JP3459248B2 - 合成肺界面活性ペプチド - Google Patents

合成肺界面活性ペプチド

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JP3459248B2
JP3459248B2 JP50088893A JP50088893A JP3459248B2 JP 3459248 B2 JP3459248 B2 JP 3459248B2 JP 50088893 A JP50088893 A JP 50088893A JP 50088893 A JP50088893 A JP 50088893A JP 3459248 B2 JP3459248 B2 JP 3459248B2
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Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は、疎水性及び親水性アミノ酸残基領域を交互
に有する配列を含むポリペプチドに関する。もう1つの
態様においては、本発明は、疎水性及び正に荷電したア
ミノ酸残基領域を交互に有する配列を含むポリペプチド
に関する。更に、本発明は、合成肺界面活性剤を形成す
るのに有用なポリペプチドに関する。本発明は、また、
疎水性及び親水性(又は正に荷電した)アミノ酸残基領
域を交互に有する配列を含むポリペプチドをコードする
構造遺伝子を保持する組換え核酸分子に関する。本発明
は、また、疎水性及び親水性(又は正に荷電した)アミ
ノ酸残基領域を交互に有する配列を含むポリペプチドを
産生するかかる組換え分子の使用法を開示する。
背景 肺界面活性剤(PS)は、成熟した哺乳動物の肺の肺胞
上皮に並んでいる。天然のPSは、相互作用して肺の空気
−液体界面における表面張力を減じるリン脂質とアポタ
ンパク質両方を含有しているので、“リポタンパク質複
合体”として記載されてきた。
肺界面活性剤の発見、及びその欠如が新生児呼吸困難
症候群(RDS)の主要な原因であるというその後の研究
結果によって、患った個体、特に乳児のための、外生PS
を使用する効果的な界面活性剤代替治療法の開発に向け
て多くの研究がなされてきた。例えば、ヒト早産児に外
生界面活性剤を使用すると、平均気道圧及び酸素要求量
の減少によって測定される肺機能が向上することが明ら
かにされた。ハルマン(Hallman)ら、Pediatrics,71:4
73−482(1983);メリット(Merritt)ら、J.Pediat
r.,108:741−745(1986);ハルマンら、J.Pediatr.,10
6:963−969(1985);モーレイ(Morley)ら、Lancet,
1:64−68(1981);メリットら、New England J.Med.,3
15:785−790(1986);スミス(Smyth)ら、Pediatric
s,71:913−917(1983);エンホーニング(Enhorning)
ら、Pediatrics,76:145−153(1985);フジワラ(Fuji
wara)ら、The Lancet,1:55−59(1980);クォン(Kwo
ng)ら、Pediatrics,76:585−592(1985);シャピロ
(Shapiro)ら、Pediatrics,76:593−599(1985);“P
ulmonary Surfactant"、ロバートソン(Robertson,
B.)、ファン・ゴルデ(Van Golde L.M.G.)、バテンブ
ルグ(Batenburg J.)編、Elsevier Science Pubisher
s、アムステルダム、pp.479−503,(1984)におけるフ
ジワラの報文を参照のこと。
薬学的観点から、RDSの治療に使用するのに最適な外
生PSは、僅かなバッチ間の特性変動を伴ウが、制御され
かつ無菌化された条件下で製造所で完全合成されたもの
である。免疫学的問題の可能性を最小限にするために、
外生PSのアポタンパク質成分はヒトのものと同一である
べきである。不運にも、天然に存在するPSの組成は複雑
なので、肺における高生理活性に必要な生物物理的特性
を生じる生化学的成分の全ては当該技術分野において未
だに同定されていない。特に、天然PSに存在する全ての
アポタンパク質の特質を明らかにすることも、現時点で
既知のPSアポタンパク質の機能を同定することも、当該
技術分野において成功していない。
不均質なアポタンパク質試料が多くの研究で使用され
たので、PSアポタンパク質及び界面活性機能におけるそ
れらの役割についての文献は複雑で一貫性がなく矛盾し
ていることに留意すべきである。今日までのところ、当
該技術分野において、天然PSに存在する異なるアポタン
パク質の数は明確に確定されていない。
特に興味があるのは、低分子量(LMW)ヒトPS関連ア
ポタンパク質に類似する種々の特質を有するポリペプチ
ドを外生界面活性剤の1成分として使用することであ
る。ヒトPS LMWアポタンパク質を単離又は特定するた
めに、多くの研究が生化学的技術を使用して試みられて
きた。例えば、フィザカーレイ(Phizackerley)ら、Bi
ochem.J.,183:731−736(1979);レバク(Revac)ら、
Am.Rev.Resp.Dis.,134:1258−1265(1986);スズキ
ら、Eur.J.Respir.Dis.,69:335−345(1986);タウシ
ュ(Taeusch)ら、Pediatrics,77:572−581(1986);
ユーら、Biochem.J.,236:85−89(1986);ウィツェッ
ト(Whitsett)ら、Pediatric Res.,20:460−467(198
6);ウィツェットら、Pediatric Res.,20:744−749(1
986);タカハシら、Biochem.Biophys.Res.Comm.,135:5
27−532(1986);スズキら、Exp.Lung.Res.,11:61−73
(1986);クルシュテット(Curstedt)ら、Eur.J.Bioc
hem.,168:255−262(1987);ノッター(Notter)ら、C
hem.Phys.Lipids,44:1−17(1987)、及びフェルプス
(Phelps)ら、Am.Rev.Respir.Dis.,135:1112−1117(1
987)を参照のこと。
最近、当該技術分野において、個々のLMW PSアポタ
ンパク質を均質なまでに単離できないことに関連する問
題を克服するために、組換えDNA技術を応用し始めた。
例えば、グラッセル(Glasser)ら、Proc.Natl.Acad.Sc
i.,U.S.A.,84:4007−4011(1987)は、彼らがSPL(Ph
e)と名付けた少なくとも1の成熟LMWアポタンパク質を
生成するヒト前駆体タンパク質の少なくとも一部を形成
するアミノ酸残基を誘導するcDNA配列を報告した。しか
し、グラッセルらはSPL(Phe)のカルボキシ末端残基を
確認することができなかったので、その完全な配列を同
定することはできず、成熟SPL(Phe)が約60アミノ酸長
であることを予測できなかった。
ヤコブ(Jacob)ら、J.Biol.Chem.,262:9808−9811
(1987)は、前記のグラッセルらにより記載されたもの
と類似するヒト前駆体タンパク質についてのcDNA及びそ
れから誘導されたアミノ酸残基配列を記載した。しかし
ながら、ヤコブらによれば、前駆体から生成し、かれら
がPSP−Bと名付けた成熟LMWアポタンパク質は、76アミ
ノ酸残基長を有する。更に、ヤコブらは、該報告された
前駆体タンパク質から誘導したPSアポタンパク質が、他
の研究者によって臨床的に研究された界面活性剤製剤に
存在したかは明らかではないと記した。前記のグラッセ
ルら及び前記のヤコブらにより記載された前駆体タンパ
ク質から誘導された成熟アポタンパク質は一般に“SP1
8"と言われ、その単量体型及び二量体型はそれぞれ“SP
18単量体”及び“SP18二量体”と言われる。
上記から、該文献は見掛け上同じPSアポタンパク質で
あるものについて複数の命名を含んでいることが分か
る。更に、ワール(Warr)らは、Proc.Natl.Acad.Sci.,
U.S.A.,84:7915−7919(1987)において、彼らがSP5と
名付けた成熟LMWアポタンパク質を生成する前駆体タン
パク質を形成する、197アミノ酸残基の配列を誘導するc
DNAを記載した。これは、PSが1より多いLMWアポタンパ
ク質を含むことを示唆するように思われる。
コクラン(Cochrane)及びレバクは、公表されたPCT
特許出願第WO89/06657号において、成熟した、生物学的
に活性型のSP18を特定することができた。そして、治療
的に有用な界面活性を示す種々のSP18誘導ポリペプチド
及び類縁体を開示している。
それにも拘らず、上記タンパク質の生物活性は、本明
細書に開示した、治療的応用、特に合成肺界面活性剤組
成物の形成に有用なポリペプチドの活性と一致しない。
発明の要旨 本発明は、少なくとも10アミノ酸残基で約60アミノ酸
残基以下を含むポリペプチドであって、式(ZaUbcZd
で表される,疎水性及び親水性アミノ酸残基領域を交互
に有する配列を含む前記ポリペプチドを意図している。
1つの態様においては、ZはR及びKから成る群から独
立に選ばれる親水性アミノ酸残基である。もう1つの異
なる態様においては、UはV、I、L、C、Y及びFか
ら成る群から独立に選ばれる疎水性アミノ酸残基であ
る。1つの異なる態様においては、V、I、L及びCが
好ましく、もう1つの異なる態様においては、L及びC
が特に好ましい。他の異なる態様においては、aは約1
〜約5の平均値を有し、bは約3〜約20の平均値を有
し、cは1〜10であり、そしてdは0〜3である。
もう1つの態様においては、本発明は、ZがR及びK
から成る群から独立に選ばれる親水性アミノ酸残基であ
ることを意図している。もう1つの異なる態様において
は、UはV、I、L、C及びFから成る群から独立に選
ばれる疎水性アミノ酸残基であって、L及び/又はCで
あるのが特に好ましい。他の異なる態様においては、a
は約1〜約5の平均値を有し、bは約3〜約20の平均値
を有し、cは1〜10であり、そしてdは0〜3である。
他の態様においては、aは約1〜約3の平均値を有し、
bは約3〜約8の平均値を有し、cは約2〜約6であ
り、そしてdは0、1又は2である。
本発明は、更に、上記の式に対応するポリペプチドで
あって、薬学的に許容できるリン脂質と混合したとき
に、リン脂質単独の界面活性よりも大きい界面活性を有
する合成肺界面活性剤を形成するポリペプチドを企図し
ている。
別の態様においては、本発明によるポリペプチドは、
それぞれ配列番号1〜9である、式: により表されるアミノ酸残基配列を有する。
もう1つの態様においては、本発明は、少なくとも10
アミノ酸残基で約60アミノ酸残基以下を含むポリペプチ
ドと混合された薬学的に許容できるリン脂質を含む合成
肺界面活性剤であって、該ポリペプチドが式(ZaUbcZ
dにより表される、疎水性及び親水性アミノ酸残基領域
を交互に有する配列を含む合成肺界面活性剤を企図して
いる。1つの態様においては、ZはR及びKから成る群
から独立に選ばれる親水性アミノ酸残基である。もう1
つの異なる態様においては、UはV、I、L、C、Y及
びFから成る群から独立に選ばれる疎水性アミノ酸残基
である。1つの異なる態様においては、V、I、L及び
Cが好ましく、もう1つの異なる態様においては、L及
びCが特に好ましい。他の異なる態様においては、aは
約1〜約5の平均値を有し、bは約3〜約20の平均値を
有し、cは1〜10であり、そしてdは0〜3である。
もう1つの態様においては、本発明は、ZがR及びK
から成る群から独立に選ばれる親水性アミノ酸残基であ
ることを企図している。もう1つの異なる態様において
は、UはV、I、L、C及びFから成る群から独立に選
ばれる疎水性アミノ酸残基であって、L及び/又はCで
あるのが特に好ましい。他の異なる態様においては、a
は約1〜約5の平均値を有し、bは約3〜約20の平均値
を有し、cは1〜10であり、そしてdは0〜3である。
他の態様においては、aは約1〜約3の平均値を有し、
bは約3〜約8の平均値を有し、cは2〜約6であり、
そしてdは1又は2である。
本発明は、また、上式に対応する合成肺界面活性剤で
あって、ポリペプチドが、それぞれ配列番号1〜9であ
る、 から成る群から選ばれるアミノ酸残基配列を有する合成
肺界面活性剤を企図している。
なお、もう1つの態様においては、本発明は、治療的
に有効量の合成肺界面活性剤を投与することを含む呼吸
困難症候群の治療方法であって、前記界面活性剤が少な
くとも10アミノ酸残基で約60アミノ酸残基以下を含む有
効量のポリペプチドと混合された薬学的に許容できるリ
ン脂質を含み、前記ポリペプチドが上に開示した式で表
される疎水性及び親水性アミノ酸残基領域を交互に有す
る配列を含む治療方法を企図している。
別の態様においては、呼吸困難症候群の治療方法に有
用なポリペプチドは、それぞれ配列番号1〜9である、
式: により表されるアミノ酸残基配列を有する。
もう1つの異なる態様においては、本発明は、脂肪酸
及びそれぞれ配列番号1〜9である、式: により表されるアミノ酸残基配列を有するポリペプチド
と混合された2種の薬学的に許容できるリン脂質を含む
合成肺界面活性剤を企図している。本発明は、また、該
開示した合成肺界面活性剤を使用する呼吸困難症候群の
治療方法を企図している。
もう1つの態様においては、本発明は、1又は2以上
の薬学的に許容できるリン脂質を少なくとも10アミノ酸
残基で約60アミノ酸残基以下を含む治療的に有効量のポ
リペプチドと混合することを含む、呼吸困難症候群の治
療に有用な治療薬の製造方法であって、前記ポリペプチ
ドが式(ZaUbcZdで表される、疎水性及び親水性アミ
ノ酸残基領域を交互に有する配列を含む製造方法を企図
している。1つの態様においては、ZはR及びKから成
る群から独立に選ばれる親水性アミノ酸残基である。も
う1つの態様においては、UはV、I、L、C、Y及び
Fから成る群から独立に選ばれる疎水性アミノ酸残基で
あり、好ましくは、UはV、L、C及びFから成る群か
ら選ばれ、より好ましくは、UはL及びCから成る群か
ら選ばれる。他の態様においては、aは約1〜約5、好
ましくは約1〜約3の平均値を示す。他の異なる態様に
おいては、bは約3〜約20、好ましくは約3〜約8の平
均値を有する。なお、他の態様においては、cは1〜1
0、好ましくは3〜8、より好ましくは2〜6であり、
そしてdは0〜3、好ましくは0〜2、より好ましくは
1又は2である。
もう1つの態様においては、本発明は、1又は2以上
の薬学的に許容できるリン脂質を、少なくとも10アミノ
酸残基で約60アミノ酸残基以下を含む治療的に有効量の
ポリペプチドと混合することを含む、呼吸困難症候群の
治療に有用な治療薬の製造方法であって、前記ポリペプ
チドが疎水性及び親水性アミノ酸残基領域を交互に有す
る配列を含み、かつ、それぞれ配列番号1〜9である、 を含むポリペプチドの群から選ばれるアミノ酸残基配列
を有する製造方法を企図している。
他の異なる態様においては、上式に対応するポリペプ
チドは、前記1又は2以上の薬学的に許容できるリン脂
質と混合したときに、リン脂質単独の界面活性よりも大
きい界面活性を有する合成肺界面活性剤を生成する。
本発明は、また、少なくとも10アミノ酸残基で約60ア
ミノ酸残基以下を含むポリペプチドであって、式:KLLLL
KLLLLKLLLLKLLLLK(配列番号7)で表される、疎水性及
び親水性アミノ酸残基領域を交互に有する配列を含む前
記ポリペプチドを企図している。もう1つの態様におい
ては、本発明は、少なくとも10アミノ酸残基で約60アミ
ノ酸残基以下を含むポリペプチドと混合された薬学的に
許容できるリン脂質を含む合成肺界面活性剤であって、
前記ポリペプチドが、式:KLLLLKLLLLKLLLLKLLLLK(配列
番号7)で表される、疎水性及び親水性アミノ酸残基領
域を交互に有する配列を含み、薬学的に許容できるリン
脂質と混合したときに、リン脂質単独の界面活性よりも
大きい界面活性を有する合成肺界面活性剤を生成する、
合成肺界面活性剤を企図している。
最後に、本発明は、更に、1又は2以上の薬学的に許
容できるリン脂質を、少なくとも10アミノ酸残基で約60
アミノ酸残基以下を含む治療的に有効量のポリペプチド
と混合することを含む、呼吸困難症候群の治療に有用な
治療薬の製造方法であって、前記ポリペプチドが、式:K
LLLLKLLLLKLLLLKLLLLK(配列番号7)で表される、疎水
性及び親水性アミノ酸残基領域を交互に有する配列を含
み、1又は2以上の薬学的に許容できるリン脂質と混合
したときに、リン脂質単独の界面活性よりも大きい界面
活性を有する合成肺界面活性剤を形成する、製造方法を
企図している。
また、本発明に従って治療的に有効量の合成肺界面活
性剤を投与することを含む呼吸困難症候群の種々の治療
方法も企図している。別の態様においては、1又は2以
上の薬学的に許容できるリン脂質と混合された本発明の
ポリペプチドを含む合成肺界面活性剤が投与される。本
明細書中に開示した式に対応する1又は2以上のポリペ
プチドを含む合成界面活性剤も治療的に有用であり得、
投与前に1又は2以上の薬学的に許容できるリン脂質と
混合してもよい。
図面の簡単な説明 図1は、早産の新生子サルにおける肺機能に関するRL
4含有界面活性剤投与の効果を示すものである。図1A
に、酸素化指数(a/A)を該動物分娩後の時間(時間)
に対してプロットしている。該界面活性剤を、矢印で示
したように、分娩後約28時間に分割線量で投与した。図
1Bでは、該界面活性剤を、分娩後最初の2.5時間の間に
分割線量で投与した。2本の破線は該グラフを3区画に
分けており、0.0〜0.2のa/A値を重い呼吸困難症候群(R
DS)と診断し、0.2〜0.4のa/A値をRDSと診断し、そして
0.4又はそれより良好な値を“正常”と考えていること
を示している。
図2は、肺機能に関するKL4含有合成界面活性剤投与
の効果を示すものである。図2A及び2Bに8匹のサルにつ
いてのデータが示されており、KL4含有界面活性剤を投
与したことが後で確認されたサルが、サルNo.6、7、8
及び10(図2A−3及び4、2B−1及び3)として特定さ
れている一方、他の界面活性剤(即ち、本発明の界面活
性ペプチドを含有していないもの)を投与したサルは、
サルNo.3、5、9及び11(図2A−1及び2、2B−2及び
4)である。全てのプロットにおいて、誕生後の時間に
対してa/Aをプロットしており、所定の界面活性剤を投
与した時間もプロットしている。
図3は、分娩されてRDSと診断された霊長類からの、K
L4含有界面活性剤投与後の漸進的な経時(時間)的酸素
離脱を示すものである。FiO2を時間(時間)に対してプ
ロットしている。KL4含有界面活性剤を投与した時間を
矢印で示している。0時間及び100%吸入酸素(FiO2
1.0)の時点で該動物は100%酸素を吸入しており、22〜
25時間で該動物は20%酸素を吸入している。これは室内
空気と等しい。
図4は、合成界面活性剤RL4−CYS、(RL4)4R、(RL
4)5R、(RL4)6R、(RL4)7R、及び(RL4)8Rを使用し
たin vivo動的伸展性試験の結果を示すものである。記
してあるように、n=3又は4である。該図は肺機能に
関するRL4含有界面活性剤の種々の製剤の投与効果を示
し、RL4含有ペプチドの最適な長さを確認しようと試み
た結果を明らかにしている。指定した製剤を使用して試
験した動物についての平均動的伸展性値(ml空気/cmH2O
/g×106)を、界面活性剤投与後の時間(分)に対して
プロットしている。
発明の詳細な説明 A.定義 アミノ酸:本明細書で特定される全てのアミノ酸残基
は、天然のL−配置にあるものである。標準的ポリペプ
チド命名法であるBiol.Chem.,243:3557−59,(1969)を
守って、アミノ酸残基の略号を以下の対照表に示す。
全てのアミノ酸残基配列は、本明細書では、その左か
ら右の方向がアミノ末端からカルボキシ末端の慣用の方
向である式により表されることに留意すべきである。更
に、アミノ酸残基配列の始点又は終点におけるダッシュ
は、アミノ及びカルボキシ末端でのH及びOH(水素及び
水酸基)への、又は1又は2以上のアミノ酸残基の更な
る配列の如き基への結合を示していることに留意すべき
である。加えて、残基配列の右側の末端における斜線
(/)は、その配列が次の行に続くことを示しているこ
とに留意すべきである。
ポリペプチド及びペプチド:ポリペプチド及びペプチ
ドは、隣接する残基のα−アミノ基とカルボキシ基の間
のペプチド結合により、あるアミノ酸残基から他のアミ
ノ酸残基に結合した約60アミノ酸残基以下の線状連結体
を示すために、本明細書では互換的に使用される用語で
ある。
タンパク質:タンパク質は、ポリペプチドにおけるよ
うに、あるアミノ酸残基から他のアミノ酸残基に結合し
た約60アミノ酸残基より大きい線状連結体を示すため
に、本明細書で使用される用語である。
ヌクレオチド:糖部分(ペントース)、リン酸、及び
窒素系ヘテロ環塩基から成るDNA又はRNAの単量体単位。
該塩基は該糖部分にグリコシド炭素(ペントースの1'炭
素)を介して連結しており、塩基と糖のその組み合わせ
がヌクレオシドである。ヌクレオシドがペントースの3'
又は5'位に結合したリン酸基を含有する場合、それをヌ
クレオチドという。
塩基対(bp):二本鎖DNA分子におけるアデニン
(A)とチミン(T)、又はシトシン(C)とグアニジ
ン(G)の対関係。
保存的置換は、1つのアミノ酸残基がもう1つの生物
学的に類似の残基によって置換されることである。保存
的置換の例には、イソロイシン、バリン、ロイシン又は
メチオニンの如き1つの疎水性残基の他の疎水性残基と
の置換、又はアルギニンとリシン間、グルタミン酸とア
スパラギン酸間又はグルタミンとアスパラギン間及びそ
れらに類したものの如き1つの極性残基の別の1つの極
性残基との置換が含まれる。“保存的置換”という用語
には、未置換親アミノ酸の代わりに置換アミノ酸を使用
することも含まれる。但し、かかるポリペプチドも必要
な結合活性を示すことを条件とする。
B.ポリペプチド 本発明のポリペプチド(主題ポリペプチド)は、その
アミノ酸残基配列及び新規な機能的特性によって特徴付
けられる。主題ポリペプチドは、薬学的に許容できるリ
ン脂質と混合されたときに、該リン脂質単独の界面活性
よりも大きい界面活性を有する合成肺界面活性剤を生成
する。
好ましい態様においては、本発明のポリペプチドは、
ゼロ未満、好ましくは−1未満かそれに等しい、より好
ましくは−2未満かそれに等しい複合疎水性を有するア
ミノ酸残基配列を有する。ペプチドの複合疎水性値の決
定法は実施例1に詳細に記載されている。これら疎水性
ポリペプチドは、SP18の疎水性領域の機能を果たす。1
つの態様においては、該アミノ酸配列はSP18の疎水性及
び親水性残基のパターンによく似ている。
好ましい疎水性ポリペプチドには、疎水性及び親水性
アミノ酸残基領域を交互に有する配列が含まれ、式: (ZaUb)cZd により表される、少なくとも10アミノ酸残基を有するも
のとして特徴付けられる。
Z及びUは、アミノ酸残基なのでそれぞれの存在にお
いてZ及びUが独立に選ばれる。Zは親水性アミノ酸残
基であり、好ましくはR、D、E及びKから成る群から
選ばれる。好ましい態様においては、ZはR及びKから
成る群から選ばれる。Uは疎水性アミノ酸残基であり、
好ましくはV、I、L、C、Y及びFから成る群から選
ばれる。好ましい態様においては、UはV、L、C及び
Fから成る群から選ばれ、より好ましい態様において
は、UはL及びCから成る群から選ばれる。a、b、c
及びdは親水性及び疎水性残基の数を示す数字である。
aは約1〜約5、好ましくは約1〜約3の平均値を有す
る。bは約3〜約20、好ましくは約3〜約12、より好ま
しくは約3〜約10の平均値を有する。cの値は1〜10、
好ましくは2〜10、より好ましくは3〜6である。dの
値は0〜3、好ましくは0〜2、より好ましくは1又は
2である。
Z及びUによって表されるアミノ酸残基は独立に選ば
れると言うことによって、それぞれの存在において特定
された群から残基が選ばれることを意味する。即ち、a
が2である場合は、例えば、Zにより表されるそれぞれ
の親水性残基は独立に選ばれ、かくして、RR、RD、RE、
RK、DR、DD、DE、DK等を含むことができる。a及びbが
平均値を有すると言うことによって、繰り返し配列(Za
Ub)内の残基の数はそのペプチド配列内で幾分変動でき
ることを意味するが、a及びbの平均値はそれぞれ約1
〜約5及び約3〜約20であろう。
上式の好ましいポリペプチドの例を表1に示す。
本発明のポリペプチドは、ポリペプチド分野における
当業者に既知のあらゆる方法によって合成することがで
きる。利用できる多くの方法を纏めた優れた抄録は、ス
テワード(J.M.Steward)及びヤング(J.D.Young)、
“固相ペプチド合成法(Solid Phase Peptide Synthesi
s)",W.H.Freeman Co.,San Francisco,1969,及びメイエ
ンホファー(J.Meienhofer),固相ペプチド合成法のた
めの“ホルモン性タンパク質及びペプチド(Hormonal P
roteins and Peptides)",Vol.2,p.46,Academic Press
(New York),1983、及びスクローダー(E.Schroder)
及びクブケ(K.Kubke)、典型的な溶液合成法のための
“ザ・ペプチド(The Peptides)",Vol.1,p.46,Academi
c Press(New York),1965に見出すことができる。
主題ポリペプチドは、メリフィールド(Merrifield)
により、J.Am.Chem.Soc.85:2149−2154(1963)に最初
に記載された固相合成法を使用しても調製することがで
きる。他のポリペプチド合成法は、例えば、ボダンスツ
キー(Bodanszky)ら、ペプチド合成法(Peptide Synth
esis),John Wiley & Sons,2d Ed.,(1976)におい
て、並びに当業者に既知の他の参考文献にみることがで
きる。ポリペプチド合成法の抄録は、スチュアート(J.
Stuart)及びヤング(J.D.Young)、“固相ペプチド合
成法(Solid Phase Peptide Synthesis)",Pierce Chem
ical Company,Rockford,LL,3d Ed.,Neurath,H.et al.,E
ds.,p.104−237,Academic Press,New York,NY(1976)
に見出すことができる。かかる合成法において使用する
適当な保護基は、上記の文献並びにマクオミー(McOmi
e)、“有機化学における保護基(Protective Groups i
n Organic Chemistry)",Plenum Press,New York,NY(1
973)に見出せるであろう。
一般に、これらの方法は、生長しているペプチド鎖へ
の1又は2以上のアミノ酸残基又は適当に保護されたア
ミノ酸残基の連続的付加反応を含む。通常、最初のアミ
ノ酸残基のアミノ基又はカルボキシル基のいずれかが、
選択的除去可能な適当な保護基によって保護されてい
る。リシンの如き反応性の側鎖を含有するアミノ酸につ
いては、異なる選択的除去可能な保護基が利用される。
典型的な固相合成法を使用した場合、保護された又は
誘導体化されたアミノ酸をその未保護カルボキシル基又
はアミノ基を介して不活性な固体支持体に結合させる。
次いで、アミノ又はカルボキシル基の保護基を選択的に
除去し、適当に保護された結合できる(アミノ又はカル
ボキシル)基を有する、該配列に含まれることになる次
のアミノ酸を混合して、該固体支持体に既に結合してい
る残基とアミド結合を形成するのに適した条件下で反応
させる。次いで、この新たに付加したアミノ酸残基から
アミノ又はカルボキシル基の保護基を除去して、次い
で、(適当に保護された)次のアミノ酸を添加し、同じ
ように先に進める。全ての目的のアミノ酸を連結して適
当な配列にした後、残っている末端及び側鎖のあらゆる
保護基(及び固体支持体)を連続的に又は同時に除去し
て、最終ポリペプチドを得る。
1つの態様においては、主題ポリペプチドは、先に挙
げた式と一致する疎水性及び親水性アミノ酸残基領域を
交互に有する配列と対応する、少なくとも約10、好まし
くは少なくとも11アミノ酸残基であって、60以下、より
普通には約35よりも少なく、好ましくは約25よりも少な
いアミノ酸残基から本質的に成る。
本発明のポリペプチドは、更に追加のアミノ酸残基を
アミノ又はカルボキシ末端に含む複合ポリペプチドであ
ってもよい。前記の追加配列は、該ポリペプチドの発現
を促進するのに役立っても、また“リンカー”配列とし
て役立ってもよいが、好ましくは、本発明のポリペプチ
ドの生物学的活性を低下させたり、又は他のやり方で干
渉しないものである。
好ましくは、本発明のポリペプチドは、本発明のポリ
ペプチドを標識又は固体マトリックス又は担体に固定す
るのに便利な“リンカー”を付けるためにいずれかの末
端に追加の残基を付加させる場合を除いて、先に開示し
た式(ZaUbcZdに合致する配列を有する。本発明のポ
リペプチドに使用できる標識又は固体マトリックス及び
担体は後に記載する。
アミノ酸残基リンカーは、通常、少なくとも1の残基
であり、40又はそれより多い残基であってもよく、1〜
10残基であることがより多い。リンカーに使用される典
型的なアミノ酸残基は、チロシン、システイン、リシ
ン、グルタミン酸及びアスパラギン酸、若しくはそれら
に類したものである。加えて、本発明のポリペプチド配
列は、末端NHアシル化、例えば、アセチル化、又は
チオグリコール酸アミド化、末端カルボキシアミド化、
例えば、アンモニア、メチルアミン等により修飾された
配列によって、天然の配列と異なってもよい。
リンカーを介して担体と結合して、担体−ハプテン複
合体として当該技術分野で既知であるものを形成する
と、本発明のポリペプチドは、本発明の合成界面活性剤
と免疫反応する抗体を誘発することができる。従って、
充分に確立された免疫学的交叉反応の原理からみて、本
発明は、表1に示したポリペプチドの抗原的に関連する
変異体を意図している。“抗原的に関連する変異体”と
は、表1からのポリペプチドの少なくとも6アミノ酸残
基配列部分を含み、かつ、表1からのポリペプチド及び
それを含有する合成界面活性剤と免疫反応する抗体分子
を誘発することができるポリペプチドである。
C.核酸セグメント 生きている生物においては、タンパク質又はポリペプ
チドのアミノ酸残基配列は、遺伝子コードを介して、該
タンパク質をコードする構造遺伝子のデオキシリボ核酸
(DNA)配列に直接に関連している。かくして、構造遺
伝子はそれがコードするアミノ酸残基配列、即ち、タン
パク質又はポリペプチドから定義することができる。
遺伝子コードの重要かつ周知の特徴はその重剰性であ
る。即ち、タンパク質を造るのに使用されるアミノ酸の
殆どについては、1を越えるコードヌクレオチドトリプ
レット(コドン)が、特定のアミノ酸残基をコード又は
指定する。従って、幾つかの異なるヌクレオチド配列が
特定のアミノ酸残基配列をコードすることができる。か
かる幾つかのヌクレオチド配列は、全ての生物において
同じアミノ酸配列を生成することになるので、機能的に
等価であると考えられる。時折、プリン又はピリミジン
のメチル化変異体が所定のヌクレオチド配列の中に取り
込まれ得る。しかしながら、かかるメチル化は如何なる
点においてもコード関係に影響を与えない。
本発明のDNAセグメントは、本明細書中に開示した式
に対応するポリペプチドをコードするDNA配列から本質
的になるものとして特徴付けられる。即ち、本発明のDN
Aセグメントは、疎水性及び親水性アミノ酸残基領域を
交互に有するポリペプチドを発現することのできる構造
遺伝子を形成する。該DNAセグメントのコドンは、イン
トロンが存在しているので、ここに開示されているポリ
ペプチドのアミノ酸残基配列と共線的であることを要さ
ないが、該構造遺伝子が前記ポリペプチドを成熟型で発
現できる、即ち、翻訳後のタンパク質分解プロセシング
が不必要であるのが好ましい。好ましくは、それぞれの
コドンが本発明のポリペプチドに見出されるアミノ酸残
基をコードする分断されていないコドンの線状連続体、
即ち、イントロンを含有しない遺伝子として存在する。
D.組換え核酸分子 主題ポリペプチドは、当該技術分野で周知の組換え核
酸法を使用して調製することもできる。例えば、主題ポ
リペプチドを生成するのに有用なDNA配列は、パイク(P
aik)ら、PNAS USA 82:3445−3449,(1985);マクリー
ン(Mclean)ら、J.Biol.Chem.259:6498−6504,(198
4);及びラール(Rall)ら、J.Biol.Chem.257:4171−4
178,(1982)に記載されている。本発明のポリペプチド
をコードするDNAセグメントは、化学的方法、例えば、
マットイク(Matteucci)ら、J.Am.Chem.Soc.,103:318
5,(1981)のリン酸トリエステル法で合成することがで
きる。次いで、DNAセグメントを発現ベクター内に連結
し、それで形質転換された宿主を使用してポリペプチド
を産生できる。例えば、分子生物学における最近の実験
手順(Current Protocols In Molecular Biology)、オ
ースベル(Ausubel)ら編、John Wiley & Sons,New Yo
rk,NY;及び米国特許第4,237,224号及び4,356,270号を参
照のこと。該開示内容は、参照によって本明細書に取り
込まれる。勿論、該コード配列を化学的に合成すること
により、天然のアミノ酸残基配列をコードする塩基を適
当な塩基と置換することによって、あらゆる望ましい修
飾を簡単に行うことができる。
主題ポリペプチドを発現することにできる組換え発現
ベクター及び主題ポリペプチドの産生にそれらを使用す
る方法が、本発明の一部として企図されている。
また、上記のDNAセグメントのリボ核酸(RNA)等価物
も本発明によって企図されている。
核酸分子は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法として
も知られている増幅法により合成することもできる。PC
R増幅法は米国特許第4,683,192号、4,683,202号、4,80
0,159号及び4,965,188号、並びに“PCR法:DNA増幅のた
めの原理と応用(PCR Technology:Principles and Appl
ications for DNA Amplification)”、エルリッヒ(H.
Erlich)編、Stockton Press,New York(1989);及び
“PCR実験手順:方法及び応用への手引き(PCR Protoco
ls:A guide to Methods and Applications)”、イニス
(Innis)ら編、Academic Press,San Diego,California
(1990)を含む少なくとも幾つかの文献に詳細に記載さ
れている。これらの開示内容は参照により本明細書に取
り込まれる。他の方法及びプライマーは、例えば、ニル
ソン(Nilsson)ら、Cell 58:707(1989),エニス(En
nis)ら、PNAS USA 87:2833−7(1990)及びゼモウア
ー(Zemmour)ら、Immunogenetics 33:310−20(1991)
に記載されている。5'及び3'プライマー内に制限部位を
取り込んで、増幅産物が配列決定ベクター又は発現ベク
ター内でサブクローンされ得るようにしてもよい。ま
た、該制限部位に隣接する4塩基スペーサー配列を配置
して、酵素で増幅産物を切断する効率を向上させてもよ
い。
本発明の組換え核酸分子は、本発明の核酸セグメント
にベクターを適切に連結することによって、産生するこ
とができる。
本明細書で使用する場合、“適切に連結される”とい
う語句は、主題の核酸セグメントが、該セグメントによ
り形成される構造遺伝子の発現がベクターの制御下にな
るように、該ベクターに結合されることを意味する。
本明細書で使用する場合、“ベクター”という用語
は、細胞内で複製できる核酸分子であって、他の核酸セ
グメントがそれに適切に連結し、その結果該結合したセ
グメントの複製を引き起こす核酸分子のことをいう。本
発明のポリペプチドをコードする構造遺伝子の発現を行
えるベクターを、本明細書では“発現ベクター”とい
う。かくして、組換え核酸分子(rDNA又はrRNA)という
のは、通常は自然界で一緒に見出されない少なくとも2
つのヌクレオチド配列を含むハイブリッド分子である。
本発明の核酸セグメントを適切に連結するベクターの
選択は、当該技術分野で周知のように、目的の機能的特
性、例えば、タンパク質発現、及び形質転換される宿主
細胞に直接依存し、これらは組換え核酸分子を構築する
当該技術分野における固有の限界である。しかしなが
ら、本発明によって企図されるベクターは、それが適切
に連結している核酸セグメント内に含まれ、本発明のポ
リペプチドをコードする構造遺伝子の複製を少なくとも
行うことができ、好ましくは発現も行うことができる。
好ましい態様においては、本発明によって企図される
ベクターには、原核レプリコン、即ち、それで形質転換
された、細菌性宿主細胞の如き原核宿主細胞内において
染色体外でrDNA分子の自律的複製及び維持を行う能力を
有するDNA配列が含まれる。かかるレプリコンは当該技
術分野で周知である。更に、原核レプリコンが含まれる
それら態様には、その発現がそれで形質転換された細菌
性宿主に薬物耐性を授ける遺伝子も含まれる。典型的な
細菌性薬物耐性遺伝子は、アンピシリン又はテトラサイ
クリンに対する耐性を授けるものである。
原核レプリコンを含むそれらベクターは、本発明によ
る遺伝子で形質転換された大腸菌の如き細菌性宿主細胞
内で該遺伝子の発現(転写及び翻訳)を行うことのでき
る原核プロモーターも含むことができる。プロモーター
というのはDNA配列により形成される発現制御要素であ
って、RNAポリメラーゼの結合及び転写が起こるのを可
能にするものである。細菌性宿主に適合するプロモータ
ー配列は、典型的には、本発明のDNAセグメントの挿入
に都合のよい制限部位を含有するプラスミドベクター内
に備わっている。かかるベクタープラスミドの代表例
は、バイオラッド研究所(Biorad Laboratories)、
(リッチモンド,CA)から入手可能なpUC8、pUC9、pBR32
2及びpBR329、及びファルマシア、ピスカタワェイ、N.
J.から入手可能なpPL及びpKK223である。
真核細胞に適合する発現ベクター、好ましくは脊椎動
物細胞に適合するものも本発明のrDNA分子を形成するの
に使用することができる。真核細胞発現ベクターは当該
技術分野において周知であり、幾つかの商業的供給元か
ら入手可能である。典型的には、かかるベクターは、目
的のDNAセグメントを挿入するのに都合のよい制限部位
を含有して提供される。かかるベクターの典型例は、pS
VL及びpKSV−10(ファルマシア)、pBPV−1/pML2d(イ
ンターナショナル・バイオテクノロジーズ社)、及びpT
DT1(ATCC#31255)である。
好ましい態様においては、本発明のrDNA分子を構築す
るのに使用される真核細胞発現ベクターには、真核細胞
内で有効な選択マーカー、好ましくは薬剤耐性選択マー
カーが含まれる。好ましい薬剤耐性マーカーは、その発
現がネオマイシン耐性をもたらす遺伝子、即ち、ネオマ
イシンリン酸転移酵素(ネオ)遺伝子である。サザーン
(Southern)ら、J.Mol.Appl.Genet.,1:327−341(198
2)。
また、本発明の組換え核酸分子を形成するのにレトロ
ウィルス発現ベクターを使用することも企図している。
本明細書で使用する場合、“レトロウィルス発現ベクタ
ー”という用語は、レトロウィルスゲノムのLTR領域か
ら誘導されるプロモーター配列を含む核酸分子のことを
いう。
好ましい態様においては、該発現ベクターは、真核細
胞内で複製不全なレトロウィルス発現ベクターである。
レトロウィルスベクターの構築及び使用法は、ゾルゲ
(Sorge)ら、Mol.Cell.Biol.,4:1703−37(1984)によ
り記載されている。
相補的粘着末端を介して核酸セグメントをベクターに
適切に連結するのに、多様な方法が開発されてきた。例
えば、相補的ホモポリマー領域を、挿入すべき核酸セグ
メント及びベクター核酸の末端部分に付加することがで
きる。次いで、該ベクター及び核酸セグメントを相補的
ホモポリマー尾部間の水素結合によって接合して、組換
え核酸分子を形成する。
1又は2以上の制限部位を含有する合成リンカーは、
核酸セグメントをベクターに接合する別の方法を提供す
る。例えば、本発明のDNAセグメントを、はみ出ている
3'一本鎖末端をそれらの3'−5'エキソヌクレアーゼ活性
で除去してそれらの重合活性で引っ込んだ3'末端を充填
する酵素である、バクテリオファージT4DNAポリメラー
ゼ又は大腸菌DNAポリメラーゼIで処理する。従って、
これら活性の組み合わせは、平滑末端DNAセグメントを
生成する。次いで、該平滑末端DNAセグメントを、大過
剰モルのリンカー分子と共に、バクテリオファージT4DN
Aリガーゼの如き、平滑末端DNA分子の連結を触媒できる
酵素の存在下でインキュベートする。かくして、該反応
の生成物は、その末端に重合体リンカー配列を保持する
DNAセグメントとなる。次いで、これらDNAセグメントを
適当な制限酵素で開裂し、該DNAセグメントの末端に適
合する末端を生成する酵素で開裂した発現ベクターと連
結する。
種々の制限エンドヌクレアーゼ部位を含有する合成リ
ンカーが、インターナショナル・バイオテクノロジーズ
社,ニュー・ヘイブン,CTを含む幾つかの供給元から市
販されている。
また、上記組換えDNA分子のRNA等価物も、本発明によ
り意図されている。
E.形質転換細胞及び培養 本発明は、また、本発明の組換え核酸分子、好ましく
は本発明のポリペプチドを発現できるrDNAで形質転換さ
れた宿主細胞にも関する。宿主細胞は原核又は真核のい
ずれであってもよい。
“細胞”又は“形質転換宿主細胞”又は“宿主細胞”
は、文脈から明らかになるようにしばしば互換的に使用
される。これら用語には主題細胞そのものが含まれ、勿
論、それらの娘細胞も含まれる。突然変異や環境の変化
の機会のために全ての娘細胞が親細胞と正確に同一であ
るとは限らないということが理解できる。しかしなが
ら、かかる変化した娘細胞は、上記の用語が使用される
場合に含まれる。
細菌性細胞が好ましい原核宿主細胞であって、典型的
には、例えば、ベセスダ調査研究社(Bethesda Researc
h Laboratories,Inc.,Bethesda,MD.)から入手可能な大
腸菌株DH5の如き大腸菌の株である。好ましい真核宿主
細胞には、酵母及び哺乳動物細胞、好ましくは、マウ
ス、ラット、サル及びヒト線維芽細胞株の如き脊椎動物
細胞が含まれる。好ましい真核宿主細胞には、ATCCから
CCL61として入手できるチャイニーズハムスターの卵巣
(CHO)細胞及びATCCからCRL1658として入手できるNIH
スイスマウス胎児細胞NIH/3T3が含まれる。本発明の組
換え核酸分子での適当な細胞宿主の形質転換は、使用さ
れるベクターのタイプに概して依存する周知の方法によ
り行われる。原核宿主細胞の形質転換に関しては、例え
ば、コーエン(Cohen)ら、Proc.Natl.Acad.Sci.,U.S.
A.,69:2110(1972);及びマニアチス(Maniatis)ら、
分子クローニング、実験室マニュアル(Molecular Clon
ing,A Laboratory Manual),Cold Spring Harbor Labor
atory,Cold Spring Harbor,NY(1982)を参照のこと。
レトロウィルスベクターを含有する組換え核酸分子での
脊椎動物細胞の形質転換に関しては、例えば、ゾルゲ
ら、Mol.Cell.Biol.,4:1730−37(1984);ブラハム(G
raham)ら、Virol.,52:456(1973);及びウィグラー
(Wigler)ら、Proc.Natl.Acad.Sci.,U.S.A.,76:1373−
76(1979)を参照のこと。
うまく形質転換された細胞、即ち、本発明の組換え核
酸分子を含有する細胞は周知の方法で同定することがで
きる。例えば、本発明のrDNAの導入の結果得られた細胞
をクローン化して、モノクローナルコロニーを産生する
ことができる。それらコロニーからの細胞を採取し、細
胞溶解して、rDNAの存在について、サザーン、J.Mol.Bi
ol.,98:503(1975)又はベレント(Berent)ら、Biotec
h.,3:208(1985)により記載されている如き方法使用し
て、それらのDNA含量を試験することができる。
rDNAの存在について直接分析するのに加えて、rDNAが
本発明のポリペプチドの発現を行うことができるときに
は、周知の免疫学的方法により形質転換がうまく行った
ことを確認することができる。例えば、本発明のDNAセ
グメントに適切に連結した発現ベクターでうまく形質転
換された細胞は、抗原性を示すポリペプチドを産生す
る。かくして、形質転換細胞を含有すると思われる細胞
培養のサンプルを採取し、そ抗原に特異的な抗体を使用
して、本発明の疎水性及び親水性アミノ酸残基領域を交
互に有する配列を含むポリペプチドについて分析する。
かかる抗体の産生及び使用法は当該技術分野で周知であ
る。
かくして、形質転換宿主細胞それ自体に加えて、本発
明は、栄養培地中でのそれら細胞の培養物、好ましくは
モノクローナル(クローン的に均質な)培養物、又はモ
ノクローナル培養物から誘導される培養物も企図してい
る。好ましくは、該培養物は、先に挙げた抗原性を示す
ポリペプチド又はタンパク質、より好ましくは、本発明
の界面活性組成物に有用な生物学的に活性なポリペプチ
ドも含有する。
形質転換宿主細胞を培養するのに有用な栄養培地は当
該技術分野で周知であり、幾つかの商業的供給元から得
ることができる。宿主細胞が哺乳動物である態様におい
ては“無血清培地”が好ましく使用される。
F.ポリペプチドを産生するための組換え体法 本発明のもう1つの側面は、ポリペプチド、好ましく
は界面活性を示すポリペプチドを産生する方法に関す
る。該方法は、本発明のポリペプチドを発現することの
できる本発明のrDNA分子で形質転換された宿主細胞、好
ましくは、ヒト細胞を含有する栄養培地を含む培養を伴
う。該培養は、形質転換細胞が前記ポリペプチドを発現
するのに充分な期間維持される。次いで、発現したタン
パク質又はポリペプチドを該培養物から回収する。
発現したタンパク質を培養物から回収する方法は当該
技術分野で周知であり、周知の生化学方法を使用する培
養物のタンパク質含有部分の分別が含まれる。例えば、
タンパク質分別に関して既知のゲル濾過、ゲルクロマト
グラフィー、超濾過、電気泳動、イオン交換、アフィニ
ティークロマトグラフィー等を使用して、培養物中に見
出される発現タンパク質を単離することができる。加え
て、周知の方法を使用してイムノアフィニティー法、免
疫吸着法等の如き免疫学的方法も行うことができる。
また、本発明は、本明細書に記載した組換え核酸法に
より産生したポリペプチド、好ましくは、界面活性を示
すポリペプチドも企図する。
G.ポリペプチド含有組成物 本発明は、ポリペプチドが実質的に単離されて又は実
質的に純粋に存在するポリペプチド含有組成物(主題ポ
リペプチド又はタンパク質組成物)を企図している。
“単離されて”により、該ポリペプチドが、界面活性を
示す他のポリペプチド又はタンパク質を含まない組成物
の一部として存在することを意味している。
“実質的に純粋”により、主題ポリペプチドが、他の
ポリペプチド又はタンパク質を含まない組成物の一部と
して存在していることを意味している。
タンパク質又はポリペプチドについての“界面活性”
は、脂質と組み合わせたときに、単独で又は他のタンパ
ク質と組み合わせたいずれかで、ロバートソン(Robert
son)ら、Lung,158:57−68(1980)のin vivo分析法に
おいて活性を示す能力として定義される。この分析で
は、評価すべきサンプルを、帝王切開により成熟前に分
娩させたウサギ又はヒツジ胎児に気管内挿入管を通して
投与する。(これら“早産児”はそれら自身のPSを欠い
ているので、人工呼吸器で維持される。)肺伸展性、血
液ガス及び人工呼吸器圧の測定値が、活性の指標を提供
する。活性の予備的評価は、in vitro分析法、例えば、
キング(King)ら、Am.J.Physiol.,223:715−726(197
2)の分析法、又はタンパク質又はポリペプチドをリン
脂質と混合したときの空気−水界面における表面張力の
測定を利用する以下に説明する分析法によっても行うこ
とができる。
H.合成界面活性剤 組換え体法で産生した、界面活性を示すポリペプチド
及び/又は主題ポリペプチドを薬学的に許容できるリン
脂質と混合して、呼吸困難症候群の治療に有用な合成肺
界面活性剤(PS)を形成することができる。
“薬学的に許容できる”という語句は、ヒトに投与し
たときにアレルギー性又は類似の面倒な作用を起こさな
い分子単位及び組成物のことをいう。
タンパク質との混合物により合成肺胞界面活性剤を形
成するのに有用なリン脂質は当該技術分野で周知であ
る。合成界面活性剤について天然及び合成の両方のリン
脂質の使用法を調べるには、ノッター(Notter)ら、Cl
in.Perinatology,14:433−79(1987)を参照のこと。
1つの態様においては、本発明は、薬学的に許容でき
るリン脂質と混合した有効量の主題ポリペプチドを含
む、RDSの治療に有効な合成肺界面活性剤を企図してい
る。所定のポリペプチド−リン脂質の組み合わせに最適
なポリペプチド:リン脂質重量比を決定する方法は周知
であるが、治療的に有効な比率は、約1:5〜約1:10,00
0、好ましくは約1:100〜約1:5,000、より好ましくは約
1:500〜約1:1000の範囲にある。より好ましい態様にお
いては、ポリペプチド:リン脂質重量比は、約1:5〜約
1:2,000、好ましくは約1:7〜約1:1,000、より好ましく
は約1:10〜約1:10の範囲にある。かくして、本発明の合
成肺界面活性剤は、約50から、通常は約80からほぼ100
重量%までの脂質と、約50から、通常は約20から1重量
%未満までのポリペプチドを含有することができる。好
ましくは、主題ポリペプチドは、疎水性及び親水性アミ
ノ酸残基領域を交互に有するポリペプチドについての界
面活性剤の約1〜約10重量%である。
脂質部分は、好ましくは約50〜約90、より好ましくは
約50〜約75重量%がジパルミトイルホスファチジルコリ
ン(DPPC)であって、残余が不飽和ホスファチジルコリ
ン、ホスファチジルグリセロール(PG)、トリアシルグ
リセロール、パルミチン酸スフィンゴミエリン又はそれ
らの混合物である。該合成肺界面活性剤は、主題ポリペ
プチドの溶液をリポソームの懸濁液と混合することによ
って、又は有機溶媒の存在下で主題ポリペプチドと脂質
を直接混合することによって調製される。次いで、窒素
気流下及び/又は真空下での透析又は蒸発により溶媒を
除く。
主題の合成肺界面活性剤は、好ましくは気管内投与用
に、例えば、典型的には、液状懸濁剤として、乾燥粉末
“粉剤”として、又はエアゾール剤として製剤される。
例えば、合成界面活性剤(ポリペプチド−脂質ミセル)
を、水、生理食塩水、デキストロース、グリセロール等
の如き薬学的に許容できる賦形剤と液中で懸濁する。該
界面活性剤含有治療用組成物は、酢酸ナトリウム、リン
酸ナトリウム等を含むpH緩衝剤の如き少量の無毒性補助
剤も含有できる。合成界面活性剤を粉剤の形に製剤する
には、合成界面活性剤をここに記載したようにして調製
し、次いで、乾燥散剤として凍結乾燥して回収する。
エアゾール剤投与に使用する場合には、主題の合成界
面活性剤は、微細に分割された形態で追加の界面活性剤
及び噴射剤と共に供給される。投与してもよい典型的な
界面活性剤は、脂肪酸及びそのエステルである。しかし
ながら、この場合には、界面活性剤複合体DPPCとPG以外
の成分を使用するのが好ましい。有用な噴射剤は、典型
的には、周囲条件でガスであり加圧により圧縮される。
低分子量アルカン及びフレオンの如きフッ素化アルカン
を使用することができる。エアゾール剤は、成分を噴射
するまで加圧下に維持することができる適当なバルブを
装備した容器中に封入する。
合成界面活性剤は、投与形態に相応しいように、エア
ゾール剤投与により、又は吸入ガスの中に懸濁剤又は粉
剤を噴霧化することにより気管内挿入管により投与され
る。約0.1mg〜約100mg、好ましくは約70mg〜約90mgの量
の合成PSが、1回の服用で投与される。新生児に使用す
るには、1回又は2回の投与で概して充分である。大人
には、正常範囲内のPO2をもたらすのに充分な戻した複
合体を投与する(ハルマンら,J.Clinical Investigatio
n,70:673−682,1982)。
以下の実施例は、本発明を説明することを意図したも
のであり、限定を意図したものではない。
例1 ポリペプチド界面活性のin vitro評価 A.方法 1. 界面活性の測定 空気−液体界面を横断する表面圧力(H2O圧の負のcm
で表される)の最小(8分)気泡半径での測定を、エン
ホーニング(Enhorning)、J.Appl.Physiol.,43:198−2
03(1977)に記載された脈動気泡法を用いて、種々の時
間で行った。
簡単に説明すれば、エンホーニング・サーファクトメ
ーター(サーファクトメーター・インターナショナル、
オンタリオ州トロント)で、液体−空気界面を横断す
る、最大(0.55mm)及び最低(0.4mm)半径の間で20サ
イクル/分の速度で脈動する気泡の圧力勾配(ΔP)を
測定する。37℃で形成され、水で取り囲まれた20μ試
料空間の気泡を、0及び−2cmH2Oについて基準化した帯
記録紙に圧力変化を記録しながら、顕微鏡を使用して視
角でモニターする。
2. 複合疎水性値の決定 各ペプチドの複合疎水性値を、ペプチド中の各アミノ
酸残基に、ホップ(Hopp)ら、Proc.Natl.Acad.Sci.,U.
S.A.,78:3824−3829(1981)の表1に記載されたその対
応する親水性値を割り当てることにより決定した。な
お、この開示内容は参照により本明細書に取り込まれ
る。所定のペプチドについて、親水性値を合計した。こ
の合計値は複合疎水性値を表す。
3. 合成界面活性剤の調製 溶媒と混合した後に、各ペプチドをリン脂質(DPPC:P
G)と混合(3:1)し、以下の方法の1つに従って合成界
面活性剤を調製した。
方法Aは、16μのペプチド/溶媒混合液(40μgペ
プチド)を400μgリン脂質を含有する100μのクロロ
ホルムと混合し、該混合液を37℃で約10分間攪拌してペ
プチド/リン脂質混合液を生成することにより行った。
N2気流下で乾燥することによりペプチド/リン脂質混合
液からクロロホルムを除去した。次いで、このようにし
て生成した合成界面活性剤を、90μのH2Oと混合して3
7℃で約10分間緩やかに攪拌した。続いて、10μの9
%NaClを該界面活性剤含有溶液に混合した。
方法Bは、まず、400μgリン脂質を含有する100μ
のクロロホルムをガラス管に入れ、N2気流下で37℃で約
10分間乾燥することによりクロロホルムを除去すること
により行った。16μのペプチド/溶媒混合液と74μ
H2Oを該乾燥したリン脂質と混合し、次いで、37℃で約1
0分間緩やかに攪拌した。このようにして生成した合成
界面活性剤に、10μの9%NaClを混合した。
方法Cは、まず、ポリペプチド−PL混合液を43℃で10
分間維持し、その後、N2気流下で乾燥することにより溶
媒を該混合液から除去することにより行った。必要な場
合には、15分間真空下に置くことによって該混合物を更
に乾燥して、乾燥ポリペプチド−PL混合物を形成した。
次いで、5又は10mg/mのいずれかの最終PL濃度にする
のに必要な容量の90%に相当すると計算される量で、水
をそれぞれの乾燥混合物と混合して第2混合液を生成し
た。この第2混合液を攪拌しながら1時間43℃に維持し
た。続いて、目的のPL濃度にするのに必要な容量の10%
に相当する量の6%NaClを該第2混合液と混合し、得ら
れた最終混合液を10分間43℃に維持した。殆どの場合、
最終混合液を凍結及び解凍を3サイクル行う最終工程に
付した。
4. オクチルグルコピラノシド分析 スピロ(Spiro)、Methods Enzymol.,8:3−5(196
6)のアンスロン法に基づくn−オクチル−β−D−グ
ルコピラノシドの定量のための分析法が、以前にレバク
ら、Am.Rev.Respir.Dis.,134:1258−1265(1986)によ
り記載されている。
5. タンパク質測定 5μgまでのタンパク質を含有する有機サンプルを窒
素気流下で12×75mmガラス管中で乾燥した。H2O中の15
μ1%SDS及び300μBCAタンパク質分析試薬(ピア
ス・ケミカル社、ロックフォード,IL)をそれぞれの管
の中に入ったタンパク質と混合した。管にカバーをして
60℃で30分間インキュベートした。冷却後、サンプルを
96ウェル平底ポリスチレンマイクロタイタープレートに
移してOD550を測定した。スタンダードとしてウシ血清
アルブミンを使用した。脂質が存在する場合(即ち、Bi
o−Sil HAクロマトグラフィーの前)は、幾らかの脂質
がBCAタンパク質分析中に反応して、タンパク質定量を
不正確にすることに留意すべきである。更に、一旦精製
すると、疎水性LMWアポタンパク質自体がBCA試薬とあま
り反応しないので、単離したタンパク質の全定量はアミ
ノ酸組成に基づいた。
6. リン脂質 ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC、β、γ
−ジパルミトイル−L−α−レシチン)及びL−α−ホ
スファチジル−DL−グリセロール(PG、鶏卵レシチンの
誘導体)をカルビオケム−ベーリング社(ラジョラ、C
A)又はアバンチ・ポラー−リピッズ社(バーミンガ
ム、AL)から購入した。DPPCは、クロロホルム中のPGに
3:1の重量比で加えた。
7. 界面活性分析 脈動気泡の表面張力を低下させる能力として評価され
る、界面活性のin vitro分析法、及びウサギ胎児を利用
するin vivo分析法が、以前にレバクら、Am.Rev.Respi
r.Dis.,134:1258−1265(1986)により詳細に記載され
ている。
8. 形態的分析 30cmH2Oに膨らませて10cmH2Oに収縮させたウサギ胎児
の肺を10%ホルマリン中に72時間浸した。パラフィン切
片を頂部から基部に向かう方向にして、腹側から背側に
5ミクロンの切片を取った。ヘマトキシリン及びエオシ
ンで染色した後、複数の切片について頂部から基部に10
の領域(100×)を点勘定した。標準化された形態的方
法(“立体学的方法(Stereological Methods)”、Vo
l.I,Academic Press,New York,pp.33−58,1979における
ウェイバー(Weiber)の報文)を使用して、各処理群に
ついて、空気空間に対する肺間質の比率を測定した。肺
胞視野計の交叉点も測定した。
9. リン脂質のリン分析 リン脂質は、バートレット(Bartlett)、J.Biol.Che
m.,234:466−468(1959)の方法に従って定量した。
10.アミノ酸分析 アミノ酸組成物についての3サンプルを、HClで110℃
で24時間、HClで150℃で24時間、又は過ギ酸中で110℃
で24時間ののちHClで110℃で24時間かけて加水分解し
た。分析は、ベックマンモデル121−Mアミノ酸分析装
置(ベックマン・インスツルメンツ、フラートン、CA)
で行った。トリプトファンは確認されなかった。
11.アミノ酸配列決定 気相タンパク質配列決定法を、オンラインモデル120A
HPLCを備えたアプライド・バイオシステムズ470Aアミ
ノ酸配列分析器(アプライド・バイオシステムズ社、フ
ォスター・シティ、CA)で行った。
B.結果 以下の表2に示した合成界面活性剤を該表に示したよ
うにして調製した。表2に示した典型的な合計界面活性
剤それぞれを、上に記載したエンホーリングの“気泡測
定法”を使用するin vitroでのそれらの表面張力低下能
力により明示される界面活性について分析した。
この研究の結果は、低いΔP値によって明示されるよ
うに、主題ポリペプチドは、薬学的に許容できるリン脂
質と混合したときに、リン脂質単独よりも大きな界面活
性を有する合成肺界面活性剤を形成することを示してい
る。典型的には、10%〜80%低いΔP値が該ポリペプチ
ドを使用して得られた。
各ポリペプチドを所定の溶媒と、溶媒1ml当たり2.5mg
のポリペプチドの濃度に混合した。得られた混合液を観
察して、溶液又は不溶性ポリペプチドの懸濁液のいずれ
が生成したかを確認した。懸濁液を生成するそれら混合
液は、10秒間の水浴音波処理により更に混合して、ガラ
スピペットを使用するピペッティングに充分な非常に微
細な懸濁液にした。
溶媒と混合した後、各ペプチドをガラス管中でクロロ
ホルム中でリン脂質(PL)、DPPC:PG,3:1と混合して、
添加したポリペプチドの量が添加したPLの量の10分の1
(10重量%)に等しくなるようにし、方法A、B又はC
のいずれかに従って合成界面活性剤を生成した。
次いで、各合成界面活性剤を、上に記載したようにし
て行った気泡測定法におけるin vitroでの表面張力低下
能力により明示される界面活性について測定した。圧力
勾配(ΔP)は、上記のエンホーニング・サーファクト
メーターを使用して測定したポリペプチド−PL第3混合
物における界面活性の指標である。測定値は、15秒(1
5″)、1分(1′)及び5分(5′)の時点で得た
れ、所定のポリペプチド−PL混合物の3つの独立測定値
の平均として表されている。PL単独(PL)及び天然ヒト
界面活性剤の比較サンプルについての圧力勾配測定値を
コントロールとして測定した。
この研究の結果を表2に示す。
(1) ペプチドの初期混合物が溶液と懸濁液のいずれ
であったかを示している。
(2) この項目は使用した合成界面活性剤の調製法を
示している。それら方法は上に記載されている。“+”
は最終混合液を凍結及び解凍を3サイクル行う最終工程
に付したことを示す。“−”はその工程が行われなかっ
たことを示す。
(3) 最終第3混合液におけるリン脂質(PL)の濃度
をミリリッター混合液当たりのミリグラムPL(mg/ml)
で示している。
(4) 圧力勾配は、実施例2に記載するようにエンホ
ーニング・サーファクトメーターを使用して測定したポ
リペプチド−PL最終混合物における界面活性の指標であ
る。測定値を15秒(15″)、1分(1′)及び5分
(5′)の3点で得、所定のポリペプチド−PL混合物の
3つの独立測定値の平均として表している。PL単独(P
L)及び天然ヒト界面活性剤の比較サンプルについての
圧力勾配測定値も示してある。
(5) これら溶液は、20mg/mlPLの濃度で調製し、試
験前に10mg/mlに希釈した。
これら結果は、所定の圧力に対して容量が高いことよ
り明らかなように、主題ポリペプチドが、薬学的に許容
できるリン脂質と混合したときに、リン脂質単独よりも
大きな界面活性を有する合成肺界面活性剤を形成するこ
とを示している。
例2 ウサギを使用する合成界面活性のin vivo評価 A.方法 1. 合成界面活性剤の調製 主題ポリペプチドを、まず、本明細書に記載した溶媒
と混合した。得られた混合液を更にリン脂質と混合し
て、以下に示すように、添加したポリペプチドの量が添
加したPLの量の3、7又は10重量%のいずれかになるよ
うにした。最終混合液が最終混合液ml当たり20mgの濃度
を有したことを除いては、例1の3節における“合成界
面活性剤の調製”の節に詳細に記載した最終凍結解凍工
程を使用する方法Cに従って、最終ポリペプチド,PL混
合液(合成界面活性剤)を形成した。
2. 滴注手順 手順1:例1におけるようにして調製したいずれかの合
成界面活性剤を含有する0.1ml溶液、又は例1に記載し
たようにして調製した2mgの天然界面活性剤又は2mgPLの
いずれかを気管の中に注射することによってウサギ胎児
を治療した。
手順2:合成界面活性剤を、以下の3成分を以下の順に
存在させた1本のシリンジから気管の中に注射すること
によって、ウサギ胎児内に滴注した:(1)0.05ml空
気;(2)例1におけるように調製した0.1mlの合成界
面活性剤、又は2mgのPL若しくは2mgの天然界面活性剤の
いずれか;及び(3)0.1ml空気。
手順3:1つのシリンジから、例1に記載したようにし
て調製した0.1mlの合成界面活性剤(又は2mgの天然界面
活性剤若しくはPL)を上記のようにウサギの気管の中に
滴注し、続けて0.05ml乳酸加リンゲル液と0.2ml空気を
第2のシリンジから注射した。
手順4:1つのシリンジから、例1に記載したようにし
て調製した0.1mlの合成界面活性剤(又は2mgの天然界面
活性剤若しくはPL)、0.15ml空気、0.1ml生理食塩水、
及び0.3ml空気を上記のように気管の中に注射した。続
けて、0.3ml空気を2回注射した。
手順5:注射する際に以下の4成分を以下の順に存在さ
せた1本のシリンジから気管の中に注射することによっ
て、ウサギ胎児を治療した:(1)例1におけるように
して調製したいずれかの合成界面活性剤を含有する0.2m
l溶液又は4mgの天然界面活性剤若しくは4mgPL;(2)0.
15ml容量の空気;(3)0.1mlの通常生理食塩水;及び
(4)0.3ml容量の空気。次いで、第1回目の注射15分
後に上記の注射を繰り返した。
手順6:最初の注射後に0.3ml空気を続けて2回注射し
たこと及び15分での追加の滴注を行わなかったことを除
き、手順5に記載したようにしてウサギを治療した。
3. 界面活性を研究するためのウサギ胎児モデル 本発明の典型的なポリペプチドの界面活性を、以下に
記した以外はレバクら、Am.Rev.Respir.Dis.,134:1258
−1265(1986)により以前に詳細に記載された方法を用
いて研究した。
在胎27日間のウサギ胎児を子宮切開により分娩させ、
すぐに0.05mlノルクロン(Norcuron)(オルガノン社、
NJ)を注射して自発呼吸を行わないようにした。次い
で、ウサギ胎児の体重を計ってから気管切開により気管
の中に小さなカニューレを挿入した。次いで、上記のよ
うにして調製した合成界面活性剤を上記の滴注手順のう
ちの1つによりウサギ胎児の肺の中に滴注した。
滴注後にウサギを人工呼吸器(ベビーバード、ベビー
バード社、パームスプリングス、CA)に連結された特別
設計のプレチスモグラフ(セレスコ(Celesco)変換器
を内蔵している)内に置き、該滴注した肺を分当たり30
サイクルの速度で、25cmH2Oのピーク吸気圧、4cmH2Oの
終末呼気陽圧及び0.5秒の吸気時間で人工呼吸した。幾
つかの研究において、人工呼吸操作全体にわたる種々の
時点において、動的伸展性測定を行った。他の研究にお
いては、人工呼吸の後に静的伸展性測定を行った。
静的伸展性測定は、人工呼吸の30分後に行った。動物
達を人工呼吸器から外し、肺をベルジャー内−20cmH2O
で真空下に脱ガスした。その後、気管カニューレに付け
られたT−コネクターを介して肺をまず膨らませ次に収
縮させた。5、10、15、20、25及び30cmH2Oの静的圧力
に達するのに必要な空気の容量を膨張及び収縮の両段階
の間測定して、静的伸展性の指標として静的圧力対容量
曲線を作成した。
プレチスモグラフを用いて、60分間の人工呼吸期間の
全体にわたる種々の時点で動的伸展性の測定を行った。
コンピューターを使用したデータ解析により、各時点に
おける体重1グラムについてのcmH2O当たりのml空気と
して表される伸展性データが得られた。伸展性は、以下
の式により計算した。
伸展性=ΔT/ΔV ΔPtp=(C)-1・(ΔV)+(R)・(F) Ptp=経肺圧 C =伸展性(弾性成分−容量対圧力の変化に関連
する) R =抵抗(流れ対圧力に関連する) F =流れ V =容量=時間に関する流れの積分値 上記の方程式は、C及びRについての複数の一次回帰
で解かれた。伸展性(C)は肺の弾性を表し、抵抗
(R)は肺の中への及び外へのガスの流れに対する抵抗
に打ち勝つのに必要な圧力を表す。
表3〜5に示される研究を、本明細書に開示した方法
及びパラメーターに従って調製した種々の合成界面活性
剤を使用して上記のようにして行った。RL2、RL4、RL4
−CYS又はRL8ペプチド、又はRL4の“多重体”(例え
ば、(RL4)6R)から成る合成界面活性剤を、ペプチド
又はタンパク質を含有しないリン脂質界面活性剤(コン
トロール界面活性剤)と比較した。プレチスモグラフを
用いて、60分間の人工呼吸期間の全体にわたる種々の時
点で動的伸展性の測定を行った。データ解析により、各
時点において、ml空気/cmH2O/g体重×106として表され
る伸展性データが得られた。伸展性は、先に挙げた式に
より計算した。
表3及び4に示された研究について、合成界面活性剤
溶液は、以下の割合でDPPC、PG及びペプチドを含む。DP
PC:15mg/ml;PG:5mg/ml;及びペプチド:2mg/ml。表3の研
究において、パルミチン酸も含有する投与溶液を“+”
記号で示すと共に、パルミチン酸を含有しないものを
“−”記号で示した。表3及び4で示した研究では、投
与手順4を用いた。
表4及び図4は、RL4含有界面活性剤の種々の製剤の
肺機能についての投与効果を示すものであり、RL4含有
ペプチドの最適な長さを確認しようと試みた結果を明ら
かにしている。表4及び図4において、指定した製剤を
用いて試験した動物についての平均動的伸展性値を界面
活性剤投与後の時間(分)に対してプロットしている。
該界面活性剤を、上記のように、手順4を参考にして投
与した。
B.結果 滴注手順1及び5を用いた静的伸展性データを収集し
て分析した(データは示していない)。リン脂質(PL)
だけで治療した被験肺に比較して向上した肺伸展性が、
1つの例外を除いて、天然界面活性剤又は被験合成界面
活性剤で処理した全ての肺に見られた。p1〜15を用いて
調製した合成界面活性剤は、静的伸展性により測定した
場合、PL単独よりも向上した肺伸展性をもたらさなかっ
た。
動的伸展性研究の結果を表3〜5及び図4に示す。
表3〜5に示されるように、本発明の各合成界面活性
剤(及び天然界面活性剤)は、リン脂質単独に比較して
動的伸展性値を向上させる。
C.考察 このin vivo伸展性研究は、幾つかの本発明の典型的
な合成界面活性剤を使用すると、各分析した合成界面活
性剤について、リン脂質単独の場合に比較して向上した
伸展性がもたらされることを明らかにするものである。
かくして、本発明のタンパク質及びポリペプチドは、薬
学的に許容できるリン脂質と混合したときに、リン脂質
単独よりも大きな界面活性を有する合成界面活性剤を形
成する。該合成界面活性剤を使用することはin vivoで
向上した伸展性値をもたらすのに有利である。
本明細書に記載し表3〜5及び図4に示した研究は、
本発明の合成界面活性剤が顕著な治療的有用性を示すこ
とを明らかにしている。例えば、全合成界面活性剤につ
いて観察された動的伸展性値は、リン脂質単独で得られ
た典型的な値をかなり越えている。更に、動的伸展性試
験は明らかにヒトを含む哺乳動物におけるin vivo効能
の指標であるので、本明細書に記載したデータが以下の
実施例3において議論する霊長類のデータとよく相関し
ているのは驚くことではない。
更には、これらin vivo動的伸展性研究により明らか
となった治療的効能は、これら同一の組成物を上記の実
施例1に記載し及び説明した“脈動気泡"in vitro分析
法を用いて試験したときに記録した結果と一致してい
る。特に本明細書に記載したin vivo研究が、開示した
製剤と同じ合成界面活性剤の治療的効能を明らかにして
いるという事実からみて、本明細書に記載した界面活性
の“脈動気泡"in vitro分析法はin vivo効能を予測させ
るものと考えられる。これらin vivo研究において見ら
れた動的伸展性値の大きな向上は、本明細書に開示した
ようにして調製されかつ使用された合成界面活性剤の治
療的価値を強調するものである。
実施例3 霊長類を使用した合成界面活性剤の活性のin vivo評価 A.方法 1. 合成界面活性剤の調製 主題のポリペプチドを、まず、例2に記載したように
して溶媒と混合した。得られた混合液を更にリン脂質
(PL)と混合して、以下に示すように、添加したポリペ
プチドの量が添加したPLの量の3、7又は10重量%のい
ずれかになるようにした。最終混合液がml最終混合液当
たり20mgのリン脂質濃度を有したことを除いては、例1
の3節における“合成界面活性剤の調製”の節に詳細に
記載されたようにして最終凍結解凍工程を使用する方法
Cに従って、最終ポリペプチド,PL混合液(合成界面活
性剤)を形成した。
2. 界面活性を研究するためのサル胎児モデル 上記の適用において記載した新規なポリペプチド(及
びそれらポリペプチドを含有する合成界面活性剤)の効
能を確認するためにin vivo研究を行った。リン脂質及
びRL4又はKL4ペプチドから成る界面活性剤をペプチドも
タンパク質も含有しないリン脂質界面活性剤(コントロ
ール界面活性剤)と比較した。
標準的手順に従って、在胎約128〜131日間のアカゲサ
ルを分娩させた。次いで、気管切開により気管内挿入管
を挿入した。続いて、各サルを人工呼吸器に連結し、血
液ガス及び血圧を測定するためにカテーテルを臍動脈内
に取り付け、該サルに栄養分/水化溶液(D10W)を供給
するために第2カテーテルを臍静脈内に取り付けた。動
物が安定した後、呼吸困難症候群(RDS)の存在及び程
度を評価するためにX線撮影を行った。種々のパラメー
ターを調節して、酸素圧(pO2)を50〜70トル、二酸化
炭素(pCO2)を45〜50トルの範囲内に維持した。動脈血
のヘモグロビン飽和度を継続的にモニターするために脈
拍酸素測定法(pulse oximetry)を用いた。
酸素化の指数として、動脈pO2の各測定時にa/A(動脈
/肺胞)O2比を計算した。これら値は、サルの症状のX
線写真及び臨床的評価と共に、RDSの存在及び重さの確
認を可能にした。0.2〜0.4のa/A比によりRDSの存在が確
認でき、0.2未満の値はRDSが重いことを示す。
RDSの診断が終わると、それぞれのサルを人工呼吸器
で約2時間維持した。次いで、ペプチド含有又はコント
ロール界面活性剤を気管内挿入管の下方に挿入した栄養
管を通して投与した。合成界面活性剤の投与量の半分を
その右脇腹で保持された該動物に投与し、もう半分をそ
の左脇腹で保持された該動物に投与した。図2A及び2Bに
示した実験において盲検を行った。即ち、個々の合成界
面活性剤の滴注において、該動物にどの界面活性剤を投
与したか(即ち、ペプチド含有界面活性剤かリン脂質コ
ントロール界面活性剤か)について知らさなかった。
更に6〜12時間人工呼吸器をつけて、各動物の症状を
継続的にモニターした。実験途中及び終了前のX線撮影
も行った。実験が終了したときに、各動物を殺して(フ
ェノバルビタール注射による)検死を行った。
B.結果 上記の研究から得られたデータを図1、2及び3に示
す。該図は以下の事柄を説明するものである。
図1は、肺機能に関するRL4含有界面活性剤の投与の
効果を示すものである。図1Aで、酸素化指数(a/A)を
該動物の分娩後の時間(時間)に対してプロットしてい
る。該界面活性剤を、上記のように、分娩後約28時間に
分割線量で投与した。図1Bでは、第2のサルについて、
上記のように、RL4含有界面活性剤を、分娩後最初の2.5
時間の間に分割線量で投与した。第1のサル(図1A)に
おけるように、ペプチド含有界面活性剤投与後の数時間
内にa/A比が劇的に向上した。
図2A及びBでは、肺機能に関するKL4含有合成界面活
性剤の投与の効果が示されている。図2A及び2Bでは、8
匹のサルについてのデータが示されている。KL4含有界
面活性剤を投与したことが後に確認されたものが、サル
No.6、7、8及び10として特定されており、一方、他の
界面活性剤(即ち、本発明の界面活性ペプチドを含有し
ていないもの)を投与したサルがサルNo.3、5、9及び
11である。全てのプロットにおいて、a/Aを誕生後の時
間に対してプロットしており、所定の界面活性剤を投与
した時間もプロットしている。
最終酸素についての値は、ペプチド含有界面活性剤を
投与された動物が低濃度の吸気酸素に耐えたことを明ら
かにした。それらのpCO2レベルは低く、それらの血液の
最終pHは正常であり、そして、肉眼及び顕微鏡検査で確
認されるように、それらの肺は膨張していた(この研究
は上記したように盲検法で行った)。それぞれの場合に
おいて、界面活性剤投与の直前に行ったX線撮影により
肺領域が曇っていることが明らかになったが、KL4含有
界面活性剤を投与した4匹のサルにおいてのみ、該肺領
域は誕生後8〜10時間まで鮮明であった。
サルNo.8において、a/A比が向上しないのは、酸素の
乏しい静脈血に右左シャントをさせてしまう心室中隔欠
損の結果であることが分かった。ここに開示した合成界
面活性剤を投与された他の全てのサルにおいては、RDS
からの回復は劇的であった。
それぞれの霊長類の最終FiO2、最終pCO2、最終pH、及
び肺膨張(肉眼及び顕微鏡)も同じく測定した。収集し
かつ記録したデータは以下の通りである。
サルNo.3(図2A−1):最終FiO2−50;最終pCO2−79.
4;最終pH−7.21;肺膨張,肉眼−0;肺膨張,顕微鏡−
0。
サルNo.5(図2A−2):最終FiO2−90;最終pCO2−58.
6;最終pH−7.17;肺膨張,肉眼−0;肺膨張,顕微鏡−
0。
サルNo.6(図2A−3):最終FiO2−21;最終pCO2−39.
4;最終pH−7.39;肺膨張,肉眼−4+;肺膨張,顕微鏡
−4+。
サルNo.7(図2A−4):最終FiO2−21;最終pCO2−29.
3;最終pH−7.47;肺膨張,肉眼−4+;肺膨張,顕微鏡
−3+。
サルNo.8(図2B−1):最終FiO2−21;最終pCO2−32.
1;最終pH−7.42;肺膨張,肉眼−4+;肺膨張,顕微鏡
−4+。
サルNo.9(図2B−2):最終FiO2−100;最終pCO2−15
0.1;最終pH−6.90;肺膨張,肉眼−0;肺膨張,顕微鏡−
0。
サルNo.10(図2B−3):最終FiO2−21;最終pCO2−3
1.5;最終pH−7.42;肺膨張,肉眼−2+;肺膨張,顕微
鏡−3+。
サルNo.11(図2B−4):最終FiO2−50;最終pCO2−5
5.6;最終pH−7.31;肺膨張,肉眼−0;肺膨張,顕微鏡−
0。
図3は、サルNo.13におけるKL4含有界面活性剤投与後
の漸進的な経時(時間)的酸素離脱を示すものである。
図3に記したように、KL4含有界面活性剤は、分娩後約
1時間から2時間の間に投与した。0時間及び100%吸
入酸素(FiO2=1.0)の時点で、該動物は100%酸素を吸
入しており、22〜25時間で、該動物は20%酸素、即ち、
室内空気を吸入した。
C.考察 これらのデータから、本発明の合成界面活性剤は単に
治療に有用であるのみならず、比較的短時間で受容体の
肺機能に劇的な向上をもたらすと結論された。この有用
性は、上記の適用において開示された製剤と同じペプチ
ドを含有する合成界面活性剤を投与された動物が、RL4
又はKL4界面活性剤の投与後はRDSから充分に回復したと
いう事実により十分説明されている。
加えて、該データは、これら新規なペプチド含有界面
活性剤を投与すれば、一旦、生物がもはや呼吸困難に陥
らないことがa/A比により示された後は、高濃度酸素の
投与を止めてもよいと保証できるに十分な回復が可能に
なることを示している。
上記で考察した実験結果は、in vivo効能の価値あるi
n vitroモデルを提供する、“脈動気泡”測定法(例1
を参照のこと)から確認された知見、及びin vivo伸展
性研究結果(例2を参照のこと)と一致する。更に“気
泡”測定結果により、該合成界面活性剤(例えば、RL4
及びKL4を含む)がここに示したような治療的効能を示
すことを予測できるようである。
具体的態様及び実施例を含む上記の明細書は本発明を
説明することを意図したものであって、限定するものと
して解釈されるべきでなない。本発明の本旨及び範囲か
ら逸脱することなく多くの他の変更及び修飾を行うこと
ができる。
配列表 (1)一般的情報: (i)出願人:コクラン チャールズ ジー リーヴァック スーザン ディー (ii)発明の名称:合成肺界面活性ペプチド (iii)配列の数:10 (iv)通信住所: (A)受信人:ザ スクリップス リサーチ イン
スティチュート オフィス オブ パテントカウンセル (B)通り:10666ノーストレイ パインズロード,
郵便差入口TPC8 (C)市:ラジョラ (D)州:カリフォルニア (E)国:合衆国 (F)郵便番号:92037 (v)読み取り可能なコンピューターの型: (A)媒体型:フロッピーディスク (B)コンピューター:IBM PCと互換性のあるもの (C)作動システム:PC−DOS/MS−DOS (D)ソフトウェア:パテントイン リリース #
1.0,バージョン#1.25 (vi)現出願データ: (A)出願番号:PCT/US92/04537 (B)出願日:1992年6月1日 (C)分類: (vii)先行出願データ: (A)出願番号:US07/715,397 (B)出願日:1991年6月14日 (viii)弁理士/代理人情報: (A)氏名:ビンハム ダグラス エー (B)登録番号:32,457 (C)整理/ドケット番号:SCR1025P (ix)通信情報: (A)電話:619−554−2937 (B)FAX:619−554−6312 (2)配列番号1についての情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:21アミノ酸 (B)型:アミノ酸 (D)トポロジー:直鎖状 (ii)配列の種類:ペプチド (xi)配列:配列番号1: (2)配列番号2についての情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:21アミノ酸 (B)型:アミノ酸 (D)トポロジー:直鎖状 (ii)配列の種類:ペプチド (xi)配列:配列番号2: (2)配列番号3についての情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:21アミノ酸 (B)型:アミノ酸 (D)トポロジー:直鎖状 (ii)配列の種類:ペプチド (xi)配列:配列番号3: (2)配列番号4についての情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:19アミノ酸 (B)型:アミノ酸 (D)トポロジー:直鎖状 (ii)配列の種類:ペプチド (xi)配列:配列番号4: (2)配列番号5についての情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:21アミノ酸 (B)型:アミノ酸 (D)トポロジー:直鎖状 (ii)配列の種類:ペプチド (xi)配列:配列番号5: (2)配列番号6についての情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:28アミノ酸 (B)型:アミノ酸 (D)トポロジー:直鎖状 (ii)配列の種類:ペプチド (xi)配列:配列番号6: (2)配列番号7についての情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:21アミノ酸 (B)型:アミノ酸 (D)トポロジー:直鎖状 (ii)配列の種類:ペプチド (xi)配列:配列番号7: (2)配列番号8についての情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:21アミノ酸 (B)型:アミノ酸 (D)トポロジー:直鎖状 (ii)配列の種類:ペプチド (xi)配列:配列番号8: (2)配列番号9についての情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:21アミノ酸 (B)型:アミノ酸 (D)トポロジー:直鎖状 (ii)配列の種類:ペプチド (xi)配列:配列番号9: (2)配列番号10についての情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:21アミノ酸 (B)型:アミノ酸 (D)トポロジー:直鎖状 (ii)配列の種類:ペプチド (xi)配列:配列番号10:
フロントページの続き (72)発明者 リーヴァック スーザン ディー アメリカ合衆国 カリフォルニア州 92037 サン ディエゴ カスカーデ ストリート 6561 (56)参考文献 国際公開89/006657(WO,A1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07K 14/758 A61K 38/00 - 38/17 BIOSIS(DIALOG) CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】それぞれ配列番号7〜9である、式: により表されることを特徴とするポリペプチド。
  2. 【請求項2】それぞれ配列番号7〜9である、式: により表されるポリペプチドを含む合成肺界面活性剤。
  3. 【請求項3】脂肪酸、及びそれぞれ配列番号7〜9であ
    る、式: により表されるポリペプチドと混合された2種の薬学的
    に許容できるリン脂質を含む合成肺界面活性剤。
  4. 【請求項4】それぞれ配列番号7〜9である、式: により表されるポリペプチドを含む、呼吸困難症候群の
    治療に有用な治療薬の製造方法。
  5. 【請求項5】式:KLLLLKLLLLKLLLLKLLLLK(配列番号7)
    により表されるポリペプチド。
  6. 【請求項6】式:KLLLLKLLLLKLLLLKLLLLK(配列番号7) により表されるポリペプチドと混合された薬学的に許容
    できるリン脂質を含む合成肺界面活性剤であって、前記
    ポリペプチドが、薬学的に許容できるリン脂質と混合し
    たときに、リン脂質単独の界面活性よりも大きい界面活
    性を有する合成肺界面活性剤を生成する、合成肺界面活
    性剤。
  7. 【請求項7】1又は2以上の薬学的に許容できるリン脂
    質を、式: KLLLLKLLLLKLLLLKLLLLK(配列番号7) により表される有効量のポリペプチドと混合することを
    含む、呼吸困難症候群の治療に有用な治療薬の製造方法
    であって、前記ポリペプチドが、1又は2以上の薬学的
    に許容できるリン脂質と混合したときに、リン脂質単独
    の界面活性よりも大きい界面活性を有する合成肺界面活
    性剤を生成する方法。
  8. 【請求項8】呼吸困難症候群治療用の請求項6記載の合
    成肺界面活性剤。
  9. 【請求項9】式:KLLLLKLLLLKLLLLKLLLLK により表されるポリペプチドと混合された薬学的に許容
    できるリン脂質を含む肺界面活性剤であって、ポリペプ
    チドが、薬学的に許容できるリン脂質と混合したとき
    に、リン脂質単独の界面活性よりも大きい界面活性を有
    する肺界面活性剤を生成し、リン脂質が約50〜100重量
    %で存在し、ポリペプチド:リン脂質の重量比が約1:7
    〜1000である肺界面活性剤。
  10. 【請求項10】リン脂質が、ジパルミトイルホスファチ
    ジルコリン(DPPC)、ホスファチジルグリセロール(P
    G)及びDPPC:PGの重量比が約3:1の混合物からなる群よ
    り選ばれる、請求項9記載の肺界面活性剤。
  11. 【請求項11】更にパルミチン酸を含み、肺界面活性剤
    の約50〜90重量%のリン脂質及び10〜50重量%のパルミ
    チン酸を含む、請求項9記載の肺界面活性剤。
  12. 【請求項12】呼吸困難症候群治療用の請求項9〜11の
    いずれかに記載の肺界面活性剤。
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