JP3478500B2 - 陰極線管用ガラスファンネル及び陰極線管用ガラスバルブ - Google Patents

陰極線管用ガラスファンネル及び陰極線管用ガラスバルブ

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JP3478500B2
JP3478500B2 JP2001374811A JP2001374811A JP3478500B2 JP 3478500 B2 JP3478500 B2 JP 3478500B2 JP 2001374811 A JP2001374811 A JP 2001374811A JP 2001374811 A JP2001374811 A JP 2001374811A JP 3478500 B2 JP3478500 B2 JP 3478500B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、テレビジョン受信
用等に用いられる陰極線管のためのガラスファンネル及
びガラスバルブに関する。
【0002】
【従来の技術】図9に例示するように、テレビジョン受
信用等の陰極線管を構成するガラスバルブ11は、画像
が映し出されるガラスパネル(以下、「パネル」とい
う。)12と、その背部を形成する漏斗状のガラスファ
ンネル(以下、「ファンネル」という。)13と、電子
銃が装着されるネック部14とからなる。ネック部14
は、ファンネル13の小開口部に溶着される。パネル1
2は、視像域となるフェース部12aと、フェース12
aの周縁から略垂直に連なるスカート部12bとを有
し、図10に拡大して示すように、スカート部12bの
端面に設けられるシールエッジ面12b1と、ファンネ
ル13の大開口部に設けられるシールエッジ面13c1
とが封着用のシールガラス15を介して相互に接合され
る。
【0003】上記のようにして構成された陰極線管用ガ
ラスバルブ11は、ネック部14に電子銃を装着した
後、内部の排気を行って、真空容器として使用される
(排気後の内部圧力は、例えば10-8Torr程度であ
る。)。そのため、ガラスバルブ11の外面には大気圧
の負荷による応力が発生し(以下、この応力を「真空応
力」という。)、ガラスバルブ11はこの真空応力に起
因する破壊(真空破壊)に耐えうる十分な機械的・構造
的な強度を備えていることが要求される。すなわち、こ
れらの強度が不足していると、ガラスバルブ11が上記
の真空応力に耐えられずに疲労破壊を起こす可能性があ
るばかりでなく、外面の微細なキズ付きや衝撃荷重の負
荷といった外的要因が付加されると、上記の疲労破壊の
進行が早まることが予測される。さらに、陰極線管の製
造工程において、ガラスバルブ11は400°C前後ま
で昇温されるため、この昇温によって生じた熱応力と上
記の真空応力との相乗作用によって破壊に至る可能性も
ある。
【0004】上記の真空応力は、ガラスバルブ11が非
球形状であることから、ガラスバルブ11に対して圧縮
応力および引張り応力として働き、これらの応力は概ね
図11に示すような分布を示す。尚、図11(a)
(b)(c)は、それぞれ、ガラスルブ11の短軸断
面、長軸断面、対角軸断面における応力分布を示してお
り、これらの応力分布図において、内向きの矢印で示す
領域は圧縮応力が作用する領域、外向きの矢印で示す領
域は引張り応力が作用する領域を表している。
【0005】一般にガラス構造体の破壊強度は圧縮応力
よりも引張り応力に対して弱く、真空容器としての陰極
線管用ガラスバルブ11では、真空応力により生じる引
張り応力(以下、この応力を「引張り真空応力」とい
う。)が作用する領域、すなわちパネル12のフェース
部12aの周縁からスカート部12bに亙る領域と、フ
ァンネル13のシールエッジ面13c1の周辺領域を起
点として破壊が進行し易い。特に、パネル12のシール
エッジ面12b1とファンネル13のシールエッジ面1
3c1とは封着用シールガラス15を介して接合されて
おり、該接合部は強度上のウィークポイントとなる一
方、引張り真空応力は上記接合部の近傍領域でピーク値
を示すことから{図11(a)(b)}、上記接合部を
起点とする破壊の防止策が重要となる。このような理由
から、従来の陰極線管用ガラスバルブ11にあっては、
肉厚増大によって、必要とされる破壊強度を確保してい
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】近時、テレビジョン受
信用等のディスプレイに対して、画面のフラット化や大
型化の要求がなされてきている。これに伴い、陰極線管
もフラット化、扁平化の方向に進みつつあるが、そのた
めに陰極線管用ガラスバルブの形状が従来にも増して球
形状から離れて、真空応力分布の偏在度合いが大きくな
ることにより、陰極線管用ガラスバルブに要求される強
度レベルも厳しさを増している。その結果、陰極線管用
ガラスバルブの更なる肉厚増大、それによる重量増大を
招いている。陰極線管用ガラスバルブの重量増大は、そ
の運搬、取扱い等に不便をきたすばかりか、陰極線管を
内蔵した最終製品の重量増加をもたらして、その商品価
値を低下させる一因ともなる。特に、大型の陰極線管用
ガラスバルブではその傾向が強い。
【0007】上記の事情から、陰極線管用ガラスバルブ
の軽量化が求められているが、その一方で、陰極線管の
フラット化や扁平化に伴い、陰極線管用ガラスバルブに
作用する真空応力の偏在度合いも大きくなっており、真
空破壊に耐えうる十分な強度を確保することも重要であ
る。
【0008】本発明の課題は、軽量で、かつ、陰極線管
を構成したときに、真空破壊に耐えうる十分な強度を確
保することができる陰極線管用ガラスファンネルを提供
することである。
【0009】本発明の他の課題は、フェース部の外面が
実質的にフラットである陰極線管用ガラスパネルを備え
た陰極線管用ガラスバルブにおいて、その軽量化を図る
と共に、真空破壊に耐えうる十分な強度を確保すること
ができる構成を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明は、一端側に大開口部、他端側に小開口部を
有する漏斗状をなし、大開口部のシールエッジ面からモ
ールドマッチラインに至るシールエッジ部と、小開口部
側に設けられ、偏向ヨークが装着されるヨーク部と、モ
ールドマッチラインとヨーク部との間を繋ぐボディー部
とを備えたプレス成型の陰極線管用ガラスファンネルに
おいて、シールエッジ面の肉厚は、これに接合される陰
極線管用ガラスパネルのシールエッジ面の肉厚とほぼ等
しく、ボディー部は、シールエッジ面から管軸に平行な
方向に所定寸法の第1領域と、前記第1領域を除く第2
領域とを有し、前記第1領域は陰極線管を構成したとき
に、該陰極線管内の真空圧に起因する引張り真空応力が
作用する領域内にあり、前記第2領域の肉厚は前記第1
領域の肉厚に比べて小さく、そのために、前記第1領域
と前記第2領域との境界部はボディー部の外面において
段差部を形成し、段差部の段差ΔTはシールエッジ面の
肉厚Sに対して0.06≦ΔT/S≦0.3である構成
を提供する。ここで、段差部の「段差ΔT」は、管軸と
平行な切断面において、段差部と第2領域との境界点P
1を通るボディー部の外面の法線V1とボディー部の内
面との交点をP2、法線V1と第1領域の外面の延長線
Wとの交点をP3としたとき、線分P1・P3の長さで
定義される寸法である(図6参照)。
【0011】ここで、「モールドマッチライン」とは、
陰極線管用ガラスファンネルをプレス成型する際に用い
る金型のうち、雌型を構成するボトム金型(シールエッ
ジ部を除く部分を成型するための漏斗状の成型面を有す
る金型)とシェル金型(シールエッジ部を正確に成型す
るためにボトム金型の上に位置決め載置して組み合わさ
れる略矩形環状の金型)との型合わせ面のことである。
ボトム金型とシェル金型とで構成される雌型の中に溶融
ガラス塊(ガラスゴブ)を供給し、雄型となるプランジ
ャ金型を圧入して、ガラスゴブを雌雄金型の成型面に沿
って圧延して陰極線管用ガラスファンネルを成型する。
【0012】上記構成の陰極線管用ガラスファンネルに
よれば、そのシールエッジ面の肉厚Sを陰極線管用ガラ
スパネルのシールエッジ面の肉厚とほぼ等しくしている
ので、両シールエッジ面同士の接合面積が十分に確保さ
れ、封着用シールガラス等による接合を容易かつ強固に
行うことができる。これにより、パネルとファンネルと
の接合部の強度を十分に確保することができる。
【0013】 また、ボディー部を、シールエッジ面か
ら管軸に平行な方向に所定寸法の第1領域と、前記第1
領域を除く第2領域とに分け、両領域相互間に肉厚の大
小関係を与えている。すなわち、前記第2領域の肉厚を
前記第1の領域の肉厚よりも相対的に小さくしている。
【0014】 前述したように、従来の陰極線管用ガラ
スバルブでは、長辺側及び短辺側において、引張り真空
応力はパネルとファンネルとの接合部の近傍領域でピー
ク値を示す{図11(a)(b)}。これに対して、本
発明の陰極線管用ガラスファンネルでは、ボディー部を
上記の構成とし、肉厚が相対的に大きい前記第1領域を
シールエッジ部側に、肉厚が相対的に小さい前記第2
域を小開口部側に設けているため、陰極線管を構成した
とき、長辺側及び短辺側において、引張り真空応力のピ
ークがパネルとファンネルとの接合部の近傍領域よりも
小開口部側(ネック部側)に偏移する(後述する図7参
照)。その結果、強度上のウィークポイントである上記
接合部に作用する引張り真空応力が緩和され、真空破壊
に対する強度が一層向上する。しかも、肉厚が相対的に
小さい前記第2領域を設けることによって、陰極線管用
ガラスファンネルの軽量化を図ることができる。
【0015】 上記の理由から、前記第1領域と前記
領域とに肉厚の大小関係を与えたことにより、両領域
の境界部はボディー部の外面において段差部を形成す
る。この段差部の段差ΔTが過小であると、前記第2
域の肉厚削減が不十分となり、陰極線管用ガラスファン
ネルの軽量化および上記接合部に作用する引張り真空応
力の緩和効果が十分に得られない。一方、段差ΔTが過
大であると、前記第2領域の肉厚が小さくなりすぎ、真
空応力に対する強度が不足する。陰極線管用ガラスファ
ンネルの軽量化および上記接合部に作用する引張り真空
応力の緩和効果を十分に達成し、かつ、所要強度を確保
する観点から、段差ΔTはシールエッジ面の肉厚Sに対
して0.06≦ΔT/S≦0.3、好ましくは0.06
≦ΔT/S≦0.2の範囲内となるように設定する。
【0016】 上記構成において、前記第1領域の所定
寸法hは、陰極線管用ガラスファンネルの軽量化および
上記接合部に作用する引張り真空応力の緩和効果を十分
に達成する観点から、シールエッジ面の肉厚Sに対して
0.5≦h/S≦1.5の範囲内となるように設定する
のが好ましい。ここで、「所定寸法h」は、線分P1・
P3の中央点を通り、法線V1と直交する直線Qが段差
部と交わる点をP4としたとき、シールエッジ面の位置
から管軸に平行な方向に交点P4の位置に至る線分の長
さで定義される寸法である(図6参照)。
【0017】 以上の構成において、前記第2領域の肉
厚Tは、段差部との境界における肉厚TRに対して0.
5≦T/TR≦1の範囲内とするのが好ましい。ここ
で、「肉厚TR」は、線分P1・P2の長さで定義され
る寸法(肉厚)であり(図6参照)、「肉厚T」は、前
第2領域における、段差部との境界(肉厚TR)を除
く任意の位置での肉厚である。
【0018】 また、以上の構成において、前記第1
域の外面をモールドマッチラインに向かって拡開する傾
斜面として、かつ、前記外面と、モールドマッチライン
と直交する平面とのなす角度Aを3°≦A≦15°の範
囲内に設定するのが好ましい。これにより、成型金型か
らの離型性を高めて、前記第1領域の外面における成型
金型とのすり傷の発生を防止し、前記第1領域を設けた
ことによる効果を実効あらしめることができる。あるい
は、前記第1領域の外面をモールドマッチラインに向か
って拡開する曲面とし、かつ、モールドマッチラインに
おける前記外面の接平面と、管軸に平行な平面とのなす
角度Bを3°≦B≦15°の範囲内に設定しても良い。
これにより、上記と同様の効果を得ることができる。
【0019】また、上記課題を解決するため、本発明
は、実質的にフラットな外面を有するフェース部と、フ
ェースの周縁に連なるスカート部と、スカート部の端面
に設けられるシールエッジ面とを備えた陰極線管用ガラ
スパネルと、以上に説明した構成の陰極線管用ガラスフ
ァンネルと、陰極線管用ガラスファンネルの小開口部に
接合され、電子銃が装着されるネック部とを備え、陰極
線管用ガラスパネルのシールエッジ面と陰極線管用ガラ
スファンネルのシールエッジ面とが相互に接合されて構
成される陰極線管用ガラスバルブを提供する。
【0020】ここで、「実質的にフラット」とは、フェ
ース部の外面の対角軸に沿った母線の曲率半径が100
00mm以上であることを意味する。
【0021】前述のように、フェース部の外面が実質的
にフラットである陰極線管用ガラスパネルを備えた陰極
線管用ガラスバルブにあっては、強度との関係から重量
化する傾向にあるが、本発明の陰極線管用ガラスバルブ
によれば、上述した陰極線管用ガラスファンネルに関す
る効果に起因して、強度と軽量化という相反する特性を
バランスよく具備させることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。
【0023】図1は、この実施形態に係る陰極線管用ガ
ラスバルブ1を示している。ガラスバルブ1はテレビジ
ョン受信用等の陰極線管を構成するもので、画像が映し
出されるガラスパネル(以下、「パネル」という。)2
と、その背部を形成する漏斗状のガラスファンネル(以
下、「ファンネル」という。)3と、電子銃が装着され
るネック部4とを備えている。
【0024】パネル2は、視像域となるフェース部2a
と、フェース2aの周縁から略垂直に連なるスカート部
2bとを有し、図2に示すように、スカート部2bの端
面にシールエッジ面2b1が設けられている。フェース
部2aの外面は、その対角軸に沿った母線の曲率半径が
10000mm以上で、実質的にフラットな面である。
【0025】 図3及び図4に示すように、ファンネル
3は、一端側に大開口部3a、他端側に小開口部3bを
有する漏斗状をなし、大開口部3aのシールエッジ面3
c1からモールドマッチライン3c2に至るシールエッ
ジ部3cと、小開口部3bの側に設けられ、偏向ヨーク
が装着されるヨーク部3dと、モールドマッチライン3
c2とヨーク部3dとの間を繋ぐボディー部3eとを備
えている。ネック部4は、ファンネル3の小開口部3b
に溶着される。ここで、ボディー部3eとヨーク部3d
とは、管軸Zと直交し、外面形状の偏曲点となる位置を
通る境界面Uで相互に連続している。境界面Uは、通
常、TO(トップオブラウンド:小開口部3b側の円
形断面形状が大開口部3a側の矩形断面形状に漸次変化
する開始位置)よりも僅かに大開口部3a側に位置す
る。
【0026】図1に示すように、パネル2と、ネック部
4が溶着されたファンネル3とは、互いのシールエッジ
面2b1、3c1同士を、封着用のシールガラス5を介
して相互に溶着され、これにより、真空容器としてのガ
ラスバルブ1が構成される。
【0027】図5は、ファンネル3の大開口部3aの周
辺部を示している。
【0028】シールエッジ面3c1の肉厚Sは、パネル
2のシールエッジ面2b1の肉厚S’とほぼ等しくなる
ように設定される。これにより、両シールエッジ面2b
1、3c1同士の接合面積が十分に確保され、封着用シ
ールガラス5による接合を容易かつ強固に行うことがで
きる。ここで、シールエッジ面3c1の肉厚Sは、大開
口部3aの角部に同図に示すような面取りC(又は成型
時に形成される丸み)が施されている場合は、面取りC
(又は丸み)の肉厚方向寸法を含む寸法である。パネル
2のシールエッジ面2b1についても同じである。
【0029】 ボディー部3eは、シールエッジ面3c
1から管軸Zに平行な方向に所定寸法hの第1領域3e
1と、この第1領域3e1を除く第2領域3e2とを有
する。第2領域3e2の肉厚は第1領域3e1の肉厚よ
りも相対的に小さく、そのために、両領域の境界部はボ
ディー部3eの外面において段差部3e3を形成してい
る。
【0030】第1領域3e1の寸法hは、シールエッジ
面3c1の肉厚Sに対して、0.5≦h/S≦1.5の
範囲内に設定され、第1領域3e1は、ファンネル3が
パネル2と共に陰極線管を構成したときに、該陰極線管
内の真空圧に起因する引張り真空応力が作用する領域内
に位置する(図7参照)。また、段差部3e3の段差Δ
Tは、シールエッジ面3c1の肉厚Sに対して、0.0
6≦ΔT/S≦0.3、好ましくは0.06≦ΔT/S
≦0.2の範囲内に設定される。さらに、第2領域3e
2の任意の位置における肉厚Tは、段差部3e3との境
界における肉厚TRに対して0.5≦T/TR≦1の範囲
内に設定される。
【0031】さらに、この実施形態では、段差部3e3
を2つの曲面3e31、3e32で形成すると共に、第
1領域3e1側の曲面3e31の曲率半径R1、第2領
域3e2側の曲面3e32の曲率半径R2を、1≦R2
/R1≦3、かつ、2≦R1/ΔT≦20の関係を満た
すように設定している。段差部3e3は肉厚の変化点と
なる部位であり、真空応力が集中しやすいが、この部位
を2つの曲面3e31、3e32で形成することによっ
て、応力集中を効果的に緩和することができる。特に、
これら曲面3e31、3e32の曲率半径R1、R2を
上記の関係を満たすように設定することによって、ファ
ンネル3の成型不良や傷発生による欠けを防止しつつ、
応力集中を緩和することができる。
【0032】尚、段差部3e3は3つ以上の曲面を組み
合わせて形成することもできる。この場合、最も第1領
域3e1に近い側の曲面の曲率半径R1と、最も第2領
域3e2に近い側の曲面の曲率半径R2は、上記の関係
を満たすように設定するのが好ましい。また、段差部3
e3は1つの曲面又は直線面で形成しても良く、あるい
は、1つ以上の曲面と直線面とを適宜組み合わせて形成
しても良い。
【0033】さらに、この実施形態では、第1領域3e
1の外面を、モールドマッチライン3c2に向かって拡
開する傾斜面とし、かつ、上記外面と管軸Zに平行な平
面Z'とのなす角度Aを3°≦A≦15°の範囲内に設
定している。これにより、ファンネル3をプレス成型す
る際の金型からの離型性を高めて、第1領域3e1の外
面における成型金型とのすり傷の発生を防止し、第1領
域3e1を設けたことによる効果を実効あらしめること
ができる。
【0034】上記の諸寸法h、ΔT、TR、Tは、それ
ぞれ図6に示す基準に従って定める。まず、管軸Zと平
行な切断面において、段差部3e3と第2領域3e2と
の境界点P1(同図に示す例では曲面3e32と第2領
域3e2との境界)を通る外面の法線V1を求める。法
線V1と内面との交点をP2、法線V1と第1領域3e
1の外面の延長線Wとの交点をP3とすると、TRは線
分P1・P2の長さ、ΔTは線分P1・P3の長さであ
る。つぎに、線分P1・P3の中央点(ΔT/2の位
置)を通り、法線V1と直交する直線Qが段差部3e3
と交わる点P4を求める。シールエッジ面3c1の位置
から、管軸Zに平行な方向に下りて、交点P4の位置に
至る線分の長さがhである。Tは、第2領域3e2の任
意の位置における外面の法線Vnと内面及び外面との交
点をP1n、P2nとして、線分P1n・P2nの長さ
である。
【0035】上記のようなパネル2とファンネル3とを
相互に接合して構成されるこの実施形態の陰極線管用ガ
ラスバルブ1は、ネック部4に電子銃を装着した後、内
部の排気を行って、真空容器として使用される(排気後
の内部圧力は、例えば10-8Torr程度である。)。
図7は、この実施形態の陰極線管用ガラスバルブ1の短
軸断面における真空応力の分布を概略的に示している。
同図で、内向きの矢印で示す領域は圧縮応力が作用する
領域、外向きの矢印で示す領域は引張り応力が作用する
領域を表している。また、2点鎖線は、従来の陰極線管
用ガラスバルブ11の短軸断面における真空応力の分布
を示している{図11(a)}。同図に示すように、従
来の陰極線管用ガラスバルブ11では、引張り真空応力
はパネルとファンネルとの接合部の近傍領域でピーク値
を示すが(2点鎖線)、この実施形態の陰極線管用ガラ
スバルブ1では、引張り真空応力のピークがパネル2と
ファンネル3との接合部の近傍領域よりも小開口部3b
側(ネック管4側)に偏移する。これは、ファンネル3
のボディー部3eにおいて、肉厚が相対的に大きい第1
領域3e1をシールエッジ部3c側に、肉厚が相対的に
小さい第2領域3e2を小開口部3b側(ネック管4
側)に設けたことにより、上記接合部の近傍領域の引張
り真空応力が、適度に薄肉化された第2領域3e2の弾
性的な変形能によって分散されて、第2領域側3e2に
負荷される度合いが増したためと考えられる。尚、図示
は省略するが、長軸断面における真空応力の分布も概ね
上記と同様の傾向を示す(但し、引張り真空応力の大き
さは短軸断面よりも小さくなる。)。
【0036】上記の態様で、強度上のウィークポイント
である上記接合部に作用する引張り真空応力が緩和され
る結果、陰極線管用ガラスバルブ1の真空破壊に対する
強度が一層向上する。しかも、肉厚が相対的に小さい第
2領域3e2を設けることによって、陰極線管用ガラス
ファンネル3、ひいては陰極線管用ガラスバルブ1の軽
量化を図ることができる。このように、この実施形態の
陰極線管用ガラスファンネル3、ひいてはこの実施形態
の陰極線管用ガラスバルブ1は、強度と軽量化という相
反する特性をバランスよく具備したものとなる。尚、図
4及び図5において、図9及び図10に示す従来のファ
ンネル13の外面を点線で表し、この実施形態のファン
ネル3の第2領域3e2が薄肉化されている状態を模式
的に示している。
【0037】図8に示す実施形態は、ファンネル3の第
1領域3e1の外面をモールドマッチライン3c2に向
かって拡開する曲面(円弧面)としたものである。モー
ルドマッチライン3c2における上記外面の接平面Z”
と、管軸Zに平行な平面Z’とのなす角度Bは3°≦B
≦15°の範囲内に設定している。これにより、ファン
ネル3をプレス成形する際の金型からの離型性を高め
て、第1領域3e1の外面における成型金型とのすり傷
の発生を防止し、第1領域3e1を設けたことによる効
果を実効あらしめることができる。
【0038】
【実施例】図2に示す形態のパネル(フラットパネル)
と図3〜6に示す形態のファンネル(但し、第1領域の
外面は図8に示すような曲面とした。)とを封着用シー
ルガラスで接合して、図1に示す形態の陰極線管用ガラ
スバルブを製作し(実施例1〜11、比較例1及び
2)、図9及び10に示す従来の陰極線管用ガラスバル
ブ(従来例)と比較試験を行った。比較試験は2種類行
い、比較試験1(実施例1〜6、比較例1及び2)は
(ΔT/S)の設定値による影響を確認するため、比較
試験2(実施例7〜11)は(h/S)の設定値による
影響を確認するために行った。各実施例、各比較例及び
従来例ともに、対角軸最大外径76cm、バルブ偏向角
度102°であり、パネルは下記仕様のものを用いた。
比較試験1の結果を表1、比較試験2の結果を表2に示
す。 [パネルの仕様] パネル中央肉厚:13.5mm 外面曲率半径(短軸方向):100000mm 外面曲率半径(長軸方向):100000mm 外面曲率半径(対角軸方向):100000mm 内面曲率半径(短軸方向):1480mm 内面曲率半径(長軸方向):6240mm 内面曲率半径(対角軸方向):5650mm
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】 [比較試験1に基づく評価] (実施例1〜実施例6)従来例に比較して、接合部及び
R位置における引張り真空応力の緩和効果、および、
重量軽減効果が認められた。また、この種のガラスバル
ブに必要とされる機械的強度の一基準として、引張り真
空応力値を8.4MPa以下に抑えることを目安にする
と、引張り真空応力値(5.45〜8.21MPa)が
上記の基準値(8.4MPa)を下回った。 (比較例1)従来例に比較して、接合部における引張り
真空応力の緩和効果、および、重量軽減効果が十分では
なかった。 (比較例2)従来例に比較して、接合部における引張り
真空応力の緩和効果、および、重量軽減効果は認められ
たが、TR位置における引張り真空応力(8.63MP
a)が上記の基準値(8.4MPa)を上回った。 [比較試験2に基づく評価] (実施例7〜実施例11)従来例に比較して、接合部及
びTR位置における引張り真空応力の緩和効果、およ
び、重量軽減効果が認められた。また、この種のガラス
バルブに必要とされる機械的強度の一基準として、引張
り真空応力値を8.4MPa以下に抑えることを目安に
すると、引張り真空応力値(7.45〜8.21MP
a)が上記の基準値(8.4MPa)を下回った。
【0041】比較試験の結果から明らかなように、実施
例のファンネルは、比較例および従来例と比較して、強
度と軽量化という特性をバランスよく具備したものであ
る。
【0042】
【発明の効果】本発明によれば、軽量で、かつ、陰極線
管を構成したときに、真空破壊に耐えうる十分な強度を
確保することができる陰極線管用ガラスファンネルを提
供することができる。また、本発明によれば、フェース
部の外面が実質的にフラットである陰極線管用ガラスパ
ネルを備えた陰極線管用ガラスバルブにおいて、その軽
量化を図ると共に、真空破壊に耐えうる十分な強度を確
保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態に係るガラスバルブの管軸と平行な方
向の断面図である。
【図2】実施形態に係るパネルの斜視図である。
【図3】実施形態に係るファンネルの斜視図である。
【図4】ファンネルの管軸と平行な方向の部分断面図で
ある。
【図5】ファンネルの大開口部の周辺部を示す部分拡大
断面図である。
【図6】ファンネルの大開口部の周辺部を示す部分拡大
断面図である。
【図7】実施形態に係るガラスバルブに作用する真空応
力分布を示す図である。
【図8】他の実施形態に係るファンネルの大開口部の周
辺部を示す部分拡大断面図である。
【図9】従来のガラスバルブの管軸と平行な方向の断面
図である。
【図10】従来のガラスバルブにおけるパネルとファン
ネルの接合部の周辺部を示す拡大部分断面図である。
【図11】従来のガラスバルブに作用する真空応力分布
を示す図である
【符号の説明】 1 ガラスバルブ 2 パネル 2b1 シールエッジ面 3 ファンネル 3a 大開口部 3b 小開口部 3c シールエッジ部 3c1 シールエッジ面 3c2 モールドマッチライン 3d ヨーク部 3e ボディー部 3e1 第1領域 3e2 第2領域 3e3 段差部

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一端側に大開口部、他端側に小開口部を
    有する漏斗状をなし、前記大開口部のシールエッジ面か
    らモールドマッチラインに至るシールエッジ部と、前記
    小開口部側に設けられ、偏向ヨークが装着されるヨーク
    部と、前記モールドマッチラインとヨーク部との間を繋
    ぐボディー部とを備えたプレス成型の陰極線管用ガラス
    ファンネルにおいて、 前記シールエッジ面の肉厚は、これに接合される陰極線
    管用ガラスパネルのシールエッジ面の肉厚とほぼ等し
    く、 前記ボディー部は、前記シールエッジ面から管軸に平行
    な方向に所定寸法の第1領域と、前記第1領域を除く
    領域とを有し、 前記第1領域は陰極線管を構成したときに、該陰極線管
    内の真空圧に起因する引張り真空応力が作用する領域内
    にあり、 前記第2領域の肉厚は前記第1領域の肉厚に比べて小さ
    く、そのために、前記第1領域と前記第2領域との境界
    部は前記ボディー部の外面において段差部を形成し、管軸と平行な切断面において、前記段差部と前記第2領
    域との境界点P1を通る前記ボ ディー部の外面の法線V
    1と前記ボディー部の内面との交点をP2、前記法線V
    1と前記第1領域の外面の延長線Wとの交点をP3とし
    たとき、線分P1・P3の長さで定義される、前記段差
    部の段差ΔTは前記シールエッジ面の肉厚Sに対して
    0.06≦ΔT/S≦0.3であることを特徴とする陰
    極線管用ガラスファンネル。
  2. 【請求項2】 前記線分P1・P3の中央点を通り、前
    記法線V1と直交する直線Qが前記段差部と交わる点を
    P4としたとき、前記シールエッジ面の位置から管軸に
    平行な方向に前記交点P4の位置に至る線分の長さで定
    義される、前記第1領域の所定寸法hは、前記シールエ
    ッジ面の肉厚Sに対して0.5≦h/S≦1.5である
    ことを特徴とする請求項1記載の陰極線管用ガラスファ
    ンネル。
  3. 【請求項3】 線分P1・P2の長さで定義される、前
    記段差部との境界における肉厚をTR、前記段差部との
    境界を除く任意の位置における前記第2領域の肉厚をT
    としたとき、0.5≦T/TR≦1であることを特徴と
    する請求項1又は2記載の陰極線管用ガラスファンネ
    ル。
  4. 【請求項4】 前記第1領域の外面が前記モールドマッ
    チラインに向かって拡開する傾斜面であり、かつ、前記
    外面と、管軸に平行な平面とのなす角度Aが3°≦A≦
    15°である請求項1から3の何れかに記載の陰極線管
    用ガラスファンネル。
  5. 【請求項5】 前記第1領域の外面が前記モールドマッ
    チラインに向かって拡開する曲面であり、かつ、前記モ
    ールドマッチラインにおける前記外面の接平面と、管軸
    に平行な平面とのなす角度Bが3°≦B≦15°である
    請求項1から3の何れかに記載の陰極線管用ガラスファ
    ンネル。
  6. 【請求項6】 実質的にフラットな外面を有するフェー
    ス部と、該フェースの周縁に連なるスカート部と、該ス
    カート部の端面に設けられるシールエッジ面とを備えた
    陰極線管用ガラスパネルと、請求項1から5の何れかに
    記載の陰極線管用ガラスファンネルと、該陰極線管用ガ
    ラスファンネルの小開口部に接合され、電子銃が装着さ
    れるネック部とを備え、前記陰極線管用ガラスパネルの
    シールエッジ面と前記陰極線管用ガラスファンネルのシ
    ールエッジ面とが相互に接合されて構成される陰極線管
    用ガラスバルブ。
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