JP3473448B2 - 圧縮機およびその組立て方法 - Google Patents

圧縮機およびその組立て方法

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JP3473448B2
JP3473448B2 JP28244398A JP28244398A JP3473448B2 JP 3473448 B2 JP3473448 B2 JP 3473448B2 JP 28244398 A JP28244398 A JP 28244398A JP 28244398 A JP28244398 A JP 28244398A JP 3473448 B2 JP3473448 B2 JP 3473448B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、空気調和装置等に
用いられる圧縮機およびその組立方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来のスクロールコンプレッサは、図5
に示すように、フロントケーシング31内に駆動機構
(クランクシャフト32,軸受け33,オルダムリング
34)を有し、駆動機構によって旋回運動のみが許され
自転が防止された可動スクロール35と、この可動スク
ロール35に噛み合う固定スクロール36を有してい
る。固定スクロール36は、フロントケーシング31の
内周面に嵌合する円板状の鏡板36aを有し、鏡板36
aの外径面に、吸入圧と吐出圧とをシールするOリング
38を具備することができる第2のシール部39を形成
している。また固定スクロール36には渦巻き状の羽根
部36bおよび組立時に基準となる組立基準穴36cを
備えている。
【0003】固定スクロール36を組み付けるときに
は、鏡板36aの外径面とフロントケーシング31の内
周面とを嵌合させることによって固定スクロール36と
フロントケーシング31との芯を合わせを行い、同時に
固定スクロール36の鏡板36aに設けた第2のシール
部39に具備されたOリング38によって、吸入圧と吐
出圧のシールを行い、かつ固定スクロール36に設けた
組立基準穴36cにピン(図示せず)を嵌合させること
によって固定スクロール36の回転方向の位置決めを行
うようにしている。
【0004】また、フロントケーシング31の開口側に
は、開口側内周面と円筒部40aが嵌合するリアカバー
40が固定されており、リアカバー40は、その円筒部
40aに設けたOリング41を具備する第1のシール部
42で吐出圧と大気圧をシールすることにより、圧力容
器を構成している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た従来の構成では、通常フロントケーシング31内に固
定スクロール36を組み込む場合、固定スクロール36
はフロントケーシング31の内周面に貫通した形で設け
られている吐出穴43を通過しながらフロントケーシン
グ31内に組み込まなければならない。このため、鏡板
36aの外径面に設けた第2のシール部39にOリング
38を装着した状態で固定スクロール36をフロントケ
ーシング31へ組み込む場合、吐出穴43のエッジ部に
Oリング38が引っかかり切れてしまうという課題を有
していた。
【0006】また、上記構成において、固定スクロール
36をフロントケーシング31に組み込むとき、Oリン
グ38が吐出穴43を通過しなくてもよい構成にした場
合でも、固定スクロール36はフロントケーシング31
との芯合わせと同時に、組立基準穴36cによって回転
方向の位置決めを行わなければならない。一方、第2の
シール部39にOリング38を装着した状態では固定ス
クロール36をフロントケーシング31内に組み込む際
に、シールに必要なOリング38のつぶし代の確保が必
要となる。このため、固定スクロール36は回転方向を
調整しながら組み込むということが困難となり、固定ス
クロール36を組み込んだ後にOリング38等のシール
部材を装着しなけらばならないという課題を有してい
た。
【0007】すなわち以上のように、従来の構成では、
固定スクロール36、リアカバー40およびOリング3
8、41を事前に組み立てた状態のものをフロントケー
シング31へ組み付けるということができなかった。
【0008】本発明は、このような従来の課題を解決す
るものであり、固定スクロールをフロントケーシング内
に装着する際に、固定スクロール、リアカバー、および
シール部材等を、事前に一体組み立てした状態で容易に
装着できるようにし、しかも固定スクロールの芯出しお
よび回転方向の位置出しの容易な、シール部材の切れ等
の不具合を起こすことのない圧縮機を提供することを目
的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明は、フロントケーシングと、フロントケーシン
グに内蔵される流体を吸入・圧縮・吐出する圧縮ユニッ
トと、圧縮ユニットと連結された状態でフロントケーシ
ングの開口側内周面に嵌合しフロントケーシングを密封
するリアカバーとを備えた圧縮機において、フロントケ
ーシングの内周面と嵌合する圧縮ユニットの嵌合部に圧
縮ユニットの吐出圧と吸入圧とをシールする環状のシー
ル部材を嵌入したシール溝を設け、フロントケーシング
の開口側内周面と嵌合するリアカバーの嵌合部に圧縮ユ
ニットの吐出圧と大気圧とをシールする環状のシール部
材を嵌入したシール溝を設け、圧縮ユニットの嵌合部と
フロントケーシングの内周面との嵌合隙間Aと、リアカ
バーの嵌合部とフロントケーシングの開口側内周面との
嵌合隙間Bとの関係を、嵌合隙間A>嵌合隙間B、と設
定し、かつ各シール部材の位置を、圧縮ユニットが連結
されたリアカバーをフロントケーシングに嵌合する状態
において、各シール部材よりも先に圧縮ユニットの嵌合
部およびリアカバーの嵌合部がフロントケーシングの各
内周面に嵌合する位置としたものである。
【0010】また、上記フロントケーシングは、その内
周面の径を圧縮ユニットの嵌合部側よりもリアカバーの
嵌合部側が大きくなるように構成したものである。
【0011】上記構成により、圧縮ユニットをフロント
ケーシングへ組み込む際には、リアカバーと圧縮ユニッ
トを予め組立て、かつ吸入圧と吐出圧とのシールおよび
吐出圧と大気圧とのシールを行うシール部材を組み込ん
だ状態で、フロントケーシング内へ容易に組み込むこと
ができるとともに、シール部材(Oリング)が吐出口の
エッジで切れることもなく、組み立てが容易な圧縮機が
得られる。
【0012】また、圧縮ユニットをスクロール圧縮ユニ
ットとした場合においても、予め固定スクロールとリア
カバーを組み付け、シール部材を取り付けた状態でフロ
ントケーシングへの組み込みが可能となり、しかも固定
スクロールとフロントケーシングとの芯合わせおよび回
転方向の位置合わせも容易となり組立工数の削減が可能
となる。
【0013】さらに、フロントケーシングの内周径を圧
縮ユニットの嵌合部側よりもリアカバーの嵌合部側が大
きくなるように構成することにより、圧縮ユニットのフ
ロントケーシングへの組み込みに際し、シール部材の嵌
合ストローク(嵌合深さ)を短くすることができるた
め、より組み込み易くなるだけではなく、シール部材の
損傷も一層緩和される。
【0014】
【発明の実施の形態】上記目的を達成するために本発明
は、軸受け部を底部に有する有底円筒状のフロントケー
シングと、軸受け部に軸支されフロントケーシングの底
部から外部へ突出したクランクシャフトと、フロントケ
ーシング内に配置されかつ前記クランクシャフトの回転
に連動して流体を吸入・圧縮・吐出する圧縮ユニット
と、圧縮ユニットと連結した状態でフロントケーシング
の開口側内周面に嵌合しかつフロントケーシングを密封
する嵌合部を具備したリアカバーとを備えてなる圧縮機
において、前記圧縮ユニットに前記フロントケーシング
の内周面と嵌合する嵌合部を設け、前記圧縮ユニットの
嵌合部に圧縮ユニットの吐出圧と吸入圧とをシールする
環状のシール部材を嵌入したシール溝を設け、リアカバ
ーの嵌合部に圧縮ユニットの吐出圧と大気圧とをシール
する環状のシール部材を嵌入したシール溝を設け、圧縮
ユニットの嵌合部とフロントケーシングの内周面との嵌
合隙間Aと、リアカバーの嵌合部とフロントケーシング
の開口側内周面との嵌合隙間Bとの関係を、嵌合隙間A
>嵌合隙間B、と設定し、かつ各シール部材の位置を、
圧縮ユニットの連結されたリアカバーがフロントケーシ
ングに嵌合される状態において、各シール部材よりも先
に圧縮ユニットの嵌合部およびリアカバーの嵌合部がフ
ロントケーシングの各内周面に嵌合する位置としたもの
である。
【0015】また本発明は、圧縮ユニットを、固定スク
ロール鏡板とこの固定スクロール鏡板に直立した渦巻き
状の固定ラップとを有する固定スクロールと、旋回スク
ロール鏡板とこの旋回スクロール鏡板に直立して固定ス
クロール鏡板側に突出しかつ固定ラップと噛み合って三
日月形の圧縮空間を形成する渦巻き状の旋回ラップとを
有する旋回スクロールと、クランクシャフトにより旋回
スクロールを駆動する旋回部材からなる駆動機構と、旋
回スクロール鏡板面と平行に配置され旋回スクロールの
自転を阻止しながら固定スクロールに対して旋回運動を
許容する自転防止機構とを具備し、かつ旋回スクロール
の回転に連動して流体を吸入・圧縮・吐出するように構
成したスクロール圧縮ユニットとし、フロントケーシン
グの開口側内周面に嵌合するリアカバーの嵌合部に吐出
圧と大気圧とをシールするOリングを具備した第1のシ
ール部を設け、フロントケーシングの内周面と嵌合する
固定スクロール鏡板の嵌合部に吸入圧と吐出圧とをシー
ルするOリングを具備した第2のシール部を設け、さら
に固定スクロールとリアカバーのそれぞれに設けた連結
用嵌合部どうしの嵌合を介して連結する連結手段を具備
し、固定スクロール鏡板の嵌合部とフロントケーシング
の内周面との嵌合隙間Aと、リアカバーの嵌合部とフロ
ントケーシングの開口側内周面との嵌合隙間Bと、リア
カバーと固定スクロールの連結用嵌合部どうしの嵌合隙
間Cとの関係を、嵌合隙間A>嵌合隙間B≧嵌合隙間C
とし、かつ第1、第2のシール部の位置を、固定スクロ
ールの連結されたリアカバーがフロントケーシングに嵌
合される状態において、第1、第2のシール部よりも先
に固定スクロール鏡板の嵌合部およびリアカバーの嵌合
部がフロントケーシングの各内周面に嵌合する位置とし
たものである。
【0016】また本発明は、フロントケーシングの内周
面の径を圧縮ユニットまたは固定スクロール鏡板の嵌合
部よりもリアカバーの嵌合部側が大きくなるようにした
ものである。
【0017】また本発明は、組立て方法において、予め
前記のリアカバーと固定スクロールと第1、第2のシー
ル部を組み立て、この後、これらを、クランクシャフ
ト、自転防止機構および旋回スクロールを内蔵したフロ
ントケーシングに取り付けるようにしたものである。
【0018】また本発明は、固定スクロールとフロント
ケーシングのそれぞれに、組立基準穴を設け、リアカバ
ーに構成された第1のシール部を具備する嵌合部とフロ
ントケーシングの開口側内周面とを嵌合させて、固定ス
クロールの芯とフロントケーシングの芯とを合わせ、か
つ固定スクロールの回転方向の位置出しを固定スクロー
ルの組立基準穴にフロントケーシングを介して挿入され
たピンを嵌合させることによって組立てを行うようにし
たものである。
【0019】そして、上記構成によれば、リアカバーと
圧縮ユニットを予め組み立て、かつ吸入圧と吐出圧との
シールおよび吐出圧と大気圧とのシールを行うシール部
材を組み込んだ状態にて、フロントケーシング内に容易
に組み込むことができ、またシール部材が吐出穴のエッ
ジ等で切れることもなく、組立てが容易な圧縮機が得ら
れる。
【0020】また、圧縮ユニットをスクロール圧縮ユニ
ットとした場合においては、リアカバーと固定スクロー
ルとが嵌合隙間Cによってほぼ同芯状に組立てることが
でき、これらの第1、第2のシール部にOリングを装着
した状態でフロントケーシングに組み込む際に、第1、
第2のシール部のそれぞれのOリングがフロントケーシ
ングの内周面に嵌合するより先に固定スクロールの嵌合
部およびリアカバーの嵌合部が嵌合するため、それぞれ
のOリングがフロントケーシングの内周面に嵌合するま
での間は、前記のほぼ同芯に組立られた固定スクロール
とリアカバーは、フロントケーシングの回転方向に自由
度があり、容易に固定スクロールの回転方向の位置を合
わすことができる。そして同時に嵌合隙間Bによってリ
アカバーとフロントケーシングとの芯を合わせることが
でき、これによって、固定スクロールの芯をフロントケ
ーシングと合わせることが可能となり、次に第2のシー
ル部のOリングによって吸入圧と吐出圧のシールを行
い、第1のシール部のOリングによって吐出圧と大気圧
のシールを行い圧力容器を構成することができる。
【0021】また前述の固定スクロールおよびリアカバ
ーをフロントケーシングに嵌合する際、固定スクロール
がリアカバーよりも先に嵌合する場合には、嵌合隙間A
は一番大きい訳であるから、リアカバーが先に嵌合する
よりも回転方向の自由度はさらに大きくなり回転方向の
調整が行い易くなり、逆にリアカバーの方が先にフロン
トケーシングに嵌合する場合は、固定スクロールとフロ
ントケーシングの嵌合隙間Aの部分においてリアカバー
と固定スクロールの嵌合ずれを吸収してくれるという作
用を持つことは言うまでもないことである。
【0022】
【実施例】以下、本発明の一実施例について図面を参照
して説明する。
【0023】(実施例1)図1は、本発明の第1の実施
例のスクロールコンプレッサの組立状態を示す縦断面図
である。すなわち、1は有底円筒状のフロントケーシン
グで、その底部には、軸受け部であるベアリング3a、
3bによって軸支されるクランクシャフト2と、クラン
クシャフト2に連結された可動スクロール4のアンバラ
ンス量を打ち消すバランサー5a、5bと、可動スクロ
ール4の自転を許さず、旋回運動のみを許すオルダムリ
ング6と、オルダムリング6を保持するスロットプレー
ト7とが具備されている。
【0024】クランクシャフト2の先端には電磁クラッ
チ8が取り付けられており、これによって自動車等のエ
ンジンの回転がクランクシャフト2に伝達され、また必
要に応じてコンプレッサの運転をON/OFFすること
ができる。
【0025】フロントケーシング1の内周には、固定ス
クロール9に嵌合する嵌合部(内周面)1aと嵌合部1
aより外方の開口側の内周にリアカバー10と嵌合する
嵌合部(開口側内周面)1bを備えている。
【0026】また、図2(b)は本実施例の固定スクロ
ールの単品の断面図であり、固定スクロール9はフロン
トケーシング1の嵌合部1aにその外径面(嵌合部)9
aが嵌合する鏡板9bと、鏡板9bに直立し可動スクロ
ール4と噛み合い三日月状の圧縮空間を形成する渦巻き
状の固定ラップ9cとからなり、鏡板9bにはリアカバ
ー10との連結時に同芯状に嵌合する連結用嵌合部9d
と、その外径面9aに吸入圧と吐出圧をシールする弾性
部材からなるOリング11を装着できる環状のシール部
9e(第2のシール部)とを有している。また固定ラッ
プ9cに組立時には回転方向の位置基準となる組立基準
穴9fを有し、さらに鏡板9bのほぼセンターには吐出
穴12が設けられており、吐出弁13およびバルブリテ
ーナ14によって吐出穴12の開閉を行い、固定スクロ
ール9と可動スクロール4によって圧縮されたガスをリ
アカバー10内へ吐出している。
【0027】図2(a)は本実施例のリアカバーの単品
の断面図であり、リアカバー10は、フロントケーシン
グ1の開口側の嵌合部1bと嵌合する嵌合部10aと、
連結時に固定スクロール9の連結用嵌合部9dに嵌合す
る連結用嵌合部10bと、嵌合部10aに吐出圧と大気
圧とをシールするOリング15の装着できる環状のシー
ル部10c(第1のシール部)を備えている。
【0028】ここで固定スクロール9の鏡板9bの外径
面9aとフロントケーシング1の嵌合部1aとの嵌合隙
間Aと、リアカバー10の嵌合部10aとフロントケー
シング1の開口側の嵌合部1bとの嵌合隙間Bと、リア
カバー10と固定スクロール9のそれぞれの連結用嵌合
部10b、9dどうしの嵌合隙間Cとの間には、嵌合隙
間A>嵌合隙間B≧嵌合隙間Cの関係が成立するように
構成しており、かつフロントケーシング1の内周面に設
けた嵌合部1bは段部を介して嵌合部1aよりも大径に
している。
【0029】またここで、固定スクロール9のシール部
9eとリアカバー10のシール部10cの位置は、後述
のように、固定スクロール9を同芯状に連結したリアカ
バー10と共にフロントケーシング1に嵌合する状態に
おいて、Oリング11およびOリング15よりも先に鏡
板9bの外径面9aおよびリアカバー10の嵌合部10
aがフロントケーシング1の嵌合部1aおよび嵌合部1
bに嵌合する位置になるように設けている。
【0030】さらに、フロントケーシング1およびスロ
ットプレート7には同軸または、略同軸関係にある組立
基準穴1d、7aが設けられ、最終の固定スクロール9
の角度調整時に、フロントケーシング1の外側からピン
(図示せず)が挿入され、各組立基準穴1d、7a、9
fが同軸になるよう調整される。そして、組立基準穴1
dは組立て後はボルト1eにより密封される。
【0031】図3(a)〜図3(d)は、固定スクロー
ル9とリアカバー10を、それぞれの連結用嵌合部9
d、10bどうしで嵌合させ、ねじ締め等の結合手段に
より組立てし、シール部9e、10cにOリング11、
15をそれぞれ装着したものをフロントケーシング1へ
組み込んでいく状態を示した要部断面図である。すなわ
ち、図3(a)は予め組み立てておいた固定スクロール
9とリアカバー10をフロントケーシング1へ組み込む
前の状態を示し、図3(b)は組み立てられた固定スク
ロール9とリアカバー10を徐々にフロントケーシング
1内に挿入して行き、鏡板9bの外径面9aが嵌合部1
aに嵌合し始めた状態を示し、図3(c)は、さらに挿
入して行き、リアカバー10の嵌合部10aがフロント
ケーシング1の嵌合部1bに嵌合し始めた状態を示し、
図3(d)はOリング11、15が嵌合部1a、1bに
それぞれ嵌合し始めた状態を示す図である。
【0032】上記構成において、固定スクロール9とリ
アカバー10は一番嵌合隙間の小さい連結用嵌合部9d
と嵌合部10bの間でほぼ同芯状態に嵌合されており、
これにOリング11、15を装着した状態でフロントケ
ーシング1に組み込む場合、図3(b)に示すように、
まず第一に嵌合隙間Aにおける嵌合隙間の一番大きい鏡
板9bの外径面9aとフロントケーシング1の嵌合部1
aが嵌合されるため、この状態では固定スクロール9と
リアカバー10が組立られたものは、回転方向に十分自
由度を持っており、このときに組立基準穴1d、7a、
9fによって回転方向の位置決めを容易に行うことがで
きる。
【0033】次に、図3(c)に示すリアカバー10の
嵌合部10aがフロントケーシング1の嵌合部1bに嵌
合される訳であるが、このときの嵌合隙間Bは鏡板9b
の外径面9aとフロントケーシング1の嵌合部1aとの
隙間(嵌合隙間A)より小さくしているため、前記した
リアカバー10により、ほぼ同芯にて組立られた固定ス
クロール9の芯をフロントケーシング1の芯に合わせる
ことができる。このときでも、Oリング11、15はフ
ロントケーシングにまだ嵌合してないため回転方向への
微調整が可能であることは勿論のことである。
【0034】また、リアカバー10と一体の固定スクロ
ール9を、上記のようにしてフロントケーシング1内に
装着した後は、リアカバー10がフロントケーシング1
にねじ締結などの固定手段(図示せず)によって完全に
取り付けられることはいうまでもない。
【0035】(実施例2)図4は、第2の実施例のフロ
ントケーシングの壁に吐出穴1cを貫通して設けたスク
ロールコンプレッサの縦断面図である。
【0036】この実施例によれば、上記実施例1におけ
る効果の他に、フロントケーシング1に設けた嵌合部1
a、1bの径寸法の大きさが、嵌合部1a<嵌合部1
b、と異なっているため、固定スクロール9とリアカバ
ー10を事前に組立して、Oリング11,15をそれぞ
れのシール部9e、10cに装着した状態でフロントケ
ーシング1に組込む場合、Oリング11は軸方向には吐
出穴1cを通過するが径方向に逃げているため吐出穴1
cのエッジ部にOリング11がひっかかったりしてOリ
ング11が切れることを防ぐことができる。
【0037】なお、前述の2つの実施例では鏡板9bの
外径面9aの方がリアカバー10の嵌合部10aよりも
早くフロントケーシング1に嵌合する場合を示したが、
この順序が逆であっても同様の効果を得ることができ
る。
【0038】また、ここでは圧縮ユニットがスクロール
圧縮ユニットである場合の実施例を示したが、ロータリ
コンプレッサなどの他の圧縮ユニットであっても、圧縮
ユニットとリアカバーとOリングを予め組立た状態でフ
ロントケーシングに容易に組み込めるという効果は同様
である。
【0039】
【発明の効果】上記の実施例から明らかなように、本発
明は、軸受け部を底部に有する有底円筒状のフロントケ
ーシングと、前記軸受け部に軸支され前記フロントケー
シングの底部から外部へ突出して配置されたクランクシ
ャフトと、前記フロントケーシング内に配置されかつ前
記クランクシャフトの回転に連動して流体を吸入・圧縮
・吐出する圧縮ユニットと、前記圧縮ユニットと連結し
た状態で前記フロントケーシングの開口側内周面に嵌合
しかつフロントケーシングを密封する嵌合部を具備した
リアカバーとを備えてなる圧縮機において、フロントケ
ーシングの内周面に嵌合する圧縮ユニットの嵌合部に、
圧縮ユニットの吐出圧と吸入圧とをシールする環状のシ
ール部材を嵌入したシール溝を設け、フロントケーシン
グの開口側内周面に嵌合するリアカバーの嵌合部に、圧
縮ユニットの吐出圧と大気圧とをシールする環状のシー
ル部材を嵌入したシール溝を設け、圧縮ユニットとフロ
ントケーシングとの嵌合隙間Aと、リアカバーとフロン
トケーシングとの嵌合隙間Bの関係を、嵌合隙間A>嵌
合隙間Bと設定し、さらに前記各シール部材の位置を、
リアカバーをフロントケーシングに嵌合する状態におい
て、前記各シール部材よりも先に圧縮ユニットの嵌合部
およびリアカバーの嵌合部がフロントケーシングの各内
周面に嵌合する位置としたものである。
【0040】そしてこの構成によれば、リアカバーと圧
縮ユニットを予め組み立て、かつ吸入圧と吐出圧とのシ
ールおよび吐出圧と大気圧とのシールを行うシール部材
を組み込んだ状態にて、フロントケーシング内に容易に
組み込むことができ、しかも、圧縮ユニットとフロント
ケーシングとの嵌合隙間A>リアカバーとフロントケー
シングとの嵌合隙間Bと設定することにより、リアカバ
ーと圧縮ユニットの組み立て状態においてクランクシャ
フトとフロントケーシング軸受け部の軸芯合わせが行え
るため、クランクシャフトと圧縮ユニットに軸芯ずれが
ない状態でフロントケーシングとリアカバーの密封嵌合
が可能となり、またシール部材が吐出穴のエッジ等で切
れることなく、組立てやすい圧縮機が得られるという効
果を奏する。
【0041】また、圧縮ユニットをスクロール圧縮ユニ
ットとし、固定スクロールとフロントケーシングとの嵌
合隙間Aと、リアカバーとフロントケーシングとの嵌合
隙間Bと、リアカバーと固定スクロールの連結用嵌合部
どうしの嵌合隙間Cとの関係が、嵌合隙間A>嵌合隙間
B≧嵌合隙間Cを満足し、リアカバーに設けられた吐出
圧と大気圧をシールする第1のシール部および固定スク
ロールに設けられた吐出圧と吸入圧とをシールする第2
のシール部よりも、先に固定スクロールおよびリアカバ
ーがフロントケーシング側に嵌合するようにし、組み立
てに当たっては、リアカバーとフロントケーシングを嵌
合させることによって、固定スクロールの芯とフロント
ケーシングの芯とを合わせ、かつ固定スクロールの回転
方向の位置だしを固定スクロールに設けられた組立基準
穴によって行うようにしたものである。
【0042】そしてこの構成によれば、嵌合隙間Cによ
ってほぼ同芯に組立てられたリアカバーと固定スクロー
ルに、第1、第2のシール部のOリングを装着した状態
でフロントケーシングに組み込む際に、第1、第2のシ
ール部のOリングが、フロントケーシングに嵌合するよ
り先に固定スクロールおよびリアカバーがフロントケー
シングに嵌合するため、それぞれのOリングがフロント
ケーシングの内周面に嵌合するまでの間は、前記のほぼ
同芯に組立られた固定スクロールとリアカバーは、フロ
ントケーシングの回転方向に自由度があり、容易に固定
スクロールの回転方向の位置を合わすことができ、同時
に嵌合隙間Bによってリアカバーとフロントケーシング
の芯を合わせることができ、これによって、固定スクロ
ールの芯をフロントケーシングと合わせることができ、
次に第2のシール部のOリングによって吸入圧と吐出圧
のシールを行い、第1のシール部のOリングによって吐
出圧と大気圧のシールを行い圧力容器を構成することが
できるという効果を奏する。
【0043】また、嵌合隙間A>嵌合隙間B≧嵌合隙間
C、を満足し、かつフロントケーシングの内周面の径を
固定スクロールの嵌合部側よりもリアカバーとの嵌合部
側の方が大きくなるように形成したものである。
【0044】そしてこの構成によれば、フロントケーシ
ング内に固定スクロールを組み込む際に、シール部材の
嵌合ストロークを短くすることができるため、より組み
込み易くなるだけではなく、シール部材の損傷がより緩
和されるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例のスクロールコンプレッ
サの縦断面図
【図2】(a)同リアカバーの単品の横断面図 (b)同固定スクロールの単品の横断面図
【図3】(a)〜(d)同連結された状態の固定スクロ
ールとリアカバーがフロントケーシングに組み込まれて
いく様子を示した要部断面図
【図4】同第2の実施例のスクロールコンプレッサの縦
断面図
【図5】従来のスクロールコンプレッサの縦断面図
【符号の説明】
1 フロントケーシング 1a 嵌合部(内周面) 1b 嵌合部(開口側内周面) 2 クランクシャフト 4 可動スクロール 6 オルダムリング(自転防止機構) 9 固定スクロール 9a 外径面(嵌合部) 9b 鏡板(固定スクロール鏡板) 9c 固定ラップ 9d,10c 連結用嵌合部 9e シール部(第2のシール部) 9f 組立基準穴 10 リアカバー 10a 嵌合部(リアカバーの嵌合部) 10c シール部(第1のシール部) 11,15 Oリング
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平10−89786(JP,A) 実開 昭52−22205(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60H 1/32 F04B 39/14 F04C 18/02 F04C 29/00

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】軸受け部を底部に有する有底円筒状のフロ
    ントケーシングと、前記軸受け部に軸支され前記フロン
    トケーシングの底部から外部へ突出して配置されたクラ
    ンクシャフトと、前記フロントケーシング内に配置され
    かつ前記クランクシャフトの回転に連動して流体を吸入
    ・圧縮・吐出する圧縮ユニットと、前記圧縮ユニットと
    連結した状態で前記フロントケーシングの開口側内周面
    に嵌合しかつフロントケーシングを密封する嵌合部を具
    備したリアカバーとを備えてなる圧縮機において、前記
    圧縮ユニットに前記フロントケーシングの内周面と嵌合
    する嵌合部を設け、前記圧縮ユニットの嵌合部に圧縮ユ
    ニットの吐出圧と吸入圧とをシールする環状のシール部
    材を嵌入したシール溝を設け、前記リアカバーの嵌合部
    に前記圧縮ユニットの吐出圧と大気圧とをシールする環
    状のシール部材を嵌入したシール溝を設け、前記圧縮ユ
    ニットの嵌合部と前記フロントケーシングの内周面との
    嵌合隙間Aと、前記リアカバーの嵌合部と前記フロント
    ケーシングの開口側内周面との嵌合隙間Bとの関係を、
    嵌合隙間A>嵌合隙間B、と設定し、かつ前記各シール
    部材の位置を、前記圧縮ユニットの連結された前記リア
    カバーを前記フロントケーシングに嵌合する状態におい
    て、前記各シール部材よりも先に前記圧縮ユニットの嵌
    合部および前記リアカバーの嵌合部が前記フロントケー
    シングの各内周面に嵌合する位置とした圧縮機。
  2. 【請求項2】軸受け部を底部に有する有底円筒状のフロ
    ントケーシングと前記軸受け部に軸支持され前記フロン
    トケーシングの底部から外部へ突出して配置されたクラ
    ンクシャフトとを備え、前記フロントケーシング内に、
    固定スクロール鏡板とこの固定スクロール鏡板に直立し
    た渦巻き状の固定ラップとを有する固定スクロールと、
    旋回スクロール鏡板とこの旋回スクロール鏡板に直立し
    て前記固定スクロール鏡板側に突出しかつ前記固定ラッ
    プと噛み合って三日月形の圧縮空間を形成する渦巻き状
    の旋回ラップとを有する旋回スクロールと、前記クラン
    クシャフトにより前記旋回スクロールを駆動する旋回部
    材からなる駆動機構と、前記旋回スクロール鏡板面と平
    行に配置され前記旋回スクロールの自転を阻止しながら
    前記固定スクロールに対して旋回運動を許容する自転防
    止機構とを具備し、かつ前記旋回スクロールの回転に連
    動して流体を吸入・圧縮・吐出してなるスクロール圧縮
    ユニットを備え、さらに前記フロントケーシングの開口
    側内周面に嵌合し前記フロントケーシングを密封する嵌
    合部を具備したリアカバーを備えてなる圧縮機におい
    て、前記リアカバーの嵌合部に吐出圧と大気圧とをシー
    ルするOリングを具備した第1のシール部を設け、前記
    フロントケーシングの内周面と嵌合する前記固定スクロ
    ール鏡板の嵌合部に吸入圧と吐出圧とをシールするOリ
    ングを具備した第2のシール部を設け、さらに前記固定
    スクロールと前記リアカバーのそれぞれに設けた連結用
    嵌合部どうしの嵌合を介して連結する連結手段を具備
    し、前記固定スクロール鏡板の嵌合部と前記フロントケ
    ーシングの内周面との嵌合隙間Aと、前記リアカバーの
    嵌合部と前記フロントケーシングの開口側内周面との嵌
    合隙間Bと、前記リアカバーと前記固定スクロールの連
    結用嵌合部どうしの嵌合隙間Cとの関係を、嵌合隙間A
    >嵌合隙間B≧嵌合隙間Cとし、かつ前記第1、第2の
    シール部の位置を、前記固定スクロールの連結された前
    記リアカバーを前記フロントケーシングに嵌合する状態
    において、前記第1、第2のシール部よりも先に固定ス
    クロール鏡板の嵌合部および前記リアカバーの嵌合部が
    前記フロントケーシングの各内周面に嵌合する位置とし
    た圧縮機。
  3. 【請求項3】フロントケーシングの内周面の径は圧縮ユ
    ニットまたは固定スクロール鏡板の嵌合部側よりもリア
    カバーの嵌合部側の方が大きくなるようにした請求項1
    または2記載の圧縮機。
  4. 【請求項4】有底円筒状のフロントケーシングの底部に
    軸受け部を設け、前記軸受け部にクランクシャフトを軸
    支持し、前記クランクシャフトにスクロール圧縮ユニッ
    トを連結し、前記フロントケーシングの開口部に前記フ
    ロントケーシング内を密封状態に嵌合するリアカバーを
    取り付けることにより構成される圧縮機において、前記
    スクロール圧縮ユニットを、前記リアカバーに連結され
    る固定スクロールと、前記固定スクロールと対をなしか
    つ前記クランクシャフトによって駆動される旋回スクロ
    ールと、前記クランクシャフトによる前記旋回スクロー
    ルの自転を防止する自転防止機構とで構成し、前記固定
    スクロールを、前記フロントケーシング内に嵌合される
    固定スクロール鏡板とこの固定スクロール鏡板に直立し
    た渦巻き状の固定ラップより構成し、前記旋回スクロー
    ルを前記自転防止機構を介して前記クランクシャフトに
    連結される旋回スクロール鏡板と、この旋回スクロール
    鏡板に直立しかつ前記固定ラップと噛み合うことにより
    三日月形の圧縮空間を形成する渦巻き状の旋回ラップと
    より構成し、さらに前記フロントケーシングの開口側内
    周面と嵌合するリアカバーの嵌合部に吐出圧と大気圧と
    をシールするOリングを具備した第1のシール部を設
    け、かつ前記フロントケーシングの内周面と嵌合する前
    記固定スクロール鏡板の嵌合部に吸入圧と吐出圧とをシ
    ールするOリングを具備した第2のシール部を設け、さ
    らに前記固定スクロールと前記リアカバーにはそれぞれ
    に連結用嵌合部を設けかつこの連結用嵌合部どうしの嵌
    合を介して連結する連結手段を設け、前記固定スクロー
    ル鏡板の嵌合部と前記フロントケーシングの内周面との
    嵌合隙間Aと、前記リアカバーの嵌合部と前記フロント
    ケーシングの開口側内周面との嵌合隙間Bと、前記リア
    カバーと前記固定スクロールの連結用嵌合部どうしの嵌
    合隙間Cとの関係を、嵌合隙間A>嵌合隙間B≧嵌合隙
    間Cとし、かつ前記第1、第2のシール部の位置を、前
    記固定スクロールの連結された前記リアカバーを前記フ
    ロントケーシングに嵌合する状態において、前記第1、
    第2のシール部よりも先に前記固定スクロール鏡板の嵌
    合部および前記リアカバーの嵌合部が前記フロントケー
    シングの各内周面に嵌合するような位置とし、予め前記
    リアカバーと前記固定スクロールと前記第1、第2のシ
    ール部を組み立て、これらを前記クランクシャフト、前
    記自転防止機構および前記旋回スクロールを内蔵した前
    記フロントケーシングに取り付けるようにした圧縮機の
    組立て方法。
  5. 【請求項5】固定スクロールとフロントケーシングのそ
    れぞれに、組立基準穴を設け、リアカバーに構成された
    第1のシール部を具備する嵌合部をフロントケーシング
    の開口側内周に嵌合させて、前記固定スクロールの芯と
    前記フロントケーシングの芯とを合わせ、かつ前記固定
    スクロールの回転方向の位置出しを前記固定スクロール
    の組立基準穴に前記フロントケーシングを介して挿入さ
    れるピンを嵌合させることによって行う請求項4記載の
    圧縮機の組立て方法。
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