JP3457912B2 - 安定化された塩化ビニル系樹脂組成物 - Google Patents

安定化された塩化ビニル系樹脂組成物

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JP3457912B2
JP3457912B2 JP15786999A JP15786999A JP3457912B2 JP 3457912 B2 JP3457912 B2 JP 3457912B2 JP 15786999 A JP15786999 A JP 15786999A JP 15786999 A JP15786999 A JP 15786999A JP 3457912 B2 JP3457912 B2 JP 3457912B2
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竹雄 芝辻
正宏 関口
秀一 築田
淳一 石井
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昭島化学工業株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、安定化された塩
化ビニル系樹脂組成物に関し、特に低毒性または無毒性
の金属塩化合物と熱安定化助剤および耐候性向上剤とを
組合わせて含有してなる安定化された塩化ビニル系樹脂
組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】塩化ビニル系樹脂組成物は各種の優れた
性質を有するが、これを熱成形加工すると脱塩化水素を
ともなう分解を起こして成形品を着色し、その商品価値
を低下させる欠点がある。このため、従来から、これに
種々の安定剤を添加して熱安定化させることが広く行わ
れている。
【0003】こうした安定剤の成分は、例えばBa−Z
n系またはCa−Zn系の金属石けんに、有機亜リン酸
エステル化合物、ヒンダードフェノール系酸化防止剤あ
るいはエポキシ化合物などを組合わせたものである。
【0004】上記の安定剤成分を添加して熱安定化する
方法は、毒性面で問題はないが、熱成形加工時の劣化に
よる着色の防止性能においてはなお十分ではなく、その
一層の性能改善が求められていた。このため、従来から
上記の安定剤に、さらに各種の安定化助剤を添加してよ
り一層その性能を向上する方法が多数提案されている。
【0005】本出願人も、特公昭52−47948号お
よび同57−9386号でβ−ジケ卜ン化合物を用いる
方法を、特公昭57−39260号ではβ−ジケトンの
金属塩化合物を用いる方法を、特公昭61−44899
号てはケトアセトニトリル化合物を用いる方法を、特公
平1−58213号および同1−58214号ではシク
ロペンタノンおよびシクロヘキサノン化合物を用いる方
法を提案した。
【0006】上記の方法を用いると、熱成形加工時の劣
化による着色の防止性能は大幅に向上するが、これらの
方法は加工製品が屋外に曝露された際に紫外線や酸性雨
による劣化を防止する、いわゆる耐候性までも改善する
ものではなかった。
【0007】そこで、本出願人はこの耐候性を向上させ
るため、下記の一般式(2)または(3)
【0008】
【化8】
【0009】
【化9】
【0010】(式中、Rはアルキル、アリール、アルキ
ルアリール、アリールアルキル、アルケニルまたはシク
ロアルキルを表し、またMは金属のカルシウム、バリウ
ム、マグネシウムまたは亜鉛を表す。)で表される有機
リン酸エステル金属塩の少なくとも一種を添加すること
で、この目的を達成した。これらの有機リン酸エステル
の金属塩を添加することで耐候性の向上を図った例は従
前にもあった。しかし、従来の配合処方に単にこの化合
物を添加しただけでは、耐候性は確かに向上することは
できても、熱加工時の初期着色を生じまた製品の透明性
を悪化させるという欠点があった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、塩化ビニ
ル系樹脂に、低毒性または無毒性の金属塩化合物と新規
な熱安定化助剤および耐候性向上剤とを組合わせて添加
し、これによって塩化ビニル系樹脂組成物の熱安定性、
特に初期着色および黒色分解(炭化)の防止と、成形品
の透明性を損なうこと無しに耐候性を向上しようとする
ものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】この発明は塩化ビニル系
樹脂100重量部に、(a)カルボン酸またはアルキル
フェノールの金属塩化合物の少なくとも一種0.1〜5
重量部と、(b)β−ジケトン化合物の少なくとも一種
0.0005〜3重量部と、(c)下記の一般式(1)
【0013】
【化10】
【0014】(式中、Rはアルキル、アリール、アルキ
ルアリール、アリールアルキル、アルケニル、シクロア
ルキル、アルキレンまたはアシル基を表し、またnは4
〜55、xは1または2の数を表す。)で表されるポリ
オキシエチレン有機基エーテルリン酸エステルに、リン
酸または亜リン酸を加えて加熱して得た加熱溶解物の少
なくとも一種0.0005〜2重量部と、(d)下記の
一般式(2)または(3)
【0015】
【化11】
【0016】
【化12】
【0017】(式中、Rはアルキル、アリール、アルキ
ルアリール、アリールアルキル、アルケニルまたはシク
ロアルキルを表し、またMは金属のカルシウム、バリウ
ム、マグネシウムまたは亜鉛を表す。)で表される有機
リン酸モノエステルの金属塩または有機リン酸ジエステ
ルの金属塩の少なくとも一種0.001〜3重量部を組
合わせて含有してなる安定化された塩化ビニル系樹脂組
成物(請求項1)、塩化ビニル系樹脂100重量部に、
(a)カルボン酸またはアルキルフェノールの金属塩化
合物の少なくとも一種0.1〜5重量部と、(b)β−
ジケトン化合物の少なくとも一種0.0005〜3重量
部と、(c)下記一般式(1)
【0018】
【化13】
【0019】(式中、Rはアルキル、アリール、アルキ
ルアリール、アリールアルキル、アルケニル、シクロア
ルキル、アルキレンまたはアシル基を表し、またnは4
〜55、xは1または2の数を表す。)で表されるポリ
オキシエチレン有機基エーテルリン酸エステルに、リン
酸または亜リン酸を加えて加熱して得た加熱溶解物の少
なくとも一種0.0005〜2重量部と、(d)下記の
一般式(2)または(3)
【0020】
【化14】
【0021】
【化15】
【0022】(式中、Rはアルキル、アリール、アルキ
ルアリール、アリールアルキル、アルケニルまたはシク
ロアルキルを表し、またMは金属のカルシウム、バリウ
ム、マグネシウムまたは亜鉛を表す。)で表される有機
リン酸モノエステルの金属塩または有機リン酸ジエステ
ルの金属塩の少なくとも一種0.001〜3重量部と、
(e)下記の一般式(4) MgZnAl・(OH)2x+2y+4・ (CO1−z/2(ClO・mHO (4) (式中、x、yおよびzは下記式で表される条件を満足
する数を示し、mは0または任意の数を示す。0<x<
10、0≦y<10、2≦x+y<20、0≦z<2)
で表される化合物の少なくとも一種0.001〜10重
量部とを組合わせて含有してなる安定化された塩化ビニ
ル系樹脂組成物(請求項2)、カルボン酸またはアルキ
ルフェノールの金属塩化合物の金属が、バリウム−亜
鉛、カルシウム−亜鉛またはカルシウム−マグネシウム
−亜鉛のいずれかの組合わせである請求項1または2に
記載の安定化された塩化ビニル系樹脂組成物(請求項
3)、金属塩化合物が、バリウムもしくはカルシウムの
過塩基性カルボキシレートカーボネート錯体または過塩
基性アルキルフェノレートカーボネート錯体のいずれか
と、亜鉛カルボキシレートとの組合わせである請求項1
または2に記載の安定化された塩化ビニル系樹脂組成物
(請求項4)、β−ジケトン化合物が、ジベンゾイルメ
タン、パルミトイルベンゾイルメタンまたはステアロイ
ルベンゾイルメタンのいずれかである請求項1または2
に記載の安定化された塩化ビニル系樹脂組成物(請求項
5)および一般式(1)
【0023】
【化16】
【0024】(式中、Rはアルキル、アリール、アルキ
ルアリール、アリールアルキル、アルケニル、シクロア
ルキル、アルキレンまたはアシル基を表し、またnは4
〜55、xは1または2の数を表す。)で表されるポリ
オキシエチレン有機基エーテルリン酸エステルが、トリ
デシルポリオキシエチレン(4〜10)リン酸またはノ
ニルフェニルポリオキシエチレン(5〜55)リン酸の
いずれかである請求項1または2に記載の安定化された
塩化ビニル系樹脂組成物(請求項6)である。以下にこ
れらの発明をさらに説明する。
【0025】請求項1の発明は、カルボン酸またはアル
キルフェノールの金属塩化合物の少なくとも一種0.1
〜5重量部と、β−ジケトン化合物の少なくとも一種
0.0005〜3重量部と、下記の一般式(1)
【0026】
【化17】
【0027】(式中、Rはアルキル、アリール、アルキ
ルアリール、アリールアルキル、アルケニル、シクロア
ルキル、アルキレンまたはアシル基を表し、またnは4
〜55、xは1または2の数を表す。)で表されるポリ
オキシエチレン有機基エーテルリン酸エステルに、リン
酸または亜リン酸を加えて加熱して得た加熱溶解物の少
なくとも一種0.0005〜2重量部と、上記の一般式
(2)または(3)
【0028】
【化18】
【0029】
【化19】
【0030】(式中、Rはアルキル、アリール、アルキ
ルアリール、アリールアルキル、アルケニルまたはシク
ロアルキルを表し、またMは金属のカルシウム、バリウ
ム、マグネシウムまたは亜鉛を表す。)で表される有機
リン酸モノエステルの金属塩または有機リン酸ジエステ
ルの金属塩の少なくとも一種0.001〜3重量部との
四成分を組合わせて含有してなる安定化された塩化ビニ
ル系樹脂組成物である。
【0031】この発明で用いる金属塩化合物の金属は、
ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、バ
リウムまたは亜鉛であり、これらの二種以上で用いられ
る。この場合の金属の組合わせは、バリウム−亜鉛、カ
ルシウム−亜鉛が好適である。またこの金属と結合する
有機残基は、カルボン酸またはアルキルフェノール類で
ある。
【0032】カルボン酸は、炭素数2〜22の飽和また
は不飽和脂肪族のカルボン酸、炭素数7〜16の環式ま
たは複素環式カルボン酸、炭素数2〜10のヒドロキシ
酸またはアルコキシ酸、炭素数2〜9のアミノカルボン
酸であり、例えば酢酸、プロピオン酸、オクタン酸、2
−エチルヘキサン酸、デカン酸、イソデカン酸、ネオデ
カン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ス
テアリン酸、イソステアリン酸、12−ヒドロキシステ
アリン酸、べへン酸、炭素数15〜16のトリアルキル
酢酸、オレイン酸、リノール酸、リシノール酸、アジピ
ン酸、セバシン酸、安息香酸、トルイル酸、キシリル
酸、p−t−ブチル安息香酸、フタル酸、フタル酸モノ
エステル、サリチル酸、アミノ酢酸、N−メチルアミノ
酢酸、2−アミノプロピオン酸、3−アミノプロピオン
酸、2−アミノ酪酸、3−アミノ酪酸、4−アミノ酪
酸、2−アミノ吉草酸、2−アミノイソ吉草酸、2−ア
ミノ−2−メチル酪酸、2−アミノヘキサン酸、2−ア
ミノ−3−ヒドロキシプロピオン酸、アミノコハク酸、
2−アミノ−3−カルバモイルプロピオン酸、2−アミ
ノグルタル酸、N−アセチルアミノ酢酸、N−グリシル
アミノ酢酸、N−ベンゾイルアミノ酢酸またはこれらの
混合カルボン酸である。
【0033】また、アルキルフェノールとしては、例え
ばp−t−ブチルフェノール、p−t−オクチルフェノ
ール、ノニルフェノール、ジノニルフェノール、デシル
フェノール、ドデシルフェノールである。
【0034】これらのカルボン酸の金属塩化合物および
アルキルフェノールの金属塩化合物は、酸性塩または中
性塩であってもよく、さらに塩基性塩もしくは過塩基性
塩であってもよい。また、この金属塩化合物の添加量
は、塩化ビニル系樹脂100重量部に対し、0.1〜5
重量部、好ましくは0.3〜3重量部である。添加量が
0.1重量部未満では熱安定性が十分でなく、5重量部
を超えるとプレートアウ卜、ブルームまたはブリードを
生じ、透明性も悪化させてしまう。
【0035】請求項1の安定剤成分(b)のβ−ジケト
ン化合物は、例えばデヒドロ酢酸、シクロヘキサン−
1,3−ジオン、2−アセチルシクロペンタノン、2−
ベンゾイルシクロペンタノン、2−アセチルシクロヘキ
サノン、2−ベンゾイルシクロヘキサノン、アセチルス
テアロイルメタン、アセチルアセトン、ベンゾイルアセ
トン、パルミトイルベンゾイルメタン、ステアロイルベ
ンゾイルメタン、ジベンゾイルメタン、トリベンゾイル
メタン、4−メトキシベンゾイル−ベンゾイルメタン、
ビス(4−メトキシベンゾイルメタン)、4−クロロベ
ンゾイル−ベンゾイルメタン、ベンゾイルトリフルオロ
アセトン、テノイルトリフルオロアセトン、パルミトイ
ルテトラロン、ステアロイルテトラロン、そしてベンゾ
イルテトラロンなどである。
【0036】このβ−ジケトン化合物は金属錯塩であっ
てもよく、錯塩を構成する金属としては、ナトリウム、
カルシウム、バリウムまたは亜鉛である。これらのβ−
ジケトン化合物の添加量は、塩化ビニル系樹脂100重
量部に対し、0.0005〜3重量部、好ましくは0.
005〜1重量部である。添加量が0.0005重量部
未満では着色防止性が十分でなく、3重量部を超えると
黒色分解(炭化)を促進させてしまう。
【0037】請求項1の安定剤成分(c)は、リン酸ま
たは亜リン酸に、下記の一般式(1)
【0038】
【化20】
【0039】(式中、Rはアルキル、アリール、アルキ
ルアリール、アリールアルキル、アルケニル、シクロア
ルキル、アルキレンまたはアシル基を表し、またnは4
〜55、xは1または2の数を表す。)で表されるポリ
オキシエチレン有機基エーテルリン酸エステルを加えて
加熱して溶解させたものである。ポリオキシエチレン有
機基エーテルリン酸エステルは、元来金属塩との反応性
に乏しいが、これをリン酸または亜リン酸とともに加熱
溶解することにより反応性に富んだ化合物に変化し、こ
の化合物を添加して熱成形加工をした際に、塩化ビニル
系樹脂組成物中に混在する亜鉛塩と反応して錯化合物が
生成され、これがプレートアウトを防止し、透明性と熱
安定性の向上に効果的な働きをする。この(c)成分
は、塩化ビニル系樹脂100重量部に対し、0.000
5〜2重量部、好ましくは0.001〜1重量部添加さ
れる。添加量が0.0005重量部未満では透明性、熱
安定性、初期着色防止性およびプレートアウト防止性が
十分でなく、2重量部を超えると後期の色を悪化させ、
成形加工機への粘着の原因となる。
【0040】請求項1の安定剤成分(d)は、下記の一
般式(2)または(3)
【0041】
【化21】
【0042】
【化22】
【0043】(式中、Rはアルキル、アリール、アルキ
ルアリール、アリールアルキル、アルケニルまたはシク
ロアルキルを表し、またMは金属のカルシウム、バリウ
ム、マグネシウムまたは亜鉛を表す。)で表される有機
リン酸モノエステルの金属塩または有機リン酸ジエステ
ルの金属塩である。これらは、例えばモノ(2−エチル
ヘキシル)アシッドホスフェートのカルシウム、バリウ
ム、マグネシウムまたは亜鉛塩、ジ(2−エチルヘキシ
ル)アシッドホスフェートのカルシウム、バリウム、マ
グネシウムまたは亜鉛塩、モノラウリルアシッドホスフ
ェートのカルシウム、バリウム、マグネシウムまたは亜
鉛塩、ジラウリルアシッドホスフェートのカルシウム、
バリウム、マグネシウムまたは亜鉛塩、モノオレイルア
シッドホスフェートのカルシウム、バリウム、マグネシ
ウムまたは亜鉛塩、ジオレイルアシッドホスフェートの
カルシウム、バリウム、マグネシウムまたは亜鉛塩、モ
ノステアリルアシッドホスフェートのカルシウム、バリ
ウム、マグネシウムまたは亜鉛塩、ジステアリルアシッ
ドホスフェートのカルシウム、バリウム、マグネシウム
または亜鉛塩、モノテトラコシルアシッドホスフェート
のカルシウム、バリウム、マグネシウムまたは亜鉛塩、
ジテトラコシルアシッドホスフェートのカルシウム、バ
リウム、マグネシウムまたは亜鉛塩、モノ(2,4−ジ
−t−ブチルフェニル)アシッドホスフェートのカルシ
ウム、バリウム、マグネシウムまたは亜鉛塩、ジ(2,
4−ジ−t−ブチルフェニル)アシッドホスフェートの
カルシウム、バリウム、マグネシウムまたは亜鉛塩など
である。これらの中で、特に好ましいのはモノ(2−エ
チルヘキシル)アシッドホスフェートのマグネシウム
塩、ジ(2−エチルヘキシル)アシッドホスフェートの
マグネシウム塩、モノオレイルアシッドホスフェートの
亜鉛塩、ジオレイルアシッドホスフェートの亜鉛塩、モ
ノステアリルアシッドホスフェートの亜鉛塩、ジステア
リルアシッドホスフェートの亜鉛塩である。これらの化
合物の添加量は、塩化ビニル系樹脂100重量部に対
し、0.001〜3重量部、好ましくは0.01〜1重
量部である。添加量が0.001重量部未満では耐候性
を向上させるのに十分でなく、3重量部を超えると熱加
工時に初期着色およびプレアウトを生じ、製品の透明性
を悪化させてしまう。
【0044】請求項2の発明は、塩化ビニル系樹脂に上
記の請求項1の発明と同じの(a)金属塩化合物、
(b)β−ジケトン化合物、(c)ポリオキシエチレン
有機基エーテルリン酸エステル、リン酸または亜リン酸
との加熱溶解物、(d)有機リン酸モノエステルの金属
塩または有機リン酸ジエステルの金属塩とを添加し、さ
らに熱安定性の向上のために(e)成分として合成ハイ
ドロタルサイト化合物をさらに添加して5成分を組合わ
せて含有してなる安定化された塩化ビニル系樹脂組成物
である。この請求項2の発明の安定剤(a)乃至(d)
の成分については、上記の通りである。成分(e)の合
成ハイドロタルサイト化合物は、上記の一般式(4) MgZnAl・(OH)2x+2y+4・ (CO1−z/2(ClO・mHO (4) (式中、Rはアルキル、アリール、アルキルアリール、
アリールアルキル、アルケニル、シクロアルキル、アル
キレンまたはアシル基を表し、またnは4〜55、xは
1または2の数を表す。)で表されるものであるが、こ
れらの化合物の性状としては脱結晶水開始温度は約23
0℃、多分子層吸着の吸着等温式であるいわゆるBET
比表面積は20m2/g以下、そして粒度分布は1μm
未満が92%以上であることが好ましい。代表的な化合
物は、例えばMgAl(OH) 12CO・3H
O〔以下(HT−1)という。〕、Mg4MgAl
(OH)12CO・0〜2HO〔以下(HT−2)
という。〕、MgZnAl (OH)12CO・3
O〔以下(HT−3)という。〕、MgZnAl
(OH)12CO・0〜1HO〔以下(HT−
4)という。〕、MgAl(OH)12(CO
1−x/2(ClO・0〜6HO〔式中、(x
=0.5〜2.0)である。〕〔以下(HT−5)とい
う。〕、MgZnAl(OH)12(CO
1−x/2(ClO・0〜6HO〔式中、(x
=0.5〜2.0)である。〕〔以下(HT−6)とい
う。〕などである。これらの合成ハイドロタルサイト化
合物は、塩化ビニル系樹脂100重量部に対し、0.0
01〜10重量部、好ましくは0.01〜5重量部添加
される。添加量が0.001重量部未満では加工時の黒
色分解(炭化)の防止性と、得られた成形品の長期耐熱
(蓄熱)性が十分でなく、10重量部を超えると着色が
激しく透明性も極端に悪くなる。
【0045】請求項3は、金属塩化合物の金属をバリウ
ム−亜鉛、カルシウム−亜鉛またはカルシウム−マグネ
シウム−亜鉛のいずれかの組合わせに特定したものであ
る。また、請求項4は、金属塩化合物の金属と結合する
有機残基を特定したものである。請求項5は、β−ジケ
トン化合物を特定したものである。さらに、請求項6
は、下記一般式(1)
【0046】
【化23】
【0047】(式中、Rはアルキル、アリール、アルキ
ルアリール、アリールアルキル、アルケニル、シクロア
ルキル、アルキレンまたはアシル基を表し、またnは4
〜55、xは1または2の数を表す。)で表されるポリ
オキシエチレン有機基エーテルリン酸エステルを特定し
たものである。
【0048】この発明は、上記の安定剤成分を含む外に
各種の安定化助剤、その他の添加剤を併用することがで
きる。例えば有機亜リン酸エステル、ヒンダードフェノ
ール系または含イオウアルキルエステルなどの酸化防止
剤、エポキシ化合物、過塩素酸塩、多価アルコールまた
はこのエステル、紫外線吸収剤、光安定剤、無機酸化物
または無機金属塩化合物、界面活性剤、滑剤などの添加
剤であり、これらはその目的に応じて適宜に使用するこ
とができる。
【0049】有機亜リン酸エステルは、トリアルキルホ
スファイト、トリアリールホスファイト、アルキルアリ
ールホスファイト、ビスフェノール−A−ホスファイ
ト、多価アルコールホスファイト、サリチルホスファイ
ト、エステル残基の有機基の一つ以上が水素原子によっ
て置換されたアシッドホスファイトなどによって代表さ
れ、このホスファイト化合物は、例えばトリフェニルホ
スファイト、トリイソオクチルホスファイト、トリイソ
デシルホスファイト、トリイソトリデシルホスファイ
ト、トリイソデシルチオホスファイト、トリベンジルホ
スファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、ジフ
ェニルイソオクチルホスファイト、ジフェニルイソデシ
ルホスファイト、ジフェニルトリデシルホスファイト、
ジイソデシルペンタエリスリトールジホスファイト、テ
トラフェニルジプロピレングリコールジホスファイト、
ポリ(ジプロピレングリコール)フェニルホスファイ
ト、トリラウリルトリチオホスファイト、ジステアリル
ペンタエリスリトールジホスファイト、トリ−2,4−
ジ−t−ブチルフェニルホスファイト、2,4−ジ−t
−ブチルフェニルジイソデシルホスファイト、トリブト
キシエチルホスファイト、4,4′−イソプロピリデン
ジフェニルアルキル(Cl2−C15)ジホスファイ
ト、4,4′−イソプロピリデンジシクロヘキシルアル
キル(Cl2−C15)ジホスファイト、へプタキス
(ジプロピレングリコール)トリホスファイト、サリチ
ルオクチルホスファイトなどである。
【0050】また、上記の亜リン酸エステル中の有機残
基の一つ以上が水素原子によって置換されたアシッドホ
スファイトも有効であり、例えばジフェニルアシッドホ
スファイト、モノフェニルアシッドホスファイト、ジイ
ソオクチルアシッドホスファイト、モノイソオクチルア
シッドホスファイト、ジトリデシルアシッドホスファイ
ト、ジベンジルアシッドホスファイト、ジノニルフェニ
ルアシッドホスファイトなどである。
【0051】酸化防止剤としては、ヒンダードフェノー
ル類、例えばアルキル化フェノール、アルキル化フェノ
ールエステル、アルキレンまたはアルキリデンビスフェ
ノール、ポリアルキル化フェノールエステルてあり、こ
れらは、例えばブチル化ヒドロキシトルエン、4−ヒド
ロキシメチル−2,6−ジ−t−ブチルフェノール、
4,4′−ジヒドロキシ−2,2′−ジフェニルプロパ
ン、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブ
チルフェノール)、4,4′−チオビス(6−t−ブチ
ル−3−メチルフェノール)、テトラキス〔メチレン−
3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシ
フェニル)プロピオネート〕メタンである。そして、含
イオウアルカン酸アルキルエステルとしては、例えばジ
ラウリルチオプロピオン酸エステル、ジステアリルチオ
ジプロピオン酸エステルなどである。
【0052】エポキシ化合物は、エポキシ化不飽和油
脂、エポキシ化不飽和脂肪酸エステル、エポキシシクロ
ヘキサン誘導体またはエピクロロヒドリン誘導体であ
り、例えばエポキシ化大豆油、エポキシ化ヒマシ油、エ
ポキシ化アマニ油、エポキシ化サフラワー油、エポキシ
化アマニ油脂肪酸ブチル、エポキシステアリン酸のブチ
ル、イソオクチル、2−エチルヘキシルなどのアルキル
エステル、3−(キセノキシ)−1,2−エポキシプロ
パン、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ−2−エチルヘ
キシル、エポキシポリブタジエン、ビスフェノール−A
−ジグリシジルエーテルなどである。
【0053】過塩素酸塩は、過塩素酸のナトリウム塩、
マグネシウム塩、カルシウム塩、バリウム塩またはアル
キルアンモニウム塩などである。また、これらの過塩素
酸塩と、多価アルコールまたはこの誘導体とからなる錯
化合物であってもよい。これらの化合物は長期耐熱(蓄
熱)助剤として有用である。
【0054】その他の安定化助剤としては、多価アルコ
ール、例えばモノおよびジペンタエリスリトール、マン
ニトール、ソルビトール、トレハロースであり、この多
価アルコールとカルボン酸、アミノ酸またはロジンとの
エステル化合物、例えばステアリン酸ペンタエリスリト
ール、アジピン酸ペンタエリスリトール、アジピン酸ジ
ペンタエリスリトール、ピロリドンカルボン酸ジペンタ
エリスリトール、グルタミン酸ジペンタエリスリトー
ル、ウッドロジンペンタエリスリトール、無水マレイン
酸変性ウッドロジンペンタエリスリトール、ウッドロジ
ングリセロールエステルである。尚、これらのエステル
化合物は部分エステル化合物であってもよい。また、含
窒素化合物であるβ−アミノクロトン酸と1,3または
1,4−ブタンジオール、1,2−ジプロピレングリコ
ール、チオジエチレングリコールラウリルアルコールな
どとのエステル化合物、そしてトリス(2−ヒドロキシ
エチル)イソシアヌレートなどのイソシアヌレート化合
物である。これらは加工時の熱安定性や、成形品の長期
耐熱(蓄熱)性を向上させる。
【0055】紫外線吸収剤として用いられるものはベン
ゾトリアゾール系、ヒンダードアミン系などによって代
表される公知のものであってもよく、また、光安定剤に
ついてもピペリジン化合物などのヒンダードアミン系に
代表される公知のものであってよい。これらは成形品の
太陽光、雨水などに起因する劣化変色または白亜化(チ
ョーキング)をさらに防止したい場合に添加される。
【0056】また、無機酸化物または無機金属塩化合物
は、例えは金属がナトリウム、カリウム、マグネシウ
ム、カルシウム、バリウム、亜鉛、アルミニウムまたは
錫で、これらの金属の酸化物、水酸化物、ケイ酸塩、ほ
う酸塩、硫酸塩、亜リン酸塩、リン酸塩、塩基性炭酸
塩、塩基性リン酸塩、錫酸塩、ヒドロキシ錫酸塩であ
る。そして、これらの化合物は複塩であっても、また無
水和物でも結晶水を有する水和物であってもよく、さら
には混合物などの形態をとっていてもよい。
【0057】これらの化合物の代表的なものは、例えば
酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化ケ
イ素、酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マ
グネシウム、水酸化バリウム、水酸化アルミニウム、ケ
イ酸ナトリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸亜鉛、ケイ
酸アルミニウム、ケイ酸カリウム−アルミニウム(マイ
カ)、ほう酸ナトリウム、ほう酸カリウム、ほう酸アル
ミニウム、硫酸アルミニウム、硫酸アルミニウム18水
和物、硫酸アルミニウム−カリウム12水和物、硫酸ア
ルミニウム−ナトリウム12水和物、リン酸ナトリウ
ム、ピロリン酸ナ卜リウム、リン酸マグネシウム、リン
酸カルシウム、オルトリン酸カルシウム、オルトリン酸
亜鉛、錫酸亜鉛、ヒドロキシ錫酸亜鉛、ナトリウム、カ
ルシウム、マグネシウムまたは亜鉛で置換されたA型ゼ
オライト、ワラストナイト、トベルモライト類などであ
る。これらの添加は熱安定性や耐候性の向上以外にも、
プレートアウト、ブルームおよびブリードの防止、印刷
適性や難燃性の付与などに好適である。
【0058】上記の安定化助剤以外にも、加工性をより
一層改善すると共に、防曇性、帯電防止性、印刷適性、
抗菌性などを付与する目的て滑剤、ゲル化促進剤、界曲
活性剤、抗菌および防黴剤などを適宜使用することがで
きる。
【0059】この発明の安定化された塩化ビニル系樹脂
組成物は、成形品の用途に応じて可塑剤、例えばアジピ
ン酸エステルやフタル酸エステルなどの添加量の増減に
より、硬質から軟質までの広範囲にわたる成形品を得る
ことができる。また、必要に応じて充填剤、顔料、防錆
剤、架橋剤、艶消し剤、発泡剤その他の加工助剤を適宜
併用することができる。
【0060】この発明における塩化ビニル系樹脂として
は、乳化重合、懸濁重合、塊状重合、溶液重合などその
重合方法には特に限定されず、例えばポリ塩化ビニル、
塩素化ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合
体、塩化ビニル−エチレン共重合体、塩化ビニル−プロ
ピレン共重合体、塩化ビニル−スチレン共重合体、塩化
ビニル−イソブチレン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニ
リデン共重合体、塩化ビニル−ウレタン共重合体、塩化
ビニル−ブタジエン共重合体、塩化ビニル−イソプレン
共重合体、塩化ビニル−塩素化プロピレン共重合体、塩
化ビニル−マレイン酸エステル共重合体、塩化ビニル−
メタアクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−アクリ
ロニトリル共重合体、塩化ビニル−各種ビニルエーテル
共重合体、塩化ビニル−スチレン−無水マレイン酸三元
共重合体、塩化ビニル−スチレン−アクリロニトリル三
元共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン−酢酸ビニル
三元共重合体などの塩化ビニル系樹脂、およびそれら相
互のブレンド品あるいは他の塩素を含まない合成樹脂、
例えばアクリロニトリル−スチレン共重合体、エチレン
−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチル(メタ)アク
リレート共重合体、ポリエステルなどとのブレンド品、
ブロック共重合体、グラフト共重合体などをあげること
ができる。
【0061】
【実施例】以下に、実施例および比較例を示し、この発
明をさらに具体的に説明するが、この発明の範囲が次に
あげたこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0062】(合成例1〜4)ここに挙げる合成例は、
この発明の(c)成分を合成するものであるが、勿論こ
れらの事例に限定されるものてはない。
【0063】合成例1 卜リデシルポリオキシエチレン(4〜10)リン酸80
gおよびリン酸20gを秤量し、130℃て5分間攪拌
後、濾過して淡黄色の油状液体を得た。
【0064】合成例2 卜リデシルポリオキシエチレン(4〜10)リン酸80
gおよび亜リン酸20gを秤量し、130℃で5分間攪
拌後、濾過して淡黄色の油状液体を得た。
【0065】合成例3 ノニルフェニルポリオキシエチレン(5〜55)リン酸
80gおよびリン酸20gを秤量し、130℃で5分間
攪拌後、濾過して淡黄色の油状液体を得た。
【0066】合成例4 ノニルフェニルポリオキシエチレン(5〜55)リン酸
80gおよび亜リン酸20gを秤量し、130℃で5分
間攪拌後、濾過して淡黄色の油状液体を得た。
【0067】(実施例1〜3、比較例1〜4)この発明
で用いる(a)〜(e)成分を組み合わせ添加してなる
安定化された塩化ビニル系樹脂組成物を得た。このもの
の熱安定性、プレートアウト防止性、透明性、剥離滑性
などの挙動を調べた。この配合及び試験方法は以下の通
りである。
【0068】 配合 ポリ塩化ビニル(重合度1300) 100 重量部 アジピン酸ジイソノニル 40 〃 エポキシ化大豆油 10 〃 イソステアリン酸 0.3 〃 ポリグリセリンオレー卜 1.0 〃 ソルビタンモノラウレー卜 2.0 〃 安息香酸カルシウム 0.1 〃 オレイン酸亜鉛 0.1 〃 リシノ一ル酸亜鉛 0.1 〃 ※(a)〜(d)成分 表1に記載 〃 ※上記(a)〜(d)の各成分は以下に示す化合物であ
る。 (a−1):カルシウムの過塩基性オレートカーボネー
ト錯体 (b−1):ステアロイルベンゾイルメタン (c−1):合成例1の成分 (c−2):合成例2の成分 (d−1):ジステアリルアシッドホスフェートの亜鉛
塩 (e−1):HT−2(協和化学工業株式会社製の商品
名:アルカマイザ−2)
【0069】試験 1 上記の配合組成物を、185℃に加熱した混練ロールで
5分間混練して厚さ0.5mmの均一なシートを作成
し、このシートから一部を採取した。これを原シートと
した。ロール面上のシートは、更に15分間継続して混
練した。このローリング試験で熱経時によるシートの着
色、プレートアウト(押出成形加工時の目ヤニに相当す
る。)、滑性などを調べた。この結果を表1に示した。
【0070】この着色の判定は以下の数値で表に示し
た。5は無着色、4は微黄色、3は黄色、2は黄褐色、
1は赤褐色である。次にプレートアウトの判定は以下の
数値で表示した。5は全く汚れない、4は僅かに汚れ
る、3は少し汚れる、2は汚れる、1は酷く汚れるであ
る。そして滑性の判定は以下の数値で表示した。5は非
常に良い、4は良い、3は少し悪い、2は悪い、1は非
常に悪いである。尚、これらの数値が4以上であれば工
業上の実施において何等の支障はない。
【0071】試験 2 前記の原シートを使ってプレス成形機にて185℃て5
分間プレス(150kg/cm2)して厚さ3mmのプ
レート板を作製した。このプレート板により透明性を調
べ、この結果を表1に示した。この透明性の判定は以下
の数値で表示した。5は非常に良い、4は良い、3は少
し悪い、2は悪い、1は非常に悪いである。尚、この数
値が4以上であれば工業上の実施において何等の支障は
ない。
【0072】試験 3 更に、原シートから短冊状の試験片を作製し、これを1
90℃に加熱したギャーオーブン老化試験機にかけ、熱
劣化による着色及び黒色分解までの時間を調べ、この結
果を表1に示した。この着色の判定は以下の数値で表に
示した。5は無着色、4は微黄色、3は黄色、2は黄褐
色、1は赤褐色である。尚、この数値が30分経過時に
4以上であれば工業上の実施において何等の支障はな
い。また、黒色分解までの時間については分単位で表示
した。尚、この数値が80分以上であれば工業上の実施
において何等の支障はない。
【0073】
【表1】
【0074】表1から明かなように、比較例に対して、
この発明によると着色、プレートアウト(押出成形加工
の場合には、ダイスやスクリュー部に堆積する目ヤニに
相当する。)、滑性、透明性、黒色分解時間の全ての点
で優れた結果を示している。
【0075】(実施例4〜6、比較例5〜8)この発明
で用いる(a)〜(e)成分を組み合わせ添加してなる
安定化された硬質押出雨樋用塩化ビニル系樹脂組成物を
得た。これについて熱安定性、プレートアウト防止性、
耐候性(チョーキングいわゆる白亜化の防止性)なとの
挙動を調べた。この配合、試験方法および試験条件は以
下の通りに行い、この結果を表2に示した。
【0076】 配合 ポリ塩化ビニル(重合度1000) 100 重量部 軽質炭酸カルシウム 7.0 〃 ベンガラ 0.6 〃 カーボンブラック 0.01 〃 多価アルコール脂肪酸エステル(滑剤) 1.0 〃 ステアリン酸亜鉛 0.6 〃 酸化マグネシウム 0.3 〃 酸化ケイ素 0.2 〃 合成ゼオライト 3.0 〃 ジペンタエリスリトールとアジピン酸との部分エステル 0.2 〃 2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチル フェノール 0.1 ※(a)〜(e)成分 表2に記載 ※上記(a)〜(e)の各成分は以下に示す化合物であ
る。 (a−2):塩基性ステアリン酸カルシウム (b−2):ジベンゾイルメタン (c−3):合成例3の成分 (c−4):合成例4の成分 (d−2):モノステアリルアシッドホスフェートの亜
鉛塩 (e−2):HT−5(協和化学工業株式会社製の商品
名:アルカマイザ−5)
【0077】試験 4 上記の配合組成物を、表面温度200℃のミキシングロ
ール(電気誘導加熱式の加変速型テストロール機、15
5φ×380mm(ロール間隔=0.2mm前ロール回
転数=22r.p.m.後ロール回転数=20r.p.
m.)で10分間混練し、その間にロールの表面が付着
堆積物で汚れる度合を観察することでプレートアウトの
判定をし、この結果を表2に示した。尚、このプレート
アウトの判定は以下の数値で表に示した。5は全く汚れ
ない、4は僅かに汚れる、3は少し汚れる、2は汚れ
る、1は酷く汚れるである。尚、この数値か4以上てあ
れば工業上の実施において何等の支障はない。
【0078】試験 5 上記と同じミキシングロールにより、表面温度200℃
で5分間混練し、厚さ0.3mmの均一な原シートを作
成した。この原シートから短冊状の試験片を作成し、こ
れを200℃に加熱したギャーオーブン老化試験機にか
け、熱劣化分解するまでの時間を測定して高温加工時の
熱安定性を評価し、この結果を表2に示した。尚、この
測定時間が70分以上であれば工業上の実施において何
等の支障はない。
【0079】試験 6 更に、原シートを使ってプレス成形機にて195℃で2
分間プレス(200kg/cm2)してプレート(平
板)を作成し、このプレートを、大日本プラスチック
(株)社製の促進耐候性試験機(アイスーパーUVテス
ターW−13型、紫外線照射速度=50mW/cm2
ブラックパネル温度=45℃、サイクルモード=2(L
→D)、シャワーモード=3(D前後10秒間シャワ
ー)、L=45℃×70%、D=30℃×90%以上、
1サイクルは8hrでL/D=4hr/4hr.)にか
け、チョーキングの発生時間を測定し、この結果を表2
に示した。尚、この試験の160時間は実際に屋外に曝
露された場合の8ケ月間に相当する。屋外建材などの市
場においては、この測定時間が600時間以上になるこ
とが求められている。因みに現状は160〜240時間
である。
【0080】
【表2】
【0081】表2から明かなように、比較例に対して、
この発明によるとチョーキング、プレートアウト、加工
時の熱劣化分解時間の全ての点で優れた結果を示してい
る。特に、チョーキングは優れていることが分かる。
【0082】
【発明の効果】この発明の安定化された塩化ビニル系樹
脂組成物は、実施例に示されるように、熱成形加工時に
求められる熱安定性を損ねることなしにプレートアウト
の防止効果も優れているため作業性が著しく向上すると
共に、得られた成形品も透明性の悪化防止や屋外で使用
された際に発生するチョーキングを防止できて、商品価
値を著しく高めることかできる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C08K 5/52 C08K 5/52 (72)発明者 石井 淳一 東京都昭島市宮沢町521番地56号 ビク トリアK305号 (56)参考文献 特開 平5−287147(JP,A) 特開2000−95909(JP,A) 特開2000−38487(JP,A) 特開2000−239467(JP,A) 特開 平7−48493(JP,A) 特開 平10−251469(JP,A) 特開 平9−235436(JP,A) 特開 平4−59850(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 27/06

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 塩化ビニル系樹脂100重量部に、
    (a)カルボン酸またはアルキルフェノールの金属塩化
    合物の少なくとも一種0.1〜5重量部と、(b)β−
    ジケトン化合物の少なくとも一種0.0005〜3重量
    部と、(c)下記の一般式(1) 【化1】 (式中、Rはアルキル、アリール、アルキルアリール、
    アリールアルキル、アルケニル、シクロアルキル、アル
    キレンまたはアシル基を表し、またnは4〜55、xは
    1または2の数を表す。)で表されるポリオキシエチレ
    ン有機基エーテルリン酸エステルに、リン酸または亜リ
    ン酸を加えて加熱して得た加熱溶解物の少なくとも一種
    0.0005〜2重量部と、(d)下記の一般式(2)
    または(3) 【化2】 【化3】 (式中、Rはアルキル、アリール、アルキルアリール、
    アリールアルキル、アルケニルまたはシクロアルキルを
    表し、またMは金属のカルシウム、バリウム、マグネシ
    ウムまたは亜鉛を表す。)で表される有機リン酸モノエ
    ステルの金属塩または有機リン酸ジエステルの金属塩の
    少なくとも一種0.001〜3重量部を組合わせて含有
    してなる安定化された塩化ビニル系樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 塩化ビニル系樹脂100重量部に、
    (a)カルボン酸またはアルキルフェノールの金属塩化
    合物の少なくとも一種0.1〜5重量部と、(b)β−
    ジケトン化合物の少なくとも一種0.0005〜3重量
    部と、(c)下記一般式(1) 【化4】 (式中、Rはアルキル、アリール、アルキルアリール、
    アリールアルキル、アルケニル、シクロアルキル、アル
    キレンまたはアシル基を表し、またnは4〜55、xは
    1または2の数を表す。)で表されるポリオキシエチレ
    ン有機基エーテルリン酸エステルに、リン酸または亜リ
    ン酸を加えて加熱して得た加熱溶解物の少なくとも一種
    0.0005〜2重量部と、(d)下記の一般式(2)
    または(3) 【化5】 【化6】 (式中、Rはアルキル、アリール、アルキルアリール、
    アリールアルキル、アルケニルまたはシクロアルキルを
    表し、またMは金属のカルシウム、バリウム、マグネシ
    ウムまたは亜鉛を表す。)で表される有機リン酸モノエ
    ステルの金属塩または有機リン酸ジエステルの金属塩の
    少なくとも一種0.001〜3重量部と、(e)下記の
    一般式(4) MgZnAl・(OH)2x+2y+4・ (CO1−z/2(ClO・mHO (4) (式中、x、yおよびzは下記式で表される条件を満足
    する数を示し、mは0または任意の数を示す。0<x<
    10、0≦y<10、2≦x+y<20、0≦z<2)
    で表される化合物の少なくとも一種0.001〜10重
    量部とを組合わせて含有してなる安定化された塩化ビニ
    ル系樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 カルボン酸またはアルキルフェノールの
    金属塩化合物の金属が、バリウム−亜鉛、カルシウム−
    亜鉛またはカルシウム−マグネシウム−亜鉛のいずれか
    の組合わせである請求項1または2に記載の安定化され
    た塩化ビニル系樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 金属塩化合物が、バリウムもしくはカル
    シウムの過塩基性カルボキシレートカーボネート錯体ま
    たは過塩基性アルキルフェノレートカーボネート錯体の
    いずれかと、亜鉛カルボキシレートとの組合わせである
    請求項1または2に記載の安定化された塩化ビニル系樹
    脂組成物。
  5. 【請求項5】 β−ジケトン化合物が、ジベンゾイルメ
    タン、パルミトイルベンゾイルメタンまたはステアロイ
    ルベンゾイルメタンのいずれかである請求項1または2
    に記載の安定化された塩化ビニル系樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 一般式(1) 【化7】 (式中、Rはアルキル、アリール、アルキルアリール、
    アリールアルキル、アルケニル、シクロアルキル、アル
    キレンまたはアシル基を表し、またnは4〜55、xは
    1または2の数を表す。)で表されるポリオキシエチレ
    ン有機基エーテルリン酸エステルが、トリデシルポリオ
    キシエチレン(4〜10)リン酸またはノニルフェニル
    ポリオキシエチレン(5〜55)リン酸のいずれかであ
    る請求項1または2に記載の安定化された塩化ビニル系
    樹脂組成物。
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