JP3603842B2 - 非還元性誘電体磁器組成物 - Google Patents

非還元性誘電体磁器組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は非還元性誘電体磁器組成物に関し、特にたとえば積層セラミックコンデンサなどに用いられる非還元性誘電体磁器組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
積層セラミックコンデンサを製造工程では、まず、その表面に内部電極となる電極材料を塗布したシート状の誘電体材料が準備される。この誘電体材料としては、たとえばBaTiOを主成分とする材料などが用いられる。この電極材料を塗布したシート状の誘電体材料を積層して熱圧着し、一体化したものを自然雰囲気中において1250〜1350℃で焼成することによって、内部電極を有する誘電体磁器が得られる。そして、この誘電体磁器の端面に、内部電極と導通する外部電極を焼き付けて、積層セラミックコンデンサが得られる。
【0003】
したがって、内部電極の材料としては、次のような条件を満たす必要がある。
【0004】
(a)誘電体磁器と内部電極とが同時に焼成されるので、誘電体磁器が焼成される温度以上の融点を有すること。
【0005】
(b)酸化性の高温雰囲気中においても酸化されず、しかも誘電体と反応しないこと。
【0006】
このような条件を満足する電極材料としては、白金,金,パラジウムあるいはこれらの合金などのような貴金属が用いられていた。
【0007】
しかしながら、これらの電極材料は優れた特性を有する反面、高価であった。そのため、積層セラミックコンデンサに占める電極材料費の割合は30〜70%にも達し、製造コストを上昇させる最大の要因となっていた。
【0008】
貴金属以外に高融点をもつものとしてNi,Fe,Co,W,Moなどの卑金属があるが、これらの卑金属は高温の酸化性雰囲気中では容易に酸化されてしまい、電極としての役目を果たさなくなってしまう。そのため、これらの卑金属を積層セラミックコンデンサの内部電極として使用するためには、誘電体磁器とともに中性または還元性雰囲気中で焼成される必要がある。しかしながら、従来の誘電体磁器材料では、このような還元性雰囲気中で焼成すると著しく還元されてしまい、半導体化してしまうという欠点があった。
【0009】
このような欠点を克服するために、たとえば特公昭57−42588号公報に示されるように、チタン酸バリウム固溶体において、バリウムサイト/チタンサイトの比を化学量論比より過剰にした誘電体材料が考え出された。このような誘電体材料を使用することによって、還元性雰囲気中で焼成しても半導体化しない誘電体磁器を得ることができ、内部電極としてニッケルなどの卑金属を使用した積層セラミックコンデンサの製造が可能となった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
近年のエレクトロニクスの発展に伴い電子部品の小型化が急速に進行し、積層セラミックコンデンサも小型化の傾向が顕著になってきた。積層セラミックコンデンサを小型化する方法としては、一般的に大きな誘電率を有する材料を用いるか、誘電体層を薄膜化することが知られている。しかし、大きな誘電率を有する材料は結晶粒が大きく、10μm以下のような薄膜になると、1つの層中に存在する結晶粒の数が減少し、信頼性が低下してしまう。
【0011】
一方、特開昭61−101459号公報に示されるように、チタン酸バリウム固溶体にLa,Nd,Sm,Dyなどの希土類酸化物を添加した、結晶粒径の小さい非還元性誘電体磁器が知られている。このように結晶粒径を小さくすることによって、1つの層中に存在する結晶粒の数を増やすことができる。
【0012】
しかしながら、これらの希土類酸化物を添加した材料では、大きな誘電率を得ることができない上、焼成するときに還元されやすく、信頼性の面で問題があった。
【0013】
それゆえに、この発明の主たる目的は、還元性雰囲気中で焼成しても半導体化せず、しかも結晶粒径が小さいにもかかわらず、大きな誘電率が得られ、これを用いることによって積層セラミックコンデンサを小型化することができる、非還元性誘電体磁器組成物を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
この発明は、その主成分が次の組成式、(1−a){ (Ba1−o−p−q−r SrCaR1R2) O1+q/2+r/2 ( Ti1−x−y ZrHf) O+aMgO(ただし、R1はLa,Ce,Nd,PrおよびSmの中から選ばれる少なくとも一種類、R2はDy,Ho,Er,YbおよびYの中から選ばれる少なくとも一種類)で表され、a,o,p,q,r,x,yおよびmが、0<a≦0.05、0<o≦0.32、0<p≦0.20、0<q≦0.02、0<r≦0.03、0<x≦0.24、0<y≦0.16、1.00≦m≦1.03、0<q+r≦0.04の関係を満足し、前記主成分100モルに対して、Mn,Fe,Cr,Co,Niの各酸化物をMnO,Fe,Cr,CoO,NiOと表したとき、各酸化物の少なくとも一種類を合計量で0.02〜2.0モル含む、非還元性誘電体磁器組成物である。
【0015】
また、この発明は、その主成分が次の組成式、(1−a){ (Ba1−o−q−r SrR1R2) O1+q/2+r/2 ( Ti1−x−y ZrHf) O+aMgO(ただし、R1はLa,Ce,Nd,PrおよびSmの中から選ばれる少なくとも一種類、R2はDy,Ho,Er,YbおよびYの中から選ばれる少なくとも一種類)で表され、a,o,q,r,x,yおよびmが、0<a≦0.05、0<o≦0.32、0<q≦0.02、0<r≦0.03、0<x≦0.24、0<y≦0.16、1.00≦m≦1.03、0<q+r≦0.04の関係を満足し、前記主成分100モルに対して、Mn,Fe,Cr,Co,Niの各酸化物をMnO,Fe,Cr,CoO,NiOと表したとき、各酸化物の少なくとも一種類を合計量で0.02〜2.0モル含む、非還元性誘電体磁器組成物である。
【0016】
【発明の効果】
この発明によれば、還元性雰囲気中で焼成しても還元されず、半導体化しない非還元性誘電体磁器組成物を得ることができる。したがって、この非還元性誘電体磁器組成物を用いて磁器積層コンデンサを製造すれば、電極材料として卑金属を用いることができ、1300℃以下と比較的低温で焼成可能であるため、積層セラミックコンデンサのコストダウンを図ることができる。
【0017】
また、この非還元性誘電体磁器組成物を用いた磁器では、誘電率が9000以上あり、しかもこのように高誘電率であるにもかかわらず、結晶粒が3μm以下と小さい。したがって、積層セラミックコンデンサを製造するときに、誘電体層を薄膜化しても、従来の積層セラミックコンデンサのように層中に存在する結晶粒の量が少なくならない。このため、信頼性が高く、しかも小型で大容量の積層セラミックコンデンサを得ることができる。
【0018】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、以下の発明の実施の形態の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【0019】
【発明の実施の形態】
【実施例】
(実施例1)
出発原料として、純度99.8%以上のBaCO,SrCO,CaCO,CeO,La,Nd,Pr11,Sm,Dy,Ho,Er,Yb,Y,TiO,ZrO,HfO,MgO,MnO,Fe,Cr,CoO,NiOを準備した。これらの原料を(1−a){ (Ba1−o−p−q−r SrCaR1R2) O1+q/2+r/2 ( Ti1−x−y ZrHf) O+aMgOの組成式で表され、a,o,p,q,r,m,x,yが表1,表2および表3に示す割合となるように配合して、配合原料を得た。この配合原料をボールミルで湿式混合し、粉砕したのち乾燥し、空気中において1100℃で2時間仮焼して仮焼物を得た。この仮焼物を乾式粉砕機によって粉砕し、粒径が1μm以下の粉砕物を得た。この粉砕物に、aおよびMnO,Fe,Cr,CoO,NiO量が表1,表2および表3に示す割合となるように配合したのち、純水と酢酸ビニルバインダを加えて、ボールミルで16時間混合して混合物を得た。
【0020】
【表1】
Figure 0003603842
【0021】
【表2】
Figure 0003603842
【0022】
【表3】
Figure 0003603842
【0023】
この混合物を乾燥造粒した後、2000kg/cmの圧力で成形し、直径10mm,厚さ0.5mmの円板を得た。得られた円板を空気中において500℃まで加熱して有機バインダを燃焼させたのち、酸素分圧が2×10−10 〜3×10−12 atmのH−N−空気ガスからなる還元雰囲気炉中において表4および表5に示す温度で2時間焼成し、円板状の磁器を得た。得られた磁器の表面を、走査型電子顕微鏡で倍率1500倍で観察し、グレインサイズを測定した。
【0024】
【表4】
Figure 0003603842
【0025】
【表5】
Figure 0003603842
【0026】
そして、得られた磁器の主表面に銀電極を、N雰囲気中において600℃の温度で焼き付けて測定試料(コンデンサ)とした。得られた試料について、室温での誘電率(ε),誘電損失(tanδ)および温度変化に対する静電容量(C)の変化率を測定した。なお、誘電率および誘電損失は、温度25℃,1kHz,1Vrms の条件で測定した。また、温度変化に対する静電容量の変化率については、20℃での静電容量を基準とした−25℃と85℃での変化率(ΔC/C20)および−25℃から85℃の範囲内で絶対値としてその変化率が最大である値(|ΔC/C20max )を示した。
【0027】
さらに、また、絶縁抵抗計によって、500Vの直流電流を2分間印加したのちの絶縁抵抗値を測定した。絶縁抵抗は、25℃および85℃の値を測定し、それぞれの体積抵抗率の対数(logρ)を算出した。これらの測定結果を表4および表5に示す。
【0028】
次に、各組成の限定理由について説明する。
【0029】
(1−a){ (Ba1−o−p−q−r SrCaR1R2) O1+q/2+r/2 ( Ti1−x−y ZrHf) O+aMgOにおいて、試料番号1のように、Sr量oが0の場合、誘電率が9000未満で、誘電損失が1.5%を超え、静電容量の温度変化率も大きくなり好ましくない。一方、試料番号18のように、Sr量oが0.32を超えると、誘電率が9000未満で、静電容量の温度変化率がJIS規格のF特性を満足しなくなり好ましくない。
【0030】
また、試料番号19のように、Ca量pが0.20を超えると、焼結性が悪くなり、誘電率が低下し好ましくない。
【0031】
さらに、試料番号2のように、R1量qが0の場合、結晶粒径が3μmより大きくなり、積層セラミックコンデンサにした場合、誘電体層を薄膜化できず好ましくない。一方、試料番号20のように、R1量qが0.02を超えると、誘電損失が1.5%を超え、25℃,85℃での絶縁抵抗が低下し好ましくない。
【0032】
試料番号3のように、R2量rが0の場合、誘電率が9000未満で、静電容量の温度変化率も大きくなり好ましくない。一方、試料番号21のように、R2量rが0.03を超えると、誘電損失が1.5%を超え、絶縁抵抗が低下し好ましくない。
【0033】
また、試料番号22のように、R1量qとR2量rの和q+rが0.04を超えると、還元性雰囲気で焼成したときに、磁器が還元され、半導体化して絶縁抵抗が大幅に低下し好ましくない。
【0034】
さらに、試料番号4のように、Zr量xが0の場合、誘電率が9000未満になり、静電容量の温度変化率が大きくなり好ましくない。一方、試料番号23のように、Zr量xが0.24を超えると、焼結性が低下し、誘電率が9000未満になり好ましくない。
【0035】
試料番号5のように、Hf量yが0の場合、誘電率が9000未満となり好ましくない。また、試料番号24のように、Hf量yが0.16を超えると、静電容量の温度変化率がJIS規格のF特性を満足しなくなり好ましくない。
【0036】
また、試料番号6のように、Mg量aが0の場合、R1量,R2量が多いと、誘電損失が1.5%を超え、絶縁抵抗が低下して好ましくない。一方、試料番号25のように、MgO量aが0.05を超えると、焼結性が低下し、誘電率が9000未満になり好ましくない。
【0037】
さらに、試料番号8のように、モル比mが1.00未満では、還元性雰囲気中で焼成したときに磁器が還元され、半導体化して絶縁抵抗が低下してしまい好ましくない。一方、試料番号27のように、モル比mが1.03を超えると、焼結性が極端に悪くなり好ましくない。
【0038】
試料番号7のように、添加物としてのMnO,Fe,Cr,CoOおよびNiOの添加量が0.02モル未満の場合、85℃以上での絶縁抵抗が小さくなり、高温中における長時間使用の信頼性が低下し好ましくない。一方、試料番号26のように、これらの添加物の量が2.0モルを超えると、誘電損失が1.5%を超えて大きくなり、同時に絶縁抵抗も劣化し好ましくない。
【0039】
それに対して、この発明の非還元性誘電体磁器組成物を用いれば、誘電率が9000以上と高く、誘電損失が1.5%以下で、温度に対する静電容量の変化率が、−25℃〜85℃の範囲でJIS規格に規定するF特性規格を満足する誘電体磁器を得ることができる。さらに、この誘電体磁器では、25℃,85℃における絶縁抵抗は、体積抵抗率の対数で表したときに12以上と高い値を示す。また、この発明の非還元性誘電体磁器組成物は、焼成温度も1300℃以下と比較的低温で焼結可能であり、粒径についても3μm以下と小さい。
【0040】
(実施例2)
まず、実施例1の試料番号2,3,9,17の粒径が1μm以下の誘電体原料を準備した。また、出発原料として、純度99.8%以上のBaCO,SrCO,CaCO,TiO,ZrO,HfO,MnO,NiOを準備した。出発原料を99.5mol{ (Ba0.93Sr0.05Ca0.02) O}1.01 (Ti0.83Zr0.16Hf0.01) O+0.5molMgO+0.3molMnO+0.1molNiOの組成比となるように配合して、配合原料を得た。この配合原料をボールミルで湿式混合し、粉砕したのち乾燥し、空気中において1100℃で2時間仮焼して仮焼物を得た。この仮焼物を乾式粉砕機によって粉砕し、粒径が1μm以下の誘電体原料を比較原料1として準備した。
【0041】
この原料粉末にポリビニルブチラール系バインダおよびエタノールなどの有機溶剤を加えて、ボールミルによって湿式混合し、セラミックスラリを調整した。そののち、セラミックスラリをドクターブレード法によってシート成形し、厚み18μmの矩形のグリーンシートを得た。次に、このセラミックグリーンシート上に、Niを主体とする導電ペーストを印刷し、内部電極を構成するための導電ペースト層を形成した。導電ペースト層が形成されたセラミックグリーンシートを、導電ペーストの引き出されている側が互い違いとなるように複数枚積層し、積層体を得た。得られた積層体をN雰囲気中において350℃の温度に加熱し、バインダを燃焼させたのち、酸素分圧が2×10−10 〜3×10−12 atmのH−N−空気ガスからなる還元性雰囲気中において表6に示す温度で2時間焼成し、セラミック焼結体を得た。得られたセラミック焼結体の表面を、走査型電子顕微鏡で倍率1500倍で観察し、グレインサイズを測定した。
【0042】
【表6】
Figure 0003603842
【0043】
焼成後、得られた焼結体の両端面にAgペーストを塗布し、N雰囲気中において600℃の温度で焼き付け、内部電極と電気的に接続された外部電極を形成した。このようにして得られた積層セラミックコンデンサの外形寸法は、幅1.6mm,長さ3.2mm,厚さ1.2mmであり、内部電極間に介在する誘電体セラミック層の厚みは15μmである。また、有効誘電体セラミック層の総数は19であり、一層当たりの対向電極の面積は2.1mmである。
【0044】
静電容量(C)および誘電損失(tanδ)は、自動ブリッジ式測定器を用いて、周波数1kHz,1Vrms ,温度25℃にて測定し、静電容量から誘電率(ε)を算出した。次に、絶縁抵抗(R)を測定するために、絶縁抵抗計を用い、16Vの直流電圧を2分間印加して、25℃,85℃での絶縁抵抗(R)を測定し、静電容量(C)と絶縁抵抗(R)との積、すなわちCR積を求めた。また、温度変化に対する静電容量の変化率を測定した。なお、温度変化に対する静電容量の変化率については、20℃での静電容量を基準とした−25℃と85℃での変化率(ΔC/C20)を示した。高温負荷寿命試験としては、各試料を36個ずつ、温度150℃で直流電圧を150V印加して、その絶縁抵抗の経時変化を測定した。また、高温負荷試験としては、各試料を36個ずつ、温度85℃で直流電圧を32V印加して、1000時間経過後の静電容量(C)を測定した。なお、高温負荷寿命試験では、各試料の絶縁抵抗値(R)が10Ω以下になったときの時間を寿命時間とし、36個の平均値をその平均寿命時間として示した。また、高温負荷試験では、試験前の静電容量(C)に対する1000時間経過後の静電容量(C1000)の変化率((C1000−C/C×100)の36個の平均値を示した。以上の各試験の結果を表6に示す。
【0045】
表6から明らかなように、この発明の非還元性誘電体磁器組成物を用いた積層セラミックコンデンサは、誘電率(ε)が高く、誘電損失(tanδ)も小さい。また、温度変化に対する静電容量の変化率(ΔC/C20)が、−25℃〜85℃の範囲でJIS規格に規定するF特性規格を満足する。しかも、25℃,85℃における絶縁抵抗は、CR積で表したときに、それぞれ、10000MΩ・μF,5000MΩ・μF以上と高い値を示す。また、高温寿命時間が100時間以上と長く、高温負荷試験1000時間前後での静電容量の変化が10%以内と小さい。さらに、焼成温度も1300℃以下と比較的低温で焼結可能であり、粒径についても3μm以下と小さい。
【0046】
それに対して、La,Ce,Nd,Pr,Smの中から選ばれる少なくとも一種類から構成されるR1量が0である非還元性誘電体磁器組成物を用いたこの発明の範囲外の試料番号2の積層セラミックコンデンサは、高温負荷寿命時間が100時間より短くなる。また、Dy,Ho,Er,Yb,Yの中から選ばれる少なくとも一種類から構成されるR2量が0である非還元性誘電体磁器組成物を用いたこの発明の範囲外の試料番号3の積層セラミックコンデンサは、誘電率(ε)が低く、誘電損失(tanδ)も大きく、高温負荷試験1000時間での静電容量の変化が大きくなる。
【0047】
さらに、これらのR1およびR2が添加されていない比較原料1の積層セラミックコンデンサは、高温負荷寿命時間が短く、高温負荷試験1000時間での静電容量の変化が大きくなる。すなわち、R1およびR2を同時に添加することによって、高温負荷寿命が長く、高温負荷時の静電容量の経時変化の小さい積層セラミックコンデンサを得ることができる。
【0048】
なお、上記実施例では、出発原料として、BaCO,SrCO,CaCO,TiO,ZrO,HfOなどの酸化物粉末を用いたが、これらの酸化物粉末に限定されるものではなく、アルコキシド法,共沈法または水熱合成法によって作製された粉末を用いてもよい。これらの粉末を用いることによって、本実施例で示した特性より向上する可能性もある。
【0049】
また、この発明にかかる非還元性誘電体磁器組成物において、微量のシリカあるいは酸化物ガラスのような焼結助剤を添加しても、得られる特性を何ら損なうものではない。

Claims (2)

  1. その主成分が次の組成式
    (1−a){ (Ba1−o−p−q−r SrCaR1R2) O1+q/2+r/2 ( Ti1−x−y ZrHf) O+aMgO(ただし、R1はLa,Ce,Nd,PrおよびSmの中から選ばれる少なくとも一種類、R2はDy,Ho,Er,YbおよびYの中から選ばれる少なくとも一種類)で表され、a,o,p,q,r,x,yおよびmが、
    0<a≦0.05
    0<o≦0.32
    0<p≦0.20
    0<q≦0.02
    0<r≦0.03
    0<x≦0.24
    0<y≦0.16
    1.00≦m≦1.03
    0<q+r≦0.04
    の関係を満足し、前記主成分100モルに対して、Mn,Fe,Cr,Co,Niの各酸化物をMnO,Fe,Cr,CoO,NiOと表したとき、各酸化物の少なくとも一種類を合計量で0.02〜2.0モル含む、非還元性誘電体磁器組成物。
  2. その主成分が次の組成式
    (1−a){ (Ba1−o−q−r SrR1R2) O1+q/2+r/2 ( Ti1−x−y ZrHf) O+aMgO(ただし、R1はLa,Ce,Nd,PrおよびSmの中から選ばれる少なくとも一種類、R2はDy,Ho,Er,YbおよびYの中から選ばれる少なくとも一種類)で表され、a,o,q,r,x,yおよびmが、
    0<a≦0.05
    0<o≦0.32
    0<q≦0.02
    0<r≦0.03
    0<x≦0.24
    0<y≦0.16
    1.00≦m≦1.03
    0<q+r≦0.04
    の関係を満足し、前記主成分100モルに対して、Mn,Fe,Cr,Co,Niの各酸化物をMnO,Fe,Cr,CoO,NiOと表したとき、各酸化物の少なくとも一種類を合計量で0.02〜2.0モル含む、非還元性誘電体磁器組成物。
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