JP3473237B2 - 液晶ポリエステル樹脂組成物フィルムの製造方法 - Google Patents

液晶ポリエステル樹脂組成物フィルムの製造方法

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JP3473237B2 JP34115595A JP34115595A JP3473237B2 JP 3473237 B2 JP3473237 B2 JP 3473237B2 JP 34115595 A JP34115595 A JP 34115595A JP 34115595 A JP34115595 A JP 34115595A JP 3473237 B2 JP3473237 B2 JP 3473237B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶ポリエステル
樹脂組成物フィルムの製造方法に関する。更に詳しく
は、液晶ポリエステル樹脂組成物の溶液に該組成物の非
溶媒を加えて成膜することを特徴とする、薄く、ガスバ
リア性のある液晶樹脂ポリエステル組成物フィルムの安
定的、連続的製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】液晶ポリエステルは、液晶状態を有する
ドメインを形成するが、分子が剛直なため溶融状態でも
絡み合いを起こさず、低い剪断速度により分子鎖が流れ
方向に著しく配向する挙動を示し、一般に溶融型液晶
(サーモトロピック液晶)ポリマーとよばれている。液
晶ポリエステルはこの特異な挙動のため溶融流動性に優
れ、また高次の分子配向のため構造によっては300℃
以上の耐熱変形性を有し、電子部品をはじめ、OA、A
V部品、耐熱食器等の用途の成形体に用いられている。
【0003】一方、液晶ポリエステルよりなるフィルム
は、上記特性に加え、そのガスバリア性が優れることが
知られているが、適切なフィルム加工技術が確立されて
いないため、その特性を生かした用途展開がほとんどな
されていなかった。液晶ポリエステルフィルムの製造に
関しては、例えば特開昭63−49415号公報には単
軸エクストルーダーを用いた押し出しフィルムの製造方
法が開示されているが、液晶ポリエステルが押し出し方
向に配向する特性があるために、フィルムの縦方向(流
れ方向)の引っ張り強さ並びに引張弾性率に比べて、横
方向のそれらが弱くなる欠点が生じた。さらに、液晶ポ
リエステルは一般に固化速度が速いため、エクストルー
ダーを用いての押し出しフィルムを安定的に製造するこ
とは極めて難しかった。
【0004】またこのような液晶ポリエステルフィルム
の機械物性の異方性を緩和させるため、特表平4−50
6779号公報には互いに回転方向の異なる環状流路を
有する複数のダイを用いてフィルムを押し出し成形する
ことにより、実質上配向方向が互いに垂直なフィルム同
士の貼り合わせ品が得られ、上記問題点が解決される技
術が開示されている。しかし、この場合にも得られたフ
ィルムの厚みを薄くすることが難しく、30μm以下の
フィルムの製造が実質上困難であった。
【0005】一方、液晶ポリエステルフィルムを得る方
法として、特開昭62−648832号公報、特開平5
−186614号公報に液晶ポリエステルを有機溶媒に
溶解し、その溶液を流延してフィルムを得る方法が記載
されているが、連続的に製膜する方法ではないため生産
効率が低く、実用的でなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、薄
く、ガスバリア性のある液晶ポリエステル樹脂組成物の
フィルムを、安定的に連続的に製造する方法を提供しよ
うというものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、これらの
問題点を解決するため鋭意検討の結果、液晶ポリエステ
ル樹脂組成物を有機溶媒に溶解し、その溶液に該組成物
の非溶媒を加えて二相状態を形成させ、その界面に生成
した液晶ポリエステル樹脂組成物フィルムを引き取るこ
とで液晶ポリエステル樹脂組成物の連続製膜を行う方法
を見い出し、本発明に至った。
【0008】即ち本発明は、(A)液晶ポリエステル及
び(B)ポリカーボネート、ポリエステル、ポリメタク
リル酸メチル、ポリスチレン、エチレン共重合体、ポリ
オレフィンから選ばれた少なくとも1種の熱可塑性樹脂
を含有し、成分(A)と成分(B)の比率が、成分
(A)が56〜99重量%、成分(B)が44〜1重量
%である液晶ポリエステル樹脂組成物フィルムの製造方
法であって、該組成物を有機溶媒に溶解した溶液に該組
成物の非溶媒を加えて二相状態を形成させ、その界面に
生成した該組成物フィルムを引き取る、液晶ポリエステ
ル樹脂組成物フィルムの製造方法に係るものである。
【0009】
【発明の実施の形態】次に本発明を詳細に説明する。
【0010】本発明で使用される液晶ポリエステルはサ
ーモトロピック液晶ポリマーと呼ばれるポリエステルで
あり、(1)芳香族ジカルボン酸と芳香族ジオールと芳
香族ヒドロキシカルボン酸との組み合わせから誘導され
るもの、(2)異種の芳香族ヒドロキシカルボン酸から
誘導されるもの、(3)ポリエチレンテレフタレートな
どのポリエステルに芳香族ヒドロキシカルボン酸を反応
させたもの、等が挙げられ、400℃以下の温度で異方
性溶融体を形成するものである。なお、これらの芳香族
ジカルボン酸の代わりに、それらのエステル形成性誘導
体が使用されることもある。
【0011】該液晶ポリエステルの繰り返し構造単位と
しては下記のものを例示することができるが、本発明は
これらに限定されるものではない。
【0012】芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する繰
り返し構造単位
【化2】
【0013】芳香族ジカルボン酸に由来する繰り返し構
造単位:
【化3】
【0014】芳香族ジオールに由来する繰り返し構造単
位:
【化4】
【0015】
【化5】
【0016】耐熱性、機械的物性、加工性のバランスか
ら特に好ましいポリエステルは、下記式A1 で表される
繰り返し構造単位を少なくとも30モル%含むものであ
る。
【化6】
【0017】具体的には繰り返し構造単位の組み合わせ
が下記(a)〜(f)のものが好ましい。
【0018】(a):(A1 )、(B1 )または
(B1 )と(B1 )の混合物、および(C1)。 (b):(A1 )および(A2 )。 (c):(a)の構造単位の組み合わせのものにおい
て、A1 の一部をA2 で置き換えたもの。 (d):(a)の構造単位の組み合わせのものにおい
て、B1 の一部をB3 で置き換えたもの。 (e):(a)の構造単位の組み合わせのものにおい
て、C1 の一部をC3 で置き換えたもの。 (f):(b)の構造単位の組み合わせたものにB1
1 の構造単位を加えたもの。
【0019】基本構造となる(a)、(b)の液晶ポリ
エステルについては、それぞれ、例えば特公昭47−4
7870号公報、特公昭63−3888号公報等に記載
されている。
【0020】本発明において用いられる成分(B)の熱
可塑性樹脂は、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリ
メタクリル酸メチル、ポリスチレン、エチレン共重合
体、ポリオレフィンから選ばれた少なくとも1種の熱可
塑性樹脂である。液晶ポリエステル樹脂組成物を溶融混
練によって得る場合、液晶ポリエステルの溶融温度が高
いため、成分(A)と成分(B)の溶融粘度が大きく異
なってしまうなどの理由で、成分(B)の成分(A)へ
の分散不良等が懸念されることから、好ましくは、溶融
混練において成分(A)と反応が可能であるような反応
性基を持つエチレン共重合体、さらに好ましくはエポキ
シ基含有エチレン共重合体が挙げられる。
【0021】ポリエステルの具体例としては、ポリブチ
レンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート等が
挙げられ、ポリオレフィンの具体例としては、ポリプロ
ピレン、ポリイソブチレン等が挙げられる。
【0022】本発明において用いられる熱可塑性樹脂
(B)であるエチレン共重合体の好ましい例として、エ
チレン単位が50〜99. 9重量%、好ましくは60〜
90重量%、(b)不飽和カルボン酸グリシジルエステ
ル単位または不飽和カルボン酸グリシジルエーテル単位
が0. 1〜30重量%、好ましくは0. 5〜25重量
%、(c)エチレン系不飽和エステル化合物単位が0〜
50重量%、好ましくは0. 5〜40重量%からなるエ
ポキシ基含有エチレン共重合体が挙げられる。エポキシ
基含有共重合体の構成成分(a)、(b)および(c)
が上記の範囲内であると、得られる液晶ポリエステル樹
脂組成物の耐熱性や製膜加工性などの面で十分好まし
い。
【0023】エポキシ基含有エチレン共重合体において
(b)不飽和カルボン酸グリシジルエステル単位および
不飽和グリシジルエーテル単位を与える化合物は、それ
ぞれ下記一般式化7および化8で表される。
【0024】
【化7】 (Rはエチレン系不飽和結合を有する炭素数2〜13の
炭化水素)
【0025】
【化8】 (Rはエチレン系不飽和結合を有する炭素数2〜18の
炭化水素基であり、Xは−CH2 −O−または
【化9】 である。)
【0026】具体的には、グリシジルアリレート、グリ
シジルメタクリレート、イタコン酸グリシジルエステ
ル、アリルグリシジルエーテル、2−メチルアリルグリ
シジルエーテル、スチレン−p−グリシジルエーテルな
どが例示される。
【0027】また、かかるエポキシ基含有エチレン共重
合体には、(a)エチレン、(b)不飽和カルボン酸グ
リシジルエステルまたは不飽和グリシジルエーテル、お
よび(c)エチレン系不飽和エステル化合物の3元以上
の多元共重合体を使用することができる。
【0028】このエチレン系不飽和エステル化合物
(c)としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ア
クリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチ
ル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタク
リル酸ブチル等のカルボン酸ビニルエステルや、α,β
−不飽和カルボン酸アルキルエステル等が挙げられる。
特に酢酸ビニル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル
が好ましい。
【0029】係るエポキシ基含有エチレン共重合体の具
体例としては、例えば、エチレン単位とグリシジルメタ
クリレート単位およびアクリル酸エチル単位からなる共
重合体、エチレン単位とグリシジルメタクリレート単位
および酢酸ビニル単位からなる共重合体等が挙げられる
が、熱安定性の点からエチレン単位とグリシジルメタク
リレート単位およびアクリル酸メチル単位からなる共重
合体が好ましく用いられる。
【0030】また、該エポキシ基含有エチレン共重合体
のメルトインデックス[以下、MFRということがあ
る。測定はJIS K6760(190℃、2. 16k
g荷重)による]は、好ましくは0. 5〜100g/1
0分、さらに好ましくは2〜50g/10分である。メ
ルトインデックスはこの範囲外であってもよいが、メル
トインデックスが100g/10分を越えると組成物に
した時の機械物性の点で好ましくなく、0. 5g/10
分未満では成分(A)の液晶ポリエステルとの相溶性が
劣り好ましくない。
【0031】エポキシ基含有エチレン共重合体は、通常
不飽和エポキシ化合物とエチレンなどをラジカル発生剤
の存在下、500〜4000気圧、100〜300℃で
適当な溶媒や連鎖移動剤の存在下に共重合させる方法に
より製造される。また、ポリエチレンに不飽和エポキシ
化合物およびラジカル発生剤を混合し、押出機の中で溶
融グラフト重合させる方法によってもつくられる。
【0032】本発明で用いられる液晶ポリエステル樹脂
組成物における成分(A)と成分(B)の比率は、成分
(A)が56〜99重量%、好ましくは70〜98重量
%、成分(B)44〜1%、好ましくは30〜2重量%
である。成分(A)が56重量%未満であると該組成物
により得られるフィルムのガスバリア性が低下するので
好ましくない。
【0033】本発明における液晶ポリエステル樹脂組成
物を製造する方法に特に制限はなく、周知の方法を用い
ることができる。例えば、溶液状態で各成分を混合し、
溶媒を蒸発させるか、溶媒中に沈殿させる方法が挙げら
れる。工業的見地からみると、溶融状態で各成分を混練
する方法が好ましい。溶融混練には一般に使用されてい
る一軸または二軸の押出機、各種のニーダー等の混練装
置を用いることができる。特に二軸の高混練機が好まし
い。溶融混練に際しては、混練装置のシリンダー設定温
度は200〜360℃の範囲が好ましく、さらに好まし
くは230〜340℃である。また溶液状態で各成分を
混合した場合、その溶液に非溶媒を加えて製膜すること
もできる。
【0034】混練に際しては、各成分は予めタンブラー
またはヘンシェルミキサーのような装置で各成分を均一
に混合してもよいし、混合を省いて混練装置にそれぞれ
別個に定量供給する方法も用いることもできる。
【0035】本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物を溶
解する有機溶媒とは、単一溶媒、混合溶媒をとわず、液
晶ポリエステル樹脂組成物が溶解可能であれば特に限定
されない。該有機溶媒として、フェノールの核置換水素
の一部もしくは全部がフッ素に置換されたものまたはそ
の誘導体が挙げられる。好ましくは、テトラフルオロフ
ェノール、ペンタフルオロフェノールが挙げられる。
【0036】さらに、該有機溶媒として、これらの溶媒
にクロロホルム、塩化メチレン、テトラクロロエタン等
のハロゲン化物を芳香族ポリエステルの溶解性を著しく
低下させない限りにおいて加えた混合溶媒も用いること
ができる。液晶ポリエステル樹脂組成物の有機溶媒への
溶解性が低いことを考慮すると、溶解性の高い単一溶媒
にいったん溶解した後に、これらの溶媒を加えるほうが
好ましい。該有機溶媒として40℃前後と融点が高いテ
トラフルオロフェノール、ペンタフルオロフェノール等
の溶媒を用いる場合、それに前記の溶媒を加えることで
調製後の溶液の固化が防げるので好ましい。
【0037】液晶ポリエステル樹脂組成物をこれらの溶
媒に溶解する方法は特に限定されないが、液晶ポリエス
テル樹脂組成物をこれらの溶媒に加えて加熱しながら攪
拌を行うことが好ましい。
【0038】本発明で調製する液晶ポリエステル樹脂組
成物溶液の組成物の濃度は、液晶ポリエステル樹脂組成
物が溶解し、製膜可能であればどのような濃度でもよ
い。好ましいポリマー濃度の範囲は、該樹脂組成物中に
含まれる液晶ポリエステルの重量%に依存するが、具体
的には、液晶ポリエステル樹脂組成物中に液晶ポリエス
テルがx重量%含まれている場合、0. 005x〜0.
05x%が好ましく、0. 005x〜0. 03x%がさ
らに好ましい。ポリマー濃度が0. 05x%を越えると
液晶ポリエステル樹脂組成物の溶解に時間がかかりす
ぎ、完全溶解しないこともあり、0. 005x%未満で
は連続したフィルムを得ることが難しく好ましくない。
【0039】次に、本発明においては液晶ポリエステル
樹脂組成物を有機溶媒に溶解した溶液に、液晶ポリエス
テル樹脂組成物の非溶媒を加えて二相状態を形成させ
る。
【0040】本発明でいう液晶ポリエステル樹脂組成物
の非溶媒とは、液晶ポリエステル樹脂組成物が実質的に
溶解しない溶媒であり、溶解度が高くても0. 01重量
%であるような溶媒である。具体的には、アセトン、メ
タノール、エタノール、水等のいずれか1種を主成分と
する溶媒が挙げられる。これらの中でも、アセトン、メ
タノール、エタノールは、液晶ポリエステル樹脂組成物
を溶解させうる有機溶媒とは相溶し、溶解していた液晶
ポリエステル樹脂組成物を析出させることで、界面での
フィルム形成が容易であり、好ましい。
【0041】また、該非溶媒と液晶ポリエステル樹脂組
成物を溶解した溶液とが二相状態を形成するためには両
者に密度差があることが必要である。
【0042】液晶ポリエステル樹脂組成物を有機溶媒に
溶解した溶液と、液晶ポリエステル樹脂組成物の非溶媒
との界面に液晶ポリエステル樹脂組成物のフィルムが新
しく生成するので、これを引き取ることで該フィルムを
得ることができる。
【0043】実施の一形態を図1に示す。この図に示す
ような装置を用いると、液晶ポリエステル樹脂組成物フ
ィルムを順次引き取ると共に、液晶ポリエステル樹脂組
成物溶液を系内に順次補充することにより、液界面が安
定に保たれ、フィルムの引取りを連続的に続けることが
でき、安定して液晶ポリエステル樹脂組成物の連続フィ
ルムを製造することができる。また、該溶液濃度、フィ
ルム引取速度を変えることで生成するフィルムの厚みを
制御することができる。
【0044】このようにして製膜したフィルムを、直ち
に熱風乾燥して溶媒除去してもよいが、いったん、液晶
ポリエステル樹脂組成物を溶解しないが、該有機溶媒と
相溶する溶媒、例えばアセトン等の溶媒中に、フィルム
を通すことで溶媒を回収し、その後に熱風、自然乾燥さ
せることも好ましくされる。
【0045】なお、本発明で用いる液晶ポリエステル樹
脂組成物に対して、本発明の目的を損なわない範囲で、
非溶媒に溶解しない限り、染料、顔料、などの着色剤;
酸化防止剤;熱安定剤;帯電防止剤;界面活性剤などの
通常の添加剤を添加することができる。
【0046】
【実施例】以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこ
れらの実施例に限定されるものではない。
【0047】製膜した液晶ポリエステル樹脂組成物フィ
ルムの酸素透過率の測定方法についてはJIS K71
26A法に順じた方法で測定した。単位はcc/m2
24hr・1atmであり、フィルム厚み25μmに換
算した。
【0048】〔成分(B)の熱可塑性樹脂、エチレン共
重合体成分〕実施例で使用したエポキシ基含有エチレン
共重合体、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン
テレフタレートの諸物性及びエポキシ基含有エチレン共
重合体の組成は以下の通りである。 ・B−1:高圧ラジカル重合法により製造した共重合体 組成 エチレン/グリシジルメタクリレート/アクリル
酸メチル=67/3/30(重量比) MFR(190℃、荷重2.16kg)=9 曲げ剛性率=69kg/cm2(ASTM D747に
基づく) ・B−2:ポリエチレンテレフタレート(三菱レイヨン
(株)社製、商品名 ダイヤアロイTW90E) ・B−3:ポリカーボネート(住友ダウ(株)社製、商
品名CALIBRE 200−6) MFR(300℃、荷重1. 2kg)= 6
【0049】参考例1 〔成分(A)の液晶ポリエステル(A−1)〕p−アセ
トキシ安息香酸10. 8kg(60モル)、テレフタル
酸2. 49kg(15モル)、イソフタル酸0. 83k
g(5モル)および4,4’−ジアセトキシジフェニル
5. 45kg(20. 2モル)を櫛型攪拌翼をもつ重合
槽に仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら昇温しな
がら強力な攪拌下で重合させた。その後、系を徐々に冷
却し、200℃で得られたポリマーを系外へ取り出し
た。得られたポリマーを細川ミクロン(株)製のハンマ
ーミルで粉砕し、2. 5mm以下の粒子とした。これを
さらにロータリーキルン中で窒素雰囲気下に280℃で
3時間処理することによって、繰り返し単位が前記
1 、B1 、B2 、C2からなり、A1 :B1 :B2
2 のモル比が60:15:5:20であり、流動開始
温度が324℃の粒子状の液晶ポリエステルを得た。以
下、得られた液晶ポリエステルをA−1と略記する。こ
のポリマーは加圧下で340℃以上で光学異方性を示し
た。
【0050】参考例2 〔成分(A)の液晶ポリエステル(A−2)〕p−ヒド
ロキシ安息香酸16.6kg(12.1モル)と6−ヒ
ドロキシ−2−ナフトエ酸8.4kg(4.5モル)お
よび無水酢酸18.6kg(18.2モル)を櫛型攪拌
翼付きの重合槽に仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しな
がら昇温し、320℃で1時間、そしてさらに2.0t
orrの減圧下に320℃で1時間重合させた。この間
に、副生する酢酸を系外へ留出し続けた。その後、系を
徐々に冷却し、180℃で得られたポリマーを系外へ取
り出した。この得られたポリマーを前記のA−1と同様
に粉砕したあと、さらにロータリーキルン中で窒素雰囲
気下に240℃で5時間処理することによって、繰り返
し単位が前記A1、A2 からなり、A1 :A2 のモル比
が73:27であり、流動開始温度が270℃である粒
子状の液晶ポリエステルを得た。得られた液晶ポリエス
テルをA−2と略記する。このポリマーは加圧下で28
0℃以上の光学異方性を示した。
【0051】実施例1 液晶ポリエステル(A−1)が85重量%、およびエポ
キシ基含有エチレン共重合体(B−1)が15重量%の
組成で各成分を安定剤と共にヘンシェルミキサーで混合
した後、日本製鋼(株)製TEX−30型二軸押出機を
用いて、シリンダー設定温度3000℃〜360℃スク
リュー回転数200rpmで混練し、樹脂組成物のペレ
ットを得た。この樹脂組成物ペレット1. 0gをテトラ
フルオロフェノール128gに溶解した後、図1に示す
ようなガラス容器にいれ、その溶液上にアセトンを注い
だところ、溶液とアセトンが二相に分離し、二相の界面
にフィルムが生成することが観察された。
【0052】このようにして、界面で製膜されるフィル
ムを順次引き取ることで液晶ポリエステル樹脂組成物が
連続的に製膜された。引き取ったフィルム、特に溶液側
に接していた面にはテトラフルオロフェノールが残って
いた。該フィルムをアセトン中に通したところ、テトラ
フルオロフェノールはアセトンに溶解し、除去された。
【0053】さらに下層の組成物溶液を補充することで
製膜を連続的に行うことができた。溶媒除去後のフィル
ムはガラス上に引き伸ばし、室温で自然乾燥させた。得
られたフィルムの厚みは3〜7μmであった。このフィ
ルムの酸素透過率は1.4cc/m2 ・24hr・1a
tmであった。
【0054】実施例2 液晶ポリエステル(A−2)が85重量%、およびエポ
キシ基含有エチレン共重合体(B−1)が15重量%の
組成で各成分を安定剤と共にヘンシェルミキサーで混合
した後、日本製鋼(株)製TEX−30型二軸押出機を
用いて、シリンダー設定温度300〜360℃スクリュ
ー回転数200rpmで混練し、樹脂組成物のペレット
を得た。この樹脂組成物組成物ペレット1. 0gを、テ
トラフルオロフェノールを120g用いた以外は実施例
1と同様にして溶解し、この溶液にアセトンを加えて溶
液とアセトンの二相を形成させたところ、その界面にフ
ィルムが生成するのが確認された。
【0055】こうして実施例1と同様にして得られたフ
ィルムの厚みは4〜7μmであった。このフィルムの酸
素透過率は1.4cc/m2 ・24hr・1atmであ
った。
【0056】実施例3 液晶ポリエステル(A−1)0. 9g、およびポリエチ
レンテレフタレート(B−2)0. 1gをテトラフルオ
ロフェノール130gに実施例1と同様にして溶解し、
この溶液にアセトンを加えて溶液とアセトンの二相を形
成させたところ、その界面にフィルムが生成するのが確
認された。
【0057】以下、実施例1と同様にして製膜し、得ら
れたフィルムの厚みは4〜8μmであった。このフィル
ムの酸素透過率は1. 4cc/m2 ・24hr・1at
mであった。
【0058】実施例4 液晶ポリエステル(A−1)0. 95g、およびポリカ
ーボネート(B−3)0. 05gをテトラフルオロフェ
ノール158gに実施例1と同様にして溶解し、この溶
液にメタノールを加えて溶液とメタノールの二相を形成
させたところ、その界面にフィルムが生成するのが確認
された。
【0059】こうして実施例1と同様にして得られたフ
ィルムの厚みは4〜7μmであった。このフィルムの酸
素透過率は1. 3cc/m2 ・24hr・1atmであ
った。
【0060】
【発明の効果】本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物フ
ィルムの製造方法によると、薄く、ガスバリア性のある
液晶ポリエステル樹脂組成物フィルムを安定的に連続的
に製造することができる。また、溶液のポリマー濃度、
二相の界面からのフィルムの引取速度を制御することで
液晶ポリエステル樹脂組成物フィルムの膜厚を制御する
ことができ、特に従来の方法では得られなかった薄いフ
ィルムを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物フィルム
の製造方法で用いる装置の一例を示す概略図。
【符号の説明】
1・・・液晶ポリエステル樹脂組成物を溶解した溶液。 2・・・液晶ポリエステル樹脂組成物を溶解した溶液と
液晶ポリエステル樹脂組成物の非溶媒との界面。 3・・・液晶ポリエステル樹脂組成物の非溶媒。 4・・・引き出した液晶ポリエステル樹脂組成物フィル
ム。 5・・・補充用の液晶ポリエステル樹脂組成物を溶解し
た溶液。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−157162(JP,A) 特開 平2−307571(JP,A) 特開 平7−304936(JP,A) 特開 平2−96101(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G08J 5/00 - 5/24 G08L 1/00 - 101/14 G08G 63/00 - 64/42

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)液晶ポリエステル及び(B)ポリカ
    ーボネート、ポリエステル、ポリメタクリル酸メチル、
    ポリスチレン、エチレン共重合体、ポリオレフィンから
    選ばれた少なくとも1種の熱可塑性樹脂を含有し、成分
    (A)と成分(B)の比率が、成分(A)が56〜99
    重量%、成分(B)が44〜1重量%である液晶ポリエ
    ステル樹脂組成物フィルムの製造方法であって、該組成
    物を有機溶媒に溶解した溶液に該組成物の非溶媒を加え
    て二相状態を形成させ、その界面に生成した該組成物フ
    ィルムを引き取ることを特徴とする液晶ポリエステル樹
    脂組成物フィルムの製造方法。
  2. 【請求項2】液晶ポリエステル(A)が下式A1 で示さ
    れる繰り返し構造単位を液晶ポリエステル(A)全体の
    少なくとも30モル%含むことを特徴とする請求項1記
    載の液晶ポリエステル樹脂組成物フィルムの製造方法。 【化1】
  3. 【請求項3】エチレン共重合体が(a)エチレン単位が
    50〜99. 9重量%、(b)不飽和カルボン酸グリシ
    ジルエステル単位または不飽和グリシジルエーテル単位
    が0.1〜30重量%、(c)エチレン系不飽和エステ
    ル単位が0〜50重量%からなるエポキシ基含有エチレ
    ン共重合体であることを特徴とする請求項1記載の液晶
    ポリエステル樹脂組成物フィルムの製造方法。
  4. 【請求項4】液晶ポリエステル樹脂組成物を溶解させる
    有機溶媒が、フェノールの核置換水素の一部もしくは全
    部がフッ素で置換されたもの、またはその誘導体である
    ことを特徴とする請求項1記載の液晶ポリエステル樹脂
    組成物フィルムの製造方法。
  5. 【請求項5】非溶媒が、アセトン、メタノール、エタノ
    ールおよび水からなる群から選ばれた少なくとも1種で
    あることを特徴とする請求項1記載の液晶ポリエステル
    フィルムの製造方法。
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