JP3469394B2 - 架橋アルキルメタクリレート系重合体成形品 - Google Patents

架橋アルキルメタクリレート系重合体成形品

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JP3469394B2
JP3469394B2 JP14812896A JP14812896A JP3469394B2 JP 3469394 B2 JP3469394 B2 JP 3469394B2 JP 14812896 A JP14812896 A JP 14812896A JP 14812896 A JP14812896 A JP 14812896A JP 3469394 B2 JP3469394 B2 JP 3469394B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は架橋メタクリル系重
合体成形品に関する。より詳細には、本発明は、成形型
からの離型性に優れ、加熱下に曲げ加工したときに曲げ
加工部での内部歪みが生じず耐衝撃性に優れていて割れ
や破損の生じず、しかも透明感や色調に優れる高級感の
ある、無機充填剤を含有する架橋アルキルメタクリレー
ト系重合体成形品に関するものであり、そのため本発明
の成形品は、良好な作業性で生産性よく製造することが
でき、しかも加熱下に二次加工することによって目的と
する形状や構造の製品に低コストで容易に加工すること
ができ、そのような特性を活かして、システムキッチン
の天板、扉、壁、洗面化粧台の天板、ユニットバスの腰
壁、エプロン、出窓のカウンターなどの住宅用内装材や
設備をはじめとして広範な用途に有効に使用することが
できる。
【0002】
【従来の技術】アクリル樹脂は、その優れた耐候性と卓
越した透明感により、照明カバー、自動車部品、レンズ
およびプリズム等の光学部品等として広範囲の分野に用
いられている。さらに近年アクリル樹脂の用途拡大に伴
い、建材の内装部材等としても用途開発が行われ、例え
ばアクリル系の人工大理石が開発されている。アクリル
系の人工大理石は、通常メチルメタアクリレートを主成
分とする重合性高粘稠液体に、水酸化アルミニウムなど
の無機充填剤、装飾剤および重合開始剤を混合しセルキ
ャスト法または連続キャスト法などで板状に重合固化さ
れた後、所望の寸法に裁断し市販されている。その具体
的な用途としては、システムキッチンの天板、扉および
壁、洗面化粧台の天板、ユニットバスの腰壁およびエプ
ロン、出窓のカウンター類などがある。
【0003】しかしながら、アクリル樹脂からなる板状
体を上記したような用途に使用するに当たっては、使用
場所の寸法などに併せて、切削や切断などの加工が必要
であり、特に曲面の形成に当たってはその端面を所望の
曲率Rに削り出し、さらに研磨するなどの繁雑な工程が
必要であり、材料面や加工面でコストアップを招いてい
る。また、2〜3mmのアクリル樹脂の薄板状成形品で
加熱曲げ加工が可能とされている材料においても加工方
法が限定され、二次加工等によって形成した曲面部分に
は冷却歪みが残留し、外部からのわずかな衝撃で亀裂や
破損が発生するなどの問題がある。さらに、従来のアル
キルメタクリレート系樹脂よりなる人工大理石状成形品
の場合は、成形型からの離型性が悪く、良好な作業性で
生産性よく成形品を得ることが困難である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明の
目的は、曲げ加工性に優れていて、板状体などの成形品
を、切削加工や研磨加工によらずに、簡単に且つ円滑に
加熱下に曲げ加工することができ、曲げ加工を施したも
のでは内部歪みが生じておらず耐衝撃性に優れ、亀裂の
発生や破損のない、アルキルメタクリレート系重合体成
形品を提供することである。そして、本発明の目的は、
透明感があり、鮮明な色調を呈し、高級感のあるアルキ
ルメタクリレート系重合体成形品を提供することであ
る。さらに、本発明の目的は、成形型からの離型性に優
れていて、目的とする形状および寸法の成形品を、高い
寸法精度で、作業性および生産性良く得ることのできる
アルキルメタクリレート系重合体成形品に関する。
【0005】
【問題を解決するための手段】本発明者らは上記目的を
達成すべく種々検討を重ねてきた。その結果、その動的
粘弾性特性の各物性値、すなわち、動的粘弾性特性にお
ける損失弾性率(E”)のα分散ピーク温度、tanδ
のピーク値およびゴム状平坦領域160℃での貯蔵弾性
率が特定の値にある、無機充填剤を含有する架橋アルキ
ルメタクリレート系重合体成形品が、加熱下における曲
げ加工性が良好で冷却後に曲げ加工部に内部歪みが生じ
ず耐衝撃性に優れていて、亀裂や破損が生じないこと、
しかもそのような成形品は成形型からの離型性に優れて
いて、成形時の作業性および生産性が極めて良好になる
こと、さらに透明感があり色調が鮮明で高級感があるこ
とを見出して、本発明を完成するに至った。
【0006】すなわち、本発明は、無機充填剤を含有す
る架橋アルキルメタクリレート系重合体成形品であっ
て、 (i) 動的粘弾性特性における損失弾性率(E”)の
α分散ピーク温度が100℃以上である; (ii) 動的粘弾性特性におけるtanδのピーク値が
0.8以上である;および、 (iii) ゴム状平坦領域160℃における貯蔵弾性率
が30MPa以下である;という特性(i)〜(iii)
を備えていることを特徴とする、架橋アルキルメタクリ
レート系重合体成形品である。
【0007】
【発明の実施の形態】以下に本発明について詳細に説明
する。本発明の架橋アルキルメタクリレート系重合体成
形品は、アルキルメタクリレート単独重合体、または多
割合のアルキルメタクリレート単位と少割合の他のα,
β−エチレン性不飽和単量体からなる共重合単位を有す
るアルキルメタクリレート共重合体が架橋剤によって架
橋されている架橋アルキルメタクリレート系重合体から
なる成形品であって、該成形品は無機充填剤を含有して
いる。
【0008】本発明の架橋アルキルメタクリレート系重
合体成形品(以下単に「成形品」ということがある)
は、その動的粘弾性特性における損失弾性率(E”)の
α分散ピーク温度(以下単に「E”のα分散ピーク温
度」ということがある)が100℃以上であるという特
性を有していることが必要である[上記の特性
(i)]。動的粘弾性特性における損失弾性率(E”)
α分散ピーク温度が100℃未満であると、架橋アルキ
ルメタクリレート系重合体成形品を製造時に成形型から
の離型性が不良になって、成形時の作業性の低下および
生産性の低下を招く。成形品の離型性の向上などの点か
ら、架橋アルキルメタクリレート系重合体成形品のE”
のα分散ピーク温度は108℃以上であることがより好
ましい。架橋アルキルメタクリレート系重合体成形品の
E”のα分散ピーク温度の上限値は特に制限されない
が、実際にはE''のα分散ピーク温度の上昇によって、
tanδのピークが低下し、ゴム状平坦領域160℃に
おける貯蔵弾性率が増加するため、115℃以下である
ことが好ましい。
【0009】架橋アルキルメタクリレート系重合体成形
品のE”のα分散ピーク温度は、成形品中における直鎖
状重合体部分の割合が多くなるにつれて、また成形品に
おける架橋密度が減少するにつれて一般に低くなるの
で、架橋アルキルメタクリレート系重合体成形品の製造
に用いる直鎖状アルキルメタクリレート系重合体および
/または架橋剤の使用割合を調節することによって、架
橋アルキルメタクリレート系重合体成形品のE”のα分
散ピーク温度を100℃以上にすることができる。ま
た、架橋アルキルメタクリレート系重合体成形品のE”
のα分散ピーク温度は、成形品のガラス転移点に関連す
る温度であって、一般にガラス転移点が高くなるにつれ
て該α分散ピーク温度も高くなる。なお、本発明におけ
る架橋アルキルメタクリレート系重合体成形品のE”の
α分散ピーク温度は一般に次のようにして測定され、そ
の詳細については下記の実施例の項で記載するとおりで
ある。
【0010】[成形品のE”のα分散ピーク温度の測定
法]動的機械的熱分析法(DMTA法)により測定され
る。すなわち、曲げ、剪断、引っ張りなどのモード(本
発明においては曲げモード)において試料に正弦曲線応
力を加え、温度の関数として試料の損失弾性率E''を測
定し、そのピーク温度を求める。ここで、損失弾性率
E''は内部運動によって失われるエネルギーに相当する
粘性応答である。
【0011】さらに、本発明の架橋アルキルメタクリレ
ート系重合体成形品は、その動的粘弾性特性におけるt
anδのピーク値(以下単に「tanδのピーク値」と
いうことがある)が0.8以上であるという特性を有し
ていることが必要である[上記の特性(ii)]。成形品
のtanδのピーク値が0.8未満であると、板状体な
どの成形品を加熱下に曲げ加工して冷却したときに、曲
げ加工品における冷却歪みが大きくなって耐衝撃性が低
下し、曲げた部分やその近傍で亀裂や破損が生じ易くな
り、耐久性に優れる曲げ加工品を得ることができない。
成形品のtanδのピーク値が0.9以上であることが
曲げ加工性の向上の点からより好ましい。tanδのピ
ーク値の上限値は特に制限されないが、一般にtanδ
のピーク値が1.3以下であることが、実際的にはta
nδのピーク値増加により、E''のα分散ピーク温度が
低下するため好ましい。
【0012】架橋アルキルメタクリレート系重合体成形
品のtanδのピーク値は、成形品中における直鎖状重
合体部分の割合が多くなるにつれて、また成形品におけ
る架橋密度が減少するにつれて一般に高くなるので、架
橋アルキルメタクリレート系重合体成形品の製造に用い
る直鎖状アルキルメタクリレート系重合体および/また
は架橋剤の使用割合を調節することによって、架橋アル
キルメタクリレート系重合体成形品のtanδのピーク
値を0.8以上にすることができる。 なお、本発明における架橋アルキルメタクリレート系重
合体成形品のtanδのピーク値は、次のようにして測
定され、その詳細については下記の実施例の項に記載す
るとおりである。
【0013】[成形品のtanδのピーク値の測定法]
動的機械的熱分析法(DMTA法)により測定される。
すなわち、曲げ、剪断、引っ張りなどのモード(本発明
においては曲げモード)において試料に正弦曲線応力を
加え、温度の関数として試料の損失角の正接、すなわち
tanδを測定し、そのピーク値を求める。ここで、t
anδは無次元数であり、サイクルあたりの貯蔵弾性率
に対する損失弾性率の割合に等しいものである。
【0014】また、本発明の架橋アルキルメタクリレー
ト系重合体成形品は、そのゴム状平坦領域160℃にお
ける貯蔵弾性率が30MPa以下であるという特性を有
していることが必要である[上記の特性(iii)]。架
橋アルキルメタクリレート系重合体成形品のゴム状平坦
領域160℃における貯蔵弾性率(以下単に「160℃
での貯蔵弾性率」ということがある)が30MPaを超
えると、成形品の成形型からの離型性が不良になって、
成形品の製造時の作業性、生産性が低下し、しかも板状
などを呈する成形品を加熱下に曲げ加工して冷却したと
きに冷却歪みが大きくなって耐衝撃性が低下し、曲げた
部分やその近傍で亀裂や破損が生じ易くなり、耐久性に
優れる曲げ加工品を得ることができなくなる。成形品の
160℃での貯蔵弾性率は25MPa以下であることが
上記した成形品の離型性、曲げ加工性などの点からより
好ましい。成形品の160℃での貯蔵弾性率の下限値は
特に制限されないが、実際的にはゴム状平坦領域160
℃における貯蔵弾性率の低下により、E''のα分散ピー
ク温度が低下するため、10MPa以上であることが好
ましい。なお、本発明では、架橋アルキルメタクリレー
ト系重合体成形品の160℃での貯蔵弾性率は次のよう
にして測定され、その詳細については実施例の項に記載
するとおりである。
【0015】[成形品のゴム状平坦領域160℃におけ
る貯蔵弾性率の測定法]動的機械的熱分析法(DMTA
法)により測定される。すなわち、曲げ、剪断、引っ張
りなどのモード(本発明においては曲げモード)におい
て試料に正弦曲線応力を加え、温度の関数として試料の
貯蔵弾性率を測定し、そのゴム状平坦領域160℃にお
ける貯蔵弾性率を求める。ここで、貯蔵弾性率は弾性応
答であり、完全に回復可能なエネルギーに相当する。
【0016】本発明の架橋アルキルメタクリレート系重
合体成形品は上記した特性(i)〜(iii)の3つを同
時に備えていることが必要であり、そのいずれかが欠け
ていても、曲げ加工性、曲げ加工品における耐冷却歪み
性(耐衝撃性)、成形型からの離型性などの点に優れる
成形品を得ることができない。
【0017】また、本発明の架橋アルキルメタクリレー
ト系重合体成形品は、130℃での10%の加熱変形に
おける冷却歪みが80kg/cm2以下であることが好
ましく、成形品の該冷却歪みが80kg/cm2以下で
あることによって、板状等の成形品を加熱下に曲げ加工
した際に、冷却後の曲げ加工品における冷却歪みが低減
されて耐衝撃性が向上し、曲げた部分やその近傍での亀
裂や破損が一層生じにくくなる。なお、ここでいう、
「130℃での10%の加熱変形における冷却歪み」
は、次のようにして測定される。
【0018】[成形品の130℃での10%の加熱変形
における冷却歪みの測定法]成形品の片側を固定クラン
プで、もう一方の片側をロードセルを接続した引っ張り
可能なクランプで固定し、加熱炉中で試料温度が130
℃一定になるまで加熱する。その後、可動クランプにて
初期試料長さの110%になるまで引っ張って変形させ
る。その後、自然放冷し試料温度が50℃の時点でのロ
ードセルにかかる応力を冷却歪みとする。
【0019】本発明の架橋アルキルメタクリレート系重
合体成形品は、無機充填剤を含有する架橋アルキルメタ
クリレート系重合体成形品であって且つ上記した特性
(i)〜(iii)を同時に備えている成形品であればい
ずれでもよく、成形品を製造するための重合体原料の組
成、架橋剤の種類、無機充填剤の種類が含有量、各成分
の使用割合や混合方法、重合方法、架橋方法、成形方法
や成形条件などは特に制限されないが、そのうちでも、
本発明の架橋アルキルメタクリレート系重合体成形品
は、以下に説明する方法によって円滑に製造することが
できる。
【0020】すなわち、本発明の架橋アルキルメタクリ
レート系重合体成形品は、部分架橋アルキルメタクリレ
ート系ゲル状重合体(A);並びにアルキルメタクリレ
ート系重合体および架橋剤を含有するアルキルメタクリ
レート系シラップ(B)の少なくとも一方に、無機充填
剤(C)を配合した成形材料を用いて、加熱下に成形硬
化することによって製造することができる。
【0021】その際に、上記の部分架橋アルキルメタク
リレート系ゲル状重合体(A)としては、アルキルメタ
クリレート単独;アルキルメタクリレートを主成分とす
るα,β−エチレン性不飽和単量体混合物;およびアル
キルメタクリレート単独重合体またはアルキルメタクリ
レート系共重合体をアルキルメタクリレート中にまたは
アルキルメタクリレートを主成分とするα,β−エチレ
ン性不飽和単量体混合物中に溶解したアルキルメタクリ
レート系シラップから選ばれる重合体原料(A1)と、
架橋剤(A2)を含有する混合物を部分的に重合および
/または架橋したものが好ましく用いられる。
【0022】また、上記のアルキルメタクリレート系シ
ラップ(B)としては、アルキルメタクリレート単独重
合体またはアルキルメタクリレート単位から主としてな
るアルキルメタクリレートと他のα,β−エチレン性不
飽和単量体との共重合体を、アルキルメタクリレート中
にまたはアルキルメタクリレートから主としてなるα,
β−エチレン性不飽和単量体混合物中に溶解したシラッ
プ(B1)と架橋剤(B2)との混合物シラップが好まし
く用いられる。
【0023】上記において、重合体原料(A1)、およ
びシラップ(B1)では、それらの調製に用いられた全
単量体のモル量(すなわち重合体、単量体混合物および
/またはシラップの形成に用いられた全単量体の合計モ
ル量)に基づいて、アルキルアクリレートの使用割合が
50モル%以上であることが耐候性の点から好ましく、
60モル%以上であることがより好ましい。その場合に
好ましく用いられるアルキルメタクリレートとしては、
メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プ
ロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、
ブチルメタクリレートなどを挙げることができ、これら
のアルキルメタクリレートは1種のみを用いてもまたは
2種以上用いてもよい。そのうちでも、メチルメタクリ
レートが特に好ましく用いられる。
【0024】また上記において、重合体原料(A1)お
よび/またはシラップ(B1)の調製にアルキルメタク
リレートと共に他のα,β−エチレン性不飽和単量体を
用いる場合は、該他のα,β−エチレン性不飽和単量体
がモノマーの形態であるか、またはアルキルメタクリレ
ートとの共重合体の形態であるかを問わず、該他のα,
β−エチレン性不飽和単量体の割合が、アルキルメタク
リレートと他のα,β−エチレン性不飽和単量体の合計
モル量に基づいて50モル%以下であるのが好ましく、
40モル%以下であるのが好ましい。
【0025】アルキルメタクリレートと併用し得る他の
α,β−エチレン性不飽和単量体としては、例えば、主
成分として使用されるアルキルメタクリレート以外のア
ルキルメタクリレート(例えばメチルメタクリレートを
主成分として使用する場合はエチルメタクリレート、n
−プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレー
ト、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタク
リレート、ラウリルメタクリレート、シクロヘキシルメ
タクリレート等);メチルアクリレート、エチルアクリ
レート、プロピルアクリレート、2−エチルヘキシルア
クリレート、ラウリルアクリレート、シクロヘキシルア
クリレート等のアルキルアクリレート;2−ヒドロキシ
エチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレ
ート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロ
キシブチルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−クロ
ロプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−クロ
ロプロピルアクリレート等のヒドロキシアルキル(メ
タ)アクリレート;アクリル酸;メタクリル酸;(メ
タ)アクリル酸金属塩;塩化ビニル;酢酸ビニル;アク
リロニトニル;アクリルアミド;スチレン、α−メチル
スチレンなどのスチレン系単量体;ビニルトルエン、無
水マレイン酸などを挙げることができる。これらの単量
体の1種のみをアルキルメタクリレートと併用しても、
または2種以上をアルキルメタクリレートと併用しても
よい。
【0026】また、上記した部分架橋アルキルメタクリ
レート系ゲル状重合体(A)を形成するための重合体原
料(A1)として、アルキルメタクリレート単独重合体
またはアルキルメタクリレート系共重合体を含有するア
ルキルメタクリレート系シラップを用いる場合、或いは
上記したシラップ(B1)を用いる場合は、粘度が0.
1〜50ポイズの範囲であって、かつシラップ中におけ
るアルキルメタクリレート単独重合体および/またはア
ルキルメタクリレート共重合体の含有量がシラップの全
重量に基づいて3〜70重量%であるシラップを用いる
の好ましく、該単独重合体および/または共重合体の含
有量が20〜45重量%であるシラップがより好ましく
用いられる。
【0027】また 上記した部分架橋アルキルメタクリ
レート系ゲル状重合体(A)および/またはアルキルメ
タクリレート系シラップ(B)は、架橋アルキルメタク
リレート系重合体成形品の耐衝撃性の向上などの目的
で、必要に応じて、付加重合系ブロック共重合体を含有
していてもよい。その場合の付加重合系ブロック共重合
体としてはゴム的性質を持ったエラストマーが好ましく
用いられ、例えば、主として芳香族ビニル化合物単位か
らなる重合体ブロックと水素添加された1、2−結合量
が30%未満のポリブタジエンブロックからなる重合体
ブロックIと、水素添加されたポリイソプレンブロッ
ク、水素添加された1、2−結合量が30〜80%のポ
リブタジエンブロック及び水素添加されたイソプレン/
ブタジエン共重合体ブロックからなる群から選ばれる少
なくとも1種からなる重合体ブロックIIとからなるブロ
ック共重合体などを挙げることができる。上記したよう
な付加重合系ブロック共重合体を用いる場合は、その使
用量を、部分架橋アルキルメタクリレート系ゲル状重合
体(A)および/またはアルキルメタクリレート系シラ
ップ(B)の重量[(A)と(B)の両方を用いる場合
はその合計重量]に基づいて、0.2〜5重量%程度と
するのが、耐衝撃性の向上効果、架橋アルキルメタクリ
レート系重合体成形品における曲げ加工部の白化の防止
などの点から好ましい。
【0028】そして、部分架橋アルキルメタクリレート
系ゲル状重合体(A)の調製に用いる架橋剤(A2)お
よびアルキルメタクリレート系シラップ(B)の調製に
用いる架橋剤(B2)としては、分子内に少なくとも2
個の(メタ)アクリロイル基を有する単量体が好ましく
用いられる。より具体的には、例えば、1,3−プロピ
レングリコールジメタクリレート、1,4−ブチレング
リコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオール
ジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタ
クリレート、ジメチロールエタンジメタクリレート、
1,1−ジメチロールプロパンジメタクリレート、2,
2−ジメチロールプロパンジメタクリレート、トリメチ
ロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロー
ルプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロー
ルメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロール
メタンジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリ
レート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、
2,2−ビス〔4−(メタクリロキシエトキシ)フェニ
ル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(メタクリロキシペ
ンテノキシ)フェニル〕プロパン、1,4−ビス(メタ
クリロイルオキシメチル)シクロヘキシルジ(メタ)ア
クリレートなどを挙げることができ、これらの架橋剤は
単独でまたは2種以上混合して使用することができる。
上記したうちでも、ネオペンチルグリコールジメタクリ
レート、1,4−ビス(メタクリロイルオキシメチル)
シクロヘキシルジ(メタ)アクリレートが耐候性と成形
性とを両立させ得る点から好ましく用いられる。
【0029】架橋剤(A2)の使用量は、部分架橋アル
キルメタクリレート系ゲル状重合体(A)の調製に用い
る重合体原料(A1)100重量部に対して、5〜10
重量部であるのが好ましく、6〜9重量部であるのが好
ましい。また、架橋剤(B2)の使用量は、アルキルメ
タクリレート系シラップ(B)の調製に用いるシラップ
(B1)100重量部に対して、5〜10重量部である
のが好ましく、6〜9重量部であるのが好ましい。架橋
剤(A2)または架橋剤(B2)の使用量が、上記した5
重量部よりも少ないと、架橋アルキルメタクリレート系
重合体成形品の動的粘弾性特性におけるE”のα分散ピ
ーク温度が100℃よりも低くなり易く、そのため成形
品の成形型からの離型性が不良になり易い。一方、架橋
剤(A2)または架橋剤(B2)の使用量が、上記した1
0重量部を超えると、架橋アルキルメタクリレート系重
合体成形品の動的粘弾性特性におけるtanδのピーク
値が0.8よりも低くなり、しかもゴム状平坦領域16
0℃における貯蔵弾性率が30MPaよりもが高くなり
易く、そのため成形品の加熱下における曲げ加工性が低
下し、耐衝撃性が低下したものとなり易い。
【0030】また、部分架橋アルキルメタクリレート系
ゲル状重合体(A)およびアルキルメタクリレート系シ
ラップ(B)では、そこに含まれる直鎖状重合体の含有
量が、20〜40重量%[部分架橋アルキルメタクリレ
ート系ゲル状重合体(A)とアルキルメタクリレート系
シラップ(B)の両方を用いて架橋アルキルメタクリレ
ート系重合体成形品を製造する場合は両者の合計重量に
基づく]であることが好ましく、25〜35重量%であ
ることがより好ましい。直鎖状重合体の含有量が前記し
た20重量%未満の場合には、架橋アルキルメタクリレ
ート系重合体成形品の動的粘弾性特性におけるtanδ
のピーク値が0.8よりも小さくなり易く、更に成形品
のゴム状平坦領域160℃における貯蔵弾性率の値が3
0PMaよりも高くなり易く、それによって加熱下にお
ける曲げ加工性が低下して、冷却した曲げ加工品におけ
る歪みが大きくなって耐衝撃性に劣ったものとなり易
い。一方、直鎖状重合体の含有量が上記した40重量%
を超える場合には、架橋アルキルメタクリレート系重合
体成形品の動的粘弾性特性における損失弾性率(E”)
のα分散ピーク温度が100℃よりも低くなって成形型
からの離型性が不良になり易く、しかも溶融シラップが
高粘度となってシラップ自体の調製が困難になったり、
流動性が低下して取り扱い性や成形性が低下するなどの
問題が生じやすい。
【0031】部分架橋アルキルメタクリレート系ゲル状
重合体(A)は、例えば特開昭60−202128号公
報に記載されている方法などによって製造することがで
きる。すなわち、上記した重合体原料(A1)と架橋剤
(A2)を含む混合物に、例えば低温活性の重合開始剤
に添加して比較的低い温度(一般に約30〜80℃程
度)に加熱して重合体原料(A1)を部分的に重合させ
ることにより製造することができる。その際の低温活性
の重合開始剤の種類は特に制限されず、例えば2,2'−
アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニト
リル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロ
ニトリル)、アセチルシクロヘキシルスホニルパーオキ
サイド、イソブチリルパーオキサイド、クミルパーオキ
シネオデカノエート、ジイソプロピルパーオキシジカー
ボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネー
ト、ジミリスチルパーオキシカーボネート、ジ−(2−
エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、ジ−(メ
トキシイソプロピル)パーオキシジカーボネート、ジ−
(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネートなど
を挙げることができる。
【0032】そして、重合体原料(A1)と架橋剤
(A2)を含有する混合物を重合開始剤の存在下部分的
に重合させ部分架橋アルキルメタクリレート系ゲル状重
合体を製造するに当たっては、重合体含有率が80重量
%を越えない範囲で該重合体原料(A1)と架橋剤
(A2)との混合物中の重合体含有率よりも4〜65重
量%、更に好ましくは10〜60重量%、最も好ましく
は20〜65重量%増加させるようにして、部分架橋を
行うのが好ましい。
【0033】また、部分架橋アルキルメタクリレート系
ゲル状重合体の製造に当たって、低温活性の重合開始剤
と共に高温活性の重合開始剤を重合体原料(A1)を添
加しておいて、低温活性の重合開始剤が活性化されるが
高温活性の重合開始剤が活性化されない温度に加熱して
部分架橋アルキルメタクリレート系ゲル状重合体を形成
させ、それにより得られる部分架橋アルキルメタクリレ
ート系ゲル状重合体を用いて高温活性の重合開始剤の活
性温度で成形を行って加熱硬化した成形品を製造するよ
うにしてもよい。
【0034】そして、本発明の架橋アルキルメタクリレ
ート系重合体成形品中に含有させる無機充填剤(C)の
種類は特に制限されないが、水酸化アルミニウム、水酸
化マグネシウム、炭酸カルシウム、シリカ、フリットガ
ラスなどが好ましく用いられ、透明感に優れ、色調の鮮
明な成形品が得られるなどの点から水酸化アルミニウム
および/またはフリットガラスがより好ましく用いられ
る。
【0035】無機充填剤の添加量は、部分架橋アルキル
メタクリレート系ゲル状重合体(A)および/またはア
ルキルメタクリレート系シラップ(B)の重量100重
量部[(A)と(B)を併用する場合は両者合計重量1
00重量部]に対して、30〜200重量部であるのが
好ましく、60〜150重量部であるのがより好まし
い。無機充填剤の添加量が30重量部未満の場合は、重
合による体積収縮が大きくなって成形品の寸法安定性が
不良になり易く、一方200重量部を超えると成形品の
機械的強度が低下したものになり易い。
【0036】また、本発明の架橋アルキルメタクリレー
ト系重合体成形品には、意匠性を高める目的で、染顔料
などの着色剤、樹脂粒状物、天然石粒状等の模様材、有
機短繊維などの他の充填剤、種類の異なる他の樹脂など
を、本発明の目的を損なわない範囲で添加することがで
きる。
【0037】本発明の架橋アルキルメタクリレート系重
合体成形品の製造方法は特に制限されず、上記した特性
(i)〜(iii)を有する成形品を製造し得る方法であ
ればいずれも採用できる。例えば、上記した部分架橋ア
ルキルメタクリレート系ゲル状重合体(A)を用いて成
形品を製造する場合は、部分架橋アルキルメタクリレー
ト系ゲル状重合体(A)に無機充填剤(C)を混合し、
部分架橋アルキルメタクリレート系ゲル状重合体(A)
が成形温度で活性を示す重合開始剤を含有していない場
合は重合開始剤を添加し、重合開始剤の活性温度よりも
低い温度で混練して半硬化状の成形材料を調製し、それ
を成形型に入れて加熱硬化することによって架橋アルキ
ルメタクリレート系重合体成形品を得ることができる。
【0038】また、部分架橋アルキルメタクリレート系
ゲル状重合体(A)とアルキルメタクリレート系シラッ
プ(B)の両方を用いて成形品を製造する場合は、該ゲ
ル状重合体(A)、該シラップ(B)および無機充填剤
(C)を混合し、該ゲル状重合体(A)および/または
該シラップ(B)が成形温度で活性を示す重合開始剤を
含有していない場合は重合開始剤を添加し、重合開始剤
の活性温度よりも低い温度で混合または混練して、液状
または半硬化状の成形材料を調製し、それを成形型に入
れて加熱硬化することによって架橋アルキルメタクリレ
ート系重合体成形品を得ることができる。
【0039】また、重合体原料としてアルキルメタクリ
レート系シラップ(B)のみを用いて成形品を製造する
場合は、アルキルメタクリレート系重合体および架橋剤
を含有するアルキルメタクリレート系シラップ(B)に
無機充填剤(C)および重合開始剤を混合して液状また
はペースと状の成形材料を調製し、それを成形型に入れ
て加熱硬化することによって架橋アルキルメタクリレー
ト系重合体成形品を得ることができる。
【0040】また、上記した方法とは別に、アルキルメ
タクリレートまたはアルキルメタクリレートを主体とす
るα,β−エチレン性不飽和単量体混合物、アルキルメ
タクリレート単独重合体および/またはアルキルメタク
リレート系共重合体、架橋剤、無機充填剤および重合開
始剤をシラップの形成を経ることなくそのまま混合し
て、重合開始剤の活性温度未満の温度で混練してそのま
ま直接成形材料を調製し、その成形材料を成形型に入れ
て加熱硬化することによって架橋アルキルメタクリレー
ト系重合体成形品を製造する方法を採用してもよい。
【0041】また、さらに別の方法として、アルキルメ
タクリレートまたはアルキルメタクリレートを主体とす
るα,β−エチレン性不飽和単量体混合物、アルキルメ
タクリレート単独重合体および/またはアルキルメタク
リレート系共重合体、架橋剤および無機充填剤をシラッ
プの形成を経ることなくそのまま混合・混練した後、そ
れに重合開始剤を添加して重合開始剤の活性温度未満の
温度で更に混練を行って成形材料を調製し、その成形材
料を成形型に入れて加熱硬化することによって架橋アル
キルメタクリレート系重合体成形品を製造する方法を採
用してもよい。
【0042】上記したいずれの方法による場合も、成形
材料の調製(原料の混合)に当たっては、従来既知の混
合装置および/または混練装置を用いて行えばよく特に
制限はないが、例えば双腕型ニーダー等の低速混練機、
ディスパー等の高速撹拌機、スクリュー式混練機、混練
ロールなどを用いて行うことができる。
【0043】また、成形に当たっては、熱硬化性樹脂の
成形に従来から用いられる成形方法のうちから、成形材
料の性状などに応じて適した方法を選んで行えばよく、
成形方法は特に制限されず、例えば、圧縮成形法、注型
成形法、トランスファー成形法、射出成形法などを採用
して成形することができる。 成形品を製造するに当たって、成形材料中に含有させる
重合開始剤として、活性温度の異なる2種または3種以
上の重合開始剤を用いて、加熱下に成形を行うと、成形
品の厚みが大きい場合にも、例えば成形品の端部と中央
部とで硬化状などに大きな差が生じず、機械的強度や外
観などの点で均一性に優れる成形品を得ることができる
ので好ましい。
【0044】そして、上記した方法によって架橋アルキ
ルメタクリレート系重合体成形品を製造するに際して、
重合体原料中における直鎖状重合体の含有量、架橋剤の
含有量および無機充填剤の含有量などを、上述した好ま
しい範囲のうちから各々の状況により適したものに選択
して採用することによって、動的粘弾性特性における
E”のピーク温度が100℃以上、動的粘弾性特性にお
けるtanδのピーク値が0.8以上およびゴム状平坦
領域160℃における貯蔵弾性率が30MPa以下とい
う上記した特性(i)〜(iii)を備える本発明の架橋
アルキルメタクリレート系重合体成形品を円滑に得るこ
とができる。
【0045】本発明の架橋アルキルメタクリレート系重
合体成形品の形状、構造、寸法などは特に制限されず、
使用目的や用途などに応じて決めることができる。その
うちでも、本発明の架橋アルキルメタクリレート系重合
体成形品は加熱下での曲げ加工性に優れていて、曲げ加
工を施して所望の製品に円滑に製造することができる点
から、板状の成形品であることが望ましい。その場合
に、成形品の板厚を3mm以下にしておくと、熱伝導性
が良好になって曲げ加工時に加熱が均一に行われて、曲
げ加工品における内部の残留歪みが一層小さくなって耐
衝撃性が向上し、曲げ加工部分やその近傍での亀裂や破
損の発生が一層良好に防止される。
【0046】本発明の架橋アルキルメタクリレート系重
合体成形品は、上記したような良好な曲げ加工性、良好
な耐衝撃性、透明感と鮮明な色調など特性を活かして、
例えばシステムキッチンの天板、扉、壁、洗面化粧台の
天板、ユニットバスの腰壁、エプロン、出窓のカウンタ
ーなどの住宅用の内装材や設備用材をはじめとして広範
な用途に有効に使用することができる。
【0047】
【実施例】以下、実施例などにより本発明を具体的に説
明するが、本発明はこれらにより限定されない。なお、
以下の例において、部分架橋アルキルメタクリレート系
ゲル状重合体のゲル分率、成形時の離型性、成形品の動
的粘弾性特性における損失弾性率(E”)のα分散ピー
ク温度、動的粘弾性特性におけるtanδのピーク値、
ゴム状平坦領域160℃における貯蔵弾性率および冷却
歪み、並びに成形品の曲げ加工性の測定および評価は以
下のようにして行った。また、以下の実施例2および比
較例1〜4で用いた重合体、化合物および無機充填剤は
いずれも実施例1で用いたのと同じ製品である。
【0048】(1)部分架橋アルキルメタクリレート系
ゲル状重合体のゲル分率:下記の例で得られた部分架橋
アルキルメタクリレート系ゲル状重合体を2mm以下の
小片とし、その所定量を試料として採取してその重量
(x)を測定し、これを2%以下のハイドロキノンを添
加したアセトン中に入れてソックスレイ抽出器により5
0℃で10時間抽出処理する。次いで、アセトン中の残
留物を取り出し、これを−750mmHgの減圧状態で
80℃24時間乾燥後、その重量(y)を測定し、下記
の式から部分架橋アルキルメタクリレート系ゲル状重合
体のゲル分率を求める。
【0049】
【数1】ゲル分率(%)=(y/x)×100
【0050】(2)成形時の離型性:下記の例におい
て、成形品を成形型から割れや破損を生ずることなく円
滑に取り出せた場合を○(良好)、成形品が成形型から
離脱しにくく成形型からの取り出し時に割れや破損を生
じた場合を×(不良)として評価した。
【0051】(3)成形品の動的粘弾性特性における損
失弾性率(E")のα分散ピーク温度:下記の例で得られ
た成形品(縦1200mm、横2500mm、厚さ2m
m)を縦50mm、横1.5mm、厚さ2mmに切断
し、動的粘弾性測定装置(ポリマーラボラトリーズ社製
「PL−DMTA」)用いて、試料長手中央部に以下の
条件で昇温下に曲げの正弦曲線応力を加え、歪み振幅に
対する位相外応力コンポーネントの割合から温度の関数
として損失弾性率E''を測定し、E''のα分散ピーク温
度を求めた。測定条件 測定周波数:1Hz 動歪量 :32μm 測定モード:Dual Canti ドライブクランプ:Knife Edge 5mm 幅 フレーム長:16mm 測定温度 :30〜250℃ 昇温条件 :3℃/分
【0052】(4)成形品の動的粘弾性特性におけるt
anδのピーク値:下記の例で得られた成形品(縦12
00mm、横2500mm、厚さ2mm)を縦50m
m、横1.5mm、厚さ2mmに切断し、動的粘弾性測
定装置(ポリマーラボラトリーズ社製「PL−DMT
A」)用いて、試料長手中央部に以下の条件で昇温下に
曲げの正弦曲線応力を加え、サイクル当たりの貯蔵弾性
率に対する損失弾性率の割合から温度の関数としてta
nδを測定しtanδのピーク値を求めた。測定条件 測定周波数:1Hz 動歪量 :32μm 測定モード:Dual Canti ドライブクランプ:Knife Edge 5mm 幅 フレーム長:16mm 測定温度 :30〜250℃ 昇温条件 :3℃/分
【0053】(5)成形品のゴム状平坦領域160℃に
おける貯蔵弾性率:下記の例で得られた成形品(縦12
00mm、横2500mm、厚さ2mm)を縦50m
m、横1.5mm、厚さ2mmに切断し、動的粘弾性測
定装置(ポリマーラボラトリーズ社製「PL−DMT
A」)用いて、試料長手中央部に以下の条件で昇温下に
曲げの正弦曲線応力を加え、歪み振幅に対する位相内応
力コンポーネントの割合から温度の関数として貯蔵弾性
率E’を測定し、ゴム状平坦領域160℃における貯蔵
弾性率を求めた。測定条件 測定周波数:1Hz 動歪量 :32μm 測定モード:Dual Canti ドライブクランプ:Knife Edge 5mm 幅 フレーム長:16mm 測定温度 :30〜250℃ 昇温条件 :3℃/分
【0054】(6)成形品の冷却歪み: 下記の例で得られた成形品(縦1200mm、横25
00mm、厚さ2mm)をJIS K7113の1号試
験片の形状に切削する。 成形品の冷却歪み測定装置[(株)島津製作所製応
力試験装置「島津オートグラフSG−B」]のロードセ
ルクランプ間距離を100mmに設定した後、高温引っ
張り試験用の加熱炉をセットし、試験片と同じサンプル
(加熱炉の温度調整および測定に用いる)中に熱電対を
埋め込み、サンプル温度が130℃になるまで昇温す
る。 上記加熱炉の扉を開け、1分以内に試験片を上部クラ
ンプのみにセットし、扉を閉め130℃一定になるまで
約10分間保持する。 上記加熱炉の扉を開け、30秒以内に試験片と下部ク
ランプを固定し、扉を閉め130℃一定になるまで約5
分間保持する。 引っ張り速度100mm/minで試験片を10mm
引っ張り、1分間保持する。 上記加熱炉の扉を解放し、試験片を自然放冷する。 サンプル温度が50℃になった時点でのロードセルの
応力を測定し、試験片の断面積で割って試験片1cm
当たりの冷却歪みを求める。
【0055】(7)成形品の曲げ加工性:各例で成形品
を曲げ加工性して得られた曲げ加工品を用いて、JIA
K4401に準じて、曲げ加工部分に球を落下させる
落球衝撃試験を行い、その結果を目視により観察し、曲
げ加工部分に割れが生じていない場合を○(良好)、割
れが生じている場合を×(不良)として評価した。
【0056】《実施例1》 (1) 粘度平均重合度1300の直鎖状ポリメチルメ
タクリレート[(株)クラレ製HRビーズ]を30重量
部、メチルメタクリレートモノマー63.5重量部、付
加重合系ブロック共重合体[(株)クラレ製「セプトン
2002」]1重量部、1,4−ビス(メタクロイルオ
キシメチル)シクロヘキシルジメタクリレート[日本化
薬(株)製「R604」]3.4重量部、ネオペンチル
グリコールジメタクリレート[新中村化学(株)製「N
KエシテルNPG−DM」]2.1重量部を溶解して得
たシラップの100重量部に対し、重合開始剤として
2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチル
バレロニトリル)0.0013重量部、1,4(8)−
p−メンタジエン(重合調節剤)0.003重量部、2
−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾ
トリアゾール(紫外線吸収剤)0.1重量部を添加溶解
し調合液を調製した。 (2) 上記(1)で得られた調合液を2枚のガラス板
で間隔20mmになるように組立てられたセルに注入
し、60℃で2時間重合を行ってゲル分率15.2%の
部分架橋アルキルメタクリレート系ゲル状重合体を得
た。 (3) 上記(2)で得られた部分架橋アルキルメタク
リレート系ゲル状重合体100重量部に対し、水酸化ア
ルミニウム(平均粒径8μm)120重量部、1,1−
ビス(t−ブチルパ−オキシ)−3,3,5−トリメチ
ルシクロヘキサン[化薬アグゾ(株)製「トリゴノック
ス29−N75」]0.813重量部、t−ブチルパー
オキシイソプロピルカーボネイト[化薬アグゾ(株)製
「カヤカルボンBIC−75」]0.599重量部、
1,3−ビス(t−ブチルパ−オキシイソプロピル)ベ
ンゼン[化薬アグゾ(株)製「パ−カドックス14」]
0.430重量部を添加して、加圧型ニーダー[(株)
森山製作所製「D1−5」]で20分間室温で撹拌混合
して半硬化状成形材料を得た。
【0057】(4) 上記(3)で得た半硬化状成形材
料を1250mm×2500mmの予め130℃に加熱
した平型の金型に載せ、金型を閉じて10kg/cm
で30秒間加熱した後、100kg/cmで5分間保
圧した。その後金型を100℃まで冷却してから内容物
を取り出し、縦1250mm、横2500mm、厚さ2
mmの成形品を得た。 (5) 上記(4)で得られた成形品について動的粘弾
性特性を測定したところ、E”のα分散ピーク温度が1
09℃、tanδのピーク値が1.19、ゴム状平坦領
域160℃におけるE’値が13.2MPaであった。
また、冷却歪みを測定したところ47.5kg/cm
であった。 (6) 上記(4)で得られた成形品について、成形品
と裏打ち材(20mmの合板)の接着面にゴム系接着剤
を塗布し、アイロンベンダー方式によって加熱温度14
0℃で曲率半径10mmの加熱曲げ加工を行ったとこ
ろ、曲げ加工し冷却した製品には割れの発生は認められ
なかった。更にここで得られた曲げ加工品を用いて上記
したようにJIS K4401に基づいて落球衝撃試験
を行ったところ割れは認められなかった。
【0058】《実施例2》 (1) 粘度平均重合度1300の直鎖状ポリメチルメ
タクリレート25重量部、メチルメタクリレートモノマ
ー67.2重量部、付加重合系ブロック共重合体1重量
部、1,4−ビス(メタクロイルオキシメチル)シクロ
ヘキシルジメタクリレート3.4重量部、ネオペンチル
グリコールジメタクリレート3.4重量部を溶解して得
たシラップの100重量部に対し、重合開始剤として
2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチル
バレロニトリル)0.0013重量部、1,4(8)−
p−メンタジエン0.003重量部、2−(2’−ヒド
ロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール
0.1重量部を添加溶解し調合液を調製した。 (2) 上記(1)で得られた調合液を実施例1と同様
の操作を行いゲル分率17.7%の部分架橋アルキルメ
タクリレート系ゲル状重合体を得た。 (3) 上記(2)で得られた部分架橋アルキルメタク
リレート系ゲル状重合体100重量部に対し、水酸化ア
ルミニウムを120重量部、1,1−ビス(t−ブチル
パ−オキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン
0.734重量部、t−ブチルパーオキシイソプロピル
カ−ボネイト0.541重量部、1,3−ビス(t−ブ
チルパーオキシイソプロピル)ベンゼン0.389重量
部を添加し、実施例1で使用したのと同じ加圧型ニーダ
ーで20分間室温で撹拌混合して、半硬化状成形材料を
得た。
【0059】(4) 上記(3)で得た半硬化状成形材
料を実施例1と同様な操作を行い、縦1250mm、横
2500mm、厚さ2mmの成形品を得た。 (5) 上記(4)で得られた成形品について動的粘弾
性特性を測定したところ、E”のα分散ピーク温度が1
10℃、tanδのピーク値が1.17、ゴム状平坦領
域160℃におけるE’値が15.8MPaであった。
また、成形品の冷却歪みを測定したところ62.3kg
/cmであった。 (6) 上記(4)で得られた成形品について、実施例
1の(6)と同様にして裏打ち材を接着して加熱温度1
40℃で曲率半径10mmの加熱曲げ加工を行ったとこ
ろ、曲げ加工し冷却した製品には割れの発生は認められ
なかった。更にここで得られた曲げ加工品を用いて上記
したようにJIS K4401に基づいて落球衝撃試験
を行ったところ割れは認められなかった。
【0060】《比較例1》 (1) 粘度平均重合度1300の直鎖状ポリメチルメ
タクリレート15重量部、メチルメタクリレートモノマ
ー77.8重量部、付加重合系ブロック共重合体1重量
部、1,4−ビス(メタクロイルオキシメチル)シクロ
ヘキシルジメタクリレート3.88重量部、ネオペンチ
ルグリコールジメタクリレート2.32重量部を溶解し
て得たシラップの100重量部に対し、2,2’−アゾ
ビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリ
ル)0.0013重量部、1,4(8)−p−メンタジ
エン0.003重量部、2−(2’−ヒドロキシ−5’
−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール0.1重量部を
添加溶解し調合液を調製した。 (2) 上記(1)で得られた調合液を実施例1と同様
の操作を行いゲル分率19.0%の部分架橋アルキルメ
タクリレート系ゲル状重合体を得た。 (3) 上記(2)で得られた部分架橋アルキルメタク
リレート系ゲル状重合体100重量部に対し、水酸化ア
ルミニウム、1,1−ビス(t−ブチルパ−オキシ)−
3,3,5−トリメチルシクロヘキサン0.872重量
部、t−ブチルパーオキシイソプロピルカ−ボネイト
0.642重量部、1,3−ビス(t−ブチルパーオキ
シイソプロピル)ベンゼン0.462重量部を添加し、
実施例1で使用したのと同じ加圧型ニーダーで20分間
室温で撹拌混合して、半硬化状成形材料を得た。
【0061】(4) 上記(3)で得た半硬化状成形材
料を実施例1と同様な操作を行い、縦1250mm、横
2500mm、厚さ2mmの成形品を得た。 (5) 上記(4)で得られた成形品について動的粘弾
性特性を測定したところ、E”のα分散ピーク温度が1
12℃、tanδのピーク値が0.78、ゴム状平坦領
域160℃におけるE’値が31.6MPaであった。
また、成形品の冷却歪みを測定したところ81.9kg
/cmであった。 (6) 上記(4)で得られた成形品について、実施例
1の(6)と同様にして裏打ち材を接着して加熱温度1
40℃で曲率半径10mmの加熱曲げ加工を行ったとこ
ろ、曲げ加工し冷却した製品にはその曲げ加工部分に既
に割れの発生が認められた。
【0062】《比較例2》 (1) 粘度平均重合度1300の直鎖状ポリメチルメ
タクリレート30重量部、メチルメタクリレートモノマ
ー59.5重量部、付加重合系ブロック共重合体1重量
部、1,4−ビス(メタクロイルオキシメチル)シクロ
ヘキシルジメタクリレート4.76重量部、ネオペンチ
ルグリコールジメタクリレート4.76重量部を溶解し
て得たシラップの100重量部に対し、重合開始剤とし
て2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチ
ルバレロニトリル)0.0013重量部、1,4(8)
−p−メンタジエン0.003重量部、2−(2’−ヒ
ドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール
0.1重量部を添加溶解して調合液を調製した。 (2) 上記(1)で得られた調合液を実施例1と同様
の操作を行いゲル分率18.6%の部分架橋アルキルメ
タクリレート系ゲル状重合体を得た。 (3) 上記(2)で得られた部分架橋アルキルメタク
リレート系ゲル状重合体100重量部に対し、水酸化ア
ルミニウム120重量部、1,1−ビス(t−ブチルパ
ーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン−
N75)0.607重量部、t−ブチルパ−オキシイソ
プロピルカ−ボネイト0.447重量部、1,3−ビス
(t−ブチルパ−オキシイソプロピル)ベンゼン0.3
21重量部を添加し、実施例1で用いたのと同じ加圧型
ニーダーで20分間室温で撹拌混合して、半硬化状成形
材料を得た。
【0063】(4) 上記(3)で得た半硬化状成形材
料を実施例1と同様な操作を行い、縦1250mm、横
2500mm、厚さ2mmの成形品を得た。 (5) 上記(4)で得られた成形品について動的粘弾
性特性を測定したところ、E”のα分散ピーク温度が1
11℃、tanδのピーク値が0.76、ゴム状平坦領
域160℃におけるE’値が32.4MPaであった。
また、成形品の冷却歪みを測定したところ84.5kg
/cmであった。 (6) 上記(4)で得られた成形品について、実施例
1の(6)と同様にして裏打ち材を接着し、アイロンベ
ンダー方式によって加熱温度140℃で曲率半径10m
mの加熱曲げ加工を行ったところ、曲げ加工後に冷却し
た曲げ加工品の曲げ加工部分に既に割れの発生が認めら
れた。
【0064】《比較例3》 (1) 粘度平均重合度1300の直鎖状ポリメチルメ
タクリレート30重量部、メチルメタクリレートモノマ
ー66.2重量部、付加重合系ブロック共重合体1重量
部、1,4−ビス(メタクロイルオキシメチル)シクロ
ヘキシルジメタクリレート1.4重量部、ネオペンチル
グリコールジメタクリレート1.4重量部を溶解して得
たシラップの100重量部に対し、2,2’−アゾビス
(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)
0.0013重量部、1,4(8)−p−メンタジエン
0.003重量部、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メ
チルフェニル)ベンゾトリアゾール0.1重量部を添加
溶解して調合液を調製した。 (2) 上記(1)で得られた調合液を実施例1と同様
の操作を行いゲル分率17.0%の部分架橋アルキルメ
タクリレート系ゲル状重合体を得た。 (3) 上記(2)で得られた部分架橋アルキルメタク
リレート系ゲル状重合体100重量部に対し、水酸化ア
ルミニウム120重量部、1,1−ビス(t−ブチルパ
−オキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン
0.773重量部、t−ブチルパーオキシイソプロピル
カーボネイト0.568重量部、1,3−ビス(t−ブ
チルパーオキシイソプロピル)ベンゼン0.408重量
部を添加して、実施例1で使用したのと同じ加圧型ニー
ダーで20分間室温で撹拌混合して、半硬化状成形材料
を得た。
【0065】(4) 上記(3)で得た半硬化状成形材
料を1250mm×2500mmの予め130℃に加熱
した平型の金型に載せ、金型を閉じて10kg/cm
で30秒間加熱した後、100kg/cmで5分間保
圧した。その後金型を100℃まで冷却してから内容物
を取り出そうとしたところ金型からの離型性が悪く円滑
に取り出せず、無理に取り出したところ割れを生じて正
規の成形品が得られなかった。 (5) 上記(4)で得られた割れの生じた成形品の一
部を試料として用いて、その動的粘弾性特性を測定した
ところ、E”のα分散ピーク温度が98℃、tanδの
ピーク値1.21、ゴム状平坦領域160℃における
E’値が13.0MPaであった。
【0066】《比較例4》 (1) 粘度平均重合度1300の直鎖状ポリメチルメ
タクリレート20重量部、メチルメタクリレートモノマ
ー72.8重量部、付加重合系ブロック共重合体1重量
部、1,4−ビス(メタクロイルオキシメチル)シクロ
ヘキシルジメタクリレート3.8重量部、ネオペンチル
グリコールジメタクリレート2.37重量部を溶解して
得たシラップの100重量部に対し、2,2’−アゾビ
ス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)
0.0013重量部、1,4(8)−p−メンタジエン
0.003重量部、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メ
チルフェニル)ベンゾトリアゾール0.1重量部を添加
溶解して調合液を調製した。 (2) 上記(1)で得られた調合液を実施例1と同様
の操作を行いゲル分率18.5%の部分架橋アルキルメ
タクリレート系ゲル状重合体を得た。 (3) 上記(2)で得られた部分架橋アルキルメタク
リレート系ゲル状重合体100重量部に対し、水酸化ア
ルミニウムを120重量部、1,1−ビス(t−ブチル
パーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン
0.912重量部、t−ブチルパーオキシイソプロピル
カーボネイト0.563重量部、1,3−ビス(t−ブ
チルパーオキシイソプロピル)ベンゼン0.483重量
部添加し、実施例1で使用したのと同じ加圧型ニーダー
で20分間室温で撹拌混合して、半硬化状成形材料を得
た。
【0067】(4) 上記(3)で得た半硬化状成形材
料を1250mm×2500mmの予め130℃に加熱
した平型の金型に載せ、金型を閉じて10kg/cm
で30秒間加熱した後、100kg/cmで5分間保
圧した。その後金型を100℃まで冷却してから内容物
を取り出し、縦1250mm、横2500mm、厚さ2
mmの成形品を得た。 (5) 上記(4)で得られた成形品について動的粘弾
性特性を測定したところ、E”のα分散ピーク温度が1
10℃、tanδのピーク値が0.85、ゴム状平坦領
域160℃におけるE’値が31.0MPaであった。
また、成形品の冷却歪みを測定したところ80.5kg
/cmであった。 (6) 上記(4)で得られた成形品について、実施例
1の(6)と同様にして裏打ち材を接着し、アイロンベ
ンダー方式によって加熱温度140℃の加熱下に曲率半
径10mmで曲げ加工を行ったところ、曲げ加工後に冷
却して得た製品の曲げ加工部分に既に割れの発生が認め
られた。
【0068】上記の実施例1および2、並びに比較例1
〜4の結果をまとめると下記の表1に示すとおりであ
る。
【0069】
【表1】
【0070】上記の表1にまとめた実施例1〜2および
比較例1〜4の結果から、動的粘弾性特性における損失
弾性率(E”)のα分散ピーク温度が100℃以上であ
るという特性(i)、動的粘弾性特性におけるtanδ
のピーク値が0.8以上であるという特性(ii)および
ゴム状平坦領域160℃における貯蔵弾性率が30MP
a以下であるという特性(iii)を満たしている実施例
1および実施例2の架橋アルキルメタクリレート系重合
体成形品の場合は、成形型からの離型性が良好で円滑に
成形操作を行うことができ、しかも加熱下での曲げ加工
性に優れていて、曲げ加工後に曲げた部分で歪み(内部
応力)が発生しておらず、耐衝撃性に優れていて割れや
破損が生じないことがわかる。
【0071】 それに対して、該E”のα分散ピーク温
度が100℃未満であって特性(i)を備えていない比
較例3の架橋アルキルメタクリレート系重合体成形品
は、成形型からの離型性が悪く、型から円滑に取り出す
ことができず、無理に取り出すと割れが生じたことがわ
かる。また、tanδのピーク値が0.8未満であって
特性(ii)を備えておらず、しかもゴム状平坦領域16
0℃における貯蔵弾性率が30MPaを超えていて特性
(iii)を備えていない比較例1および比較例2の架橋
アルキルメタクリレート系重合体成形品、並びにゴム状
平坦領域160℃における貯蔵弾性率が30MPaを超
えていて特性(iii)を備えていない比較例4の架橋ア
ルキルメタクリレート系重合体成形品は、いずれも、曲
げ加工性に劣っており、加熱下に曲げ加工を行うと、曲
げ加工部分で内部歪みが生じていて、冷却した段階で亀
裂が生じてしまうことがわかる。
【0072】
【発明の効果】本発明の架橋アルキルメタクリレート系
重合体成形品は、成形型からの離型性に優れており、そ
のため良好な作業性で生産性よく製造することができ
る。さらに、本発明の架橋アルキルメタクリレート系重
合体成形品は、曲げ加工性に優れていて、加熱下に曲げ
加工したときに、曲げ加工部で内部歪みが生じず、耐衝
撃性に優れる曲げ加工品が得られるので、そのような曲
げ加工品では割れや破損などのトラブルが生じない。そ
の上、本発明の架橋アルキルメタクリレート系重合体成
形品は、透明感があり、鮮明な色調を有していて、高級
感がある。そのため、本発明の架橋アルキルメタクリレ
ート系重合体成形品は、上記した特性を活かして、シス
テムキッチンの天板、扉、壁、洗面化粧台の天板、ユニ
ットバスの腰壁、エプロン、出窓のカウンターなどの住
宅用内装材や設備をはじめとして広範な用途に有効に使
用することができる。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−33500(JP,A) 特開 平5−194651(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08J 3/24 C08J 5/00

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 無機充填剤を含有する架橋アルキルメタ
    クリレート系重合体成形品であって、 (i) 動的粘弾性特性における損失弾性率(E”)の
    α分散ピーク温度が100℃以上である; (ii) 動的粘弾性特性におけるtanδのピーク値が
    0.8以上である;および、 (iii) ゴム状平坦領域160℃における貯蔵弾性率
    が30MPa以下である;という特性(i)〜(iii)
    を備えていることを特徴とする、架橋アルキルメタクリ
    レート系重合体成形品。
  2. 【請求項2】 動的粘弾性特性における損失弾性率
    (E”)のα分散ピーク温度が108℃以上、動的粘弾
    性特性におけるtanδのピーク値が0.9以上、ゴム
    状平坦領域160℃における貯蔵弾性率が25MPa以
    下である請求項1の架橋アルキルメタクリレート系重合
    体成形品。
  3. 【請求項3】 130℃での10%の加熱変形における
    冷却歪みが80kg/cm2以下である請求項1または
    2の架橋アルキルメタクリレート系重合体成形品。
  4. 【請求項4】 架橋アルキルメタクリレート系重合体成
    形品が、部分架橋アルキルメタクリレート系ゲル状重合
    体(A)、並びにアルキルメタクリレート系重合体およ
    び架橋剤を含有するアルキルメタクリレート系シラップ
    (B)の少なくとも一方と共に、無機充填剤(C)を含
    有する成形材料を用いて、加熱成形して得た成形品であ
    る、請求項1〜3のいずれか1項の架橋アルキルメタク
    リレート系重合体成形品。
  5. 【請求項5】 部分架橋アルキルメタクリレート系ゲル
    状重合体(A)が、アルキルメタクリレート;アルキル
    メタクリレートを主成分とするα,β−エチレン性不飽
    和単量体混合物;およびアルキルメタクリレート単独重
    合体またはアルキルメタクリレート系共重合体を含有す
    るアルキルメタクリレート系シラップから選ばれると重
    合体原料(A1)と、架橋剤(A2)を含有する混合物を
    部分的に重合および/または架橋することにより得られ
    るものであり、アルキルメタクリレート系シラップ
    (B)が、アルキルメタクリレート単独重合体またはア
    ルキルメタクリレート単位から主としてなるアルキルメ
    タクリレートと他のα,β−エチレン性不飽和単量体と
    の共重合体を、アルキルメタクリレート中にまたはアル
    キルメタクリレートから主としてなるα,β−エチレン
    性不飽和単量体混合物中に溶解してなるシラップ
    (B1)と且つ架橋剤(B2)の混合シラップである、請
    求項4の架橋アルキルメタクリレート系重合体成形品。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれか1項の架橋アル
    キルメタクリレート系重合体成形品を曲げ加工して得ら
    れる製品。
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