JP3460607B2 - サーミスタ薄膜形成剤の製造方法及びこれを用いたサーミスタ薄膜形成剤及びその薄膜の形成方法 - Google Patents

サーミスタ薄膜形成剤の製造方法及びこれを用いたサーミスタ薄膜形成剤及びその薄膜の形成方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は炭素数が4以上の高
級カルボン酸コバルト塩又は炭素数が4以上の高級カル
ボン酸マンガン塩を含有するサーミスタ薄膜形成剤の製
造方法に関する。更に詳しくはこれらのサーミスタ薄膜
形成剤を用いたサーミスタ薄膜形成剤及びこの形成剤を
用いて基板上にサーミスタ薄膜を形成する方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】コバルト塩又はマンガン塩はサーミスタ
薄膜、バリスタ薄膜等の感熱性抵抗膜をコーティングに
より形成する際のコーティング溶液の主原料に多用され
ている。またコバルト塩又はマンガン塩は、上記コーテ
ィング溶液の主原料の他に、顔料の原料として、また誘
電体薄膜に用いられる複合金属酸化物薄膜の原料として
利用されている。従来、コバルト塩のうちコバルト石け
んは、例えばナフテン酸ソーダ、2−エチルヘキシル酸
ソーダ、ステアリン酸ソーダ等の高級脂肪酸のアルカリ
塩と硝酸コバルト、硫酸コバルト等のコバルト無機塩と
を水溶液中で90〜100℃で反応させて複分解を行わ
せ、生成したグリース状のコバルト塩を静置分離等の手
段により水相より分離し、それに含まれるナトリウム塩
や硫酸ソーダのような不純物を水洗除去し、更に加熱脱
水して製造される。マンガン塩をサーミスタ薄膜等の感
熱性抵抗膜の用途に使用する場合には、市販のナフテン
酸マンガン又はオクチル酸マンガンを用いることが一般
的である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし上記従来の製造
法では生成したコバルト塩又はマンガン塩に不純物が残
存し易く、これらの塩の高純度化が困難な問題がある。
また市販のナフテン酸マンガン又はオクチル酸マンガン
を用いてサーミスタ薄膜を基板上に形成する場合には、
薄膜形成用のコーティング溶液の粘度が高くなるため、
取扱い難く、成膜の均質性が悪くなり、緻密度が低くな
る不都合がある。本発明の目的は、高純物のコバルト塩
又はマンガン塩を含有するサーミスタ薄膜形成剤を高収
率で製造する方法を提供することにある。本発明の別の
目的は、基板への濡れ性に優れ、緻密でクラックの発生
がないサーミスタ薄膜を形成できるサーミスタ薄膜形成
剤及びサーミスタ薄膜の形成方法を提供することにあ
る。
【0004】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明は、
ギ酸コバルト(II)2水和物又は酢酸コバルト(II)4水和
物と炭素数が4〜9のカルボン酸とを混合して反応さ
せ、炭素数4〜9のカルボン酸コバルト塩を生成するこ
とを特徴とするサーミスタ薄膜形成剤の製造方法であ
る。ギ酸コバルト(II)2水和物又は酢酸コバルト(II)4
水和物と炭素数が4〜9のカルボン酸とを反応させるこ
とにより、ギ酸基又は酢酸基とカルボニル基の置換反応
が生じ、高純度の炭素数4〜9のカルボン酸コバルト塩
を含有するサーミスタ薄膜形成剤が高収率で得られる。
【0005】請求項2に係る発明は、ギ酸マンガン(II)
2水和物又は酢酸マンガン(II)4水和物と炭素数が4〜
9のカルボン酸とを混合して反応させ、炭素数4〜9の
カルボン酸マンガン塩を生成することを特徴とするサー
ミスタ薄膜形成剤の製造方法である。ギ酸マンガン(II)
2水和物又は酢酸マンガン(II)4水和物と炭素数が4〜
9のカルボン酸とを反応させることにより、ギ酸基又は
酢酸基とカルボニル基の置換反応が生じ、高純度の炭素
数4〜9のカルボン酸マンガン塩を含有するサーミスタ
薄膜形成剤が高収率で得られる。
【0006】請求項3に係る発明は、請求項1に係る発
明であって、炭素数4〜9のカルボン酸をギ酸コバルト
(II)2水和物又は酢酸コバルト(II)4水和物に対して2
倍モル以上混合する製造方法である。請求項4に係る発
明は、請求項2に係る発明であって、炭素数4〜9のカ
ルボン酸をギ酸マンガン(II)2水和物又は酢酸マンガン
(II)4水和物に対して2倍モル以上混合する製造方法で
ある。請求項3及び4に係る発明では、2倍モル以上混
合することにより、置換反応が容易に進行する。請求項
5に係る発明は、請求項1又は3に係る発明であって、
反応は減圧下100〜160℃で行われる製造方法であ
る。請求項6に係る発明は、請求項2又は4に係る発明
であって、反応は減圧下100〜160℃で行われる製
造方法である。請求項5及び6に係る発明では、これら
の条件で反応させると、反応効率が向上する。
【0007】請求項7に係る発明は、炭素数4〜9のカ
ルボン酸コバルト塩又は炭素数4〜9のカルボン酸マン
ガン塩を含有するサーミスタ薄膜形成剤である。請求項
8に係る発明は、請求項7に係る発明であって、炭素数
4〜9のカルボン酸銅塩を更に含有するサーミスタ薄膜
形成剤である。請求項9に係る発明は、請求項7に係る
発明であって、炭素数4〜9のカルボン酸ニッケル塩を
更に含有するサーミスタ薄膜形成剤である。請求項7〜
9に係る発明では、これらの形成剤を使用すると、基板
への濡れ性に優れ、緻密でクラックの発生がないサーミ
スタ薄膜を形成できる。請求項10に係る発明は、請求
項7ないし9いずれかに係る発明であって、酢酸エチ
ル、酢酸プロピル、酢酸ブチル及び酢酸アミルからなる
群から選ばれた1種又は2種以上の酢酸エステルを更に
含有するサーミスタ薄膜形成剤である。これらの酢酸エ
ステルは粘性の低い有機溶剤であって、サーミスタ薄膜
形成剤を溶解する能力が高いため、成膜を容易に行うこ
とができる。
【0008】請求項11に係る発明は、請求項7〜10
のサーミスタ薄膜形成剤を基板に塗布し、700〜10
00℃で熱処理することを特徴とするサーミスタ薄膜の
形成方法である。700〜1000℃で熱処理すること
により、均質かつ緻密でクラックの発生がないサーミス
タ薄膜を形成できる。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明で使用される炭素数が4〜
9のカルボン酸としては2−エチルヘキサン酸(C8
162)、n−酪酸(C482)、2−エチルヘプタン
酸(C9182)、n−吉草酸(C5102)、4−メ
チルペンタン酸(C6122)、2−エチル酪酸(C6
122)、4−メチルヘキサン酸(C7122)等が
挙げられる。炭素数が4未満のカルボン酸を用いた場合
には、置換反応で生成するコバルト塩又はマンガン塩の
粘性が低すぎるため、成膜形成剤の原料として適さな
い。また炭素数が9を超えると、生成するコバルト塩又
はマンガン塩の粘性が高すぎて、有機溶剤に溶解しても
均一な膜厚のコーティングが困難となり、やはり成膜形
成剤の原料として適さない。炭素数4〜9のカルボン酸
をギ酸コバルト(II)2水和物又は酢酸コバルト(II)4水
和物又はギ酸マンガン(II)2水和物又は酢酸マンガン(I
I)4水和物に対して好ましくは2倍モル以上、より好ま
しくは3倍モル以上6倍モル以下の量で混合することが
望ましい。2倍モル未満の場合には2価のコバルト又は
2価のマンガンが配位結合できないため好ましくない。
本発明の置換反応は50〜760mmHgの減圧下、1
00〜160℃の温度で行われることが望ましい。反応
温度が100℃未満の場合には置換反応の進行が不十分
となり、160℃を超えるとカルボン酸の沸点に近くな
るため、好ましくない。
【0010】
【実施例】次に本発明の実施例を比較例とともに説明す
る。 <実施例1>酢酸コバルト(II)4水和物50gにこの酢
酸コバルトの3倍モル量に相当する2−エチルヘキサン
酸(C8162)86.8gを加え、160℃で加熱し
ながら100mmHgの減圧下で蒸発させて約2時間置
換反応を行った。この置換反応の結果、蒸発が終了した
後の液量は97.0gであり、これは過剰な2−エチル
ヘキサン酸を含有する2−エチルヘキサン酸コバルト塩
であった。得られた2−エチルヘキサン酸コバルト塩は
不純物が少なく、均質性に優れていた。
【0011】<実施例2>ギ酸コバルト(II)2水和物5
0gにこのギ酸コバルトの4倍モル量に相当するn−酪
酸(C482)95.3gを加え、100℃で加熱し
ながら100mmHgの減圧下で蒸発させて約2時間置
換反応を行った。その結果、過剰なn−酪酸を含有する
n−酪酸コバルト塩110.6gが生成された。得られ
たn−酪酸コバルト塩は不純物が少なく、均質性に優れ
ていた。
【0012】<実施例3>酢酸コバルト(II)4水和物5
0gにこの酢酸コバルトの2倍モル量に相当する2−エ
チルヘプタン酸(C9182)63.53gを加え、1
60℃で加熱しながら100mmHgの減圧下で蒸発さ
せて約2時間置換反応を行った。その結果、過剰な2−
エチルヘプタン酸を含有する2−エチルヘプタン酸コバ
ルト塩74.9gが生成された。得られた2−エチルヘ
プタン酸コバルト塩は不純物が少なく、均質性に優れて
いた。
【0013】<実施例4>酢酸マンガン(II)4水和物5
0gにこの酢酸マンガンの3倍モル量に相当する2−エ
チル酪酸(C6122)71.1gを加え、160℃で
加熱しながら100mmHgの減圧下で蒸発させて約2
時間置換反応を行った。この置換反応の結果、酢酸と水
があわせて39.2g蒸発した。蒸発が終了した後の液
量は80.0gであり、これは過剰な2−エチル酪酸を
含有する2−エチル酪酸マンガン塩であった。得られた
2−エチル酪酸マンガン塩は不純物が少なく、均質性に
優れていた。
【0014】<実施例5>ギ酸マンガン(II)2水和物5
0gにこのギ酸マンガンの4倍モル量に相当するn−酪
酸(C4102)97.4gを加え、100℃で加熱し
ながら100mmHgの減圧下で蒸発させて約2時間置
換反応を行った。その結果、過剰なn−酪酸を含有する
n−酪酸マンガン塩で115gが生成された。得られた
n−酪酸マンガン塩は不純物が少なく、均質性に優れて
いた。
【0015】<実施例6>酢酸マンガン(II)4水和物5
0gにこの酢酸マンガンの2倍モル量に相当する2−エ
チルヘプタン酸(C9182)64.56gを加え、1
60℃で加熱しながら100mmHgの減圧下で蒸発さ
せて約2時間置換反応を行った。その結果、過剰な2−
エチルヘプタン酸を含有する2−エチルヘプタン酸マン
ガン塩で75.2gが生成された。得られた2−エチル
ヘプタン酸マンガン塩は不純物が少なく、均質性に優れ
ていた。
【0016】<実施例7>ギ酸マンガン(II)2水和物5
0gにこのギ酸マンガンの4倍モル量に相当するn−酪
酸(C482)97.4gを加え、100℃で加熱し
ながら100mmHgの減圧下で蒸発させて約2時間置
換反応を行い、過剰なn−酪酸を含有するn−酪酸マン
ガン塩115gを得た。このマンガン塩を酢酸イソアミ
ルで金属重量が10重量%になるように希釈してn−酪
酸マンガン溶液を調製した。同様にして、ギ酸コバルト
(II)2水和物50gとn−酪酸(C482)95.2
5gを使用して10重量%のn−酪酸コバルト溶液を調
製した。上記n−酪酸マンガン溶液の23.4gと、上
記n−酪酸コバルト溶液の46.6gと、酢酸イソアミ
ルの30gとを混合し、150℃のオイルバスで1時間
還流して、Mn−Co系サーミスタ薄膜形成剤を調製し
た。この薄膜形成剤をスピンコート法によりアルミナ基
板上に塗布し、400℃のホットプレートで仮焼成を行
い、この工程を6回繰返した。最後に850℃の電気炉
にて1時間焼成してサーミスタ薄膜を形成した。
【0017】<実施例8>酢酸マンガン(II)4水和物5
0gにこの酢酸マンガンの3倍モル量に相当する2−エ
チル酪酸(C6122)71.1gを加え、160℃で
加熱しながら100mmHgの減圧下で蒸発させて約2
時間置換反応を行い、過剰な2−エチル酪酸を含有する
2−エチル酪酸マンガン塩80gを得た。このマンガン
塩を酢酸イソアミルで金属重量が10重量%になるよう
に希釈して2−エチル酪酸マンガン溶液を調製した。同
様にして、酢酸コバルト(II)4水和物50gと2−エチ
ル酪酸(C6122)67.0gを使用して10重量%
の2−エチル酪酸コバルト溶液を調製した。上記2−エ
チル酪酸マンガン溶液の33.8gと、上記2−エチル
酪酸コバルト溶液の36.2gと、酢酸イソアミルの3
0gとを混合し、150℃のオイルバスで1時間還流し
て、Mn−Co系サーミスタ薄膜形成剤を調製した。こ
の薄膜形成剤をスピンコート法によりアルミナ基板上に
塗布し、400℃のホットプレートで仮焼成を行い、こ
の工程を6回繰返した。最後に850℃の電気炉にて1
時間焼成してサーミスタ薄膜を形成した。
【0018】<実施例9>酢酸マンガン(II)4水和物5
0gにこの酢酸マンガンの2倍モル量に相当する2−エ
チルヘプタン酸(C9182)64.56gを加え、1
60℃で加熱しながら100mmHgの減圧下で蒸発さ
せて約2時間置換反応を行い、過剰な2−エチルヘプタ
ン酸を含有する2−エチルヘプタン酸マンガン塩75.
2gを得た。このマンガン塩を酢酸イソアミルで金属重
量が10重量%になるように希釈して2−エチルヘプタ
ン酸マンガン溶液を調製した。同様にして、酢酸コバル
ト(II)2水和物50gと2−エチルヘプタン酸63.5
3gを使用して10重量%の2−エチルヘプタン酸コバ
ルト溶液を調製した。上記2−エチルヘプタン酸マンガ
ン溶液の44.4gと、上記2−エチルヘプタン酸コバ
ルト溶液の25.6gと、酢酸イソアミルの30gとを
混合し、150℃のオイルバスで1時間還流して、Mn
−Co系サーミスタ薄膜形成剤を調製した。この薄膜形
成剤をスピンコート法によりアルミナ基板上に塗布し、
400℃のホットプレートで仮焼成を行い、この工程を
6回繰返した。最後に850℃の電気炉にて1時間焼成
してサーミスタ薄膜を形成した。
【0019】<実施例10>実施例8で調製した2−エ
チル酪酸マンガン溶液及び2−エチル酪酸コバルト溶液
と、同様の方法で調製した2−エチル酪酸銅溶液をモル
比で40:40:20になるように混合し、酢酸イソア
ミルで金属重量が7重量%になるように希釈してMn−
Co−Cu系サーミスタ薄膜形成剤を調製した。この薄
膜形成剤をスピンコート法によりシリコン基板上に塗布
し、400℃のホットプレートで仮焼成を行い、この工
程を6回繰返した。最後に800℃の電気炉にて1時間
焼成してサーミスタ薄膜を形成した。
【0020】<実施例11>実施例8で調製した2−エ
チル酪酸マンガン溶液及び2−エチル酪酸コバルト溶液
と、同様の方法で調製した2−エチル酪酸ニッケル溶液
をモル比で50:30:20になるように混合し、酢酸
イソアミルで金属重量が7重量%になるように希釈して
Mn−Co−Ni系サーミスタ薄膜形成剤を調製した。
この薄膜形成剤をスピンコート法によりシリコン基板上
に塗布し、400℃のホットプレートで仮焼成を行い、
この工程を6回繰返した。最後に800℃の電気炉にて
1時間焼成してサーミスタ薄膜を形成した。
【0021】<比較例1>酢酸マンガン及び酢酸コバル
トをモル比でMn:Co=35:65になるように酢酸
中に溶解し、金属濃度が7重量%のMn−Co系サーミ
スタ薄膜形成剤を調製した。この薄膜形成剤をスピンコ
ート法によりアルミナ基板上に塗布し、400℃のホッ
トプレートで仮焼成を行い、この工程を6回繰返した。
最後に800℃の電気炉にて1時間焼成してサーミスタ
薄膜を形成した。
【0022】<比較例2>2−エチルヘキシル酸マンガ
ン、2−エチルヘキシル酸コバルト及び2−エチルヘキ
シル酸銅をモル比でMn:Co:Cu=40:40:2
0になるように酢酸イソアミル中に溶解し、金属濃度が
7重量%のMn−Co−Cu系サーミスタ薄膜形成剤を
調製した。この薄膜形成剤をスピンコート法によりアル
ミナ基板上に塗布し、400℃のホットプレートで仮焼
成を行い、この工程を6回繰返した。最後に800℃の
電気炉にて1時間焼成してサーミスタ薄膜を形成した。
【0023】<比較試験と評価>実施例7〜11及び比
較例1〜2で得られたサーミスタ薄膜形成剤について、
スピンコート時の基板への濡れ性及び焼結後のクラック
の有無をそれぞれ目視により観察した。その結果を表1
に示す。
【0024】
【表1】
【0025】表1から明らかなように、実施例7〜11
で得られたサーミスタ薄膜形成剤はいずれもスピンコー
ト時に基板全面に均質に濡れ、またこれらのサーミスタ
薄膜には焼結後のクラックは発生しなかった。これに対
し、比較例1ではサーミスタ薄膜に放射状の縞模様であ
るストリエーションが発生し、比較例2ではサーミスタ
薄膜の所々に気泡が発生した。また比較例1及び2では
サーミスタ薄膜の焼結後にクラックが発生した。
【0026】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、ギ
酸コバルト(II)2水和物、酢酸コバルト(II)4水和物、
ギ酸マンガン(II)2水和物又は酢酸マンガン(II)4水和
物と炭素数が4〜9のカルボン酸とを混合して反応さ
せ、炭素数4〜9のカルボン酸コバルト塩又は炭素数4
〜9のカルボン酸マンガン塩を生成するようにしたの
で、高純度のコバルト塩又はマンガン塩を含有するサー
ミスタ薄膜形成剤を高収率で製造することができる。こ
のようにして得られたコバルト塩又はマンガン塩は不純
物が少なく、均質性に優れており、しかも酢酸エチル、
酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸アミル等の粘性の低い
有機溶剤に溶解し易いため、ディツプコーティング法や
スピンコーティング法により成膜する際のサーミスタ薄
膜形成剤の原料として非常に適しており、このサーミス
タ薄膜形成剤を基板に塗布し、700〜1000℃で熱
処理することにより形成したサーミスタ薄膜は均質かつ
緻密でクラックの発生がなく、かつバルクのサーミスタ
材料と同程度のB定数を有する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小木 勝実 埼玉県大宮市北袋町1丁目297番地 三 菱マテリアル株式会社 総合研究所内 (56)参考文献 特開 平10−45663(JP,A) 特開 昭61−37751(JP,A) 特開 平3−262101(JP,A) 特開 平8−29267(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07C 51/41 C07C 53/124 C07C 53/126 G01K 7/22

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ギ酸コバルト(II)2水和物又は酢酸コバ
    ルト(II)4水和物と炭素数が4〜9のカルボン酸とを混
    合して反応させ、炭素数4〜9のカルボン酸コバルト塩
    を生成することを特徴とするサーミスタ薄膜形成剤の製
    造方法。
  2. 【請求項2】 ギ酸マンガン(II)2水和物又は酢酸マン
    ガン(II)4水和物と炭素数が4〜9のカルボン酸とを混
    合して反応させ、炭素数4〜9のカルボン酸マンガン塩
    を生成することを特徴とするサーミスタ薄膜形成剤の製
    造方法。
  3. 【請求項3】 炭素数4〜9のカルボン酸をギ酸コバル
    ト(II)2水和物又は酢酸コバルト(II)4水和物に対して
    2倍モル以上混合する請求項1記載のサーミスタ薄膜形
    成剤の製造方法。
  4. 【請求項4】 炭素数4〜9のカルボン酸をギ酸マンガ
    ン(II)2水和物又は酢酸マンガン(II)4水和物に対して
    2倍モル以上混合する請求項2記載のサーミスタ薄膜形
    成剤の製造方法。
  5. 【請求項5】 反応は減圧下100〜160℃で行われ
    る請求項1又は3記載のサーミスタ薄膜形成剤の製造方
    法。
  6. 【請求項6】 反応は減圧下100〜160℃で行われ
    る請求項2又は4記載のサーミスタ薄膜形成剤の製造方
    法。
  7. 【請求項7】 炭素数4〜9のカルボン酸コバルト塩又
    は炭素数4〜9のカルボン酸マンガン塩を含有するサー
    ミスタ薄膜形成剤。
  8. 【請求項8】 炭素数4〜9のカルボン酸銅塩を更に含
    有する請求項7記載のサーミスタ薄膜形成剤。
  9. 【請求項9】 炭素数4〜9のカルボン酸ニッケル塩を
    更に含有する請求項7記載のサーミスタ薄膜形成剤。
  10. 【請求項10】 酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチ
    ル及び酢酸アミルからなる群から選ばれた1種又は2種
    以上の酢酸エステルを更に含有する請求項7ないし9い
    ずれか記載のサーミスタ薄膜形成剤。
  11. 【請求項11】 請求項7〜10のサーミスタ薄膜形成
    剤を基板に塗布し、700〜1000℃で熱処理するこ
    とを特徴とするサーミスタ薄膜の形成方法。
JP02955299A 1998-05-26 1999-02-08 サーミスタ薄膜形成剤の製造方法及びこれを用いたサーミスタ薄膜形成剤及びその薄膜の形成方法 Expired - Fee Related JP3460607B2 (ja)

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