JP3461605B2 - 高分子弾性体の表面処理用塗料組成物 - Google Patents
高分子弾性体の表面処理用塗料組成物Info
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Description
【発明の詳細な説明】
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は高分子弾性体の表面処理
に用いられる塗料組成物に関し、特にゴム等を表面処理
することで滑性、耐摩耗性等が得られる塗料組成物に関
する。 【０００２】 【従来の技術】従来、高分子弾性体は種々の用途に用い
られている。例えば、２つの物体を接触させる際に、こ
れらの物体の摺動面や接触面に高分子弾性体を用いるこ
とで両者が保護され、また接触音も低減されるといった
効果が得られる。 【０００３】特に、自動車や建築物のウェザーストリッ
プにおいては、上記のような効果を得るために高分子弾
性体が用いられている。 【０００４】一般にウェザーストリップには耐候性、耐
熱性、耐水性、滑性、非凍結性等の多くの特性が必要で
あり、ウェザーストリップを構成する高分子弾性体の改
良及び表面処理技術が求められている。 【０００５】このような高分子弾性体の表面処理技術と
して、特公昭６１−４４０８号公報には、熱硬化性ポリ
ウレタンにシリコンオイル（または変性シリコンオイ
ル、硬化性シリコンオイル等）を添加して表面処理剤を
製造し、これを用いて高分子弾性体を表面処理すること
で、耐摩耗性、滑り性、密着性等を向上させる技術が開
示されている。 【０００６】また、特公平４−３７８５９号公報には、
硬化性ポリウレタンに上記シリコンオイルと接着与付剤
（塩素化ＥＰＴのアクリルモノマーグラフト重合物）を
添加し無極性ゴム（ＥＰＤＭ）にプライマー無で密着
し、耐候性等を改良する技術が開示されている。 【０００７】 【発明が解決しようとする課題】しかし、熱硬化性ポリ
ウレタンにシリコンオイルを添加して得られる表面処理
剤においては耐久性に課題が残されており、図１に示す
ように、表面処理した高分子弾性体１とガラス２とを摺
動させて耐久試験を行うと、ガラス２の端面との摩擦に
よって早期にゴムが破断してしまう。 【０００８】また、硬化性ポリウレタンに上記シリコン
オイルと接着与付剤を添加し無極性ゴムにプライマー無
で密着した場合には、図２に示すように、ガラス３が水
でぬれた状態では高分子弾性体４との摺動時にキュルキ
ュルという低級音を発生してしまう。 【０００９】本発明は上記背景の下になされたものであ
り、高分子弾性体の表面処理用塗料組成物の耐久性を向
上し、かつ摩擦時に低級音が発生し難くするとともに、
ウェザーストリップの表面処理にも適した表面処理用塗
料組成物を提供することを目的とする。 【００１０】 【課題を解決するための手段及び作用】上記課題を解決
するために、本発明は、硬化性ポリウレタン100重量部
に対して、平均重合度6,000〜10,000のジオルガノポリ
シロキサンを0.5〜100重量部含有することを特徴とする
高分子弾性体の表面処理用塗料組成物を提供する。 【００１１】本発明では平均重合度6,000〜10,000のジ
オルガノポリシロキサン（ゴム状シリコン）を用いてい
るが、その分子量は高いので、塗膜内ではゴム状シリコ
ン分子とポリウレタン樹脂の分子とが互いにからまった
形で保持されていると推測される。 【００１２】従って、通常のシリコン系添加剤に比べる
とブリードアウトしにくく、塗膜表皮からゴム状シリコ
ンが雨水等で流出し難くなり耐久性がよくなる。また、
塗膜に柔らかさを出すことができ、ガラス摺動時の低級
音が発生しにくくなる。更に、塗膜表面に露出している
ゴム状シリコンは滑り性を確保するとともに、その一部
はガラス等の摺動相手に転写される。 【００１３】ゴム状シリコンは分子量が高いのでガラス
等への付着力が高く、除去され難い。これによりガラス
表面は高分子弾性体上に形成された塗膜と同様に水をは
じきやすくなる。これらの相乗作用によって、より一層
摺動時の低級音が発生しずらくなる。 【００１４】以下、本発明を更に詳細に説明する。 【００１５】本件発明に使用する直鎖状のジオルガノポ
リシロキサンは、平均重合度は6,000〜10,000程度、粘
度は1,000万以上の流動性のないゴム状シリコンであ
る。 【００１６】平均重合度が6,000より低くなると、塗料
を塗布した後の塗膜から添加剤がブリードアウトしやす
くなるので、添加剤が雨水などに流されやすく、すぐに
摩擦係数の低下や水をはじく効果がなくなってしまう。
平均重合度が10,000より高いと溶剤に溶けなくなって塗
料中への分散が困難となる。 【００１７】また、硬化性ポリウレタンは、ウレタンポ
リオールとポリイソシアネートから成る。 【００１８】ウレタンポリオールとしては、イソシアネ
ート基と反応する活性水素を２個以上有する化合物であ
る。一般的には、プロピレンオキサイドやエチレンオキ
サイドを付加重合させたポリエーテルポリオールと、ア
ジピン酸等の有機酸と短鎖ジオール等のヒドロキシ成分
を縮合重合させたポリエステルポリオールなどがある。
さらに、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ラク
トン系ポリオール、アクリル系ポリオール、ポリカーボ
ネート系ポリオール、ヒマシ油系ポリオール、ポリブタ
ジエンポリオール等がある。ヒドロキシル基（−ＯＨ）
を有するポリオール以外では、ポリアミン（−Ｎ
Ｈ3）、ポリカルボン酸（−ＣＯＯＨ）等を用いること
ができ、また上記ポリマーと、上記他のポリマーとのブ
レンド、ポリエーテル・エステルポリエーテル等の付加
重合物、及びシリコン共重合ポリエーテル等の共重合物
などが使用できる。 【００１９】ここで前記ポリイソシアネートとしては、
イソシアネート基（−ＮＣＯ）を有する化合物であり、
トリレンジイソシアネート（ＴＤＩ）、ジフェニルメタ
ンジイソシアネート（ＭＤＩ）、ヘキサメチレンジイソ
シアネート（ＨＤＩ）、キシリレンジイソシアネート
（ＸＤＩ）、ナフタレンジイソシアネート（ＮＤＩ）、
イソホロンジイソシアネート（ＩＰＤＩ）、リシンジイ
ソシアネート（ＬＤＩ）、その水添物である水素化ジフ
ェニルメタンジイソシアネート（Ｈ6ＭＤＩ）、または
水素化キシリレンジイソシアネート（Ｈ12ＸＤＩ）をモ
ノマーで使用するか、またはこれら上記のものをＴＭＰ
アダクト、水アダクト、トリマー等に代表される変成
物、または前述のウレタンポリオールと上記ポリイソシ
アネート化合物とのプレポリマー等が使用可能であり、
さらに上記モノマーや変成物やプレポリマーをブレンド
してもよい。さらに、フェノールやオキシムブロック体
等によるブロックイソシアネートも使用可能である。ま
た、以上に限定されることなく、イソシアネート基（−
ＮＣＯ）を複数有しているものであれば使用できる。 【００２０】直鎖状のジオルガノポリシロキサンは、例
えば環状シロキサンの開環重合や、オルガノクロロシラ
オン又はオルガノアルコキシランの加水分解重合等で得
られる。また、その側鎖や端末のメチル基の一部をフェ
ニル基，ビニル基，アミノ基，エポキシ基，エーテル基
等で置き換えた変性シリコンオイルでもかまわない。 【００２１】また、使用条件等に応じて、表面処理用組
成物に適宜硬化性シリコンオイル，変性シリコンオイ
ル，シリコンオイル及び接着付与剤，顔料，つや消剤，
触媒，各種溶剤等を併用することができる。 【００２２】上記の直鎖状のジオルガノポリシロキサン
は、実質的に塗膜形成要素となるのに十分な量が含有さ
れればよく、好ましくは硬化性ポリウレタン100重量部
に対して0.5〜100重量部添加し、更に好ましくは2〜80
重量部添加する。 【００２３】ジオルガノポリシロキサンの添加量が0.5
重量部より少ないとジオルガノポリシロキサンの添加効
果が実質的に認められないほど小さくなり、添加量が10
0重量部を超えると塗膜が弱くなる。 【００２４】 【実施例】本実施例においては、硬化性ポリウレタンを
主成分とする表面処理用塗料組成物をウェザーストリッ
プに塗布し、塗布後のウェザーストリップにおける動摩
擦係数、耐久性等の特性を調べた。 【００２５】まず、表１に示される配合比の組成物（比
較例１、２及び実施例１〜３）を調製した。実施例１〜
３の組成物には平均重合度6,000〜10,000のジオルガノ
ポリシロキサン（ゴム状シリコン）をそれぞれ添加した
が、比較例１、２の組成物には添加していない。 【００２６】また、比較例２及び実施例１〜３には硬化
性シリコンオイル及び触媒を添加したが、比較例１には
添加していない。 【００２７】 【表１】 【００２８】次に、口径１(mm)のスプレーガンを用いて
これら各種組成物をウェザーストリップに塗布し、１０
０℃で１０分間乾燥させた。その後に上記のように表面
処理されたウェザーストリップの動摩擦係数，耐久性，
摺動音，接触角の測定を行った。 【００２９】尚、動摩擦係数及び耐久性は、図１に示さ
れるようにガラス１とウェザーストリップ２との面圧を
１０(g/mm2)に保ち、ストロークを１００(mm)として１
分間に６０往復の速度で摺動させて測定した。 【００３０】摺動音は、図２に示されるようにガラス３
とウェザーストリップ４との面圧を１０(g/mm2)に保
ち、ガラスの表面に水滴を付着させてストローク１００
(mm)で１分間に６０往復の速度で摺動させて測定した。 【００３１】動摩擦係数等の測定結果を表２にまとめて
示す。 【００３２】 【表２】 【００３３】この表に示されるように、組成物にゴム状
シリコン及び硬化性シリコンオイルを添加しなかった比
較例１は動摩擦係数が0.1(kg)と小さいものの、耐久性
が低いうえに摺動音が大きい。 【００３４】また、比較例２は耐久性が低く摺動音も発
生するうえに動摩擦係数も0.45と大きい。 【００３５】一方、実施例１〜３は動摩擦係数が0.15〜
0.3といずれも小さく、また30,000〜40,000回の摺動に
も耐えられるので、耐久性も高い。更に、摺動音も小さ
く、特に実施例２、３で良好な結果が得られている。 【００３６】更に、図３に示すように、ウェザーストリ
ップ上の塗膜と水との接触角、及び塗膜と摺動後のガラ
スと水との接触角をそれぞれ測定した。その結果を併せ
て表２に示す。 【００３７】表２に示されるように、ゴム状シリコンを
添加していない塗料（比較例１、２）と摺動したガラス
は水との接触角が２０度程度と小さく、ガラスには撥水
性が殆ど付与されていない。 【００３８】これに対し、ゴム状シリコンを添加した塗
料（実施例１〜３）と摺動したガラスは水との接触角が
４０〜６４度と大きくなっている。これらのことから、
塗膜を形成したウェザーストリップと摺動したガラスに
は撥水性が生じていることが示される。 【００３９】これは、ウェザーストリップ上に形成され
た塗膜表面に露出したゴム状シリコンが、摺動対象とな
るガラスに転写されて被膜を形成することに起因すると
考えられる。 【００４０】ガラス上にゴム状シリコンの被膜が形成さ
れることで、実質的には水はゴム状シリコンと接触する
ことになり、接触角が大きくなっている。 【００４１】このように、ゴム状シリコンを添加した実
施例１〜３の組成物で形成された塗膜は、摩擦係数が小
さく耐久性に優れているうえに、摩擦音も発生し難いと
いう優れた特性を有し、特にウェザーストリップ用の表
面処理剤として有用である。 【００４２】 【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば高
分子弾性体表面に形成される塗膜の摩擦係数が低下する
ので、ウレタン膜の摩耗が少なくなり耐久性が向上す
る。 【００４３】また、塗膜表面に露出したゴム状シリコン
はガラス等の摺動対象面にも転写されるので、ガラス側
は常にドライ状態となって撥水性が生じ、一層摩擦係数
が小さくなる。 【００４４】尚、添加剤は分子量が高いので、ガラスへ
転写したゴム状シリコンは除去されずらく、摩擦係数を
長期にわたって低く維持することができる。
に用いられる塗料組成物に関し、特にゴム等を表面処理
することで滑性、耐摩耗性等が得られる塗料組成物に関
する。 【０００２】 【従来の技術】従来、高分子弾性体は種々の用途に用い
られている。例えば、２つの物体を接触させる際に、こ
れらの物体の摺動面や接触面に高分子弾性体を用いるこ
とで両者が保護され、また接触音も低減されるといった
効果が得られる。 【０００３】特に、自動車や建築物のウェザーストリッ
プにおいては、上記のような効果を得るために高分子弾
性体が用いられている。 【０００４】一般にウェザーストリップには耐候性、耐
熱性、耐水性、滑性、非凍結性等の多くの特性が必要で
あり、ウェザーストリップを構成する高分子弾性体の改
良及び表面処理技術が求められている。 【０００５】このような高分子弾性体の表面処理技術と
して、特公昭６１−４４０８号公報には、熱硬化性ポリ
ウレタンにシリコンオイル（または変性シリコンオイ
ル、硬化性シリコンオイル等）を添加して表面処理剤を
製造し、これを用いて高分子弾性体を表面処理すること
で、耐摩耗性、滑り性、密着性等を向上させる技術が開
示されている。 【０００６】また、特公平４−３７８５９号公報には、
硬化性ポリウレタンに上記シリコンオイルと接着与付剤
（塩素化ＥＰＴのアクリルモノマーグラフト重合物）を
添加し無極性ゴム（ＥＰＤＭ）にプライマー無で密着
し、耐候性等を改良する技術が開示されている。 【０００７】 【発明が解決しようとする課題】しかし、熱硬化性ポリ
ウレタンにシリコンオイルを添加して得られる表面処理
剤においては耐久性に課題が残されており、図１に示す
ように、表面処理した高分子弾性体１とガラス２とを摺
動させて耐久試験を行うと、ガラス２の端面との摩擦に
よって早期にゴムが破断してしまう。 【０００８】また、硬化性ポリウレタンに上記シリコン
オイルと接着与付剤を添加し無極性ゴムにプライマー無
で密着した場合には、図２に示すように、ガラス３が水
でぬれた状態では高分子弾性体４との摺動時にキュルキ
ュルという低級音を発生してしまう。 【０００９】本発明は上記背景の下になされたものであ
り、高分子弾性体の表面処理用塗料組成物の耐久性を向
上し、かつ摩擦時に低級音が発生し難くするとともに、
ウェザーストリップの表面処理にも適した表面処理用塗
料組成物を提供することを目的とする。 【００１０】 【課題を解決するための手段及び作用】上記課題を解決
するために、本発明は、硬化性ポリウレタン100重量部
に対して、平均重合度6,000〜10,000のジオルガノポリ
シロキサンを0.5〜100重量部含有することを特徴とする
高分子弾性体の表面処理用塗料組成物を提供する。 【００１１】本発明では平均重合度6,000〜10,000のジ
オルガノポリシロキサン（ゴム状シリコン）を用いてい
るが、その分子量は高いので、塗膜内ではゴム状シリコ
ン分子とポリウレタン樹脂の分子とが互いにからまった
形で保持されていると推測される。 【００１２】従って、通常のシリコン系添加剤に比べる
とブリードアウトしにくく、塗膜表皮からゴム状シリコ
ンが雨水等で流出し難くなり耐久性がよくなる。また、
塗膜に柔らかさを出すことができ、ガラス摺動時の低級
音が発生しにくくなる。更に、塗膜表面に露出している
ゴム状シリコンは滑り性を確保するとともに、その一部
はガラス等の摺動相手に転写される。 【００１３】ゴム状シリコンは分子量が高いのでガラス
等への付着力が高く、除去され難い。これによりガラス
表面は高分子弾性体上に形成された塗膜と同様に水をは
じきやすくなる。これらの相乗作用によって、より一層
摺動時の低級音が発生しずらくなる。 【００１４】以下、本発明を更に詳細に説明する。 【００１５】本件発明に使用する直鎖状のジオルガノポ
リシロキサンは、平均重合度は6,000〜10,000程度、粘
度は1,000万以上の流動性のないゴム状シリコンであ
る。 【００１６】平均重合度が6,000より低くなると、塗料
を塗布した後の塗膜から添加剤がブリードアウトしやす
くなるので、添加剤が雨水などに流されやすく、すぐに
摩擦係数の低下や水をはじく効果がなくなってしまう。
平均重合度が10,000より高いと溶剤に溶けなくなって塗
料中への分散が困難となる。 【００１７】また、硬化性ポリウレタンは、ウレタンポ
リオールとポリイソシアネートから成る。 【００１８】ウレタンポリオールとしては、イソシアネ
ート基と反応する活性水素を２個以上有する化合物であ
る。一般的には、プロピレンオキサイドやエチレンオキ
サイドを付加重合させたポリエーテルポリオールと、ア
ジピン酸等の有機酸と短鎖ジオール等のヒドロキシ成分
を縮合重合させたポリエステルポリオールなどがある。
さらに、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ラク
トン系ポリオール、アクリル系ポリオール、ポリカーボ
ネート系ポリオール、ヒマシ油系ポリオール、ポリブタ
ジエンポリオール等がある。ヒドロキシル基（−ＯＨ）
を有するポリオール以外では、ポリアミン（−Ｎ
Ｈ3）、ポリカルボン酸（−ＣＯＯＨ）等を用いること
ができ、また上記ポリマーと、上記他のポリマーとのブ
レンド、ポリエーテル・エステルポリエーテル等の付加
重合物、及びシリコン共重合ポリエーテル等の共重合物
などが使用できる。 【００１９】ここで前記ポリイソシアネートとしては、
イソシアネート基（−ＮＣＯ）を有する化合物であり、
トリレンジイソシアネート（ＴＤＩ）、ジフェニルメタ
ンジイソシアネート（ＭＤＩ）、ヘキサメチレンジイソ
シアネート（ＨＤＩ）、キシリレンジイソシアネート
（ＸＤＩ）、ナフタレンジイソシアネート（ＮＤＩ）、
イソホロンジイソシアネート（ＩＰＤＩ）、リシンジイ
ソシアネート（ＬＤＩ）、その水添物である水素化ジフ
ェニルメタンジイソシアネート（Ｈ6ＭＤＩ）、または
水素化キシリレンジイソシアネート（Ｈ12ＸＤＩ）をモ
ノマーで使用するか、またはこれら上記のものをＴＭＰ
アダクト、水アダクト、トリマー等に代表される変成
物、または前述のウレタンポリオールと上記ポリイソシ
アネート化合物とのプレポリマー等が使用可能であり、
さらに上記モノマーや変成物やプレポリマーをブレンド
してもよい。さらに、フェノールやオキシムブロック体
等によるブロックイソシアネートも使用可能である。ま
た、以上に限定されることなく、イソシアネート基（−
ＮＣＯ）を複数有しているものであれば使用できる。 【００２０】直鎖状のジオルガノポリシロキサンは、例
えば環状シロキサンの開環重合や、オルガノクロロシラ
オン又はオルガノアルコキシランの加水分解重合等で得
られる。また、その側鎖や端末のメチル基の一部をフェ
ニル基，ビニル基，アミノ基，エポキシ基，エーテル基
等で置き換えた変性シリコンオイルでもかまわない。 【００２１】また、使用条件等に応じて、表面処理用組
成物に適宜硬化性シリコンオイル，変性シリコンオイ
ル，シリコンオイル及び接着付与剤，顔料，つや消剤，
触媒，各種溶剤等を併用することができる。 【００２２】上記の直鎖状のジオルガノポリシロキサン
は、実質的に塗膜形成要素となるのに十分な量が含有さ
れればよく、好ましくは硬化性ポリウレタン100重量部
に対して0.5〜100重量部添加し、更に好ましくは2〜80
重量部添加する。 【００２３】ジオルガノポリシロキサンの添加量が0.5
重量部より少ないとジオルガノポリシロキサンの添加効
果が実質的に認められないほど小さくなり、添加量が10
0重量部を超えると塗膜が弱くなる。 【００２４】 【実施例】本実施例においては、硬化性ポリウレタンを
主成分とする表面処理用塗料組成物をウェザーストリッ
プに塗布し、塗布後のウェザーストリップにおける動摩
擦係数、耐久性等の特性を調べた。 【００２５】まず、表１に示される配合比の組成物（比
較例１、２及び実施例１〜３）を調製した。実施例１〜
３の組成物には平均重合度6,000〜10,000のジオルガノ
ポリシロキサン（ゴム状シリコン）をそれぞれ添加した
が、比較例１、２の組成物には添加していない。 【００２６】また、比較例２及び実施例１〜３には硬化
性シリコンオイル及び触媒を添加したが、比較例１には
添加していない。 【００２７】 【表１】 【００２８】次に、口径１(mm)のスプレーガンを用いて
これら各種組成物をウェザーストリップに塗布し、１０
０℃で１０分間乾燥させた。その後に上記のように表面
処理されたウェザーストリップの動摩擦係数，耐久性，
摺動音，接触角の測定を行った。 【００２９】尚、動摩擦係数及び耐久性は、図１に示さ
れるようにガラス１とウェザーストリップ２との面圧を
１０(g/mm2)に保ち、ストロークを１００(mm)として１
分間に６０往復の速度で摺動させて測定した。 【００３０】摺動音は、図２に示されるようにガラス３
とウェザーストリップ４との面圧を１０(g/mm2)に保
ち、ガラスの表面に水滴を付着させてストローク１００
(mm)で１分間に６０往復の速度で摺動させて測定した。 【００３１】動摩擦係数等の測定結果を表２にまとめて
示す。 【００３２】 【表２】 【００３３】この表に示されるように、組成物にゴム状
シリコン及び硬化性シリコンオイルを添加しなかった比
較例１は動摩擦係数が0.1(kg)と小さいものの、耐久性
が低いうえに摺動音が大きい。 【００３４】また、比較例２は耐久性が低く摺動音も発
生するうえに動摩擦係数も0.45と大きい。 【００３５】一方、実施例１〜３は動摩擦係数が0.15〜
0.3といずれも小さく、また30,000〜40,000回の摺動に
も耐えられるので、耐久性も高い。更に、摺動音も小さ
く、特に実施例２、３で良好な結果が得られている。 【００３６】更に、図３に示すように、ウェザーストリ
ップ上の塗膜と水との接触角、及び塗膜と摺動後のガラ
スと水との接触角をそれぞれ測定した。その結果を併せ
て表２に示す。 【００３７】表２に示されるように、ゴム状シリコンを
添加していない塗料（比較例１、２）と摺動したガラス
は水との接触角が２０度程度と小さく、ガラスには撥水
性が殆ど付与されていない。 【００３８】これに対し、ゴム状シリコンを添加した塗
料（実施例１〜３）と摺動したガラスは水との接触角が
４０〜６４度と大きくなっている。これらのことから、
塗膜を形成したウェザーストリップと摺動したガラスに
は撥水性が生じていることが示される。 【００３９】これは、ウェザーストリップ上に形成され
た塗膜表面に露出したゴム状シリコンが、摺動対象とな
るガラスに転写されて被膜を形成することに起因すると
考えられる。 【００４０】ガラス上にゴム状シリコンの被膜が形成さ
れることで、実質的には水はゴム状シリコンと接触する
ことになり、接触角が大きくなっている。 【００４１】このように、ゴム状シリコンを添加した実
施例１〜３の組成物で形成された塗膜は、摩擦係数が小
さく耐久性に優れているうえに、摩擦音も発生し難いと
いう優れた特性を有し、特にウェザーストリップ用の表
面処理剤として有用である。 【００４２】 【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば高
分子弾性体表面に形成される塗膜の摩擦係数が低下する
ので、ウレタン膜の摩耗が少なくなり耐久性が向上す
る。 【００４３】また、塗膜表面に露出したゴム状シリコン
はガラス等の摺動対象面にも転写されるので、ガラス側
は常にドライ状態となって撥水性が生じ、一層摩擦係数
が小さくなる。 【００４４】尚、添加剤は分子量が高いので、ガラスへ
転写したゴム状シリコンは除去されずらく、摩擦係数を
長期にわたって低く維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】耐久試験の説明図。
【図２】摺動の測定方法の説明図。
【図３】水と塗膜との接触角の説明図。
【符号の説明】
１…高分子弾性体
２…ガラス
３…ガラス
４…ウェザーストリップ
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(58)調査した分野(Int.Cl.7，ＤＢ名)
C08J 7/04
C08L 75/04 - 75/16
C08L 83/04 - 83/16
C09D 175/04 - 175/16
C09D 183/04 - 183/16
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項１】 硬化性ポリウレタン100重量部に対し
て、平均重合度6,000〜10,000のジオルガノポリシロキ
サンを0.5〜100重量部含有することを特徴とする高分子
弾性体の表面処理用塗料組成物。
Priority Applications (3)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP01631295A JP3461605B2 (ja) | 1994-12-19 | 1995-02-03 | 高分子弾性体の表面処理用塗料組成物 |
| US08/637,388 US5844051A (en) | 1995-02-03 | 1996-04-25 | Coating composition for high-molecular weight elastic body |
| GB9608725A GB2312428B (en) | 1995-02-03 | 1996-04-26 | Coating composition for high-molecular elastic body |
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