JP3817731B2 - 陰極線管用ガラスファンネル及び陰極線管用ガラスバルブ - Google Patents

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Description

本発明は、テレビジョン受信用等に用いられる陰極線管のためのガラスファンネル及びガラスバルブに関する。
図13に例示するように、テレビジョン受信用等の陰極線管を構成するガラスバルブ11は、画像が映し出されるガラスパネル(以下、「パネル」という。)12と、その背部を形成する漏斗状のガラスファンネル(以下、「ファンネル」という。)13と、電子銃が装着されるネック部14とからなる。ネック部14は、ファンネル13の小開口部に溶着される。パネル12は、視像域となるフェース部12aと、フェース12aの周縁から略垂直に連なるスカート部12bとを有し、図14に拡大して示すように、スカート部12bの端面に設けられるシールエッジ面12b1と、ファンネル13の大開口部に設けられるシールエッジ面13c1とが封着用のシールガラス15を介して相互に接合される。
上記のようにして構成された陰極線管用ガラスバルブ11は、ネック部14に電子銃を装着した後、内部の排気を行って、真空容器として使用される(排気後の内部圧力は、例えば10-8Torr程度である。)。そのため、ガラスバルブ11の外面には大気圧の負荷による応力が発生し(以下、この応力を「真空応力」という。)、ガラスバルブ11はこの真空応力に起因する破壊(真空破壊)に耐えうる十分な機械的・構造的な強度を備えていることが要求される。すなわち、これらの強度が不足していると、ガラスバルブ11が上記の真空応力に耐えられずに疲労破壊を起こす可能性があるばかりでなく、外面の微細なキズ付きや衝撃荷重の負荷といった外的要因が付加されると、上記の疲労破壊の進行が早まることが予測される。さらに、陰極線管の製造工程において、ガラスバルブ11は400°C前後まで昇温されるため、この昇温によって生じた熱応力と上記の真空応力との相乗作用によって破壊に至る可能性もある。
上記の真空応力は、ガラスバルブ11が非球形状であることから、ガラスバルブ11に対して圧縮応力および引張り応力として働き、これらの応力は概ね図15に示すような分布を示す。尚、図15(a)(b)(c)は、それぞれ、ガラスルブ11の短軸断面、長軸断面、対角軸断面における応力分布を示しており、これらの応力分布図において、内向きの矢印で示す領域は圧縮応力が作用する領域、外向きの矢印で示す領域は引張り応力が作用する領域を表している。
一般にガラス構造体の破壊強度は圧縮応力よりも引張り応力に対して弱く、真空容器としての陰極線管用ガラスバルブ11では、真空応力により生じる引張り応力(以下、この応力を「引張り真空応力」という。)が作用する領域、すなわちパネル12のフェース部12aの周縁からスカート部12bに亙る領域と、ファンネル13のシールエッジ面13c1の周辺領域を起点として破壊が進行し易い。特に、パネル12のシールエッジ面12b1とファンネル13のシールエッジ面13c1とは封着用シールガラス15を介して接合されており、該接合部は強度上のウィークポイントとなる一方、引張り真空応力は上記接合部の近傍領域でピーク値を示すことから{図15(a)(b)}、上記接合部を起点とする破壊の防止策が重要となる。このような理由から、従来の陰極線管用ガラスバルブ11にあっては、肉厚増大によって、必要とされる破壊強度を確保している。
近時、テレビジョン受信用等のディスプレイに対して、画面のフラット化や大型化の要求がなされてきている。これに伴い、陰極線管もフラット化、扁平化の方向に進みつつあるが、そのために陰極線管用ガラスバルブの形状が従来にも増して球形状から離れて、真空応力分布の偏在度合いが大きくなることにより、陰極線管用ガラスバルブに要求される強度レベルも厳しさを増している。その結果、陰極線管用ガラスバルブの更なる肉厚増大、それによる重量増大を招いている。陰極線管用ガラスバルブの重量増大は、その運搬、取扱い等に不便をきたすばかりか、陰極線管を内蔵した最終製品の重量増加をもたらして、その商品価値を低下させる一因ともなる。特に、大型の陰極線管用ガラスバルブではその傾向が強い。
上記の事情から、陰極線管用ガラスバルブの軽量化が求められているが、その一方で、陰極線管のフラット化や扁平化に伴い、陰極線管用ガラスバルブに作用する真空応力の偏在度合いも大きくなっており、真空応力に起因する破壊に耐えうる十分な強度を確保することも重要である。
本発明の課題は、軽量で、かつ、陰極線管を構成したときに、真空応力に起因する破壊に耐えうる十分な強度を確保することができる陰極線管用ガラスファンネルを提供することである。
本発明の他の課題は、フェース部の外面が実質的にフラットである陰極線管用ガラスパネルを備えた陰極線管用ガラスバルブにおいて、その軽量化を図ると共に、真空応力に起因する破壊に耐えうる十分な強度を確保することができる構成を提供することである。
上記課題を解決するため、本発明は、短軸上の長辺、長軸上の短辺、及び長辺と短辺との間を繋ぐ対角軸上のコーナ部で形成される矩形状の大開口部を一端側に、他端側に小開口部を有する漏斗状をなし、大開口部のシールエッジ面からモールドマッチラインに至るシールエッジ部と、小開口部側に設けられ、偏向ヨークが装着されるヨーク部と、モールドマッチラインとヨーク部との間を繋ぐボディー部とを備えた陰極線管用ガラスファンネルにおいて、シールエッジ面の肉厚は、これに接合される陰極線管用ガラスパネルのシールエッジ面の肉厚とほぼ等しく、ボディー部は、シールエッジ面から管軸に平行な方向に所定寸法の第1領域と、第1領域を除く第2領域とを有し、第1領域は陰極線管を構成したときに、該陰極線管内の真空圧に起因する引張り真空応力が作用する領域内にあり、第2領域の肉厚は第1領域の肉厚に比べて小さく、そのために、第1領域と第2領域との境界部はボディー部の外面において段差部を形成し、長辺側の段差部の最大段差ΔTLmaxと、短辺側の段差部の最大段差ΔTSmaxとが、ΔTSmax<ΔTLmaxの関係を有する構成を提供する。本発明には、第1領域及び第2領域がコーナ部を除く範囲に設けられている構成、第1領域及び第2領域がコーナ部を含んでボディー部の全周に亙って設けられている構成の双方が含まれる。
ここで、「モールドマッチライン」とは、図12に示すように、陰極線管用ガラスファンネル3をプレス成型する際に用いる金型のうち、雌型を構成するボトム金型21(シールエッジ部3cを除く部分を成型するための漏斗状の成型面を有する金型)とシェル金型22(シールエッジ部3cを正確に成型するためにボトム金型21の上に位置決め載置して組み合わされる略矩形環状の金型)との型合わせ面モールドマッチライン3c2のことである。ボトム金型21とシェル金型22とで構成される雌型の中に溶融ガラス塊(ガラスゴブ)を供給し、雄型となるプランジャ金型23を圧入して、溶融ガラスを雌雄金型の成型面に沿って圧延して陰極線管用ガラスファンネル3を成型する。
本発明の陰極線管用ガラスファンネルによれば、そのシールエッジ面の肉厚Sを陰極線管用ガラスパネルのシールエッジ面の肉厚とほぼ等しくしているので、両シールエッジ面同士の接合面積が十分に確保され、封着用シールガラス等による接合を容易かつ強固に行うことができる。これにより、パネルとファンネルとの接合部の強度を十分に確保することができる。
また、ボディー部を、シールエッジ面から管軸に平行な方向に所定寸法の第1領域と、第1領域を除く第2領域とに分け、両領域相互間に肉厚の大小関係を与えている。すなわち、第2領域の肉厚を第1領域の肉厚よりも相対的に小さくしている。
前述したように、従来の陰極線管用ガラスバルブでは、長辺側及び短辺側において、引張り真空応力はパネルとファンネルとの接合部の近傍領域でピーク値を示す{図15(a)(b)}。これに対して、本発明の陰極線管用ガラスファンネルでは、ボディー部を上記の構成とし、肉厚が相対的に大きい第1領域をシールエッジ部側に、肉厚が相対的に小さい第2領域を小開口部側に設けているため、陰極線管を構成したとき、長辺側及び短辺側において、引張り真空応力のピークがパネルとファンネルとの接合部の近傍領域よりも小開口部側(ネック部側)に偏移する(後述する図10参照)。その結果、強度上のウィークポイントである上記接合部に作用する引張り真空応力が緩和され、真空破壊に対する強度が一層向上する。しかも、肉厚が相対的に小さい第2領域を設けることによって、陰極線管用ガラスファンネルの軽量化を図ることができる。
また、図15に示す真空応力分布を参照すると、上記接合部の近傍領域において、引張り真空応力は、長辺側で最も大きくなり{図15(a)の短軸断面}、短辺側では長辺側よりも相対的に小さくなる{図15(b)の長軸断面}。このことを考慮して、本発明では、長辺側の最大段差ΔTLmaxと短辺側の最大段差ΔTSmaxとをΔTSmax<ΔTLmaxの関係となるようにしている。
上記の理由から、第1領域と第2領域とに肉厚の大小関係を与えたことにより、両領域の境界部はボディー部の外面において段差部を形成する。しかしながら、上記段差部がボディー部の全周に亙って存在していると、陰極線管用ガラスファンネルをプレス成型する際の成型性が阻害されることが懸念される。すなわち、溶融ガラス塊(ガラスゴブ)を雌雄金型の成型面に沿って圧延してゆくとき、対角軸方向においては溶融ガラスが短軸側と長軸側から回り込むようにして延ばされる。そのため、コーナ部に上記段差部が存在すると、その部分で溶融ガラスの押延抵抗が増大して、シールエッジ部まで充填される時間が短軸側及び長軸側に比べて遅延する。その結果、コーナ部のシールエッジ部に充填される溶融ガラスの温度が低下して、ガラスに微小なクラックが生じたり、プレス力が増大するといった不都合が発生する場合がある。従って、成型性の点からは、コーナ部には上記段差部が存在しない方が好ましい。
また、図15に示す真空応力分布を参照すると、上記接合部の近傍領域において、引張り真空応力は、長辺側で最も大きくなり{図15(a)の短軸断面}、短辺側では長辺側よりも相対的に小さくなり{図15(b)の長軸断面}、コーナ部では殆ど発生しないか、短辺側及び長辺側よりもかなり小さくなる{図15(c)の対角軸断面}。従って、コーナ部は、短辺側と長辺側に比較して、引張り真空応力の影響を考慮する必要性は少ない。
以上の点を踏まえると、第1領域及び第2領域はコーナ部を除く範囲に設けて、上記段差部がコーナ部に形成されないようにするのが好ましい。これにより、成型時における上記の懸念を解消して、陰極線管用ガラスファンネルの成型性を高めることができる。より好ましくは、第2領域とコーナ部とを段差がない状態で連続させるのが良い。
また、上記課題を解決するため、本発明は、実質的にフラットな外面を有するフェース部と、フェースの周縁に連なるスカート部と、スカート部の端面に設けられるシールエッジ面とを備えた陰極線管用ガラスパネルと、以上に説明した構成の陰極線管用ガラスファンネルと、陰極線管用ガラスファンネルの小開口部に接合され、電子銃が装着されるネック部とを備え、陰極線管用ガラスパネルのシールエッジ面と陰極線管用ガラスファンネルのシールエッジ面とが相互に接合されて構成される陰極線管用ガラスバルブを提供する。
ここで、「実質的にフラット」とは、フェース部の外面の対角軸に沿った母線の曲率半径が10000mm以上であることを意味する。
前述のように、フェース部の外面が実質的にフラットである陰極線管用ガラスパネルを備えた陰極線管用ガラスバルブにあっては、強度との関係から重量化する傾向にあるが、本発明の陰極線管用ガラスバルブによれば、上述した陰極線管用ガラスファンネルに関する効果に起因して、強度と軽量化という相反する特性をバランスよく具備させることができる。
本発明によれば、軽量で、かつ、陰極線管を構成したときに、真空破壊に耐えうる十分な強度を確保することができる陰極線管用ガラスファンネルを提供することができる。
また、本発明によれば、フェース部の外面が実質的にフラットである陰極線管用ガラスパネルを備えた陰極線管用ガラスバルブにおいて、その軽量化を図ると共に、真空破壊に耐えうる十分な強度を確保することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、この実施形態に係る陰極線管用ガラスバルブ1を示している。ガラスバルブ1はテレビジョン受信用等の陰極線管を構成するもので、画像が映し出されるガラスパネル(以下、「パネル」という。)2と、その背部を形成する漏斗状のガラスファンネル(以下、「ファンネル」という。)3と、電子銃が装着されるネック部4とを備えている。
パネル2は、視像域となる矩形状のフェース部2aと、フェース2aの周縁から略垂直に連なるスカート部2bとを有し、図2に示すように、スカート部2bの端面にシールエッジ面2b1が設けられている。フェース部2aの外面は、その対角軸に沿った母線の曲率半径が10000mm以上で、実質的にフラットな面である。
図3及び図4に示すように、ファンネル3は、一端側に大開口部3a、他端側に小開口部3bを有する漏斗状をなし、大開口部3aのシールエッジ面3c1からモールドマッチライン3c2に至るシールエッジ部3cと、小開口部3bの側に設けられ、偏向ヨークが装着されるヨーク部3dと、モールドマッチライン3c2とヨーク部3dとの間を繋ぐボディー部3eとを備えている。ネック部4は、ファンネル3の小開口部3bに溶着される。ここで、ボディー部3eとヨーク部3dとは、管軸Zと直交し、外面形状の偏曲点となる位置を通る境界面Uで相互に連続している。境界面Uは、通常、TOR(トップオブラウンド:小開口部3b側の円形断面形状が大開口部3a側の矩形断面形状に漸次変化する開始位置)よりも僅かに大開口部3a側に位置する。
図3に示すように、大開口部3aは矩形状をなし、短軸S上の長辺3a1と、長軸L上の短辺3a2と、長辺3a1と短辺3a2との間を繋ぐ対角軸D上のコーナ部3a3とで構成される。また、長辺3a1及び短辺3a2の側の外面には、それぞれ位置決め基準部3fが設けられている。これら位置決め基準部3fは、パネル2との接合時に治具に当接させて位置決めを行うためのものである。
図1に示すように、パネル2と、ネック部4が溶着されたファンネル3とは、互いのシールエッジ面2b1、3c1同士を、封着用のシールガラス5を介して相互に溶着され、これにより、真空容器としてのガラスバルブ1が構成される。
図5〜図7は、それぞれファンネル3の大開口部3aの周辺部を示している。図5は短軸断面、図6は長軸断面、図7は対角軸断面である。
シールエッジ面3c1の肉厚Sは、パネル2のシールエッジ面2b1の肉厚S’とほぼ等しくなるように設定される。これにより、両シールエッジ面2b1、3c1同士の接合面積が十分に確保され、封着用シールガラス5による接合を容易かつ強固に行うことができる。ここで、シールエッジ面3c1の肉厚Sは、大開口部3aの角部に同図に示すような面取りC(又は成型時に形成される丸み)が施されている場合は、面取りC(又は丸み)の肉厚方向寸法を含めた寸法である。パネル2のシールエッジ面2b1についても同じである。
この実施形態において、ボディー部3eは、コーナ部3a3を除く範囲において、シールエッジ面3c1から管軸Zに平行な方向に所定寸法の第1領域3e1と、第1領域3e1を除く第2領域3e2とを有する。第2領域3e2の肉厚は第1領域3e1の肉厚よりも相対的に小さく、そのために、両領域の境界部はボディー部3eの外面において段差部3e3を形成している。
第1領域3e1の、管軸Zに平行な方向の最大寸法hは、例えば、シールエッジ面3c1の肉厚Sに対して0.5≦h/S≦1.5の範囲内に設定され、第1領域3e1は、ファンネル3がパネル2と共に陰極線管を構成したときに、該陰極線管内の真空圧に起因する引張り真空応力が作用する領域内に位置する(図10参照)。また、段差部3e3の段差ΔTは、例えば、長辺3a1の側での最大段差ΔTLmax(図5)と、短辺3a2の側での最大段差ΔTSmax(図6)とがそれぞれ、シールエッジ面3c1の肉厚Sに対して、0.06≦ΔTLmax/S≦0.3、0.06≦ΔTSmax/S≦0.3、好ましくは0.06≦ΔTLmax/S≦0.2、0.06≦ΔTSmax/S≦0.2の範囲内に設定される。また、最大段差ΔTLmaxと最大段差ΔTSmaxとは、ΔTSmax<ΔTLmaxの関係となるように設定される。さらに、第2領域3e2の任意の位置における肉厚Tは、例えば、段差部3e3との境界における肉厚TRに対して0.5≦T/TR≦1の範囲内に設定される。
さらに、この実施形態では、段差部3e3を2つの曲面3e31、3e32で形成すると共に、第1領域3e1側の曲面3e31の曲率半径R1、第2領域3e2側の曲面3e32の曲率半径R2を、1≦R2/R1≦3、かつ、2≦R1/ΔT≦20の関係を満たすように設定している。段差部3e3は肉厚の変化点となる部位であり、真空応力が集中しやすいが、この部位を2つの曲面3e31、3e32で形成することによって、応力集中を効果的に緩和することができる。特に、これら曲面3e31、3e32の曲率半径R1、R2を上記の関係を満たすように設定することによって、ファンネル3の成型不良や傷発生による欠けを防止しつつ、応力集中を緩和することができる。
尚、段差部3e3は3つ以上の曲面を組み合わせて形成することもできる。この場合、最も第1領域3e1に近い側の曲面の曲率半径R1と、最も薄肉部3e2に近い側の曲面の曲率半径R2は、上記の関係を満たすように設定するのが好ましい。また、段差部3e3は1つの曲面又は直線面で形成しても良く、あるいは、1つ以上の曲面と直線面とを適宜組み合わせて形成しても良い。
さらに、この実施形態では、第1領域3e1の外面を、モールドマッチライン3c2に向かって拡開する傾斜面とし、かつ、上記外面と管軸Zに平行な平面Z’とのなす角度Aを3°≦A≦15°の範囲内に設定している。これにより、ファンネル3をプレス成型する際の金型からの離型性を高めて、第1領域3e1の外面における成型金型とのすり傷の発生を防止し、第1領域3e1を設けたことによる効果を実効あらしめることができる。
図8は、短軸S及び長軸Lを含む90°範囲の象限において、段差部3e3の在る範囲を概念的に示したものである。
大開口部3aは、通常、長辺3a1を構成する円弧と、短辺3a2を構成する円弧と、コーナ部3a3を構成する円弧の3つの円弧からなる。段差部3e3は、短軸Sから長辺3a1に沿って距離Xsに至る範囲と、長軸Lから短辺3a2に沿って距離Ysに至る範囲に設けられる。段差部3e3は、コーナ部3a3を除く範囲に在り、短軸Sから長辺3a1とコーナ部3a3との境界に至る距離をXo、長軸Lから短辺3a2とコーナ部3a3との境界に至る距離をYo、短軸Sから長辺3a1側の位置決め基準部3fの中心に至る距離をXr、長軸Lから短辺3a2側の位置決め基準部3fの中心に至る距離をYrとして、距離XsはXr/2≦Xs≦Xo、距離YsはYr/2≦Ys≦Yoの範囲に設定される。
さらに、段差部3e3の終点での急激な肉厚変化を緩和するため、段差部3e3に、その段差ΔTを漸次減少させつつ、距離Xsの位置(終点)と距離Ysの位置(終点)にそれぞれ至る繋ぎ部3e11を設けている。
また、第2領域3e2とコーナ部3a3、第2領域3e2とヨーク部3dとは、それぞれ段差がない状態で連続している。これらの部位の境界は外観上明瞭に現れない場合もあるが、第2領域3e2の範囲を模式的に示すと、図3に2点差線で示す範囲である。尚、第1領域3e1とコーナ部3a3も段差がない状態で連続している。
上記の諸寸法h、ΔT、TR、Tは、それぞれ図9に示す基準に従って定める。まず、管軸Zと平行な切断面において、段差部3e3と第2領域3e2との境界点P1(同図に示す例では曲面3e32と第2領域3e2との境界)を通る外面の法線V1を求める。法線V1と内面との交点をP2、法線V1と第1領域3e1の外面の延長線Wとの交点をP3とすると、TRは線分P1・P2の長さ、ΔTは線分P1・P3の長さである。つぎに、線分P1・P3の中央点(ΔT/2の位置)を通り、法線V1と直交する直線Qが段差部3e3と交わる点P4を求める。シールエッジ面3c1の位置から、管軸Zに平行な方向に下りて、交点P4の位置に至る線分の長さがhである。Tは、第2領域3e2の任意の位置における外面の法線Vnと内面及び外面との交点をP1n、P2nとして、線分P1n・P2nの長さである。
上記のようなパネル2とファンネル3とを相互に接合して構成されるこの実施形態の陰極線管用ガラスバルブ1は、ネック部4に電子銃を装着した後、内部の排気を行って、真空容器として使用される(排気後の内部圧力は、例えば10-8Torr程度である。)。図10は、この実施形態の陰極線管用ガラスバルブ1の短軸断面における真空応力の分布を概略的に示している。同図で、内向きの矢印で示す領域は圧縮応力が作用する領域、外向きの矢印で示す領域は引張り応力が作用する領域を表している。また、2点鎖線は、従来の陰極線管用ガラスバルブ11の短軸断面における真空応力の分布を示している{図15(a)}。同図に示すように、従来の陰極線管用ガラスバルブ11では、引張り真空応力はパネルとファンネルとの接合部の近傍領域でピーク値を示すが(2点鎖線)、この実施形態の陰極線管用ガラスバルブ1では、引張り真空応力のピークがパネル2とファンネル3との接合部の近傍領域よりも小開口部3b側(ネック管4側)に偏移する。これは、ファンネル3のボディー部3eにおいて、肉厚が相対的に大きい第1領域3e1をシールエッジ部3c側に、肉厚が相対的に小さい第2領域3e2を小開口部3b側(ネック管4側)に設けたことにより、上記接合部の近傍領域の引張り真空応力が、適度に薄肉化された第2領域3e2の弾性的な変形能によって分散されて、第2領域側3e2に負荷される度合いが増したためと考えられる。尚、図示は省略するが、長軸断面における真空応力の分布も概ね上記と同様の傾向を示す(但し、引張り真空応力の大きさは短軸断面よりも小さくなる。)。
上記の態様で、強度上のウィークポイントである上記接合部に作用する引張り真空応力が緩和される結果、陰極線管用ガラスバルブ1の真空破壊に対する強度が一層向上する。しかも、肉厚が相対的に小さい第2領域3e2を設けることによって、陰極線管用ガラスファンネル3、ひいては陰極線管用ガラスバルブ1の軽量化を図ることができる。このように、この実施形態の陰極線管用ガラスファンネル3、ひいてはこの実施形態の陰極線管用ガラスバルブ1は、強度と軽量化という相反する特性をバランスよく具備したものとなる。尚、図4〜図6において、図13及び図14に示す従来のファンネル13の外面を点線で表し、この実施形態のファンネル3の第2領域3e2が薄肉化されている状態を模式的に示している。
また、この実施形態では、第1領域3e1及び第2領域3e2をコーナ部3a3を除く範囲に設け、段差部3e3がコーナ部3a3に形成されないようにしているため、ファンネル3の成型時、コーナ部3a3のシールエッジ部3cに溶融ガラスが円滑に充填され、ガラスに微小なクラックが生じたり、プレス力が増大するといった不都合が回避される。従って、ファンネル3の成型性は良好である。特に、この実施形態では、第2領域3e2とコーナ部3a3とを段差がない状態で連続させ、さらに、段差部3e3に繋ぎ部3e11を設けているため、短軸側と長軸側から対角軸方向に向かう溶融ガラスの流れが円滑になり、成型性の向上に寄与する。
図11に示す実施形態は、ファンネル3の第1領域3e1の外面をモールドマッチライン3c2に向かって拡開する曲面(円弧面)としたものである。モールドマッチライン3c2における上記外面の接平面Z”と、管軸Zに平行な平面Z’とのなす角度Bは3°≦B≦15°の範囲内に設定している。これにより、ファンネル3をプレス成型する際の金型からの離型性を高めて、第1領域3e1の外面における成型金型とのすり傷の発生を防止し、第1領域3e1を設けたことによる効果を実効あらしめることができる。
図2に示す形態のパネル(フラットパネル)と図3〜9に示す形態のファンネル(但し、第1領域の外面は図11に示すような曲面とした。)とを封着用シールガラスで接合して、図1に示す形態の陰極線管用ガラスバルブを製作し(実施例1〜3)、図13及び14に示す従来の陰極線管用ガラスバルブ(従来例)と比較試験を行った。各実施例及び従来例ともに、対角軸最大外径76cm、バルブ偏向角度102°、アスペクト比16:9、ネック外径29.1mmであり、パネルは下記仕様のものを用いた。比較試験の結果を表1に示す。
[パネル仕様]
パネル中央肉厚:13.5mm
外面曲率半径(短軸方向):100000mm
外面曲率半径(長軸方向):100000mm
外面曲率半径(対角軸方向):100000mm
内面曲率半径(短軸方向):1480mm
内面曲率半径(長軸方向):6240mm
内面曲率半径(対角軸方向):5650mm
[段差部の範囲]
実施例1:XS=Xo、YS=Yo
実施例2:XS=Xr/2、YS=Yr/2
実施例3:ボディー部の全周(第1領域及び第2領域をボディー部の全周に形成)
[比較試験に基づく評価]
(実施例1及び2)
従来例に比較して、接合部における引張り真空応力の緩和効果、および、重量軽減効果が認められた。また、ファンネルの成型性も良好であった。さらに、この種のガラスバルブに必要とされる機械的強度の一基準として、引張り真空応力値を8.4MPa以下に抑えることを目安にすると、実施例1及び2は何れも引張り真空応力値(7.66MPa)が上記基準値(8.4MPa)を下回った。
(実施例3)
従来例に比較して、接合部における引張り真空応力の緩和効果、および、重量軽減効果が認められた。また、この種のガラスバルブに必要とされる機械的強度の一基準として、引張り真空応力値を8.4MPa以下に抑えることを目安にすると、実施例3は何れも引張り真空応力値(7.66MPa)が上記基準値(8.4MPa)を下回った。一方、実施例3は実施例1及び2に比較して、ファンネルの成型性が良好ではなかった。
比較試験の結果から明らかなように、実施例1〜3のファンネルは従来例と比較して、強度と軽量化という特性をバランスよく備えたものである。また、実施例1及び2のファンネルは成型性も良好である。
実施形態に係るガラスバルブの管軸と平行な方向の断面図である。 実施形態に係るパネルの斜視図である。 実施形態に係るファンネルの斜視図である。 ファンネルの管軸と平行な方向の部分断面図である。 ファンネルの大開口部の周辺部を示す部分拡大断面図である。 ファンネルの大開口部の周辺部を示す部分拡大断面図である。 ファンネルの大開口部の周辺部を示す部分拡大断面図である。 短軸及び長軸を含む90°範囲の象限において、段差部の在る範囲を概念的に示す図である。 ファンネルの大開口部の周辺部を示す部分拡大断面図である。 実施形態に係るガラスバルブに作用する真空応力分布を示す図である。 他の実施形態に係るファンネルの大開口部の周辺部を示す部分拡大断面図である。 ファンネルの成型時の状態を示す図である。 従来のガラスバルブの管軸と平行な方向の断面図である。 従来のガラスバルブにおけるパネルとファンネルの接合部の周辺部を示す拡大部分断面図である。 従来のガラスバルブに作用する真空応力分布を示す図である
符号の説明
1 ガラスバルブ
2 パネル
2b1 シールエッジ面
3 ファンネル
3a 大開口部
3b 小開口部
3c シールエッジ部
3c1 シールエッジ面
3c2 モールドマッチライン
3d ヨーク部
3e ボディー部
3e1 第1領域
3e2 第2領域
3e3 段差部

Claims (2)

  1. 短軸上の長辺、長軸上の短辺、及び前記長辺と短辺との間を繋ぐ対角軸上のコーナ部で形成される矩形状の大開口部を一端側に、他端側に小開口部を有する漏斗状をなし、前記大開口部のシールエッジ面からモールドマッチラインに至るシールエッジ部と、前記小開口部側に設けられ、偏向ヨークが装着されるヨーク部と、前記モールドマッチラインとヨーク部との間を繋ぐボディー部とを備えた陰極線管用ガラスファンネルにおいて、
    前記シールエッジ面の肉厚は、これに接合される陰極線管用ガラスパネルのシールエッジ面の肉厚とほぼ等しく、
    前記ボディー部は、前記シールエッジ面から管軸に平行な方向に所定寸法の第1領域と、前記第1領域を除く第2領域とを有し、
    前記第1領域は陰極線管を構成したときに、該陰極線管内の真空圧に起因する引張り真空応力が作用する領域内にあり、
    前記第2領域の肉厚は前記第1領域の肉厚に比べて小さく、そのために、前記第1領域と前記第2領域との境界部は前記ボディー部の外面において段差部を形成し、かつ、
    前記長辺側の段差部の最大段差ΔTLmaxと、前記短辺側の段差部の最大段差ΔTSmaxとが、ΔTSmax<ΔTLmaxの関係を有することを特徴とする陰極線管用ガラスファンネル。
  2. 実質的にフラットな外面を有するフェース部と、該フェースの周縁に連なるスカート部と、該スカート部の端面に設けられるシールエッジ面とを備えた陰極線管用ガラスパネルと、請求項1に記載の陰極線管用ガラスファンネルと、該陰極線管用ガラスファンネルの小開口部に接合され、電子銃が装着されるネック部とを備え、前記陰極線管用ガラスパネルのシールエッジ面と前記陰極線管用ガラスファンネルのシールエッジ面とが相互に接合されて構成される陰極線管用ガラスバルブ。

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