JP3467813B2 - 誘電体磁器組成物およびそれを用いた積層セラミックコンデンサ - Google Patents
誘電体磁器組成物およびそれを用いた積層セラミックコンデンサInfo
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Description
よびそれを用いた積層セラミックコンデンサに関する。
として、BaTiO3 を主体とし、これにシフタとして
BaSnO3 ,CaZrO3 ,SrTiO3 などを添加
した材料が使用されてきた。これらの材料は、室温での
誘電率が2000〜15000と高い。
従来の材料は、焼結温度がいずれも1300℃〜140
0℃と高いという欠点を有していた。そのため、これら
の材料は焼成コストが高くつく。また、磁器積層コンデ
ンサにおいては、生の磁器シートの上に電極を予め形成
したものを複数枚重ねてから焼成される。そのため、電
極材料は、1300℃以上の高温で溶融したり、酸化し
たり、誘電体と反応したりすることのないPtやPdな
どの高融点の貴金属類を用いなければならなかった。
積層セラミックコンデンサでは、生産コストに占める電
極材料費の割合が大きいため、全体のコストを低減する
ことに限度があった。
電率系の磁器組成物にB,Bi,Pbなどの酸化物より
なるガラス成分を添加し、焼成温度を1300〜135
0℃から1100〜1150℃に低下させた積層セラミ
ックコンデンサが開発されている。この積層セラミック
コンデンサは、低温焼結可能なため、比較的安価なAg
−Pd系合金を内部電極として用いることができる。
は、ガラス成分を添加することによって、BaTiO3
母体組成の本来有する誘電率が低下してしまうという欠
点があった。そのため、積層セラミックコンデンサの寸
法が、逆に大きくなってしまい、電極材料のコストの低
下を打ち消してしまう。
コンデンサでは、その静電容量が直流バイアス電界の影
響を受ける。たとえば1mmあたり5kvの高圧直流電
圧を印加すると、静電容量値が30〜80%も低下して
しまう。
可能な鉛を主体とした鉛複合ペロブスカイト組成物の研
究がなされている。鉛複合ペロブスカイト誘電体磁器組
成物においては、比誘電率10000以上、焼成温度1
050℃以下という組成が既に知られている。しかし、
これらの組成物は、温度に対する静電容量の変化率が大
きいという欠点があった。
電率が10000以上を示し、直流電圧依存性が小さ
く、温度に対する静電容量の変化率がJIS規格のE特
性(ΔC/C20=+20%〜−55%)を満足する磁器
を得ることができ、焼成温度が1050℃以下である、
誘電体磁器組成物およびそれを用いた積層セラミックコ
ンデンサを提供することである。
明は、Pb(Mg1/3 Nb2/3 )O3 と、PbTiO3
と、Pb(Ni1/3 Nb2/3 )O3 と、Pb(Zn1/2
W1/2 )O3 との配合比が、Pb(Mg1/3 Nb2/3 )
O3 4.0〜93.0モル%と、PbTiO3 1.
5〜35.0モル%、と、Pb(Ni1/3 Nb2/3 )O
3 1.5〜51.0モル%と、Pb(Zn1/2 W
1/2 )O3 1.0〜34.0モル%との範囲内にあ
り、一般式ABO3 と表したときに、A/Bの値が0.
99≦A/B≦1.03であり、Pbの一部を0.1〜
10モル%のBa,CaおよびSrの少なくとも1種類
で置換した主成分100モル%に対し、副成分として、
主成分を100重量部として、NiをNiOに換算して
0.1〜8.00重量部含有する、誘電体磁器組成物で
ある。
て、前記主成分を100重量部として、MnをMnO2
に換算して0.5重量部以下含有する、請求項1の誘電
体磁器組成物である。 請求項3にかかる本願発明は、複
数の誘電体セラミック層からなる積層体と、Agを主成
分とし、複数の誘電体セラミック層間に交互に形成され
る内部電極層と、積層体の両端面に形成され、内部電極
に電気的に接続される外部電極とを含み、複数の誘電体
セラミック層は、請求項1または請求項2に記載の誘電
体磁器組成物で形成されることを特徴とする、積層セラ
ミックコンデンサである。
て得られる磁器は、誘電率が10000以上で、誘電損
失が2.0%以下であり、室温での比抵抗が1012Ω・
cm以上である。また、得られる磁器は、静電容量の温
度変化率が−25℃〜+85℃の温度範囲でJIS規格
のE特性(−25℃〜+85℃においてΔC/C20=+
20%〜−55%)を満たし、電圧依存性および機械的
強度に優れ、信頼性が高い。さらに、この発明に係る誘
電体磁器組成物は、1050℃以下の低温で焼成可能で
ある。
デンサでは、誘電体磁器組成物の焼成温度が低いことか
ら、該積層セラミックコンデンサを製造する場合に、内
部電極としてAg−Pd合金を用いることができ、小型
かつ大容量のものを工業的に生産することができる。
徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳
細な説明から一層明らかとなろう。
NiO,Nb2 O5 ,TiO2 ,ZnO,WO3 ,Mg
O,BaCO3 ,SrCO3 ,CaCO3 およびMnO
2 を準備した。これらの原料を、表1に示す組成比の誘
電体磁器組成物が得られるように秤量し、秤量物を得
た。
ABO3 と表したときの、A/Bの値を示す。
レン製ポットにめのう玉石とともに入れ、10時間湿式
混合して、混合物スラリを得た。この混合物スラリを脱
水し、乾燥して、アルミナ質匣に入れ、650℃〜80
0℃で2時間保持して、仮焼し、仮焼粉末(1次反応粉
末)を得た。この仮焼粉末を予め粗粉砕し、バインダと
してポリビニルアルコールを3重量%加えて、再び湿式
混合を行って、スラリを得た。このスラリを乾燥した
後、60メッシュの篩を通して、成形用整粒とした。さ
らに、オイルプレスによって2000kg/cm2 の圧
力で、直径1.0cm,厚み1.0mmの円板状に成形
加工し、円板を得た。
たアルミナ質の匣に入れて、400℃で4時間加熱し
て、有機バインダを燃焼させた後、表2に示す焼成温度
で2時間焼成して、磁器円板を得た。得られた磁器円板
の両面に、ホウ珪酸鉛ガラスフリットを含む銀ペースト
を塗布し、750℃で10分間焼き付けて電極を形成
し、測定用の試料とした。
損失(tanδ)を、温度25℃,1kHz,1Vrm
sの条件で測定した。また、絶縁抵抗(IR)は、直流
500Vで2分間印加したときの値を測定した。さら
に、試料の厚み,電極の直径寸法を測定した。そして、
誘電率(ε),比抵抗(ρ)および静電容量の温度特性
(C/C20)を計算した。
ともに表2に示す。
囲を上述のように限定する理由は次の通りである。
明する。
その範囲を4.0〜93.0モル%としたのは、試料番
号1のように、4.0モル%未満では、誘電率が100
00未満になるとともに、誘電損失が2.0%を超え
る。また、試料番号10のように、93.0モル%を超
えると、誘電率は高くなるが、温度特性がE特性を満足
しない。
〜35.0モル%としたのは、試料番号5のように、
1.5モル%未満では、誘電率の低下が著しくなり、誘
電率が10000未満になる。また、試料番号6のよう
に、35.0モル%を超えると、誘電率が低く、誘電損
失が2.0%を超える。
その範囲を1.5〜51.0モル%としたのは、試料番
号12のように、1.5モル%未満では、誘電率は高く
なるが、温度特性がE特性を満足しない。また、試料番
号16のように、51.0モル%を超えると、誘電率が
10000未満になる。
の範囲を1.0〜34.0モル%としたのは、試料番号
17のように、1.0モル%未満では、焼結温度が10
50℃を超え、誘電率が10000未満になる。また、
試料番号18のように、34.0モル%を超えると、焼
結温度は低下するが、誘電率が10000未満になると
ともに、比抵抗も室温で1012Ω・cmに達しなくな
る。
Ca,Srの少なくとも1種類で置換することによっ
て、低誘電率のパイロクロア相の生成が抑えられる。そ
して、高誘電率で、高い絶縁抵抗を示し、容量の温度変
化率が小さく、機械的強度の優れた誘電体磁器組成物を
得ることができる。しかし、試料番号25のように、
0.1モル%未満では、誘電損失が2.0%を超える。
また、試料番号26,27および28のように、10.
0モル%を超えると、温度特性がE特性を満足せず、誘
電率が10000未満になる。
1.03としたのは、試料番号32のように、0.99
未満では、焼結温度が1050℃を超え、誘電率が10
000未満になる。また、試料番号29のように、1.
03を超えると、誘電損失が2.0%を超え、温度特性
がE特性を満足しない。
明する。
0重量部としたのは、試料番号19のように、0.05
重量部未満では、誘電率が10000未満になる。ま
た、試料番号20のように、5.00重量部を超える
と、誘電率は高くなるが、温度特性がE特性を満足せ
ず、比抵抗も1012Ω・cmに達しなくなる。
下としたのは、試料番号24のように、0.5重量部を
超えると、比抵抗が室温で1012Ω・cmに達しなくな
る。
電体磁器組成物は、誘電率がいずれも10000以上と
高い。しかも、高誘電率にもかかわらず、静電容量の温
度変化率がE特性を満たしている。また、誘電損失も
2.0%以下と低く、焼成温度も1050℃以下と、低
温での焼成が可能である。
試料番号11を用いて、積層チップを作製した。これら
の誘電体セラミック原料にポリビニルブチラール系バイ
ンダおよびエタノールなどの有機バインダを加えてから
ボールミルで湿式混合して、セラミックスラリを調整し
た。そののち、セラミックスラリをドクターブレード法
によってシート状に成形して、厚み20μmの矩形のセ
ラミックグリーンシートを得た。次に、得られたセラミ
ックグリーンシート上に内部電極を構成するために、A
gを主成分とする導電ペーストを印刷した。
ミックグリーンシートを、導電ペースト層の引き出され
ている側が互い違いとなるように複数枚積層して、積層
体を得た。
て、表3に示す温度で2時間焼成して、セラミック焼成
体を得た。得られたセラミック焼成体の両端面にAg電
極を塗布し、大気中で750℃の温度で焼き付け、内部
電極に電気的に接続された外部電極を形成して、試料と
なる積層コンデンサを得た。
幅が1.6mmで、長さが3.2mmで、厚みが1.2
mmであり、内部電極間の誘電体セラミック層の厚みが
13μmであった。また、有効な誘電体セラミック層の
総数は10層であり、1層あたりの対向面積は2.1m
m2 であった。
δ)を測定するために、自動ブリッジ式測定機を用い
て、各試料の積層コンデンサに1kHz、1Vrmsの
電圧を印加した。次に、絶縁抵抗(R)を測定するため
に、絶縁抵抗計を用いて16Vの電圧を2分間印加し
た。その結果から、静電容量(C)と絶縁抵抗(R)と
の積、すなわちCR積を求めた。さらに、温度80℃、
湿度95%の雰囲気中で1000時間の耐湿試験を行っ
て、その試験前後の絶縁抵抗(R)を30個の積層コン
デンサについて測定し、平均値と最小値とを求めた。
コンデンサについて、図1に示す抗折強度測定装置10
を用いて測定し、平均値を求めた。図1において、12
は試料である被試験積層磁器コンデンサであり、14は
試料保持台である。試料保持台14上に置かれた積層磁
器コンデンサ12は、加圧ピン16によって加圧され
る。そして、加圧された圧力が、置き針付きテンション
ゲージ18によって表示される。この測定に際して、試
料保持台14の試料下部の支点間距離は2mmとした。
した上に、直流電流を25V重畳したときの静電容量の
変化率を測定した。
電体磁器組成物を用いた磁器は、抗折強度も高く、直流
電流を重畳したときの静電容量の変化率も小さく、CR
積のばらつきも小さく、耐湿試験においても試験前後で
絶縁抵抗に差がみられない。このように、本発明に係る
誘電体磁器組成物を用いれば、信頼性の高い積層コンデ
ンサを得ることができる。
装置を示す図解図である。
Claims (3)
- 【請求項1】 Pb(Mg1/3 Nb2/3 )O3 ,PbT
iO3 ,Pb(Ni1/3 Nb2/3 )O3 およびPb(Z
n1/2 W1/2 )O3 の配合比が、 Pb(Mg1/3 Nb2/3 )O3 4.0〜93.0モル
%、 PbTiO3 1.5〜35.0モル%、 Pb(Ni1/3 Nb2/3 )O3 1.5〜51.0モル
%、およびPb(Zn1/2 W1/2 )O3 1.0〜3
4.0モル% の範囲内にあり、一般式ABO3 と表したときに、A/
Bの値が0.99≦A/B≦1.03であり、Pbの一
部を0.1〜10モル%のBa,CaおよびSrの少な
くとも1種類で置換した主成分100モル%に対し、 副成分として、前記主成分を100重量部として、Ni
をNiOに換算して0.1〜8.00重量部含有する、
誘電体磁器組成物。 - 【請求項2】 副成分として、前記主成分を100重量
部として、MnをMnO2 に換算して0.5重量部以下
含有する、請求項1の誘電体磁器組成物。 - 【請求項3】 複数の誘電体セラミック層からなる積層
体、 Agを主成分とし、複数の前記誘電体セラミック層間に
交互に形成される内部電極層、および前記積層体の両端
面に形成され、前記内部電極に電気的に接続される外部
電極を含み、 複数の前記誘電体セラミック層は、請求項1または請求
項2に記載の誘電体磁器組成物で形成されることを特徴
とする、積層セラミックコンデンサ。
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JP31247793A JP3467813B2 (ja) | 1993-11-17 | 1993-11-17 | 誘電体磁器組成物およびそれを用いた積層セラミックコンデンサ |
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JPH07141916A JPH07141916A (ja) | 1995-06-02 |
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