JP3452505B2 - 抄紙用粘剤、抄紙方法および紙 - Google Patents

抄紙用粘剤、抄紙方法および紙

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    • D21H17/37Polymers of unsaturated acids or derivatives thereof, e.g. polyacrylates

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  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、和紙、ティッシュ
ペーパー、トイレットペーパー、板紙等を製造する際、
紙料繊維に分散性を付与し、安定した抄紙を行うために
使用する抄紙用粘剤、抄紙方法および紙に関する。
【0002】
【従来の技術】和紙、ティッシュペーパー、トイレット
ペーパー、板紙等の抄紙を行う際に、紙料の水中での分
散性を向上させるために分散粘剤を用いる抄紙法は古く
から行われている。この分散粘剤に使われるものとし
て、例えば、トロロアオイ根の抽出粘液等の天然物の
他、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリルアミド、ア
クリルアミドとアクリル酸塩の共重合体(特公昭57−
10238号公報)、アクリルアミドと2−アクリルア
ミド−2−メチルプロパンスルホン酸塩共重合体(特公
昭56−47997号公報)、およびこれらのブレンド
物(特公昭52−15681号公報)等の合成物が知ら
れている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】天然物のトロロアオイ
は価格が不安定であったり、変質しやすい、品質の安定
性が悪い等の欠点があり、工業的には現在殆ど使用され
ていない。ポリアクリルアミドには、アクリルアミドを
重合させて製造する際に不可避的に生じるアニオン性基
であるカルボキシル基が含まれる。そのため、抄紙の際
に、ポリアクリルアミドとカチオン性の湿潤紙力増強
剤、サイズ剤や染料、顔料等の薬剤を併用すると、紙料
繊維が凝集して抄紙できないという問題が発生すること
がある。また、たとえ抄紙できても紙質が硬くなり、風
合いが悪くなるケースが多い。さらに、ポリアクリルア
ミドは溶解速度が非常に遅いため粘剤の未溶解物により
抄紙工程でトラブルが生じる場合があり好ましくない。
また、アクリルアミドとアクリル酸塩共重合体やアクリ
ルアミドと2−アクリルアミド−2−メチルプロパンス
ルホン酸塩の共重合体は、少量の使用で優れた抄紙性能
を示すので広く使われている。しかし、これらにはアニ
オン性単量体単位であるアクリル酸塩や2−アクリルア
ミド−2−メチルプロパンスルホン酸塩が含まれるの
で、カチオン性の湿潤紙力増強剤、柔軟剤やサイズ剤、
染料、顔料等の薬剤を併用すると、紙料繊維が凝集して
抄紙できない場合が多い。以上のように、従来のポリア
クリルアミド系の抄紙用粘剤は、カチオン性の湿潤紙力
増強剤やサイズ剤等の薬剤との併用が制限される場合が
多かった。
【0004】一方、ノニオン性のポリエチレンオキサイ
ドは、カチオン性の湿潤紙力増強剤等の薬剤と併用して
も抄紙の際に紙料繊維の凝集が起こることはほとんどな
い。しかし、ポリエチレンオキサイドは、抄紙中に発泡
するので発泡を抑える消泡剤を添加しなければならない
こと、水温や溶解条件により粘度低下が著しく安定に抄
紙するのが容易でないこと、さらに、高価である等の欠
点を有している。ポリエチレンオキサイドとポリアクリ
ルアミドを混合したブレンド物を抄紙用粘剤として用い
る抄紙方法も提案されているが、ポリアクリルアミドの
場合と同様に、カチオン性の湿潤紙力増強剤、サイズ
剤、染料、顔料等の薬剤と併用すると、紙料繊維が凝集
する場合があり抄紙性能が十分ではない。
【0005】本発明は上記事情に鑑みてなされたもの
で、和紙、ティッシュペーパー、トイレットペーパー、
板紙等の紙の抄紙に用いられる抄紙用粘剤であって、カ
チオン性の薬剤と同時に使用しても凝集することなく紙
料繊維に分散性を付与でき、地合が良く、風合いの優れ
た紙を効率よく安定して抄紙できる抄紙用粘剤、この抄
紙用粘剤を使用する抄紙方法およびその抄紙方法で抄紙
された紙を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために種々検討した結果、(メタ)アクリル
アミド単量体単位とN−ビニルカルボン酸アミド単量体
単位を含む共重合体からなる抄紙用粘剤を用いると、カ
チオン性の薬剤と併用しても、紙料繊維の分散性が良
く、安定した抄紙が行え、地合、風合いの良い紙が得ら
れることを発見し、本発明に到達した。すなわち、本発
明は、(メタ)アクリルアミド単量体単位とN−ビニル
カルボン酸アミド単量体単位を含む共重合体からなる抄
紙用粘剤である。上記共重合体中にはノニオン性単量体
単位がさらに含まれていても構わない。また、(メタ)
アクリルアミド単量体単位が30〜98重量%、N−ビ
ニルカルボン酸アミド単量体単位が2〜70重量%、ノ
ニオン性単量体単位が0〜40重量%であることが好ま
しい。上記N−ビニルカルボン酸アミドはN−ビニルア
セトアミドであることが好ましい。また、上記抄紙用粘
剤を15重量%以上含有する抄紙用粘剤が好ましい。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳しく説明
する。本発明の抄紙用粘剤は(メタ)アクリルアミド単
量体単位とN−ビニルカルボン酸アミド単量体単位を含
む共重合体からなるものである。通常、N−ビニルカル
ボン酸アミドの単独重合体は分子量が低く低粘度である
ので抄紙用粘剤として使用することは困難であるが、
(メタ)アクリルアミドとの共重合体は分子量が高く抄
紙用粘剤に必要な粘性を有する。すなわち、この共重合
体の原料単量体である(メタ)アクリルアミドは、共重
合体の分子量を高め粘性を付与するものである。N−ビ
ニルカルボン酸アミド単量体単位は、抄紙用粘剤である
共重合体に高い紙料繊維分散性を付与するものである。
(メタ)アクリルアミド単独重合体にN−ビニルカルボ
ン酸アミド単量体単位が導入された共重合体は、(メ
タ)アクリルアミド単独重合体よりも加水分解され難い
ので、カチオン性の薬剤が存在しても紙料繊維が凝集し
難いと考えられる。このようなN−ビニルカルボン酸ア
ミド単量体としては、例えば、N−ビニルアセトアミ
ド、N−メチル−N−ビニルアセトアミド、N−ビニル
ホルムアミド、N−メチル−N−ビニルホルムアミド等
が挙げられるが、なかでもN−ビニルアセトアミドが好
ましい。共重合体に導入されるこれらのN−ビニルカル
ボン酸アミド単量体単位は、単独あるいは2種以上のい
ずれでもよい。
【0008】本発明の抄紙用粘剤である共重合体には、
(メタ)アクリルアミド単量体単位、N−ビニルカルボ
ン酸アミド単量体単位に加え、さらにノニオン性単量体
単位を導入した共重合体を使用することもできる。ノニ
オン性単量体は、(メタ)アクリルアミド単量体および
N−ビニルカルボン酸アミド単量体と共重合可能で、重
合系に溶解するものであれば特に限定されない。このよ
うなノニオン性単量体としては、例えば、(メタ)アク
リル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル等の(メタ)
アクリル酸エステル類、N−メチル(メタ)アクリルア
ミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等の
(メタ)アクリルアミド誘導体、酢酸ビニル、アリルア
ルコール等が挙げられるが、なかでもN,N−ジメチル
(メタ)アクリルアミドが好ましい。共重合体に導入さ
れるこれらのノニオン性単量体単位は、単独あるいは2
種以上のいずれでもよい。
【0009】共重合体中の(メタ)アクリルアミド単量
体単位の割合は、好ましくは30〜98重量%、特に好
ましくは50〜95重量%、さらに好ましくは60〜9
0重量%である。抄紙用粘剤として、このような共重合
体は、(メタ)アクリルアミド単量体単位の割合が高く
なると、一般に分子量が大きくなり粘性が高くなる傾向
がある。また(メタ)アクリルアミド単量体単位の割合
が低くなると、カチオン性の湿潤紙力増強剤等を多く含
有した紙料や、サイズ剤の入った紙料等と併用した場合
の紙料繊維の分散性が向上する傾向がある。共重合体中
のN−ビニルカルボン酸アミド単量体単位の割合は、好
ましくは2〜70重量%、特に好ましくは5〜50重量
%、さらに好ましくは10〜40重量%である。抄紙用
粘剤として、このような共重合体は、N−ビニルカルボ
ン酸アミド単量体単位の割合が高くなると、カチオン性
の湿潤紙力増強剤等を多く含有した紙料やサイズ剤の入
った紙料等で使用した場合の紙料繊維の分散性が向上す
る傾向がある。また、N−ビニルカルボン酸アミド単量
体単位の割合が低くなると、一般に分子量が大きくなり
粘性が高くなる傾向がある。さらに、原料の高価なN−
ビニルカルボン酸アミド単量体の使用量が減るのでコス
ト的に有利となる。また、ノニオン性単量体単位は、共
重合体中に0〜40重量%導入させることができる。
【0010】本発明の抄紙用粘剤である共重合体を製造
する際の重合方法は特に限定されず、水溶液重合法、逆
相乳化重合法、懸濁重合法等で行うことができる。ま
た、公知の光重合法(特開平9−59309号公報)等
で行ってもよい。また、重合に際しては重合開始剤や必
要に応じて種々の添加剤等を使用することができる。重
合開始剤としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリ
ル、アゾビスイソバレロニトリル、2,2−アゾビス
(2−アミジノプロパン)ジハイドロクロライド等のア
ゾ化合物、過硫酸塩、過硫酸塩やt−ブチルハイドロパ
ーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、過酸化
ベンゾイル、過酸化ラウロイル等の有機過酸化物と亜硫
酸塩、亜硫酸水素塩、チオ硫酸塩、ナトリウムホルムア
ルデヒドスルホキシレート、ブドウ糖等との組み合わせ
によるレドックス開始剤、ベンゾイン、ベンゾインエチ
ルエーテル、ベンゾフェノン等の光重合開始剤等が用い
られる。重合反応終了後に得られた共重合体を抄紙用粘
剤として通常利用される粉末の形態にする方法は特に限
定されないが、例えば水溶液重合の場合、細断し熱風乾
燥機等により乾燥したものを粉砕機等でさらに粉砕して
粉末状にすることができる。
【0011】抄紙の際、本発明の抄紙用粘剤である共重
合体は、単独で使用してもよいし、その他の抄紙用粘剤
と混合して使用してもよい。混合して使用する場合は、
本発明の抄紙用粘剤を15重量%以上含有することが好
ましく、40重量%以上含有することが特に好ましい。
【0012】本発明の抄紙用粘剤を用いる抄紙方法は特
に限定されず、公知の抄紙方法において使用することが
できる。このようにして抄紙された紙は、地合および風
合いの点で優れている。
【0013】
【実施例】以下、実施例および比較例を用いて本発明を
説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものでは
ない。 [実施例1] 〔抄紙用粘剤の調製〕5リットルジュワー瓶にアクリル
アミド22.8重量%、N−ビニルアセトアミド1.2
重量%を含有した水溶液3000gを入れ、窒素ガスで
置換し5℃に調温した。重合開始剤として2,2−アゾ
ビス(2−アミジノプロパン)ジハイドロクロライドを
150ppm、t−ブチルハイドロパーオキサイドを8
ppm、亜硫酸水素ナトリウムを80ppmとなるよう
に加えて断熱重合を行った。得られたゲルを肉挽き機に
て細断し、60℃にて乾燥した。さらに、得られたペレ
ットを粉砕機で粉砕して粉状重合体とし、アクリルアミ
ド単量体単位95重量%、N−ビニルアセトアミド単量
体単位5重量%からなる抄紙用粘剤を得た。得られた粉
状の抄紙用粘剤をイオン交換水に0.1重量%の濃度で
溶解し、抄紙用粘剤水溶液を得た。また、別途、上記で
得られた粉状の抄紙用粘剤をイオン交換水に1重量%の
濃度で溶解した水溶液を調整し、その溶液の粘度を測定
した。その結果を表1に示す。 〔紙料スラリーの調製〕紙料は、叩解度650mlCS
F(カナダ標準濾水度)のNBKPを用い0.2重量%
のパルプスラリーを調整した。さらに添加薬剤として、
カチオン性の湿潤紙力増強剤であるポリアミドアミン・
エピクロルヒドリンをパルプに対し0.2重量%添加
し、充分攪拌し、パルプスラリーを得た。 〔諸特性の測定〕上記のパルプスラリーに対し、上記の
0.1重量%濃度の抄紙用粘剤水溶液を抄紙用粘剤の純
分として2ppmとなるように添加し、攪拌混合したス
ラリー溶液について紙料凝集性、紙料沈降性を測定し
た。その結果を表1に示す。 〔紙の地合、風合いの評価〕上記の抄紙用粘剤を2pp
m含むパルプスラリーを用い、円網ヤンキー式抄紙機に
より抄紙した紙について、地合および風合いを評価し
た。
【0014】実施例1で得られた抄紙用粘剤の性能評価
は次の方法によって行った。 〔粘度〕25℃において、B型粘度計により測定した。
使用ローターはNo.2、回転数6rpmである。 〔紙料凝集性〕スラリー溶液をジャーテスターで攪拌し
た際の、紙料の様子を目視判定した。評価基準を以下に
示す。 ◎:凝集性が全くなく使用に際し全く問題ない。 ○:僅かに凝集するが使用に際し問題ない。 △:少し凝集し抄紙された製品の地合が乱れる可能性が
ある。 ×:凝集し抄紙に使用できない。 〔紙料沈降性〕スラリー溶液500mlを市販の500
mlメスシリンダー(内径50mm)中に注入後、紙料
界面が100ml沈降するに要する時間t(秒)を求め
た。また、これとは別に、抄紙用粘剤を添加しないパル
プスラリーの紙料沈降時間t0(秒)を求め、tおよび
0から次式により紙料沈降性Dを求めた。 D=t/t0×100 紙料沈降性Dは抄紙性能を現す指標で、Dが大きいほど
抄紙性能が優れるものである。 〔紙の地合〕円網ヤンキー式抄紙機により抄紙した坪量
13.0g/m2 のティッシュペーパー程度(約20c
m×20cm)の紙を用いて目視判定した。評価基準を
以下に示す。 ◎:均一で優れる。 ○:良好。 △:不均一。 ×:不良で抄紙不可能。 〔紙の風合い〕地合評価と同じ紙を用いて触感判定し
た。評価基準を以下に示す。 ◎:柔らかく触感が良い。 ○:やや硬めであるが製品として問題ない。 △:硬めで製品として使えない。 ×:硬くごわごわした感じがある。
【0015】[実施例2〜7および比較例1〜2]アク
リルアミド単量体単位およびN−ビニルアセトアミド単
量体単位を表1に示す割合とし、t−ブチルハイドロパ
ーオキサイドおよび亜硫酸水素ナトリウムの添加量を表
1の濃度とした以外は実施例1と同様にして抄紙用粘剤
を調製した。抄紙用粘剤の粘度、スラリー溶液の紙料凝
集性、紙料沈降性の測定、紙の地合、風合いは実施例1
と同様にして評価した。その結果を表1に示す。
【0016】
【表1】
【0017】表1に示すように、アクリルアミド単量体
単位とN−ビニルカルボン酸アミド単量体単位を含む共
重合体からなる抄紙用粘剤は、カチオン性の湿潤紙力増
強剤と同時に使用しても、紙料凝集性が小さく、かつ紙
料沈降性Dが大きく、抄紙用粘剤として優れた性能を有
するものであった。また抄紙された紙は、地合および風
合いの優れたものであった。さらに、抄紙用粘剤中のN
−ビニルカルボン酸アミド単量体単位が2〜70重量%
であるものは、抄紙用粘剤として特に優れた性能を有す
るものであった。
【0018】[実施例8〜9、比較例3]アクリルアミ
ドおよびN−ビニルアセトアミドを表2に示す割合で使
用し、さらにこれらと共重合可能なノニオン性単量体と
してN,N−ジメチルアクリルアミドを表2に示す割合
で使用し、重合開始剤として2,2−アゾビス(2−ア
ミジノプロパン)ジハイドロクロライドを150pp
m、t−ブチルハイドロパーオキサイドを5ppm、亜
硫酸水素ナトリウムを50ppm使用した以外は実施例
1と同様にして抄紙用粘剤を調製した。抄紙用粘剤の粘
度、スラリー溶液の紙料凝集性、紙料沈降性の測定は実
施例1と同様にして評価した。その結果を表2に示す。
【0019】[実施例10]N,N−ジメチルアクリル
アミドの代わりに、アクリル酸メチルを使用した以外は
実施例8と同様にして抄紙用粘剤を調製した。抄紙用粘
剤の粘度、スラリー溶液の紙料凝集性、紙料沈降性の測
定は実施例1と同様にして評価した。その結果を表2に
示す。
【0020】[比較例3]N,N−ジメチルアクリルア
ミドの代わりに、アクリル酸ナトリウムを使用した以外
は実施例8と同様にして抄紙用粘剤を調製した。得られ
た抄紙用粘剤を使用して実施例1と同様にして粘剤の粘
度、スラリー溶液の紙料凝集性、紙料沈降性の測定し
た。その結果を表2に示す。
【0021】
【表2】
【0022】表2に示すように、抄紙用粘剤中に、アク
リルアミドおよびN−ビニルカルボン酸アミドと共重合
可能なノニオン性単量体を含むものは、カチオン性の湿
潤紙力増強剤と同時に使用しても、紙料凝集性が小さ
く、かつ紙料沈降性Dが大きく、抄紙用粘剤として特に
優れた性能を有するものであった。また、アニオン性で
あるアクリル酸ナトリウム単量体単位を含むものは、紙
料凝集性が大きく、かつ紙料沈降性Dが小さく、抄紙用
粘剤としての使用には適さないものであった。
【0023】[実施例11〜13、比較例4]ポリエチ
レンオキサイドに実施例2で得られた抄紙用粘剤を表3
に示す割合でリボンミキサーでブレンドしたものを抄紙
用粘剤として使用して、実施例1と同様にして粘剤の粘
度、スラリー溶液の紙料凝集性、紙料沈降性を測定し
た。その結果を表3に示す。さらにブレンドした抄紙用
粘剤を0.1重量%の濃度で溶解させた水溶液にエアー
を吹き込んで、発泡の有無を目視で評価した結果を表3
に示す。評価基準を以下に示す。 ○:問題なし。 △:多少発泡するが、トラブルとなるほどではない。 ×:発泡が確認され消泡剤の添加が必要である。 ××:発泡し注意して取り扱わないとトラブルとなる。
【0024】
【表3】
【0025】実施例2で得られた抄紙用粘剤とポリエチ
レンオキサイドとのブレンド物は、カチオン性の湿潤紙
力増強剤と同時に使用できた。特に実施例2で得られた
抄紙用粘剤を15重量%以上の割合で含むものは、実施
例2で得られた抄紙用粘剤単独の場合と同等の粘度、紙
料凝集性および紙料沈降性であり、抄紙性能が優れてい
た。また、発泡が少なく取り扱いが容易であった。
【0026】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の抄紙用粘
剤は、(メタ)アクリルアミド単量体単位とN−ビニル
カルボン酸アミド単量体単位を含む共重合体からなる抄
紙用粘剤であり、和紙、ティッシュペーパー、トイレッ
トペーパーおよび板紙等の紙の抄紙を行う際に、速やか
に溶解し、発泡することなく、紙料繊維に分散性を付与
でき、カチオン性の薬剤と同時に使用しても、紙料繊維
の凝集が起こらない点で非常に優れている。また、この
抄紙用粘剤を用いると、地合が良く、風合いの優れた紙
が得られる。さらに、共重合体中の単量体単位の割合を
(メタ)アクリルアミド単量体単位30〜98重量%、
N−ビニルカルボン酸アミド単量体単位2〜70重量
%、ノニオン性単量体単位0〜40重量%とすることに
よって、高い粘性を有する高分子量の抄紙用粘剤とな
る。また、N−ビニルカルボン酸アミドとして、N−ビ
ニルアセトアミドを使用することによって、紙料繊維の
凝集をより抑制することができる。本発明の抄紙用粘剤
を15重量%以上含有する抄紙用粘剤は、本発明の抄紙
用粘剤単独のものと同等の効果が得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−299600(JP,A) 特公 平5−56767(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D21H 17/00 - 27/42

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (メタ)アクリルアミド単量体単位とN
    −ビニルカルボン酸アミド単量体単位を含む共重合体か
    らなる抄紙用粘剤。
  2. 【請求項2】 共重合体中に、ノニオン性単量体単位が
    さらに含まれていることを特徴とする請求項1に記載の
    抄紙用粘剤。
  3. 【請求項3】 (メタ)アクリルアミド単量体単位が3
    0〜98重量%、N−ビニルカルボン酸アミド単量体単
    位が2〜70重量%、ノニオン性単量体単位が0〜40
    重量%である請求項2に記載の抄紙用粘剤。
  4. 【請求項4】 N−ビニルカルボン酸アミドがN−ビニ
    ルアセトアミドである請求項1ないし3のいずれかに記
    載の抄紙用粘剤。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし4のいずれかに記載の抄
    紙用粘剤を15重量%以上含有する抄紙用粘剤。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし5のいずれかに記載され
    た抄紙用粘剤であって、1重量%水溶液とした際の粘度
    が900mPa・s以上となる抄紙用粘剤を用いること
    を特徴とする抄紙方法。
  7. 【請求項7】 請求項6記載の抄紙方法により抄紙され
    た紙。
JP09705999A 1999-04-02 1999-04-02 抄紙用粘剤、抄紙方法および紙 Expired - Fee Related JP3452505B2 (ja)

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