JP3979428B2 - リチウム二次電池 - Google Patents

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Description

本発明は、電池のサイクル特性に優れたリチウム二次電池に関する。
近年、リチウム二次電池は小型電子機器などの駆動用電源として広く使用されている。リチウム二次電池は、主に正極、非水電解液および負極から構成されており、特に、LiCoO2などのリチウム複合酸化物を正極とし、炭素材料を負極としたリチウム二次電池が好適に使用されている。そして、そのリチウムイオン二次電池用の電解液としては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)などのカーボネート類が好適に使用されている。
しかしながら、PC系電解液を用いた場合、負極材料として結晶性の高いグラファイトを用いたリチウム二次電池は、電解液中のPCがグラファイトによって充電時に分解され、良好なサイクル特性が得られないことがある。このため、PCの代わりにECが使用されているが、ECの融点が37〜39℃と高いことから、電池の低温特性が悪くなるという課題があった。
電池の低温特性を向上させるために種々の方法が提案されており、例えば特許文献1では、電解液溶媒としてグラファイト負極で分解せず、凝固点がECより低いビニレンカーボネート(VC)と沸点150℃以下の低沸点溶媒との混合溶媒の使用が提案されている。この方法では混合溶媒中のVCの割合は20容量%から80容量%が好ましいとされ、VCとジメチルカーボネート(DMC)とが等容量での電解液が例示されている。
特許文献2では、VCとPCとを混合することによりVCの凝固点が低下することが述べられており、VCとPCとの等容量の電解液が開示されている。
特許文献3では、PCの代わりにVCを高誘電率溶媒として使用し、鎖状エステルと混合して使用する方法が提案されており、VCの割合が20容量%から60容量%が好ましいとされている。
しかしながら、これらの従来の方法では、いずれもグラファイト負極での使用が可能になったとはいえ、電解液溶媒として凝固点が比較的高いVCをかなり多く使用するため、低温での電池特性がなお満足できるものではなかった。
特開平6−52887号公報 特開平7−220756号公報 特開平8−9865号公報
本発明は、前記のようなリチウム二次電池用電解液に関する課題を解決し、電池のサイクル特性、特に低温での電池特性に優れたリチウム二次電池を提供することを目的とする。
本発明は、クロム、バナジウム、マンガン、鉄、コバルトおよびニッケルからなる群より選ばれる少なくとも一種類の金属とリチウムとの複合金属化合物からなる正極活物質を含む正極と、炭素材料を負極活物質とする負極と、非水溶媒に電解質が溶解されてなる電解液とからなるリチウム二次電池において、負極活物質の炭素材料がグラファイトであって、前記非水溶媒が、プロピレンカーボネート鎖状カーボネートとを主成分とし、そして非水溶媒全体量に対して0.1〜4質量%の1,3−プロパンスルトンを含有することを特徴とするリチウム二次電池にある。
本発明において、高誘電率溶媒としてECやVCより凝固点のはるかに低いプロピレンカーボネート(PC:凝固点−55℃)を選択し、低粘度の鎖状カーボネートおよび1,3−プロパンスルトン(PS)とからなる非水溶媒に電解質を溶解させた電解液は、リチウムを吸蔵・放出可能な炭素材料を負極材料とするリチウム二次電池において分解せず、しかも低温で極めて優れた電池特性を有している。
本発明によれば、電池のサイクル特性などの電池特性に優れ、しかも低温特性に優れたリチウム二次電池を提供することができる。
本発明のリチウム二次電池用電解液において、非水溶媒中のプロピレンカーボネートの含有量が10質量%以上であり、そして鎖状カーボネートの含有量が30質量%以上であることが好ましい。
本発明のリチウム二次電池用電解液においてPCの一部を他の高誘電率溶媒の少なくとも1種類以上と置換することができる。そのような高誘電率溶媒としては、例えば、EC、ブチレンカーボネート(BC)などの環状カーボネート類が好適に挙げられる。この場合、PCと他の高誘電率溶媒とはPCが最も多くなるような組成比で用いることが好ましい。
本発明の電解液の非水溶媒において、プロピレンカーボネートの含有量が過度に多いと電解液の粘度が大きくなり、過度に少ないと電解液の誘電率が低くなって、電気伝導度が小さくなるので、プロピレンカーボネートの含有量は上記の量が好ましい。
本発明の電解液において、前記鎖状カーボネートは、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、メチルエチルカーボネート(MEC)から選ばれる少なくとも1種以上であることが好ましい。鎖状カーボネートの含有量が過度に多いと電解液の誘電率が低くなり、過度に少ないと電解液の粘度が大きくなって、電気伝導度が小さくなるので、前記の量が好ましい。
また、1,3−プロパンスルトンの含有量が過度に多いと低温での電池特性が悪くなり、過度に少ないと負極でPCの分解が起こるので、1,3−プロパンスルトンの含有量は0.1質量%以上4質量%以下(特に0.1〜1質量%)とするのが好ましい。
本発明で使用される電解質としては、LiPF6、LiBF4、LiClO4、LiN(SO2CF32、LiN(SO2252、LiC(SO2CF33などが挙げられる。これら電解質は一種類で使用してもよく、二種類以上組み合わせて使用してもよい。これら電解質は、前記の非水溶媒に通常0.1〜3M、好ましくは0.5〜1.5Mの濃度で溶解されて使用される。
本発明の電解液は、例えば、前記プロピレンカーボネート、鎖状カーボネートおよび1,3−プロパンスルトンを混合し、これに前記の電解質を溶解することにより得られる。
本発明の電解液は、二次電池の構成部材、特にリチウム二次電池の構成部材として好適に使用される。二次電池を構成する電解液以外の構成部材については特に限定されず、従来使用されている種々の構成部材を使用できる。
正極材料(正極活物質)としてはクロム、バナジウム、マンガン、鉄、コバルトおよびニッケルからなる群より選ばれる少なくとも一種類の金属とリチウムとの複合金属化合物が使用される。このような複合金属化合物としては、例えば、LiCoO2、LiMn24、LiNiO2などが挙げられる。
正極は、正極材料をアセチレンブラック、カーボンブラックなどの導電剤およびポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などの結着剤と混練して正極合剤とした後、この正極材料を集電体としてのアルミニウムやステンレス製の箔やラス板に圧着して50℃〜250℃程度の温度で2時間程度真空下で加熱処理することにより作製される。
負極(負極活物質)としては、リチウムを吸蔵・放出可能なグラファイトが用いられる。例えば、人造黒鉛、天然黒鉛が好ましい。なお、グラファイトのような粉末材料はエチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などの結着剤と混練して負極材料として使用される。
リチウム二次電池の構成は特に限定されるものではなく、正極、負極および単層又は複層のセパレータを有するコイン電池、さらに、正極、負極およびロール状のセパレータを有する円筒型電池や角型電池などが一例として挙げられる。なお、セパレータとしては公知のポリオレフィンの微多孔膜、織布、不織布などが使用される。
次に、実施例および比較例を挙げて、本発明を具体的に説明するが、これらは、本発明を何ら限定するものではない。
[実施例1]
〔電解液の調製〕
プロピレンカーボネート(PC)とジメチルカーボネート(DMC)とを質量比1:1となるように調製し、さらに1,3−プロパンスルトン(PS)を0.1質量%となるように加えた。これにLiPF6を1Mの濃度になるように溶解して電解液を調製した。
〔リチウム二次電池の作製および電池特性の測定〕
LiCoO2(正極活物質)を70質量%、アセチレンブラック(導電剤)を20質量%、ポリテトラフルオロエチレン(結着剤)を10質量%の割合で混合し、これを圧縮成型して正極を調製した。天然黒鉛(負極活物質)を95質量%、エチレンプロピレンジエンモノマー(結着剤)を5質量%の割合で混合し、これを圧縮成型して負極を調製した。そして、ポリプロピレン微多孔性フィルムのセパレータを用い、上記の電解液を含浸させてコイン電池(直径20mm、厚さ3.2mm)を作製した。
このコイン電池を用いて、室温(25℃)において、0.8mAの定電流で、充電終止電圧4.2V、放電終止電圧2.7Vの電位規制で充放電を行った。初期充電容量および初期放電容量は、EC/DMC(1/1)を電解液に用いた場合(比較例1)とほぼ同等であり、充放電50サイクル後の電池特性を測定したところ、初期放電容量を100%としたときの放電容量維持率は82.3%であった。その結果を表1に示す。さらに、室温(25℃)において、定電流0.8mAで終止電圧4.2Vまで充電した後、−20℃にして終止電圧2.7Vまで放電した。このときの初期放電容量は室温との初期放電容量比で88%であった。
[実施例2〜実施例5]
正極活物質、負極活物質および電解液組成を表1記載のようにした以外は実施例1と同様な方法により、コイン電池を作製し、電池特性を測定した。室温下、50サイクルでの放電容量維持率を表1に示す。
[実施例6]
正極活物質をLiCoO2からLiMn24に代えて、電解液組成を表1記載のようにし、終止電圧4.3Vまで充電した後、終止電圧3.5Vまで放電した以外は実施例1と同様に充放電試験を行った。室温下、50サイクルでの放電容量維持率を表1に示す。
[実施例7]
負極活物質を天然黒鉛から人造黒鉛(大阪ガス製 MCMB)に代え、電解液組成を表1記載のようにした以外は実施例1と同様にしてリチウム二次電池を作製して充放電試験を行った。室温下、50サイクルでの放電容量維持率を表1に示す。
[比較例1]
電解液組成をEC/DMC(1/1)となるようにした以外は実施例1と同様にしてリチウム二次電池を作製して充放電試験を行った。室温下、50サイクルでの放電容量維持率を表2に示す。さらに−20℃での初期放電容量は室温との初期放電容量比で62%であった。
[比較例2]
電解液組成をPC/DMC(1/1)となるようにした以外は実施例1と同様にしてリチウム二次電池を作製して充放電試験を行った。しかしながら、この場合には初期充電時に電解液が分解して充電できなかった。結果を表2に示す。
Figure 0003979428
Figure 0003979428

Claims (3)

  1. クロム、バナジウム、マンガン、鉄、コバルトおよびニッケルからなる群より選ばれる少なくとも一種類の金属とリチウムとの複合金属化合物からなる正極活物質を含む正極と、炭素材料を負極活物質とする負極と、非水溶媒に電解質が溶解されてなる電解液とからなるリチウム二次電池において、負極活物質の炭素材料がグラファイトであって、非水溶媒が、プロピレンカーボネート鎖状カーボネートとを主成分とし、そして非水溶媒全体量に対して0.1〜4質量%の1,3−プロパンスルトンを含有することを特徴とするリチウム二次電池。
  2. 1,3−プロパンスルトンの含有量が、非水溶媒全体量に対して0.1〜1質量%の範囲にある請求項1に記載のリチウム二次電池。
  3. 鎖状カーボネートが、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートおよびメチルエチルカーボネートからなる群から選ばれる化合物である請求項1もしくは2に記載のリチウム二次電池。
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