしか使用できずコストアップ要因となるば
かりか、印刷ではパターン表面の平坦性も得られがたい
という欠点がある。
【0018】ここで、特開平6−61619号公報、特
開平4−17211号公報に開示されている方法を利用
すると、ガラス基板上に密着性良くめっき膜を積層する
ことが可能であるが、ZnOまたはWO3 膜形成プロセ
スが必要で、成膜コストが高くなるという問題点があ
り、しかも、ZnOまたはWO3 の成膜プロセスに高温
が必要なため、青板硝子のような低融点ガラス基板を使
用すると、ガラス基板の反りや歪み等の問題が生じてし
まう。
【0019】[発明の目的]本発明は、以上のような問
題点に鑑み出願されたものであり、ガラス表面に特殊な
下引き層を形成せずに、しかも、ガラス表面の平滑さを
損なわず、さらには、外部からの熱的影響に対しても密
着性の劣化が少ない、湿式めっきによる配線をガラス上
に形成するための構成を提案するものである。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するため、以下の手段を有する。
【0021】 ***(図1、実施例1〜3)*** [1] ガラス基板上に形成された金属Pdからなる触
媒核層と、前記触媒核層上に形成された、リンの含有量
が3.0〜10.0(wt%)である第1のPd−Pめ
っき層(単に、a−Pdめっき層ともいう。)と、を有
することを特徴とするガラス回路基板。
【0022】 [2] 前記第1のPd−Pめっき層の
膜厚は、0.015〜0.500μmであることを特徴
とするガラス回路基板。
【0023】
【0024】 ***(図2〜7、実施例〜15)
*** [] 前記第1のPd−Pめっき層上に、Cu、N
i、Ni−P、Ag、Pd、Pd−P、Au、Ptから
選ばれた1種の金属または2種以上の合金からなるめっ
き層を有することを特徴とするガラス回路基板。
【0025】 ***(図2、実施例4)*** [前記第1のPd−Pめっき層上に形成された
uめっき層と、該Cuめっき層上に形成されたNiめっ
き層と、該Niめっき層上に形成されたAuめっき層
と、を有することを特徴とするガラス回路基板。
【0026】 ***(図3、実施例5)*** [前記第1のPd−Pめっき層上に形成された
gめっき層と、該Agめっき層上に形成されたAuめっ
き層と、を有することを特徴とするガラス回路基板。
【0027】***(図4、実施例6、7、8)*** [前記第1のPd−Pめっき層上に、リンを0よ
りも多く1(wt%)よりも少なく含有する第2のPd
−Pめっき層(単に、c−Pdめっき層ともいう。)
と、を有することを特徴とするガラス回路基板。
【0028】 ***(図5、実施例9、15)***[7] 前記第2のPd−Pめっき層上に、Cu、N
i、Ni−P、Ag、Pd、Pd −P、Au、Ptから
選ばれた1種の金属または2種以上の合金からなるめっ
き層を有することを特徴とするガラス回路基板。 [8]前記第2のPd−Pめっき層上に形成されたCu
めっき層と、該Cuめっき層上に形成されたNiめっき
層と、該Niめっき層上に形成されたAuめっき層と、
を有することを特徴とするガラス回路基板。
【0029】 ***(図6、実施例10)*** [9]前記第2のPd−Pめっき層上に形成されたAg
めっき層と、該Agめっき層上に形成されたAuめっき
層と、を有することを特徴とするガラス回路基板。
【0030】
【0031】 [10前記第2のPd−Pめっき層の
膜厚が、0.015〜0.250μmであることを特徴
とするガラス回路基板。
【0032】 [11前記ガラス基板の平均表面粗
さRaが、0.0010〜0.10μmであることを特
徴とするガラス回路基板。
【0033】
【0034】
【0035】
【0036】***** 本発明は、ガラス基板上に付与したパラジウムを主体と
する触媒核上の第1層として、一定量のPを含有するa
−Pdめっき層を適当な膜厚に成膜することで、ガラス
基板に極端な粗化処理を施さなくても、充分な密着性を
持つめっき層が形成できる。
【0037】しかも、本発明によれば、このa−Pd層
上に結晶性に近いc−Pdめっき層を積層することで、
Pd積層膜中におけるPの含有量を傾斜的に変化させ、
平滑なガラス基板上に細線をパタニングする場合にも、
膜安定性、密着性、解像性などが優れた湿式めっきによ
る配線・電極を有する金属化ガラス基板を得ることがで
きる。
【0038】本発明によれば、平均表面粗さRaが0.
0010〜0.10(μm)好ましくは0.0012〜
0.050(μm)であるガラス基板上の全面、或い
は、一部に、金属Pdを主体とする触媒核を形成し、さ
らにその触媒核上に、膜厚が0.015〜0.50(μ
m)、好ましくは0.020〜0.40(μm)であ
り、リンの含有量が3.0〜10.0(wt%)、好ま
しくは3.5〜9.0(wt%)であるa−Pdめっき
層を形成することで、ガラス表面の平滑さを損なわず、
外部からの熱的影響に対しても密着性の劣化が少い、め
っき配線を有するガラス回路基板が得られる。
【0039】このとき、触媒核付与工程に先立って行わ
れる前処理工程は、ガラス基板の表面にマイクロクラッ
クを生じさせないような薬品、及び、条件にて行う必要
がある。また、ガラス基板への触媒核付与プロセスとし
ては、基板表面に吸着させたSnをPdで置換するセン
シタイザー・アクチベーター法、及び、Sn・Pdコロ
イドを基板表面に吸着させるキャタリスト・アクセレー
ター法、さらに、基板表面にアルカリ性のPd錯体を吸
着させた後に0価の金属Pdに還元するアルカリキャタ
リスト法などを好適に利用することができる。
【0040】また、触媒核上に析出させるa−Pdめっ
き層の膜厚、及び、リンの含有量は、形成する回路パタ
ーンのガラス基板への密着性に大きく影響を与える。
【0041】すなわち、ガラス基板の平均表面粗さRa
が、0.0010〜0.10(μm)好ましくは0.0
012〜0.050(μm)の範囲において、0.00
10(μm)よりも小さいと密着性が劣化し、0.10
(μm)よりも大きいと薄膜をパタニングしたときに欠
陥が生じやすい。
【0042】同じく、a−Pdめっき層の層厚が、0.
015〜0.50(μm)好ましくは0.020〜0.
40(μm)の範囲において、0.015(μm)より
も少いと欠陥の多い膜になりやすく、0.50(μm)
よりも大きいと膜剥離が生じやすい。
【0043】さらに、a−Pdめっき層中のリン含有量
が、3.0〜10(wt%)好ましくは3.5〜9.0
(wt%)の範囲において、3.0(wt%)よりも小
さいと膜応力が増大して剥離しやすくなり、10(wt
%)よりも大きいと無電解Pdめっきをする際に、めっ
き温度を高く設定する必要が生じるなどの、めっき液が
分解しやすい条件でメッキする必要が生じ、量産に適さ
なくなる。
【0044】また、本発明によれば、a−Pdめっき層
上に必要であればフォトリソ、エッチングなどを施して
パタニングを行った後に、Cu、Ni、Ni−P、A
g、Pd、Pd−P、Au、Ptの中から選ばれた少な
くとも1種類以上の金属または2種以上の合金からなる
めっき層を積層することにより、ガラス表面の平滑さを
損なわず、さらには、外部からの熱的影響に対しても密
着性の劣化が少い、めっき配線を有するガラス回路基板
が得られる。
【0045】さらに、本発明によれば、a−Pdめっき
層をガラス基板上に形成後、必要であればそのa−Pd
めっき膜に、フォトリソ、エッチングなどを施してパタ
ニングを行い、その上の全面、或いは、一部分にPの含
有量が、0〜1wt%好ましくは0〜0.5wt%であ
り、さらにその膜厚が、0.015〜0.25(μm)
好ましくは0.020〜0.20(μm)であるような
c−Pdめっき層を積層することで、ガラス表面の平滑
さを損わずに、ガラス基板との優れた密着力を発現する
ばかりか、本発明のa−Pdめっき膜を単膜でめっきし
た場合と比べて、熱履歴を受けた場合の抵抗値変化が少
く、さらに、表面が安定な、めっき配線を有するガラス
回路基板が得られる。
【0046】加熱時の抵抗値変化が、本発明のa−Pd
めっき膜を単膜で成膜したときに比べ、小さくなる理由
は、a−Pdめっき膜が非結晶に近い膜構造を持つのに
対し、c−Pdめっき膜が多結晶に近い膜構造を持つか
らである。
【0047】実際に、このような積層構造{ガラス/a
−Pd(0.04μm)/c−Pd(0.04μm)}
にて成膜した金属化ガラス基板上に、線幅200μm、
長さ8cmのラインパターンを作成し、これを酸化雰囲
気中にて450℃で40分間焼成し、加熱前後の体積抵
抗率変化を4端子法により測定した。
【0048】このとき、焼成前後の積層膜の体積抵抗率
測定結果の平均値は、焼成前が6.5×10-5(Ωc
m)、焼成後が4×10-5(Ωcm)であった(サンプ
ル数100本)。
【0049】さらに、このような2層構造にすること
で、適当な熱処理によりa−Pd層中よりc−Pd層中
にPを拡散させ、a−Pdめっき層からc−Pdめっき
層へと、Pの含有量が連続的に傾斜しながら減少するよ
うな構造とすることが可能となる。Pの含有量が2層に
わたって傾斜した膜とすることで、結晶構造の異なる膜
を積層したときに生じるストレスを緩和し、膜応力を低
減させて基板への密着性を向上させることができる。
【0050】また、c−Pdめっき膜を表面に持つ2層
構造の薄膜とすることで、置換による膜ダメージのため
にa−Pdめっき薄膜には直接積層することが困難であ
ったPtやAuなどのPdよりも酸化還元電位が貴な金
属をPd以外の金属を介さずに積層することが可能とな
る。
【0051】ここで、上記c−Pdめっき膜の膜厚が、
0.015(μm)よりも小さいと、膜中へのPの拡散
の影響で加熱時の電気性向上に効果が見られず、0.2
5(μm)よりも大きいと、膜応力が増大して膜剥離を
生じやすくなり、同じく、そのリン含有量が、1.0
(wt%)よりも大きいと、a−Pdめっき層単膜に比
べて、電気特性や膜安定性の顕著な向上が見られない。
【0052】また、本発明によれば、a−Pd/c−P
d積層膜の全面、或いは、一部に、Cu、Ni、Ni−
P、Ag、Au、Ptの中から選ばれた少なくとも1種
類以上の金属または2種以上の合金からなるめっき層を
積層することで、ガラス基板表面が本来持っている平滑
さを損なわず、しかも、以降の表面処理における膜ダメ
ージや触媒核の損傷を最小限に抑えて積層することがで
きるばかりか、電気めっきを行うときにも抵抗値的に有
利である。
【0053】以下、図を用いて本発明について、更に詳
細な説明を行う。従来より、ガラス上にPd触媒核を付
与し、この上に化学Ni−Pめっき膜を形成する方法が
知られており、このNi−Pめっき膜上にCuなどを積
層して配線を行なうことも公知である。
【0054】図10は、従来例として知られている湿式
めっきの層構成を示す模式図であり、本図において1は
粗化されたガラス基板、2は金属Pdを主体とする触媒
核層、10は触媒核層2上にめっきされた非結晶性の無
電解Ni−Pめっき膜である。
【0055】一般的に、Ni−Pめっき膜に比べてc−
Pdめっき膜は膜応力が大きく、密着性に問題があると
考えられているが、Ni−Pめっき層は加熱温度が10
0℃を越えたあたりからリン化ニッケルの生成及びニッ
ケルの結晶化の影響を受け初め、300℃で明確な回折
ピークを持つなどの耐熱性に関する問題がある。
【0056】また、めっき基板が熱を受けた場合、金属
Pd触媒核層上に設けられたNi−Pめっき層、又は、
a−Pdめっき層のPの一部は金属Pd触媒核中に拡散
しパラジウム・リン合金を形成する。
【0057】このとき、触媒核層上にa−Pdめっき層
が形成されていたほうが、触媒核層にかかるストレスは
小さく、めっき層のガラス基板に対する密着性も向上す
ると考えられる。しかも、本発明に記載のごとき膜厚と
Pの含有量を有すa−Pdめっき膜をPd触媒核層上に
めっきすることで、ガラス表面を極端に粗化しなくて
も、非常に優れたガラス基板との密着性を持つ、めっき
配線・電極を有する回路基板を作成することができる。
【0058】これを模式図化したものが図1であり、本
図において1はガラス基板、2は金属Pdを主体とする
触媒核層、3はa−Pdめっき層である。
【0059】従来のガラス上へのNi−Pめっきでは、
密着力の不足をカバーするために、ガラス表面の平均表
面粗さRaが0.4μm前後になるまで粗化していた
が、本発明によれば、ガラス基板のRaが0.002μ
m前後の平滑な状態でも、粗化基板と同等以上の密着性
が得られる。
【0060】図2、図3は、本発明の層構成の一例を示
した模式図であり、a−Pdめっき層上に金属を積層し
て回路を形成したガラス基板である。
【0061】図2において、1はガラス基板、2は前述
の触媒核層、3はa−Pdめっき層、4は低抵抗配線の
ためのCuめっき層、5は拡散防止のためのNiめっき
層、6は酸化防止のためのAuめっき層である。
【0062】また、図3に示したように上記のCuめっ
き層4の替りにAgめっき層を使用することもできる。
本図において、1はガラス基板、2は前述の触媒核層、
3はa−Pdめっき層、8は低抵抗配線のためのAgめ
っき層、6は酸化防止のためのAuめっき層である。
【0063】ここで、上記のa−Pdめっき膜の替わり
に従来用いられているNi−Pめっき層を積層後、C
u、Ni、Au、を順次積層したときの模式図が図10
であり、このような層構成にて積層を行うと、積層によ
る応力増加のために膜の剥離が生じやすく、さらに、外
部よりの加熱にて膜の剥離が促進される場合が多い。
【0064】ところが、本件のようにa−Pdめっき層
を触媒核上の第1層として形成すると、ガラス表面の粗
化やカップリング剤付与などの密着力向上処理を施さず
とも、積層によるストレスを吸収できるばかりか、加熱
時においても良好な密着力を維持することが可能とな
る。
【0065】さらに、本発明によれば、a−Pdめっき
層上にc−Pdめっき層を積層すると、a−Pdめっき
層中からc−Pdめっき層中へPが拡散することで、P
の含有量が連続的に傾斜しながら減少する膜構造とする
ことが可能となる。このようにPの含有量を傾斜させる
には、適当な温度で上記積層膜にアニールを施せば良
い。
【0066】触媒核層上に形成するめっき膜を上記のご
とき傾斜膜とすることで、a−Pdめっき層の持つ密着
力をほとんど低下させずに、a−Pd単膜よりも熱・化
学的に安定な表面状態にすることができる。
【0067】すなわち、非結晶性に近い構造を持つPd
−Pめっき単膜の場合と比べ、異種金属積層時の置換反
応、及び、薬液のアタック等に対する膜安定性が増すば
かりか、加熱による抵抗値変化がPd−P単膜に比べて
少いので、Cu、Ni、Ni−P、Ag、Pd、Pd−
P、Au、Ptなどの金属を、電気めっきするときなど
特に有効である。
【0068】ここで、図11に示すグラフ−1はフロー
トガラス(青板硝子)上に特許請求項に記載のめっき層
を積層し、それに適当な熱処理を施した後、その膜をオ
ージェ電子分光法(以降はAESと省略する)により分
析し、Pの深さ方向の分布強度を調査した結果である。
【0069】分析に使用した基板のめっき膜厚は、透過
型電子顕微鏡(以下TEMと記載)による観察結果か
ら、a−Pdめっき層が約0.30μm、c−Pdめっ
き層が約0.25μmであった(図12に示す写真1参
照)。
【0070】以下に、AES及びTEMの測定条件を示
す。
【0071】 [TEM観察条件] 使用装置 H−9000NAR(日立製作所製) 加速電圧 300kV [AES分析条件] 使用装置 PERKIN−ELMER社製 PHI−660型 電子銃加速電圧 3kv 試料電流 約100nA イオン銃イオン種 Ar+ ビーム電圧 0.7kv スパッタ速度 約2nm/min(SiO2 換算) このようにPの含有量が違う、言い替えれば、それぞれ
アモルファスと多結晶に近い膜質を有するPdめっき層
を2層にめっきした理由は、多結晶性に近いc−Pdめ
っき膜を触媒核層上の第1層目に形成すると、膜応力に
より剥離する危険が大きいからである。そこで、まず膜
応力の比較的小さいa−Pdめっき膜を形成し、この上
にc−Pdめっき膜を積層し、Pの拡散を積極的に利用
して応力の緩和を行ったのである。
【0072】つまり、2層間の結晶性の違いによる膜ス
トレスは、a−Pdめっき層中のPをc−Pdめっき層
中へ傾斜的に拡散させること、及び、トータル膜厚を薄
くすることで緩和し、ガラス基板への密着性の低下を最
小限にした。多結晶性に近いc−Pdめっき層は、非結
晶性に近いa−Pdめっき層に比べて電気抵抗率が低い
ばかりか、めっき膜表面の安定性にも優れているので、
前述した、Cu、Ni、Ni−P、Ag、Pd、Pd−
P、Au、Ptから選ばれた1種の金属または2種以上
の合金などの金属を電気パターンめっきするときなどに
特に有効である。
【0073】以上に述べた2層構造を有するPdめっき
膜を模式図化したものが図4であり、本図において1は
ガラス基板、2は金属Pdを主体とする触媒核層、3は
a−Pdめっき層、7はc−Pdめっき層である。
【0074】図5、図6、図7は、本発明の層構成の一
例を示した模式図であり、上記c−Pdめっき層上に、
さらに金属を積層して回路を形成したガラス基板の一例
である。
【0075】まず、図5において、1はガラス基板、2
は前述の触媒核層、3はa−Pdめっき層、7はc−P
dめっき層、4は低抵抗配線のためのCuめっき層、5
は拡散防止のためのNiめっき層、6は酸化防止のため
のAuめっき層である。
【0076】次に、図6において、1はガラス基板、2
は前述の触媒核層、3はa−Pdめっき層、7はc−P
dめっき層、8は低抵抗配線のためのAgめっき層、6
は酸化防止のためのAuめっき層である。
【0077】さらに、図7において、1はガラス基板、
2は前述の触媒核層、3はa−Pdめっき層、7はc−
Pdめっき層、9はPtめっき層である。
【0078】以上に示したように、触媒核層上の第1層
として一定量のPを含有するPdめっき層を適当な膜厚
に成膜することで、ガラス基板にほとんど粗化を施さな
くても十分な密着性が得られる。しかも、この上に結晶
性に近いPdめっき層を積層することで、Pの含有量が
傾斜したPdめっき層を形成することができ、膜安定性
と基板への密着性を両立することが可能となる。
【0079】ここで、本発明におけるガラス回路基板上
のめっき層の密着性評価は、以下のようにして行った。
すなわち、100mm×100mm×厚さ1.1mmの
ガラス基板上に大きさが2mm□のめっきパターンを作
成し、次に、このパターンに直径1mmの金属線をハン
ダ付けし、これを用いて垂直引張り試験を行うことで、
ガラス基板と積層しためっき膜との密着性を評価した。
【0080】垂直引張り試験による密着性評価は、20
点での引張り試験結果の平均値をもとに、以下に示す判
断基準にもとずいて行った。 密着性評価 20箇所での計測結果の平均値 良好 2.5kg/2mm□以上 普通 1.0〜2.5kg/2mm□ 不良 1.0kg/2mm□以下 ただし、上記平均値が1.0kg/2mm□を越えるも
のであっても、ガラス基板に生じたマイクロクラックに
由来する基板破壊が多発したサンプルは総合評価を不適
とした。この試験結果を表1に示す。
【0081】また、本発明に記載の耐熱試験は以下に示
すような方法に従って行った。
【0082】耐熱試験は、線幅80μm、長さ60mm
のラインパターンを前記のガラス基板上に50本作成し
たものをフレッシュエアーを常に基板表面に吹き付けな
がら酸化雰囲気中で焼成するベルト炉中に投入して、最
高温度420℃、保持時間15分となるような条件で加
熱することで行った。
【0083】このとき、パターンの剥離、断線が1本で
も発生したものは不良、1本も発生しなかったものは良
好とした。この試験結果を表2に示す。
【0084】さらに、図14に示す写真3は、従来技術
の粗化処理ガラス基板(表面粗さRa:0.4μm)上
に、厚さ0.1μmのNi−Pめっきを施してパタニン
グしたガラス回路基板のSEM写真であり、図15に示
す写真4は、本発明に基づいて表面に粗化を施さなかっ
たガラス基板(表面粗さRa:0.002μm)上に、
厚さ0.1μmのa−Pdめっきを施してパタニングを
行ったガラス回路基板のSEM写真である。
【0085】SEM写真において黒く見えるところがガ
ラス基板であり、白っぽく見える部分がめっきを施した
ところである。パタニング方法は両方の基板で共通であ
り、ガラス基板上の全面にめっきを施した後、めっきパ
ターンを残す部分をレジストで保護し、エッチングを行
ってパターンを形成した。
【0086】これらの写真より明らかなように、図14
に示す写真3の粗化処理を施したガラス基板上に形成し
たNi−Pめっきパターンは粗化パターンの形にめっき
の欠けが目立ち、これが連続して断線に至っているとこ
ろもある。
【0087】これに対して、図15に示す写真4の粗化
処理を施していないガラス基板上に形成したa−Pdめ
っきパターンは、欠けや断線などが見られず、安定した
パタニングを行うことができる。
【0088】SEM測定条件を以下に示す。 使用装置 S−3000(日立製作所製) 加速電圧 10kV 直接倍率 ×100 また、表3は本発明に基づいて形成したラインパターン
の解像力を従来技術と比較して評価したものである。
【0089】従来技術として、平均表面粗さRaが0.
4μmとなるように粗化処理を施したガラス基板上に触
媒核を形成し、その上に無電解Ni−Pめっき膜を形成
した。この基板に対して、本発明に基づいて作成された
表面に極端な粗化処理を施していないガラス回路基板
は、パターン線幅が細くても優れた解像力を示してい
る。
【0090】解像力の評価は、それぞれの全面めっき品
に、フォト・エッチングプロセスにより、20μm、5
0μm、100μmのラインパターンを50本ずつ作成
したときのパタニング不良の本数により行った。
【0091】表3から、従来技術にて作成されたパター
ンは、線幅が50μmより細くなると急激に断線する本
数が増加するのに対し、本発明をもとに作成されたパタ
ーンは線幅が20μmにおいても断線すること無くパタ
ニングが可能であることがわかる。
【0092】これらの表1、2、3の結果からも明らか
なように、触媒核上の第1層目にa−Pdめっき膜を形
成したものは、ガラス基板を粗化した後に触媒核を付与
し、その上の第1層目にNi−Pめっき膜を形成したガ
ラス回路基板と比較しても優れた密着力を示すばかり
か、極端な粗化処理を施さなくても十分な密着性が得ら
れるために、粗化処理時に発生するガラス基板表面のマ
イクロクラック発生などの問題が無く、しかも、細線の
パタニングも粗化処理基板とは比較にならないほど安定
して行うことができる。
【0093】
【発明の実施の形態】以下、実施例を挙げて本発明を詳
しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものでは
ない。
【0094】本発明においてガラス回路基板に用いるガ
ラス基板1の材料としては、一般に青板硝子として知ら
れるアルカリ含有ガラス(商品名の一例 U.F.F
Glass 日本板硝子製)や、ホウ珪酸ガラスなどの
アルカリをほとんど含有しないもの(商品名の一例 #
7059 コーニング製)、及びガラス表面にSiO 2
などをコートしたもの(商品名の一例 Hコートガラス
日本板硝子製)等を利用することができる。
【0095】ガラス基板にめっきをするにあたり、まず
基板を脱脂剤などを使用して洗浄し、次いで、めっきの
ための触媒核を表面に付与する。ガラス基板上に付与す
る触媒核としては、金属Pdを主体とする金属からなる
ものが好ましく、公知の方法を利用することができ、こ
の触媒核をガラス基板表面に均一かつ緻密に付与するこ
とが好ましい。
【0096】基板の脱脂には、溶剤系、水系のどちらで
も使用することができる。水系のガラス洗浄剤として
は、商品名 P3 siliron HS、P3 sili
ronL(ヘンケル白水社製)、商品名 OPC−38
0コンディクリーンM(奥野製薬製)、商品名 メルク
リーナーITO−170(メルテックス社製)、及び、
その他を適当に使用できる。
【0097】また、基板への触媒核形成には、基板表面
に吸着させたSnをPdにて置換し触媒核とする方法、
基板表面にPd−Snコロイドを吸着後にSnを除去し
触媒核とする方法、及び、SnフリーのPd錯体を基板
表面に吸着させた後に還元して0価の金属Pd触媒核を
形成する方法、その他が知られており基板の状態に合わ
せて工程を選ぶことができる。
【0098】実際の前処理工程の一例についての詳細
を、更に詳しく以下に述べる。
【0099】まず洗浄工程として、ガラス基板をイソプ
ロピルアルコール(以下IPAと表示)などの有機溶剤
に浸漬し、次に、水溶性脱脂剤(商品名:メルクリーナ
ーITO−170 メルテックス社製)中にて、液濃度
15g/l、液温50℃、超音波照射、の条件下で5分
間浸漬洗浄し、さらに、イオン交換水にて基板を水洗後
に、濃度70g/l、液温70℃の水酸化カリウム水溶
液中に超音波照射を行いながら5分間浸漬し、イオン交
換水にて水洗を行った。
【0100】次に金属Pd核を形成するにあたり、最初
に、塩化第1スズを0.06g/l含有するPH1の感
受性化液中に、25℃にて3分間浸漬し、ガラス表面に
Sn 2+を吸着させる。
【0101】これを水洗後に、PdCl2 を0.1g/
l含有する活性化処理液中に25℃にて5分間浸漬し、
基板上のSnをPdと置換し、水洗後に無電解Pdめっ
き液中に浸漬する。
【0102】ここで、本発明における上記のPd触媒核
層上の第1層として成膜するa−Pdめっき層形成に
は、次亜リン酸ナトリウムを還元剤とする無電解Pdめ
っき液を用いることができる。
【0103】この無電解Pdめっき液の組成、及び、め
っき条件を適当に設定することにより、本発明に示した
ような膜厚とPの含有量を持つめっき層を成膜すること
ができる。
【0104】上記の無電解Pdめっき液としては、既知
の組成のめっき液を利用することも、市販品を利用する
こともできる。市販薬品の具体例としては、商品名 ム
デンノーブルPD(奥野製薬製)、商品名 ユニコン無
電解パラジウム−リン APPめっき浴(石原薬品製)
などを好適に使用できる。
【0105】また、既知の組成の基本浴の一例として
は、以下に示すようなものが知られている。
【0106】すなわち、金属塩としてPdCl2 、錯形
成剤としてエチレンジアミン、安定剤としてチオグリコ
ール酸、還元剤として次亜リン酸ナトリウムなどを含む
ものである。
【0107】これ以外にも還元剤として、亜リン酸ナト
リウム、ヒドラジン、ジメチルアミンボラン、錯形成剤
としてトリエチレンテトラミンなどを使用した無電解P
dめっき液が知られている。
【0108】これらのもとで、本発明によれば、平均表
面粗さRaが0.0010〜0.10(μm)好ましく
は0.0012〜0.050(μm)であるガラス基板
上の全面、或いは、一部に、金属Pdを主体とする触媒
核を形成し、さらにその触媒核上に、膜厚が0.015
〜0.50(μm)好ましくは0.020〜0.40
(μm)であり、リンの含有量が3.0〜10.0(w
t%)好ましくは3.5〜9.0(wt%)となるよう
にめっき液の選定、及び、めっき条件の選択を行うこと
で、優れた特性のガラス回路基板が得られる。
【0109】このような条件のもとに、フロート方式に
より製造された青板硝子の片面にa−Pdめっき層を形
成し、その断面観察をTEMにより行った結果の一例を
図13に示す写真2に示す。
【0110】図13に示す写真2において、(a)は青
板硝子、(b)は金属Pdを主体とする触媒核層、
(c)はa−Pdめっき層であり、めっき層形成後もガ
ラス基板が平滑なままに保たれていることが写真より観
察できる。
【0111】また、本発明によれば、ガラス基板上に形
成したa−Pdめっき層上に必要であればパタニング、
エッチングなどを施し配線、電極などのパターンを形成
し、この上に、Cu、Ni、Ni−P、Ag、Pd、P
d−P、Au、Ptの中から選ばれた1種類以上のめっ
き膜を積層することによって、優れた特性を持つガラス
回路基板が得られる。
【0112】さらに、本発明によれば、平均表面粗さR
aが、0.0010〜0.10(μm)好ましくは0.
0012〜0.050(μm)であるガラス基板上の全
面、或いは、一部に、金属Pdを主体とする触媒核を形
成し、さらにその触媒核上に、膜厚が0.015〜0.
50(μm)好ましくは0.020〜0.40(μm)
であり、Pの含有量が3.0〜10(wt%)好ましく
は3.5〜9.0(wt%)であるa−Pdめっき層を
形成し、必要であればフォトリソ、エッチングなどをこ
れに施してパタニングを行った後に、さらに、その全
面、或いは、一部分に、膜厚が、0.015〜0.25
(μm)好ましくは0.020〜0.20(μm)であ
り、Pの含有量が0〜1.0(wt%)好ましくは0〜
0.5(wt%)であるc−Pdめっき層を積層するこ
とにより、優れた特性を持つガラス回路基板が得られ
る。
【0113】このような条件をもとに、フロート方式に
より製造された青板硝子の片面にa−Pdめっき層、及
び、c−Pdめっき層を形成した基板のTEMによる断
面観察結果の一例が図12に示す写真1である。
【0114】図12に示す写真1において、(a)は青
板硝子、(b)は金属Pdを主体とする触媒核層、
(c)はa−Pdめっき層、(d)はc−Pdめっき層
であり、めっき層形成後にもガラス基板が平滑なままに
保たれていることが写真より観察できる。
【0115】次いで、本発明によれば、ガラス基板上に
形成したc−Pdめっき層上に、必要であればパタニン
グ、エッチングなどを施して配線、電極などを形成した
後に、Cu、Ni、Ni−P、Ag、Pd、Pd−P、
Au、Ptの中から選ばれた少なくとも1種類以上のめ
っき層を全面、或いは、一部に積層することにより、め
っき配線・電極を有するガラス回路基板を作成すること
ができる。
【0116】このように、Pを含むPdめっき層上に、
Pをほとんど含まないPdめっき層を積層することで、
Pd膜の密着性を劣化させずに、置換反応や化学薬品な
どに対するPd膜の安定性を高めることができる。
【0117】例えば、a−Pdめっき層上にPtなどの
Pdよりも貴な金属種を積層すると、両者の間で置換反
応が起りやすく、a−Pdめっき層のみならず触媒核層
までダメージを受け、密着性が極端に低下する場合が多
い。
【0118】すなわち、a−Pdめっき層は非常に活性
な状態にあるため、このような、めっき液中での置換や
めっき浴中の錯形成剤によるアタックを受けやすい。こ
のようなときに、a−Pdめっき層が本発明に示したよ
うな薄膜であると、そのダメージはa−Pdめっき層の
みにとどまらず、その下の触媒核層にまで及ぶ場合が多
い。
【0119】Pdめっき層の層厚を極端に増加させない
で、このダメージが触媒核層にまで及ぶことを防止する
には、本発明に示したようなc−Pdめっき層をa−P
dめっき層上に積層することが有効である。
【0120】なぜならば、Pをほとんど含有せず膜質が
結晶性に近いc−Pdめっき層は、非結晶性に近いa−
Pdめっき層に比べて、めっき液中での上記アタックに
対する耐性が大きいからである。すなわち、a−Pdめ
っき層の層厚を増加させて触媒核へのダメージを防止す
る場合に比べ、a−Pdめっき層上にc−Pdめっき層
を積層した場合の方がトータルの層厚も薄くなり、膜応
力も小さくて済むので、密着性の劣化が少い。
【0121】また、膜質が結晶性に近いc−Pdめっき
層を積層することにより、熱処理工程中にa−Pdめっ
き層より拡散するPをこのc−Pdめっき層にトラップ
することができる。
【0122】さらに、適当な熱処理条件を選定すること
でPの拡散を積極的に利用して、上記2層にわたりPが
連続的に変化する、すなわち、上部に行くほどPの含有
量が傾斜的に減少するような積層膜とすることが可能で
あり、これによって、非結晶性が支配的であるa−Pd
めっき層と結晶性が支配的でありPをほとんど含有しな
いc−Pdめっき層との積層によるストレスを緩和で
き、膜応力の低減が実現できる。
【0123】本発明において使用可能な化学めっき液、
及び、電気めっき液は公知のものを好適に使用できる。
【0124】以下にその一例を挙げる。
【0125】 市販品名 製品名 販売会社名 無電解Pd−P めっき液 無電ノーブルPD 奥野製薬 (株) 無電解Pdめっき液 (P含有せず) パレット(PARED) 小島化学薬品 (株) 電気Pdめっき液 K−ピュア・パラジウム 小島化学薬品 (株) 無電解Ni−P めっき液 メルプレートNi−422 メルテックス (株) 無電解Cuめっき液 エンプレートCu−406 メルテックス (株) 電気Agめっき シルバーグロー3K 日本リーロナール(株) 無電解Auめっき液 オーエルIII 無電解Auめっき液 小島化学薬品 (株) 無電解Ptめっき液 EL−PLATINUM ・206 エヌ・イーケムキャット(株) 電気Ptめっき液 Pt−255 エヌ・イーケムキャット(株) 電気銅めっき液 硫酸銅 75g/l 硫酸 190g/l 塩素イオン 50ppm カパーグリームCLX−A 5ml/l 日本リーロナール(株) カパーグリームCLX−C 5ml/l 日本リーロナール(株) 電気ニッケルめっき液 スルファミン酸ニッケル 410g/l 塩化ニッケル 30g/l ホウ酸 37g/l ナイカルPC−3 30ml/l 日本リーロナール(株) ナイカル−W 0.3ml/l 日本リーロナール(株) 電気ニッケルめっき液 硫酸ニッケル 350g/l 塩化ニッケル 45g/l ホウ酸 47g/l ナイカルPC−3 30ml/l 日本リーロナール(株) ナイカル−W 0.3ml/l 日本リーロナール(株) また、市販品以外でも公知の組成を用いて作成しためっ
き液を使用することができる。
【0126】一例としては、表面技術vol.40,N
o3,1989 p123〜126に記載された、エチ
レンジアミンを錯形成剤とし、次亜リン酸ナトリウムを
還元剤とする、無電解Pd−Pめっき液などがある。
【0127】ただし、上記はあくまでも一例であり、本
発明において使用可能な薬品・めっき液は上記のものに
限定されるものではない。
【0128】参考文献 プリント回路学会誌「サーキットテクノロジ」7
(4),P363〜271(1992) プリント回路学会誌「サーキットテクノロジ」7
(6),P369〜376(1992) 表面技術 vol.44,No5,P425〜429
(1993) 表面技術 vol.44,No12,P136〜139
(1993) 表面技術 vol.42,No11,P90〜95(1
991) 表面技術 vol.40,No3,P477〜480
(1989) (実施例1)ガラス基板として、100mm×100m
m×厚さ1.1mmのフロート青板ガラス(日本板硝子
製)を用意し、これをIPA中に超音波を照射しながら
5分間浸漬し、さらに水溶性脱脂剤であるメルテックス
社製のメルクリーナーITO−170(液濃度15g/
l、液温50℃)中にて超音波を照射しながら5分間浸
漬し、イオン交換水にて水洗を行い、さらに水酸化カリ
ウム水溶液(濃度70g/l、液温70℃)中にて超音
波を照射しながら5分間浸漬し、イオン交換水で水洗し
て脱脂工程を終了する。
【0129】引き続いて、塩化第1スズ(SnCl2
を0.06g/l含有するPH1、浴温25℃の水溶液
中に3分間浸漬し、イオン交換水中で水洗後に、塩化パ
ラジウム(PdCl2 )を0.1g/l含有する水溶液
中に25℃で5分間浸漬し、イオン交換水で水洗して触
媒核形成工程を終了する。
【0130】この基板を奥野製薬製の商品名ムデンノー
ブルPDにて無電解めっきする。
【0131】めっきは浴温は55℃にて行い、層厚が
0.1μmとなるまで液中に浸漬して、ガラス基板上に
a−Pdの全面めっき膜を形成した。
【0132】このとき、a−Pdめっき層中のP含有量
が8wt%となるように、その他のめっき条件を設定し
た。
【0133】このようにして成膜しためっき膜は、図1
3に示す写真2の断面TEM写真に見られるようなアモ
ルファスに近い膜構造を有していた。
【0134】次に、このめっき層上にフォトプロセスを
用いてレジストパターンを形成し、さらに、70%硝
酸:35%塩酸:酢酸=9:9:1の割合に調製したエ
ッチング液中に浸漬し、耐熱性試験、及び、解像力試験
用のパターンを作成した。
【0135】以上のようにして得られためっき層は、テ
ープによる引きはがし試験を行っても膜剥離は観察され
ず、その耐熱性、及び、解像力も良好であった。その試
験結果を表1、表2、表3に示す。
【0136】このとき、脱脂工程終了時のガラス基板の
平均表面粗さRaは0.0020μmであり、このめっ
き膜をエッチングして除去した後のガラス基板のRaも
上記の値と同一であった。 (実施例2)ガラス基板としてコーニング社製の商品名
#7059を用いた以外の条件は、実施例1と同様にし
てPd−Pめっき膜のパターンを形成した。
【0137】以上のようにして得られためっき層は、テ
ープによる引きはがし試験を行っても膜剥離は観察され
ず、その耐熱性、及び、解像力も良好であった。その試
験結果を表1、表2、表3に示す。
【0138】このとき、脱脂工程終了時のガラス基板の
平均表面粗さRaは0.0013μmであり、このめっ
き膜をエッチングして除去した後のガラス基板のRaも
上記の値と同一であった。
【0139】(実施例3)ガラス基板として、青板硝子
上にSiO2 をコーティングした日本板硝子製のHコー
トガラスを用いた。その他の条件は、実施例1と同様に
して積層膜のパターンを形成した。
【0140】以上のようにして得られためっき層は、テ
ープによる引きはがし試験を行っても膜剥離は観察され
ず、その耐熱性、及び、解像力も良好であった。その試
験結果を表1、表2、表3に示す。
【0141】このとき、脱脂工程終了時のガラス基板の
平均表面粗さRaは0.0025μmであり、このめっ
き膜をエッチングして除去した後のガラス基板のRaも
上記の値と同一であった。
【0142】(実施例4)実施例1と同様のガラス基板
を用いて、実施例1と同様の前処理を基板に施した後
に、膜厚が0.07μmでPの含有量が7wt%のa−
Pdめっき層を成膜し、これを実施例1と同様のフォト
・エッチングプロセスを用いてラインパターンとし、さ
らに、電気めっきにより、Cuを5μm、Niを3μ
m、及び置換めっきによってAuを0.03μm積層し
た。
【0143】以上のようにして得られためっき層の引張
り試験結果と耐熱性試験結果は良好であり、その結果を
表1、表2に示す。
【0144】このとき、脱脂工程終了時のガラス基板の
平均表面粗さRaは0.0020μmであり、このめっ
き膜をエッチングして除去した後のガラス基板のRaも
上記の値と同一であった。
【0145】(実施例5)実施例1と同様のガラス基板
を用いて、実施例1と同様の前処理を基板に施した後
に、膜厚が0.11μmでPの含有量が8wt%のa−
Pdめっき層を成膜し、これを実施例1と同様のフォト
・エッチングプロセスを用いてラインパターンとした。
このパターンに電気めっきによりAgを3μm、さらに
Auを1.5μm積層した。
【0146】以上のようにして得られためっき層の引張
り試験結果と耐熱性試験結果は良好であり、その結果を
表1、表2に示す。
【0147】このとき、脱脂工程終了時のガラス基板の
平均表面粗さRaは0.0027μmであり、このめっ
き膜をエッチングして除去した後のガラス基板のRaも
上記の値と同一であった。
【0148】(実施例6)実施例1と同様のガラス基板
・前処理・めっき液を用いて、触媒核層上の第1層目に
a−Pdめっき層を形成し、引き続いて、そのa−Pd
めっき層上にリン及びホウ素を含有しないc−Pdめっ
き層を成膜した。
【0149】ここで使用するめっき液は、小島化学薬品
製の商品名PARED(パレット)であり、液温60℃
にて成膜を行った。この積層膜に実施例1と同様のフォ
ト・エッチングプロセスを用いてラインパターンを形成
し、洗浄後に前述のベルト炉中にて最高温度150℃に
て3時間保持した。
【0150】このとき、a−Pdめっき層中のP含有量
は8wt%、膜厚は0.03μm、また、これに積層し
たc−Pdめっき層の膜厚は0.03μmであった。
【0151】また、この積層膜は、図12に示す写真1
の断面TEM観察に見られるような積層構造をしてお
り、AESを用いた積層膜中のPのデプスプロファイル
分析によりグラフ−1に見られるようなPの傾斜構造が
確認された。
【0152】以上のようにして得られためっき層の評価
結果は良好であり、その結果を表1、表2、表3に示
す。
【0153】また、脱脂工程終了時のガラス基板の平均
表面粗さRaは0.0023μmであり、このめっき膜
をエッチングして除去した後のガラス基板のRaも上記
の値と同一であった。
【0154】(実施例7)ガラス基板としてコーニング
社製の商品名#7059を用いた以外の条件は、実施例
4と同様にして積層膜のパターンを形成した。
【0155】以上のようにして得られためっき層の評価
結果は良好であり、その結果を表1、表2、表3に示
す。
【0156】このとき、脱脂工程終了時のガラス基板の
平均表面粗さRaは0.0018μmであり、このめっ
き膜をエッチングして除去した後のガラス基板のRaも
上記の値と同一であった。
【0157】(実施例8)ガラス基板として、青板硝子
上にSiO2 をコーティングした日本板硝子製のHコー
トガラスを用いた。その他の条件は、実施例6と同様に
して積層膜のパターンを形成した。
【0158】以上のようにして得られためっき層の評価
結果は良好であり、その結果を表1、表2、表3に示
す。
【0159】このとき、脱脂工程終了時のガラス基板の
平均表面粗さRaは0.0025μmであり、このめっ
き膜をエッチングして除去した後のガラス基板のRaも
上記の値と同一であった。
【0160】(実施例9)実施例6と同じようにして形
成したラインパターン上に電気めっきにより、Cuを5
μm、Niを3μm、及び置換めっきによってAuを
0.03μm積層した。
【0161】以上のようにして得られためっき層の評価
結果は良好であり、その結果を表1、表2、表3に示
す。
【0162】このとき、脱脂工程終了時のガラス基板の
平均表面粗さRaは0.0022μmであり、このめっ
き膜をエッチングして除去した後のガラス基板のRaも
上記の値と同一であった。
【0163】(実施例10)実施例6と同じようにして
形成したa−Pd/c−Pdの積層構造を持つラインパ
ターン上に電気めっきによりAgを3μm、Auを1μ
m積層した。
【0164】以上のようにして得られためっき層の評価
結果は良好であり、その結果を表1、表2、表3に示
す。
【0165】このとき、脱脂工程終了時のガラス基板の
平均表面粗さRaは0.0017μmであり、このめっ
き膜をエッチングして除去した後のガラス基板のRaも
上記の値と同一であった。
【0166】(実施例11)実施例1と同じフロート青
板硝子の基板に実施例1と同様な前処理工程、及び、触
媒核形成工程を施した。この基板を全面めっきする無電
解パラジウムめっき液には、石原薬品(株)製の商品名
APPプロセスを用いた。このとき、浴温50℃にてa
−Pdめっき層厚が0.06μmとなるまでガラス基板
をめっきした。このようにして成膜したa−Pdめっき
層中のP含有量は4wt%であった。
【0167】次に、このa−Pdめっき層上にPを0.
07wt%含有するc−Pdめっき層を0.1μm積層
した。この積層に使用したのは、錯形成剤としてエチレ
ンジアミン、還元剤として亜リン酸ナトリウムを用いる
無電解Pdめっき液であり、めっき温度は67℃で行っ
た。
【0168】また、このめっき膜中のP含有量は0.0
8wt%であった。
【0169】これに実施例1と同様のフォト・エッチン
グプロセスを用いてラインパターンを形成し、さらに、
電気めっきにより白金を積層した。
【0170】電気白金めっき液としては、N.E.ケム
キャット製の商品名Pt−270を使用し、PH6.
3、浴温70℃にてPt膜厚が0.1μmとなるまで通
電を行った。
【0171】次に、以上のようにして作成したパターン
めっき基板にアニール処理を施した。
【0172】アニール処理は、ベルト炉中にてフレッシ
ュエアーを常に基板表面に吹き付けながら、最高温度1
80℃以下にて行った。
【0173】以上のようにして得られためっき層の評価
結果は良好であり、その結果を表1、表2、表3に示
す。
【0174】このとき、脱脂工程終了時のガラス基板の
平均表面粗さRaは0.0020μmであった。
【0175】このめっき膜をエッチングして除去した後
のガラス基板のRaも上記の値と同一であった。
【0176】(実施例12)前述の小島化学薬品製の無
電解パラジウムめっき液(商品名PARED)をc−P
dめっき層の形成に使用した以外は、実施例11と同様
の条件で積層、及び、パターンを形成した。
【0177】以上のようにして得られためっき層の評価
結果は良好であり、その結果を表1、表2、表3に示
す。
【0178】このとき、脱脂工程終了時のガラス基板の
平均表面粗さRaは0.0020μmであった。このめ
っき膜をエッチングして除去した後のガラス基板のRa
も上記の値と同一であった。
【0179】(実施例13)ガラス基板として前述のコ
ーニング社製品(商品名#7059)を使用した以外
は、実施例12と同様の条件で積層膜のパターンを形成
した。
【0180】以上のようにして得られためっき層の評価
結果は良好であり、その結果を表1、表2、表3に示
す。
【0181】このとき、脱脂工程終了時のガラス基板の
平均表面粗さRaは0.0018μmであった。このめ
っき膜をエッチングして除去した後のガラス基板のRa
も上記の値と同一であった。
【0182】(実施例14)ガラス基板として前述の日
本板硝子製品(商品名Hコートガラス)を使用した以外
は、実施例12と同様の条件で積層膜のパターンを形成
した。
【0183】以上のようにして得られためっき層の評価
結果は良好であり、その結果を表1、表2、表3に示
す。
【0184】このとき、脱脂工程終了時のガラス基板の
平均表面粗さRaは0.0025μmであった。このめ
っき膜をエッチングして除去した後のガラス基板のRa
も上記の値と同一であった。
【0185】(実施例15)実施例1と同様にして基板
上に形成したa−Pdの全面めっき上に、同じく電気C
uめっきを全面に積層した。この積層膜をフォト・エッ
チングプロセスを用いてラインパターンとした後に、電
気めっきにより、Niを3μm、及び置換めっきによっ
てAuを0.03μm積層した。
【0186】以上のようにして得られためっき層の評価
結果は良好であり、その結果を表1、表2、表3に示
す。
【0187】このとき、脱脂工程終了時のガラス基板の
平均表面粗さRaは0.0023μmであり、前記の積
層めっき膜をエッチングして除去した後のガラス基板の
Raも上記の値と同一であった。
【0188】(比較例1)実施例1と同様のガラス基板
に、同じく同様の脱脂処理を施し、この基板をフッ酸溶
液中に浸漬してガラス基板の表面粗さRaを0.41μ
mに粗化した。この粗化基板に、実施例1と同様の触媒
核形成処理を施して、この上に次亜リン酸ナトリウムを
還元剤に用いる無電解Ni−P合金めっきを成膜した。
【0189】このとき、めっき膜厚は0.7μmでPの
含有量は8wt%であった。
【0190】次に、この基板に実施例1と同様のフォト
・エッチングプロセスを用いて所望のパターンを形成し
た。
【0191】以上のようにして得られためっき層は、テ
ープによる引きはがし試験では膜剥離が試験面積の1%
以内で、評価結果は普通であった。また、耐熱試験後に
は膜剥離が多数発生し、評価結果は不良であった。同じ
く、パタニング試験においてもパタン断線が多数発生
し、評価結果は不良であった。これらの評価結果を表
1、表2、表3に示す。
【0192】(比較例2)比較例1で形成したNi−P
めっきパターンに、電気めっきによりCuを5μm、N
iを3μm、及びAuを0.03μm積層した。
【0193】以上のようにして得られためっき層の引張
り試験を行ったところ、引張り強度の平均は0.3kg
/2mm□であり、評価結果は不良であった。
【0194】また、耐熱試験後には膜剥離が多数発生
し、その評価結果も不良であった。
【0195】さらに、パタニング試験においてもパタン
断線が多数発生し、評価結果は不良であった。これらの
評価結果を表1、表2、表3に示す。
【0196】(比較例3)基板のフッ酸による粗化処理
を省いた他は、比較例1と同様の条件で0.4μmのN
i−Pめっき膜を成膜し、これに同様のパタニング処理
を施した後に、実施例3と同様にして電気Cuめっきと
電気Niめっきを積層したところ、パターンがガラス基
板とNi−Pめっき膜との界面から剥離し、上記に示し
たような評価試験を行うことはできなかった。
【0197】以上の実施例は、本発明をもとに製作され
ためっき配線を有するガラス回路基板の一例を示したに
過ぎず、本発明は前記の特定の実施例に限定されるもの
ではなく、本発明の技術的範囲内において種々の変形が
可能であることは勿論である。
【0198】
【表1】
【0199】
【表2】
【0200】
【表3】
【0201】
【発明の効果】以上の本発明に示したように、ガラス基
板上に付与したパラジウムを主体とする触媒核上の第1
層として一定量のPを含有するa−Pdめっき層を適当
な膜厚に成膜することで、ガラス基板に極端な粗化処理
を施さなくても、充分な密着性を持つめっき層が形成で
きる。
【0202】また、このa−Pd層上に、結晶性に近い
c−Pdめっき層を積層することで、Pの含有量が傾斜
的に変化するPdめっき積層膜を形成することができ、
平滑なガラス基板上に厚膜の細線を形成する場合にも、
膜安定性と密着性が両立した湿式めっきによる配線・電
極を有する金属化ガラス基板を作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1、実施例2、実施例3に示し
た層構成を持つ金属化ガラス基板の模式断面図である。
【図2】本発明の実施例4に示した層構成を持つ金属化
ガラス基板の模式断面図である。
【図3】本発明の実施例5に示した層構成を持つ金属化
ガラス基板の模式断面図である。
【図4】本発明の実施例6、実施例7、実施例8に示し
た層構成を持つ金属化ガラス基板の模式断面図である。
【図5】本発明の実施例9、実施例15に示した層構成
を持つ金属化ガラス基板の模式断面図である。
【図6】本発明の実施例10に示した層構成を持つ金属
化ガラス基板の模式断面図である。
【図7】本発明の実施例11、実施例12、実施例1
3、実施例14に示した層構成を持つ金属化ガラス基板
の模式断面図である。
【図8】本発明の比較例1に示した層構成を持つ金属化
ガラス基板の模式断面図である。
【図9】本発明の比較例2に示した層構成を持つ金属化
ガラス基板の模式断面図である。
【図10】本発明の比較例3に示した層構成を持つ金属
化ガラス基板の模式断面図である。
【図11】フロートガラス(青板硝子)上に本発明のめ
っき層を積層し、それに適当な熱処理を施した後、その
膜をオージェ電子分光法(AES)により分析し、Pの
深さ方向の分布強度を調査した結果を示す図である。
【図12】フロート方式により製造された青板硝子の片
面にa−Pdめっき層、及び、c−Pdめっき層を形成
した基板のTEMによる断面の金属組織の一例を示す図
である。
【図13】フロート方式により製造された青板硝子の片
面にa−Pdめっき層を形成し、その断面観察をTEM
により行った結果の金属組織の一例を示す図である。
【図14】従来技術の粗化処理ガラス基板(表面粗さR
a:0.4μm)上に、厚さ0.1μmのNi−Pめっ
きを施してパタニングしたガラス回路基板のSEM写真
による金属組織を示す図である。
【図15】本発明に基づいて表面に粗化を施さなかった
ガラス基板(表面粗さRa:0.002μm)上に、厚
さ0.1μmのa−Pdめっきを施してパタニングを行
ったガラス回路基板のSEM写真による金属組織を示す
図である。
【符号の説明】
1 ガラス基板 2 触媒核層 3 非結晶性パラジウムめっき層 4 銅めっき層 5 リンを含有しないニッケルめっき層 6 金めっき層 7 結晶性パラジウムめっき層 8 銀めっき層 9 白金めっき層 10 リンを含有するニッケルめっき層 a 青板硝子 b 触媒核層 c a−Pdめっき層 d c−Pdめっき層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 米国特許3754939(US,A) 米国特許6156413(US,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 18/48 C23C 18/52

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ガラス基板上に形成された金属Pdからな
    る触媒核層と、 前記触媒核層上に形成された、リンの含有量が3.0〜
    10.0(wt%)である第1のPd−Pめっき層と、 を有することを特徴とするガラス回路基板。
  2. 【請求項2】前記第1のPd−Pめっき層の膜厚は、
    0.015〜0.500μmであることを特徴とする請
    求項1記載のガラス回路基板。
  3. 【請求項3】前記第1のPd−Pめっき層上に、Cu、
    Ni、Ni−P、Ag、Pd、Pd−P、Au、Ptか
    ら選ばれた1種の金属または2種以上の合金からなるめ
    っき層を有することを特徴とする請求項1記載のガラス
    回路基板。
  4. 【請求項4】前記第1のPd−Pめっき層上に形成され
    たCuめっき層と、 該Cuめっき層上に形成されたNiめっき層と、 該Niめっき層上に形成されたAuめっき層と、 を有することを特徴とする請求項1記載のガラス回路基
    板。
  5. 【請求項5】前記第1のPd−Pめっき層上に形成され
    たAgめっき層と、 該Agめっき層上に形成されたAuめっき層と、 を有することを特徴とする請求項記載のガラス回路基
    板。
  6. 【請求項6】前記第1のPd−Pめっき層上に、リンを
    0よりも多く1(wt%)よりも少なく含有する第2の
    Pd−Pめっき層と、 を有することを特徴とする請求項1記載のガラス回路基
    板。
  7. 【請求項7】前記第2のPd−Pめっき層上に、Cu、
    Ni、Ni−P、Ag、Pd、Pd−P、Au、Ptか
    ら選ばれた1種の金属または2種以上の合金からなるめ
    っき層を有することを特徴とする請求項6記載のガラス
    回路基板。
  8. 【請求項8】前記第2のPd−Pめっき層上に形成され
    たCuめっき層と、 該Cuめっき層上に形成されたNiめっき層と、 該Niめっき層上に形成されたAuめっき層と、 を有することを特徴とする請求項6記載のガラス回路基
    板。
  9. 【請求項9】前記第2のPd−Pめっき層上に形成され
    たAgめっき層と、 該Agめっき層上に形成されたAuめっき層と、 を有することを特徴とする請求項6記載のガラス回路基
    板。
  10. 【請求項10】前記第2のPd−Pめっき層の膜厚が、
    0.015〜0.250μmであることを特徴とする請
    求項6乃至9のいずれかに記載のガラス回路基板。
  11. 【請求項11】前記ガラス基板の平均表面粗さRaが、
    0.0010〜0.10μmであることを特徴とする請
    求項1乃至10のいずれかに記載のガラス回路基板。
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