JP3454494B2 - O−アルキル−n−シアノイミデートの製造法 - Google Patents
O−アルキル−n−シアノイミデートの製造法Info
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Description
として有用なO−アルキル−N−シアノイミデートの製
造方法に関するものであり、詳しくは、オルト酢酸エス
テルとシアナミドとの反応によってO−アルキル−N−
シアノイミデートを製造するにあたり、シアナミド水溶
液を出発原料として使用し、水と混和しない溶剤で共沸
脱水した後、オルト酢酸エステルと反応させることを特
徴とするO−アルキル−N−シアノイミデートの製造方
法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】オルト酢酸エステルとシアナミドとの反
応によってO−アルキル−N−シアノイミデートを製造
する方法については、従来いくつかの方法が知られてお
り、たとえば ジャーナル オブ オーガニック ケミス
トリー 第28巻(1963年)第1816頁には無水
酢酸2モルの存在下において上記の反応によってO−エ
チル−N−シアノアセトイミデートを製造する方法が開
示されている。 【0003】 【化1】【0004】しかしながらこの方法は、副生物の分離、
製品の単離が困難であり、工業的規模での実施において
は、適当な方法とはいえなかった。 【0005】そこでドイツ国特許公報 DE3815084 号に
は、オルト酢酸エステルとシアナミドをアルコール性溶
液中で酸性触媒の存在下に反応させることにより、O−
アルキル−N−シアノアセトイミデートを工業的規模で
製造する方法について提案されている。 【0006】 【化2】 【0007】しかしながら前記の製造方法においては、
シアナミドは結晶またはアルコール溶液として使用する
ことが提案されており、シアナミド水溶液の使用は示唆
されていない。なぜなら、シアナミドを水溶液として使
用すると原料のオルト酢酸エステルの加水分解が起こり
収率が大幅に低下するからである。 【0008】シアナミドは工業的には水溶液として製造
・供給されることが多く、シアナミド水溶液は、保存時
の安全性、取り扱いの容易性等シアナミド結晶、シアナ
ミドアルコール溶液と比較して非常に扱いやすくかつ経
済的な形態である。 【0009】 【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、O−
アルキル−N−シアノイミデートを製造するにあたり、
シアナミド水溶液を出発原料として使用し、容易かつ高
収率で工業的規模でO−アルキル−N−シアノイミデー
トを製造する方法を提供することである。 【0010】 【課題を解決するための手段】本発明者等は上記課題を
解決するために、鋭意検討を重ねた結果、オルト酢酸エ
ステルとシアナミドとの反応によってO−アルキル−N
−シアノイミデートを製造するにあたり、シアナミド水
溶液を出発原料として使用し、水と混和しない溶剤で共
沸脱水した後、オルト酢酸エステルと反応させることに
より、O−アルキル−N−シアノイミデートを容易にか
つ高収率で製造できることを見出し、本発明を完成し
た。 【0011】以下に本発明を詳細に説明する。まず、シ
アナミド水溶液を水と混和しない溶剤に分散し、共沸脱
水により系内の水を除去する。シアナミド水溶液の濃度
は、特に制限されないが、10重量%〜90重量%が好
ましく、17重量%〜80重量%が特に好ましいが、工
業用として市販されている50重量%水溶液を用いるの
が好適である。 【0012】水と混和しない溶剤としては、シアナミド
と脱水条件で反応せず、水と共沸する溶剤であれば、特
に制限されない。たとえば、酢酸エチル,酢酸ブチル等
のエステル系溶剤、ベンゼン,トルエン,キシレン等の芳
香族炭化水素類、ヘキサン,オクタン,ドデカン等の脂肪
族炭化水素類,ジエチルエーテル,ジイソプロピルエーテ
ル,ジブチルエーテル等のエーテル類ががあげられる
が、特に大スケールの工業的製造においては入手のしや
すさ、取り扱いやすさからトルエン、酢酸エチルが好ま
しく、シアナミドの溶解性の点から酢酸エチルが特に好
ましい。 【0013】シアナミド溶液に対する溶剤の添加量はシ
アナミド水溶液の含水量に対して0.5〜20倍量、好
ましくは0.7〜10倍量、特に好ましくは1〜5倍量
である。 【0014】水と混和しない溶剤による脱水方法は特に
制限されないが、溶剤と水を共に留去した後分液し、溶
剤のみ反応槽に戻す方法がとられる。留去温度は、5℃
〜45℃、好ましくは30℃〜40℃にコントロールす
るのが良い。45℃以下であれば、急激なシアナミドの
分解が起こらないので危険が少なく、5℃以上であれば
水を分液して共沸溶剤を回収することが容易である。前
記温度を保つために共沸脱水は必要に応じて減圧下で行
うことができる。 【0015】水が留去しなくなった時点で脱水を終了
し、系内を45℃以下に保ちながらオルト酢酸エステル
を加える。オルト酢酸エステル添加時の系内の水分は系
内のシアナミドに対して5%以下,好ましくは2%以
下、特に好ましくは1%以下であり、水分が5%以下で
あれば、反応中の生成物の分解が少ないため、反応収率
を下げることがない。 【0016】オルト酢酸エステルの添加量はシアナミド
1モルに対して0.8〜2モル、好ましくは0.9〜
1.2モルである。 【0017】反応温度は40℃〜100℃、好ましくは
60℃〜80℃であり、溶剤に酢酸エチル、トルエン、
イソプロピルエーテル等を用いて、還流温度で行うのが
好適である。3時間〜24時間、好ましくは4時間〜1
2時間反応させた後反応液中にシアナミドが残存しない
ことを確認し、反応液より溶剤を回収する。 【0018】溶剤回収は槽内温度が100℃を越えない
条件、好ましくは60℃〜80℃で実施するのが良い。
槽内温度が100℃を越えない条件であれば、槽内に生
成したCAIMの分解はほとんど見られない。なお、前
記の反応条件の範囲内で、溶剤を回収しながら同時に反
応を実施することもできる。 【0019】溶剤の留出がなくなったところで、溶剤の
回収を止めCAIMを精留により分離する。精留条件は
精留装置の構造により異なるが、精留中CAIMの分解
を防止するために釜内温度100℃を越えない温度条件で
実施するのが望ましく、留分温度50℃以下となるよう
な減圧条件で実施するのが特に好ましい。このようにし
て、工業的スケールにおいても、シアナミド水溶液より
CAIMを高収率で製造することができる。 【0020】以下実施例によりさらに本願発明を説明す
る。 実施例1 攪拌装置、冷却装置、水分定量受器、温度計を備えた2
00mlの4つの口フラスコにシアナミドの50%水溶
液26.7g(0.3モル)と酢酸エチル100mlを
入れ、減圧下40℃で8時間共沸脱水を行ったところ6
2.4gのシアナミドの酢酸エチル溶液(シアナミド濃
度20.2%、水分0.38%、脱水率98.2%)を
得た。この溶液にオルト酢酸メチル36.5g(0.3
モル)を加え、添加終了後環流下(71℃〜73℃)で
8時間反応させたところ、98.5g(CAIM濃度2
8.2%、反応率94.7%)の反応液を得た。さら
に、この反応液を75〜78℃/10mmHgの条件で
減圧蒸留を行い、純度99.2%のCAIM25.6g
(0.259モル:シアナミドに対する収率86.3
%)を得た。 【0021】実施例2 実施例1と同様の装置にシアナミドの47.2%水溶液
26.2g(0.3モル)とトルエン100mlを入
れ、減圧下40℃で8時間共沸脱水を行ったところ6
8.9gのシアナミドのトルエン分散液(シアナミド含
量8.3%、水分0.14%、脱水率99.3%)を得
た。この溶液にオルト酢酸メチル36.3g(0.3モ
ル)を加え、添加終了後環流下(73℃〜76℃)で8
時間反応させたところ、105.2g(CAIM濃度2
7.7%、反応率99.0%)の反応液を得た。さら
に、この反応液を74〜78℃/10mmHgの条件下
で減圧蒸留を行い、純度99.0%のCAIM26.8
g(0.271モル:シアナミドに対する収率90.1
%)を得た。 【0022】実施例3 実施例1と同様の装置にシアナミドの47.2%水溶液
26.2g(0.3モル)とイソプロピルエーテル10
0mlを入れ、減圧下40℃で8時間共沸脱水を行った
ところ、48.6gのシアナミドのイソプロピルエーテ
ル溶液(シアナミド濃度,27.0%、水分0.08
%、脱水率99.7%)を得た。この溶液にオルト酢酸
メチル36.0g(0.3モル)を加え、添加終了後環
流下(71℃〜73℃)で8時間反応させたところ、7
7.9g(CAIM濃度37.1%、反応率98.0
%)の反応液を得た。さらに、この反応液を減圧下で蒸
留を行い、純度99.1%のCAIM26.5g(0.
268モル:シアナミドに対する収率89.2%)を得
た。 【0023】実施例4 撹拌装置、冷却装置、温度計、蒸留装置を備えた200
mlの4つ口フラスコにオルト酢酸メチル37.0g
(0.31モル)を入れオイルバスで加熱し、系内を9
0℃まで加熱した。そこに系内の温度を下げないように
実施例1と同様の方法で得たシアナミドの酢酸エチル溶
液27.2g(シアナミド濃度50%、0.31モル)
を2時間かけて滴下し、滴下終了後さらに1時間熟成さ
せた。この時、反応により副生するメタノールとシアナ
ミドの溶媒の酢酸エチルは、反応温度を維持するため留
去させながら反応を行った。その結果、31.9g(C
AIM濃度:86.1%、反応率:90.9%)の反応
溶液を得、28.8gのメタノール及び酢酸エチルの混
合溶液を留去させた。さらに、この反応液を減圧下で蒸
留を行い、純度99.2%のCAIM26.6g(収率
87.3%)を得た。 【0024】比較例1 攪拌装置、冷却装置、温度計を備えた200mlの4つ
の口フラスコにシアナミドの47.2%水溶液26.7
g(0.3モル)と酢酸エチル100mlを入れ、さら
にオルト酢酸メチル36.0g(0.3モル)を加えた
ところ、反応液は急激に発熱し、室温まで放冷した後分
析したが、系内にCAIMを確認することはできなかっ
た。 【化3】
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 オルト酢酸エステルとシアナミドとの反
応によってO−アルキル−N−シアノイミデートを製造
するにあたり、シアナミド水溶液を出発原料として使用
し、水と混和しない溶剤で共沸脱水した後、オルト酢酸
エステルと反応させることを特徴とするO−アルキル−
N−シアノイミデートの製造方法。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP30420796A JP3454494B2 (ja) | 1996-10-31 | 1996-10-31 | O−アルキル−n−シアノイミデートの製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP30420796A JP3454494B2 (ja) | 1996-10-31 | 1996-10-31 | O−アルキル−n−シアノイミデートの製造法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH10130220A JPH10130220A (ja) | 1998-05-19 |
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ID=17930312
Family Applications (1)
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JP30420796A Expired - Fee Related JP3454494B2 (ja) | 1996-10-31 | 1996-10-31 | O−アルキル−n−シアノイミデートの製造法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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EP1113002A4 (en) * | 1998-09-09 | 2003-01-02 | Nippon Carbide Kogyo Kk | PROCESS FOR PRODUCING O-ALKYL-N-CYANOIMIDATE |
DE102006033572A1 (de) * | 2006-07-20 | 2008-01-24 | Bayer Cropscience Ag | N'-Cyano-N-halogenalkyl-imidamid Derivate |
-
1996
- 1996-10-31 JP JP30420796A patent/JP3454494B2/ja not_active Expired - Fee Related
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