JP3316717B2 - 積層セラミックコンデンサ - Google Patents
積層セラミックコンデンサInfo
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Description
積層セラミックコンデンサ、特にニッケルまたはニッケ
ル合金からなる内部電極を有する小型大容量の積層セラ
ミックコンデンサに関する。
電体セラミック層と各誘電体セラミック層間に配置され
る複数の内部電極と、誘電体セラミック層の両端面にお
いてこれらの内部電極と接続される外部電極とからな
る。
サは、以下のようにして製造されている。即ち、まず、
その表面に内部電極となる電極材料を塗布したシート状
の誘電体材料を準備する。この場合、誘電体材料として
は、たとえばBaTiO3 を主成分とする材料等を用い
る。そして、この電極材料を塗布したシート状の誘電体
材料を積層して熱圧着し、一体化したものを自然雰囲気
中において1250〜1350℃で焼成することで、内
部電極を有する誘電体磁器を得る。その後、この誘電体
磁器の端面に、内部電極と導通する外部電極を焼付ける
ことにより、積層セラミックコンデンサを得る。
のような条件を満たす必要がある。 (1)誘電体磁器と内部電極が同時に焼成されるので、
誘電体磁器が焼成される温度以上の融点を有すること (2)酸化性の高温雰囲気中においても酸化されず、し
かも誘電体と反応しないこと。
として、白金、金、パラジウムあるいはこれらの合金等
の貴金属が用いられてきた。
特性を有する反面、高価であった。そのため、積層セラ
ミックコンデンサに占める電極材料費の割合は30〜7
0%にも達し、製造コストを上昇させる最大の要因とな
っていた。
ッケル、鉄、コバルト、タングステン、モリブデン等の
卑金属があるが、これらの卑金属は高温の酸化性雰囲気
中では容易に酸化されてしまい、電極としての役目を果
たさなくなってしまう。そのため、これら卑金属を積層
セラミックコンデンサの内部電極として使用するために
は、誘電体磁器とともに中性または還元性雰囲気中で焼
成する必要がある。しかしながら、従来の誘電体磁器材
料は、このような還元性雰囲気で焼成すると著しく還元
されてしまい、半導体化してしまうという欠点があっ
た。
ば特公昭57−42588号公報に示されるように、チ
タン酸バリウム固溶体において、バリウムサイト/チタ
ンサイトの元素の比を化学量論比より過剰にした誘電体
材料が考え出された。
って、還元性雰囲気で焼成しても半導体化しない誘電体
磁器を得ることができ、内部電極としてニッケル等の卑
金属を使用した積層セラミックコンデンサの製造が可能
になった。
極としてニッケル等の卑金属を使用した積層セラミック
コンデンサは、自然雰囲気中で焼成される白金、金、パ
ラジウムあるいは銀−パラジウム合金などのような貴金
属を内部電極とする積層セラミックコンデンサと比較し
て、高温負荷寿命が短く、高温負荷試験中における静電
容量の低下が大きいという問題点を有していた。
い電子部品の小型化が急速に進行し、積層セラミックコ
ンデンサも小型化の傾向が顕著になってきた。積層セラ
ミックコンデンサを小型化する方法としては、一般的
に、大きな誘電率を有する材料を用いるか、誘電体層を
薄膜化することが知られている。しかし、大きな誘電率
を有する材料は、結晶粒が大きく、誘電体層が10μm
以下のような薄膜になると1つの層中に存在する結晶粒
の数が減少し、著しく信頼性が低下してしまうという問
題を有していた。
ク層として、還元性雰囲気中で焼成しても半導体化せ
ず、しかも高温負荷寿命が長くて、高温での電圧印加に
対する誘電率の経時変化が小さく、さらに、結晶粒径が
小さいにもかかわらず大きな誘電率が得られる非還元性
誘電体材料を用いることで、低コストで信頼性の高い小
型大容量の積層セラミックコンデンサを提供することに
ある。
め、本発明の積層セラミックコンデンサは、複数の誘電
体セラミック層と、該誘電体セラミック層を介して配置
された複数の内部電極と、該内部電極に接続された外部
電極とからなる積層セラミックコンデンサにおいて、前
記誘電体セラミック層が、一般式A{(Ba1-x-y-z S
rx Cay Rez )O1+z/2 }・B{(1−α−β)
(Ti1-o-p Zro Hfp )O2 +αMaO+βMbO
3/2 }で表され、ReはDy、Ho、Er、Yb、Yの
中から選ばれる少なくとも1種類の元素からなり、Ma
はMn、Ni、Coから選ばれる少なくとも1種類の元
素からなり、MbはFe、Crから選ばれる少なくとも
1種類の元素からなり、x、y、z、o、p、α、β、
AおよびBが、0<x≦0.25、0≦y≦0.15、
0<z≦0.03、0<o≦0.24、0<p≦0.1
6、0<α≦0.02、0≦β≦0.01、z/3≦α
+β≦3z、0.99≦A/B≦1.03である非還元
性誘電体材料によって構成され、前記内部電極はニッケ
ルまたはニッケル合金によって構成されていることを特
徴とする。
が3μm以下であることを特徴とする。
ついて、その製造方法を実施例に基づき説明する。
99.8%以上のBaCO3 、SrCO3 、CaC
O3 、Dy2 O3 、Ho2 O3 、Er2 O3 、Yb2 O
3 、Y2O3 、TiO2 、ZrO2 、HfO2 、Mn
O、NiO、CoO、Fe2 O3 およびCr2 O3 を準
備した。
1-x-y-z Srx Cay Rez )O1+z/2}・B{(1−
α−β)(Ti1-o-p Zro Hfp )O2 +αMaO+
βMbO2/3 }の組成式において、表1に示す誘電体が
得られるように秤量した。その後、この配合原料をボー
ルミルで湿式混合し粉砕した後乾燥し、空気中にて11
00℃で2時間仮焼して仮焼物を得た。そして、この仮
焼物を乾式粉砕機により粉砕し、粒径が1μm以下の原
料を得た。
ニルブチラール系バインダおよびエタノール等の有機溶
剤を加えてボールミルにより湿式混合してスラリーを得
た。そして、このスラリーをドクターブレード法により
シート状に成形して厚み14μmのセラミックグリーン
シートを得た。
に、Niを主体とする導電ペーストを印刷し、内部電極
を構成するための導電ペースト層を形成した。その後、
導電ペースト層が形成されたセラミックグリーンシート
を導電ペーストが引き出されている側が互い違いとなる
ように複数枚積層し、積層体を得た。
て350℃まで加熱して有機バインダを燃焼させた後、
酸素分圧10-9〜10-12 MPaのH2 −N2 −H2 O
ガスからなる還元性雰囲気中において、表2に示す温度
で2時間焼成し、セラミック焼結体を得た。
査型電子顕微鏡にて、倍率1500倍で観察し、グレイ
ンサイズを測定した。その結果を表2に示す。
布し、N2 雰囲気中にて600℃で焼付けて、内部電極
と電気的に接続された外部電極を形成した。
×長さ3.2mm×厚み1.2mm、内部電極間の誘電
体セラミック層の厚みが10μm、有効誘電体セラミッ
ク層の総数が19、1層当たりの対向電極の面積が2.
1mm2 の積層セラミックコンデンサを得た。
静電容量(C)および誘電損失(tanδ)を、温度2
5℃において周波数1kHz、1Vrmsの条件で測定
し、得られた静電容量から誘電率(ε)を算出した。さ
らに、16Vの直流電圧を2分間印加して、25℃およ
び85℃での絶縁抵抗(R)を測定し、静電容量(C)
と絶縁抵抗(R)の積、即ちCR積を求めた。また、温
度変化に対する静電容量の変化を測定した。なお、温度
変化に対する静電容量の変化率については、20℃での
静電容量を基準とした−25℃と85℃での変化率(Δ
C/C20℃ )を求めた。
36ケずつ、温度150℃にて直流電圧100Vを印加
して、その絶縁抵抗の経時変化を測定した。このとき、
各試料の絶縁抵抗値が106 Ω以下になったときの時間
を寿命とし、その平均値を平均寿命時間とした。
6ケずつ、温度85℃にて直流電圧36Vを1000時
間印加し、その前後での静電容量(C)を測定した。そ
して、試験前の静電容量(C0 )に対する1000時間
経過後の静電容量(C1000)の変化率{(C1000−
C0 )/C0 ×100}の平均値を高温負荷1000時
間後の容量変化率として算出した。以上の各試験の結果
を、表2に合わせて示す。
磁器組成物を用いた積層セラミックコンデンサは、誘電
率が8000以上と高く、誘電損失は5.0%以下で、
温度に対する静電容量の変化率(ΔC/C20℃ )が、
−25℃〜85℃の範囲でJIS規格に規定するF特性
規格を満足する。しかも、25℃および85℃における
絶縁抵抗は、CR積で表したときに、それぞれ5000
MΩ・μF以上および500MΩ・μF以上と高い値を
示す。また、平均寿命時間が100時間以上と長く、高
温負荷試験1000時間前後の容量の変化率が10%以
内と小さい。
的低温で焼結可能であり、粒径についても3μm以下と
小さい。
の誘電体セラミック層の組成限定理由について説明す
る。
O1+z/2 }・B{(1−α−β)(Ti1-o-p Zro H
fp )O2 +αMaO+βMbO3/2 }において、試料
番号の1に示すように、Sr量xが0の場合、誘電率が
8000以下と低く、また誘電損失が5.0%を超え
る。また、試料番号17に示すようにSr量xが0.2
5を超えると、静電容量の温度変化率がJIS規格のF
特性を満足しなくなる。
yが0.15を超えると、焼結性が悪くなり、誘電率が
低下する。
場合、結晶粒径が3μmより大きくなり、平均寿命時間
が短くなり、また、高温負荷1000時間後の容量変化
率が10%を超える。また、試料番号19に示すよう
に、Re量zが0.03を超えると、誘電損失が5.0
%を超え、25℃および85℃での絶縁抵抗値が低下す
る。その上、平均寿命時間が極端に短くなり、高温負荷
1000時間後の容量変化率は、高温負荷試験中に試料
の絶縁抵抗が劣化して測定できなかった。
場合、静電容量の温度変化率が大きくなる。また、試料
番号20に示すように、Zr量oが0.24を超える
と、焼結性が低下し、誘電率が8000以下になる。
場合、誘電率が8000以下になる。また、試料番号2
1に示すように、Hf量pが0.16を超えると、静電
容量の温度変化率がJIS規格のF特性を満足しない。
αが0の場合、誘電損失が5.0%を超え、25℃およ
び85℃での絶縁抵抗が低下する。その上、平均寿命時
間が極端に短くなり、高温負荷1000時間後の容量変
化率は、高温負荷試験中に試料の絶縁抵抗が劣化して測
定できなかった。また、試料番号22に示すように、M
aOの添加量αが0.02を超えると、誘電損失が5.
0%を超えて大きくなり、同時に25℃および85℃で
の絶縁抵抗が、それぞれ5000MΩ・μFおよび50
0MΩ・μFよりも小さくなり、平均寿命時間が短くな
る。その上、高温負荷1000時間後の容量変化率が大
きくなる。また、試料番号23に示すように、MbO
3/2 の添加量βが0.01を超えると、高温負荷100
0時間後の容量変化率が極端に大きくなる。
の添加量αとMbO2/3 の添加量βの和α+βがRe量
zの1/3より小さくなると、z、α、βそれぞれが本
発明の組成範囲であっても、誘電損失が5.0%を超
え、25℃および85℃での絶縁抵抗値がそれぞれ50
00MΩ・μFおよび500MΩ・μFよりも小さくな
り、平均寿命時間が100時間よりも短くなる。また、
試料番号24に示すように、MaOの添加量αとMbO
2/3 の添加量βの和α+βがRe量zの3倍よりも大き
くなると、z、α、βそれぞれが本発明の組成範囲であ
っても、平均寿命時間が100時間よりも短くなり、高
温負荷1000時間後の容量変化率が10%よりも大き
くなる。
示すように、MaOの添加量αとMbO2/3 の添加量β
の和α+βがz/2≦α+β<3zの関係を満足すると
きには、平均寿命時間が300時間を超え、かつ、高温
負荷試験1000時間後の容量の変化率が5%以内とな
り、より好ましい特性が得られる。
が0.99未満の場合は、還元性雰囲気で焼成したとき
磁器が還元され、半導体化して絶縁抵抗が低下してしま
う。また、試料番号25に示すように、モル比A/Bが
1.03を超えると焼結性が極端に悪くなる。
してBaCO3 、SrCO3 、CaCO3 、ZrO2 、
HfO2 等の炭酸塩または酸化物の粉末を用いたが、こ
れらに限定されるものではない。即ち、アルコキシド法
や共沈法、または水熱合成法により作製された粉末を用
いてもよく、これら粉末を用いることにより、本実施例
で示した特性よりも向上することもあり得る。
量のシリカおよび酸化物ガラスのような焼結助剤を含有
させても、得られる積層セラミックコンデンサの特性を
何等損なうものではない。
よれば、積層セラミックコンデンサの誘電体セラミック
層に、還元性雰囲気中で焼成しても還元されず、かつ、
高温での電圧印加に対する誘電率および絶縁抵抗の経時
変化が小さい非還元性誘電体材料を用いるので、卑金属
のニッケルまたはニッケル合金を内部電極とする低コス
トで、しかも高信頼性の積層セラミックコンデンサが得
られる。
層セラミックコンデンサは、誘電率が8000以上あ
り、しかもこのように高誘電率であるにもかかわらず結
晶粒径が3μm以下と小さい。したがって、誘電体セラ
ミック層を薄膜化しても、従来の積層セラミックコンデ
ンサのように層中に存在する結晶粒の量が少なくならな
い。このため、信頼性が高く、しかも小型で大容量の積
層セラミックコンデンサが得られる。
Claims (2)
- 【請求項1】 複数の誘電体セラミック層と、該誘電体
セラミック層を介して配置された複数の内部電極と、該
内部電極に接続された外部電極とからなる積層セラミッ
クコンデンサにおいて、 前記誘電体セラミック層が、次の一般式 A{(Ba1-x-y-z Srx Cay Rez )O1+z/2 }・
B{(1−α−β)(Ti1-o-p Zro Hfp )O2 +
αMaO+βMbO3/2 } で表され、ReはDy、Ho、Er、Yb、Yの中から
選ばれる少なくとも1種類の元素からなり、MaはM
n、Ni、Coから選ばれる少なくとも1種類の元素か
らなり、MbはFe、Crから選ばれる少なくとも1種
類の元素からなり、x、y、z、o、p、α、β、Aお
よびBが、 0<x≦0.25 0≦y≦0.15 0<z≦0.03 0<o≦0.24 0<p≦0.16 0<α≦0.02 0≦β≦0.01 z/3≦α+β≦3z 0.99≦A/B≦1.03 である非還元性誘電体材料によって構成され、 前記内部電極はニッケルまたはニッケル合金によって構
成されていることを特徴とする積層セラミックコンデン
サ。 - 【請求項2】 前記誘電体セラミック層の結晶粒径が3
μm以下であることを特徴とする請求項1記載の積層セ
ラミックコンデンサ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP14180094A JP3316717B2 (ja) | 1994-06-23 | 1994-06-23 | 積層セラミックコンデンサ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP14180094A JP3316717B2 (ja) | 1994-06-23 | 1994-06-23 | 積層セラミックコンデンサ |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH088137A JPH088137A (ja) | 1996-01-12 |
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Family
ID=15300434
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP14180094A Expired - Lifetime JP3316717B2 (ja) | 1994-06-23 | 1994-06-23 | 積層セラミックコンデンサ |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP3924286B2 (ja) | 2003-10-31 | 2007-06-06 | Tdk株式会社 | 積層セラミック電子部品の製造方法 |
JP3908723B2 (ja) | 2003-11-28 | 2007-04-25 | Tdk株式会社 | 誘電体磁器組成物の製造方法 |
-
1994
- 1994-06-23 JP JP14180094A patent/JP3316717B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Publication number | Publication date |
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