JP3462891B2 - 透明性に優れ、かつ粘度安定性の良いアルミナゾルの製造方法 - Google Patents
透明性に優れ、かつ粘度安定性の良いアルミナゾルの製造方法Info
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は特に透明性の優れた、粘
度安定性の良いアルミナゾルの製造方法に関するもので
ある。 【0002】 【従来の技術】アルミナゾルは製紙工業や繊維工業の表
面処理剤、各種耐火物のバインダー、触媒担体、プラス
チック工業等に用いられており、特に最近ではニューセ
ラミックスの原料、各種フィルムの表面改質剤として急
速にその需要が高まってきている。 【0003】アルミニウムアルコキシドを原料として透
明なアルミナゾルを製造する例は、すでに下記の文献が
知られている。 米国特許第2,656,321号公報(1963) Bulent E.Yolds,Am.Ceramic Soc.Bull.,54,289(19
75) 日特開昭57−88074号公報 【0004】しかし、これらの文献に記載された技術で
製造したアルミナゾルは透明性において必ずしも満足な
結果を与えるものではなく、かつ反応所要時間も長くか
かる欠点を有している。また、100 ℃以下の温度で解膠
するため、酸の使用量が多くなり、10%以上の濃度では
粘度安定性が悪いといった欠点もある。 【0005】また、日特開昭59−78925号公報に
記載されているアルミナゾルは、粒子の大きさが直径10
nm,長さ200nm 以下の針状結晶であり、かなり大きな粒
子を含んでいる。しかも、製造方法はアルミニウム粉末
を原料としており、解膠の際添加する酸の使用量が多
く、低濃度で反応時間も長いといった上記と同様な欠点
を有している。また、日特開昭62−56321号公報
に記載されているアルミナゾルは、透明性に優れている
が、これも解膠の際添加する酸の使用量が多いため粘度
安定性に欠けており長期保存ができず、高濃度にすると
ゲル化する欠点がある。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、特に透明性
に優れかつ粘度安定性の良いアルミナゾルの製造方法を
提供するものである。具体的には、アルミナを10〜25wt
%含有する高濃度アルミナゾルにおいて3ヶ月以上安定
に粘度100cps以下の水媒体として保存可能であり、かつ
アルミナを10%含有するアルミナゾルに調製した場合に
おいて、540nm の光の透過率が70%以上であるアルミナ
ゾルを工業的に有利に製造する方法に関するものであ
る。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、アルミニ
ウムアルコキシドを加水分解してアルミナ1水和物(ベ
ーマイト)を製造する際の反応条件、及び酸を加えて解
膠する際の反応条件について鋭意研究の結果、特に透明
性に優れしかも粘度安定性の良いアルミナゾルを比較的
短時間に製造する方法を見いだした。 【0008】即ち本発明は、アルミニウムアルコキシド
を希酸水溶液中で加水分解してアルミナ1水和物(ベー
マイト)とし、その際生成したアルコールを留去した
後、酸を加えて高温、加圧下解膠する事を特徴とする透
明性の優れた粘度安定性の良いアルミナゾルの製造方法
である。本発明で使用されるアルミニウムアルコキシド
は一般式 Al(OR1)(OR2)(OR3) で示されるものであり、式中のR1,R2,R3は炭素数
2から5までのアルキル基を表すが、好ましくは炭素数
3のアルミニウムイソプロポキサイドないし炭素数4の
アルミニウムイソブトキサイドが良い。また、これらの
アルミニウムアルコキシドの性状は、液体よりも粉末な
いし顆粒状が好ましく、純度は99%以上が望ましい。 【0009】加水分解に使用する酸としては、塩酸、硝
酸、過塩素酸、酢酸、プロピオン酸等の一価の酸なら鉱
酸でも有機酸でもよく、解膠時に加える酸についても同
様である。酸の使用量については、加水分解時及び解膠
時ともに使用する酸の種類によって異なり、ある特定の
範囲においてはじめて透明性の優れた粘度安定性の良い
アルミナゾルが得られる。即ち、加水分解前のpHが2.0
〜3.0 の範囲で酸の種類により適した量を加えて加水分
解する。また、解膠時に加える酸の量は、(酸根/Al)
のモル比が0.005 〜0.1 、好ましくは0.01〜0.05の範囲
で酸の種類によって反応が数時間以内に行なわれ、期待
される透明性が得られる最低量とする。この酸の量は、
得られるアルミナゾルの粘度安定性と密接な関係があ
り、多すぎると粘度安定性が悪く経時的に増粘しゲル化
したり、15%以上の高濃度品を製造する際には反応中に
ゲル化したりして製造不能となる。また、少なすぎると
解膠速度が遅く反応に長時間を必要とし期待される透明
性を得る事ができない。 【0010】従来の方法では、アルミニウムアルコキサ
イドを原料としてアルミナゾルを製造する場合、100℃
以下の温度で解膠していたため、必然的に酸の使用量が
多くなり、粘度安定性が悪く高濃度品を製造することが
できなかった。我々はこの問題を解決する為に鋭意検討
した結果、上記原因を解明するとともに、圧力反応装置
を使用して解膠温度が、120 〜170℃で解膠を行なう事
によって、適度な酸の使用量で短時間に解膠し満足な透
明性及び粘度安定性を得る事に成功した。 【0011】次に本発明の一実施態様を示す。イオン交
換水に60%硝酸を加えてpHを2.2 〜2.5 に調整する。こ
れを加温してから製造したいアルミナゾルの濃度を考慮
して必要量のアルミニウムアルコキシドの粉末を攪拌し
ながら徐々に投入し、加水分解する。投入終了後95℃前
後まで加熱して副生するアルコールを除去した後、加圧
反応装置に移しアルミニウムアルコキシド1モルあたり
0.02〜0.03モルの硝酸を3倍に希釈した水溶液を滴下
し、液温を140 〜160 ℃に保って良く攪拌しながら解膠
させる。4〜8時間この状態を保持して透過率が十分な
透明度になったら50℃以下に急冷して透明なアルミナゾ
ル溶液を得る。 【0012】この実施態様に準じて製造したアルミナゾ
ルはアルミナ濃度を10%に調整して測定した540nm の波
長光の透過率が85%以上の値を示した。また、この溶液
を20%濃度に濃縮したアルミナゾルでも3ヶ月以上安定
に粘度50cps 以下の水溶液として保存可能であった。ま
た電子顕微鏡写真によれば、アルミナの粒径は1〜10nm
と非常に小さい事が分かった。また、本発明のアルミゾ
ル溶液をテフロン製容器に流し込みゆっくり乾燥させる
と、製膜性が良く透明度の高い薄膜が得られた。 【0013】 【作用】本発明の方法で、酸の使用量を調節する事によ
り粘度安定性を高めかつ透明性の優れたアルミナゾルを
得ることができたが、その理由は不明である。 【0014】以下実施例によって本発明を更に詳しく説
明する。 【実施例】実施例−1 イオン交換水300gをビーカに取り、硝酸を加えてpH2.30
に調整した。この液を500ml オートクレーブに移し、攪
拌しながら液温を75℃に上昇させた。次にアルミニウム
イソプロポキシド60g を投入し、液温を徐々に95℃付近
まで昇温させて発生するイソプロピルアルコール(含
水)を留出させた。留出量は82g であった。その後61%
硝酸を0.91g (アルミニウムイソプロポキシドに対して
モル比0.03)を3倍量のイオン交換水で希釈してから滴
下した。続いて、反応容器を密閉にし、攪拌しながら14
5 〜150 ℃に昇温し解膠を行なった。反応は分光光度計
を用いて透過率を適宜測定し、透過率が92.1%になった
時点で液温を50℃以下に急冷し反応を終了した。この間
に要した反応時間は4時間であり、最高圧力は3.8kg/cm
2 であった。得られたアルミナゾルのアルミナ濃度は5
wt%であり、この溶液を20wt%まで減圧下濃縮した時の
波長540nm での透過率は62.5%であった。また、このア
ルミナ濃度20wt%溶液の粘度を測定したところ、製造直
後の32cps から3ヶ月経過した後でも46cps と殆ど増粘
していなかった。 【0015】実施例−2 イオン交換水100kg を圧力反応釜に仕込み、硝酸を加え
てpH2.35に調整した後、攪拌しながら液温を75℃に上昇
させた。次にアルミニウムイソプロポキシド40kgを投入
し、液温を徐々に95℃付近まで昇温させて発生するイソ
プロピルアルコール(含水)を常圧下留出させた。留出
量は53kgであった。その後61%硝酸を0.5 kg(アルミニ
ウムイソプロポキシドに対してモル比0.025 )を3倍量
のイオン交換水で希釈してから滴下した。続いて、反応
容器を密閉にし、攪拌しながら145 〜155 〜160 ℃に昇
温し解膠を行なった。反応は分光光度計を用いて透過率
を適宜測定し、透過率が78.6%になった時点で液温を50
℃以下に急冷し反応を終了した。この間に要した反応時
間は6時間であり、最高圧力は4.6 kg/cm2であった。
得られたアルミナゾルのアルミナ濃度は10wt%であり、
この溶液を20wt%まで減圧下濃縮した時の波長540nm で
の透過率は58.3%であった。また、このアルミナ濃度20
wt%溶液の粘度を測定したところ、製造直後の23cps か
ら3ヶ月経過した後でも42cps と殆ど増粘していなかっ
た。 【0016】実施例−3〜9 イオン交換水600gをビーカに取り、硝酸を加えてpH2.30
に調整した。この液を800ml オートクレーブに移し、攪
拌しながら液温を75℃に上昇させた。次にアルミニウム
イソプロポキシド240gを投入し、液温を徐々に95℃付近
まで昇温させて発生するイソプロピルアルコール(含
水)を留出させた。留出量は297gであった。その後、所
定量の61%硝酸を3倍量のイオン交換水で希釈してから
滴下した。続いて、反応容器を密閉にし、攪拌しながら
所定の温度まで昇温し所定時間その温度を維持して解こ
うを行なった後、50℃以下に急冷し反応を終了した。こ
の時得られたアルミナゾルのアルミナ濃度は10wt%であ
り、分光光度計を用いて測定したこの溶液の透過率を表
−1に示す。 【0017】 【表1】 *解膠圧力 150℃ 4.8kg/cm2 , 165℃ 6.8kg/cm2 【0018】 【0019】比較例−1〜2 1 4つ口フラスコにイオン交換水600gを仕込み、99%
酢酸を加えてpH2.30に調整した。その後、攪拌しながら
液温を75℃に上昇させた。次にアルミニウムイソプロポ
キシドを所定量投入し、液温を徐々に95℃付近まで昇温
せて発生するイソプロピルアルコール(含水)を留出さ
せた。その後、所定量の61%硝酸を3倍量のイオン交換
水で希釈してから滴下した。液温は92〜95℃に保ち常圧
で8時間攪拌した。分光光度計を用いて透過率を適宜測
定し、透過率がほぼ最高値になったところで液温を50℃
以下に急冷し攪拌をとめた。 この溶液を20wt%まで減圧下濃縮しようと試みたが、何
れも12〜13%まで濃縮したところでゲル化してしまっ
た。また、比較例2のアルミナ濃度10%品でも3ヵ月保
存しておいたところゲル化してしまった。 【0020】 【発明の効果】本発明の方法で、酸の使用量を調節する
事により粘度安定性を高め、かつ透明性の優れたアルミ
ナゾルを得ることができた。
度安定性の良いアルミナゾルの製造方法に関するもので
ある。 【0002】 【従来の技術】アルミナゾルは製紙工業や繊維工業の表
面処理剤、各種耐火物のバインダー、触媒担体、プラス
チック工業等に用いられており、特に最近ではニューセ
ラミックスの原料、各種フィルムの表面改質剤として急
速にその需要が高まってきている。 【0003】アルミニウムアルコキシドを原料として透
明なアルミナゾルを製造する例は、すでに下記の文献が
知られている。 米国特許第2,656,321号公報(1963) Bulent E.Yolds,Am.Ceramic Soc.Bull.,54,289(19
75) 日特開昭57−88074号公報 【0004】しかし、これらの文献に記載された技術で
製造したアルミナゾルは透明性において必ずしも満足な
結果を与えるものではなく、かつ反応所要時間も長くか
かる欠点を有している。また、100 ℃以下の温度で解膠
するため、酸の使用量が多くなり、10%以上の濃度では
粘度安定性が悪いといった欠点もある。 【0005】また、日特開昭59−78925号公報に
記載されているアルミナゾルは、粒子の大きさが直径10
nm,長さ200nm 以下の針状結晶であり、かなり大きな粒
子を含んでいる。しかも、製造方法はアルミニウム粉末
を原料としており、解膠の際添加する酸の使用量が多
く、低濃度で反応時間も長いといった上記と同様な欠点
を有している。また、日特開昭62−56321号公報
に記載されているアルミナゾルは、透明性に優れている
が、これも解膠の際添加する酸の使用量が多いため粘度
安定性に欠けており長期保存ができず、高濃度にすると
ゲル化する欠点がある。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、特に透明性
に優れかつ粘度安定性の良いアルミナゾルの製造方法を
提供するものである。具体的には、アルミナを10〜25wt
%含有する高濃度アルミナゾルにおいて3ヶ月以上安定
に粘度100cps以下の水媒体として保存可能であり、かつ
アルミナを10%含有するアルミナゾルに調製した場合に
おいて、540nm の光の透過率が70%以上であるアルミナ
ゾルを工業的に有利に製造する方法に関するものであ
る。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、アルミニ
ウムアルコキシドを加水分解してアルミナ1水和物(ベ
ーマイト)を製造する際の反応条件、及び酸を加えて解
膠する際の反応条件について鋭意研究の結果、特に透明
性に優れしかも粘度安定性の良いアルミナゾルを比較的
短時間に製造する方法を見いだした。 【0008】即ち本発明は、アルミニウムアルコキシド
を希酸水溶液中で加水分解してアルミナ1水和物(ベー
マイト)とし、その際生成したアルコールを留去した
後、酸を加えて高温、加圧下解膠する事を特徴とする透
明性の優れた粘度安定性の良いアルミナゾルの製造方法
である。本発明で使用されるアルミニウムアルコキシド
は一般式 Al(OR1)(OR2)(OR3) で示されるものであり、式中のR1,R2,R3は炭素数
2から5までのアルキル基を表すが、好ましくは炭素数
3のアルミニウムイソプロポキサイドないし炭素数4の
アルミニウムイソブトキサイドが良い。また、これらの
アルミニウムアルコキシドの性状は、液体よりも粉末な
いし顆粒状が好ましく、純度は99%以上が望ましい。 【0009】加水分解に使用する酸としては、塩酸、硝
酸、過塩素酸、酢酸、プロピオン酸等の一価の酸なら鉱
酸でも有機酸でもよく、解膠時に加える酸についても同
様である。酸の使用量については、加水分解時及び解膠
時ともに使用する酸の種類によって異なり、ある特定の
範囲においてはじめて透明性の優れた粘度安定性の良い
アルミナゾルが得られる。即ち、加水分解前のpHが2.0
〜3.0 の範囲で酸の種類により適した量を加えて加水分
解する。また、解膠時に加える酸の量は、(酸根/Al)
のモル比が0.005 〜0.1 、好ましくは0.01〜0.05の範囲
で酸の種類によって反応が数時間以内に行なわれ、期待
される透明性が得られる最低量とする。この酸の量は、
得られるアルミナゾルの粘度安定性と密接な関係があ
り、多すぎると粘度安定性が悪く経時的に増粘しゲル化
したり、15%以上の高濃度品を製造する際には反応中に
ゲル化したりして製造不能となる。また、少なすぎると
解膠速度が遅く反応に長時間を必要とし期待される透明
性を得る事ができない。 【0010】従来の方法では、アルミニウムアルコキサ
イドを原料としてアルミナゾルを製造する場合、100℃
以下の温度で解膠していたため、必然的に酸の使用量が
多くなり、粘度安定性が悪く高濃度品を製造することが
できなかった。我々はこの問題を解決する為に鋭意検討
した結果、上記原因を解明するとともに、圧力反応装置
を使用して解膠温度が、120 〜170℃で解膠を行なう事
によって、適度な酸の使用量で短時間に解膠し満足な透
明性及び粘度安定性を得る事に成功した。 【0011】次に本発明の一実施態様を示す。イオン交
換水に60%硝酸を加えてpHを2.2 〜2.5 に調整する。こ
れを加温してから製造したいアルミナゾルの濃度を考慮
して必要量のアルミニウムアルコキシドの粉末を攪拌し
ながら徐々に投入し、加水分解する。投入終了後95℃前
後まで加熱して副生するアルコールを除去した後、加圧
反応装置に移しアルミニウムアルコキシド1モルあたり
0.02〜0.03モルの硝酸を3倍に希釈した水溶液を滴下
し、液温を140 〜160 ℃に保って良く攪拌しながら解膠
させる。4〜8時間この状態を保持して透過率が十分な
透明度になったら50℃以下に急冷して透明なアルミナゾ
ル溶液を得る。 【0012】この実施態様に準じて製造したアルミナゾ
ルはアルミナ濃度を10%に調整して測定した540nm の波
長光の透過率が85%以上の値を示した。また、この溶液
を20%濃度に濃縮したアルミナゾルでも3ヶ月以上安定
に粘度50cps 以下の水溶液として保存可能であった。ま
た電子顕微鏡写真によれば、アルミナの粒径は1〜10nm
と非常に小さい事が分かった。また、本発明のアルミゾ
ル溶液をテフロン製容器に流し込みゆっくり乾燥させる
と、製膜性が良く透明度の高い薄膜が得られた。 【0013】 【作用】本発明の方法で、酸の使用量を調節する事によ
り粘度安定性を高めかつ透明性の優れたアルミナゾルを
得ることができたが、その理由は不明である。 【0014】以下実施例によって本発明を更に詳しく説
明する。 【実施例】実施例−1 イオン交換水300gをビーカに取り、硝酸を加えてpH2.30
に調整した。この液を500ml オートクレーブに移し、攪
拌しながら液温を75℃に上昇させた。次にアルミニウム
イソプロポキシド60g を投入し、液温を徐々に95℃付近
まで昇温させて発生するイソプロピルアルコール(含
水)を留出させた。留出量は82g であった。その後61%
硝酸を0.91g (アルミニウムイソプロポキシドに対して
モル比0.03)を3倍量のイオン交換水で希釈してから滴
下した。続いて、反応容器を密閉にし、攪拌しながら14
5 〜150 ℃に昇温し解膠を行なった。反応は分光光度計
を用いて透過率を適宜測定し、透過率が92.1%になった
時点で液温を50℃以下に急冷し反応を終了した。この間
に要した反応時間は4時間であり、最高圧力は3.8kg/cm
2 であった。得られたアルミナゾルのアルミナ濃度は5
wt%であり、この溶液を20wt%まで減圧下濃縮した時の
波長540nm での透過率は62.5%であった。また、このア
ルミナ濃度20wt%溶液の粘度を測定したところ、製造直
後の32cps から3ヶ月経過した後でも46cps と殆ど増粘
していなかった。 【0015】実施例−2 イオン交換水100kg を圧力反応釜に仕込み、硝酸を加え
てpH2.35に調整した後、攪拌しながら液温を75℃に上昇
させた。次にアルミニウムイソプロポキシド40kgを投入
し、液温を徐々に95℃付近まで昇温させて発生するイソ
プロピルアルコール(含水)を常圧下留出させた。留出
量は53kgであった。その後61%硝酸を0.5 kg(アルミニ
ウムイソプロポキシドに対してモル比0.025 )を3倍量
のイオン交換水で希釈してから滴下した。続いて、反応
容器を密閉にし、攪拌しながら145 〜155 〜160 ℃に昇
温し解膠を行なった。反応は分光光度計を用いて透過率
を適宜測定し、透過率が78.6%になった時点で液温を50
℃以下に急冷し反応を終了した。この間に要した反応時
間は6時間であり、最高圧力は4.6 kg/cm2であった。
得られたアルミナゾルのアルミナ濃度は10wt%であり、
この溶液を20wt%まで減圧下濃縮した時の波長540nm で
の透過率は58.3%であった。また、このアルミナ濃度20
wt%溶液の粘度を測定したところ、製造直後の23cps か
ら3ヶ月経過した後でも42cps と殆ど増粘していなかっ
た。 【0016】実施例−3〜9 イオン交換水600gをビーカに取り、硝酸を加えてpH2.30
に調整した。この液を800ml オートクレーブに移し、攪
拌しながら液温を75℃に上昇させた。次にアルミニウム
イソプロポキシド240gを投入し、液温を徐々に95℃付近
まで昇温させて発生するイソプロピルアルコール(含
水)を留出させた。留出量は297gであった。その後、所
定量の61%硝酸を3倍量のイオン交換水で希釈してから
滴下した。続いて、反応容器を密閉にし、攪拌しながら
所定の温度まで昇温し所定時間その温度を維持して解こ
うを行なった後、50℃以下に急冷し反応を終了した。こ
の時得られたアルミナゾルのアルミナ濃度は10wt%であ
り、分光光度計を用いて測定したこの溶液の透過率を表
−1に示す。 【0017】 【表1】 *解膠圧力 150℃ 4.8kg/cm2 , 165℃ 6.8kg/cm2 【0018】 【0019】比較例−1〜2 1 4つ口フラスコにイオン交換水600gを仕込み、99%
酢酸を加えてpH2.30に調整した。その後、攪拌しながら
液温を75℃に上昇させた。次にアルミニウムイソプロポ
キシドを所定量投入し、液温を徐々に95℃付近まで昇温
せて発生するイソプロピルアルコール(含水)を留出さ
せた。その後、所定量の61%硝酸を3倍量のイオン交換
水で希釈してから滴下した。液温は92〜95℃に保ち常圧
で8時間攪拌した。分光光度計を用いて透過率を適宜測
定し、透過率がほぼ最高値になったところで液温を50℃
以下に急冷し攪拌をとめた。 この溶液を20wt%まで減圧下濃縮しようと試みたが、何
れも12〜13%まで濃縮したところでゲル化してしまっ
た。また、比較例2のアルミナ濃度10%品でも3ヵ月保
存しておいたところゲル化してしまった。 【0020】 【発明の効果】本発明の方法で、酸の使用量を調節する
事により粘度安定性を高め、かつ透明性の優れたアルミ
ナゾルを得ることができた。
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フロントページの続き
(56)参考文献 特開 昭61−16809(JP,A)
特開 昭62−56321(JP,A)
特開 平3−275510(JP,A)
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
C01F 7/00 - 7/76
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 下記一般式 Al(OR1 )(OR2)(OR3 ) [式中R1 ,R2,R3 はそれぞれ独立に炭素数2から
5までのアルキル基を表す。]で表されるアルミニウム
アルコキシドを、希酸水溶液中で加水分解して得られた
アルミナ1水和物(ベーマイト)を、新たに酸を加えて
から水熱処理して解膠するアルミナゾルの製造方法にお
いて、解膠の時に加える酸の使用量が、アルミニウムに
対してモル比で0.01〜0.05であって、解膠温度
が120〜170℃である事を特徴とする、アルミナ濃度が1
0〜25wt%である高濃度アルミナゾルの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18184293A JP3462891B2 (ja) | 1993-06-28 | 1993-06-28 | 透明性に優れ、かつ粘度安定性の良いアルミナゾルの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18184293A JP3462891B2 (ja) | 1993-06-28 | 1993-06-28 | 透明性に優れ、かつ粘度安定性の良いアルミナゾルの製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0710535A JPH0710535A (ja) | 1995-01-13 |
JP3462891B2 true JP3462891B2 (ja) | 2003-11-05 |
Family
ID=16107773
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP18184293A Expired - Lifetime JP3462891B2 (ja) | 1993-06-28 | 1993-06-28 | 透明性に優れ、かつ粘度安定性の良いアルミナゾルの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3462891B2 (ja) |
Families Citing this family (15)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE69722596D1 (de) | 1996-03-05 | 2003-07-10 | Goro Sato | Aluminiumoxidsol, verfahren zu dessen herstellung, verfahren zur herstellung eines aluminiumoxidteils unter verwendung derselben und daraus hergestellte katalysator auf basis von aluminiumoxid |
US6565950B1 (en) | 1998-06-18 | 2003-05-20 | Canon Kabushiki Kaisha | Recording medium, image forming method utilizing the same, method for producing the same, alumina dispersion and method for producing the same |
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