JP3459815B2 - 大麦焼酎蒸留残液から分取した脂肪肝抑制作用を有する組成物及び該組成物の製造方法 - Google Patents

大麦焼酎蒸留残液から分取した脂肪肝抑制作用を有する組成物及び該組成物の製造方法

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JP3459815B2 JP2000271638A JP2000271638A JP3459815B2 JP 3459815 B2 JP3459815 B2 JP 3459815B2 JP 2000271638 A JP2000271638 A JP 2000271638A JP 2000271638 A JP2000271638 A JP 2000271638A JP 3459815 B2 JP3459815 B2 JP 3459815B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は大麦を原料とする焼
酎製造において副成する大麦焼酎蒸留残液を固液分離し
て液体分を得、該液体分にアルカリを添加してアルカリ
可溶性画分を分取し、該アルカリ可溶性画分を酸で中和
して中性可溶性画分を得、該中性可溶性画分にエタノー
ルを添加することにより分取した、有機酸、タンパク
質、及びヘミセルロースを含有するエタノール不溶性画
分からなる脂肪肝抑制作用を有する組成物及びその製造
方法に関する。なお、本発明においていうヘミセルロー
スとは、植物細胞壁を構成する多糖類をアルカリ抽出す
ることにより得られ、該ヘミセルロースはセルロース及
びペクチン質を含まない非セルロース性多糖類を意味す
る。(参照:改訂新版「食物繊維」P19、印南 敏、桐
山 修八著、平成7年5月20日、第一出版株式会社発行)
【0002】
【従来の技術】最近では、食生活の洋風化やライフスタ
イルの変化により引き起こされる多くの生活習慣病が問
題となっており、そのような生活習慣病を引き起こす要
因の一つとして脂肪肝が挙げられている。脂肪肝は、肝
臓の肝細胞中に過剰の中性脂肪が蓄積した状態をいう。
肝臓は、エネルギー源として使うための中性脂肪を作
り、その一部は肝細胞に貯蔵される。しかし、肝細胞に
おいて消費する中性脂肪に比べて貯蔵される中性脂肪が
多い場合、中性脂肪は肝細胞中に蓄積し脂肪肝となる。
脂肪肝は、中性脂肪の原料となる脂肪、糖分、及びアル
コールなどの過剰な摂取、あるいは肥満等が主な原因で
引き起こされると言われている。脂肪肝になると、肝細
胞の中に脂肪滴と呼ばれる脂肪の塊が無数に出来て、こ
れが肝細胞内の他の組織を圧迫し、肝臓の機能障害を引
き起こす原因となる。特にアルコール性の脂肪肝は肝硬
変に進むことがあり、肥満が原因の脂肪肝では、糖尿
病、心筋梗塞、及び動脈硬化を引き起こすこともある。
このように、脂肪肝は食事や飲酒等の生活習慣等が原因
となって起こる病気であり、さらに重大な成人病を引き
起こす要因の一つであると言える。脂肪肝の治療法はそ
の原因によって異なり、肥満による脂肪肝の場合は食事
療法と運動療法が必要である。またアルコール性の脂肪
肝の場合は飲酒量を減らすことが必要である。このよう
に、脂肪肝を治療あるいは予防するためには、日常の食
生活が極めて大きなウエイトを占めていることから、脂
肪肝抑制作用を有する成分を含有する食品を定期的に摂
取することが望ましい。
【0003】近年、各種の穀類から得られた食物繊維
が、脂肪肝の抑制に有効であることが報告されている。
例えば、特開平1−242530号公報には、トウモロコシフ
スマまたは小麦フスマからデンプン質やタンパク質等を
除去し、さらにアルカリ抽出して得られたヘミセルロー
スが、脂肪肝抑制に対して効果がある旨記載されてい
る。特開平5-43470号公報には、トウモロコシフスマか
らデンプン質やタンパク質等を除去し、さらにアルカリ
抽出して得られたヘミセルロースを、更に、キシラナー
ゼで処理して得られるヘミセルロースの部分分解物が、
アルコール性脂肪肝を抑制する旨記載されている。特開
平7-147934号公報及び特開平9-224608号公報には、植物
細胞壁より抽出した多糖類であるキシログルカン及びそ
の酵素分解物が、脂質増加抑制作用を有し、脂肪肝の予
防や治療に有効である旨記載されている。特開平3-2856
53号公報には、オーツ麦または大麦をアルカリ抽出し、
得られた抽出液からタンパク質を除去し、残液にアルコ
ールを加えて沈殿させるか、あるいは残液を脱塩後、乾
燥させて得ることができるβ−グルカンを主成分とする
穀物ガム質が脂質代謝改善作用を有する旨記載されてい
る。特開平4-360835号公報には、穀類、糠、フスマある
いは外皮を有機溶媒で脱脂後、アルカリ抽出した抽出液
を濃縮・脱塩等の精製処理を行うことにより得られるア
ラビノキシランを主成分とする水溶性多糖類がアルコー
ル性肝障害を軽減させる旨記載されている。さらに特開
平10-165120号公報には、大麦糠の60M篩(目開き0.25m
m)通過画分のうち、食物繊維含量が40%以上であり、且
つ総食物繊維量に占めるヘミセルロースの含有率が60%
以上であるものが、コレステロール上昇抑制効果を有す
る旨記載されている。また、日本栄養・食糧学会総会講
演要旨集, vol.52,103 (1998)には、高コレステロール
飼料投与したラットに、大麦フスマを投与して飼育した
ところ該ラットの肝臓のコレステロール及びトリグリセ
リドの濃度が低下した旨報告されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、上述し
た刊行物に食物繊維に含まれる水溶性多糖類が脂肪肝抑
制効果を有する旨記載されていることに注目し、大麦焼
酎を製造する際に副成される大麦焼酎蒸留残液が穀物の
大麦由来のものであることから、該大麦焼酎蒸留残液中
に含まれる大麦由来の水溶性多糖類が脂肪肝の治療に寄
与するのではないかと予測して、実験を介して検討を行
ったところ、驚くべきことに、大麦焼酎蒸留残液から抽
出した、有機酸、タンパク質、及びヘミセルロースを含
有する組成物が優れた脂肪肝抑制作用を有することを見
出し、本発明を完成するに至った。本発明の目的は、従
来、脂肪肝抑制作用を有する水溶性多糖類の製造用原料
として全く使用されることのなかった発酵残渣の一種で
ある大麦焼酎蒸留残液から得られる優れた脂肪肝抑制作
用を有する組成物及びその製造方法を提供することにあ
る。本発明の他の目的は、分子量分布が、分子量10万以
上が微量、分子量3万乃至10万が3%、分子量1万乃至3万
が4%、分子量3000乃至1万が 16%、分子量1000乃至300
0が51%、及び分子量1000以下が26%であり、成分組成
が、有機酸35±3重量%、タンパク質31±3重量%、及びヘ
ミセルロース28±3重量%であり、酸による加水分解に付
して得られた糖組成が、キシロース60乃至70重量%、ア
ラビノース10乃至20重量%、グルコース10乃至15重量%、
ガラクトース0乃至3重量%、及びウロン酸0乃至5重量%で
あることで特定される、優れた脂肪肝抑制作用を有する
組成物を提供することにある。
【0005】本発明者らは、上述した従来技術に鑑みて
実験を介して鋭意検討を行った。即ち、本発明者らは、
後に述べる実験(実験1)を介して、大麦焼酎蒸留残液
を凍結乾燥して得られた粉末にオロチン酸を混和させて
ラットに投与して実験を行った。その結果、該ラットの
肝臓重量、肝臓総脂質濃度、肝臓コレステロール濃度、
及び肝臓トリグリセリド濃度は基本食の正常値に近似し
た値を示し、血清総コレステロール濃度、血清HDL−
コレステロール濃度、血清トリグリセリド濃度、及び血
清リン脂質濃度も基本食の正常値に近似した値を示し、
脂肪肝の発生が抑制されることが判明した。
【0006】さらに、本発明者らは、後に述べる実験
(実験2)を介して、大麦焼酎蒸留残液を遠心分離に付
して液体分と固体分とを分取し、該液体分と該個体分を
それぞれ別々に凍結乾燥に付して液体分の凍結乾燥粉末
及び固体分の凍結乾燥粉末を得、該液体分の凍結乾燥粉
末及び該固体分の凍結乾燥粉末のそれぞれに、実験1と
同様にオロチン酸を混和させてラットに投与して実験を
行った。その結果、肝臓重量、肝臓総脂質濃度、肝臓コ
レステロール濃度、及び肝臓トリグリセリド濃度は、固
体分の凍結乾燥粉末にオロチン酸を混和させたもので顕
著に増加したが、液体分の凍結乾燥粉末にオロチン酸を
混和させたものでは基本食の正常値に近似した値を示し
た。一方、血清総コレステロール濃度、血清HDL−コ
レステロール濃度、血清トリグリセリド濃度、及び血清
リン脂質濃度は、固体分の凍結乾燥粉末にオロチン酸を
混和させたものでは明らかに低下したが、液体分の凍結
乾燥粉末にオロチン酸を混和させたものでは基本食の正
常値に近似した値を示した。すなわち、固体分の凍結乾
燥粉末は脂肪肝の抑制に全く寄与しないが、液体分の凍
結乾燥粉末は脂肪肝の発生を抑制することが判った。
【0007】次に、本発明者らは、後に述べる実験(実
験3)を介して、どのような製造方法で得られた大麦焼
酎蒸留残液において最も脂肪肝抑制作用が認められるか
を明らかにするために、麹歩合を33%、66%及び100%とし
たそれぞれの場合について大麦焼酎の製造を行い、得ら
れた大麦焼酎蒸留残液を、それぞれ別々に遠心分離に付
して液体分を分取し、該液体分をそれぞれ別々に凍結乾
燥に付して液体分の凍結乾燥粉末を得、得られた液体分
の凍結乾燥粉末のそれぞれに、実験1と同様にオロチン
酸を混和させてラットに投与して実験を行った。その結
果、肝臓重量、肝臓総脂質濃度、肝臓コレステロール濃
度、及び肝臓トリグリセリド濃度は、高い麹歩合の大麦
焼酎蒸留残液から得られた液体分の凍結乾燥粉末を投与
したものほど基本食の正常値に近似した値を示した。ま
た、血清総コレステロール濃度、血清HDL−コレステ
ロール濃度、血清トリグリセリド濃度、及び血清リン脂
質濃度も、高い麹歩合の大麦焼酎蒸留残液から得られた
液体分の凍結乾燥粉末を投与したものほど基本食の正常
値に近似した値を示した。これらの結果から、脂肪肝を
人為的に発現させるオロチン酸を含む対照食に麹歩合の
異なる大麦焼酎蒸留残液の液体分の凍結乾燥物を混合し
た場合、高い麹歩合の大麦焼酎蒸留残液から得られた液
体分の凍結乾燥物ほど、脂肪肝を抑制する作用が強いこ
とが明らかとなった。
【0008】そこで、本発明者らは、後に述べる実験
(実験4)を介して、大麦焼酎蒸留残液から得られた液
体分に含まれるどのような成分が脂肪肝抑制効果を示す
かを明らかにするために以下の実験を行った。すなわ
ち、上述の公報に、各種穀物から得られたヘミセルロー
ス、ヘミセルロース部分分解物、キシログルカン及びア
ラビノキシランが、脂肪肝抑制作用、脂質代謝改善作用
及び肝障害軽減作用等を有する旨記載されていることに
鑑みて、大麦焼酎蒸留残液の液体分に含まれている脂肪
肝抑制作用を有する成分は大麦由来のヘミセルロース成
分ではないかと推測し、大麦焼酎蒸留残液の液体分から
常法に従ってヘミセルロースB画分を分画し、該画分の
脂肪肝抑制作用を検討した。即ち、大麦焼酎蒸留残液の
液体分から公知のヘミセルロースB画分の分画方法に従
ってヘミセルロースB画分を分画し、該ヘミセルロースB
画分を凍結乾燥して得られた粉末にオロチン酸を混和さ
せてラットに投与して実験を行った。その結果、該ラッ
トの肝臓重量、肝臓総脂質濃度、肝臓コレステロール濃
度、及び肝臓トリグリセリド濃度は基本食の正常値と実
質的に同等の値を示し、血清総コレステロール濃度、血
清HDL−コレステロール濃度、血清トリグリセリド濃
度、及び血清リン脂質濃度も基本食の正常値と実質的に
同等の値を示し、脂肪肝の発生がほとんど完全に抑制さ
れることが判明した。すなわち、大麦焼酎蒸留残液の液
体分から得たヘミセルロースB画分の凍結乾燥粉末は脂
肪肝の発生をほとんど完全に抑制することが判った。以
上の実験結果から、大麦焼酎蒸留残液の液体分に含まれ
る脂肪肝抑制に寄与する成分は、そのヘミセルロースB
画分中に含まれていることが判明した。これらの事実か
ら、大麦焼酎蒸留残液は脂肪肝抑制に寄与する成分を含
有し、該成分は前記大麦焼酎蒸留残液の液体分から抽出
したヘミセルロースB画分にあることが判明した。
【0009】上述したように本発明者らは、大麦を原料
とする焼酎製造において副成する大麦焼酎蒸留残液を固
液分離して液体分を得、該液体分にアルカリを添加して
アルカリ可溶性画分を分取し、該アルカリ可溶性画分を
酸で中和して中性可溶性画分を得、該中性可溶性画分に
エタノールを添加することにより分取した、有機酸、タ
ンパク質、及びヘミセルロースを含有するエタノール不
溶性画分からなる組成物が脂肪肝抑制作用を有すること
を見い出した。大麦焼酎蒸留残液についてのこの発見
は、今までに全く例のない新事実であり、大麦焼酎蒸留
残液を治療目的で食品或いは医薬として使用できるとい
う大麦焼酎蒸留残液の新規な用途を創出するものであ
る。よって、本発明の主たる目的は,大麦焼酎蒸留残液
について、食品或いは医薬としての用途を提供すること
にある。詳細には、本発明は、大麦焼酎蒸留残液から分
取した脂肪肝抑制作用を有する組成物及びその製造方法
を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、従来、飼料及
び肥料として使用される以外に用途がほとんどなく、多
くの場合、廃棄されていた大麦焼酎蒸留残液について、
それを食品或いは医薬として使用する新たな用途を提供
するものである。本発明者らは、上記課題を達成すべ
く、実験を介して鋭意研究を重ねた結果,大麦を原料と
する焼酎製造において副成する大麦焼酎蒸留残液を固液
分離して液体分を得、該液体分にアルカリを添加してア
ルカリ可溶性画分を分取し、該アルカリ可溶性画分を酸
で中和して中性可溶性画分を得、該中性可溶性画分にエ
タノールを添加することにより分取したエタノール不溶
性画分からなる組成物を得た。該組成物は、有機酸、タ
ンパク質、及びヘミセルロースを含有し、分子量分布
が、分子量10万以上が微量、分子量3万乃至10万が3%、
分子量1万乃至3万が4%、分子量3000乃至1万が 16%、
分子量1000乃至3000が51%、分子量1000以下が26%であ
り、成分組成が、有機酸35±3重量%、タンパク質31±3
重量%、及びヘミセルロース28±3重量%であり、酸によ
る加水分解に付して得られた糖組成が、キシロース60乃
至70重量%、アラビノース10乃至20重量%、グルコース10
乃至15重量%、ガラクトース0乃至3重量%、及びウロン酸
0乃至5重量%であることが判明した。さらに該組成物を
凍結乾燥に付した場合、白色乃至淡褐色で無味無臭の性
状を有することが判明した。そして該組成物は優れた脂
肪肝抑制作用を有することが判明した。本発明はこれら
の判明した事実に基づくものである。本発明は、大麦焼
酎蒸留残液について産業上利用できる新たな用途を提供
するものである。即ち、本発明は、大麦焼酎蒸留残液か
ら分画した脂肪肝抑制作用を有する組成物からなる食品
及び医薬を提供する。本発明はまた、前記組成物の製造
方法を提供する。
【0011】本発明の前記大麦焼酎蒸留残液から分画し
た脂肪肝抑制作用を有する組成物は、大麦を原料とする
焼酎製造において副成する大麦焼酎蒸留残液を固液分離
して液体分を得、該液体分にアルカリを添加してアルカ
リ可溶性画分を分取し、該アルカリ可溶性画分を酸で中
和して中性可溶性画分を得、該中性可溶性画分にエタノ
ールを添加することにより分取したエタノール不溶性画
分からなり、優れた脂肪肝抑制作用を有するものであ
る。本発明の当該組成物は、大麦焼酎蒸留残液につい
て、従来、全く明らかにされていなかった事実、 即
ち、該大麦焼酎蒸留残液が脂肪肝抑制作用を有する成分
を含有し、該脂肪肝抑制作用を有する成分は該大麦焼酎
蒸留残液から分取することが出来、該組成物は食品又は
医薬として使用することが出来るものであるという事実
を本発明者らが明らかにしたことに基づくものであり、
このことは用途の限られていた大麦焼酎蒸留残液につい
て産業上有益な新たな用途をもたらすものである。
【0012】本発明において使用する大麦焼酎蒸留残液
は、代表的には、大麦又は精白大麦を原料として大麦麹
及び蒸麦を製造し、得られた大麦麹及び蒸麦中に含まれ
るでんぷんを該大麦麹の麹により糖化し、それらを酵母
によるアルコール発酵に付して焼酎熟成もろみを得、得
られた焼酎熟成もろみを減圧蒸留または常圧蒸留等の単
式蒸留装置を用いて蒸留する際に蒸留残渣として副成す
るもの、即ち、大麦焼酎の蒸留残液を意味する。
【0013】本発明において、大麦焼酎蒸留残液を得る
に際して、大麦焼酎の製造に用いる大麦麹は、通常の大
麦焼酎製造において行われている製麹条件で製造すれば
よく、用いる麹菌株としては、一般的に大麦焼酎製造で
使用する白麹菌(Aspergilluskawachii)が好ましい。
或いは泡盛製造で使用する黒麹菌(Aspergillus awamor
ii)及び清酒製造等で使用する黄麹(Aspergillus oryza
e)などのAspergillus属の菌株を用いることもできる。
また大麦焼酎の製造に用いる酵母は、一般的に焼酎製造
の際に使用する各種の焼酎醸造用酵母を使用することが
できる。
【0014】本発明において、大麦焼酎の製造における
蒸留工程で得られた大麦焼酎蒸留残液を固液分離して清
澄液を得る第1の工程は、大麦焼酎蒸留残液から原料大
麦、あるいは大麦麹由来の水不溶性の発酵残渣等のSS
分を除去し、液体分を得ることを目的として行うもので
ある。この第1の工程における当該固液分離は、スクリ
ュープレス方式やローラープレス方式の固液分離方法に
よるか、或いはろ過圧搾式の固液分離機を用いて予備分
離を行い、次いで遠心分離機、ケイソウ土ろ過装置、セ
ラミックろ過装置、或いはろ過圧搾機等を用いて本発明
により実施できる本固液分離処理を行う。第1の工程で
得られた前記清澄液にアルカリを添加してアルカリ可溶
性画分を分取する第2の工程においては、適当なアルカ
リを添加することができ、こうしたアルカリとしては,
水酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウ
ム、炭酸ナトリウム等を使用することができる。第2の
工程で得られたアルカリ可溶性画分を酸で中和処理する
ことにより生成する沈殿を除去して中性可溶性画分を得
る第3の工程においては、前記酸として、塩酸、酢酸、
クエン酸等の無機酸又は有機酸を使用することができ
る。第3の工程で得られた中性可溶性画分にエタノール
を添加することによりエタノール不溶性画分を分取する
第4の工程においては、試薬用または工業用のエタノー
ルを使用することができる。なお、前記第4の工程にお
いて得られるエタノール不溶性画分は、有機酸、タンパ
ク質、及びヘミセルロースを含有し、分子量分布が、分
子量10万以上が微量、分子量3万乃至10万が3%、分子量
1万乃至3万が4%、分子量3000乃至1万が 16%、分子量1
000乃至3000が51%、分子量1000以下が26%であり、成
分組成が、有機酸35±3重量%、タンパク質31±3重量%、
及びヘミセルロース28±3重量%であり、酸による加水分
解に付して得られた糖組成が、キシロース60乃至70重量
%、アラビノース10乃至20重量%、グルコース10乃至15重
量%、ガラクトース0乃至3重量%、及びウロン酸0乃至5重
量%であり、さらに該エタノール不溶性画分を凍結乾燥
に付した場合、白色乃至淡褐色で無味無臭の性状を有す
るものである。以下に本発明を完成するにあたり、本発
明者らが行った実験について詳述する。本発明はそれら
の実験において得られた知見に基づいて完成したもので
ある。
【0015】本発明者らは、上述した報告に鑑みて、大
麦焼酎蒸留残液が大麦由来のものであることから、該大
麦焼酎蒸留残液が脂肪肝の治療に寄与するのではないか
と予測して、実験を介して鋭意検討を行った。すなわ
ち、本発明者らは、大麦焼酎蒸留残液を凍結乾燥して得
られた粉末が、脂肪肝抑制効果を有するか否かを明らか
にするために以下の実験1を行った。
【0016】以下の実験1に供する目的で大麦焼酎の製
造を行った。仕込みの割合は表1に示す通りとした。原
料としては、大麦(70%精白)を用いた。
【麹の製造】大麦を40%(w/w)吸水させ、40分間蒸した
後、40℃まで放冷し、大麦トンあたり1kgの種麹(白麹
菌)を接種し、38℃、RH95%で24時間、32℃、RH92%
で20時間保持することにより、大麦麹を製造した。
【蒸麦の製造】大麦を40%(w/w)吸水させ、40分間蒸し
た後、40℃まで放冷することにより、蒸麦を製造した。
【0017】
【大麦焼酎及び大麦焼酎蒸留残液の製造】1次仕込みで
は前述の方法で製造した大麦麹(大麦として3トン)
に、水3.6キロリットル及び酵母として焼酎酵母の培養
菌体1kg(湿重量)を加えて1次もろみを得、得られた1
次もろみを5日間の発酵(1段目の発酵)に付した。次い
で、2次仕込みでは、上記1段目の発酵を終えた1次もろ
みに、水11.4キロリットル、前述の方法で製造した蒸麦
(大麦として7トン)を加えて11日間の発酵(2段目の発
酵)に付した。発酵温度は1次仕込み、2次仕込みとも25
℃とした。上記2段目の発酵を終えた2次もろみを常法に
より単式蒸留に付し、大麦焼酎10キロリットルと大麦焼
酎蒸留残液15キロリットルを得た。得られた大麦焼酎蒸
留残液を真空蒸発装置を用いて約3倍まで濃縮して濃縮
液を得、得られた濃縮液を真空凍結乾燥機を用いて乾燥
し凍結乾燥物を得、得られた凍結乾燥物を以下の実験1
に用いた。
【0018】
【実験1】4週齢Wistar系雄性ラット(日本SLC)を1
群6匹として、一般的に栄養学的実験を行う際の標準食
として使用する基本食を摂取させる基本食群、該基本食
に脂肪肝を人為的に発現させる際に一般的に用いられる
1%オロチン酸を混合した対照食を与える対照食群、及び
該対照食に大麦焼酎蒸留残液の前記凍結乾燥物10%を混
合した試験食を摂取させる試験食群の3群に分け、それ
ぞれの群に表2に示す組成の飼料を水道水と共に14日間
自由摂取させて飼育した。飼育期間終了後、14日間飼育
後の体重増加量、14日間の飼料摂取量を測定し、ラット
を解剖後、心臓から血液を採取し、肝臓を摘出した。採
取した血液は遠心分離して血清を得、得られた血清につ
いて、常法に従って、血清総コレステロール濃度、血清
HDL−コレステロール濃度、血清トリグリセリド濃
度、及び血清リン脂質濃度を測定し、摘出した肝臓につ
いては、その重量、肝臓総脂質濃度、肝臓コレステロー
ル濃度、肝臓トリグリセリド濃度、及び肝臓リン脂質濃
度を測定した。
【0019】血清総コレステロール濃度、血清HDL−
コレステロール濃度、血清トリグリセリド濃度、血清リ
ン脂質濃度肝臓重量、肝臓総脂質濃度、肝臓コレステロ
ール濃度、及び肝臓トリグリセリド濃度の測定結果を表
3に示す。表3に示す結果から以下の事実が判明した。す
なわち,肝臓重量は、対照食群において顕著に増加した
が、試験食群は基本食群が示す正常値に近似した値を示
した。一方、血清総コレステロール濃度、血清HDL−
コレステロール濃度、血清トリグリセリド濃度、及び血
清リン脂質濃度は、対照食群で低下したのに対して、試
験食群では基本食群が示す正常値に近似した値を示し
た。すなわち、脂肪肝を人為的に発現させる1%オロチン
酸を含む対照食に大麦焼酎蒸留残液の凍結乾燥物10%を
混合した試験食は、脂肪肝の発生を抑制することが判明
した。これらの結果から、大麦焼酎蒸留残液は、脂肪肝
を抑制する効果を有していることが明らかとなった。
【0020】さらに、本発明者らは、大麦焼酎蒸留残液
を遠心分離に付して上清の液体分と沈殿の固体分とを分
取し、該液体分と該固体分をそれぞれ別々に凍結乾燥に
付して液体分の凍結乾燥粉末及び固体分の凍結乾燥粉末
を得、得られた液体分の凍結乾燥粉末及び固体分の凍結
乾燥粉末が、それぞれ脂肪肝抑制効果を有するか否かを
明らかにするために以下の実験2を行った。
【0021】
【実験2】4週齢Wistar系雄性ラット(日本SLC)を1
群6匹として、一般的に栄養学的実験を行う際の標準食
として使用する基本食を摂取させる基本食群、該基本食
に脂肪肝を人為的に発現させる際に一般的に用いられる
1%オロチン酸を混合した対照食を与える対照食群、該対
照食に大麦焼酎蒸留残液の凍結乾燥物10%を混合した試
験食Aを摂取させる試験食A群、該対照食に該大麦焼酎
蒸留残液を遠心分離して得られる液体分の凍結乾燥物を
7.3%含む試験食Bを摂取させる試験食B群、及び該対照
食に該大麦焼酎蒸留残液を遠心分離して得られる固体分
の凍結乾燥物を2.7%含む試験食Cを摂取させる試験食C
群、の5群に分け、それぞれの群に表4に示す組成の飼料
を水道水と共に14日間自由摂取させて飼育した。なお、
上記試験食B群及び試験食C群において、該大麦焼酎蒸
留残液を遠心分離して得た液体分及び固体分のそれぞれ
の凍結乾燥物の各試料中における含量は、試験食A群に
おいて飼料に混合した大麦焼酎蒸留残液の凍結乾燥物10
%中のそれぞれの含量に相当する量とした。飼育期間終
了後、14日間飼育後の体重増加量、14日間の飼料摂取量
を測定し、ラットを解剖後、心臓から血液を採取し、肝
臓を摘出した。採取した血液は遠心分離して血清を得、
得られた血清について、常法に従って、血清総コレステ
ロール濃度、血清HDL−コレステロール濃度、血清ト
リグリセリド濃度、及び血清リン脂質濃度を測定し、摘
出した肝臓については、その重量、肝臓総脂質濃度、肝
臓コレステロール濃度、肝臓トリグリセリド濃度、及び
肝臓リン脂質濃度を測定した。
【0022】血清総コレステロール濃度、血清HDL−
コレステロール濃度、血清トリグリセリド濃度、血清リ
ン脂質濃度肝臓重量、肝臓総脂質濃度、肝臓コレステロ
ール濃度、及び肝臓トリグリセリド濃度の測定結果を表
5に示す。表5に示す結果から以下の事実が判明した。す
なわち,肝臓重量は対照食群と試験食C群で増加し、試
験食A群及び試験食B群では基本食群の示す正常値に近
似した値を示した。肝臓総脂質濃度、肝臓コレステロー
ル濃度、及び肝臓トリグリセリド濃度は、対照食群と試
験食C群では顕著に増加したが、試験食A群及び試験食B
群では基本食群の示す正常値に近似した値を示した。一
方、血清総コレステロール濃度、血清HDL−コレステ
ロール濃度、血清トリグリセリド濃度、及び血清リン脂
質濃度は、対照食群と試験食C群では低下したのに対し
て、試験食A群及び試験食B群は基本食群の示す正常値
に近似した値を示した。すなわち、脂肪肝を人為的に発
現させるオロチン酸を含む対照食に大麦焼酎蒸留残液の
凍結乾燥物を混合した試験食A群と該対照食に該大麦焼
酎蒸留残液を遠心分離して得た液体分の凍結乾燥物を混
合した試験食B群においては脂肪肝が顕著に抑制され
た。一方、該対照食に該大麦焼酎蒸留残液を遠心分離し
て得た固体分の凍結乾燥物を混合した試験食C群におい
ては脂肪肝が全く抑制されないことが明らかとなった。
以上の実験結果から、大麦焼酎蒸留残液は脂肪肝抑制に
寄与する成分を含有し、該成分はその液体分中に含まれ
ていることが判明した。
【0023】そこで、どのような製造方法で得られた大
麦焼酎蒸留残液において最も脂肪肝抑制作用が認められ
るかを明らかにするために、麹歩合の異なる製造方法に
より得られた大麦焼酎蒸留残液を用いて、以下の実験3
を行った。
【0024】以下の実験3に供する目的で、麹歩合を33
%、66%、及び100%としたそれぞれの場合について大麦焼
酎の製造を行った。原料としては、大麦(70%精白)を
用いた。
【麹の製造】大麦を40%(W/W)吸水させ、40分間蒸した
後、40℃まで放冷し、大麦トンあたり1kgの種麹(白麹
菌)を接種し、38℃、RH95%で24時間、32℃、RH92%で
20時間保持することにより、大麦麹を製造した。
【蒸麦の製造】大麦を40%(W/W)吸水させ、40分間蒸し
た後、40℃まで放冷することにより、蒸麦を製造した。
【0025】
【麹歩合を33%とした場合の大麦焼酎蒸留残液の取
得】1次仕込みでは前記方法で製造した大麦麹(大麦と
して3トン)に、水3.6キロリットル及び酵母として焼酎
酵母の培養菌体1kg(湿重量)を加えて1次もろみを
得、得られた1次もろみを5日間の発酵(1段目の発酵)
に付した。次いで、2次仕込みでは、上記1段目の発酵を
終えた1次もろみに、水11.4キロリットル、前記方法で
製造した蒸麦(大麦として6トン)を加えて11日間の発
酵(2段目の発酵)に付した。発酵温度は1次仕込み、2
次仕込みとも25℃とした。上記2段目の発酵を終えた2次
もろみを常法により単式蒸留に付し、麹歩合33%の大麦
焼酎10キロリットルと麹歩合33%の大麦焼酎蒸留残液15
キロリットルを得た。
【0026】
【麹歩合を66%とした場合の大麦焼酎蒸留残液の取
得】1次仕込みでは前記方法で製造した大麦麹(大麦と
して3トン)に、水3.6キロリットル及び酵母として焼酎
酵母の培養菌体1kg(湿重量)を加えて1次もろみを
得、得られた1次もろみを5日間の発酵(1段目の発酵)
に付した。次いで、2次仕込みでは、上記1段目の発酵を
終えた1次もろみに、水11.4キロリットル、前記方法で
製造した蒸麦(大麦として3トン)と前記方法で製造し
た大麦麹(大麦として3トン)とを加えて11日間の発酵
(2段目の発酵)に付した。発酵温度は1次仕込み、2次
仕込みとも25℃とした。上記2段目の発酵を終えた2次も
ろみを常法により単式蒸留に付し、麹歩合66%の大麦焼
酎10キロリットルと麹歩合66%の大麦焼酎蒸留残液15キ
ロリットルを得た。
【0027】
【麹歩合100%とした場合の大麦焼酎蒸留残液の取
得】1次仕込みでは前記方法で製造した大麦麹(大麦と
して3トン)に、水3.6キロリットル及び酵母として焼酎
酵母の培養菌体1kg(湿重量)を加えて1次もろみを得、
得られた1次もろみを5日間の発酵(1段目の発酵)に付
した。次いで、2次仕込みでは、上記1段目の発酵を終え
た1次もろみに、水11.4キロリットル、前記方法で製造
した大麦麹(大麦として6トン)とを加えて11日間の発
酵(2段目の発酵)に付した。発酵温度は1次仕込み、2
次仕込みとも25℃とした。上記2段目の発酵を終えた2次
もろみを常法により単式蒸留に付し、麹歩合100%の大麦
焼酎10キロリットルと麹歩合100%の大麦焼酎蒸留残液15
キロリットルを得た。以上、麹歩合を33%、66%、及び10
0%としたそれぞれの場合について、大麦焼酎の製造を行
い、得られたそれぞれの大麦焼酎蒸留残液を用いて以下
の実験3を行った。
【0028】
【実験3】4週齢Wistar系雄性ラット(日本SLC)を1
群6匹として、一般的に栄養学的実験を行う際の標準食
として使用する基本食を摂取させる基本食群、該基本食
に脂肪肝を人為的に発現させる際に一般的に用いられる
1%オロチン酸を混合した対照食を与える対照食群、該対
照食に麹歩合33%で製造した大麦焼酎蒸留残液を遠心分
離して得た液体分の凍結乾燥物10%を混合した試験食A
を摂取させる試験食A群、該対照食に麹歩合66%で製造
した大麦焼酎蒸留残液を遠心分離して得た液体分の凍結
乾燥物10%を混合した試験食Bを摂取させる試験食B
群、及び該対照食に麹歩合100%で製造した大麦焼酎蒸留
残液を遠心分離して得た液体分の凍結乾燥物10%を混合
した試験食Cを摂取させる試験食C群の5群に分け、そ
れぞれの群に表6に示す組成の飼料を水道水と共に14日
間自由摂取させて飼育した。飼育期間終了後、14日間飼
育後の体重増加量、14日間の飼料摂取量を測定し、ラッ
トを解剖後、心臓から血液を採取し、肝臓を摘出した。
採取した血液は遠心分離して血清を得、得られた血清に
ついて、常法に従って、血清総コレステロール濃度、血
清HDL−コレステロール濃度、血清トリグリセリド濃
度、及び血清リン脂質濃度を測定し、摘出した肝臓につ
いては、その重量、肝臓総脂質濃度、肝臓コレステロー
ル濃度、肝臓トリグリセリド濃度、及び肝臓リン脂質濃
度を測定した。
【0029】血清総コレステロール濃度、血清HDL−
コレステロール濃度、血清トリグリセリド濃度、血清リ
ン脂質濃度肝臓重量、肝臓総脂質濃度、肝臓コレステロ
ール濃度、及び肝臓トリグリセリド濃度の測定結果を表
7に示す。表7に示す結果から以下の事実が判明した。す
なわち,肝臓重量、肝臓総脂質濃度、肝臓コレステロー
ル濃度、及び肝臓トリグリセリド濃度は、試験食C群、
試験食B群、試験食A群の順に基本食が示す正常値と実
質的に同等の値か若しくはそれに近似する値を示した。
特に試験食C群は、基本食が示す正常値と実質的に同等
の値を示した。また、血清総コレステロール濃度、血清
HDL−コレステロール濃度、血清トリグリセリド濃
度、及び血清リン脂質濃度も、試験食C群、試験食B
群、試験食A群の順に基本食が示す正常値と同等の値か
若しくはそれに近似する値を示した。特に試験食C群
は、基本食が示す正常値と実質的に同等の値を示した。
これらの結果から、脂肪肝を人為的に発現させるオロチ
ン酸を含む対照食に上述したように異なる麹歩合での大
麦焼酎製造において得られた大麦焼酎蒸留残液の液体分
の凍結乾燥物を混合した場合、高い麹歩合で得られた大
麦焼酎蒸留残液から得られた液体分の凍結乾燥物ほど、
脂肪肝を抑制する作用が強いことが明らかとなった。
【0030】そこで、大麦焼酎蒸留残液から得られた液
体分に含まれるどのような成分に脂肪肝抑制効果が認め
られるかを明らかにするために以下の実験4を行った。
すなわち、大麦焼酎蒸留残液から得られた液体分に含ま
れている脂肪肝抑制作用を有する成分は大麦由来のヘミ
セルロース成分ではないかと推測し、大麦焼酎蒸留残液
から得られた液体分から常法に従って以下に示すヘミセ
ルロースB画分を分画し、該画分の脂肪肝抑制作用を検
討した。
【大麦焼酎蒸留残液液体分からのヘミセルロースB画分
の取得】以下の実験4に供する目的で、大麦焼酎蒸留残
液から得られた液体分から常法に従って以下に示すヘミ
セルロースB画分を分画した。即ち、大麦焼酎蒸留残液
を8000rpm,10minの条件で遠心分離して大麦焼酎蒸留残
液の液体分5Lを得、該大麦焼酎蒸留残液の液体分5Lに
終濃度が2(wt/vol)%になるように水酸化カルシウムを加
え、これを攪拌しながら60℃で2時間保持し、1N塩酸を
用いてpH7に調整後、8000rpm,10minの条件で遠心分離し
て液体分を得、得られた液体分に4倍容量のエタノール
を加え、8000rpm,10minの条件で遠心分離してエタノー
ル不溶性画分を分取し、該エタノール不溶性画分を凍結
乾燥に付すことによりヘミセルロースB画分62gを得、
該ヘミセルロースB画分を以下の実験4に用いた。
【実験4】4週齢Wistar系雄性ラット(日本SLC)を1
群6匹として、一般的に栄養学的実験を行う際の標準食
として使用する基本食を摂取させる基本食群、該基本食
に脂肪肝を人為的に発現させる際に一般的に用いられる
1%オロチン酸を混合した対照食を与える対照食群、該対
照食に該大麦焼酎蒸留残液液体分の凍結乾燥物を10%含
む試験食Aを摂取させる試験食A群、及び該対照食に大
麦焼酎蒸留残液液体分から得たヘミセルロースB画分の
凍結乾燥物10%を混合した試験食Bを摂取させる試験食B
群の4群に分け、それぞれの群に表8に示す組成の飼料を
水道水と共に14日間自由摂取させて飼育した。飼育期間
終了後、14日間飼育後の体重増加量、14日間の飼料摂取
量を測定し、ラットを解剖後、心臓から血液を採取し、
肝臓を摘出した。採取した血液は遠心分離して血清を
得、得られた血清について、常法に従って、血清総コレ
ステロール濃度、血清HDL−コレステロール濃度、血
清トリグリセリド濃度、及び血清リン脂質濃度を測定
し、摘出した肝臓については、その重量、肝臓総脂質濃
度、肝臓コレステロール濃度、肝臓トリグリセリド濃
度、及び肝臓リン脂質濃度を測定した。
【0031】血清総コレステロール濃度、血清HDL−
コレステロール濃度、血清トリグリセリド濃度、血清リ
ン脂質濃度肝臓重量、肝臓総脂質濃度、肝臓コレステロ
ール濃度、及び肝臓トリグリセリド濃度の測定結果を表
9に示す。表9に示す結果から以下の事実が判明した。肝
臓重量は対照食群で増加し、試験食群では基本食の正常
値と実質的に同等の値を示した。肝臓総脂質濃度、肝臓
コレステロール濃度、及び肝臓トリグリセリド濃度は、
対照食群では顕著に増加したが、試験食群では基本食の
正常値と実質的に同等の値,又は該正常値よりも低い値
を示した。一方、血清総コレステロール濃度、血清HD
L−コレステロール濃度、血清トリグリセリド濃度、及
び血清リン脂質濃度は、対照食群が低下したのに対し
て、試験食群は基本食の正常値と実質的に同等の値を示
した。すなわち、脂肪肝を人為的に発現させるオロチン
酸を含む対照食に該大麦焼酎蒸留残液液体分から得たヘ
ミセルロースB画分の凍結乾燥物を混合した試験食群に
おいては脂肪肝が完全に抑制された。以上の実験結果か
ら、大麦焼酎蒸留残液液体分に含まれる脂肪肝抑制に寄
与する成分は、そのヘミセルロースB画分中に含まれて
いることが判明した。
【0032】そこで脂肪肝抑制効果を有することが判明
した大麦焼酎蒸留残液液体分のヘミセルロースB画分の
成分組成を下記の方法により測定した。
【ヘミセルロースB画分の成分組成の分析】前記ヘミセ
ルロースB画分の凍結乾燥物は、該凍結乾燥物を得るに
際して、上述したように液体分に2(wt/vol)% 水酸化カ
ルシウムを添加処理した後、1N塩酸を用いてpH7に調整
するため、この中和処理の際に生成した塩を含有する。
そこで、前記ヘミセルロースB画分の凍結乾燥物の水溶
液を得、該水溶液を脱塩処理に付した後、有機酸につい
ては常法のHPLC法、タンパク質についてはケルダール
法、ヘミセルロースについてはP.J. Van Soestらの方法
[Proc.Nutr. Soc., 32,123(1973)]、水分については常
圧加熱乾燥法によりそれぞれ測定した。前記ヘミセルロ
ースB画分の成分組成の分析結果を表10に示す。表10に
示した結果から明らかなように、前記ヘミセルロースB
画分は、有機酸35±3重量%、タンパク質31±3重量%、及
びヘミセルロース28±3重量%を含有することが明らかと
なった。以上のことから、本発明の前記ヘミセルロース
B画分からなる組成物は、ヘミセルロースと同程度、若
しくはそれ以上の量の有機酸を含有することが判明し
た。なお、従来公知の肝機能改善作用を有する水溶性多
糖類を主たる成分とする組成物、即ち、特開平4-360835
号公報に記載のアルコール性肝障害軽減物質、特開平3-
285653号公報に記載の脂質代謝改善物、特開平1-242530
号公報に記載のヘミセルロース、特開平5-43470号公報
に記載のヘミセルロース部分分解物、特開平7-147934号
公報及び特開平9-224608号公報に記載のキシログルカン
及びその酵素分解物は、これら公報の記載内容からして
いずれも有機酸を全く含有しないものである。この点
で、本発明の前記ヘミセルロースB画分からなる組成物
は、従来公知の肝機能改善作用を有する水溶性多糖類を
主たる成分とする組成物とは明らかに異なるものである
ことは明白である。ところで、上述のように、前記成分
組成を測定するに際しては脱塩処理に付した後のヘミセ
ルロースB画分を試料に使用したが、同試料を用いて前
記実験4と同様の試験を行ったところ、脱塩処理に付す
前のヘミセルロースB画分を用いた前記実験4の場合と同
様で優れた脂肪肝抑制効果が認められた。
【0033】また、脂肪肝抑制効果を有することが判明
した大麦焼酎蒸留残液液体分のヘミセルロースB画分に
含まれるヘミセルロースについてその糖組成を下記の方
法により測定した。
【0034】
【ヘミセルロースB画分に含まれるヘミセルロースの糖
組成の分析】前記実験4において使用した大麦焼酎蒸留
残液液体分から得たヘミセルロースB画分の凍結乾燥物
0.05gにイオン交換水1mlを加えて溶解し、これに濃塩酸
200μlを加えて、95℃、4時間の条件で加水分解を行
い、0.80μmのメンブランフィルターでろ過してろ液を
得、該ろ液を高速液体クロマトグラフに注入して、該ヘ
ミセルロースB画分に含まれるヘミセルロースの糖組成
を求めた。高速液体クロマトグラフ分析は、Waters製Wa
ters600を用い、検出器に昭和電工株式会社製示差屈折
計RI-71を使用し、カラムはBioRad社製Aminex HPX-87H
(300mm×7.8mm)を使用した。カラム温度は60℃とし、移
動相には5mM硫酸を用い、流量は0.5ml/min、試料注入量
は20μlとした。
【0035】前記実験4において使用した大麦焼酎蒸留
残液液体分から得たヘミセルロースB画分に含まれるヘ
ミセルロースの糖組成の分析結果を表11に示す。表11に
示した結果から明らかなように、本発明の大麦焼酎蒸留
残液液体分から得たヘミセルロースB画分に含まれるヘ
ミセルロースの糖組成は、キシロース60乃至70重量%、
アラビノース10乃至20重量%、グルコース10乃至15重量%
を含有し、さらにガラクトース0乃至3重量%及びウロン
酸0乃至5重量%であった。また、キシロース含量に対す
るアラビノース含量の比は0.15乃至0.3であった。一
方、従来公知の肝機能改善作用を有する水溶性多糖類を
主たる成分とする組成物の糖組成に関しては以下のこと
が知られている。即ち、特開平4-360835号公報には、ア
ラビノキシランを有効成分とするアルコール性肝障害軽
減物質の糖組成は、キシロース25乃至45重量%、アラビ
ノース20乃至35重量%、グルコース1乃至10重量%、ウロ
ン酸1乃至7重量%、ガラクトース0.5乃至3重量%、マンノ
ース(微量)である旨記載されている。また、特開平3-
285653号公報には、穀物ガム質を有効成分とする脂質代
謝改善物の糖組成は、キシロース2乃至15重量%、アラビ
ノース2乃至15重量%、グルコース70重量%以上、ウロン
酸微量、ガラクトース微量、マンノース微量である旨記
載されている。また、肝機能改善作用の有無については
不明である従来公知の水溶性多糖類を主たる成分とする
組成物の糖組成に関しても以下のことが知られている。
即ち、特開平5-112455号公報には、アラビノキシランを
主成分とする大腸癌抑制剤の糖組成は、キシロース25乃
至45重量%、アラビノース20乃至35重量%、グルコース1
乃至10重量%以上、ウロン酸1乃至7重量%以上、ガラクト
ース0.5乃至3重量%以上、マンノース微量である旨記載
されている。特開平10-237107号公報には、イネ科植物
細胞壁由来のアラビノキシランを主な成分とする乳化力
の優れた水溶性多糖類の糖組成は、キシロース/アラビ
ノース重量比が2.1/1乃至1.9/1である旨記載されてい
る。特開平9-23895号公報には、水溶性多糖体を主成分
とする免疫力増強物質の糖組成は、キシロース54重量
%、アラビノース22重量%、グルコース6重量%、ウロン酸
1乃至7重量%、ガラクトース5重量%、マンノース8重量
%、その他の糖5重量%、又はキシロース48重量%、アラビ
ノース26重量%、グルコース6重量%、ガラクトース7重量
%、マンノース9重量%、その他の糖4重量%である旨記載
されている。
【0036】以上述べたことから明らかなように、本発
明の大麦焼酎蒸留残液液体分から得た脂肪肝抑制作用を
有する組成物に含まれる上記糖組成を有するヘミセルロ
ースは、従来の各種穀物から得られるそれぞれの水溶性
多糖類の糖組成に比べてキシロースの含有割合が極めて
高く、該各種穀物から得られるそれぞれの水溶性多糖類
とは明らかに異なる糖組成を有していることが判明し
た。ところで、特開平6-217761号公報には、水溶性アラ
ビノキシランを有効成分とする腸内有用菌増殖促進剤の
糖組成は、キシロース:アラビノースの比率が1:0.32と
記載されており、この値は上述した本発明の大麦焼酎蒸
留残液液体分から得た脂肪肝抑制作用を有する組成物に
含まれるヘミセルロースのキシロース:アラビノースの
比率1:0.15乃至1:0.3と近似するものである。そこで、
前記ヘミセルロースB画分の分子量分布を測定し、該分
子量分布を前記腸内有用菌増殖促進剤の分子量分布と比
較した。
【0037】
【ヘミセルロースB画分の分子量分布の測定】昭和電工
株式会社製のShodex standard P-82(分子量1300乃至16
60000)、及びマルトトリオース(分子量504)から成る
分子量標準品をそれぞれ別々に0.1mol /L硝酸ナトリウ
ム溶液に溶解して0.05W/V%濃度の標準液を得、該標準液
を高速液体クロマトグラフに注入して検量線を作成し
た。次に、前記実験4において使用した大麦焼酎蒸留残
液液体分から得たヘミセルロースB画分の凍結乾燥物0.0
2gを用意し、これに0.1mol /L硝酸ナトリウム溶液10ml
を加え、室温で一晩放置した後、孔径0.45μmのメンブ
ランフィルターでろ過してろ液を得、該ろ液を高速液体
クロマトグラフに注入して、システムインスツルメンツ
株式会社製480データステーションGPCプログラムを用い
て分子量分布を求めた。高速液体クロマトグラフ分析
は、昭和電工株式会社製Shodex GPC SYSTEM-21 を用
い、検出器に昭和電工株式会社製示差屈折計RI-71Sを使
用し、カラムは東ソー株式会社製TSKgelGMPWXL(φ7.8mm
×300mm)を2本連結して使用した。カラム温度は40℃と
し、移動相には0.1mol / L硝酸ナトリウム溶液を用い、
流量は1.0ml/min、試料注入量は100μlとした。
【0038】前記ヘミセルロースB画分の分子量分布の
測定結果を表12に示す。表12に示した結果から明らかな
ように、該ヘミセルロースB画分は、分子量10万以上が
微量、分子量3万乃至10万が3%、分子量1万乃至3万が4
%、分子量3000乃至1万が16%、分子量1000乃至3000が51
%、分子量1000以下が26%である分子量分布を有するもの
である。一方、従来公知の肝機能改善作用を有する水溶
性多糖類を主たる成分とする組成物の分子量に関しては
以下のことが記載されている。即ち、特開平4-360835号
公報には、アラビノキシランを有効成分とするアルコー
ル性肝障害軽減物質は重量平均分子量が約10 万以上で
ある旨記載されており、特開平3-285653号公報には、穀
物ガム質を有効成分とする脂質代謝改善物は重量平均分
子量が10万乃至100万である旨記載されている。また、
特開平5-112455号公報には、アラビノキシランを主成分
とする大腸癌抑制剤は、重量平均分子量が約10万以上で
あると記載されており、特開平10-237107号公報には、
イネ科植物細胞壁由来のアラビノキシランを主な成分と
する乳化力の優れた水溶性多糖類は、重量平均分子量が
1万乃至100万であると記載されている。更に特開平9-23
895号公報には、水溶性多糖体を主成分とする免疫力増
強物質は平均分子量が60万または65万であると記載され
ている。
【0039】以上述べたことから明らかなように、本発
明の大麦焼酎蒸留残液液体分から得た、有機酸、タンパ
ク質、及びヘミセルロースを含有するヘミセルロースB
画分は、分子量1000乃至3000を主たる成分とするもので
あり(表12参照)、該ヘミセルロースB画分は、上述
の特開平4-360835号公報、特開平3-285653号公報、特開
平5-112455号公報及び特開平10-237107号公報に記載の
それぞれの水溶性多糖類に比べて明らかに小さい分子量
のものである。そして該ヘミセルロースB画分は該ヘミ
セルロースと同程度又はそれ以上の量の有機酸及びタン
パク質を含有する。このことから、該ヘミセルロースB
画分は前記各公報に記載のそれぞれの水溶性多糖類とは
明らかに別異のものであることは明白である。なお、単
なる「分子量分布」の観点では、特開平6-217761号公報
に記載の水溶性アラビノキシランを有効成分とする腸内
有用菌増殖促進剤は分子量が1500乃至7000であり、当該
分子量範囲1500乃至7000は本発明の組成物の主たる成分
である分子量範囲1000乃至3000と一部重複するかのよう
にも思える。しかしながら、前記特開平6-217761号公報
に記載の腸内有用菌増殖促進剤は本発明の組成物のよう
に特に有機酸は全く含有しない水溶性アラビノキシラン
を主たる成分とする水溶性多糖類である。一方、該ヘミ
セルロースB画分は、ヘミセルロースと同程度又はそれ
以上の有機酸及びタンパク質を含有する組成物である。
この点で前記腸内有用菌増殖促進剤の分子量1500乃至70
00と、該ヘミセルロースB画分の分子量範囲1000乃至300
0を単純に比較することはできない。そして、後述の試
験例2において明らかなように、本発明の前記ヘミセル
ロースB画分からなる組成物が有する脂肪肝抑制効果
は、前記特開平6-217761号公報に記載の腸内有用菌増殖
促進剤が有する脂肪肝抑制効果と比較して極めて高い。
このことから前記ヘミセルロースB画分は、該腸内有用
菌増殖促進剤とは明らかに別異のものである。以上のこ
とから、本発明において大麦焼酎蒸留残液液体分から得
られる、有機酸、タンパク質、及びヘミセルロースを含
有する脂肪肝抑制作用を有する組成物は、上述した公報
に記載の穀物由来の水溶性多糖類とは、成分組成、糖組
成、分子量分布及び脂肪肝抑制効果の観点からして明ら
かに区別される別異のものであることが判明した。
【発明の実施の形態】
【0040】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明
するが,本発明はこれらの実施例によって何ら限定され
るものではない。
【0041】以下の実施例に供する目的で、麹歩合が10
0%の大麦焼酎の製造を行った。原料としては、大麦(70
%精白)を用いた。
【麹の製造】:大麦を40%(w/w)吸水させ、40分間蒸した
後、40℃まで放冷し、大麦トンあたり1kgの種麹(白麹
菌)を接種し、38℃、RH95%で24時間、32℃、RH92%で20
時間保持することにより、大麦麹を製造した。
【0042】
【大麦焼酎及び大麦焼酎蒸留残液の製造】:1次仕込み
では前記方法で製造した大麦麹(大麦として3トン)
に、水3.6キロリットル及び酵母として焼酎酵母の培養
菌体1kg(湿重量)を加えて1次もろみを得、得られた1
次もろみを5日間の発酵(1段目の発酵)に付した。次い
で、2次仕込みでは、上記1段目の発酵を終えた1次もろ
みに、水11.4キロリットル、前記方法で製造した大麦麹
(大麦として6トン)とを加えて11日間の発酵(2段目の
発酵)に付した。発酵温度は1次仕込み、2次仕込みとも
25℃とした。上記2段目の発酵を終えた2次もろみを常法
により単式蒸留に付し、麹歩合100%の大麦焼酎10キロ
リットルと麹歩合100%の大麦焼酎蒸留残液15キロリッ
トルを得た。得られた大麦焼酎蒸留残液を以下の実施例
に用いた。
【0043】
【実施例1】大麦焼酎製造の蒸留工程で得られた前記大
麦焼酎蒸留残液を8000rpm,10minの条件で遠心分離して
大麦焼酎蒸留残液液体分5Lを得、該大麦焼酎蒸留残液
液体分5Lに終濃度が2(wt/vol)% になるように水酸化カ
ルシウムを加え、これを攪拌しながら60℃で2時間保持
し、1N塩酸を用いてpH7に調整後、8000rpm,10minの条件
で遠心分離して液体分を得、得られた液体分に4倍容量
のエタノールを加え、8000rpm,10minの条件で遠心分離
してエタノール不溶性画分を分取し、該エタノール不溶
性画分を真空凍結乾燥機を用いて凍結乾燥に付し、得ら
れた凍結乾燥物62gを粉砕したところ白色乃至淡褐色で
無味無臭の性状を有する組成物が得られた。該組成物
は、分子量分布が、分子量10万以上が微量、分子量3万
乃至10万が3%、分子量1万乃至3万が4%、分子量3000乃
至1万が 16%、分子量1000乃至3000が51%、分子量1000
以下が26%であり、成分組成が、有機酸35±3重量%、タ
ンパク質31±3重量%、及びヘミセルロース28±3重量%で
あり、酸による加水分解に付して得られた糖組成が、キ
シロース60乃至70重量%、アラビノース10乃至20重量%、
グルコース10乃至15重量%、ガラクトース0乃至3重量%、
及びウロン酸0乃至5重量%であることが判明した。
【0044】実施例1で得られた本発明の組成物を以下
の試験例1に供し、該組成物の脂肪肝抑制作用を評価し
た。
【試験例1】本発明の組成物が有するオロチン酸投与に
よる脂肪肝に対する抑制効果を明らかにするために以下
の試験例1を行った。即ち、4週齢Wistar系雄性ラット
(日本SLC)を1群6匹として、一般的に栄養学的実験
を行う際の標準食として使用する基本食を摂取させる基
本食群、該基本食に脂肪肝を人為的に発現させる際に一
般的に用いられる1%オロチン酸を混合した対照食を与
える対照食群、該対照食に本発明の組成物2%を混合し
た試験食を摂取させる試験食群、の3群に分け、それぞ
れの群に表13に示す組成の飼料を水道水と共に14日間自
由摂取させて飼育した。飼育期間終了後、14日間飼育後
の体重増加量、14日間の飼料摂取量を測定し、ラットを
解剖後、心臓から血液を採取し、肝臓を摘出した。採取
した血液は遠心分離して血清を得、得られた血清につい
て、常法に従って、血清総コレステロール濃度、血清H
DL−コレステロール濃度、血清トリグリセリド濃度、
及び血清リン脂質濃度を測定し、摘出した肝臓について
は、その重量、肝臓総脂質濃度、肝臓コレステロール濃
度、肝臓トリグリセリド濃度、及び肝臓リン脂質濃度を
測定した。
【0045】
【評価1】血清総コレステロール濃度、血清HDL−コ
レステロール濃度、血清トリグリセリド濃度、血清リン
脂質濃度肝臓重量、肝臓総脂質濃度、肝臓コレステロー
ル濃度、及び肝臓トリグリセリド濃度の測定結果を表14
に示す。表14に示す結果から以下の事実が判明した。肝
臓重量は対照食群で増加し、試験食群では基本食の正常
値と実質的に同等の値を示した。肝臓総脂質濃度、肝臓
コレステロール濃度、及び肝臓トリグリセリド濃度は、
対照食群では顕著に増加したが、試験食群では基本食の
正常値と実質的に同等の値,又は該正常値よりも低い値
を示した。一方、血清総コレステロール濃度、血清HD
L−コレステロール濃度、血清トリグリセリド濃度、及
び血清リン脂質濃度は、対照食群が低下したのに対し
て、試験食群は基本食の正常値と実質的に同等の値を示
した。すなわち、脂肪肝を人為的に発現させるオロチン
酸を含む対照食に該大麦焼酎蒸留残液液体分から得た本
発明の組成物を混合した試験食群においては脂肪肝が完
全に抑制された。この結果から、脂肪肝を人為的に発現
させるオロチン酸を含む対照食に本発明の組成物を混合
した試験食群においては、オロチン酸を含まない前記基
本食群との違いを見出すことが困難なほど脂肪肝が完全
に抑制されていることが明らかとなった。
【0046】以上、試験例1の結果から明らかなよう
に、本発明の大麦焼酎蒸留残液から得られる、有機酸、
タンパク質及びヘミセルロースを含有する脂肪肝抑制作
用を有する組成物は、オロチン酸投与による脂肪肝を完
全に抑制することが判明した。
【0047】本発明の組成物のオロチン酸投与による脂
肪肝に対する抑制効果と、従来公知の脂肪肝改善作用を
有する水溶性多糖類のオロチン酸投与による脂肪肝に対
する抑制効果とを比較するために以下の試験例2を行っ
た。まず、従来公知の脂肪肝改善作用を有する各種の水
溶性多糖類を下記の方法に従って調製した。
【0048】
【水溶性多糖類の調製】1. 脂肪肝抑制物質(特開平1
-242530号公報)の調製 特開平1-242530号公報に記載の小麦フスマヘミセルロー
スからなる脂肪肝抑制物質を以下の方法で調製した。即
ち、市販の小麦フスマを蒸留水にて攪拌洗浄後、30メッ
シュにて篩別して調製小麦フスマを得、該調製小麦フス
マ3kgに、2%の水酸化カルシウムを添加した30Lの水を加
え、80℃で5時間加熱して抽出液を得、該抽出液を5000r
pm、10分の条件で遠心分離して液体分を得、該液体分を
硫酸を用いてpH7に調整後、濾過脱色し、分画分子量10
万の限外濾過膜を用いて分子量10万以下の画分を除去し
て脱塩濃縮後、凍結乾燥して小麦フスマヘミセルロース
からなる脂肪肝抑制物質171gを得た。 2. アルコール性肝障害軽減物質(特開平4-360835号
公報)の調製 特開平4-360835号公報に記載の米糠由来のアラビノキシ
ランを有効成分とするアルコール性肝障害軽減物質を以
下の方法で調製した。即ち、脱脂米糠10kgに、約90℃の
熱水50Lと熱安定性アミラーゼ100gを加え、ミキサーで
攪拌後、糊化して水溶液中に遊離した澱粉を5000rpm、1
0分の条件で遠心分離し残渣を得、該残渣5kgに2%水酸化
カルシウム溶液25Lを加え、60℃で2時間攪拌抽出して抽
出液を得、該抽出液に塩酸を加えてpH7に調整後、5000r
pm、10分、次に7200rpm、10分の条件で遠心分離を行い
分離液を得、該分離液を分画分子量10万の限外濾過膜を
用いて分子量10万以下の画分を除去して脱塩濃縮後、凍
結乾燥してアラビノキシランを有効成分とするアルコー
ル性肝障害軽減物質327gを得た。 3. アルコール性脂肪肝抑制物質(特開平5-43470号公
報)の調製 特開平5-43470号公報に記載のトウモロコシフスマから
得られたヘミセルロースの部分分解物を主成分とするア
ルコール性脂肪肝抑制物質として「セルエース」(商品
名、日本食品化工株式会社製)をそのまま使用した。 4. 脂質代謝改善物(特開平3-285653号公報)の調製 特開平3-285653号公報に記載の大麦由来β−グルカンを
主成分とする脂質代謝改善物を以下の方法で調製した。
即ち、精白大麦粉(精白歩留73%)6kgに蒸留水30Lを加
え、炭酸ナトリウム20%溶液を添加してpH10に調整後、4
5℃にて30分間攪拌抽出して抽出液を得、該抽出液を600
0rpm、10分の条件で遠心分離して液体分1及び残渣を回
収し、該残渣は前記方法を用いてさらに2回抽出して液
体分2を得、前記液体分1に該液体分2を加えて抽出液を
得、該抽出液に2M塩酸を加えpH4.5に調整し、17000G、1
0分の条件で遠心分離を行い上澄液を得、該上澄液をロ
ータリーエバポレーターを用いて1/5量まで減圧濃縮
後、4 倍量のエタノールを加えて固体分を得、該固体分
をエタノール10Lで洗浄し、通風乾燥後、粉砕して大麦
由来β−グルカンを主成分とする脂質代謝改善物165gを
得た。 5. 腸内有用菌増殖促進剤(特開平6-217761 号公報)
の調製 特開平6-217761 号公報に記載の小麦フスマ由来の水溶
性アラビノキシランを有効成分とする腸内有用菌増殖促
進剤を以下の方法で調製した。即ち、小麦フスマ4kgを
水洗して水洗小麦フスマを得、該水洗小麦フスマ5kgに
水10Lを加えて混合後、120℃、2.1気圧で10分間加熱処
理後、温度を50℃にして、植物細胞壁分解酵素(商品名
「セルラーゼオノズカRS」、株式会社ヤクルト本社製)
10gを加えて、10分間保持後、直ちに煮沸して酵素を失
活させ、10000G、10分の条件で遠心分離を行い液体分を
得、該液体分液を凍結乾燥して小麦フスマ由来の水溶性
アラビノキシランを有効成分とする腸内有用菌増殖促進
剤622gを得た。
【0049】
【試験例2】4週齢Wistar系雄性ラット(日本SLC)を
1群6匹として、一般的に栄養学的実験を行う際の標準食
として使用する基本食を摂取させる基本食群、該基本食
に脂肪肝を人為的に発現させる際に一般的に用いられる
1%オロチン酸を混合した対照食を与える対照食群、該
対照食に本発明の組成物2%を混合した試験食を摂取さ
せる試験食群、該対照食に特開平1-242530号公報に記載
の前記脂肪肝抑制物質2%を混合した比較食Aを摂取させ
る比較食A群、該対照食に特開平4-360835号公報に記載
の前記アルコール性肝障害軽減物質2%を混合した比較
食Bを摂取させる比較食B群、該対照食に特開平5-43470
号公報に記載のアルコール性脂肪肝抑制物質2%を混合
した比較食Cを摂取させる比較食C群、該対照食に特開平
3-285653号公報に記載の前記脂質代謝改善物2%を混合
した比較食Dを摂取させる比較食D群、該対照食に特開平
6-217761号公報に記載の 前記腸内有用菌増殖促進剤2%
を混合した比較食を摂取させる比較食E群、の8群に分
け、それぞれの群に表15に示す組成の飼料を水道水と共
に14日間自由摂取させて飼育した。飼育期間終了後、14
日間飼育後の体重増加量、14日間の飼料摂取量を測定
し、ラットを解剖後、心臓から血液を採取し、肝臓を摘
出した。採取した血液は遠心分離して血清を得、得られ
た血清について、常法に従って、血清総コレステロール
濃度、血清HDL−コレステロール濃度、血清トリグリ
セリド濃度、及び血清リン脂質濃度を測定し、摘出した
肝臓については、その重量、肝臓総脂質濃度、肝臓コレ
ステロール濃度、肝臓トリグリセリド濃度、及び肝臓リ
ン脂質濃度を測定した。
【0050】
【評価2】血清総コレステロール濃度、血清HDL−コ
レステロール濃度、血清トリグリセリド濃度、血清リン
脂質濃度肝臓重量、肝臓総脂質濃度、肝臓コレステロー
ル濃度、及び肝臓トリグリセリド濃度の測定結果を表16
に示す。表16に示す結果から以下の事実が判明した。肝
臓重量は試験食群では基本食の正常値と実質的に同等の
値を示したのに対して、比較食A群乃至比較食E群はいず
れも基本食の正常値と実質的に同等の値を示さなかっ
た。肝臓総脂質濃度、肝臓コレステロール濃度、及び肝
臓トリグリセリド濃度は、試験食群では基本食の正常値
と実質的に同等の値,又は該正常値よりも低い値を示し
たが、比較食A群乃至比較食E群はいずれも基本食の正常
値と実質的に同等の値を示さなかった。一方、血清総コ
レステロール濃度、血清HDL−コレステロール濃度、
血清トリグリセリド濃度、及び血清リン脂質濃度は、試
験食群は基本食の正常値と実質的に同等の値を示したの
に対して、比較食A群乃至比較食E群はいずれも基本食の
正常値と実質的に同等の値を示さなかった。すなわち、
脂肪肝を人為的に発現させるオロチン酸を含む対照食に
該大麦焼酎蒸留残液液体分から得た本発明の組成物を混
合した試験食群が脂肪肝を完全に抑制したのに対して、
公知の脂肪肝改善作用を有する水溶性多糖類はいずれも
脂肪肝を完全に抑制するには至らなかった。上記結果か
ら、本発明の組成物は、従来公知の脂肪肝改善作用を有
する各種の水溶性多糖類よりも明らかに優れた脂肪肝抑
制作用を有する脂肪肝抑制作用を有する組成物であるこ
とが判明した。
【0051】
【発明の効果】以上、詳述したように本発明の大麦を原
料とする焼酎製造において副成する大麦焼酎蒸留残液を
固液分離して液体分を得、該液体分にアルカリを添加し
てアルカリ可溶性画分を分取し、該アルカリ可溶性画分
を酸で中和して中性可溶性画分を得、該中性可溶性画分
にエタノールを添加することにより分取した、有機酸、
タンパク質、及びヘミセルロースを含有するエタノール
不溶性画分からなる組成物を用いた場合、脂肪肝の著し
い抑制効果を得ることが出来る。
【0052】
【表1】
【0053】
【表2】
【0054】
【表3】
【0055】
【表4】
【0056】
【表5】
【0057】
【表6】
【0058】
【表7】
【0059】
【表8】
【0060】
【表9】
【0061】
【表10】
【0062】
【表11】
【0063】
【表12】
【0064】
【表13】
【0065】
【表14】
【0066】
【表15】
【0067】
【表16】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宮本 安紀子 大分県大分市松ヶ丘62−18 (72)発明者 萩原 美和子 大分県大野郡三重町大字管生1−118 (56)参考文献 特開 平1−242530(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A23L 1/29 - 1/308 A61K 35/78 A61P 1/16 C12F 3/10 BIOSIS(DIALOG)

Claims (14)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】大麦を原料とする焼酎製造において副成す
    る大麦焼酎蒸留残液を固液分離して液体分を得、該液体
    分にアルカリを添加してアルカリ可溶性画分を分取し、
    該アルカリ可溶性画分を酸で中和して中性可溶性画分を
    得、該中性可溶性画分にエタノールを添加することによ
    り分取した、有機酸、タンパク質、及びヘミセルロース
    を含有し、且つ下記の分子量分布及び成分組成を有する
    エタノール不溶性画分からなる脂肪肝抑制作用を有する
    組成物。 (a)分子量分布: 分子量10万以上 微量 3万乃至10万 3% 1万乃至3万 4% 3000乃至1万 16% 1000乃至3000 51% 1000以下 26% (b)成分組成:有機酸35±3重量%、タンパク質31±3
    重量%、及びヘミセルロース28±3重量%.
  2. 【請求項2】前記有機酸は、クエン酸、リンゴ酸、コハ
    ク酸及び乳酸からなり、前記タンパク質は、ペプチド及
    びアミノ酸を包含するものである請求項1に記載の脂肪
    肝抑制作用を有する組成物。
  3. 【請求項3】前記ヘミセルロースは、キシロース60乃至7
    0重量%、アラビノース10乃至20重量%、グルコース10乃
    至15重量%、ガラクトース0乃至3重量%、及びウロン酸0
    乃至5重量%の糖組成を有するものである請求項1に記載
    の脂肪肝抑制作用を有する組成物。
  4. 【請求項4】前記組成物は、前記エタノール不溶性画分
    の凍結乾燥粉末からなるものである請求項1に記載の脂
    肪肝抑制作用を有する組成物。
  5. 【請求項5】前記大麦焼酎蒸留残液は、大麦麹のみを使
    用した大麦焼酎製造において副成する大麦焼酎蒸留残液
    である請求項1に記載の脂肪肝抑制作用を有する組成
    物。
  6. 【請求項6】請求項1に記載の組成物からなる食品。
  7. 【請求項7】請求項1に記載の組成物からなる医薬品。
  8. 【請求項8】大麦を原料とする焼酎製造において副成す
    る大麦焼酎蒸留残液を固液分離して液体分を得る工程、
    該液体分にアルカリを添加してアルカリ可溶性画分を分
    取する工程、該アルカリ可溶性画分を酸で中和して中性
    可溶性画分を得る工程、及び該中性可溶性画分にエタノ
    ールを添加することにより、有機酸、タンパク質、及び
    ヘミセルロースを含有し、且つ下記の分子量分布及び成
    分組成を有するエタノール不溶性画分を分取する工程を
    含むことを特徴とする脂肪肝抑制作用を有する組成物の
    製造方法。 (a)分子量分布: 分子量10万以上 微量 3万乃至10万 3% 1万乃至3万 4% 3000乃至1万 16% 1000乃至3000 51% 1000以下 26% (b)成分組成:有機酸35±3重量%、タンパク質31±3
    重量%、及びヘミセルロース28±3重量%.
  9. 【請求項9】前記有機酸は、クエン酸、リンゴ酸、コハ
    ク酸及び乳酸からなり、前記タンパク質は、ペプチド及
    びアミノ酸を包含するものである請求項8に記載の脂肪
    肝抑制作用を有する組成物の製造方法。
  10. 【請求項10】前記ヘミセルロースは、キシロース60乃至
    70重量%、アラビノース10乃至20重量%、グルコース10乃
    至15重量%、ガラクトース0乃至3重量%、及びウロン酸0
    乃至5重量%の糖組成を有するものである請求項8に記載
    の脂肪肝抑制作用を有する組成物の製造方法。
  11. 【請求項11】前記エタノール不溶性画分を凍結乾燥する
    工程を更に有する請求項8に記載の脂肪肝抑制作用を有
    する組成物の製造方法。
  12. 【請求項12】前記大麦焼酎蒸留残液は、大麦麹のみを使
    用した大麦焼酎製造において副成する大麦焼酎蒸留残液
    である請求項8に記載の脂肪肝抑制作用を有する組成物
    の製造方法。
  13. 【請求項13】玄麦大麦又は精白大麦を原料にして製造し
    た大麦麹と焼酎用酵母とを発酵に付して熟成もろみを作
    製し、該熟成もろみを蒸留に付して大麦焼酎を製造する
    工程(A)、及び前記工程(A)において前記大麦焼酎
    を製造する際に蒸留残渣として副成する大麦焼酎蒸留残
    液を固液分離して液体分を得、該液体分にアルカリを添
    加してアルカリ可溶性画分を分取し、該アルカリ可溶性
    画分を酸で中和して中性可溶性画分を得、該中性可溶性
    画分にエタノールを添加することにより、有機酸、タン
    パク質、及びヘミセルロースを含有するエタノール不溶
    性画分からなる脂肪肝抑制作用を有する組成物を分取す
    る工程(B)とからなり、前記工程(A)及び前記工程
    (B)を連続して行うことを特徴とする前記大麦焼酎及
    び前記脂肪肝抑制作用を有する組成物を連続して製造す
    る方法。
  14. 【請求項14】前記工程(A)において、前記熟成もろみ
    を得る際に、別に用意した玄麦大麦又は精白大麦を前記
    大麦麹及び前記焼酎用酵母と共に発酵に付すことを特徴
    とする請求項13に記載の方法。
JP2000271638A 1999-09-07 2000-09-07 大麦焼酎蒸留残液から分取した脂肪肝抑制作用を有する組成物及び該組成物の製造方法 Expired - Lifetime JP3459815B2 (ja)

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