JP3465743B2 - β型トリス−(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌレート結晶体及びその製造方法 - Google Patents

β型トリス−(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌレート結晶体及びその製造方法

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JP3465743B2
JP3465743B2 JP05836399A JP5836399A JP3465743B2 JP 3465743 B2 JP3465743 B2 JP 3465743B2 JP 05836399 A JP05836399 A JP 05836399A JP 5836399 A JP5836399 A JP 5836399A JP 3465743 B2 JP3465743 B2 JP 3465743B2
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    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07DHETEROCYCLIC COMPOUNDS
    • C07D405/00Heterocyclic compounds containing both one or more hetero rings having oxygen atoms as the only ring hetero atoms, and one or more rings having nitrogen as the only ring hetero atom
    • C07D405/14Heterocyclic compounds containing both one or more hetero rings having oxygen atoms as the only ring hetero atoms, and one or more rings having nitrogen as the only ring hetero atom containing three or more hetero rings
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    • H05ELECTRIC TECHNIQUES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
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    • H05K3/00Apparatus or processes for manufacturing printed circuits
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はβ型トリス−(2,
3−エポキシプロピル)−イソシアヌレート結晶体及び
その製造に関するものであり、結晶体の表面に存在しア
ルコールに抽出される形態のα型トリス−(2,3−エ
ポキシプロピル)−イソシアヌレートの含量が2重量%
以下でかつ、人体及び電子材料用途に有害なエピクロル
ヒドリンを1000ppm以下に低減した高純度の製品
として効率よく製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年のソルダーレジスト材料に対する要
求特性、例えば密着性、電気絶縁性、はんだ耐熱性、耐
溶剤性の高まりから現在、感光性のプレポリマーと熱硬
化性樹脂を併用したソルダーレジストインキ組成物が使
用されている。つまり、感光性プレポリマーによってソ
ルダーレジストパターンを形成させた後、熱硬化によっ
て上記要求特性を満たそうとしている。さらに昨今のエ
レクトロニクス機器の軽量小型化に伴うプリント配線基
板の高密度化、部品の表面実装化に対するソルダーレジ
ストパターン形成時の低にじみ化および回路間への埋め
込み性の精密化などの要求性が高まっている。そのため
ソルダーレジストインキに併用される熱硬化樹脂は、耐
溶剤性の高い、微粒状の固体エポキシが望まれる。
【0003】以上のような要求特性を満たす固体エポキ
シとしてトリス−(2,3−エポキシプロピル)−イソ
シアヌレートが挙げられる。トリス−(2,3−エポキ
シプロピル)−イソシアヌレートには、不斉炭素が3つ
存在し、その不斉炭素が3つとも揃った(2R,2’
R,2”R)−トリス−(2,3−エポキシプロピル)
−イソシアヌレートと(2S,2’S,2”S)−トリ
ス−(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌレート
の等モルの混合物である結晶は一般にβ型結晶と呼ば
れ、150℃程度の高融点型結晶を与えることが知られ
ている。これはこの2種の鏡像異性体同士が一対で強固
な6個の水素結合を持つ分子格子となり、結晶格子を形
成しているためである。一方、3つの不斉炭素のうち1
つだけ光学異方性の異なる(2R,2R,2S)−トリ
ス−(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌレート
と(2S,2S,2R)−トリス−(2,3−エポキシ
プロピル)−イソシアヌレートの混合物からなる結晶
は、一般にα型結晶と呼ばれ上記のような結晶構造では
ないために100℃程度の低い融点しか与えない。β型
のトリス−(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌ
レート結晶体は、融点が高いだけでなく、各種溶媒に対
する溶解性がきわめて低い為に異種化合物や反応性高分
子の架橋剤として一液型の反応性混合物として用いた
際、強制的に硬化するまでの保存時の反応が進行しな
い。これまでに電気、電子材料用途、例えば光硬化・熱
硬化併用型のソルダーレジストインキ組成物に使用され
ている。
【0004】液状エポキシ組成物は溶媒にエポキシ化合
物の一部が溶解するため保存中に増粘したり、感光性プ
レポリマーとからみつきを生じるため未露光部分を洗い
流す時の溶出不良となる恐れがある。特公平7−177
37号ではβ型トリス−(2,3−エポキシプロピル)
−イソシアヌレートを難溶性エポキシ化合物として使用
している。高融点で難溶性であるβ型トリス−(2,3
−エポキシプロピル)−イソシアヌレート微粒子は、感
光性プレポリマーに包まれた状態にあり、未露光部分の
感光性プレポリマーの溶解性を低下させることもない。
また、有機溶剤に難溶性であるため露光部は現像液に侵
されにくく、感度低下を生じることはない。さらに、ソ
ルダーレジストインキ組成物の保存安定性にも優れる。
【0005】ところで従来、トリス−(2,3−エポキ
シプロピル)−イソシアヌレートからβ型のトリス−
(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌレートとα
型トリス−(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌ
レートを分割製造する方法としては、α型トリス−
(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌレートを比
較的良く溶解し、β型トリス−(2,3−エポキシプロ
ピル)−イソシアヌレートを溶解し難い溶媒、例えばメ
タノールなどのアルコール類を用いた分割方法があっ
た。例えば、ジャーナル オブ サーマル アナリシス(J
ournal of Thermal Analysis)Vol.36(1990)第1819頁で
はメタノール溶媒を使用して分割している。また、プラ
ステ ウンド カウテスチュク(Plaste und Kautschuk)
23 Jahrgang Heft4/1975 ではまず、メタノール溶媒を
使用してβ型トリス−(2,3−エポキシプロピル)−
イソシアヌレートを分割した後、β型トリス−(2,3
−エポキシプロピル)−イソシアヌレートをクロロホル
ムで精製している。さらに高分子論文集47巻,No.3(19
90)第169頁では合成して得られたトリス−(2,3−エ
ポキシプロピル)−イソシアヌレートをメタノールに投
入し、加熱、攪拌して未溶解分を濾別、得られた未溶解
物をメチルエチルケトンで再結晶してβ型トリス−
(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌレートの結
晶を得ている。
【0006】このような分割方法で得られたβ型トリス
−(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌレートの
多くは結晶成長し難く、平均粒子径が10μm未満のも
のが多い。濾過工程において濾材の孔径が10μm以上
では濾材を通過するものが多く、収率が著しく損なわ
れ、また濾材の孔径が10μm未満では濾過抵抗が大き
く、濾材の目詰まりが起こりやすいため濾過作業を著し
く困難にする。
【0007】また、以上のような分割方法の1回の分割
操作ではβ型トリス−(2,3−エポキシプロピル)−
イソシアヌレートに含塩素不純物やその他の不純物、α
型トリス−(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌ
レートを包含し易いため、さらに再結晶を行う必要があ
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】特公昭48−2403
9号では、シアヌール酸とエピクロルヒドリンとを反応
させたイソシアヌール酸のクロルヒドリンエステルを、
アルカリで脱塩酸して生じるアルカリ金属塩化物を分離
し、得られたトリス−(2,3−エポキシプロピル)−
イソシアヌレートのエピクロルヒドリン溶液を濃縮して
トリス−(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌレ
ート濃度50〜60%にした後、20〜25℃に冷却し
てシアヌール酸基準収率27%でトリス−(2,3−エ
ポキシプロピル)−イソシアヌレートの結晶を得てい
る。公知の製法で得られるトリス−(2,3−エポキシ
プロピル)−イソシアヌレートはα型トリス−(2,3
−エポキシプロピル)−イソシアヌレート及びβ型トリ
ス−(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌレート
を3:1で含むことが知られている。
【0009】特公昭48−24039号の反応段階で存
在するβ型トリス−(2,3−エポキシプロピル)−イ
ソシアヌレートのシアヌール酸基準収率は20%以下で
あると予想でき、更に、晶析後の段階ではシアヌール酸
基準収率で19%以下であると予想できる。しかしなが
ら特公昭48−24039号で得られたトリス−(2,
3−エポキシプロピル)−イソシアヌレート結晶体は、
シアヌール酸基準収率で27%であることから計算する
と、得られた結晶体のα型トリス−(2,3−エポキシ
プロピル)−イソシアヌレートの割合は少なくとも(2
7%−19%)/27%×100=30%と考えられ
る。我々が行った追試実験の結果もα型トリス−(2,
3−エポキシプロピル)−イソシアヌレートの含有量が
30%以上の結果が得られた。特公昭48−24039
号で得られた結晶には多くのα型トリス−(2,3−エ
ポキシプロピル)−イソシアヌレートがβ型トリス−
(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌレート結晶
の表面に付着しているか、単独結晶として存在すると考
えられる。
【0010】従って、以上の方法では、アルコールに抽
出される形態のα型トリス−(2,3−エポキシプロピ
ル)−イソシアヌレートを多量に含み、更には、結晶体
内部にエピクロルヒドリンなどを数千ppm包含される
という問題がある。つまり、先に述べたようにアルコー
ルに可溶性であるα型トリス−(2,3−エポキシプロ
ピル)−イソシアヌレートが、β型トリス−(2,3−
エポキシプロピル)−イソシアヌレート結晶の表面に存
在したり、単独に存在するため、ソルダーレジスト組成
物中に溶解して保存安定性を低下させたり、現像性を低
下させる問題がある。さらにエピクロルヒドリンは人体
に有害であるだけでなく、電子材料用途に有害な加水分
解性塩素で構成されているため極力少ない方が望まし
い。
【0011】本発明の目的は、工業的に有利なトリス−
(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌレート反応
溶液の晶析によって得られるβ型トリス−(2,3−エ
ポキシプロピル)−イソシアヌレートに関するもので、
アルコールに抽出される形態のα型トリス−(2,3−
エポキシプロピル)−イソシアヌレートが全トリス−
(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌレートの2
重量%以下でかつ残留するエピクロルヒドリンを100
0ppm以下、特に300ppm以下に低減させたβ型
トリス−(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌレ
ートを得ることである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本願発明の第1観点は、
表面と内部とを有するβ型トリス−(2,3−エポキシ
プロピル)−イソシアヌレートの結晶体であって、α型
トリス−(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌレ
ートを2〜15重量%の割合で結晶体内部に包含す
るβ型トリス−(2,3−エポキシプロピル)−イソシ
アヌレート結晶体、本願発明の第2観点は、結晶体の平
均粒子径が10〜500μmである第1観点に記載のβ
型トリス−(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌ
レート結晶体、本願発明の第3観点は、下記(A)、
(B)、(C)、(D)及び(E)工程: (A)工程:1モルのシアヌール酸と5〜180モルの
エピクロルヒドリンを反応させてシアヌール酸のエピク
ロルヒドリン付加体を生成し、続いて脱塩酸する事によ
ってトリス−(2,3−エポキシプロピル)−イソシア
ヌレートを含有する反応溶液を得る工程、 (B)工程:(A)工程で得られたトリス−(2,3−
エポキシプロピル)−イソシアヌレートを含有する反応
溶液を、固形分濃度で10〜50重量%に調製する工
程、 (C)工程:(B)工程で得られた液状物に、その液状
物が飽和溶液を形成する温度より5〜20℃低い温度で
種晶を加える工程、 (D)工程:(C)工程で得られた液状物を、20℃/
hr以内の冷却速度で徐冷して濾過し結晶体を得る工
程、及び (E)工程:(D)工程で得られた結晶体を洗浄及び乾
燥する工程、からなる表面と内部とを有するβ型トリス
−(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌレートの
結晶体であってα型トリス−(2,3−エポキシプロピ
ル)−イソシアヌレートを2〜15重量%の割合で
晶体内部に包含するβ型トリス−(2,3−エポキシ
プロピル)−イソシアヌレート結晶体の製造方法、本願
発明の第4観点は、(A)工程が、(a)シアヌール酸
1モル、(b)エピクロルヒドリン5〜180モル、及
び(c)触媒として第3級アミン、第4級アンモニウム
塩、第4級アンモニウム塩基、トリ置換ホスフィン、及
び第4級ホスフォニウム塩よりなる群の中から選ばれた
少なくとも1種の化合物0.001〜0.1モルを反応
して得られた反応溶液に、アルカリ金属水酸化物又はア
ルカリ金属アルコラートを2〜6モル加えて脱塩酸後、
アルカリ金属塩を除去してトリス−(2,3−エポキシ
プロピル)−イソシアヌレートを含有する反応溶液を得
る工程である第3観点に記載の製造方法、本願発明の第
5観点は、(C)工程が、(B)工程で得られた液状物
を飽和溶液が形成される温度以上に昇温し、その後飽和
溶液を形成する温度より5〜20℃低い温度に冷却して
から種晶を加える工程である第3観点又は第4観点に記
載の製造方法、本願発明の第6観点は、(C)工程の種
晶の添加が、下記式(1)及び(2)
【0013】
【数3】1×1010≧T≧1×102 式(1)
【0014】
【数4】 T=1.4×1012(m/(M×D3)) 式(2) 〔但し、Tは反応液中のトリス−(2,3−エポキシプ
ロピル)−イソシアヌレート重量当たりに添加する種晶
の個数(個/g)、mは種晶添加重量(g)、Dは種晶
の平均粒子径であり2〜300μm、Mは反応液中のト
リス−(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌレー
ト重量(g)である。〕を満たす第3観点乃至第5観点
のいずれか一つに記載の製造方法、本願発明の第7観点
は、(C)工程で添加する種晶が、β型トリス−(2,
3−エポキシプロピル)−イソシアヌレート、又はβ型
トリス−(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌレ
ートとα型トリス−(2,3−エポキシプロピル)−イ
ソシアヌレートの混合物である第3観点乃至第6観点の
いずれか一つに記載の製造方法、本願発明の第8観点
は、(D)工程の液状物を徐冷する過程で、液状物に超
音波を加える第3観点乃至第7観点のいずれか一つに記
載の製造方法、本願発明の第9観点は、(E)工程の洗
浄が、α型トリス−(2,3−エポキシプロピル)−イ
ソシアヌレートに対して20℃で0.5g/100g以
上の溶解度を有し、且つβ型トリス−(2,3−エポキ
シプロピル)−イソシアヌレートに対して20℃で0.
5g/100g未満の溶解度を有する溶媒を、β型トリ
ス−(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌレート
結晶体に対して0.5〜10重量倍用いる第3観点乃至
第8観点のいずれか一つに記載の製造方法、本願発明の
第10観点は、(D)工程で得られた結晶体の平均粒子
径が20〜500μmであり、且つ(E)工程で常圧又
は減圧下に気流中で120〜140℃の温度で乾燥を行
う第3観点乃至第9観点のいずれか一つに記載の製造方
法、並びに、本願発明の第11観点は、(D)工程で得
られた結晶体の平均粒子径が10〜20μmであり、且
つ(E)工程で常圧又は減圧下に気流中で40〜120
℃の温度で乾燥を行う第3観点乃至第9観点のいずれか
一つに記載の製造方法、に関する。
【0015】
【発明の実施の形態】本願発明のα型トリス−(2,3
−エポキシプロピル)−イソシアヌレートを2〜15重
量%の割合で結晶体内部に包含するβ型トリス−(2,
3−エポキシプロピル)−イソシアヌレート結晶体は、
その平均粒子径として10〜500μmとして得られ
る。β型トリス−(2,3−エポキシプロピル)−イソ
シアヌレート結晶体の内部に存在するα型トリス−
(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌレートの含
有量は、(α体)/(α体+β体)の比率で2〜15重
量%、好ましくは4〜13重量%である。
【0016】本願発明のβ型トリス−(2,3−エポキ
シプロピル)−イソシアヌレート結晶体の表面又は単独
に存在するα型トリス−(2,3−エポキシプロピル)
−イソシアヌレートの含有量の測定方法としては、例え
ば溶媒抽出法があり、α型に対してβ型は有機溶媒に対
する溶解性が非常に小さいために精度良く測定すること
が可能である。ここで用いられる有機溶媒としては例え
ばメタノール、エタノールなどのアルコール系溶媒が挙
げられる。
【0017】また、結晶全体のα型とβ型の比率の測定
方法としては、例えば1H−NMR、IR或いは光学分
割用カラムでのHPLCによる方法がある。光学分割用
カラムとしては、固定相にアミロースあるいはセルロー
ス誘導体を用いる事によって効率的に分割でき、精度良
く測定することが可能である。
【0018】本願発明のβ型トリス−(2,3−エポキ
シプロピル)−イソシアヌレート結晶体中に包含される
α型トリス−(2,3−エポキシプロピル)−イソシア
ヌレートは、2〜15重量%の割合であり、この分析方
法としては本願に記載した方法に限られるものではな
い。
【0019】β型トリス−(2,3−エポキシプロピ
ル)−イソシアヌレート結晶体の内部に包含されるα型
トリス−(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌレ
ートは、メタノール等の有機溶媒によって抽出されるこ
とがないため、エポキシ樹脂組成物とした際にβ型トリ
ス−(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌレート
結晶体から溶出することがない。
【0020】本願発明のβ型トリス−(2,3−エポキ
シプロピル)−イソシアヌレート結晶体の製造方法にお
いて、(A)工程は1モルのシアヌール酸と5〜180
モルのエピクロルヒドリンを反応させてシアヌール酸の
エピクロルヒドリン付加体を生成し、続いて脱塩酸する
事によってトリス−(2,3−エポキシプロピル)−イ
ソシアヌレートを含有する反応溶液を得る工程である。
更に詳細には、(A)工程は、(a)シアヌール酸1モ
ル、(b)エピクロルヒドリン5〜180モル、及び
(c)触媒として第3級アミン、第4級アンモニウム
塩、第4級アンモニウム塩基、トリ置換ホスフィン、及
び第4級ホスフォニウム塩よりなる群の中から選ばれた
少なくとも1種の化合物0.001〜0.1モルを反応
して得られた反応溶液に、アルカリ金属水酸化物又はア
ルカリ金属アルコラートを2〜6モル加えて脱塩酸後、
アルカリ金属塩を除去してトリス−(2,3−エポキシ
プロピル)−イソシアヌレートを含有する反応溶液を得
る工程である。
【0021】(A)工程でシアヌール酸にエピクロルヒ
ドリンを付加させる触媒としては特に限定されるもので
はないが、例えば第3級アミン、第4級アンモニウム
塩、第4級アンモニウム塩基、トリ置換ホスフィン、及
び第4級ホスフォニウム塩が挙げられ、シアヌール酸1
モルに対して触媒を0.001〜0.1モル使用するこ
とが好ましい。触媒の例として、第3級アミンとして
は、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、N,N’
−ジメチルピペラジン等が挙げられる。また、第4級ア
ンモニウム塩としてはテトラメチルアンモニウムハライ
ド、テトラエチルアンモニウムハライド、テトラブチル
アンモニウムハライド等が挙げられ、ハライドとしては
クロライド、ブロマイド、アイオダイド等が挙げられ
る。また第4級アンモニウム塩基としては、テトラメチ
ルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリメチルアン
モニウムヒドロキシドが挙げられる。またトリ置換ホス
フィンとしては、トリプロピルホスフィン、トリブチル
ホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリトリルホス
フィン等が挙げられ、第4級ホスフォニウム塩としては
テトラメチルホスフォニウムハライド、テトラブチルホ
スフォニウムハライド、メチルトリフェニルホスフォニ
ウムハライド、エチルトリフェニルホスフォニウムハラ
イド等が挙げられ、ハライドとしてはクロライド、ブロ
マイド、アイオダイド等が挙げられる。ここで挙げた化
合物のうち、なかでも第4級アンモニウム塩、第4級ホ
スフォニウム塩は、より穏和な条件下で副反応が少なく
効率的に反応が進行するので好ましい。特に好ましくは
第4級アンモニウム塩であり、中でもテトラメチルアン
モニウムハライド、テトラエチルアンモニウムハライ
ド、テトラブチルアンモニウムハライドで、ハライドと
してはクロライド、ブロマイドを用いることによって副
反応がより抑えられ、反応後の触媒の除去も水洗によっ
て容易に取り除けることから好ましい。
【0022】さらに(A)工程では、続いて脱塩酸する
事によってトリス−(2,3−エポキシプロピル)−イ
ソシアヌレートを含有する反応溶液が得られる。この脱
塩酸反応で用いられる試薬としては特に限定されるもの
ではないが、例えばアルカリ金属水酸化物又はアルカリ
金属アルコラートが挙げられ、シアヌール酸1モルに対
してアルカリ金属水酸化物又はアルカリ金属アルコラー
トを2〜6好ましくは2.5〜4モルの範囲で使用する
ことが好ましい。上記のアルカリ金属水酸化物として
は、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸
化リチウムが挙げられ、アルカリ金属アルコラートとし
てはナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、カ
リウムメチラート、カリウムエチラートが挙げられる。
この様に生成したトリス−(2,3−エポキシプロピ
ル)−イソシアヌレートにはβ型トリス−(2,3−エ
ポキシプロピル)−イソシアヌレートとα型トリス−
(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌレートを重
量比1:3の割合で含んでいる。
【0023】このようにして得られたトリス−(2,3
−エポキシプロピル)−イソシアヌレートを含有する反
応溶液は濃縮や希釈により、晶析に適した濃度に調整さ
れる。なお、固形分濃度の測定はロータリーエバポレー
ターで120℃、5Torr以下で3時間の処理を行う事に
より乾固させ固形分重量を測定して固形分濃度を算出す
る事ができる。
【0024】(B)工程で、トリス−(2,3−エポキ
シプロピル)−イソシアヌレートを含有する反応溶液の
固形分濃度は10重量%〜50重量%、好ましくは25
重量%〜40重量%に調製する。
【0025】この濃度が低すぎると晶析に必要な冷却温
度が低温まで冷却しなければならず、十分な得量が得ら
れない。
【0026】逆にこの濃度が高すぎても晶析に必要な冷
却温度を高温に保持させなければならず、その結果とし
て濾過温度も高温に保たなければならない。この時、最
終冷却温度範囲以下の温度まで冷却すると急激な晶析が
起こり、α型トリス−(2,3−エポキシプロピル)−
イソシアヌレートを取り込み易く好ましくない。また濃
度が高すぎる場合は、温度変化に対する溶解度の変化も
大きいために急激な晶析が起こり、α型トリス−(2,
3−エポキシプロピル)−イソシアヌレートを取り込み
易く好ましくない。
【0027】この晶析に必要な冷却温度範囲を保持する
必要性は、晶析されたβ型結晶体中にα体を選択的に適
当量含有させるためである。
【0028】表1に反応溶液中のトリス−(2,3−エ
ポキシプロピル)−イソシアヌレート固形分濃度(%)
と、飽和溶液を形成する温度(℃)及び晶析に必要な冷
却温度(℃)の関係を示す。ここで飽和溶液を形成する
温度とは、(B)工程で得られた反応溶液を120℃、
2Torrで乾固して得られたトリス−(2,3−エポキシ
プロピル)−イソシアヌレートを粉砕して32メッシュ
以下の粉末を得て、エピクロルヒドリンと所定固形分濃
度で調整後、激しく攪拌しながら室温より1℃/分の昇
温速度で加温し、完全に溶解した時点の温度とした。
【0029】
【表1】 表1 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――トリス -(2,3-エホ゜キシフ゜ロヒ゜ル)- イソシアヌレート固形分濃度(%) 50 40 30 25 15 10 ――――――――――――――――――――――――――――――――――― 飽和溶液を形成する温度(℃) 79 69 58 53 39 29 晶析に必要な冷却温度(℃) 35±5 25±5 15±5 11±5 0±5 −5±5 ――――――――――――――――――――――――――――――――――― (C)工程では、(B)工程で得られた液状物に、その
液状物が飽和溶液を形成する温度より5〜20℃低い温
度で種晶を加える。種晶を加えないで晶析させると冷却
中でも過飽和状態が続き、冷却の後半に一気に晶析が起
きる。これはエピクロルヒドリンやα型トリス−(2,
3−エポキシプロピル)−イソシアヌレートなどの不純
物の取り込みによる純度の低下を招くなど好ましくな
い。
【0030】また、(C)工程では、種晶を加える前に
飽和溶液を形成する温度以上に反応溶液を加熱して、反
応溶液中のトリス−(2,3−エポキシプロピル)−イ
ソシアヌレートを十分に溶解してから、飽和溶液を形成
する温度より5〜20℃低い温度に徐冷して種晶を加え
ることができる。この方法では得られる結晶体の粒子径
が均一となるので、濾過性等において好ましい。
【0031】(C)工程の種晶の添加は、下記式(1)
及び(2) 1×1010≧T≧1×102 式(1) T=1012m/(M(4/3)π(D/2)3d) =1.4×1012(m/(M×D3)) 式(2) 〔但し、Tは反応液中のトリス−(2,3−エポキシプ
ロピル)−イソシアヌレート重量当たりに添加する種晶
の個数(個/g)、mは種晶添加重量(g)、Dは種晶
の平均粒子径であり2〜300μm、Mは反応液中のト
リス−(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌレー
ト重量(g)、dはトリス−(2,3−エポキシプロピ
ル)−イソシアヌレートの真比重である。〕を満たすも
のである。
【0032】本願発明では添加した種晶を核として結晶
成長が始まる。生成するβ型トリス−(2,3−エポキ
シプロピル)−イソシアヌレートの結晶サイズは、式
(1)及び(2)で定義される反応液中のトリス−
(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌレート重量
当たりに添加する種晶の個数(T:個/g)によって制
御される。種晶の添加量と平均粒子径によって決まる種
晶の個数(T)は、平均粒子径2〜300μmの種晶を
用いた場合、反応溶液中のトリス−(2,3−エポキシ
プロピル)−イソシアヌレート重量当たり102個/g
以上が好ましい。種晶個数が少ないと晶析されたβ型ト
リス−(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌレー
トの平均結晶サイズはより大きくなり、種晶の個数
(T)が多いとより平均結晶サイズの小さいβ型トリス
−(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌレート結
晶体が晶析される。また、種晶の個数(T)が1×10
10個/g以上に多すぎると晶析されるβ型トリス−
(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌレートの平
均粒子径は10μm未満になり好ましくない。特に平均
粒子径が100μmを越える種晶を用い、種晶の個数
(T)を多くした場合、添加重量が多すぎてしまうため
に好ましくない。
【0033】(C)工程が飽和溶液を形成する温度以上
に加熱せずに飽和溶液を形成する温度より5〜20℃低
い温度で維持した場合は、この温度では反応溶液中に微
小な結晶体が生成し、後から加える種晶と共にこの結晶
体も種晶として働き、種晶の個数(T)がコントロール
し難い。従って、一度飽和溶液を形成する温度以上に加
熱してから、その後飽和溶液が形成される温度より5〜
20℃低い温度に冷却して種晶を添加する方が望まし
い。
【0034】(C)工程で添加する種晶はβ型トリス−
(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌレート、又
はβ型トリス−(2,3−エポキシプロピル)−イソシ
アヌレートとα型トリス−(2,3−エポキシプロピ
ル)−イソシアヌレートの混合物を用いる事ができる。
【0035】(C)工程で種晶を添加した後、好ましく
は添加した温度で0.5〜1時間の攪拌を行う。
【0036】その後(D)工程として、α型トリス−
(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌレートが過
飽和状態を維持する温度まで徐冷する。この冷却速度は
20℃/hr以内、好ましくは10℃/hr以内であ
る。急冷させた場合は急激な結晶析出が起こり不純物の
取り込みによる純度の低下を生ずる為に好ましくない。
【0037】晶析したβ型トリス−(2,3−エポキシ
プロピル)−イソシアヌレート結晶体は、吸引濾過、フ
ィルタープレス法、遠心濾過法などにより濾別される。
【0038】(E)工程として、濾別されたβ型トリス
−(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌレート
は、不純物やα型トリス−(2,3−エポキシプロピ
ル)−イソシアヌレートやエピクロルヒドリンが含まれ
るため各種有機溶媒で洗浄する事ができる。有機溶媒と
しては例えば、メタノール、エタノール、イソプロピル
アルコール、メチルエチルケトン、アセトニトリル、ジ
メチルホルムアミド、エピクロルヒドリンなどがある
が、中でも低沸点でβ型トリス−(2,3−エポキシプ
ロピル)−イソシアヌレートに対する20℃での溶解度
が 0.5g/100g未満であり、且つα型トリス−
(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌレートに対
する20℃での溶解度が0.5g/100g以上の有機
溶媒が好ましい。この様な特徴を有する有機溶媒として
メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなど
が挙げられる。
【0039】洗浄温度は5〜50℃で行うことが出来る
が、5〜30℃が好ましい。高温例えば、30〜50℃
では溶解度が高まるため溶媒の使用量を節約できるが、
引火点や沸点に近い温度での操業となる。遠心濾過機は
静電気の引火による事故の恐れが有り、また安全性の高
い加圧濾過機では洗浄溶媒へ溶解したα型トリス−
(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌレートが、
加圧ガスの通気により濾材中又はケーキ中で再析出し濾
過性が低下する恐れがある。更に溶媒の予熱設備、回収
溶媒からα型トリス−(2,3−エポキシプロピル)−
イソシアヌレートが再析出しないための保温設備が必要
となるなど制約がある。更に50℃以上では特別な熱的
濾過システムが必要となる。また5℃より低温では多量
の溶媒を必要とする。
【0040】洗浄量は温度と溶媒によって異なるが、β
型トリス−(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌ
レート結晶体の乾燥重量に対して0.5〜10重量倍、
好ましくは1〜6重量倍である。洗浄方法としては濾別
されたβ型トリス−(2,3−エポキシプロピル)−イ
ソシアヌレートを再度スラリー化して濾過する事も可能
であり、また濾過しながら通液して洗浄する事も出来
る。
【0041】(E)工程では洗浄後、常圧又は減圧下に
気流中で120〜140℃の温度で乾燥を行うことが出
来る。上記の減圧下とは、常圧より低い圧力下であれば
種々の圧力で行う事が可能であり、例えば5〜20Torr
の圧力を例示する事が出来る。また乾燥時間は2〜24
時間である。
【0042】上記の120〜140℃の温度は、α型ト
リス−(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌレー
トの融点以上の温度であり、かつβ型トリス−(2,3
−エポキシプロピル)−イソシアヌレートの融点以下の
温度である。この温度で気流中で乾燥する事により、α
型トリス−(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌ
レートを結晶体内部に包含するβ型トリス−(2,3−
エポキシプロピル)−イソシアヌレート結晶体は、α型
トリス−(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌレ
ートの部分が溶融し液体化する。この液体部分を通じ
て、結晶体から不純物のエピクロルヒドリンが結晶体の
外に排出される。この(E)工程の乾燥工程を通じて得
られたα型トリス−(2,3−エポキシプロピル)−イ
ソシアヌレートを2〜15重量%の割合で結晶体内部に
包含するβ型トリス−(2,3−エポキシプロピル)−
イソシアヌレート結晶体は、残留エピクロルヒドリンを
1000ppm以下、特に好ましくは300ppm以下
に低減する事が出来る。生成物中の残留エピクロルヒド
リン量は、結晶体内部に含有されたα型トリス−(2,
3−エポキシプロピル)−イソシアヌレートが120〜
140℃、好ましくは125〜135℃の乾燥温度で溶
融し、結晶体内部に液体状の細孔を生成し、この液体状
の細孔を通じてエピクロルヒドリンが結晶体の外に排出
される事に起因する。残留エピクロルヒドリンを低減す
る為には、結晶体内部に存在する適量のα型トリス−
(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌレートと、
適切な洗浄・乾燥方法が必要と考えられる。特に平均粒
子径が20〜500μmの結晶体は、上記120〜14
0℃の乾燥の前後で残留エピクロルヒドリン量が大きく
低減されるため、平均粒子径が20〜500μmの結晶
体では常圧又は減圧下に気流下で120〜140℃での
乾燥が必要である。
【0043】結晶体内部に存在するα型トリス−(2,
3−エポキシプロピル)−イソシアヌレートの含有量が
2重量%未満の場合は、結晶体内部のα型トリス−
(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌレートの溶
融による抜け穴が少なく、生成した結晶体中に残留エピ
クロルヒドリン量が多くなる。
【0044】また結晶体内部に存在するα型トリス−
(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌレートの含
量が15重量%を越えると120〜140℃の乾燥時
に、結晶体内部からα型トリス−(2,3−エポキシプ
ロピル)−イソシアヌレートが滲みだし粒子間のバイン
ダーとなり塊状化を起こし好ましくない。粒子の塊状化
が起こると乾燥効率が悪く、また乾燥機からの排出が困
難になり、そして新たに微粉砕が必要になる為に好まし
くない。
【0045】しかし結晶体内部のα型トリス−(2,3
−エポキシプロピル)−イソシアヌレートの含有量が2
〜15重量%で乾燥温度が120〜140℃では、結晶
体粒子表面へのα型トリス−(2,3−エポキシプロピ
ル)−イソシアヌレートの滲みだしによる結晶体の塊状
化は起こりにくい。
【0046】また結晶体の表面又は単独に存在しアルコ
ールに抽出される形態のα型トリス−(2,3−エポキ
シプロピル)−イソシアヌレートは2重量%以下が好ま
しい。この値が2重量%を越えると結晶形状や粒度分布
が不均一となるため濾過性が低下したり、乾燥時に融着
による粒子の塊状化現象が起こりやすい。また光硬化・
熱硬化併用型一液性レジストインキ組成物とした場合に
は、溶媒に溶融し保存中に増粘したり、感光性プレポリ
マーとのからみつきを生じるため、露光後の未露光部分
を洗い流す時の溶出不良となる恐れがある。
【0047】結晶体の表面又は単独に存在しアルコール
に抽出される形態のα型トリス−(2,3−エポキシプ
ロピル)−イソシアヌレートが2重量%を多少越える場
合は、メタノールなどの追加洗浄によりこの値を2重量
%以下に低減することは可能であるが、この値が10〜
20重量%の場合は20℃のメタノールの追加洗浄量は
20〜40重量倍が必要となり、作業効率、メタノール
の回収又は廃棄を考慮すると極めて非効率な方法であ
る。加温したメタノールで洗浄すればメタノールの使用
量を節約できるが、遠心濾過機が使用できず加圧濾過機
を使用せざるを得ないが、加圧ガスの通気によりメタノ
ールに溶解したα型トリス−(2,3−エポキシプロピ
ル)−イソシアヌレートが濾材やケーキ中に再析出する
ため濾過性が悪化する他、設備面での制約がある。
【0048】本願発明では(D)工程の晶析中に激しい
攪拌、例えば超音波振動を与えると10μm〜50μ
m、特に10μm〜20μmの平均粒子径を有する結晶
体が晶析される。(D)工程で得られた結晶体の平均粒
子径が10〜20μmである場合は、(D)工程でのα
型トリス−(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌ
レートの再溶解が起きやすく、そして(E)工程でその
結晶体が持つ大きな比表面積によりα型トリス−(2,
3−エポキシプロピル)−イソシアヌレートが有機溶剤
による洗浄によって除去され易いために、(E)工程で
得られた結晶体はその結晶体内部に含有するα型トリス
−(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌレートが
2〜5重量%と少ない。そしてその結晶体はα型トリス
−(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌレートの
融点以下の温度、例えば40〜120℃で常圧又は減圧
下に気流中で乾燥を行うのみで残留エピクロルヒドリン
を400ppm以下に低減する事ができる。この方法で
はα型トリス−(2,3−エポキシプロピル)−イソシ
アヌレートの融点以上の温度で乾燥する方法に比べて残
留エピクロルヒドリンの点では不十分であるが、乾燥方
法を簡略化することができる。しかし、この結晶体も常
圧又は減圧下に気流中でα型トリス−(2,3−エポキ
シプロピル)−イソシアヌレートの融点以上の温度(1
20〜140℃)で乾燥する事により残留エピクロルヒ
ドリンを300ppm以下に低減する事もできる。
【0049】〈結晶体内部のα型トリス−(2,3−エ
ポキシプロピル)−イソシアヌレートの定量方法〉 (1)メタノールに抽出可能なα型トリス−(2,3−
エポキシプロピル)−イソシアヌレートは、サンプル
(結晶体)に10倍量のメタノールを加え、20℃で2
0分間の攪拌を行い、メタノール中のトリス−(2,3
−エポキシプロピル)−イソシアヌレートをHPLC
(高速液体クロマトグラフィー法)で定量する。
【0050】この条件で10重量%以上の値が出た場合
は、処理温度を20℃から40℃に変更して同様に測定
しその値を測定値とする。
【0051】このメタノールに抽出可能なトリス−
(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌレートは結
晶体表面に存在するα型トリス−(2,3−エポキシプ
ロピル)−イソシアヌレートである。 (2)結晶全体のα型とβ型の比率の測定方法は、HP
LCに市販の光学分割用カラムCHIRALPAK A
D(ダイセル化学工業(株)製(0.46cm径×25
cm長))を用い、溶離液としてn−ヘキサン/2−プ
ロパノール(40/60 v/v)、カラム温度24
℃、流量1.0ml/min.の条件で行い、試料の結
晶をアセトニトリルに溶解し、さらに溶離液で希釈して
HPLCに注入し、クロマト分離させる事によってβ型
トリス−(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌレ
ートが11.00分および16.80分に溶出し、α型
トリス−(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌレ
ートが12.87分および14.20分に溶出する。結
晶全体のα型とβ型の比率は、それぞれのピークの面積
比によって算出した。
【0052】メタノールに抽出不能なα型トリス−
(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌレートは、
上記(2)−(1)によって算出できる。このメタノー
ルに抽出する事ができないα型トリス−(2,3−エポ
キシプロピル)−イソシアヌレートは、β型結晶体内部
に存在するα型トリス−(2,3−エポキシプロピル)
−イソシアヌレートと考えられる。
【0053】〈結晶体中に残存する未反応のエピクロル
ヒドリンの定量方法〉結晶体中に残存する未反応のエピ
クロルヒドリンは、サンプル(結晶体)に20倍量のジ
メチルホルムアミドを添加し、80℃で加温する事によ
り溶解させ、ガスクロマトグラフィーによって定量する
事ができる。
【0054】〈平均粒子径及び粒度分布の測定〉レーザ
ー回折光散乱粒度分布測定装置で、メタノールを分散媒
として湿式法で行った。平均粒子径は体積基準中位径
(メディアン径)D50を用いた。分布を表す数値として
10%積算体積時の粒径(D10)及び90%積算体積時
の粒径(D90)を示した。
【0055】
【実施例】実施例1 (A)工程:攪拌装置、温度計、連続滴下装置、及び減
圧下にエピクロルヒドリンと水の共沸蒸気を濃縮しエピ
クロルヒドリンだけを反応系に戻す装置のついたフラス
コに、シアヌール酸774g(6モル)、エピクロルヒ
ドリン8328g(90モル)、15.5重量%濃度の
テトラメチルアンモニウムクロライド水溶液213g加
えて89〜120℃で5時間攪拌しながら還流する事に
より反応を行った。次に反応系の温度を50℃に冷却さ
せ、攪拌しながら50重量%の水酸化ナトリウム水溶液
1536gを50℃に保ちながら100〜60Torrの減
圧下、6時間反応して脱塩酸を行った。その後、生成し
た塩化ナトリウムを水3600gを加えて溶解させる事
で洗浄してから分液し、さらに5重量%リン酸2水素ナ
トリウム水溶液1200gを加えて洗浄する事により、
過剰量使用した水酸化ナトリウムを中和し、次いで48
00gの水で洗浄した。 (B)工程:反応溶液中の固形分濃度が40重量%にな
るまで温度50〜60℃、減圧にしてエピクロルヒドリ
ンの一部を留去し、4000gの調整液を得た。 (C)工程:温度を70℃に昇温し、固形分を完全に溶
解させてから1時間かけて60℃に冷却し、種晶として
平均粒子径45μmのβ型トリス−(2,3−エポキシ
プロピル)−イソシアヌレートを11.2g(種晶の個
数Tは1×105個/g)加えた。 (D)工程:60℃で1時間攪拌後、25℃まで4時間
で冷却してβ型トリス−(2,3−エポキシプロピル)
−イソシアヌレート結晶体を析出させ濾別した。 (E)工程:得られた結晶体を1200gのメタノール
で洗浄し濾過を行った。得られたケーキは、80℃で5
Torrの減圧下、4時間乾燥して280gの収量でβ型ト
リス−(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌレー
ト結晶体が得られた。得られた結晶体は、残留するエピ
クロルヒドリン量が700ppm、エポキシ価101g
/eq.、メタノールで抽出可能なα型トリス−(2,
3−エポキシプロピル)−イソシアヌレート含量が0.
5重量%、結晶体内部に包含されメタノールで抽出不能
なα型トリス−(2,3−エポキシプロピル)−イソシ
アヌレート含量が7.7重量%であり、この結晶体は融
点が148〜158℃であり、平均粒子径が75μmで
あり、粒度分布はD10が12μm、D50が75μm、D
90が180μmであり、白色結晶であった。さらに、こ
の結晶を窒素気流中130℃で10Torrの減圧下、ロー
タリーエバポレーターで24時間乾燥させて得られたβ
型トリス−(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌ
レート結晶体は残留エピクロルヒドリン量が180pp
mであった。
【0056】実施例2 (A)工程:実施例1と同様に操作した。 (B)工程:実施例1と同様に操作した。 (C)工程:温度を70℃に昇温し、固形分を完全に溶
解させてから1時間かけて60℃に冷却し、種晶として
平均粒子径2.7μmのβ型トリス−(2,3−エポキ
シプロピル)−イソシアヌレートを11.2g(種晶の
個数Tは4.9×108個/g)加えた。 (D)工程:実施例1と同様に操作した。 (E)工程:得られた結晶体を1200gのメタノール
で洗浄し濾過を行った。得られたケーキは、80℃で5
Torrの減圧下、4時間乾燥して290gの収量でβ型ト
リス−(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌレー
ト結晶体が得られた。得られた結晶体は残留するエピク
ロルヒドリン量が330ppm、エポキシ価101g/
eq.、メタノールで抽出可能なα型トリス−(2,3
−エポキシプロピル)−イソシアヌレート含量が0.5
重量%、結晶体内部に包含されメタノールで抽出不能な
α型トリス−(2,3−エポキシプロピル)−イソシア
ヌレート含量が4.1重量%であり、この結晶体は融点
が149〜158℃であり、平均粒子径が15μmであ
り、粒度分布はD10が8μm、D50が15μm、D90が
25μmであり、白色結晶であった。さらに、この結晶
を窒素気流中130℃で10Torrの減圧下、ロータリー
エバポレーターで24時間乾燥させて得られたβ型トリ
ス−(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌレート
結晶体は残留エピクロルヒドリン量が190ppmであ
った。
【0057】実施例3 (A)工程:実施例1と同様に操作した。 (B)工程:実施例1と同様に操作した。 (C)工程:温度を70℃に昇温し、固形分を完全に溶
解させてから1時間かけて60℃に冷却し、種晶として
平均粒子径2.7μmのβ型トリス−(2,3−エポキ
シプロピル)−イソシアヌレートを24.0g(種晶の
個数Tは1.05×109個/g)添加した。 (D)工程:実施例1と同様に操作した。 (E)工程:得られた結晶体を1200gのメタノール
で洗浄し濾過を行った。得られたケーキは、80℃で5
Torrの減圧下、4時間乾燥して310gの収量でβ型ト
リス−(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌレー
ト結晶体が得られた。得られた結晶体は残留するエピク
ロルヒドリン量が270ppm、エポキシ価101g/
eq.、メタノールで抽出可能なα型トリス−(2,3
−エポキシプロピル)−イソシアヌレート含量が0.5
重量%、結晶体内部に包含されメタノールで抽出不能な
α型トリス−(2,3−エポキシプロピル)−イソシア
ヌレート含量が3.2重量%であり、この結晶体は融点
が149〜158℃であり、平均粒子径が12μmであ
り、粒度分布はD10が7μm、D50が12μm、D90が
20μmであり、白色結晶であった。さらに、この結晶
を窒素気流中130℃で10Torrの減圧下、ロータリー
エバポレーターで24時間乾燥させて得られたβ型トリ
ス−(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌレート
結晶体は残留エピクロルヒドリン量が230ppmであ
った。
【0058】実施例4 (A)工程:実施例1と同様に操作した。 (B)工程:実施例1と同様に操作した。 (C)工程:温度を70℃に昇温し、固形分を完全に溶
解させてから1時間かけて60℃に冷却し、種晶として
平均粒子径2.7μmのβ型トリス−(2,3−エポキ
シプロピル)−イソシアヌレートを5.6g(種晶の個
数Tは2.45×108個/g)添加した。 (D)工程:実施例1と同様に操作した。 (E)工程:得られた結晶体を1200gのメタノール
で洗浄し濾過を行った。得られたケーキは、80℃で5
Torrの減圧下、4時間乾燥して290gの収量でβ型ト
リス−(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌレー
ト結晶体が得られた。得られた結晶体は残留するエピク
ロルヒドリン量が400ppm、エポキシ価101g/
eq.、メタノールで抽出可能なα型トリス−(2,3
−エポキシプロピル)−イソシアヌレート含量が0.5
重量%、結晶体内部に包含されメタノールで抽出不能な
α型トリス−(2,3−エポキシプロピル)−イソシア
ヌレート含量が5.0重量%であり、この結晶体は融点
が149〜158℃であり、平均粒子径が18μmであ
り、粒度分布はD10が9μm、D50が18μm、D90が
35μmであり、白色結晶であった。さらに、この結晶
を窒素気流中130℃で10Torrの減圧下、ロータリー
エバポレーターで24時間乾燥させて得られたβ型トリ
ス−(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌレート
結晶体は残留エピクロルヒドリン量が190ppmであ
った。
【0059】実施例5 (A)工程:実施例1と同様に操作した。 (B)工程:実施例1と同様に操作した。 (C)工程:温度を70℃に昇温し、固形分を完全に溶
解させてから1時間かけて60℃に冷却し、種晶として
平均粒子径2.7μmのβ型トリス−(2,3−エポキ
シプロピル)−イソシアヌレートを1.1g(種晶の個
数Tは4.9×107個/g)添加した。 (D)工程:実施例1と同様に操作した。 (E)工程:得られた結晶体を1200gのメタノール
で洗浄し濾過を行った。得られたケーキは、80℃で5
Torrの減圧下、4時間乾燥して280gの収量でβ型ト
リス−(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌレー
ト結晶体が得られた。得られた結晶体は残留するエピク
ロルヒドリン量が520ppm、エポキシ価101g/
eq.、メタノールで抽出可能なα型トリス−(2,3
−エポキシプロピル)−イソシアヌレート含量が0.5
重量%、結晶体内部に包含されメタノールで抽出不能な
α型トリス−(2,3−エポキシプロピル)−イソシア
ヌレート含量が7.4重量%であり、この結晶体は融点
が148〜158℃であり、平均粒子径が27μmであ
り、粒度分布はD10が11μm、D50が27μm、D90
が55μmであり、白色結晶であった。さらに、この結
晶を窒素気流中130℃で10Torrの減圧下、ロータリ
ーエバポレーターで24時間乾燥させて得られたβ型ト
リス−(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌレー
ト結晶体は残留エピクロルヒドリン量が130ppmで
あった。
【0060】実施例6 (A)工程:実施例1と同様に操作した。 (B)工程:実施例1と同様に操作した。 (C)工程:温度を70℃に昇温し、固形分を完全に溶
解させてから1時間かけて60℃に冷却し、種晶として
平均粒子径2.7μmのβ型トリス−(2,3−エポキ
シプロピル)−イソシアヌレートを0.16g(種晶の
個数Tは7×10 6個/g)添加した。 (D)工程:実施例1と同様に操作した。 (E)工程:得られた結晶体を1200gのメタノール
で洗浄し濾過を行った。得られたケーキは、80℃で5
Torrの減圧下、4時間乾燥して280gの収量でβ型ト
リス−(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌレー
ト結晶体が得られた。得られた結晶体は残留するエピク
ロルヒドリン量が640ppm、エポキシ価101g/
eq.、メタノールで抽出可能なα型トリス−(2,3
−エポキシプロピル)−イソシアヌレート含量が0.5
重量%、結晶体内部に包含されメタノールで抽出不能な
α型トリス−(2,3−エポキシプロピル)−イソシア
ヌレート含量が6.9重量%であり、この結晶体は融点
が148〜158℃であり、平均粒子径が32μmであ
り、粒度分布はD10が11μm、D50が32μm、D90
が70μmであり、白色結晶であった。さらに、この結
晶を窒素気流中130℃で10Torrの減圧下、ロータリ
ーエバポレーターで24時間乾燥させて得られるβ型ト
リス−(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌレー
ト結晶体は残留エピクロルヒドリン量が170ppmで
あった。
【0061】実施例7 (A)工程:実施例1と同様に操作した。 (B)工程:反応溶液中の固形分濃度が25重量%にな
るまで温度50〜60℃、減圧下にエピクロルヒドリン
の一部を留去し、6400gの調整液を得た。 (C)工程:温度を53℃に昇温し、固形分を完全に溶
解させてから1時間かけて43℃まで冷却し、種晶とし
て平均粒子径45μmのβ型トリス−(2,3−エポキ
シプロピル)−イソシアヌレートを11.2g(種晶の
個数Tは1×10 5個/g)加えた。 (D)工程:43℃で1時間攪拌後、10℃まで4時間
で冷却してβ型トリス−(2,3−エポキシプロピル)
−イソシアヌレート結晶体を析出させ濾別した。 (E)工程:得られた結晶体を1200gのメタノール
で洗浄し濾過を行った。得られたケーキは、80℃で5
Torrの減圧下、4時間乾燥して280gの収量でβ型ト
リス−(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌレー
ト結晶体が得られた。得られた結晶体は残留するエピク
ロルヒドリン量が800ppm、エポキシ価101g/
eq.、メタノールで抽出可能なα型トリス−(2,3
−エポキシプロピル)−イソシアヌレート含量が0.5
重量%、結晶体内部に包含されメタノールで抽出不能な
α型トリス−(2,3−エポキシプロピル)−イソシア
ヌレート含量が6.8重量%であり、この結晶体は融点
が148〜158℃であり、平均粒子径が75μmであ
り、粒度分布はD10が17μm、D50が75μm、D90
が160μmであり、白色結晶であった。さらに、この
結晶を窒素気流中130℃で10Torrの減圧下、ロータ
リーエバポレーターで24時間乾燥させて得られるβ型
トリス−(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌレ
ート結晶体は残留エピクロルヒドリン量が170ppm
であった。
【0062】実施例8 (A)工程:実施例1と同様に操作した。 (B)工程:反応溶液中の固形分濃度が15重量%にな
るまで温度50〜60℃、減圧下にエピクロルヒドリン
の一部を留去して、10700gの調整液を得た。 (C)工程:反応系の温度を40℃に昇温し、固形分を
完全に溶解させてから1時間かけて30℃まで冷却し、
種晶として平均粒子径45μmのβ型トリス−(2,3
−エポキシプロピル)−イソシアヌレートを11.2g
(種晶の個数Tは1×105個/g)加えた。 (D)工程:30℃で1時間攪拌後、0℃まで4時間か
けて冷却してβ型トリス−(2,3−エポキシプロピ
ル)−イソシアヌレート結晶体を析出させ濾別した。 (E)工程:得られた結晶体を1200gのメタノール
で洗浄し濾過を行った。得られたケーキは、80℃で5
Torrの減圧下、4時間乾燥して260gの収量でβ型ト
リス−(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌレー
ト結晶体が得られた。得られた結晶体は残留するエピク
ロルヒドリン量が700ppm、エポキシ価101g/
eq.、メタノールで抽出可能なα型トリス−(2,3
−エポキシプロピル)−イソシアヌレート含量が0.5
重量%、結晶体内部に包含されメタノールで抽出不能な
α型トリス−(2,3−エポキシプロピル)−イソシア
ヌレート含量が7.0重量%であり、この結晶体は融点
が148〜158℃であり、平均粒子径が70μmであ
り、粒度分布はD10が15μm、D50が70μm、D90
が150μmであり、白色結晶であった。さらに、この
結晶を窒素気流中130゜Cで10Torrの減圧下、ロータ
リーエバポレーターで24時間乾燥させて得られるβ型
トリス−(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌレ
ート結晶体は残留エピクロルヒドリン量が180ppm
であった。
【0063】実施例9 (A)工程:実施例1と同様に操作した。 (B)工程:実施例1と同様に操作した。 (C)工程:70℃の温度に昇温し、固形分を完全に溶
解させてから1時間かけて60℃まで冷却し、種晶とし
てβ型トリス−(2,3−エポキシプロピル)−イソシ
アヌレートを、11.2g(種晶の個数Tは1×105
個/g)添加した。 (D)工程:上記の添加温度で保持せず、直ちに25℃
まで5時間かけて冷却させてβ型トリス−(2,3−エ
ポキシプロピル)−イソシアヌレート結晶体を析出させ
濾別した。 (E)工程:得られた結晶体を1200gのメタノール
で洗浄し濾過を行った。得られたケーキは、80℃で5
Torrの減圧下、4時間乾燥して270gの収量でβ型ト
リス−(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌレー
ト結晶体が得られた。得られた結晶体は残留するエピク
ロルヒドリン量が750ppm、エポキシ価101g/
eq.、メタノールで抽出可能なα型トリス−(2,3
−エポキシプロピル)−イソシアヌレート含量が0.5
重量%、結晶体内部に包含されメタノールで抽出不能な
α型トリス−(2,3−エポキシプロピル)−イソシア
ヌレート含量が7.3重量%であり、この結晶体は融点
が148〜158℃であり、平均粒子径が70μmであ
り、粒度分布はD10が15μm、D50が70μm、D90
が150μmであり、白色結晶であった。さらに、この
結晶を窒素気流中130℃で10Torrの減圧下、ロータ
リーエバポレーターで24時間乾燥させて得られるβ型
トリス−(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌレ
ート結晶体は残留エピクロルヒドリン量が185ppm
であった。
【0064】実施例10 (A)工程:実施例1と同様に操作した。 (B)工程:実施例1と同様に操作した。 (C)工程:温度を70℃に昇温し、固形分を完全に溶
解させてから1時間かけて60℃に冷却し、種晶として
平均粒子径45μmのβ型トリス−(2,3−エポキシ
プロピル)−イソシアヌレート結晶体を11.2g(種
晶の個数Tは1×105個/g)加えた。 (D)工程:上記60℃の添加温度で30分間保持し
て、その後25℃まで2時間かけて冷却させて、β型ト
リス−(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌレー
ト結晶体を析出させ濾別した。 (E)工程:得られた結晶体を1200gのメタノール
で洗浄し濾過を行った。得られたケーキは、80℃で5
Torrの減圧下、4時間乾燥して275gの収量でβ型ト
リス−(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌレー
ト結晶体が得られた。得られた結晶体は残留するエピク
ロルヒドリン量が800ppm、エポキシ価101g/
eq.、メタノールで抽出可能なα型トリス−(2,3
−エポキシプロピル)−イソシアヌレート含量が0.5
重量%、結晶体内部に包含されメタノールで抽出不能な
α型トリス−(2,3−エポキシプロピル)−イソシア
ヌレート含量が7.7重量%であり、この結晶体は融点
が148〜158℃であり、平均粒子径が65μmであ
り、粒度分布はD10が15μm、D50が65μm、D90
が140μmであり、白色結晶であった。さらに、この
結晶を窒素気流中130℃で10Torrの減圧下、ロータ
リーエバポレーターで24時間乾燥させて得られるβ型
トリス−(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌレ
ート結晶体は残留エピクロルヒドリン量が165ppm
であった。
【0065】実施例11 (A)工程:実施例1と同様に操作した。 (B)工程:実施例1と同様に操作した。 (C)工程:晶析前の温度は55℃であり、この温度で
は調整液中の固形成分は完全に溶解していないが、種晶
として平均粒子径45μmのβ型トリス−(2,3−エ
ポキシプロピル)−イソシアヌレート結晶体を1.1g
(種晶の個数Tは1.0×104個/g)添加した。 (D)工程:55℃の温度で1時間攪拌後、25℃まで
4時間で冷却しβ型トリス−(2,3−エポキシプロピ
ル)−イソシアヌレート結晶体を析出させ濾別した。 (E)工程:得られた結晶体を1200gのメタノール
で洗浄し濾過を行った。得られたケーキは、80℃で5
Torrの減圧下、4時間乾燥して260gの収量でβ型ト
リス−(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌレー
ト結晶体が得られた。得られた結晶体は残留するエピク
ロルヒドリン量が700ppm、エポキシ価103g/
eq.、メタノールで抽出可能なα型トリス−(2,3
−エポキシプロピル)−イソシアヌレート含量が0.5
重量%、結晶体内部に包含されメタノールで抽出不能な
α型トリス−(2,3−エポキシプロピル)−イソシア
ヌレート含量が5.0重量%であり、この結晶体は融点
が147〜158℃であり、平均粒子径が50μmであ
り、粒度分布はD10が12μm、D50が50μm、D90
が230μmであり、白色結晶であった。さらに、この
結晶を窒素気流中130℃で10Torrの減圧下、ロータ
リーエバポレーターで24時間乾燥させて得られるβ型
トリス−(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌレ
ート結晶体は残留エピクロルヒドリン量220ppmで
あった。
【0066】実施例11を更に2回繰り返した。得られ
た結晶体の物性値を下記に示した。
【0067】2回目は265gの収量でβ型トリス−
(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌレート結晶
体が得られた。この結晶体はエポキシ価101g/e
q.、メタノールで抽出可能なα型トリス−(2,3−
エポキシプロピル)−イソシアヌレート含量が0.5重
量%、結晶体内部に包含されメタノールで抽出不能なα
型トリス−(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌ
レート含量が6.5重量%であり、この結晶体は融点が
148〜158℃であり、平均粒子径が100μmであ
り、粒度分布はD10が15μm、D50が100μm、D
90が250μmであり、白色結晶であった。さらに、こ
の結晶体を窒素気流中130℃で10Torrの減圧下、ロ
ータリエバポレーターで24時間乾燥させて得られるβ
型トリス−(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌ
レート結晶体は残留エピクロルヒドリン量190ppm
であった。
【0068】3回目は260gの収量でβ型トリス−
(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌレート結晶
体が得られた。この結晶体はエポキシ価105g/e
q.、メタノールで抽出可能なα型トリス−(2,3−
エポキシプロピル)−イソシアヌレート含量が0.5重
量%、結晶体内部に包含されメタノールで抽出不能なα
型トリス−(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌ
レート含量が4.3重量%であり、この結晶体は融点が
146〜157℃であり、平均粒子径が40μmであ
り、粒度分布はD10が13μm、D50が40μm、D90
が220μmであり、白色結晶であった。さらに、この
結晶体を窒素気流中130℃で10Torrの減圧下、ロー
タリーエバポレーターで24時間乾燥させて得られるβ
型トリス−(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌ
レート結晶体は残留エピクロルヒドリン量290ppm
であった。
【0069】実施例12 (A)工程:実施例1と同様に操作した。 (B)工程:実施例1と同様に操作した。 (C)工程:温度を70℃に昇温し、固形分を完全に溶
解させてから1時間かけて60℃に冷却させ、種晶とし
て平均粒子径45μmのβ型トリス−(2,3−エポキ
シプロピル)−イソシアヌレートを11.2g(種晶の
個数Tは1×10 5個/g)加えた。 (D)工程:60℃で1時間攪拌後、25℃まで4時間
で冷却してβ型トリス−(2,3−エポキシプロピル)
−イソシアヌレート結晶体を析出させるが、晶析中にN
ISSEI(株)製モデルNS−200Ultra S
onic Generator を用い、溶液に超音波を
加えながら結晶体の析出を行い濾別した。 (E)工程:得られた結晶体を1200gのメタノール
で洗浄し濾過を行った。 得られたケーキは、80℃で5Torrの減圧下、4時間乾
燥して265gの収量でβ型トリス−(2,3−エポキ
シプロピル)−イソシアヌレート結晶体が得られた。得
られた結晶体は、残留するエピクロルヒドリン量が40
0ppm、エポキシ価101g/eq.、メタノールで
抽出可能なα型トリス−(2,3−エポキシプロピル)
−イソシアヌレート含量が0.5重量%、結晶体内部に
包含されメタノールで抽出不能なα型トリス−(2,3
−エポキシプロピル)−イソシアヌレート含量が4.0
重量%であり、この結晶体は融点が148〜158℃で
あり、平均粒子径が17μmであり、粒度分布はD10が
12μm、D50が17μm、D90が30μmであり、白
色結晶であった。さらに、この結晶を窒素気流中130
℃で10Torrの減圧下、ロータリーエバポレーターで2
4時間乾燥させて得られたβ型トリス−(2,3−エポ
キシプロピル)−イソシアヌレート結晶体は残留エピク
ロルヒドリン量が230ppmであった。
【0070】実施例13 (A)工程:攪拌装置、温度計、連続滴下装置、及び減
圧下にエピクロルヒドリンと水の共沸蒸気を濃縮しエピ
クロルヒドリンだけを反応系に戻す装置のついたフラス
コに、シアヌール酸774g(6モル)、エピクロルヒ
ドリン8328g(90モル)、60重量%濃度のテト
ラエチルアンモニウムブロマイド水溶液18g加えて8
9〜120℃で5時間攪拌しながら還流する事により反
応を行った。次に反応系の温度を50℃に冷却させ、攪
拌しながら50重量%の水酸化ナトリウム水溶液153
6gを50℃に保ちながら100〜60Torrの減圧下、
6時間反応して脱塩酸を行った。その後、生成した塩化
ナトリウムを水3600gを加えて溶解洗浄してから分
液し、さらに5重量%リン酸2水素ナトリウム水溶液1
200gを加えて洗浄する事により、過剰量使用した水
酸化ナトリウムを中和し、次いで4800gの水で洗浄
した。 (B)工程:反応溶液中の固形分濃度が40重量%にな
るまで温度50〜60℃、減圧にしてエピクロルヒドリ
ンの一部を留去し、4000gの調整液を得た。 (C)工程:温度を70℃に昇温し、固形分を完全に溶
解させてから1時間かけて60℃に冷却させ、種晶とし
て平均粒子径90μmの高純度トリス−(2,3−エポ
キシプロピル)−イソシアヌレート〔日産化学工業
(株)製、商品名TEPIC-S〕を36.0g(種晶の個数
Tは9×104個/g)加えた。 (D)工程:60℃で1時間攪拌後、25℃まで4時間
で冷却してβ型トリス−(2,3−エポキシプロピル)
−イソシアヌレート結晶体を析出させ濾別した。 (E)工程:得られた結晶体を1200gのメタノール
で洗浄し濾過を行った。得られたケーキは、80℃で5
Torrの減圧下、4時間乾燥して280gの収量でβ型ト
リス−(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌレー
ト結晶体が得られた。得られた結晶体は、残留するエピ
クロルヒドリン量が650ppm、エポキシ価101g
/eq.、メタノールで抽出可能なα型トリス−(2,
3−エポキシプロピル)−イソシアヌレート含量が0.
5重量%、結晶体内部に包含されメタノールで抽出不能
なα型トリス−(2,3−エポキシプロピル)−イソシ
アヌレート含量が6.5重量%であり、この結晶体は融
点が148〜158℃であり、平均粒子径が70μmで
あり、粒度分布はD10が20μm、D50が70μm、D
90が150μmであり、白色結晶であった。さらに、こ
の結晶を窒素気流中130℃で10Torrの減圧下、ロー
タリーエバポレーターで24時間乾燥させて得られたβ
型トリス−(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌ
レート結晶体は残留エピクロルヒドリン量が180pp
mであった。
【0071】実施例14 (A)工程:実施例1と同様に操作した。 (B)工程:実施例1と同様に操作した。 (C)工程:温度を70℃に昇温し、固形分を完全に溶
解させてから1時間かけて60℃に冷却させ、種晶とし
て平均粒子径100μmのβ型トリス−(2,3−エポ
キシプロピル)−イソシアヌレートを1.1g(種晶の
個数Tは1×10 3個/g)加えた。 (D)工程:60℃で1時間攪拌後、25℃まで4時間
で冷却してβ型トリス−(2,3−エポキシプロピル)
−イソシアヌレート結晶体を析出させ濾別した。 (E)工程:得られた結晶体を1200gのメタノール
で洗浄し濾過を行った。得られたケーキは、80℃で5
Torrの減圧下、4時間乾燥して240gの収量でβ型ト
リス−(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌレー
ト結晶体が得られた。得られた結晶体は、残留するエピ
クロルヒドリン量が850ppm、エポキシ価101g
/eq.、メタノールで抽出可能なα型トリス−(2,
3−エポキシプロピル)−イソシアヌレート含量が0.
5重量%、結晶体内部に包含されメタノールで抽出不能
なα型トリス−(2,3−エポキシプロピル)−イソシ
アヌレート含量が8.0重量%であり、この結晶体は融
点が147〜158℃であり、平均粒子径が110μm
であり、粒度分布はD10が40μm、D50が110μ
m、D90が200μmであり、白色結晶であった。さら
に、この結晶を窒素気流中130℃で10Torrの減圧
下、ロータリーエバポレーターで24時間乾燥させて得
られたβ型トリス−(2,3−エポキシプロピル)−イ
ソシアヌレート結晶体は残留エピクロルヒドリン量が2
00ppmであった。
【0072】比較例1 (A)工程:攪拌装置、温度計のついたフラスコに、シ
アヌール酸129g(1モル)、エピクロルヒドリン1
369g(14.8モル)、ジメチルアニリン2.0g
加えて110℃で3.5時間攪拌しながら還流する事に
より反応を行った。次に反応系の温度を25℃に冷却さ
せ、攪拌しながら粉末の水酸化ナトリウム129g
(3.2モル)を25〜30℃に保ちながら加えて脱塩
酸を行った。その後、生成した塩化ナトリウムは濾過に
よって取り除き、濾液に5重量%リン酸2水素ナトリウ
ム水溶液200gを加えて洗浄する事により、過剰量使
用した水酸化ナトリウムを中和し、次いで600gの水
で洗浄した。 (B)工程:反応溶液中の固形分濃度が55重量%にな
るまで温度50〜55℃、減圧にしてエピクロルヒドリ
ンの一部を留去して480gの調整液を得た。 (D)工程:55℃で晶析を開始し、20℃まで4時間
で冷却して、その温度で4時間静置し析出した白色結晶
を濾別した。 (E)工程:得られた結晶体を340gのメタノールで
洗浄し濾過を行った。得られたケーキは、80℃で5To
rrの減圧下、4時間乾燥して84gの収量でトリス−
(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌレート結晶
体が得られた。得られた結晶は、残留するエピクロルヒ
ドリン量が2900ppm、エポキシ価105g/e
q.、メタノールで抽出可能なα型トリス−(2,3−
エポキシプロピル)−イソシアヌレート含量が21重量
%、結晶体内部に包含されメタノールで抽出不能なα型
トリス−(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌレ
ート含量が19重量%であり、この結晶体は融点が12
0〜148℃であり、平均粒子径が20μmであり、粒
度分布はD10が2μm、D50が20μm、D90が100
μmであり、白色結晶であった。さらに、この結晶を窒
素気流中130℃で10Torrの減圧下、ロータリーエバ
ポレーターで24時間乾燥させて得られた結晶体は残留
エピクロルヒドリン量が1800ppmであった。また
この結晶体は130℃の乾燥時に溶融したα型トリス−
(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌレートによ
り粒子同士が一部連結して塊状になっていた。
【0073】比較例2 (A)工程:攪拌装置、温度計のついたフラスコに、シ
アヌール酸129g(1モル)、エピクロルヒドリン1
190g(12.9モル)、トリエチルアミン1.0g
加えて110〜115℃で3.0時間攪拌しながら還流
する事により反応を行った。次に反応系の温度を30〜
35℃に冷却させ、攪拌しながら粉末の水酸化カリウム
190g(3.4モル)を25〜30℃に保ちながら3
0分おきに等量づつ5回に分けて加えて脱塩酸を行っ
た。その後、生成した塩化カリウムは濾過によって取り
除き、濾液に5重量%リン酸2水素ナトリウム水溶液2
00gを加えて洗浄する事により、過剰量使用した水酸
化ナトリウムを中和し、次いで600gの水で洗浄し
た。 (B)工程:反応溶液中の固形分濃度が60重量%にな
るまで温度60〜65℃、減圧にしてエピクロルヒドリ
ンの一部を留去して440gの調整液を得た。 (D)工程:65℃で晶析を開始し、25℃まで4時間
で冷却して、その温度で5時間攪拌し析出した白色結晶
を濾別した。 (E)工程:得られた結晶体を320gのメタノールで
洗浄し濾過を行った。得られたケーキは、80℃で5To
rrの減圧下、4時間乾燥して80gの収量でトリス−
(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌレート結晶
体が得られた。得られた結晶は、残留するエピクロルヒ
ドリン量が2700ppm、エポキシ価104g/e
q.、メタノールで抽出可能なα型トリス−(2,3−
エポキシプロピル)−イソシアヌレート含量が22重量
%、結晶体内部に包含されメタノールで抽出不能なα型
トリス−(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌレ
ート含量が20重量%であり、この結晶体は融点が11
8〜148℃であり、平均粒子径が18μmであり、粒
度分布はD10が2μm、D50が18μm、D90が90μ
mであり、白色結晶であった。さらに、この結晶を窒素
気流中130℃で10Torrの減圧下、ロータリーエバポ
レーターで24時間乾燥させて得られた結晶体は残留エ
ピクロルヒドリン量が1700ppmであった。またこ
の結晶体は130℃の乾燥時に溶融したα型トリス−
(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌレートによ
り粒子同士が一部連結して塊状になっていた。
【0074】比較例3 (A)工程:攪拌装置、温度計のついたフラスコに、シ
アヌール酸129g(1モル)、エピクロルヒドリン1
250g(13.5モル)、60重量%テトラエチルア
ンモニウムブロマイド水溶液3.0g加えて110℃で
3.5時間攪拌しながら還流する事により反応を行っ
た。次に反応系の温度を20〜30℃に冷却させ、攪拌
しながら粉末の水酸化ナトリウム129g(3.2モ
ル)を加えて脱塩酸を行った。その後、生成した塩化ナ
トリウムは濾過によって取り除き、濾液に5重量%リン
酸2水素ナトリウム水溶液200gを加えて洗浄する事
により、過剰量使用した水酸化ナトリウムを中和し、次
いで600gの水で洗浄した。 (B)工程:反応溶液中の固形分濃度が50重量%にな
るまで温度50〜60℃、減圧にしてエピクロルヒドリ
ンの一部を留去して540gの調整液を得た。 (D)工程:55℃で晶析を開始し、25℃まで4時間
で冷却して、その温度で4.5時間攪拌し析出した白色
結晶を濾別した。 (E)工程:得られた結晶体を350gのメタノールで
洗浄し濾過を行った。得られたケーキは、80℃で5To
rrの減圧下、4時間乾燥して88gの収量でトリス−
(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌレート結晶
体が得られた。得られた結晶は、残留するエピクロルヒ
ドリン量が2200ppm、エポキシ価103g/e
q.、メタノールで抽出可能なα型トリス−(2,3−
エポキシプロピル)−イソシアヌレート含量が21重量
%、結晶体内部に包含されメタノールで抽出不能なα型
トリス−(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌレ
ート含量が19重量%であり、この結晶体は融点が11
8〜148℃であり、平均粒子径が15μmであり、粒
度分布はD10が2μm、D50が15μm、D90が85μ
mであり、白色結晶であった。さらに、この結晶を窒素
気流中130℃で10Torrの減圧下、ロータリーエバポ
レーターで24時間乾燥させて得られた結晶体は残留エ
ピクロルヒドリン量が1600ppmであった。またこ
の結晶体は130℃の乾燥時に溶融したα型トリス−
(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌレートによ
り粒子同士が一部連結して塊状になっていた。
【0075】比較例4 (A)工程:攪拌装置、温度計のついたフラスコに、シ
アヌール酸129g(1モル)、エピクロルヒドリン1
388g(15.0モル)、60重量%テトラエチルア
ンモニウムブロマイド水溶液3.0g加えて110℃で
3.5時間攪拌しながら還流する事により反応を行っ
た。次に反応系の温度を40〜50℃に冷却させ、攪拌
しながら50重量%水酸化ナトリウム水溶液256g
(3.2モル)を40〜50℃に保ちながら加え100
〜60Torrの減圧下で6時間の脱塩酸を行った。その
後、生成した塩化ナトリウムを水300gを加えて溶解
させる事で洗浄してから分液し、更に5重量%リン酸2
水素ナトリウム水溶液100gを加えて洗浄する事によ
り、過剰量使用した水酸化ナトリウムを中和し、次いで
300gの水で洗浄した。 (B)工程:反応溶液中の固形分濃度が60重量%にな
るまで温度65〜70℃、減圧にしてエピクロルヒドリ
ンの一部を留去して440gの調整液を得た。 (D)工程:70℃で晶析を開始し、20℃まで5時間
で冷却して、その温度で4時間静置し析出した白色結晶
を濾別した。 (E)工程:得られた結晶体を320gのメタノールで
洗浄し濾過を行った。得られたケーキは、80℃で5To
rrの減圧下、4時間乾燥して80gの収量でトリス−
(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌレート結晶
体が得られた。得られた結晶は、残留するエピクロルヒ
ドリン量が2000ppm、エポキシ価102g/e
q.、メタノールで抽出可能なα型トリス−(2,3−
エポキシプロピル)−イソシアヌレート含量が21重量
%、結晶体内部に包含されメタノールで抽出不能なα型
トリス−(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌレ
ート含量が18重量%であり、この結晶体は融点が12
0〜148℃であり、平均粒子径が18μmであり、粒
度分布はD10が2μm、D50が18μm、D90が90μ
mであり、白色結晶であった。さらに、この結晶を窒素
気流中130℃で10Torrの減圧下、ロータリーエバポ
レーターで24時間乾燥させて得られた結晶体は残留エ
ピクロルヒドリン量が1600ppmであった。またこ
の結晶体は130℃の乾燥時に溶融したα型トリス−
(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌレートによ
り粒子同士が一部連結して塊状になっていた。
【0076】比較例5 (A)工程:比較例4と同様に操作した。 (B)工程:反応溶液中の固形分濃度が50重量%にな
るまで温度60〜70℃、減圧にしてエピクロルヒドリ
ンの一部を留去して530gの調整液を得た。 (D)工程:60℃で晶析を開始し、25℃まで4時間
で冷却して、その温度で4時間攪拌し析出した白色結晶
を濾別した。 (E)工程:得られた結晶体を280gのメタノールで
洗浄し濾過を行った。得られたケーキは、80℃で5To
rrの減圧下、4時間乾燥して76gの収量でトリス−
(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌレート結晶
体が得られた。得られた結晶は、残留するエピクロルヒ
ドリン量が2500ppm、エポキシ価102g/e
q.、メタノールで抽出可能なα型トリス−(2,3−
エポキシプロピル)−イソシアヌレート含量が14重量
%、結晶体内部に包含されメタノールで抽出不能なα型
トリス−(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌレ
ート含量が18重量%であり、この結晶体は融点が13
8〜150℃であり、平均粒子径が16μmであり、粒
度分布はD10が2μm、D50が16μm、D90が95μ
mであり、白色結晶であった。さらに、この結晶を窒素
気流中130℃で10Torrの減圧下、ロータリーエバポ
レーターで24時間乾燥させて得られた結晶体は残留エ
ピクロルヒドリン量が1500ppmであった。またこ
の結晶体は130℃の乾燥時に溶融したα型トリス−
(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌレートによ
り粒子同士が一部連結して塊状になっていた。
【0077】比較例6 (A)工程:比較例5と同様に操作した。 (B)工程:比較例5と同様に操作した。 (D)工程:比較例5と同様に操作した。 (E)工程:得られた結晶体を濾過後、280gのメタ
ノールで洗浄し、エピクロルヒドリン500gを加えて
70℃に加温して結晶体を溶解させた後、5時間かけて
25℃まで冷却し結晶体を再結晶させた。この結晶体を
250gのメタノールで洗浄後、80℃で5Torrの減圧
下、4時間乾燥して52.6gの収量でβ型トリス−
(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌレートを得
た。この結晶体は平均粒子径300μmであり、残留エ
ピクロルヒドリンが2500ppmであり、メタノール
で抽出可能な結晶体表面に付着されていると考えられる
α型トリス−(2,3−エポキシプロピル)−イソシア
ヌレートは0.5重量%、また結晶体内部に包含されて
いるα型トリス−(2,3−エポキシプロピル)−イソ
シアヌレートは1重量%であった。この結晶体は融点が
150〜158℃であり、平均粒子径が300μmであ
り、粒度分布はD10が100μm、D50が300μm、
D90が500μmであった。更にこの結晶体を130℃
で10Torrの減圧下、24時間乾燥させて得られた結晶
体の残留エピクロルヒドリンは2500ppmであっ
た。これは結晶体内部に特定量のα型トリス−(2,3
−エポキシプロピル)−イソシアヌレートが存在しなか
った為に、130℃の乾燥工程でこの結晶体に液体状の
細孔が形成されなかったので、エピクロルヒドリンがこ
の結晶体から除去されずに残ったものと考えられる。
【0078】比較例7 (A)工程:比較例1と同様に操作した。 (B)工程:比較例1と同様に操作した。 (D)工程:比較例1と同様に操作した。 (E)工程:得られた結晶体を1700gのメタノール
で洗浄し濾過を行った。得られたケーキは、80℃で5
Torrの減圧下、4時間乾燥して71gの収量でトリス−
(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌレート結晶
体が得られた。得られた結晶は、残留するエピクロルヒ
ドリン量が2500ppm、エポキシ価104g/e
q.、メタノールで抽出可能なα型トリス−(2,3−
エポキシプロピル)−イソシアヌレート含量が6重量
%、結晶体内部に包含されメタノールで抽出不能なα型
トリス−(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌレ
ート含量が23重量%であり、この結晶体は融点が12
8〜149℃であり、平均粒子径が20μmであり、粒
度分布はD10が2μm、D50が20μm、D90が100
μmであり、白色結晶であった。さらに、この結晶を1
30℃で10Torrの減圧下、24時間乾燥させて得られ
た結晶体は残留エピクロルヒドリン量が1700ppm
であった。またこの結晶体は130℃の乾燥時に溶融し
たα型トリス−(2,3−エポキシプロピル)−イソシ
アヌレートにより粒子同士が一部連結して塊状になって
いた。
【0079】比較例8 (A)工程:比較例4と同様に操作した。 (B)工程:比較例4と同様に操作した。 (D)工程:比較例4と同様に操作した。 (E)工程:得られた結晶体を1600gのメタノール
で洗浄し濾過を行った。得られたケーキは、80℃で5
Torrの減圧下、4時間乾燥して66gの収量でトリス−
(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌレート結晶
体が得られた。得られた結晶は、残留するエピクロルヒ
ドリン量が1800ppm、エポキシ価102g/e
q.、メタノールで抽出可能なα型トリス−(2,3−
エポキシプロピル)−イソシアヌレート含量が6重量
%、結晶体内部に包含されメタノールで抽出不能なα型
トリス−(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌレ
ート含量が21.4重量%であり、この結晶体は融点が
141〜151℃であり、平均粒子径が18μmであ
り、粒度分布はD10が2μm、D50が18μm、D90が
90μmであり、白色結晶であった。さらに、この結晶
を130℃で10Torrの減圧下、24時間乾燥させて得
られた結晶体は残留エピクロルヒドリン量が1500p
pmであった。またこの結晶体は130℃の乾燥時に溶
融したα型トリス−(2,3−エポキシプロピル)−イ
ソシアヌレートにより粒子同士が一部連結して塊状にな
っていた。
【0080】実施例2〜4では添加する種晶の個数が多
く、また実施例12では晶析中に超音波を与えた為に、
それらの実施例では得られる結晶体の平均粒子径が小さ
く、これらは80℃前後の乾燥のみでも残留エピクロル
ヒドリンやα型トリス−(2,3−エポキシプロピル)
−イソシアヌレートの量が少ない。これは大きな比表面
積により晶析過程及び洗浄過程でエピクロルヒドリンや
α型トリス−(2,3−エポキシプロピル)−イソシア
ヌレートが除去されるものと考えられる。またこれらの
微少な粒子は、粒子の形成速度がゆっくりと進むため結
晶体内部に取り込まれるエピクロルヒドリンやα型トリ
ス−(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌレート
の量も少ないと考えられる。
【0081】実施例1、5〜11、及び13〜15では
80℃の乾燥時に400乃至900ppm前後の残留エ
ピクロルヒドリンを有する粒子であっても、結晶体内部
に存在するα型トリス−(2,3−エポキシプロピル)
−イソシアヌレートによって130℃前後の乾燥温度に
よって、細孔内で溶融したα型トリス−(2,3−エポ
キシプロピル)−イソシアヌレートが液状の細孔を形成
し、その細孔を通ってエピクロルヒドリンが除去される
と考えられるために、最終的に得られる粒子に存在する
残留エピクロルヒドリン量は300ppm以下である。
また溶融したα型トリス−(2,3−エポキシプロピ
ル)−イソシアヌレートの含量が2〜15重量%である
ので、結晶体の外に滲みだすことが少ないので、塊状化
現象は起こりにくい。
【0082】比較例1〜5で得られた結晶体は、種晶を
用いる本願製法を利用しないため、冷却過程で徐冷を行
っても僅かな温度変化で急激な晶析が発生し、結晶体内
部に多量のエピクロルヒドリンやα型トリス−(2,3
−エポキシプロピル)−イソシアヌレートを取り込み得
られた結晶体の純度を下げる結果となる。結晶体内部に
15重量%を越える量のα体が存在すると、130℃前
後の乾燥工程で溶融するα体の量が多くなり、結晶体自
体が粒子の状態を維持できなくなり、溶融したα体によ
る粒子の塊状化現象が起こりやすい。
【0083】また結晶体の外にも多量のα体が存在し、
トリス−(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌレ
ートに対して4倍量(重量)又はそれ以上の量のメタノ
ールで洗浄しても効率的に除去する事ができない。この
多量のα体も130℃前後の乾燥工程で溶解しバインダ
ーの作用を起こし、粒子同士が融着して塊状化現象を発
生する。
【0084】この塊状化現象が発生した場合は、β型ト
リス−(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌレー
ト結晶体の製造において、(E)工程の乾燥ライン上で
製品が大きな塊となり製造ラインを停止させる事がある
ために好ましくない。
【0085】
【発明の効果】本願発明のα型トリス−(2,3−エポ
キシプロピル)−イソシアヌレートを結晶体内部に含有
するβ型トリス−(2,3−エポキシプロピル)−イソ
シアヌレート結晶体は、(A)工程で得られる反応液に
種晶を添加する操作で得られるため工業的規模の生産に
おいても容易に製造する事が出来る。
【0086】この結晶体は内部に含有するα型トリス−
(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌレートのた
めにエピクロルヒドリン含有量が低い。結晶体の細孔内
部に存在するα型トリス−(2,3−エポキシプロピ
ル)−イソシアヌレートは、130℃前後の乾燥時に溶
融し液体状になり、この細孔を通じてエピクロルヒドリ
ンが結晶体外に放出されるが、結晶体内部の液体状のα
型トリス−(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌ
レートは130℃前後の加熱時に、この結晶体の外に滲
み出ることはないので粒子同士の塊状化現象は起こりに
くい。また、結晶体内のα型トリス−(2,3−エポキ
シプロピル)−イソシアヌレートは溶媒によっても結晶
体の外に溶出することはない。
【0087】本願発明によって得られるβ型トリス−
(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌレート結晶
体は、アルコールに抽出可能なα型トリス−(2,3−
エポキシプロピル)−イソシアヌレートや、人体及び電
子材料用途に有害なエピクロルヒドリンが少なく、高純
度化されているため、その特徴を生かし例えば光硬化・
熱硬化併用型レジストインキ等の分野に利用される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 日高 基彦 千葉県船橋市坪井町722番地1 日産化 学工業株式会社中央研究所内 (72)発明者 青木 篤巳 山口県小野田市大字小野田6903番1 日 産化学工業株式会社小野田工場内 (56)参考文献 特開 昭62−187463(JP,A) 特開 昭62−115057(JP,A) 高分子論文集,(1990),47(3), P.169−75 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07D 405/14 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面と内部とを有するβ型トリス−
    (2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌレートの結
    晶体であって、α型トリス−(2,3−エポキシプロピ
    ル)−イソシアヌレートを2〜15重量%の割合で
    晶体内部に包含するβ型トリス−(2,3−エポキシ
    プロピル)−イソシアヌレート結晶体。
  2. 【請求項2】 結晶体の平均粒子径が10〜500μm
    である請求項1に記載のβ型トリス−(2,3−エポキ
    シプロピル)−イソシアヌレート結晶体。
  3. 【請求項3】 下記(A)、(B)、(C)、(D)及
    び(E)工程: (A)工程:1モルのシアヌール酸と5〜180モルの
    エピクロルヒドリンを反応させてシアヌール酸のエピク
    ロルヒドリン付加体を生成し、続いて脱塩酸する事によ
    ってトリス−(2,3−エポキシプロピル)−イソシア
    ヌレートを含有する反応溶液を得る工程、 (B)工程:(A)工程で得られたトリス−(2,3−
    エポキシプロピル)−イソシアヌレートを含有する反応
    溶液を、固形分濃度で10〜50重量%に調製する工
    程、 (C)工程:(B)工程で得られた液状物に、その液状
    物が飽和溶液を形成する温度より5〜20℃低い温度で
    種晶を加える工程、 (D)工程:(C)工程で得られた液状物を、20℃/
    hr以内の冷却速度で徐冷して濾過し結晶体を得る工
    程、及び (E)工程:(D)工程で得られた結晶体を洗浄及び乾
    燥する工程、からなる、表面と内部とを有するβ型トリ
    ス−(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌレート
    の結晶体であって、α型トリス−(2,3−エポキシプ
    ロピル)−イソシアヌレートを2〜15重量%の割合で
    結晶体内部に包含するβ型トリス−(2,3−エポ
    キシプロピル)−イソシアヌレート結晶体の製造方法。
  4. 【請求項4】 (A)工程が、(a)シアヌール酸1モ
    ル、(b)エピクロルヒドリン5〜180モル、及び
    (c)触媒として第3級アミン、第4級アンモニウム
    塩、第4級アンモニウム塩基、トリ置換ホスフィン、及
    び第4級ホスフォニウム塩よりなる群の中から選ばれた
    少なくとも1種の化合物0.001〜0.1モルを反応
    して得られた反応溶液に、アルカリ金属水酸化物又はア
    ルカリ金属アルコラートを2〜6モル加えて脱塩酸後、
    アルカリ金属塩を除去してトリス−(2,3−エポキシ
    プロピル)−イソシアヌレートを含有する反応溶液を得
    る工程である請求項3に記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 (C)工程が、(B)工程で得られた液
    状物を飽和溶液が形成される温度以上に昇温し、その後
    飽和溶液を形成する温度より5〜20℃低い温度に冷却
    してから種晶を加える工程である請求項3又は請求項4
    に記載の製造方法。
  6. 【請求項6】 (C)工程の種晶の添加が、下記式
    (1)及び(2) 【数1】1×1010≧T≧1×102 式(1) 【数2】 T=1.4×1012(m/(M×D3)) 式(2) 〔但し、Tは反応液中のトリス−(2,3−エポキシプ
    ロピル)−イソシアヌレート重量当たりに添加する種晶
    の個数(個/g)、mは種晶添加重量(g)、Dは種晶
    の平均粒子径であり2〜300μm、Mは反応液中のト
    リス−(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌレー
    ト重量(g)である。〕を満たす請求項3乃至請求項5
    のいずれか1項に記載の製造方法。
  7. 【請求項7】 (C)工程で添加する種晶が、β型トリ
    ス−(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌレー
    ト、又はβ型トリス−(2,3−エポキシプロピル)−
    イソシアヌレートとα型トリス−(2,3−エポキシプ
    ロピル)−イソシアヌレートの混合物である請求項3乃
    至請求項6のいずれか1項に記載の製造方法。
  8. 【請求項8】 (D)工程の液状物を徐冷する過程で、
    液状物に超音波を加える請求項3乃至請求項7のいずれ
    か1項に記載の製造方法。
  9. 【請求項9】 (E)工程の洗浄が、α型トリス−
    (2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌレートに対
    して20℃で0.5g/100g以上の溶解度を有し、
    且つβ型トリス−(2,3−エポキシプロピル)−イソ
    シアヌレートに対して20℃で0.5g/100g未満
    の溶解度を有する溶媒を、β型トリス−(2,3−エポ
    キシプロピル)−イソシアヌレート結晶体に対して0.
    5〜10重量倍用いる請求項3乃至請求項8のいずれか
    1項に記載の製造方法。
  10. 【請求項10】 (D)工程で得られた結晶体の平均粒
    子径が20〜500μmであり、且つ(E)工程で常圧
    又は減圧下に気流中で120〜140℃の温度で乾燥を
    行う請求項3乃至請求項9のいずれか1項に記載の製造
    方法。
  11. 【請求項11】 (D)工程で得られた結晶体の平均粒
    子径が10〜20μmであり、且つ(E)工程で常圧又
    は減圧下に気流中で40〜120℃の温度で乾燥を行う
    請求項3乃至請求項9のいずれか1項に記載の製造方
    法。
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