JP2008545892A - 疎水性ポリマー、およびセロルース系繊維組成物の製造におけるそれらの使用 - Google Patents

疎水性ポリマー、およびセロルース系繊維組成物の製造におけるそれらの使用 Download PDF

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Abstract

水と混和性の疎水性コポリマーを製紙用スラリーに加えることを含む、歩留りと濾水性を改良する方法が開示されている。水と混和性の疎水性コポリマーを含んだ組成物が開示されている。

Description

(関連出願の相互参照)
本特許出願は、2005年5月26日付け出願の米国仮特許出願第60/684,816号(該仮特許出願の全開示内容を参照により本明細書に含める)の利点を特許請求する。
本発明は、セルロース系繊維組成物の製造において疎水性ポリマーと疎水性コポリマーを使用することに関する。本発明はさらに、水と混和性の疎水性ポリマーまたは疎水性コポリマーを組み込んだセルロース系繊維組成物(例えば、紙や板紙)に関する。
セルロース系繊維シート(特に、紙や板紙)の製造は、1)セルロース系繊維の水性スラリーを得る工程;前記水性スラリーはさらに、無機増量剤や無機顔料を含有してもよい;2)このスラリーを、移動しつつある製紙用ワイヤや製紙用布帛上に付着させる工程;および3)水を切ることによって、スラリーの固形成分からシートを作製する工程;を含む。
上記の工程に次いで、シートをプレスおよび乾燥して、さらに水を除去する。製紙方法をより低コスト化・迅速化するために、および/または、最終紙製品に特異的な性質を付与するために、シート作製工程の前に、スラリーに有機化学薬品や無機化学薬品を加えることが多い。
製紙業界は、紙の品質を向上させ、生産性を上げ、そして製造コストを下げるよう絶えず努力している。製紙方法の濾水性/脱水性と固形分の歩留り性を改良するために、繊維質スラリーが製紙用ワイヤや製紙用布帛に達する前に、繊維質スラリーに化学薬品を加えることが多い。こうした化学薬品は、歩留り向上剤および/または濾水性促進剤と呼ばれている。
濾水性/脱水性の改良に関して、製紙用ワイヤや製紙用布帛に対する繊維質スラリーの濾水性または脱水性がよくないと、より速やかな機械加工速度を達成する上でしばしば制約的な工程となる。濾水性が改良されると、プレスセクションとドライヤーセクションにおいてより乾燥したシートが得られ、したがって蒸気消費量が少なくなる。濾水性と脱水性はさらに、製紙プロセスにおける、多くの最終的なシート特性を決定づける段階である。
固形分の歩留り性に関して、液切りしてペーパーウェブを形成させる乱流法(turbulent method)において、ウェブ中に完成紙料微細固形分)の歩留り性を増大させるのに製紙用歩留り向上剤が使用される。微細固形分の十分な歩留まりがないと、微細固形分は、ミル廃液へと失われるか、あるいは再循環の白水ループ中に高レベルに蓄積され、したがって付着物の増大を引き起こす恐れがある。さらに、歩留りが不十分であると、紙の不透明性、強度、またはサイジング特性が得られるよう繊維上に吸着させようとする添加剤の損失が起こることから、製紙メーカーのコストが増大する。
カチオン電荷またはアニオン電荷を有する高分子量(MW)の水溶性ポリマーが、従来から歩留り向上剤・濾水性促進剤として使用されている。最近開発の無機ミクロ粒子と高MW水溶性ポリマーとを組み合わせることで、従来の高MW水溶性ポリマーと比較して、優れた歩留り性・濾水性効果が示されている。米国特許第4,294,885号と第4,388,150号は、スターチポリマーをコロイダルシリカと共に使用することを開示している。米国特許第4,753,710号は、パルプ完成紙料を高MWカチオン性凝集剤で凝集させること;凝集した完成紙料に剪断力を起こさせること;次いで完成紙料にベントナイトクレイを導入すること;を開示している。米国特許第5,274,055号と第5,167,766号は、化学的に架橋した有機ミクロ粒子もしくは有機ミクロポリマーを、製紙プロセスにおける体着助剤および液切り助剤として使用することを開示している。
さらに、製紙システムにおける汚染物や有機付着物の付着を抑えるためにコポリマーが使用される。“有機付着物”という用語は、紙の製造にとって有害な、製紙システムにおける粘着性で水不溶性の物質を表わすのに使用される用語である。パルピングプロセス時および製紙プロセス時に木から得られるこのような物質はピッチまたは木材ピッチと呼ばれ、他方、再循環繊維の汚染物として製紙プロセス中に導入される粘着性物質から誘導される汚染物を表わすのに“スティッキー(stickies)”という用語が使用されている。これらの物質を取り除くための1つの方策は、有機付着物を、製紙用原質から取り除くことができるか、あるいは製紙システム中に付着物を又はシート中に欠損を引き起こすことなくシート中に組み込むことができる、より大きくて非粘着性の粒子に凝集させることである。有機付着物と相互作用することができて、それらの悪影響を軽減することができる化学薬品としては、界面活性剤とポリマーがある。ポリマーは、イオン性であっても非イオン性であってもよく、凝集剤として使用される物質、凝固剤として使用される物質、および分散剤として使用される物質を含む。
使用するポリマーまたはコポリマーの有効性は、構成するモノマーの種類、ポリマーマトリックス中のモノマーの配列、合成分子の分子量、および合成法に応じて変わる。
予想外のことに、疎水性のポリマーまたはコポリマーが、予期していなかった歩留り活性と濾水活性を示し、製紙用途を含めた種々の用途において汚染物質抑制剤として機能することができる、ということが見出された。使用した合成法は当業者に一般的に知られているけれども、物理的特性がユニークであるために観察された活性が予期しないものになった、ということを示している先行技術はない。
本発明は、水と混和性の疎水性ポリマーと疎水性コポリマー、および水と混和性の疎水性ポリマーと疎水性コポリマーを含有するセルロース系繊維組成物(特に、紙や板紙等のセルロース系シート)に関する。本発明はさらに、水と混和性の疎水性ポリマーと疎水性コポリマー、および前記セルロース系繊維組成物を製造する方法に関する。
他の態様においては、本発明は、疎水性基を含有する水と混和性のポリマーまたはコポリマーをセルロースパルプスラリーに加えることを含む、セルロース系繊維組成物を製造する方法に関する。
本発明はさらに、このような水と混和性のポリマーとコポリマーを含有する、セルロースパルプの水性スラリーを含んだセルロース系繊維組成物に関する。本明細書で使用している“コポリマー”とは、2種以上の異なったモノマー単位からなるポリマー組成物であると理解すべきである。
さらに、水と混和性の疎水性ポリマーと疎水性コポリマー、セルロース繊維、および必要に応じてケイ酸質物質を含んだ組成物が開示されている。
本発明によれば、予想外のことに、ある特定の水と混和性の疎水性ポリマーと疎水性コポリマーが、ユニークな物理的特性を示し、歩留り向上剤・濾水性促進剤として予期しない活性をもたらす、ということが見出された。
本発明は、水と混和性の疎水性ポリマーまたは疎水性コポリマーを製紙用スラリーに加えることによって、製紙プロセスにおける歩留り性および/または濾水性の増大をもたらす。
本発明はさらに、水と混和性の疎水性ポリマーまたは疎水性コポリマーとセルロース繊維とを含んだ組成物を提供する。
本発明はさらに、水と混和性の疎水性ポリマーまたは疎水性コポリマー、ケイ酸質物質、およびセルロース繊維を含んだ組成物を提供する。
本発明はさらに、非共有結合を介して相互作用もしくは会合して2つ以上のポリマー鎖の凝集体を形成する水と混和性のポリマーおよびコポリマーを使用することを提供する。分子会合のための駆動力は、静電気特性によるものであっても、あるいは疎水性によるものであってもよい。好ましいのは、疎水性力によって引き起こされる分子会合である。
紙と板紙の製造において多成分系を使用すると、プロセスおよび/または生成物に対して種々の影響を及ぼす物質を使用することで、性能を向上させることのできる可能性が得られる。
本発明のポリマーは、水と混和性であると説明されている。本発明の目的に適合するよう、“水と混和性”とは、ポリマーが、水溶性であっても、水膨潤性であっても、あるいは水分散性であってもよい、ということを意味している。
“水溶性”という用語は、ポリマーが溶媒中に溶解し、このとき目に見える固体物質が溶媒中に残存していない、ということを示すのに使用されている。溶媒中へのポリマーの溶解は、混合の自由エネルギーが負となるときに起こる。水溶性物質の例としては、滲出物もしくはゴム、抽出物、天然物質、変性天然物質、または合成物質などがあるが、これらに限定されない。滲出物もしくはゴムの1つの例はトラガカントゴムである。抽出物の1つの例はペクチンである。天然物質の1つの例はグアールである。変性天然物質の1つの例は、メチルセルロース等のセルロース誘導体である。合成物質の1つの例はポリ(アクリル酸)である。合成ポリマーは、最終的なポリマーに特異的な性質を付与するよう選択される1種以上のモノマーで構成することができる。
水膨潤性ポリマーは、水性溶媒を吸収することができて、ある程度までは膨潤することができるポリマーである。水膨潤性は、架橋や静電相互作用(これらに限定されない)を含めた多くのファクターによって影響を受けることがある。したがって、ポリマーと溶媒との間の相互作用は限定されたものにすぎない。目視上は均質な溶液が得られるけれども、この溶液は均一な分子分散液ではない。水膨潤性ポリマーの1つの例は架橋ポリマーである。架橋ポリマーは、水と混和性で且つ水分散性であってよい。これとは対照的に、分岐ポリマーは水溶性であってよい。
水分散性物質は、水に溶解はしないが、相分離を起こさない物質である。これらの物質は一般に、水中に懸濁される個々の粒状物質として残留するのを可能にするか、又は他の物質を加えることによって分散性にすることができるような変性表面を有する。例としては、ラテックス粒子、水中油エマルジョン、および分散したクレイもしくは顔料などがある。
疎水性物質は、一般には、多くの無極性溶媒には容易に溶解するが、水に対して完全には溶解することができない物質として定義されている。疎水性物質は、水との会合を起こしにくく、水性環境においてクラスターを形成しやすい。これとは対照的に、親水性物質は、水に対して溶解するが、ほとんどの無極性溶媒に対してはごくわずかしか溶解しない。親水性物質は水によって水和され、この結果、親水性物質の水溶液が得られる。
両親媒性化合物は、疎水性セグメントと親水性セグメントの両方を有する化合物である。したがって両親媒性化合物は、極性の水溶性基(親水性セグメント)と無極性の水不溶性基(疎水性セグメント)の両方を含む。例えば、界面活性剤は両親媒性化合物である。こうした物質がもつ両親媒性とは、界面が液体/気体であろうと、液体/液体であろうと、あるいは液体/固体であろうと、物質がそれらの界面に移動する、というような特性である。
本発明の疎水性ポリマーは、より疎水性の区域とより親水性の高い区域とを有するという点において両親媒性である。疎水性と親水性の相対的な程度によって、当該物質の溶解性が決まる。実際には、全体としてより疎水性である物質は、比較的に見て、より水に溶けにくく、より油に溶けやすい。これとは逆に、より親水性の物質は、比較的に見て、より水に溶けやすく、より油に溶けにくい。
本発明において有用なポリマーは、一般的にはコポリマーである。“コポリマー”とは、2種以上の異なったモノマーを含有するポリマー分子であると理解すべきである。コポリマーは、2種以上のモノマーで構成されるコポリマーであってもよいし、あるいはモノマーの一部分が化学的に誘導体化された場合のポリマーであってもよい。
本明細書に記載の疎水性モノマーは両親媒性化合物である。分子のセグメントが疎水性である。疎水性は相対的な性質である。例えば、エチレン性不飽和モノマーが水溶性である場合がある。アクリルアミドとアクリル酸がその例である。変性を施すことにより、モノマーをより疎水性にすることができる。メタクリルアミドとメタクリル酸は、メチル基が有しているので、より水溶性が低い。アクリル酸エチルは、より大きな疎水性基を有しているので、さらに水溶性が低い。アクリル酸ブチルは、アルキル鎖がさらに大きいので、さらに疎水性が高い。
本発明において有用な物質は、疎水性ポリマー、両親媒性ポリマー、疎水的に変性したポリマー、および高分子界面活性剤、を含めた種々の用語(これらに限定されない)によって当業界に知られている。
これらの物質は、1種以上のモノマーからのポリマーの合成、既存ポリマーの誘導体化、またはグラフト(グラフトは、重合と同時に行うこともできるし、あるいは重合に引き続いて行うこともできる)を含めた多くの方法(これらに限定されない)によって製造することができる。
本発明において有用な疎水性ポリマーは、モノマーの少なくとも1種が疎水性である場合のコポリマーである。疎水性モノマーの割合は、モル基準にてモノマーの50%未満であり、好ましくは10%未満であり、さらに好ましくは5%未満であり、最も好ましくは2%未満である。
疎水性ポリマー(最も一般的には、疎水的に変性したポリマーと呼ばれる)は、鎖の末端に疎水性基が化学的に結合されているか(テレケリックまたは末端キャップ)、あるいはポリマー鎖に沿って疎水性基がランダムに結合されている(櫛状またはペンダント状)水と混和性ポリマーである。疎水性基を有するポリマーは、他の鎖と分子間会合を起こすことができ、したがって疎水性物質の自己会合によって媒介されるネットワークが形成される。共有結合を形成することなくこうした会合が起こるということは、本発明の1つの重要な態様である。他にもユニークな特性はあるが、こうしたネットワーク形成の結果として、強い増粘効果が生じる。単一の鎖上に少なくとも2つの疎水性基を有する分子も分子内会合を起こすことができ、このため溶液中における分子の構造が変わり、したがって溶液の粘度が変わる。
疎水性基間の会合力は、“疎水性効果”と呼ばれているよく知られている現象によって起こる。疎水性物質は、多くの無極性溶媒には溶解するが、水には溶けにくい物質である。疎水性物質(すなわち油)と水との間には引力が存在する。しかしながらこの引力は、とても水がそれ自体に対して有する引力ほどではない。水分子間の水素結合により、疎水性物質の分離が引き起こされ、この結果、効果的に疎水性物質-疎水性物質の会合が生じる。水によって引き起こされるこうした引力は疎水性相互作用と呼ばれている。したがって疎水性効果は、水性環境においてのみ起こる。
疎水性分子を集合させるには、疎水性分子間の区域から水を取り除かなければならない。したがって、ポリマー結合した疎水性物質(polymer bound hydrophobes)が会合すると、水分子によって溶媒和されていない区域が生じる。水溶液においては、これらの凝集体は、自由に濾水することはなく(not free draining)、小さな水不溶物(粒状物)区域として作用することがある。特定の理論で拘束されるつもりはないが、この点が、本発明のポリマーがそれらの性能特性をもたらしているメカニズムであると考えられる。
疎水性ポリマーを得るための1つのアプローチは、複数種のモノマー(少なくとも1種の疎水性モノマーを含む)を直接重合して、コポリマーを形成させるという方法である。重合は、溶液重合、分散重合、および逆エマルジョン重合を含めた、当業界に公知のどの方法によっても行うことができる。
疎水性ポリマーは、疎水性モノマーのほかに、1種以上のアニオン性モノマー、カチオン性モノマー、および/または非イオン性モノマーを含んでよい。アニオン性モノマー、カチオン性モノマー、および非イオン性モノマーは、所望するいかなる割合でも使用することができる。疎水性ポリマーは、アニオン性モノマーを0〜80%、カチオン性モノマーを0〜80%、および非イオン性モノマーを0〜100%含有してよい。好ましい組成は、アニオン性モノマーが0〜60%、カチオン性モノマーが0〜30%、および非イオン性モノマーが約10〜100%である。
代表的な非イオン性モノマーとしては、アクリルアミド;メタクリルアミド;N-アルキルアクリルアミド(例えばN-メチルアクリルアミド);N,N-ジアルキルアクリルアミド(例えばN,N-ジメチルアクリルアミド);メチルアクリレート;メチルメタクリレート;アクリロニトリル;N-ビニルメチルアセトアミド;N-ビニルホルムアミド;N-ビニルメチルホルムアミド;ビニルアセテート;N-ビニルピロリドン;アルキルアクリレート;アルキルメタクリレート;アルキルアクリルアミド;アルキルメタクリルアミド;アルキルオキシル化アクリレートとアルキルオキシル化メタクリレート(例えば、アルキルポリエチレングリコールアクリレートやアルキルポリエチレングリコールメタクリレート);および上記物質のいずれかの混合物;などがあるが、これらに限定されない。
代表的なアニオン性モノマーとしては、アクリル酸の遊離酸と塩;メタクリル酸の遊離酸と塩;マレイン酸の遊離酸と塩;イタコン酸の遊離酸と塩;アクリルアミドグリコール酸の遊離酸と塩;2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸の遊離酸と塩;3-アリルオキシ-2-ヒドロキシ-1-プロパンスルホン酸の遊離酸と塩;スチレンスルホン酸の遊離酸と塩;ビニルスルホン酸の遊離酸と塩;ビニルホスホン酸の遊離酸と塩;2-アクリルアミド-2-メチルプロパンホスホン酸の遊離酸と塩;および上記物質のいずれかの混合物;などがあるが、これらに限定されない。
代表的なカチオン性モノマーとしては、カチオン性エチレン性不飽和モノマーの遊離塩基と塩〔例えばハロゲン化ジアリルジアルキルアンモニウム(例えば塩化ジアリルジメチルアンモニウム)〕;ジアルキルアミノアルキル化合物の(メタ)アクリレート〔例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、アミノエチル(メタ)アクリレート〕、およびこれらの塩と第四アンモニウム化合物;N,N-ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド(例えばN,N-ジメチルアミノエチルアクリルアミド)、およびこれらの塩と第四アンモニウム化合物;ならびに上記物質の混合物;などがあるが、これらに限定されない。
疎水性モノマーは、疎水性部分をその構造の一体部分として有するいかなるモノマーであってもよい。疎水性部分は、直鎖状であっても環状であってもよく、また脂肪族であっても芳香族であってもよい。好ましい疎水性部分は、一般には、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル木、デシル木、ドデシル基(ラウリル基)、セチル基、ステアリル基、およびベヘニル基等(これらに限定されない)のアルキル基である。
代表的な疎水性モノマーとしては、疎水性部分を有するエチレン性不飽和モノマーがあるが、これらに限定されない。疎水性基は、疎水性の有機基(例えば下記の基の1つと同等の疎水性を有する基)を含む:すなわち、少なくとも6個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素基(好ましくはC8-C22アルキル、さらに好ましくはC6-C22シクロアルキル);多核芳香族炭化水素基(例えば、ベンジル、置換ベンジル、およびナフチル);アルキルが1個以上の炭素原子を有する場合のアルカリール基;4個以上の炭素原子を有するハロアルキル基(好ましくはペルフルオロアルキル);ならびに、アルキレンがプロピレンまたはより高級のアルキレンであって、疎水性部分1つ当たり少なくとも1つのアルキレンオキシ単位が存在する、という場合のポリアルキレンオキシ基。好ましい疎水性基は、炭化水素基1つ当たり3個以上の炭素原子(好ましくは6個以上の炭素原子)を有する疎水性基を含む。さらに、C6-C22アルキル基を有する疎水性基、またはペルフルオロカーボン基1つ当たり6個以上の炭素原子を有する疎水性基(例えば、C6F13〜C22F45)も好ましい。特に好ましいのはC8-C20アルキル基である。
エチレン性不飽和モノマーを含有する適切な炭化水素基は、C6以上のアルキル基で構成されるエステルまたはアミドを含む。特に適切なエステルとしては、ドデシルアクリレート、ドデシルメタクリレート、トリデシルアクリレート、トリデシルメタクリレート、テトラデシルアクリレート、テトラデシルメタクリレート、オクタデシルアクリレート、オクタデシルメタクリレート、ノニル-α-フェニルアクリレート、ノニル-α-フェニルメタクリレート、ドデシル-α-フェニルアクリレート、およびドデシル-α-フェニルメタクリレートがあるが、これらに限定されない。アクリル酸とメタクリル酸のC10-C20アルキルエステルが好ましい。これらのうちでは、ドデシルアクリレートとドデシルメタクリレートが特に好ましい。
さらに、下記の炭化水素基含有エチレン性不飽和モノマーも使用することができる:N-アルキルエチレン性不飽和アミド(例えば、N-オクタデシルアクリルアミド、N-オクタデシルメタクリルアミド、N-オクチルアクリルアミド、N,N-ジオクチルアクリルアミド、およびこれら化合物の類似の誘導体);α-オレフィン(例えば、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、および1-ヘキサデセン);アルキルが少なくとも8個の炭素原子を有する場合のビニルアルキレート(例えば、ビニルラウレートやビニルステアレート);ビニルアルキルエーテル(例えばドデシルビニルエーテル)やヘキサビニルアルキルエーテル(例えばヘキサ-デシルビニルエーテル);およびN-ビニルアミド(例えば、N-ビニルラウルアミドやN-ビニルステアルアミド)。
疎水性モノマーは、疎水性コポリマー中に、最大で約10モル%(好ましくは最大で5モル%、さらに好ましくは最大で2モル%)の量にて存在する。疎水性モノマーは、少なくとも約0.01モル%の量にて存在するのが好ましく、少なくとも0.1モル%の量にて存在するのがさらに好ましい。疎水性モノマーは、約0.01〜約2モル%の量にて存在するのが好ましく、約0.1〜約1モル%の量にて存在するのが最も好ましい。好ましい疎水性モノマーは、オクチルアクリルアミドとラウリルアクリレートである。
疎水性モノマー、アニオン性モノマー、カチオン性モノマー、および非イオン性モノマーのモル比は、所望の溶解性を達成するのに必要な任意のモノマー相対量を含有するように変えることができる。
本発明において有用な水と混和性の疎水性ポリマーと疎水性コポリマーは、逆(油中水)エマルジョン重合法によって製造するのが好ましい。このような方法は当業者に公知である〔例えば、米国特許第3,284,393号、および再発行米国特許第28,474号と第28,576号(各特許の全開示内容を参照により本明細書に含める)を参照〕。ポリマーエマルジョンからの水溶液の調製は、水にポリマーエマルジョンを加えることで逆転によって影響を受けることがある〔このときエマルジョンまたは水は、ブレーカー界面活性剤(a breaker surfactant)を含有してもよい〕。ブレーカー界面活性剤は、逆転を促進するようポリマーエマルジョンに加えられる追加の界面活性剤である。こうして得られるコポリマーを、有機溶媒(例えばアセトン)中に沈殿させることによってさらに単離することができ、そしてこの沈殿物を乾燥して粉末形態にすることができる。この粉末は、所望の用途に使用すべく、水性媒体中に容易に溶解することができる。
一般には、逆エマルジョン重合法は、1)モノマーの水溶液を調製し、2)適切な界面活性剤もしくは界面活性剤混合物を含有する炭化水素液体に前記水溶液を加えて、逆モノマーエマルジョンを形成させ、3)このモノマーエマルジョンをラジカル重合にて処理し、そして4)必要に応じてブレーカー界面活性剤を加えて、水に加えたときにエマルジョンの逆転を促進することによって行われる。
エマルジョンの重合は、当業者に公知のどの方法でも行うことができる。開始反応は、種々の熱重合開始剤やレドックス重合開始剤(例えば、アビゾスイソブチロニトリル等のアゾ化合物があるが、これらに限定されない)を使用して起こさせることができる。重合はさらに、光化学的な照射プロセス、あるいは60Co源を使用する電離放射線による照射によって行うこともできる。
好ましい開始剤は油溶性の熱開始剤である。代表的な例としては、2,2’-アゾビス-(2,4-ジメチルペンタンニトリル);2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN);2,2’-アゾビス-(2-メチルブタンニトリル);1,1’-アゾビス-(シクロヘキサンカルボニトリル);過酸化ベンゾイル;および過酸化ラウロイル;などがあるが、これらに限定されない。
当業者に公知の任意の連鎖移動剤を使用して、分子量を制御することができる。連鎖移動剤としては、低級アルキルアルコール(例えばイソプロパノール);アミン;メルカプタン(例えばメルカプトエタノール);ホスファイト;チオ酸;およびアリルアルコール;などがあるが、これらに限定されない。
本発明の水溶液は、一般には、モノマーの水性混合物を含む。水性相はさらに、必要に応じて従来の添加剤を含んでよい。例えば、水性混合物は、キレート化剤、pH調整剤、開始剤、上記の連鎖移動剤、および他の従来の添加剤を含有してよい。水と混和性の疎水性コポリマーの製造に対しては、水溶液のpHは12未満であり、2以上であるのが好ましく、約4〜約6であるのがさらに好ましい。
炭化水素液体は、一般には、直鎖炭化水素、分岐鎖炭化水素、飽和環状炭化水素、芳香族炭化水素、またはこれらの混合物を含む。
本発明において使用される界面活性剤または界面活性剤混合物は、一般には油溶性である。1種以上の界面活性剤を使用することができる。代表的な界面活性剤としては、ソルビタン脂肪酸エステル、エトキシル化ソルビタン脂肪酸エステル、長鎖脂肪酸もしくは長鎖アルコールのエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシド付加物、アルキルフェノールもしくはアルカノールアミドのエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシド付加物、混合エチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー、脂肪酸とポリ(エチレンオキシド)とのポリエステル誘導体をベースとするジブロックコポリマーおよびトリブロックコポリマー、ポリ(エチレンオキシド)とポリ(プロピレンオキシド)をベースとするジブロックコポリマーおよびトリブロックコポリマー、ポリイソブチレン無水コハク酸とポリ(エチレンオキシド)をベースとするジブロックコポリマーおよびトリブロックコポリマー、ならびに上記物質のいずれかの混合物などがあるが、これらに限定されない。特定の界面活性剤としては、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、BASF社からプルロニック(Pluronic)(登録商標)の商品名で市販されている界面活性剤、ならびにユニケマ社からアトラス(Atlas)(登録商標)およびアーラセル(Arlacel)(登録商標)の商品名で市販されている界面活性剤がある。
逆エマルジョンの重合は、当業者に公知のいかなる方法でも行うことができる〔例えば、AllcockとLampeによる「Contemporary Polymer Chemistry,(Englewood Cliffs,New Jersey,PRENTICE-HALL,1981),chapter 3-5」を参照〕。
疎水性ポリマーを製造するための他のメカニズムはグラフトである。1つの例は、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのブロックコポリマーと、エチレン性不飽和モノマー(例えばアクリル酸)との共重合である。重合条件の選択は、ポリマーの構造に、したがってその有用性に影響を及ぼす。これらのポリマーは当業界に公知であり、疎水性力によって会合して凝集体を形成する。
グラフトによって製造される代表的なポリマーとしては、ポリ(エチレンオキシド)(PEO)アームと、PEOアームが疎水性ノニルフェノキシ末端基で変性すると会合特性を有することが明らかになっている疎水性トリイソシアネートもしくはテトライソシアネートからなるコアとを有するポリマー;疎水的に変性したエトキシル化ウレタン(HEUR)ポリマー;フルオロカーボン含有ポリマー;末端キャップしたポリ(エチレンオキシド)〔例えば、ヘキサデシル末端ポリ(エチレンオキシド)〕;およびこれらの混合物;などがあるが、これらに限定されない。
さらに他の物質は、アクリル酸とモノアミノ末端界面活性剤とのグラフトコポリマーである。界面活性剤は、ジシクロカルボジイミドをカップリング剤として使用して、アミド結合を介してグラフトされる。
水と混和性の疎水性ポリマーを製造するためのさらに他の方法は、現存の合成ポリマーを誘導体化することによる方法である。この方法は、マンニッヒ反応による疎水性アミンのグラフト化(これに限定されない)を含めた、多くの技術的アプローチによって達成することができる。
さらに他の製造法は、重合可能な界面活性剤〔例えば、エチレン性不飽和モノマーと共重合して、自己集合性の疎水的に変性したポリマーを形成することができるノニルフェノキシポリ(エチレンオキシド)アクリレート〕と呼ばれることのある水分散性マクロマーを使用する方法である。
さらに他の製造法は、既に製造されているポリマー主鎖に変性を施すという方法である。この方法は、ポリマー上にグラフトできるよう、ポリマーと疎水性物質に対して共通の非プロトン性溶媒を使用すること、あるいは疎水性水の不溶性ブロックコポリマーを選択的に親水性化することを含む。
疎水的に変性したアルカリ膨潤性エマルジョン(すなわちHASE)も、本発明において有用である。これらの物質は、疎水的に変性したアクリレートコポリマーである。1つの例としては、メタクリル酸とエチルアクリレートと会合性マクロモノマーと呼ばれる第3のモノマーとのコポリマーが挙げられる。会合性マクロモノマーの1つの例としては、エチレンオキシド鎖によって繋がった、6個より多い炭素原子を含んだペンダント炭化水素を有するエチレン性不飽和モノマーが挙げられる。基本となる変数は、炭化水素の化学とエチレンオキシド鎖の長さである。
本発明において有用なさらなるポリマーは、天然に産出するポリマー(例えば、タンパク質や多糖類)をベースとする、疎水的に変性したポリマーである。澱粉誘導体やセルロース誘導体を含めた天然物質誘導体も使用することができる。ベースとなる代表的なポリマーとしては、ヒドキシエチルセルロースやカチオン性澱粉などがあるが、これらに限定されない。非イオン性の水溶性セルロースエーテルを、本発明の生成物を作製するのに使用されるセルロースエーテル基質として使用することができる。したがって、例えば、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、およびメチルヒドロキシエチルセルロースは、いずれも変性を施すことができる。非イオン性の置換基(例えば、メチル、ヒドロキシエチル、またはヒドロキシプロピル)の量は、当該エーテルが水溶性であることが十分に確認されている限りは、それほど重要なことではないと思われる。
好ましいセルロースエーテル基質はヒドロキシエチルセルロース(HEC)である。したがってこの基質については、変性プロセスの制御と、変性生成物の特性の制御がより正確になされる。最も広く使用されている非イオン性セルロースエーテルの疎水性は、下記の一般的な向きにて変わる:ヒドロキシエチル>ヒドロキシプロピル>ヒドロキシプロピル>メチル。
長鎖アルキル変性剤は、エーテル結合、エステル結合、またはウレタン結合を介してセルロースエーテル基質に結合させることができる。好ましいのはエーテル結合であり、エーテル化を行うのに最も一般的に使用される試剤は容易に得られ、その反応は、最初のエーテル化に対して一般的に使用される反応と類似しており、またこの試剤は、他の結合による変性に対して使用される試剤より簡単に取り扱うことができる。こうして得られる結合は通常、さらなる反応を起こしにくい。
セルロースの混合エーテル(すなわち、2種以上のエーテル化用変性剤が同じセルロース分子に結合している生成物)の製造法は当業界に公知である。本発明の生成物は、実質的に同じ方法によって製造することができる。簡単に説明すると、本発明の混合エーテルを製造するための好ましい方法は、非イオン性セルロースエーテルを不活性有機希釈剤(例えば、低級の脂肪族アルコール、ケトン、または炭化水素)中にてスラリーにする工程;および得られたスラリーにアルカリ金属水酸化物の溶液を室温にて加える工程;を含む。エーテルを十分に湿潤し、アルカリによって膨潤させたら、C10-C24エポキシ化合物を加え、攪拌しながら、完了するまで反応を続ける。次いで残留アルカリを中和し、生成物を回収し、不活性希釈剤で洗浄し、そして乾燥する。エーテル化はさらに、C10-C24ハロゲン化物やハロ水素化物を使用して行うこともできるが、これらのエーテル化は、反応性がより低く、効率がより低く、また腐食性がより高いことがあり、したがってエポキシ化合物を使用するのが好ましい。
炭化水素変性剤をエステル結合またはウレタン結合によって結合させるのに、実質的に同じ方法が使用される。このタイプの変性剤とセルロースエーテルとを反応させる従来のスラリー法(すなわち、アルカリを使用しない方法)は、あまり効果的ではない。変性剤がセルロースエーテル分子全体に対して実質的に均一に反応できる点にまで、セルロースエーテルを確実に膨潤させるために、アルカリ工程が必要とされる。反応がセルロースエーテル物質の全体にわたって実質的に均一でなければ、性能特性の向上は達成されない。
必要に応じてケイ酸質物質を、紙や板紙を製造する際に使用する歩留り向上剤・濾水性促進剤の追加成分として使用することができる。ケイ酸質物質は、シリカをベースとする粒子、シリカミクロゲル、非晶質シリカ、コロイダルシリカ、アニオン性コロイダルシリカ、シリカゾル、シリカゲル、ポリシリケート、およびポリケイ酸などからなる群から選択される物質のいずれであってもよい。これらの物質は、表面積が大きいこと、電荷密度が大きいこと、および粒径がミクロン以下であることを特徴とする。
ケイ酸質物質は、球状非晶質シリカ粒子の安定なコロイド分散液(当業界ではシリカゾルと呼ばれている)を含む。“ゾル”という用語は、球状非晶質粒子の安定なコロイド分散液を表わしている。シリカゲルは三次元のシリカ凝集体鎖であって(それぞれの鎖が幾つかの非晶質シリカゾル粒子を含んでいる)、歩留り向上剤・濾水性促進剤系において使用することができる。これらの鎖は、直鎖状であっても、あるいは分岐鎖状であってもよい。シリカゾルとシリカゲルは、ケイ酸モノマーを重合して環状構造物(この環状構造物は、ポリケイ酸の個別の非晶質シリカゾルとなる)とすることによって製造される。これらのシリカゾルをさらに反応させて、三次元ネットワークを得ることができる。種々のシリカ粒子(ゾルやゲルなど)は、5〜50nmの外径寸法を有することができる。アニオン性のコロイダルシリカも使用することができる。
ケイ酸質物質は、セルロース懸濁液の乾燥重量を基準として、1メートルトン当たり少なくとも0.05kgの量にてセルロース懸濁液に加えることができる。ケイ酸質物質の量は、1メートルトン当たり5kgという多い量であってもよい。ケイ酸質物質の量は、1メートルトン当たり約0.05〜約25kgであるのが好ましい。ケイ酸質物質の量は、セルロース懸濁液の乾燥重量を基準として、1メートルトン当たり約0.25〜約5kgであるのがさらに好ましい。
歩留り性・濾水性系の成分は、セルロース懸濁液に実質的な量にて加えることができる。“歩留り性・濾水性系”という用語は、ここでは、改良された歩留り性・濾水性をもたらすべく製紙用スラリーに加えられる2種以上の別個の物質を包含するように使用されている。例えば、これらの成分は、セルロース懸濁液に、同じ段階の添加ポイントにて別々に加えることもできるし、あるいは異なった段階の添加ポイントにて別々に加えることもできる。本発明の系の成分を同時に加える場合、任意の2種以上の物質をブレンド物として加えることもできる。この混合物は、任意の2種以上の物質を添加ポイントにて混合することによって、あるいは添加ポイントへの供給ラインにおいて混合することによって、その場で作製することができる。これとは別に、本発明の系は、任意の2種以上の物質の予備ブレンド物を含む。本発明の他の態様においては、本発明の系の成分を逐次的に加える。成分の添加ポイントの間に、剪断ポイントが存在していても、あるいは存在していなくてもよい。これらの成分は、いかなる順序でも加えることができる。
本発明の系は、一般には、歩留り性・濾水性に影響を及ぼすように、製紙プロセスに加えられる。本発明の系は、濃厚原質に加えることも、あるいは希薄原質に加えることもできるが、好ましいのは希薄原質である。本発明の系は、1つの供給ポイントにおいて加えることもできるし、あるいは本発明の系が2つ以上の別個の供給ポイントに同時に供給されるよう分割供給することもできる。一般的な原質付加ポイントとしては、ファンポンプの前の供給ポイント、ファンポンプの後で圧力スクリーンの前の供給ポイント、または圧力スクリーンの後の供給ポイントがある。
本発明において使用されるケイ酸質物質の量と、会合性ポリマーコポリマーの量との関係は、重量比にて約10:1〜約1:100、または約50:1〜約1:50、または約10:1〜約1:10であってよい。
本発明の系の一部であってよいさらに他の追加成分は、ミョウバン(硫酸アルミニウム)、硫酸ポリアルミニウム(polyaluminum sulfate)、ポリ塩化アルミニウム、およびアルミニウムクロロハイドレート等のアルミニウム源である。
本発明において有用なコポリマーは、製紙システムや製紙プロセスに使用することができる。本発明のコポリマーは、濾水性促進剤・歩留り向上剤としてだけでなく、汚染物質抑制助剤としても有用である。工業的な製紙においては、セルロース系繊維やセルロースパルプのスラリーを、移動しつつある製紙用ワイヤや製紙用布帛上に付着させる。このスラリーは、他の化学物質(例えば、サイジング剤、澱粉、付着物コントロール剤、無機増量剤、顔料、フィラー、有機もしくは無機凝固剤、従来の凝集剤、または製紙用パルプに対する他の通常の添加剤)を含有してよい。堆積したスラリーから水を除去すると、シートが形成される。次いで、通常はシートをプレスし、そして乾燥して、紙や板紙を作製する。濾水もしくは脱水、およびスラリー中の微細繊維やフィラーの歩留り性を向上させるために、スラリーが製紙用ワイヤに達する前に、本発明のコポリマーをスラリーに加える。
本発明のポリマーは、汚染物質抑制助剤として、未使用もしくは再利用のパルプ原質からのピッチや粘着性物質が製紙装置上に堆積するのを阻止する。この助剤は、もしこの助剤を加えなければ、紙、製紙装置、または製紙プロセスに悪影響を及ぼすと思われるピッチや粘着性物質の凝集を妨げる場合にパルプスラリーに加える。ピッチや粘着性物質の堆積を阻止する方法は、セルロースパルプスラリーに疎水性ポリマーを加えることを含む。
本発明の方法にとって適切なセルロース系繊維パルプは、従来の製紙用原質(従来の化学パルプ等)を含む。例えば、漂白硫酸塩パルプ、無漂白硫酸塩パルプ、漂白亜硫酸塩パルプ、無漂白亜硫酸塩パルプ、メカニカルパルプ(例えば砕木パルプ)、サーモメカニカルパルプ、ケミサーモメカニカルパルプ、リサイクルパルプ(例えば、段ボール紙容器、新聞印刷用紙、オフィス廃棄物、雑誌用紙、および他の非インク除去廃棄物やインク除去廃棄物)、およびこれらの混合物を使用することができる。
本発明において有用なコポリマーは、種々の物理的形態にて最終用途に提供することができる。本発明のコポリマーは、最初のエマルジョン形態のほかに、水溶液、乾燥固体粉末、または分散形態物としても提供することができる。
0.1〜1%の活性ポリマーを含有する水溶液を得るには、一般には、本発明の疎水性ポリマーを希釈するか、あるいは適用部位(application site)において反転させる。これとは別に、乾燥物質を水中に溶解して水溶液を得る方法もある。
本発明は、セルロースパルプスラリーに疎水性ポリマーを加えて濾水性を向上させることを含む、セルロースパルプスラリーの歩留り性および/または濾水性を改良する方法を提供する。
本発明において使用されるコポリマーの希釈溶液を、歩留り性と濾水性に影響を及ぼすように製紙プロセスに加える。本発明のコポリマーは、濃厚原質に加えることもできるし、あるいは希薄原質に加えることもできるが、好ましいのは希薄原質である。本発明のコポリマーは、1つの供給ポイントにて加えることもできるし、あるいはコポリマーが、2つ以上の別個の供給ポイントに同時に供給されるように、分割供給することもできる。一般的な原質付加ポイントとしては、ファンポンプの前の供給ポイント、ファンポンプの後で圧力スクリーンの前の供給ポイント、または圧力スクリーンの後の供給ポイントがある。
本発明において有用なコポリマーは、セルロースパルプの乾燥重量を基準として、パルプ1メートルトン当たり活性ポリマーが約0.005kg〜約5kgの割合にて使用される。コポリマーの濃度は、乾燥セルロースパルプ1メートルトン当たり活性ポリマーが約0.025kg〜約2.5kgであるのが好ましい。コポリマーの濃度は、乾燥セルロースパルプ1メートルトン当たり活性ポリマーが約0.1kg〜約1kgであるのがさらに好ましい。
以下に幾つかの特定の実施態様を挙げて、本発明をさらに詳細に説明するが、これらの実施例は、単に例証として示されているのであって、本発明の範囲がこれらの実施例によって限定されることはない。
実施例での製造においては、下記の物質が使用されている。
アトラス(Atlas)(登録商標)G-946は、デラウェア州ニューキャッスルのユニケマ社から市販のソルビタンモノオレエートである。
ハイパーマー(Hypermer)(登録商標)B246SFは、デラウェア州ニューキャッスルのユニケマ社から市販のトリブロック高分子界面活性剤である。
OAは、ペンシルベニア州FeastervilleのMonomer-Polymer & Dajac Labs,Inc.,から入手可能なt-オクチルアクリルアミドである。
サイポマー(Sipomer)(登録商標)COPS1は、ニュージャージー州クランバリーのローディア社から市販のアルキルヒドロキシプロピルスルホン酸ナトリウムモノマーである。
サイポマーBEM-25は、ニュージャージー州クランバリーのローディア社から市販のベヘニルポリエトキシメタクリレートモノマーである。
サイポマーSEM-25は、ニュージャージー州クランバリーのローディア社から市販のトリスチリルフェノールポリエトキシメタクリレートモノマーである。
マクセマル(Maxemul)(登録商標)5010は、デラウェア州ニューキャッスルのユニケマ社から市販の、アルケニル官能性の非イオン性界面活性剤である。
アクリル酸は、ペンシルベニア州フィラデルフィアのローム・アンド・ハース社から入手した。
アクリルアミドは、アラバマ州モビールのサイテック社から入手した。
(実施例1)
オーバーヘッド・メカニカルスターラー、温度計、窒素スパージ管、および凝縮器を装備した適切な反応フラスコに、界面活性剤(4.5gのアトラスG-946と9.0gのハイパーマーB246SF)を含有するパラフィン油の油相〔135.0g,エスカイド(Escaid)(登録商標)110オイル,エクソン-ヒューストン,TX〕を仕込み、これに1.77gのOA(t-オクチルアクリルアミド)を加える。油相の温度を37℃に調節する。
53重量%アクリルアミド水溶液(126.5g)、アクリル酸(68.7g)、脱イオン水(62.12g)、およびバーセネックス(Versenex)(登録商標)(ダウケミカル)キレート剤溶液(chelant solution)(0.7g)を含んだ水性相を別個に調製する。水酸化アンモニウム水溶液(33.1g,NH3として29.4重量%)を加えて水性相のpHを5.4に調節する。中和後の水性相の温度は39℃である。
ホモジナイザーを使用して同時に攪拌しながら水性相を油相に加えて、安定な油中水エマルジョンを得る。次いで、窒素を60分スパージしながら、4枚羽根のガラススターラーを使用してこのエマルジョンを混合する。窒素のスパージ中は、エマルジョンの温度を50±1℃に調節する。その後、スパージをやめ、窒素ブランケットの雰囲気にする。
過酸化ラウロイル(LP)の3重量%トルエン溶液を加えることによって重合を開始させる〔重合が始まるよう、モノマーの合計モル数を基準として20モルppmLPのレベルにて加え;重合の1時間後に、モノマーの合計モル数を基準として10モルppmLPのレベルにて加え;そして重合の4時間後に、モノマーの合計モル数を基準として10モルppmLPのレベルにて加える〕。
次いでバッチを室温に冷却し、生成物を採取する。
アクリル酸対アクリルアミド対OAのモル比は50:49.25:0.75である。
(実施例2〜5)
実施例2〜5は、モノマーのモル組成が表1に示す通りであること以外は、実施例1に記載のように製造した。
Figure 2008545892
実施例1〜5のエマルジョンを、分析もしくは使用すべく反転させる前に、約2重量%のブレーカー界面活性剤〔例えば、テルジトール15-S-9(ミシガン州ミッドランドのダウ社)とエアロゾル-OT-S(ニュージャージー州ウエストパターソンのサイテックインダストリーズ社)との80:20重量比の混合物〕を加えた。次いで、反転した水溶性アニオン性コポリマーのpHを、必要に応じて、水酸化ナトリウム水溶液または水酸化アンモニウム水溶液で7.0以上に調節した。
(実施例6〜10)
実施例6は、パフォーム(PerForm)(登録商標)9232歩留り向上・濾水性促進剤(デラウェア州ウィルミントンのハーキュレス社)である。
実施例7は、ペンシルベニア州フィラデルフィアのローム・アンド・ハース社から市販のアクリゾル(Acrysol)(登録商標)TT-935(HASE物質)である。
実施例8は、ブチルアクリレートとアクリル酸とのコポリマー(モル比は50:50,ペンシルベニア州ワリントンのポリサイエンス社から入手)である。
実施例9は、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)(ニューヨーク州オンタリオのサイエンティフィック・ポリマープロダクツ社から入手)である。
実施例10は、ポリ(N,N-ジメチルアクリルアミド)(ニューヨーク州オンタリオのサイエンティフィック・ポリマープロダクツ社から入手)である。
性能試験
ペーパーシートの形成と歩留り性/濾水性の技術は当業界によく知られている〔例えば、「Handbook for Pulp and Paper Technologist,G.A.Snook,編(TAPPI Press,Atlanta,GA,1989)」および「PULP AND PAPER,Chemistry and Chemical Technology,第3版,J.P.Casey,編(Wiley-Interscience,New York,1981)」を参照〕。
本発明の水溶性疎水性ポリマーと水溶性疎水性コポリマーの性能を評価するために、一連の歩留り試験および/または濾水試験を行った。パフォームSP9232歩留り向上・濾水性向上剤(ハーキュレス社の製品)を、実施例1〜5に対する比較例(実施例6)として使用した。特に明記しない限り、パーセントや部などは全て重量基準である。
この一連の試験において使用した完成紙料は、合成アルカリ性完成紙料である。この完成紙料は、約70重量%の硬材と約30重量%の軟材で構成されるドライド・マーケット・ラップ・パルプ(dried market lap pulp)、水、およびさらなる物質から製造される。先ず、硬材・軟材のドライド・マーケット・ラップ・パルプを、実験室用のバレー・ビーター(Valley Beater)(ウィスコンシン州アップルトンのボイス社(Voith))にて別々に精製する。次いでこれらのパルプを水性媒体に加える。
完成紙料を作製する際に使用される水性媒体は、地元の硬水と代表的な硬度に従った脱イオン水との混合物を含む。この媒体に、CaCO3として75ppmの全アルカリ度とCaCO3として100ppmの硬度をもたらすような量にて、無機塩を加える。
完成紙料を作製するには、硬材と軟材を水性媒体中に代表的な重量比(一般には、約70:30)にて分散させる。80%の繊維と20%のPCCフィラーを含んだ最終完成紙料が得られるよう、沈降炭酸カルシウム(PCC)を完成紙料中に、パルプの合計乾燥重量を基準として25重量%の量にて導入する。
このパルプスラリーに、カチオン性のジャガイモ澱粉〔スタロック(Stalok)(登録商標)400(イリノイ州ジケーターのA.E.Staley)〕を、乾燥パルプを基準として1メートルトン当たり5kgのレベルにて加え、次いでミョウバン(硫酸アルミニウム18水和物、メリーランド州ボルティモアのデルタケミカル社から50%溶液として市販)を、1メートルトン当たり2.5kgのレベルにて加える。次いでカチオン性凝集剤(パフォームPC8138、ハーキュレス社)を、乾燥パルフを基準として0.25kg/メートルトンのレベルにて加える。
実施例1〜5に対しては、コポリマーを、完成紙料固体1メートルトン当たり活性成分0.4kgのレベルにて加えた。水と混和性の疎水性コポリマーと比較用コポリマー(実施例6)の真空濾水時間(vaccum drainage time)を測定した。対照標準は、上記のパルプ組成物(但し、水と混和性の疎水性コポリマーを含まない)である。
以下に試験手順を説明する。
ブリットジャー歩留り試験(ワシントン州ギグハーバーのペーパー・リサーチ・マテリアルズ社)が当業界に公知である。ブリットジャー歩留り試験においては、特定の体積の完成紙料を動的条件下にて混合し、保持されている微細物質のレベルを計量できるように、ブリットジャーのボトムスクリーンを通して完成紙料のアリコートを液切りする。この試験用に使用されるブリットジャーには、乱流混合を起こさせるための3枚の羽根がシリンダー壁体上に、そして76μmのスクリーンがボトムプレートに装備されている。
さらに、微粒子技術と従来の直鎖状凝集剤(linear flocculants)との間の作用を区別するために開発された真空濾水試験(vacuum drainage test;VDT)を使用して、一連の濾水試験も行った。この試験の結果から、VDTは、濾水時間の大きさを比べることで、CPAMプログラムとAPAMプログラムの両方に対して液切り助剤を区別できることがわかる。
装置の構成は、種々の参考図書〔例えば、「Perry’s Chemical Engineers’ Handbook,第7版,(McGraw-Hill,New York,1999)pp.18-78」を参照〕に記載のブフナー漏斗試験の場合と同様である。VDTは、300mlの磁気ゲルマン濾過漏斗、250mlのメスシリンダー、クイック・ディスコネクト、ウォータートラップ、および真空計とレギュレータを取り付けた真空ポンプからなる。VDT試験は、先ず真空を所望のレベル(通常は10インチHg)に設定し、そして漏斗をシリンダー上に正しく配置することによって行われる。次いで、0.5重量%の紙原質250gをビーカー中に入れ、処理プログラムに応じて必要とされる添加剤(例えば、澱粉、ミョウバン、および試験用凝集剤)を、オーバーヘッドミキサーで攪拌しながら原質に加える。次いでこの原質を濾過漏斗中に注ぎ込み、そして真空ポンプのスイッチを入れ、これと同時にストップウォッチをスタートさせる。濾水効果は、230mlの濾液を得るのに必要とされる時間として記録される。
VDTの原理は、脱水濾過の理論〔例えば、「L.Svarovsky,editor,Solid-Liquid Separation,第3版(ロンドン,バターワース,1990),第9章」を参照〕に基づいている。最初に、スラリー中の固体を、濾過ケークを支持するように作用する比較的薄い濾材上に付着させる。引き続き固体層を付着させて、濾過ケークまたは濾過マットを形成させる。濾過ケーク(または濾過マット)を通過する濾液の速度は、フロックの密度、マットにおけるフロックのサイズ分布、および水性相中に残留しているポリマー物質のレベルに依存する。緻密で均一なサイズのフロックを形成し、水中での残留レベルが低い(すなわち、優れた形成特性の)凝集剤は、VDT試験において良好な濾水性を示す(逆もまた同様である)。
表2に記載のデータは、水と混和性の疎水性コポリマーの歩留り活性と濾水活性を示している。
Figure 2008545892
表2のデータは、本発明の水溶性の疎水性ポリマーと疎水性コポリマーが、対照標準物質を大幅に凌ぐ改良をもたらすことを示している。
実施例7〜10に対する濾水試験データを表3に示す。留意しておくべきことは、これらのコポリマーの使用レベルが、完成紙料固体1メートルトン当たり活性ポリマー0.25kgであったという点である。
Figure 2008545892
これらのデータは、これらの物質が、対照標準と比較して濾水性の向上をもたらすことを示している。
理解しておかなければならないことは、上記の実施例は、単に説明を分かりやすくするためのものであって、決して本発明の範囲を限定するためのものではない、という点である。代表的な実施態様を挙げて本発明を説明してきたが、本明細書で使用してきた言葉は、限定の言葉ではなく説明と例証の言葉である、ということは言うまでもない。本発明の精神と範囲をその態様において逸脱することなく、添付したクレームの範囲内にて(本明細書にて説明したように、また修正したように)種々の変更を行ってよい。特定の手段、物質、および実施態様に関して本発明を説明してきたけれども、本発明は、本明細書に開示の特定のケースに限定されることはない。例えば、好ましい重合条件に従って製造されたカチオン性コポリマーおよび/または両性コポリマーが、製紙用途において活性を示すことがある。本発明の水溶性アニオン性コポリマーはさらに、他の用途(例えば、廃水処理用途における凝固剤および/または凝集剤として;あるいはペイント、塗料、掘削流体、および/またはセメント加工用途におけるレオロジー変性剤として)において活性を示すことがある。

Claims (19)

  1. 製紙プロセスにおける歩留り性と濾水性を改良する方法であって、その改良点が、製紙用スラリーに水と混和性の疎水性ポリマーを加えることを含むことにある、前記方法。
  2. 水と混和性の疎水性ポリマーが、少なくとも1種の疎水性モノマーを含有する合成コポリマーである、請求項1に記載の方法。
  3. 合成コポリマーが、ラウリルアクリレートとオクチルアクリルアミドから選択される少なくとも1種の疎水性モノマーを含めた少なくとも1種のモノマーから作製される、請求項2に記載の方法。
  4. 合成コポリマーが、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N-ジアルキルアクリルアミド、N-アルキルアクリルアミド、N-ビニルメタアセトアミド、N-ビニルメチルホルムアミド、およびN-ビニルピロリドンから選択される少なくとも1種の非イオン性モノマーを含めた少なくとも1種のモノマーから作製される、請求項2に記載の方法。
  5. 合成ポリマーが、アクリル酸;メタクリル酸;マレイン酸;イタコン酸;アクリルアミドグリコール酸;2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸;3-アリルオキシ-2-ヒドロキシ-1-プロパンスルホン酸;スチレンスルホン酸;ビニルスルホン酸;ビニルホスホン酸;および2-アクリルアミド-2-メチルプロパンホスホン酸;の遊離酸もしくは塩から選択される少なくとも1種のアニオン性モノマーをさらに含めたモノマーから作製される、請求項4に記載の方法。
  6. 合成ポリマーが、ハロゲン化ジアルキルジメチルアンモニウム;ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、すなわちジエチルアミノエチル(メタアクリレート)やジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート;2-ヒドロキシジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート;アミノエチル(メタ)アクリレート;N,N-ジメチルアミノエチルアクリルアミド;およびアクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド;の遊離塩基もしくは塩から選択される少なくとも1種のカチオン性モノマーをさらに含めたモノマーから作製される、請求項4に記載の方法。
  7. 少なくとも1種のアニオン性モノマーが、アクリル酸;スチレンスルホン酸;または2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸;の遊離酸もしくは塩から選択される、請求項5に記載の方法。
  8. 製紙用スラリーにケイ酸質物質を加えることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  9. ケイ酸質物質が、シリカをベースとする粒子、シリカミクロゲル、非晶質シリカ、コロイダルシリカ、アニオン性コロイダルシリカ、シリカゾル、シリカゲル、ポリシリケート、ポリケイ酸、およびこれらの組み合わせ物からなる群から選択される、請求項8に記載の方法。
  10. 水と混和性の疎水性コポリマーがアニオン性モノマーを含む、請求項2に記載の方法。
  11. 非イオン性モノマーがアクリルアミドを含む、請求項4に記載の方法。
  12. 水と混和性の疎水性ポリマーがカチオン性モノマーを含む、請求項2に記載の方法。
  13. 水と混和性の疎水性ポリマーとセルロース系繊維とを含む組成物。
  14. 水と混和性の疎水性ポリマーが、疎水性のアルカリ膨潤性エマルジョン、エトキシル化ウレタンポリマー、フッ素化ポリマー、疎水的に変性した天然高分子、またはこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
  15. 疎水性モノマーが、モル基準にて約5%未満の量でポリマー中に存在する、請求項2に記載の方法。
  16. 疎水性モノマーが、モル基準にて約2%未満の量でポリマー中に存在する、請求項2に記載の方法。
  17. 水と混和性の疎水性ポリマーが、セルロースパルプ1メートルトン当たり活性ポリマー約0.005kg〜約5kgの量にて製紙用スラリー中に加えられる、請求項1に記載の方法。
  18. 水と混和性の疎水性ポリマーが、セルロースパルプ1メートルトン当たり活性ポリマー約0.025kg〜約2.5kgの量にて製紙用スラリー中に加えられる、請求項1に記載の方法。
  19. 製紙プロセスにおける歩留り性と濾水性を改良する方法であって、その改良点が、製紙用スラリーに水と混和性の疎水性ポリマーを加えることを含むことにあり、このとき水と混和性の疎水性ポリマーが、アクリルアミド、アクリル酸、およびオクチルアクリルアミドを含む、前記方法。
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