JP3942920B2 - ノニオン性抄紙用粘剤 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ティッシュペーパー、タオル紙等を抄造する際に、紙料繊維に分散性を付与するために使用されるノニオン性抄紙用粘剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
和紙、ティッシュペーパー、トイレットペーパー、タオル紙等を抄造する際に、紙料の水中での分散性を向上させることを目的として、分散粘剤を用いる抄紙法が古くから行われている。この抄紙法で用いられる分散粘剤は抄紙用粘剤と呼ばれ、例えば、トロロアオイ根の抽出粘液等の天然物が知られている。しかしながら、天然物であるトロロアオイは、腐敗により変質すること、品質が不安定であること、抽出操作が大変なこと、価格が不安定であること等の問題点があり、工業的には現在殆ど使用されていない。
また、分散粘剤としては、合成高分子化合物を使用することもでき、例えば、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレンオキサイドとポリアクリルアミドのブレンド物(特公昭52−15681号公報)などのノニオン性抄紙用粘剤、アクリルアミドとアクリル酸塩共重合体(特公昭47−35921号公報、特公昭57−10238号公報,特開昭48−1082号公報)、ポリアクリルアミドと2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸塩共重合体(特公昭56−47997号公報)、アクリルアミドとN−ビニルカルボン酸アミドの共重合体(特開2000−290892号公報)等のアニオン性単量体を有するアクリルアミド系重合体などのアニオン性抄紙用粘剤が知られている。
【0003】
ところで、ティッシュペーパーやタオル紙を抄造する際には、紙料に湿潤紙力増強剤等のカチオン性高分子化合物を添加することが多く、また、カチオン性薬剤である柔軟剤、染料、顔料等を添加することもある。そのため、アニオン性単量体単位であるアクリル酸塩単量体単位や2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸塩単量体単位が含まれた抄紙用粘剤を、カチオン性高分子化合物またはカチオン性薬剤を含有した紙料に添加すると、電荷の作用により、紙料繊維が凝集して抄紙の際の分散が困難になるという問題があった。
【0004】
そこで、電荷の作用がないノニオン性の抄紙用粘剤を使用することが提案されている。具体的なノニオン性抄紙用粘剤としては、例えば、ポリエチレンオキサイド系抄紙用粘剤が挙げられる。しかしながら、抄紙用粘剤としてポリエチレンオキサイドを添加すると、抄紙工程中で発泡するため、発泡を抑える消泡剤を多量に添加しなければならなかった。また、溶解条件により粘度低下を起こして安定に抄紙するのが容易でない、高価である等の問題点を有していた。
そこで、安価であるノニオン性のアクリルアミド系重合体をノニオン性抄紙用粘剤として用いることが提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、アクリルアミド系重合体は、溶解時の粘度劣化が小さい等の特徴を有している一方で、アクリルアミド単量体を重合させる際に、熱やアルカリによりアミド基が加水分解されて生成したアニオン性のカルボキシル基を含有している可能性がある。アニオン基を少量でも含むと、アニオン性抄紙用粘剤と同様に、カチオン性高分子化合物またはカチオン性薬剤と併用する際、紙料繊維が凝集して抄紙の際の分散が困難になるという問題があった。
アクリルアミド系重合体の加水分解を抑える方法については、添加剤を使用する方法や、穏和な条件で乾燥する方法など種々提案されている。しかしながら、このような加水分解抑制方法により得られたアクリルアミド系重合体のアニオン度を、一般的なアニオン成分の定量方法であるコロイド滴定法により測定し、そのアニオン度がほぼ0であっても、実際に使用してみると凝集を引き起こすことがあった。これは、コロイド滴定法の分析精度が不十分であるためである。このように、上記方法で加水分解を抑制したとしても、許容される加水分解の程度を知る手法が確立されていないため、現状では抄紙用粘剤としてアクリルアミド系重合体を工業的に使用することはなかった。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、ティッシュペーパー、タオル紙等の抄紙において、カチオン性高分子化合物またはカチオン性薬剤が添加されていても紙料繊維に分散性を付与することが可能で、抄紙の安定性、製造効率を向上させることが可能な、安価で高性能なノニオン性抄紙用粘剤を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、コロイド滴定法でアニオン度が検出できないような低い加水分解のレベルの重合体の使用可否を判断する方法を確立するとともに、この判断方法により選択した重合体と試料繊維の凝集との関係について検討した結果、以下のノニオン性抄紙用粘剤を発明した。
すなわち、本願請求項1のノニオン系抄紙用粘剤は、pH3以上7未満の範囲の水溶液中でアクリルアミドを含む重合性単量体を重合させて得られた下記粘度条件を満たすアクリルアミド系ノニオン性(共)重合体を含有することを特徴としている。
(粘度条件)
アクリルアミド系ノニオン性(共)重合体と食塩4質量%とを含む食塩水溶液の粘度が、前記食塩水溶液と同じ濃度のアクリルアミド系ノニオン性(共)重合体を純水中に含む純水溶液の粘度より高いこと。
また、本願請求項2のノニオン性抄紙用粘剤は、pH3以上7未満の範囲の水溶液中でアクリルアミドを含む重合性単量体を重合させて得られた下記粘度条件を満たすアクリルアミド系ノニオン性(共)重合体を含有することを特徴としている。
(粘度条件)
アクリルアミド系ノニオン性(共)重合体1質量%と食塩4質量%とを含む1質量%食塩水溶液の粘度が、アクリルアミド系ノニオン性(共)重合体1質量%を純水中に含む1質量%純水溶液の粘度より100mPa・s以上高いこと。
【0008】
その際、前記1質量%純水溶液の粘度が2500mPa・s以上であることが好ましい。
また、本発明のノニオン性抄紙用粘剤において、アクリルアミド系ノニオン性(共)重合体を10質量%以上含有することが好ましい
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳しく説明する。
本発明のノニオン性抄紙用粘剤は、水溶性であるアクリルアミド系ノニオン性(共)重合体(以下、アクリルアミド重合体と略す)を含有するものである。
アクリルアミド系重合体としては、アクリルアミド重合体と食塩4質量%とを含む食塩水溶液の粘度が、食塩水溶液と同じ濃度のアクリルアミド重合体を純水中に含む純水溶液の粘度より高いものが用いられる。
具体的には、アクリルアミド重合体1質量%と食塩4質量%とを含む1質量%食塩水溶液の粘度が、アクリルアミド重合体1質量%を純水中に含む1質量%純水溶液の粘度より100mPa・s以上高いアクリルアミド重合体である。1質量%食塩水溶液の粘度が1質量%純水溶液の粘度より100mPa・s以上高い該重合体は、加水分解がより抑制され、アニオン基が少ないため、カチオン系の薬剤を含む抄紙系においても凝集することなく、紙料繊維により高い分散性を付与することができるため、幅広い抄紙条件下で安定性、製造効率をさらに向上させることができる。
また、アクリルアミド重合体は、粘剤として使用されるものであるから、溶解性を悪化させない範囲で粘度が高いほど好ましく、具体的には、2500mPa・s以上であることが好ましい。
なお、本発明における粘度は、4質量%食塩水または純水にアクリルアミド重合体を添加、3時間撹拌し、得られた溶液を測定温度25℃にてB型粘度計(ローター;No.2、回転数;6rpm)を使用して測定した値である。
【0010】
上述したように、アクリルアミド重合体の食塩水中および純水中の粘度を測定することにより、以下の理由から、加水分解の程度を知ることができる。すなわち、アクリルアミド重合体の一部が加水分解している場合、純水中では、アニオン性のカルボキシル基の分子内静電反発によってアクリルアミド重合体分子が伸長するため、水溶液中での分子の広がりが大きくなり液粘度が上昇する。一方、食塩水のような電解質溶液中では、分子内の静電反発が抑えられるため、分子の伸長による液粘度の上昇は抑えられる。それに対しイオン性がない重合体の場合は元々純水中での静電反発がおこらず、粘度上昇も起こらない。重合体の加水分解の程度が多ければ、静電反発も大きくなり純水中での粘度上昇も大きくなる。
【0011】
アクリルアミド重合体は、アクリルアミドを単量体単位として含有するものであるが、アクリルアミド以外にノニオン性単量体を単量体単位として含有しても良い。このようなノニオン性単量体としては、メタアクリルアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルホルムアミド、N−ビニル−N−メチルアセトアミド、N−ビニル−N−メチルホルムアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、メチル(メタ)アクリレート、酢酸ビニル、アリルアルコール、N−ビニルピロリドン、イソプロピルアクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、アクリロニトリル等が挙げられる。アクリルアミド以外のノニオン性単量体は2種以上含まれていても良い。
【0012】
アクリルアミド以外のノニオン性単量体を含有する場合、アクリルアミド単量体は、全単量体中の50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることが特に好ましい。一般に、アクリルアミド単量体の割合が高いほど、得られるアクリルアミド重合体の分子量が大きくなる傾向があり、粘性の高い抄紙用粘剤を得ることができる。
【0013】
アクリルアミド重合体の製造方法は、食塩水溶液の粘度が純水溶液の粘度より高いアクリルアミド重合体を得ることができれば特に制限されず、水溶液重合、懸濁重合などの公知の重合方法を採用できる。アクリルアミド重合体の一般的な重合方法は、ラジカル重合開始剤や光開始剤を用いた水溶液重合であるが、光開始剤を用いた水溶液重合が特に好ましい。
水溶液重合における水溶液中の単量体濃度は通常10〜75質量%であるが、単量体濃度の下限は15質量%が好ましく、20質量%以上がより好ましい。一方、単量体濃度の上限は50質量%が好ましい。
単量体濃度が高くなると、生産性が向上する傾向があり、単量体濃度が低くなると、重合発熱が小さくなる。
【0014】
通常、重合開始剤としては、光重合開始剤、アゾ系開始剤、レドックス系開始剤等が使用できる。光重合開始剤としては、α−ヒドロキシケトン類、アシルホスフィンオキサイド化合物等が使用できる。これらの化合物の例としては、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル、2,2−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジハイドロクロライド、2,2−アゾビス[2−メチル−N−(2−ハイドロキシエチル)−プロピオンアミド]、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾフェノン等が挙げられる。
アゾ系開始剤は光重合開始剤や熱分解重合開始剤として利用でき、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド等が挙げられる。
レドックス系開始剤としては、過硫酸塩やt−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル等の過酸化物と亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、チオ硫酸塩、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート、硫酸第一鉄、ブドウ糖、アミン類等の還元剤との組み合わせが挙げられる。
これらの重合開始剤は単独あるいは2種以上の併用のいずれであっても良い。重合開始剤の添加量は、得られるアクリルアミド重合体の分子量、重合時間、残存モノマー量の兼ね合いで決定され、例えば、光重合開始剤の場合、通常全単量体に対して1〜1000ppm程度である。
【0015】
重合の際のアクリルアミド単量体を含む水溶液のpHは3以上7未満が好ましい。さらには、pHの下限は3.5以上が好ましく、4以上が特に好ましい。一方、pHの上限は6以下がさらに好ましく、5.5以下が特に好ましい。pHを高くすると、得られる重合体の水への溶解性が良くなる傾向があり、pHを低くすると、アクリルアミド単量体および/またはアクリルアミド重合体中のポリアクリルアミド単量体単位の加水分解が抑制される傾向がある。
【0016】
アクリルアミド単量体を含む水溶液のpHの調整は、通常、アクリルアミド単量体を含む水溶液に重合開始剤を添加する前に行われる。pHの調整方法としては、例えば、中性リン酸塩pH標準液(pH6.86)およびフタル酸塩pH標準液(pH4.01)で調整されたpHメータの電極を、アクリルアミド単量体を含む水溶液に入れ、pHメータを確認しながら、酸またはアルカリを添加してpHを調整することができる。その際、添加する酸としては硫酸、塩酸、酢酸、シュウ酸等の水溶液が挙げられる。アルカリとしては水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、アンモニア水等が挙げられる。
【0017】
このようにして得られたアクリルアミド重合体は、従来の抄紙用粘剤が粉末で利用されることから、乾燥され粉末化される。その際の乾燥方法は特に規定されないが、加水分解や、アクリルアミド重合体の溶解性の悪化を防ぐために熱負荷の小さい乾燥方法を取ることが望ましい。
乾燥に続いて粉砕されて粉末化される。粉末の粒径は特に制限はないが、大きすぎれば溶解に時間がかかることがあり、小さければ粉立ちなどの問題が生じることがある。
【0018】
また、得られたアクリルアミド重合体は溶解性が良いことが好ましい。ここで、溶解性は、水3kgにアクリルアミド重合体を0.1質量%添加し、3時間撹拌後、目開き180μmの金網でろ過し、金網上に捕捉された含水ゲル重量(不溶解分)で評価される。その量は少ない程良く、通常含水ゲル重量が20g以下、好ましくは10g以下、さらに好ましくは6g以下である。
【0019】
また、ノニオン性抄紙用粘剤には、必要に応じて、上述したアクリルアミド以外のノニオン性単量体を重合した重合体を配合してもよい。さらには、ポリエチレンオキサイドをはじめとするポリアルキレンオキサイド、多糖類、トロロアオイ等のノニオン性高分子を配合しても良い。
アクリルアミド重合体以外の重合体を配合する場合における、アクリルアミド重合体含有量には特に制限はないが、10質量%以上であることが好ましい。アクリルアミド重合体が10質量%未満であると、価格の低減や溶解時における粘度低下などの効果が発揮され難い。
【0020】
上述したノニオン性抄紙用粘剤では、含有しているアクリルアミド重合体は、4質量%食塩水溶液の粘度が純水溶液の粘度より高いので、アクリルアミド重合体中のアミド基の加水分解が抑制されており、アニオン性のカルボキシル基が少ない。その結果、カチオン性薬剤と併用した際の紙料繊維の凝集が防止され、抄紙における分散が良好となり、抄紙の安定性、製造効率を向上させることできる。
【0021】
【実施例】
以下、実施例および比較例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
【0022】
(実施例1)
〔アクリルアミド重合体の調製〕
1リットル三角フラスコに50質量%アクリルアミド水溶液442g、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム50ppmおよび亜リン酸ソーダ200ppmを含有した水溶液850gを入れた。攪拌下、pHメーターでpHを測定しながら、重合性単量体の水溶液に5質量%の希硫酸を滴下し、水溶液のpHを5.0に調整した。遮光下で、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン100ppmを重合性単量体の水溶液に加え、三角フラスコを10℃の恒温水槽に入れ、そのまま30分間窒素ガスで水溶液中の溶存酸素を置換した。
【0023】
厚さ1mmのステンレス板の周縁に、内底面が200×200mmの正方形になるように断面の一辺が24mmのゴム棒を貼り付けてある容器を用意した。この容器の内側に厚さ16μmの光透過性フィルム(厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートおよび厚さ4μmのポリ塩化ビニリデンからなる積層フィルム)を敷き、このフィルム上に重合性単量体の水溶液を供給した。水溶液の上面を、水溶液と接するように同一の光透過性フィルムで覆った。重合性単量体の水溶液の厚さは20mmであった。また、ステンレス板の裏側を、水溶液供給前から10℃の水を吹き付け冷却し、ステンレス板の温度を10℃に調節した。さらに、重合終了まで10℃の水を吹き付けることを継続した。
【0024】
重合性単量体の水溶液を供給した容器の上方に、20W型と蛍光ケミカルランプを設置した。あらかじめ水溶液表面で照射強度が5.0W/m2となるように調整した蛍光ケミカルランプを3分間点灯した(第1段照射)。次に、水溶液表面で照射強度が0.5W/m2となるように調整した蛍光ケミカルランプを40分間点灯した(第2段照射)。さらに、水溶液表面で照射強度が60W/m2となるように調整した蛍光ケミカルランプを15分間点灯(第3段照射)し、重合を完結させ、重合体を含む含水ゲル状シートを得た。
得られた含水ゲル状シートをはさみで裁断し、60℃の熱風乾燥機で乾燥した。さらに、乾燥物をウイレー式粉砕機で粉砕し、粉末状のアクリルアミド重合体を得た。
【0025】
(実施例2)
亜リン酸ソーダを250ppm、第2段照射を1.0W/m2とした以外は実施例1と同様にしてアクリルアミド重合体を得た。
(実施例3)
第2段照射を1.0W/m2とした以外は実施例1と同様にしてアクリルアミド重合体を得た。
(実施例4)
50質量%アクリルアミド水溶液349.5g、N−ビニルアセトアミド43.7g、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム50ppm、亜リン酸ソーダ100ppm、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン100ppm含有した水溶液840g、pHを6.0に調整した以外は実施例1と同様にしてアクリルアミド重合体を得た。
(比較例1)
5リットルデュワービンに50質量%アクリルアミド水溶液1560g、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム50ppmを含んだ水溶液2981.8gをpH7.0、10℃に調整し、30分間窒素ガスを吹き込んで溶存酸素を窒素ガスで置換した。水溶液全量に対して2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジハイドロクロライド400ppm、ターシャリーブチルハイドロパーオキサイド5.2ppm、亜硫酸水素ナトリウム2.6ppm、硫酸第一鉄0.52ppm添加し断熱重合させた。重合体の温度が最高温度(89℃)に達したらそのまま2時間保持し、アクリルアミド重合体を得た以外は実施例1と同様にしてアクリルアミド重合体を得た。
【0026】
上記のアクリルアミド重合体を用いたノニオン性抄紙用粘剤について下記評価を行った。結果を表1に示す。
〔水溶液物性の評価〕
(1)純水中粘度の測定
500mlビーカーに純水495gを入れ、撹拌下にノニオン性抄紙用粘剤5gを添加し撹拌を3時間継続した後、25℃においてB型粘度計により粘度測定した。その際に使用したローターはNo.2で、回転数を6rpmとした。
(2)4%食塩水中粘度の測定
500mlビーカーに純水475gを入れ、撹拌下にノニオン性抄紙用粘剤5gを添加し3時間撹拌した。さらに食塩20gを添加し、30分撹拌した後、25℃においてB型粘度計により粘度測定した。その際、使用したローターはNo.2であり、回転数を6rpmとした。
(3)水不溶解分の測定
3000mlビーカーに水道水2997gを入れ、撹拌下にノニオン性抄紙用粘剤3gを3時間溶解した後、目開き180μmの金網でろ過し、10分間放置後重量を測定した。そして、予め測定しておいた金網の重量を差し引いて水不溶解分の重量とした。
【0027】
〔紙料スラリーの調製〕
紙料として、叩解度650mlCSF(カナダ標準濾水度)のNBKPを用い、0.2質量%のパルプスラリーを調製した。さらに添加薬剤として、カチオン性の湿潤紙力増強剤であるポリアミドアミン・エピクロルヒドリンをパルプに対して0.2質量%添加し、充分撹拌してパルプスラリーを得た。
【0028】
〔ノニオン性抄紙用粘剤の性能評価〕
上記紙料スラリーに対し、0.1質量%濃度のノニオン性抄紙用粘剤水溶液を抄紙用粘剤の純分として2ppmとなるように添加し、撹拌混合したスラリー溶液について紙料凝集性、紙料沈降性を測定した。
(1)紙料凝集性
抄紙用粘剤が添加されている紙料スラリー溶液をジャーテスターで撹拌した際の、紙料の様子を目視判定した。評価基準を以下に示す。
◎:凝集性が全くなく使用に際し全く問題ない。
○:僅かに凝集するが、使用に際し問題ない。
△:少し凝集し抄紙された製品の地合が乱れる可能性がある。
×:凝集し抄紙に使用できない。
【0029】
(2)紙料沈降性
抄紙用粘剤が添加された紙料スラリー溶液500mlを撹拌混合後、市販の500mlメスシリンダー(内径50mm)中に注入した。メスシリンダーに栓をして底面を上方に180度反転させ、逆回転させて元に戻す操作を5回繰り返した後静置させた。紙料界面が100ml沈降するに要する時間t(秒)を求めた。また、これとは別に抄紙用粘剤を添加しない紙料スラリーの紙料沈降時間t0(秒)を求め、tおよびt0から次式により紙料沈降性Dを求めた。
D=t/t0×100
紙料沈降性Dは抄紙性能を表す指標で、Dが大きいほど抄紙性能が優れる値である。
【0030】
(3)紙の地合い
フィルター等を通さずに抄紙用粘剤を直接添加した紙料スラリ−溶液を用いて、円網ヤンキー式抄紙機により抄紙した坪量13.0g/m2の紙を目視判定した。評価基準を以下に示す。
◎:均一で優れる。
○:良好。
△:不均一。
×:不良で抄紙不可能または穴が空いた紙である。
【0031】
【表1】
Figure 0003942920
【0032】
実施例1〜3は、4%食塩水中粘度が純水中粘度より高かったので、アクリルアミドの加水分解が抑制されており、紙料凝集性、紙料沈降性、紙の地合いに優れていた。
一方、比較例1は、純水中粘度が4%食塩水中粘度より高かったので、アクリルアミドが加水分解しており、紙料凝集性、紙料沈降性、紙の地合いが低かった。
【0033】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明では、アクリルアミド系ノニオン性(共)重合体は、アクリルアミド系ノニオン性(共)重合体と食塩4質量%とを含む食塩水溶液の粘度が、食塩水溶液と同じ濃度のアクリルアミド系ノニオン性(共)重合体を純水中に含む純水溶液の粘度より高く、アニオン基が少ない。そして、本発明のノニオン性抄紙用粘剤は、上記アクリルアミド系ノニオン性(共)重合体を含有しているので、ティッシュペーパーやタオル紙等の紙を抄紙する際に、紙料繊維に分散性を付与し、カチオン性の薬剤と同時に使用しても紙料繊維の凝集が起こらない。そのため、抄紙の安定性、製造効率を向上させることができる。しかも、溶解時の劣化が少なく、安価で高性能である。

Claims (4)

  1. pH3以上7未満の範囲の水溶液中でアクリルアミドを含む重合性単量体を重合させて得られた下記粘度条件を満たすアクリルアミド系ノニオン性(共)重合体を含有することを特徴とするノニオン系抄紙用粘剤。
    (粘度条件)
    アクリルアミド系ノニオン性(共)重合体と食塩4質量%とを含む食塩水溶液の粘度が、前記食塩水溶液と同じ濃度のアクリルアミド系ノニオン性(共)重合体を純水中に含む純水溶液の粘度より高いこと。
  2. pH3以上7未満の範囲の水溶液中でアクリルアミドを含む重合性単量体を重合させて得られた下記粘度条件を満たすアクリルアミド系ノニオン性(共)重合体を含有することを特徴とするノニオン系抄紙用粘剤。
    (粘度条件)
    アクリルアミド系ノニオン性(共)重合体1質量%と食塩4質量%とを含む1質量%食塩水溶液の粘度が、アクリルアミド系ノニオン性(共)重合体1質量%を純水中に含む1質量%純水溶液の粘度より100mPa・s以上高いこと。
  3. 前記1質量%純水溶液の粘度が2500mPa・s以上であることを特徴とする請求項2に記載のノニオン性抄紙用粘剤。
  4. アクリルアミド系ノニオン性(共)重合体を10質量%以上含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のノニオン性抄紙用粘剤。
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