JP3448444B2 - 光蓄電池 - Google Patents

光蓄電池

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    • H01M14/005Photoelectrochemical storage cells
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    • H01M10/05Accumulators with non-aqueous electrolyte
    • H01M10/052Li-accumulators
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光の照射によって
充電が行なわれる光蓄電池に関し、特に、充電時に光の
照射によって正極からリチウムイオンが放出されて、負
極に吸蔵される光蓄電池に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、光エネルギーを電気エネルギ
ーに変換する太陽電池や、電気エネルギーを化学エネル
ギーとして蓄える二次電池が知られており、図2に示す
如く太陽電池(7)から得られる電力を充電回路(8)を通
じて二次電池(9)へ供給し、二次電池(9)に充電を施す
蓄電池システムを構成することが可能である。上記蓄電
池システムによれば、例えば昼間に太陽からの光エネル
ギーを二次電池(9)に蓄えて、夜間に二次電池(9)から
必要な電力を取り出すことが出来る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記蓄
電池システムにおいては、光エネルギーを電気エネルギ
ーに変換した後、更に電気エネルギーを化学エネルギー
に変換するので、この2回のエネルギー変換に伴って大
きな損失が発生し、効率が悪い問題があった。又、太陽
電池及び二次電池の他に充電回路が必要であるために、
構成が複雑となる問題があった。本発明の目的は、エネ
ルギー効率が高く、然も構成が簡易な光蓄電池を提供す
ることである。
【0004】
【課題を解決する為の手段】本発明に係る光蓄電池は、
正極活物質としてLiMoS 2 、LiTiS 2 及びLiNbS 2 の中から選
ばれる少なくとも1種の化合物を用いると共に、負極活
物質として、リチウムイオンの吸蔵、放出が可能な材料
或いはリチウム金属を用いて、正極と負極の間にリチウ
ムイオン導伝性の電解質を介在させ、正極の少なくとも
一部に光の照射領域を設けたことを特徴とする。又、リ
チウムイオンの吸蔵、放出が可能な材料は、コークス、
黒鉛、及びハードカーボンの中から選ばれる少なくとも
1種の炭素材料を含んでいる。
【0005】上記光蓄電池において、充電時には、正極
の光照射領域に例えば太陽光やマイクロ波等の電磁波を
照射する。これによって、正極を構成するリチウム含有
遷移金属化合物からリチウムイオンが放出され、このリ
チウムイオンは電解質中を移動して負極に達し、負極内
に吸蔵されることになる。一方、放電時には、負極から
リチウムイオンが放出され、このリチウムイオンは電解
質中を移動して正極に達し、正極内に吸蔵されることに
なる。ここで、正極及び負極に層状化合物を用いた場
合、正極及び負極の層間をリチウムイオンが出入りしな
がら、正極と負極の間を移動し、充放電が進む。これに
対し、負極にリチウム金属を用いた場合、負極上では、
充電によってリチウム金属が析出し、放電によってリチ
ウムイオンが溶出する。
【0006】
【発明の効果】本発明に係る光蓄電池においては、光エ
ネルギーが直接に化学エネルギーに変換されるので、エ
ネルギー変換効率が高い。又、特別な充電回路は不要で
あるので、構成が簡易である。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につ
き、図面に沿って具体的に説明する。本発明に係る光蓄
電池は、基本的には図1に示す如く、正極(1)と負極
(2)の間に電解質(3)を介在させて構成され、正極(1)
には、光の照射領域が形成されている。正極(1)は、L
iMoS2、LiTiS2、或いはLiNbS2等のリチ
ウム含有遷移金属化合物からなり、負極(2)は、コーク
ス、黒鉛、或いはハードカーボン等のリチウムイオンの
吸蔵、放出が可能な材料からなり、電解質(3)は、溶媒
として、LiPF6、LiCF3SO3、LiBF4、Li
12Cl12、或いはLi210Cl10を、溶質として、
環状カーボネート、鎖状カーボネート、或いは鎖状エー
テルを含んでおり、リチウムイオン導伝性を有するもの
である。
【0008】正極(1)と負極(2)とは、図示の如く負荷
(4)、ダイオード(5)及びスイッチ(6)を介して互いに
連結されており、充電時には、スイッチ(6)をb側に切
り換えると共に、正極(1)に光を照射する。これによっ
て、正極(1)からはリチウムイオンが放出され、このリ
チウムイオンは電解質(3)中を移動して、負極(2)に到
達し、負極(2)内に吸蔵される。この過程で、負極(2)
からダイオード(5)を経て正極(1)へ電流iが流れるこ
とになる。これに対し、放電時には、スイッチ(6)をa
側に切り換える。これによって、負極(2)に吸蔵されて
いるリチウムイオンが放出され、このリチウムイオンは
電解質(3)中を移動して、正極(1)に到達し、正極(1)
内に吸蔵される。この過程で、正極(1)から負荷(4)を
通じて負極(2)へ電流iが流れることになる。
【0009】
【実施例】正極の作製 LiMoS2硫化物塊を石川式らいかい乳鉢を用いて粉
砕し、粒子のメジアン径が約10μmの正極活物質を得
た。この正極活物質に、導電剤としてのアセチレンブラ
ックと、結着剤としてのポリフッ化ビニリデンとを、重
量比90:6:4の比率で混合し、正極合剤を得た。こ
の正極合剤を混練してシート状とし、このシートを厚さ
30μmの多孔性アルミニウム箔の両面に圧着せしめ
て、正極を作製した。
【0010】負極の作製 平均粒径10μmの天然黒鉛粉末を、結着剤であるポリ
イミドの1重量%NMP溶液に分散させてスラリーを調
製し、このスラリーを銅箔の片面にドクタブレード法に
より塗布し、60℃で真空乾燥を施し、NMPを蒸発さ
せた後、更に他方の片面にも同様の方法でスラリーを塗
布し、同一温度で真空乾燥を施した。その後、350℃
で2時間の真空乾燥を施すことによって、負極を作製し
た。
【0011】電解液の作製 エチレンカーボネートとジメチルカーボネートを体積比
1:1で混合し、この混合溶媒に、LiPF6を1モル
/リットルの濃度で溶かして、非水電解液を調製した。
尚、混合比は、0.001:1から1:0.01の範囲が
望ましい。但し、電解液はこれに限らず、電解質を溶か
すことの出来る種々の有機溶媒を用いることが出来、例
えば、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネー
ト、ビニレンカーボネート、クロロエチレンカーボネー
ト、トリフルオロプロピレンカーボネート、ジエチルカ
ーボネートなどを採用することが出来る。
【0012】電池の組立て 上述の様にして作製された負極、正極及び電解液を用い
て、図3及び図4に示す如き薄型の蓄電池を組み立て
た。図3において、電池の長さAは60mm、幅Bは50
mm、厚さCは5mmである。該電池においては、図4の如
く、アルミニウム箔からなる正極集電体(12)の両面に正
極活物質を含むシート(10)(10)が貼り付けられて正極
(1)が構成されている。又、銅箔からなる負極集電体(2
2)の片面に黒鉛層(20)が形成されて、負極(2)が構成さ
れている。正極(1)及び負極(2)の端部には夫々、正極
端子(12a)及び負極端子(22a)が突設されている。正極
(1)と負極(2)の間には、前記電解液を含浸させたセパ
レータ(31)が介在している。ここで、セパレータ(31)と
しては、イオン透過性のポリプロピレン(商品名「ジュ
ラガード」)を採用した。又、正極(1)の表面には、採
光のための透明ガラス板(11)が配置されると共に、負極
(2)の裏面にはステンレス鋼箔(21)が配置され、更に正
極(1)、セパレータ(31)及び負極(2)の周囲を熱融着樹
脂(16)で封止して、一体化されている。
【0013】図5(a)(b)は、上記光蓄電池に対する充
電と放電を行なうための2つの具体的構成を表わしてい
る。図5(a)に示す正極端子(12a)は、絶縁体(13)上
に、前記正極集電体に繋がる第1導体部(14)と、該第1
導体部(14)から離して形成した第2導体部(15)とが形成
され、第1導体部(14)と第2導体部(15)はダイオード
(5)を介して互いに接続されている。該構成において
は、正極端子(12a)の第2導体部(15)と負極端子(22a)の
間で充電が行なわれ、正極端子(12a)の第1導体部(14)
と負極端子(22a)の間で放電が行なわれる。
【0014】これに対し、図5(b)に示す負極端子(22
a)は、絶縁体(23)上に、前記負極集電体に繋がる第1導
体部(24)と、該第1導体部(24)から離して形成した第2
導体部(25)とが形成され、第1導体部(24)と第2導体部
(25)はダイオード(5)を介して互いに接続されている。
該構成においては、正極端子(12a)と負極端子(22a)の第
2導体部(25)の間で充電が行なわれ、正極端子(12a)と
負極端子(22a)の第1導体部(24)の間で放電が行なわれ
る。
【0015】図6は、上記本発明の光蓄電池の表面に太
陽光を照射して充電を施した場合の露光時間と電池電圧
の実測値をグラフ化したものである。露光時間が長くな
るにつれて、電池電圧が上昇しており、約6時間の露光
によって電池電圧は2.0Vに達している。一方、図7
は、6時間の露光後、5mAの一定電流で放電させたと
きの放電時間と電池電圧の実測値をグラフ化したもので
ある。約9時間に亘って2.0〜1.8Vの安定した電圧
が得られていることがわかる。この過程で放電容量を測
定したところ、50mAhの測定値が得られた。
【0016】上述の如く、本発明に係る光蓄電池におい
ては、光の照射によって、光エネルギーを電気エネルギ
ーを経ることなく、直接に化学エネルギーに変換して、
該化学エネルギーを蓄えることが出来るので、エネルギ
ー変換効率が従来よりも向上する。又、従来の充電回路
を省略することが出来るので、構成が簡易となる。
【0017】上記実施の形態の説明は、本発明を説明す
るためのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を
限定し、或は範囲を減縮する様に解すべきではない。
又、本発明の各部構成は上記実施の形態に限らず、特許
請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能で
あることは勿論である。
【0018】例えば、リチウムの吸蔵、放出が可能な負
極活物質としては、アモルファス状態の金属酸化物を用
いることが出来る。これによって、サイクル特性を改善
することが出来る。又、コークス、黒鉛、ハードカーボ
ン等の炭素材料とダイヤモンドとが複合された材料を用
いることも可能である。更に又、上記実施例では、正極
の表面に光を照射しているが、負極及びセパレータを光
透過性の材料から形成すれば、負極及びセパレータを通
して、正極の裏面に光を照射する構成も採用可能であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る光蓄電池の基本的な構成を示す図
である。
【図2】従来の蓄電池システムの構成を表わすブロック
図である。
【図3】本発明に係る光蓄電池の外観を表わす斜視図で
ある。
【図4】図3X−X線に沿う断面図である。
【図5】充電及び放電のための端子構造を表わす斜視図
である。
【図6】充電特性を表わすグラフである。
【図7】放電特性を表わすグラフである。
【符号の説明】
(1) 正極 (2) 負極 (3) 電解質
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−245125(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01M 14/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 LiMoS 2 、LiTiS 2 及びLiNbS 2 の中から選ば
    れる少なくとも1種の化合物と導電剤と結着剤からなる
    正極と、リチウムイオンの吸蔵、放出が可能な材料と結
    着剤或いはリチウム金属からなる負極と、正極と負極の
    間に介在するリチウムイオン導伝性の電解質とを具え、
    正極の少なくとも一部に光の照射領域を設けたことを特
    徴とする光蓄電池。
  2. 【請求項2】 リチウムイオンの吸蔵、放出が可能な材
    料は、コークス、黒鉛及びハードカーボンの中から選ば
    れる少なくとも1種の炭素材料を含んでいる請求項1に
    記載の光蓄電池。
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