JP3458556B2 - 回転クリック機構 - Google Patents

回転クリック機構

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JP3458556B2
JP3458556B2 JP23372795A JP23372795A JP3458556B2 JP 3458556 B2 JP3458556 B2 JP 3458556B2 JP 23372795 A JP23372795 A JP 23372795A JP 23372795 A JP23372795 A JP 23372795A JP 3458556 B2 JP3458556 B2 JP 3458556B2
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憲治 片岡
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は各種電子機器において、
可変抵抗器やスイッチ等の回転操作型の電子部品に組込
んで使用される回転クリック機構に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の回転クリック機構を、回転操作型
クリック付可変抵抗器を例として、図8および図9によ
り説明する。
【0003】図8において、1は亜鉛ダイカスト等によ
り形成された箱形ケースで、その前面壁1A中央部の円
筒状軸受部2には回転操作軸3が回転可能に保持され、
そのケース1内への延長部3Aには成形樹脂製の円板状
回転体4が共回りするようにかしめ固定されている。
【0004】そして、回転体4の前面側には中心から放
射状に一定角度ピッチの凹凸部5(5A,5B)が設け
られてクリック板6を形成すると共に、後面側には可変
抵抗器部の弾性摺動接点7が保持されている。
【0005】また、ケース1の前面壁1Aの後面には弾
性金属板製のクリックばね8が固定され、その弾性アー
ム部先端の突起部9が上記回転体4前面のクリック板6
の放射状凹凸部5に弾接し、一方、ケース1の後面開口
部には可変抵抗器部の抵抗基板10が配されて、その前
面に印刷形成された印刷抵抗素子層11に上記回転体4
後面の弾性摺動接点7が弾接すると共に、後面に当てら
れた蓋板12の脚部13をケース1の前面で折曲げかし
めることにより固定されている。
【0006】尚、ケース1の側壁内周の突起1Bは、回
転体4の外周突部4Aと当接して回転体4の全回転角度
を規制するストッパー用突起である。
【0007】このように構成された回転操作型クリック
付可変抵抗器の操作軸3を回転操作することにより、回
転体4が回転させられ、その後面の弾性摺動接点7が抵
抗基板10上の印刷抵抗素子11上を回転摺動して外部
出力端子14に出力される抵抗値を変化させると共に、
その前面の放射状凹凸部5上をクリックばね8の弾性ア
ーム部先端の突起部9が弾接摺動してクリック感を生じ
ていた。
【0008】この回転操作時にクリック感を生じる部分
の構成は、図9に示す如く、回転体4前面のクリック板
6の放射状凹凸部5に弾接し、通常状態ではその凹部5
Aに静止しているクリックばね8の弾性アーム部先端の
突起部9が、操作軸3を介して回転体4が回転させられ
ることによって凸部5Bを乗越えて次の凹部5A内に落
ち込む時にクリック感を生じるものであり、この凸部5
Bを乗越える時の回転トルクをクリックトルクと呼んで
いる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記従来
の構成では、近年、電子機器の多様化に伴って使用され
る電子部品に対する要求も多様化し、回転操作型クリッ
ク付電子部品のクリックトルクを回転角度位置によって
変化させることも要求されるようになってきており、こ
れに対応するために一定角度ピッチでクリックトルクに
大小の差を設けるには放射状凹凸部5の段差を大きくす
る方法が考えられるが、この方法では余り大きな差は設
け難く、特に小形部品に対して大きな差をつけることが
できず、どうしても大きなクリックトルク差を設けたい
時には、角度ピッチにも大小の差を設けていた。
【0010】本発明はこのような従来の課題を解決する
ものであり、一定角度ピッチでありながら大きなクリッ
クトルク差を設けることができる回転クリック機構を提
供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明の回転クリック機構は、ケース等の固定部から
伸ばされたクリックばねの二本の弾性アーム先端の突起
部を、アーム先端の連結部から回転の中心方向に細長く
突出した山形弾接部にすると共に、山形弾接部が弾接回
転するクリック板の一定角度ピッチの放射状凹凸部を、
回転角度位置によって、外側弾接部(連結部)に弾接す
る部分と内側弾接部(突出部)に弾接する部分に分ける
ものである。
【0012】
【作用】この構成によれば、クリックばねの細長い山形
弾接部の外側弾接部(連結部)が弾接する領域は弾接圧
力が大きく弾接点の回転半径も大きいためにクリックト
ルクが大きく、内側弾接部(突出部)が弾接する領域は
弾接圧力が小さく弾接点の回転半径も小さいためクリッ
クトルクが小さくなり、一定角度ピッチにおいて両者の
差をかなり大きくすることができる。
【0013】
【実施例】本発明の回転クリック機構の一実施例である
回転操作型クリック付可変抵抗器を図1〜図4に基づい
て説明する。
【0014】なお、本実施例において、前述の従来例で
説明した構成部分と同じ部分については、同一の符号を
付して説明を省略する。
【0015】図1および図2において、ケース1の前面
壁1Aの後面に固定された弾性金属板製のクリックばね
21の山形弾接部22は、二本の弾性アーム21A,2
1Bの連結部である外側弾接部22Aおよびここから回
転操作軸3の中心方向に突出した内側弾接部22Bから
なる細長い形状となっている。
【0016】一方、ケース1の前面壁1A中央部の軸受
部2に回転可能に保持された回転操作軸3の延長部3A
には従来例と同様の回転体23が固定されているが、そ
の前面側のクリック板24の中心から一定角度ピッチで
放射状に設けられた凹凸部は、クリックトルクを大きく
したい部分は外側凹凸部25(凹部25A、凸部25
B)、クリックトルクを小さくしたい部分は内側凹凸部
26(凹部26A、凸部26B)と分けられており、外
側凹凸部25には上記クリックばね21の山形弾接部2
2の外側弾接部22A、内側凹凸部26には内側弾接部
22Bが各々弾接するように構成されている。
【0017】尚、回転体23の外周に設けられた突部2
3Aがケース1側壁内周の突起1Bと当接して回転体2
3の全回転角度を規制していることは、従来例と同じで
ある。
【0018】また、ケース1の後面側に配される可変抵
抗器部の構成および蓋板12による固定方法等は従来例
と同様であるので説明は省略する。
【0019】以上のように構成される回転操作型クリッ
ク付可変抵抗器の操作軸3を回転操作することにより回
転体23が回転させられて、その後部の可変抵抗器部の
抵抗値が変化すると共に、回転体23前面のクリック板
24の放射状凹凸部上をクリックばね21の山形弾接部
22が弾接摺動してクリック感を生じさせることは従来
例と同様であるが、山形弾接部22が外側凹凸部25の
領域に弾接している場合には大きなクリックトルクを、
内側凹凸部26に弾接している場合には小さなクリック
トルクとなる。
【0020】次に、クリックトルク発生時の動作状況を
詳しく説明する。まず、クリックばね21の山形弾接部
22が外側凹凸部25に弾接している場合には、図3に
示すように、外側弾接部22Aの部分が外側凹凸部25
に弾接しており、内側弾接部22Bはどこにも当たらな
い。
【0021】そして、通常状態では、図3(a)に示す
ように、外側凹凸部25の凹部25A内にはまり込んで
いる外側弾接部22Aが、操作軸3を介して回転体23
が回転させられることによって、図3(b)に示すよう
に、凸部25Bを乗越えて次の凹部25Aに落ち込む
(図3(c)参照)。
【0022】また、クリックばね21の山形弾接部22
が内側凹凸部26に弾接している場合には、図4に示す
ように、内側弾接部22Bの部分が内側凹凸部26に弾
接しており、外側弾接部22Aはどこにも当たらない。
【0023】そして、通常状態では、図4(a)に示す
ように、内側凹凸部26の凹部26A内にはまり込んで
いる内側弾接部22Bが、操作軸3を介して回転体23
が回転させられることによって、図4(b)に示すよう
に、凸部26Bを乗越えて次の凹部26Aに落ち込む
(図4(c)参照)。
【0024】以上の、クリックばね21の山形弾接部2
2が外側凹凸部25に弾接している図3の場合と、内側
凹凸部26に弾接している図4の場合について、各々の
凹凸部の凸部25Bと凸部26Bを乗越える時の回転ト
ルク(クリックトルク)を比較すると次のようになる。
【0025】すなわち、クリックトルクは、クリックば
ね21の山形弾接部22が各々の凹凸部25および26
の凸部25Bおよび26Bを乗越える時に、外側弾接部
22Aおよび内側弾接部22Bにより加わる力P1およ
びP2と摩擦係数の積による摩擦力F1およびF2に回
転中心からの距離を掛けたモーメントである。
【0026】そして、クリックばね21の山形弾接部2
2により加わる力P1,P2は、クリックばね21の弾
性脚根元部から弾接点までの距離L1(図3参照)およ
び〔L1+L2〕(図4参照)の三乗に反比例するから
【0027】
【数1】
【0028】となり、クリックばね21の外側弾接部2
2Aが外側凹凸部25の凸部25Bを乗越える時の力P
1の方が内側弾接部22Bが内側凹凸部26の凸部26
Bを乗越える時の力P2よりも大きい。
【0029】従って、これと摩擦係数の積である摩擦力
もF1>F2となり、外側凹凸部25の凸部25Bを乗
越える場合の摩擦力F1の方が内側凹凸部26の凸部2
6Bを乗越える場合の摩擦力F2よりも大きい。
【0030】尚、図4(b)に示すクリックばね21の
山形弾接部22の内側弾接部22Bが内側凹凸部26に
弾接する点までの距離L1+L2は、図4(d)の場合
と同等である。
【0031】また、回転の中心から各々の凹凸部25お
よび26の凸部25Bおよび26Bまでの距離をL3
(図3参照)およびL4(図4参照)とすれば、L3>
L4であるので、これと上記摩擦力とを掛けたモーメン
トであるクリックトルクの大きさも F1×L3>F2×L4 となり、クリックばね21の山形弾接部22が外側凹凸
部25に弾接している領域のクリックトルクの方が、内
側凹凸部26に弾接している領域のクリックトルクより
も明らかに大きい。
【0032】次に、図5は本発明の回転クリック機構の
第二の実施例のクリック板の平面図であり、クリック板
27の中心から一定角度ピッチで放射状に設けられた凹
凸部28は、クリックトルクを大きくしたい部分は外側
から内側まで全体に長い凹凸部29が設けられ、クリッ
クトルクを小さくしたい部分は内側半分のみに短い凹凸
部30が設けられている。
【0033】このクリック板に対して、第一の実施例と
同様のクリックばね21の弾性アーム部先端の山形弾接
部22が弾接するのであるが、山形弾接部22が長い凹
凸部29に弾接している領域では大きなクリックトルク
を、短い凹凸部30に弾接している領域では小さなクリ
ックトルクを発生する。
【0034】第一の実施例と比較して、大きなクリック
トルクを発生する部分における回転の中心からクリック
ばね21の山形弾接部22の弾接点までの距離は少し短
くなるが、摩擦面は大きくなるので、第一の実施例とほ
ぼ同等の大きなクリックトルクを出すことができると共
に、内側の部分は回転角度の全域に凹凸部28が設けら
れているので、大きなトルクの領域と小さなトルクの領
域の境目でスムーズに移行できるものである。
【0035】また、図6は本発明の回転クリック機構の
第三の実施例のクリックばね21とクリック板31の弾
接部の正面図を示すものであり、第一の実施例に対し
て、クリック板31の放射状凹凸部32のうち、クリッ
クばね21の山形弾接部22の外側弾接部22Aが弾接
する外側弾接部33の凹凸段差を内側弾接部22Bが弾
接する内側凹凸部34よりも大きくしたものであり、ク
リックトルクを大きくしたい外側凹凸部33の部分のク
リックトルクとクリックトルクを小さくしたい内側凹凸
部34の部分のクリックトルクの差をより大きくするこ
とができるものである。
【0036】更に、図7は本発明の回転クリック機構の
第四の実施例のクリックばね21とクリック板35の弾
接部の正面図を示すものであり、第三の実施例に対し
て、クリック板35の放射状凹凸部36のうち、クリッ
クばね21の山形弾接部22の外側弾接部22Aが弾接
する外側弾接部37の凹凸部の角度ピッチを内側弾接部
22Bが弾接する内側凹凸部38よりも大きくしたもの
であり、クリックトルクを大きくしたい外側凹凸部37
の部分のクリックトルクとクリックトルクを小さくした
い内側凹凸部38の部分のクリックトルクの差を更に大
きくすることができるものである。
【0037】尚、上記の実施例はいずれもクリックばね
を固定してクリック板が回転する場合について説明した
が、これをクリック板を固定してクリックばねが回転す
る構成としてもよいことは勿論である。
【0038】
【発明の効果】本発明の回転クリック機構は、上記実施
例より明らかなように、一定の角度ピッチでありなが
ら、回転角度位置によって大きなクリックトルク差を設
けることができるものであり、しかも、従来の一様なク
リックトルクのものに対して構成部品数および大きさを
変えることもないので、極めて実用的価値の高いもので
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の回転クリック機構の一実施例である回
転操作型クリック付可変抵抗器の側断面図
【図2】(a)同要部であるクリックばねの平面図 (b)同要部であるクリック板の平面図
【図3】(a)同大クリックトルク領域におけるクリッ
クばねとクリック板の弾接部の側断面図 (b)同回転操作時の側断面図 (c)同弾接部の正面図
【図4】(a)同小クリックトルク領域におけるクリッ
クばねとクリック板の弾接部の側断面図 (b)同回転操作時の側断面図 (c)同弾接部の正面図 (d)同クリックばねの弾接点の考え方を説明する側断
面図
【図5】同第二の実施例のクリック板の平面図
【図6】同第三の実施例のクリックばねとクリック板の
弾接部の正面図
【図7】同第四の実施例のクリックばねとクリック板の
弾接部の正面図
【図8】従来の回転操作型クリック付可変抵抗器の側断
面図
【図9】同クリックばねとクリック板の弾接部の正面図
【符号の説明】
1 箱形ケース 1A 前面壁 1B ストッパー突起 2 円筒状軸受 3 回転操作軸 3A 延長部 7 弾性摺動接点 10 抵抗基板 11 印刷抵抗素子 12 蓋板 13 脚部 14 端子 21 クリックばね 21A,21B 弾性アーム 22 山形弾接部 22A 外側弾接部 22B 内側弾接部 23 回転体 24 クリック板 25 外側凹凸部 26 内側凹凸部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西本 巧 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (56)参考文献 実開 昭62−157104(JP,U) 実開 平4−97305(JP,U) 実開 平2−157104(JP,U) 実開 昭61−151302(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01C 10/00 H01C 10/34

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転中心から所定の角度ピッチで放射状
    凹凸部が設けられたクリック板と、取付部から伸ばされ
    た対称な二本の弾性アームの連結部およびここから回転
    中心方向に突出した部分からなる細長い山形弾接部を有
    するクリックばねとで構成され、両者が同心で放射状凹
    凸部に山形弾接部が弾接するように配されると共に、一
    方が固定され他方が回転する回転クリック機構。
  2. 【請求項2】 クリック板の放射状凹凸部が、クリック
    ばねの山形弾接部の連結部(外側)に弾接する領域と突
    出部(内側)に弾接する領域に分けられたものである請
    求項1記載の回転クリック機構。
  3. 【請求項3】 クリック板の放射状凹凸部が、クリック
    ばねの山形弾接部の全域が弾接する領域と突出部(内
    側)のみが弾接する領域に分けられた請求項1記載の回
    転クリック機構。
  4. 【請求項4】 クリック板の放射状凹凸部のうち、クリ
    ックばねの山形弾接部の連結部(外側)が弾接する領域
    の凹凸段差を、突出部(内側)が弾接する同領域よりも
    大きくした請求項1〜3いずれか記載の回転クリック機
    構。
  5. 【請求項5】 クリック板の放射状凹凸部のうち、クリ
    ックばねの山形弾接部の連結部(外側)が弾接する領域
    の角度ピッチを突出部(内側)が弾接する同領域よりも
    大きくした請求項2または4記載の回転クリック機構。
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