JP3446787B2 - 車両のスタビライザ装置 - Google Patents

車両のスタビライザ装置

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JP3446787B2
JP3446787B2 JP25052495A JP25052495A JP3446787B2 JP 3446787 B2 JP3446787 B2 JP 3446787B2 JP 25052495 A JP25052495 A JP 25052495A JP 25052495 A JP25052495 A JP 25052495A JP 3446787 B2 JP3446787 B2 JP 3446787B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両の走行安定性
を図るためのトーションバー式の車両のスタビライザ装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】トーションバー式のスタビライザ装置
は、左右の車輪が同時に上下する場合は作用しないが、
左右の車輪が互いに上下する場合はスタビライザバーが
ねじられるため、スタビライザバーのねじり弾性吸収エ
ネルギーによって車両の傾きが少なくなる。
【0003】このようなスタビライザ装置では、直進時
には路面追従性を重視する観点からねじり剛性を低く
し、旋回時にはロール特性を重視する観点からねじり剛
性を高くすることが望まれている。これを実現すべく、
特公平5−85371号公報に記載されているように、
トーションバーの一端を油圧シリンダのピストンロッド
に連結し、直進走行時や旋回走行時等車両の走行状態に
応じてピストンロッドをフリー状態又は伸縮、中立位置
でロックすることが行われている。例えば、直進時にお
いて(この場合、ピストンはシリンダのほぼ中央に位置
する。)、横方向の加速度がある場合には、ピストンを
ロック状態にすることによりねじり剛性を高め、一方、
横方向の加速度がない場合には、ピストンをフリー状態
にすることにより左右のサスペンションが独立に作動す
るようにしている。また、旋回時には、左右の旋回方向
に応じて、ピストンロッドを伸ばした状態又は縮ませた
状態でロックすることによりロール角ができるだけ小さ
くなるようにしている。
【0004】ところで、このようなスタビライザ装置で
は、直進時において横方向の加速度がない場合には、上
述のように、ピストンをフリー状態にするのであるが、
このような走行状態において、例えば、横方向の強風を
受けて車両がロールした場合、ロールができるだけ小さ
くなるようにピストンロッドをロックする措置がとられ
る。
【0005】このように、かかるスタビライザ装置で
は、車両がロール状態にあってもピストンロッドをロッ
クすることが可能であるが、例えば、上記のように、強
風に基づくロール時にピストンロッドをロックした場
合、シリンダのピストンはシリンダの中央ではなくスト
ローク端に固定され、スタビライザバーはそのロール時
の状態に保持される。
【0006】強風下では、この状態での走行がロール防
止という観点から好ましいが、強風が止んだ場合には、
スタビライザバーはロール状態を保持したままであるか
ら安全性の上から好ましくない。もちろん、強風が止ん
だ後は、ピストンロッドのロックが解除されるため、油
圧シリンダはフリー状態になり、スタビライザバーは中
立位置に復帰することが可能になる。
【0007】しかし、油圧シリンダに嵌挿されたピスト
ンが、シリンダのストローク端からほぼ中央に復帰する
までの間には油の粘性抵抗が作用することから、スタビ
ライザバーが中立位置に復帰するまでにはある時間を要
し、その間の安全性が問題になる。そこで、これを防止
すべく、ロール状態において、ピストンロッドのロック
操作が行われると、強制的にピストンをシリンダのほぼ
中央に位置させ、それによってスタビライザバーを中立
位置に位置させることが提案されている。
【0008】この種の従来の車両のスタビライザ装置
を、図11及び図12を参照して説明するが、車両の前
輪側に設けられたスタビライザ装置と後輪側に設けられ
たスタビライザ装置とは同一の構成であるため、前輪側
に設けられたスタビライザ装置について説明する。
【0009】同図において、1は車輪の荷重を支えるア
クスルで、車両の進行方向に対してほぼ直交するように
配置されている。2はスタビライザバーで、スタビライ
ザバー2はアクスル1にほぼ平行であって、アクスル1
の支持部3に固定される。スタビライザバー2の両側の
スタビライザ4、5のうち車両の進行方向に向かって右
側のスタビライザ4は、エンドブッシュ7とロッド8と
ラバー9とを介して車体フレーム10に固定される。
【0010】左側のスタビライザ5はエンドブッシュ1
1とロッド12とを介してベルクランク13の一端部に
形成されたエンドブッシュ14に連結される。ベルクラ
ンク13はL字状に形成され、ピン15によって車体フ
レーム10に回動自在に取り付けられる。ベルクランク
13の他端はエンドブッシュ16を介して油圧シリンダ
17のピストンロッド18の一端部に回動自在に取り付
けられる。
【0011】油圧シリンダ17は、車体フレーム10の
左側のサイドメンバーに固定される。ピストンロッド1
8の両端部は油圧シリンダ17の両端部から突出してい
て、油圧シリンダ17に摺動自在に嵌挿されたピストン
19の両側には2つの油室が形成される。このスタビラ
イザ装置では、スタビライザスイッチ(図示せず)をオ
フにすると、油圧シリンダ17の2つの油室に接続され
た油圧回路(図示せず)が開になるため、ピストン19
は油圧シリンダ17内を自由に摺動することができるフ
リー状態にある。
【0012】一方、ピストンロッド18、すなわちピス
トン19をロックすべく、スタビライザスイッチ(図示
せず)をオンにすると、ロール検出スイッチ(図示せ
ず)がオンになり、この状態でロール検出スイッチが車
両のロールを検出すると、ピストンロッド18は強制的
に中立位置に移動させられ、中立位置でロックされる。
それによってスタビライザ4、5は中立位置へ移動す
る。
【0013】したがって、上記のようなスタビライザ装
置では、車両のロール時にピストンロッド18のロック
操作を行うと、ピストンロッド18が中立位置に移動し
た後にロックされるため、直進時において、ロール時の
走行状態が維持されることはない。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】上記従来例では、車両
のロール時に、ピストン19のロック操作を行った場
合、スタビライザ4、5は中立復帰を行ってからロック
されるので、横方向の加速度がなくなった後に、スタビ
ライザ4、5がロール時の状態を維持することはない。
【0015】しかし、上記従来例では、油圧シリンダ1
7は、ピストンロッド18の中央部に形成されたピスト
ン19を油圧シリンダ17に摺動自在に嵌挿するととも
にピストンロッド18の両端部を油圧シリンダ17の両
端壁から突出させた構成でありかつスタビライザ4、5
はベルクランク13を介してピストンロッド18に連結
されているため、スタビライザ4、5が一定範囲の角度
を回動するためには、ピストン19が油圧シリンダ17
内を所定ストロークだけ摺動することが必要である。
【0016】ところが、油圧シリンダ17には油が充填
されているため、ピストン19が所定ストロークを摺動
する際には、ストローク方向と反対方向の油の粘性抵抗
が作用する。このため、ピストン19が油圧シリンダ1
7内を所定ストローク摺動する場合、例えば、ピストン
19が中央位置から左右のストローク端に達するまでに
はある時間を要する。
【0017】このため次のような問題が生ずる。例え
ば、直進時の強風下において、ピストン19が強制的に
油圧シリンダ17の中央に位置させられるロック操作を
行ったとする。このようなスタビライザ4、5の中立位
置でのロック状態での直進走行時に、強風が止んだとし
ても、スタビライザ4、5は中立位置にあるので、通常
はなんの問題も生じない。
【0018】ところが、スタビライザ4、5の中立位置
におけるロック状態での直進走行時に、乗客の移動等に
よりすでに左右の荷重バランスがずれてロール時と同様
の状態にあると、この状態で強風が止んだ場合、スタビ
ライザ4、5は中立位置にあるにもかかわらず、車両は
ロール時の状態にあるため、急にロールしドライバーに
恐怖感を与える。
【0019】もちろん、強風が止んだ後は、ロックを解
除してピストン19をフリー状態にするため、ピストン
19は荷重バランスのずれを補正すべくストローク端に
移動することが可能であるが、上述のように、ピストン
19が油圧シリンダ17の中央から左右いずれかのスト
ローク端に達するまでには一定の時間を要することか
ら、この間、車両がロールしドライバに恐怖感を与え
る。
【0020】また、直進走行時においては、通常、横加
速度が小さい場合には、ピストン19をフリー状態にし
ねじり剛性を低くして、左右のサスペンションを互いに
独立に作動させるようにしている。しかし、上記従来例
では、上述したように、油圧シリンダ17は、ピストン
ロッド18の中央部に形成されたピストン19を油圧シ
リンダ17に摺動自在に嵌挿するとともにピストンロッ
ド18の両端部を油圧シリンダ17の両端壁から突出さ
せた構成であるから、ピストン19があるストロークを
摺動する際に、ストローク方向と反対方向に作用する油
の粘性抵抗が大きく、したがって左右の車輪が互いに上
下動する場合には、スタビライザバー2にある程度のね
じりが生ずる。
【0021】このため、油圧シリンダ17をフリーにし
た状態で、凹凸がある路面を走行した場合には、左右の
サスペンションの独立性がある程度損なわれることは避
けられず、あまり乗心地が向上しない。
【0022】しかも、上記従来例では、油圧シリンダ1
7は、左側又は右側の車体フレーム10のどちらかに位
置し、ピストンロッド18にはスタビライザ4、5の左
右のどちらかの一端のみが接続され、他端は車体フレー
ム10に固定されているので、スタビライザ4の固定さ
れた他端側に位置する車輪が路面の凸所を乗り上げた場
合には、ピストン19はほとんど摺動しないため、上記
と相まってさらに乗心地が損なわれてしまう。
【0023】本発明は、上記問題点に鑑みてなされたも
ので、その目的は、直進走行時の乗心地の向上が図れる
車両のスタビライザ装置を提供することにある。
【0024】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明で
は、車両の進行方向に向かって左側及び右側に位置する
車輪の荷重を支える、車両の進行方向に対してほぼ直交
するように配置されたアクスルと;前記アクスルに基部
が固定されかつ先端部がエアスプリングを支持する左右
のエアスプリングサポートと;前記エアスプリングサポ
ートの先端部に固定され、車両の進行方向に対してほぼ
直交するように配置されたスタビライザバーと;前記ス
タビライザバーの端部に一端部が固定され、車両の進行
方向に沿って配置された左右のスタビライザと;シリン
ダ本体と、シリンダ本体に往復動自在に嵌挿された第1
ピストン及び第2ピストンと、シリンダ本体の外部に突
出する第1ピストンに接続された第1ピストンロッド
と、第1ピストンロッドと反対方向に向けてシリンダ本
体の外部に突出する第2ピストンに接続された第2ピス
トンロッドとを有する油圧シリンダと;前記左側のスタ
ビライザの他端部と前記第1ピストンロッドの突出端と
に連結され、該スタビライザの回動と第1ピストンロッ
ドの往復動とを連係させる第1リンク機構と;前記右側
のスタビライザの他端部と前記第2ピストンロッドの突
出端とに連結され、該スタビライザの回動と第2ピスト
ンロッドの往復動とを連係させる第2リンク機構と;前
記第1ピストンと前記第1ピストンロッドが貫通するシ
リンダ本体の端壁との間の第1油室に接続された第1管
路と;前記第2ピストンと前記第2ピストンロッドが貫
通するシリンダ本体の端壁との間の第2油室に接続され
た第2管路と;前記第1管路と第2管路とが合流する第
3管路に接続されたアキュムレータと;前記第1管路、
第2管路及び第3管路に接続され、第1油室と第2油室
とアキュムレータとを連通させる第1位置と、第1油室
と第2油室とアキュムレータとの連通を遮断する第2位
置とをとる第1方向切換弁と;前記第1ピストンと第2
ピストンとの間の第3油室と前記第3管路とを接続する
第4管路と;前記第4管路に設置され、前記アキュムレ
ータと第3油室とを連通させる第1位置と該アキュムレ
ータと第3油室との連通を遮断する第2位置とをとる第
2方向切換弁とを有する。
【0025】請求項2に記載の発明では、車両の進行方
向に向かって左側及び右側に位置する車輪の荷重を支え
る、車両の進行方向に対してほぼ直交するように配置さ
れたアクスルと;前記アクスルに基部が固定されかつ先
端部がエアスプリングを支持する左右のエアスプリング
サポートと;前記エアスプリングサポートの先端部に固
定され、車両の進行方向に対してほぼ直交するように配
置されたスタビライザバーと;前記スタビライザバーの
端部に一端部が固定され、車両の進行方向に沿って配置
された左右のスタビライザと;シリンダ本体と、シリン
ダ本体に往復動自在に嵌挿された第1ピストン及び第2
ピストンと、シリンダ本体の外部に突出する第1ピスト
ンに接続された第1ピストンロッドと、第1ピストンロ
ッドと反対方向に向けてシリンダ本体の外部に突出する
第2ピストンに接続された第2ピストンロッドとを有す
る油圧シリンダと;前記左側のスタビライザの他端部と
前記第1ピストンロッドの突出端とに連結され、該スタ
ビライザの回動と第1ピストンロッドの往復動とを連係
させる第1リンク機構と;前記右側のスタビライザの他
端部と前記第2ピストンロッドの突出端とに連結され、
該スタビライザの回動と第2ピストンロッドの往復動と
を連係させる第2リンク機構と;前記第1ピストンと前
記第1ピストンロッドが貫通するシリンダ本体の端壁と
の間の第1油室に接続された第1管路と;前記第2ピス
トンと前記第2ピストンロッドが貫通するシリンダ本体
の端壁との間の第2油室に接続された第2管路と;前記
第1管路と第2管路とが合流する第3管路に接続された
アキュムレータと;前記第1管路、第2管路及び第3管
路に接続され、ON信号が入力すると第1油室と第2油
室とアキュムレータとを連通させる第1位置をとり、O
FF信号が入力すると第1油室と第2油室とアキュムレ
ータとの連通を遮断する第2位置をとる第1方向切換弁
と;前記第1ピストンと第2ピストンとの間の第3油室
と前記第3管路とを接続する第4管路と;前記第4管路
に設置され、ON信号が入力すると前記アキュムレータ
と第3油室とを連通させる第1位置をとり、OFF信号
が入力するとアキュムレータと第3油室との連通を遮断
する第2位置をとる第2方向切換弁と;オートモードと
ロックモードとフリーモードとのうちから選択されたモ
ードの信号を出力するモードスイッチと;前記モードス
イッチからオートモードの信号が出力された場合には、
車両の予測の横加速度の絶対値αと基準の横加速度α0
とを比較し、絶対値α>α0のときは第1方向切換弁と
第2方向切換弁とにOFF信号を出力し、絶対値α>α
0でないときは第1方向切換弁と第2方向切換弁とにO
N信号を出力し、前記モードスイッチからロックモード
信号が出力された場合には、前記第1方向切換弁と第2
方向切換弁とにOFF信号を出力し、前記モードスイッ
チからフリーモード信号が出力された場合には、前記第
1方向切換弁と第2方向切換弁とにON信号を出力する
コントローラとを有する
【0026】請求項3に記載の発明では、前記シリンダ
本体内部の圧力を検出し、検出した圧力信号Pを前記コ
ントローラに出力する圧力センサを有し、前記コントロ
ーラは、前記モードスイッチからオートモード信号又は
ロックモード信号が出力されている場合であって、絶対
値α>α0かつ基準圧力P。に対する圧力信号Pの大小
関係がP>P。でない場合には、油圧回路が故障と判断
して警報信号を出力する。
【0027】
【作用】請求項1に記載の発明では、車両の直進走行時
において、強風等に起因する横加速度がない場合には、
路面追従性を重視する観点から、第1及び第2方向切換
弁を第2位置にする。この状態では、第1、第2及び第
3油室はアキュムレータと連通可能であり、したがっ
て、左側及び右側ピストンはシリンダ本体内を自由に往
復動することができる。すなわち、油圧シリンダはフリ
ー状態にある。
【0028】このような直進走行時において、強風等に
より車両に横加速度が生ずると、ロール防止の観点か
ら、第1及び第2方向切換弁を第1位置にする。この状
態では、第1、第2及び第3油室とアキュムレータとの
連通は遮断されている。このため、左側及び右側ピスト
ンはシリンダ本体内で自由に往復動できず、油圧シリン
ダはロック状態になる。
【0029】この場合、従来では、安全性の見地からス
タビライザバーを強制的に中立位置に復帰させてから、
油圧シリンダのピストンロッドをロックするようにして
いる。しかし、本発明では、スタビライザを中立位置に
復帰させることなく、即時に油圧シリンダをロック状態
にする。このようにしても安全性が損なわれることがな
い。その理由は、本発明に係る油圧シリンダでは、左側
及び右側の2つのピストンがシリンダ本体に摺動自在に
嵌挿され、左側のピストンは左側のスタビライザに連係
するとともに右側のピストンは右側のスタビライザに連
係し、左側及び右側のピストンによって形成される第
1、第2及び第3油室A、B、Cのそれぞれには第1、
第2及び第3管路が接続されている点にある。
【0030】すなわち、強風下において、ピストンロッ
ドをロック状態にしてのロール時の直進走行から、強風
が止んだ後のピストンロッドのフリー状態での直進走行
(この場合、ピストンロッドは中立位置になければなら
ない。)に移行した当初においては、スタビライザバー
は、たしかにロール時の状態を維持する。しかし、例え
ば、シリンダ本体の左端に左側及び右側ピストンが位置
する場合、左側ピストンには左側スタビライザからの右
方向への荷重が作用し、右側ピストンには右側スタビラ
イザからの右方向への荷重が作用し、かつ、シリンダ本
体内の油は第1、第2及び第3管路の3カ所から流出す
るため、左側及び右側ピストンの移動方向と反対方向に
作用する油の粘性抵抗は従来の場合に比較して小さい。
【0031】このため、左側及び右側ピストンがシリン
ダ本体の中央位置に復帰する時間は従来に比べて非常に
短い。したがって、従来のように、スタビライザを中立
位置に復帰させることなく、油圧シリンダのピストンロ
ッドをロック状態にしても安全性が損なわれることがな
い。次に、強風下でのロック状態から強風が止んだ後の
フリー状態にする場合、従来では、ロック状態ではスタ
ビライザは中立位置に復帰させられているのであるが、
このロック状態において、乗客等の移動により、車両の
左右の荷重のバランスがずれていると、ロック状態から
フリー状態にした場合、急に車両がロールするためドラ
イバに恐怖感を与える。
【0032】本発明では、従来のように、強風下でのロ
ック状態においてスタビライザを中立位置に復帰させな
いが、乗客の移動等により車両の左右の荷重のバランス
がロック当初のバランスからずれている場合に、強風が
止んだ後、ロック状態からフリー状態にすると、車両が
急にロールすることも考えられる。しかし、本発明で
は、左側のピストンは左側スタビライザに連係し、右側
のピストンは右側スタビライザに連係するとともに、シ
リンダ本体には3つの管路、すなわち第1、第2及び第
3管路が接続されているため、左側及び右側のピストン
に作用する油の粘性抵抗は従来に比べて小さく、したが
って、左側及び右側のピストンがこのようなバランスの
ずれを補正すべく左右どちらかのストローク端又はシリ
ンダの中央に移動する時間は非常に短い。このため、ロ
ールはほとんど生ぜず、また生じても小さく、ドライバ
に恐怖感を与えることがない。
【0033】次に、油圧シリンダのピストンロッドをフ
リー状態にしての直進走行状態において、凹凸のある路
面を走行する場合、従来では、油圧シリンダのピストン
ロッドは右側又は左側のスタビライザの一方のみと連係
し、かつシリンダ本体内の油室は2つだけであるから、
ロック状態に比較すればピストンの移動の自由度は大き
いとはいえ、本発明に比較すれば小さい。
【0034】このため本発明に比較してねじり剛性が多
少高く、このことが乗心地の向上を阻害する一つの要因
となっていた。これに対し、本発明では、左側のピスト
ンロッドは左側のスタビライザに連係し、右側のピスト
ンロッドは右側のスタビライザに連係し、かつシリンダ
本体内には、左側及び右側のピストンによって3つの油
室が形成されているため、従来に比べてピストンの移動
の自由度が大きく、したがって、ねじり剛性が従来に比
べて低いため、油圧シリンダをフリー状態にして凹凸の
ある路面を走行しても乗心地が悪化することがない。
【0035】請求項2に記載の発明では、モードスイッ
チにより、オートモード、フリーモード又はロックモー
ドのいずれかを選択する。選択された信号はコントロー
ラに入力され、コントローラに内蔵されたモード判断手
段が、選択されたモード信号をモードインジケータに出
力する。モードインジケータはモード信号に応じて選択
されたモードを表示する。
【0036】コントローラは、モード判断手段が、モー
ドスイッチにより選択されたモードがオートモードと判
断すると、第1及び第2方向切換弁にオンの信号を出力
する。それによって、第1及び第2方向切換弁は励磁
し、油圧シリンダはフリー状態となって、左側ピストン
と右側ピストンとは自由に往復動することができる。コ
ントローラには、同時に車速センサ、前輪実舵角センサ
及び輪荷重センサからの信号が入力されていて、コント
ローラはこれらの信号に基づき次のような演算をする。
【0037】すなわち、コントローラに内蔵された横加
速度演算手段が、車速センサと前輪実舵角センサとから
出力された信号及び車両諸元補正手段から出力された信
号に基づき車両の予測の横加速度αを演算する。この横
加速度αの演算値はスタビライザ作動判断手段に出力さ
れる。スタビライザ作動判断手段は、予測の横加速度α
が±α0の範囲内にあると判断すると、第1及び第2方
向切換弁のオンの状態は維持され、油圧シリンダはフリ
ー状態のを継続する。
【0038】油圧シリンダがフリー状態では、左側及び
右側のピストンロッドは自由に動くことができるため、
左右のスタビライザもフリー状態を継続し、左右のサス
ペンションは互いに独立に作用する。一方、スタビライ
ザ作動手段が、予測の横加速度αが±α0の範囲外にあ
ると判断すると、第1及び第2方向切換弁へオフの信号
を出力する。すると、第1及び第2方向切換弁は消磁
し、第1油室、第2油室及び第3油室とアキュームレー
タとの連通は遮断されるため、油圧シリンダはロック状
態になる。
【0039】油圧シリンダがロック状態になると、左側
及び右側のピストンロッドはロックされるため、左右の
スタビライザもロック状態になる。すなわち、予測の横
加速度αが±α0の範囲内にあると、直進走行状態とみ
なし、第1及び第2方向切換弁をオンにして励磁するこ
とにより、スタビライザをフリー状態にして左右のサス
ペンションを互いに独立に作用させることにより乗心地
を優先する。
【0040】他方、予測の横加速度αが±α0の範囲外
にあると、ロール防止という観点から、第1及び第2方
向切換弁をオフにして消磁することにより、スタビライ
ザをロック状態にする。上記では、モード判断手段が、
モードスイッチにより選択されたモードをオートモード
と判断した場合であるが、ロックモードと判断した場合
には、次のように制御される。
【0041】すなわち、モード判断手段によってロック
モードと判断されると、その信号はスタビライザ作動判
断手段に出力される。それによって、スタビライザ作動
判断手段は第1及び第2方向切換弁にオフの信号を出力
する。すると、第1及び第2方向切換弁は消磁するた
め、油圧シリンダはロック状態になる。油圧シリンダが
ロック状態になると、左側及び右側のピストンロッドも
ロック状態になるため、スタビライザもロック状態にな
る。
【0042】なお、モード判断手段がロックモードと判
断すると、モードインジケータにロックモードが表示さ
れる。上記と異なり、モードスイッチによって、フリー
モードが選択されると、モード判断手段がフリーモード
と判断して、その信号をスタビライザ作動判断手段に出
力する。それによって、スタビライザ作動判断手段は、
第1及び第2方向切換弁にオンの信号を出力する。する
と、第1及び第2方向切換弁は励磁して、油圧シリンダ
はフリー状態になる。
【0043】油圧シリンダがフリー状態になると、左側
及び右側ピストンロッドもフリー状態になるため、スタ
ビライザもフリー状態になる。なお、モード判断手段が
フリーモードと判断すると、モードインジケータにフリ
ーモードが表示される。請求項3に記載の発明では、圧
力センサは、シリンダ本体の第3油室の圧力を常時検出
していて、その検出信号をエマージャンシー判断手段に
出力している。
【0044】一方、モードスイッチによってオートモー
ドが選択され、かつ油圧シリンダのピストンロッドがロ
ック状態にある場合、又は、ロックモードが選択されて
いる場合には、モード判断手段から圧力予測手段にロッ
ク信号が出力される。このようなロック状態において、
車両が旋回し、横加速度演算手段が、横加速度の絶対値
αがα0よりも大きいと判断すると、圧力予測手段に判
断信号を出力する。
【0045】圧力予測手段に、この判断信号とロック信
号との2つの信号が入力すると、圧力予測手段はエマー
ジャンシー判断手段に旋回前における第3油室の圧力信
号P。を出力する。すると、圧力センサによって検出さ
れた第3油室の検出信号Pと旋回前の圧力信号P。との
大小がエマージャンシー判断手段によって判断され、P
>P。の場合は正常と判断する。P>P。でない場合に
は故障と判断し、警報ブザーに信号が出力されて警報ブ
ザーがONするとともに、ウォーニングランプを点灯さ
せることにより、ドライバに故障であることを知らせ
る。
【0046】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る車両のスタビ
ライザ装置を、図面に示す発明の実施の形態を参照しな
がら説明する。図1及び図2は、請求項1に記載の発明
に係る車両のスタビライザ装置の一実施形態を示す。同
図は車両の前輪側に設けられたスタビライザ装置を示
す。後輪側に設けられたスタビライザ装置は前輪側のス
タビライザ装置と同一の構成であるので、ここでは重複
を避けるため後輪側のスタビライザ装置についての説明
は省略する。
【0047】同図において50はアクスルを指す。アク
スル50は車両の進行方向に対してほぼ直交する方向に
配置され、左右の車輪(図示せず)の荷重を支えてい
る。以下、「左」及び「右」によって構成要素の位置又
は方向を特定する場合には、「左」は車両の進行方向に
向かって左側の車輪が位置する側を意味し、「右」は右
側の車輪が位置する側を意味するものとする。
【0048】アクスル50には、車両の進行方向に対し
てほぼ平行に配置された左右のエアスプリングサポート
51の基部が固定される。52は車体(図示せず)の重
量を支えるエアスプリングで、エアスプリング52は、
エアスプリングサポート51の先端部にボルトナット及
び固定部材(図示せず)介して固定される。
【0049】左右のエアスプリングサポート51の先端
部には、さらに軸受としてのスタビライザキャップ53
が取り付けられる。55は、スタビライザキャップ53
を介してエアスプリングサポート51の先端部に固定さ
れるスタビライザバーで、エアスプリングサポート51
に対して直交状に配置される。
【0050】すなわち、スタビライザバー55の左側の
端部が、左側のスタビライザキャップ53の貫通孔54
を貫通し、スタビライザバー55の右側の端部が、右側
のスタビライザキャップ53の貫通孔54を貫通するこ
とによってスタビライザバー55はエアスプリングサポ
ート51に固定される。スタビライザキャップ53の貫
通孔54を貫通するスタビライザバー55の左側の突出
端は、左側のスタビライザ56の基部に形成された連結
孔57に嵌合され、スタビライザバー55の右側の突出
端は、右側のスタビライザ56の基部に形成された連結
孔57に嵌合される。
【0051】左右のスタビライザ56は互いにほぼ平行
であって、車両の進行方向に対しほぼ平行に配置されて
いる。そして、その先端部には、上下方向に伸びかつス
タビライザ56が水平状態にあるとき、該スタビライザ
56に対してほぼ直交するロッド58の下端部たる基部
が回動自在に連結される。ロッド58の上端部たる先端
部には、L字状のL字アーム59の一辺を構成する横ア
ーム59aの一端部が回動自在に連結される。
【0052】L字アーム59の他の辺を構成する縦アー
ム59bは、後述する油圧シリンダ65のピストンロッ
ド66の端部に回動自在に連結される。そして、ピスト
ンロッド66が中立位置にあるとき、横アーム59aは
車両の左右方向に伸びていてロッド58に対してほぼ垂
直になっているとともに、縦アーム59bは上下方向に
伸びていてピストンロッド66に対してほぼ垂直になっ
ている。
【0053】ロッド58の基部と先端部とには、ロッド
58の軸線とほぼ直交する軸線を有する短軸ロッド60
a、60bが形成され、さらに短軸ロッド60a、60
bのそれぞれの一端部には湾曲状に膨出するボール部6
0c、60dが形成される。ロッド58の基部のボール
部60cは、スタビライザ56の先端部に形成された軸
受孔56aに回動自在に嵌合され、ロッド58の先端部
のボール部60dは、横アーム59aの端部に形成され
た軸受孔59cに回動自在に嵌合される。
【0054】それによって、ロッド58はスタビライザ
56に対して回動自在になっているとともにL字アーム
59に対しても回動自在になっている。L字アーム59
の角部にはピン孔が形成され、このピン孔に挿入された
ピン61によってL字アーム59は車体(図示せず)に
回動自在に固定される。62は、縦アーム59bの端部
を回動自在に挟持するコ字状のクレビスで、縦辺62a
と、車両の左右方向に伸びて縦辺62aにほぼ直交する
2つの横辺62bとからなる。
【0055】64は回動ピンで、横辺62bに形成され
たピン孔と縦アーム59bの端部に形成された長孔63
とを回転自在に貫通する。クレビス62は、この回動ピ
ン64を介して縦アーム59bに回動自在になってい
る。65は油圧シリンダで、そのシリンダ本体65aの
左右の両端壁から突出する右側ピストンロッド66と左
側ピストンロッド67とのそれぞれの先端部はクレビス
62の縦辺62aに固定される。
【0056】これら右側及び左側ピストンロッド66、
67の伸縮により、L字アーム59はピン61を中心に
して回動するが、この回動が可能になるように長孔63
の長軸は上下方向、すなわち、右側又は左側ピストンロ
ッド66、67の軸に対してほぼ直交するように延びて
いる。68は油圧シリンダ65を車体(図示せず)に固
定するためのブラケットである。
【0057】油圧シリンダ65は、図2に示すように、
シリンダ本体65aと、シリンダ本体65aに往復動自
在に嵌挿された右側ピストン69及び左側ピストン70
と、右側ピストン69に接続された右側ピストンロッド
66と、左側ピストン70に接続された左側ピストンロ
ッド67とからなる。右側ピストン69と左側ピストン
70との間にはリターンスプリング71が設けられる。
リターンスプリング71の右側の端部は右側ピストン6
9に固定され、左側の端部は左側ピストン70に固定さ
れる。
【0058】リターンスプリング71は、油圧シリンダ
65のフリー状態、すなわち、右側及び左側ピストン6
9、70が自由に往復動できる状態において、スタビラ
イザ56、ロッド58及びL字アーム59のそれぞれの
重量に基づく入力を打ち消すためのものである。シリン
ダ本体65aの右側の端壁と右側ピストン69との間の
第1油室Aには第1管路72が接続され、左側ピストン
70とシリンダ本体65aの左側の端壁との間の第2油
室Bには第2管路74が接続され、右側ピストン69と
左側ピストン70との間の第3油室Cには第4管路73
が接続される。
【0059】第1管路72と第2管路74とは第1方向
切換弁75に接続され、第1方向切換弁75は第3管路
76を介してアキュムレータXに接続され、第4管路7
3は第2方向切換弁77を介して第3管路76に接続さ
れる。第1方向切換弁75は、第1位置Mと図2に示す
第2位置Nとを有し、第1位置Mでは第1油室Aと第2
油室BとはアキュムレータXに連通し、第2位置Nでは
第1油室A及び第2油室BとアキュムレータXとの連通
は遮断される。
【0060】第2方向切換弁77は、第1位置Pと図に
示す第2位置Qとを有し、第1位置では第3油室Cとア
キュムレータXとが連通し、第2位置Qでは第3油室C
とアキュムレータXとの連通は遮断される。すなわち、
第1方向切換弁75と第2方向切換弁77とが第2位置
N、Qをとっている状態では、第1油室A、第2油室B
及び第3油室CとアキュムレータXとの連通は遮断され
ているため、右側ピストン69と左側ピストン70とは
往復動が不可能なロック状態にある。
【0061】他方、第1方向切換弁75と第2方向切換
弁77とが第1位置M、Pをとっている状態では、第1
油室A、第2油室B及び第3油室CとアキュムレータX
とが連通するため、右側ピストン69と左側ピストン7
0とは往復動自在なフリー状態になる。
【0062】アキュムレータXは、油室79と、この油
室79に摺動自在に嵌挿されたラム80とからなり、第
3管路76からアキュムレータXに圧油が流入し、又
は、アキュムレータXから第3管路76に圧油が流出す
ることによりラム80は油室79内を往復動する。次
に、本実施形態の作用について説明する。
【0063】車両の直進走行時において、強風等に起因
する横加速度がない場合には、路面追従性を重視する観
点から、第1及び第2方向切換弁75、77を第位置
M、Pにする。この状態では、第1、第2及び第3油室
はアキュムレータXと連通可能であり、したがって、右
側及び左側ピストン69、70はシリンダ本体65a内
を自由に往復動することができる。すなわち、油圧シリ
ンダ65はフリー状態にある。
【0064】このような直進走行時において、強風等に
より車両に横加速度が生ずると、ロール防止の観点か
ら、第1及び第2方向切換弁75、77を第位置N、
にする。この状態では、第1、第2及び第3油室A、
B、CとアキュムレータXとの連通は遮断されている。
このため、右側及び左側ピストン69、70はシリンダ
本体65a内で自由に往復動できず、油圧シリンダ65
はロック状態になる。
【0065】この場合、従来では、安全性の見地からス
タビライザを強制的に中立位置に復帰させてから、油圧
シリンダのピストンロッドをロックするようにしてい
る。しかし、本実施形態では、スタビライザ56を中立
位置に復帰させることなく、即時に油圧シリンダ65を
ロック状態にする。このようにしても安全性が損なわれ
ることがない。その理由は、図2に示すように、本実施
形態に係る油圧シリンダ65では、右側及び左側の2つ
のピストン69、70がシリンダ本体65aに摺動自在
に嵌挿され、右側のピストン69は右側のスタビライザ
56に連係するとともに左側のピストン70は左側のス
タビライザ56に連係し、右側及び左側のピストン6
9、70によって形成される第1、第2及び第3油室
A、B、Cのそれぞれには第1、第2及び第3管路7
2、74、76が接続されている点にある。
【0066】すなわち、強風下において、右側及び左側
ピストンロッド66、67をロック状態にしてのロール
時の直進走行から、強風が止んだ後の右側及び左側ピス
トンロッド66、67のフリー状態での直進走行(この
場合、ピストンロッド66、67は中立位置になければ
ならない。)に移行した当初においては、スタビライザ
56は、たしかにロール時の状態を維持する。
【0067】しかし、例えば、シリンダ本体65aの左
端に右側及び左側ピストン69、70が位置する場合、
右側ピストン69には右側スタビライザ56からの右方
向への荷重が作用し、左側ピストン70には左側スタビ
ライザ56からの右方向への荷重が作用し、かつ、シリ
ンダ本体65a内の油は第1、第2及び第3管路72、
74、76の3カ所から流出するため、右側及び左側ピ
ストン69、70の移動方向と反対方向に作用する油の
粘性抵抗は従来の場合に比較して小さい。
【0068】このため、右側及び左側ピストン69、7
0がシリンダ本体65aの中央位置に復帰する時間は従
来に比べて非常に短い。したがって、従来のように、ス
タビライザ56を中立位置に復帰させることなく、油圧
シリンダ65の右側及び左側ピストンロッド66、67
をロック状態にしても安全性が損なわれることがない。
次に、強風下でのロック状態から強風が止んだ後のフリ
ー状態にする場合、従来では、ロック状態ではスタビラ
イザは中立位置に復帰させられているのであるが、この
ロック状態において、乗客等の移動により、車両の左右
の荷重のバランスがずれていると、ロック状態からフリ
ー状態にした場合、急に車両がロールするためドライバ
に恐怖感を与える。
【0069】これを本実施形態についてみると、本実施
形態では、従来のように、強風下でのロック状態におい
てスタビライザ56を中立位置に復帰させないが、乗客
の移動等により車両の左右の荷重のバランスがロック当
初のバランスからずれている場合に、強風が止んだ後、
ロック状態からフリー状態にすると、車両が急にロール
しそうである。
【0070】しかし、上述したように、本実施形態で
は、右側のピストン69は右側スタビライザ56に連係
し、左側のピストン70は左側スタビライザ56に連係
するとともに、シリンダ本体65aには3つの管路、す
なわち第1、第2及び第3管路72、74、76が接続
されているため、右側及び左側のピストン69、70に
作用する油の粘性抵抗は従来に比べて小さく、したがっ
て、右側及び左側のピストン69、70がこのようなバ
ランスのずれを補正すべく左右どちらかのストローク端
又はシリンダの中央に移動する時間は非常に短い。この
ため、ロールはほとんど生ぜず、また生じても小さく、
ドライバに恐怖感を与えることがない。
【0071】次に、油圧シリンダ65の右側及び左側ピ
ストンロッド66、67をフリー状態にしての直進走行
状態において、凹凸のある路面を走行する場合について
説明する。従来では、油圧シリンダのピストンロッドは
右側又は左側のスタビライザの一方のみと連係し、かつ
シリンダ本体内の油室は2つだけであるから、ロック状
態に比較すればピストンの移動の自由度は大きいとはい
え、本実施形態に比較すれば小さい。
【0072】このため本実施形態に比較してねじり剛性
が多少高く、このことが乗心地の向上を阻害する一つの
要因となっていた。これに対し、本実施形態では、右側
のピストンロッド66は右側のスタビライザ56に連係
し、左側のピストンロッド67は左側のスタビライザ5
6に連係し、かつシリンダ本体65a内には、右側及び
左側のピストン69、70によって3つの油室、すなわ
ち第1、第2及び第3油室A、B、Cが形成されている
ため、従来に比べて右側及び左側ピストン69、70の
移動の自由度が大きい。
【0073】言い換えれば、本実施形態では、ねじり剛
性が従来に比べて低いため、油圧シリンダ65をフリー
状態にして凹凸のある路面を走行しても乗心地が悪化す
ることがない。なお、上記において、右側及び左側ピス
トン69、70はそれぞれ請求項1において第1及び第
2ピストンに相当し、また、右側及び左側ピストンロッ
ド66、67はそれぞれ第1及び第2ピストンロッドに
相当する。
【0074】以上説明したように、本実施形態では、シ
リンダ本体65a内に右側及び左側の2つのピストン6
9、70を有し、右側のピストン69は右側のスタビラ
イザ56に連係し、左側のピストン70は左側のスタビ
ライザ56に連係し、かつ右側及び左側ピストン69、
70によりシリンダ本体65a内には3つの油室が形成
され、各油室A、B、Cには第1、第2及び第3の管路
72、74、76がそれぞれ接続されているから、フリ
ー状態において、右側及び左側のピストン69、70
は、右側及び右側のスタビライザ56からの入力を受け
て互いに独立に動くことができる。
【0075】このため、車両の左右の荷重のバランスが
ずれても、そのずれを自動的に補正することができ、し
たがって、ロック状態からフリー状態にするとき、車両
の荷重のバランスがすでにずれていた場合でも急にロー
ルすることがない。また、直進走行状態で凹凸のある路
面を走行しても、ねじり剛性はきわめて低いため、乗心
地が悪化することがない。
【0076】さらに、従来のように、ロック状態にする
場合でもスタビライザ56を中立位置に強制的に復帰さ
せる必要がなく、したがってこのための油圧回路やセン
サ等を省略することができ、構成の簡素化を図ることが
できる。さらに、油圧シリンダ65は左右のスタビライ
ザ56のほぼ中央部に位置するので、車体フレームに固
定する場合に比べて組付が容易であり、このため組付作
業性が向上する。
【0077】図1乃至図7は、請求項2に記載の発明に
係る車両のスタビライザ装置の一実施形態を示すもので
ある。本実施形態における図1に示す構成及び図2に示
すコントローラ78を除いた油圧シリンダ65及び油圧
回路72、73、74、75、76、77の構成は、請
求項1に記載の発明の実施形態における構成と同一であ
るので、同一構成についての重複した説明は省略すると
ともに、同一構成要素には同一符号を使用して説明す
る。
【0078】第1方向切換弁75は、第1位置Mと図2
に示す第2位置Nとを有し、コントローラ78からの信
号が出力されない場合には第2位置Nをとる。この第2
位置Nでは、第1油室A及び第2油室Bとアキュムレー
タXとの連通は遮断されている。一方、コントローラ7
8から信号が出力されると、第1方向切換弁75は励磁
して第1位置Mをとる。それによって、第1油室Aと第
2油室BとはアキュムレータXに連通する。
【0079】第2方向切換弁77は、第1位置Pと図に
示す第2位置Qとを有し、コントローラ78からの信号
が出力されない場合には第2位置Qをとる。この第2位
置Qでは、第3油室CとアキュムレータXとの連通は遮
断されている。一方、コントローラ78から信号が出力
されると、第2方向切換弁77は励磁して第1位置Pを
とる。それによって、第3油室CとアキュムレータXと
が連通する。
【0080】すなわち、コントローラ78から第1方向
切換弁75と第2方向切換弁77とに信号が出力されな
い間は、第1方向切換弁75と第2方向切換弁77とは
消磁された状態にあり、第1油室A、第2油室B及び第
3油室CとアキュムレータXとの連通は遮断されている
ため、右側ピストン69と左側ピストン70とは往復動
が不可能なロック状態にある。
【0081】他方、コントローラ78から第1方向切換
弁75と第2方向切換弁77とに信号が出力されると、
これらは励磁して第1油室A、第2油室B及び第3油室
CとアキュムレータXとが連通するため、右側ピストン
69と左側ピストン70とは往復動自在なフリー状態に
なる。コントローラ78には、モードスイッチ82、車
速センサ83、前輪実舵角センサ84及び輪荷重センサ
85からの信号が入力される。
【0082】モードスイッチ82は、図3に示すよう
に、オートモード86、フリーモード87及びロックモ
ード88の3つのモードのうちから任意の1つのモード
を選択するものである。車速センサ83は、車両の速度
を検知して、その信号をコントローラ78に出力するも
のである。
【0083】前輪実舵角センサ84は、ハンドル操作に
より実際にタイヤの回った角度を検知するものである。
輪荷重センサ85は、タイヤの空気圧によってタイヤの
荷重を検知するものである。コントローラ78は、図4
に示すように、モード判断手段89を有し、モード判断
手段89はモードスイッチ82から出力された信号から
3つのモードのうちのいずれのモードかを判断して、モ
ードインジケータ90に選択されたモードを表示する。
【0084】コントローラ78は、また、横加速度演算
手段91を有し、横加速度演算手段91には車速センサ
83と前輪実舵角センサ84とからの信号に加えて車両
諸元補正手段92からの信号が入力される。車両諸元補
正手段92は、車両の重心が走行中に変化することによ
りタイヤの空気圧が変動することに鑑み輪荷重センサ8
5から出力される信号を補正するものである。
【0085】横加速度演算手段91は、車速センサ8
3、前輪実舵角センサ84及び車両諸元補正手段92か
らの信号によって車両の横加速度を演算する。コントロ
ーラ78は、さらに、スタビライザ作動判断手段93を
有し、スタビライザ作動判断手段93には、モード判断
手段89と横加速度演算手段91とからの信号が入力す
る。
【0086】スタビライザ作動判断手段93は、モード
判断手段89と横加速度演算手段91とからの信号に基
づいて油圧シリンダ65をフリー状態にするか、又はロ
ック状態にするかの判断をする。そして、その判断結果
を第1及び第2方向切換弁75、77に出力する。次
に、本実施形態の作用について説明する。
【0087】モードスイッチ82により、オートモード
86、フリーモード87又はロックモード88のいずれ
かを選択する。選択された信号はコントローラ78に入
力され、図5に示すように、ここでモード読込が行われ
る(ステップS1)。コントローラ78に内蔵されたモ
ード判断手段89は、選択されたモード信号をモードイ
ンジケータ90に出力する。それによってモードインジ
ケータ90はモード信号に応じて選択されたモードを表
示する。
【0088】コントローラ78は、モード判断手段89
がモードスイッチ82により選択されたモードがオート
モード86と判断すると(ステップS6)、第1及び第
2方向切換弁75、77にオンの信号を出力する(ステ
ップS7)。それによって、第1及び第2方向切換弁7
5、77は励磁し、油圧シリンダ65はフリー状態とな
って、右側ピストン69と左側ピストン70とは自由に
往復動することができる。
【0089】コントローラ78には、同時に車速センサ
83、前輪実舵角センサ84及び輪荷重センサ85から
の信号が入力されていて、コントローラ78はこれらの
信号から車速、前輪舵角及び輪荷重の読込を行い(ステ
ップS2、S3、S4)、これらの信号に基づき次のよ
うな演算をする。すなわち、コントローラ78に内蔵さ
れた横加速度演算手段91が、車速センサ83と前輪実
舵角センサ84とから出力された信号及び車両諸元補正
手段92から出力された信号に基づき車両の予測の横加
速度αを演算する(ステップ5)。
【0090】この横加速度αの演算値はスタビライザ作
動判断手段93に出力される。スタビライザ作動判断手
段93は、予測の横加速度αが±α0の範囲内にあると
判断すると(ステップ8)、第1及び第2方向切換弁7
5、77のオンは維持され、油圧シリンダ65はフリー
状態を継続する。油圧シリンダ65がフリー状態では、
右側及び左側のピストンロッド66、67は自由に動く
ことができるため、左右のスタビライザ56もフリー状
態になり、左右のサスペンションは互いに独立に作用す
る。
【0091】一方、スタビライザ作動手段93が、予測
の横加速度αが±α0の範囲外にあると判断すると(ス
テップ8)、第1及び第2方向切換弁75、77へオフ
の信号を出力する(ステップ9)。すると、第1及び第
2方向切換弁75、77は消磁し、第1油室A、第2油
室B及び第3油室CとアキュームレータXとの連通は遮
断されるため、油圧シリンダ65はロック状態になる。
【0092】油圧シリンダ65がロック状態になると、
右側及び左側のピストンロッド66、67はロックされ
るため、左右のスタビライザ56もロック状態になる。
すなわち、図6に示すように、予測の横加速度αが±α
0の範囲内にあると、直進走行状態とみなし、第1及び
第2方向切換弁75、77をオンにして励磁することに
より、スタビライザ56をフリー状態にして左右のサス
ペンションを互いに独立に作用させることにより乗心地
を優先する。
【0093】他方、予測の横加速度αが±α0の範囲外
にあると、ロール防止という観点から、第1及び第2方
向切換弁75、77をオフにして消磁することにより、
スタビライザ56をロック状態にする。上記では、モー
ド判断手段89が、モードスイッチ82により選択され
たモードをオートモード86と判断した場合について説
明したが、ロックモード88と判断した場合には、次の
ように制御される。
【0094】すなわち、モード判断手段89によってロ
ックモード88と判断されると(ステップS6)、その
信号はスタビライザ作動判断手段93に出力される。そ
れによって、図5に示すように、スタビライザ作動判断
手段93は第1及び第2方向切換弁75、77にオフの
信号を出力する(ステップS9)。すると、第1及び第
2方向切換弁75、77は消磁するため、油圧シリンダ
65はロック状態になる。
【0095】油圧シリンダ65がロック状態になると、
右側及び左側のピストンロッド66、67もロック状態
になるため、スタビライザ56もロック状態になる。な
お、モード判断手段89がロックモード88と判断する
と、モードインジケータ90にロックモード88が表示
される。上記と異なり、モードスイッチ82によって、
フリーモード87が選択されると、モード判断手段89
がフリーモード87と判断して(ステップS6)、その
信号をスタビライザ作動判断手段93に出力する。
【0096】それによって、図5に示すように、スタビ
ライザ作動判断手段93は、第1及び第2方向切換弁7
5、77にオンの信号を出力する(ステップS10)。
すると、第1及び第2方向切換弁75、77は励磁し
て、油圧シリンダ65はフリー状態になる。油圧シリン
ダ65がフリー状態になると、右側及び左側ピストンロ
ッド66、67もフリー状態になるため、スタビライザ
56もフリー状態になる。
【0097】なお、モード判断手段89がフリーモード
87と判断すると、モードインジケータ90にフリーモ
ード87が表示される。図7は、車両のロール特性を示
すもので、縦軸はロール角を表し、横軸は横加速度を表
す。グラフはスタビライザ56のモードを表すもので、
グラフはフリーモード87、はオートモード86、
はロックモード88を表す。
【0098】このグラフからわかるように、オートモー
ドでは、横加速度の絶対値αがα0よりも小さい範囲
では、油圧シリンダ65をフリー状態にするため、ロー
ル角はフリーモードとほぼ一致する。横加速度の絶対
値αがα0よりも大になると、オートモードでは、油
圧シリンダ65をロック状態にするため、ロール角はロ
ックモードの場合に比べて幾分大きいが、フリーモー
ドに比較すればかなり小さいことがわかる。
【0099】本実施形態に係る車両のスタビライザ装置
は、以上のようにして制御されるのであるが、ここで例
えば、フリーモード87からロックモード88へ、そし
てさらにロックモード88からフリーモード87へ切り
換える場合について説明する。横加速度のない直進走行
時において、モードスイッチ82の操作によりフリーモ
ード87を選択している状態で、強風等により車両に横
加速度が作用した場合には、通常、ロックモード88を
選択する。
【0100】この場合、従来では、上述したように、安
全性の見地からスタビライザバーを強制的に中立位置に
復帰させてから、油圧シリンダのピストンロッドをロッ
クするようにしている。しかし、本実施形態では、スタ
ビライザ56を中立位置に復帰させることなく、即時に
油圧シリンダ65をロック状態にする。このようにして
も安全性が損なわれることがないことは上述のとおりで
ある。オートモード86の場合、コントローラ78によ
り、常時、横加速度αの演算が行われていて、直進走行
時、強風の影響により絶対値αがα0よりも大になった
場合は、スタビライザ56を中立位置に復帰させること
なく、直ちにロック状態にする。
【0101】このようにしても安全性が損なわれること
がないが、その理由は、請求項1に記載の発明の実施形
態の作用を説明する際に述べた理由と同様であるので、
ここでは重複を避けるため省略する。次に、強風下での
ロック状態から強風が止んだ後のフリー状態にする場
合、従来では、ロック状態ではスタビライザ56は中立
位置に復帰させられているのであるが、このロック状態
において、乗客等の移動により、車両の左右の荷重のバ
ランスがずれていると、ロック状態からフリー状態にし
た場合、急に車両がロールするためドライバに恐怖感を
与える。
【0102】しかし、本実施形態では、請求項1に記載
の発明の実施形態の作用を説明する際に述べた理由と同
様の理由によりロールはほとんど生ぜず、また生じても
小さく、ドライバに恐怖感を与えることがない。オート
モード86の場合、コントローラ78により、常時、横
加速度αの演算が行われていて、直進走行時、強風の影
響により絶対値αがα0よりも大になった場合には、ス
タビライザ56を中立位置に復帰させることなく、直ち
にロック状態にする。
【0103】強風が止んで絶対値αがα0よりも小にな
った場合には、フリー状態にされるが、この時、すでに
車両の荷重のバランスがロック当初のバランスからずれ
ていても上記と同様の理由により、ロールはほとんど生
じないか、又は、生じても小さく、ドライバに恐怖感を
与えることがない。次に、油圧シリンダ65の右側及び
左側ピストンロッド66、67をフリー状態にしての直
進走行状態において、凹凸のある路面を走行する場合に
ついて説明すると、オートモード86の場合、横加速度
αのない直進走行時には、フリー状態に設定されるが、
本実施形態では、上述したように、ねじり剛性が従来に
比べて低いため、油圧シリンダ65をフリー状態にして
凹凸のある路面を走行しても乗心地が悪化することがな
い。
【0104】以上説明したように、本実施形態では、車
両のスタビライザ装置の制御態様としてオートモード8
6、ロックモード88及びフリーモード87の三態様を
有するので、車両の走行状態に応じて適正なモードを選
択することができ、したがって、乗心地の向上を期する
ことができる。特に、オートモード86を選択した場合
には、車両に作用する予測の横加速度αに応じて自動的
に油圧シリンダ65がロック状態又はフリー状態に設定
されるので、ドライバの負担が軽減される。
【0105】図1及び図3乃至図10は、請求項3に記
載の発明に係る車両のスタビライザ装置の一実施形態を
示す。本実施形態における車両のスタビライザ装置に係
る構成は、油圧シリンダ65の圧力を検出する点を除い
て請求項2に記載の発明に係る実施形態の構成と同一で
あるから、同一構成部分については説明を省略するとと
もに、同一構成要素については同一符号を用いて説明す
る。
【0106】図8において、96は圧力センサで、油圧
シリンダ65に摺動自在に嵌挿された右側ピストン69
と左側ピストン70との間に形成された第3油室Cの油
圧を検知することにより、油圧シリンダ65が故障して
いるか否かを検出するものである。図9に示すように、
オートモード86が選択されている場合において、予測
横加速度の絶対値αがα0を超えているときは、油圧シ
リンダ65の右側及び左側ピストンロッド66、67は
ロック状態にある。
【0107】この状態で、例えば、車両が旋回した場合
には、直進走行時と異なって右側ピストン69と左側ピ
ストン70とは相対的に接近するため、右側ピストン6
9と左側ピストン70との間の第3油室C内の検出圧力
Pは、旋回前の圧力信号P。よりも高く、P>P。でな
ければならない。P>P。にならない場合は油圧シリン
ダ65に故障が発生したと判断して、警報ブザー97を
鳴らすとともにウォーニングランプ98を点灯させるこ
とにより、ドライバに故障であることを知らせる。
【0108】以上は、オートモード86が選択されてい
る場合において、ロック状態に設定されているときであ
るが、ロックモード88が選択されている場合にも同様
にPとP。との大小判断がなされ、P>P。でない場合
には上記同様に故障と判断される。図10は、本実施形
態に係るコントローラ178を示すもので、本実施形態
に係るコントローラ178は、図2に示すコントローラ
78が有する構成要素に加えて、圧力予測手段95とエ
マージャンシー判断手段94を含む。
【0109】圧力予測手段95には、モード判断手段8
9からのオートモード信号とロックモード信号とが入力
されるとともに横加速度演算手段91からの演算値が入
力される。圧力予測手段95に、オートモード時におけ
るロック状態の信号又はロックモード信号と横加速度演
算手段か91らの所定の信号とが入力されると、圧力予
測手段95はエマージャンシー判断手段94に基準とな
る旋回前の圧力信号P。を出力する。
【0110】エマージャンシー判断手段94は、圧力予
測手段95から圧力信号P。が出力されると、第3油室
Cの圧力を検出する圧力センサ96からの検出信号Pと
圧力信号P。との大小を比較する。比較の結果、P>
P。でないと判断すると、警報ブザー97をONさせる
信号を出力し、警報ブザー97がONすると、ウォーニ
ングランプ98が点灯する。
【0111】なお、圧力センサ96による検出箇所は、
圧力の上昇がもっとも大きい第3油室Cが好ましいが、
これに限らず、第1及び第2油室A、Bでも可能であ
る。次に、本実施形態の作用について説明する。圧力セ
ンサ96は、シリンダ本体65aの第3油室Cの圧力を
常時検出していて、その検出信号Pをエマージャンシー
判断手段94に出力している。
【0112】一方、モードスイッチ82によってオート
モード86が選択され、かつ油圧シリンダ65の右側及
び左側ピストンロッド66、67がロック状態にある場
合、又は、ロックモード88が選択されている場合に
は、モード判断手段89から圧力予測手段95にロック
信号が出力される。このようなロック状態において、車
両が旋回し、横加速度演算手段91が、横加速度の絶対
値αがα0よりも大きいと判断すると(ステップ1
1)、圧力予測手段95にその判断信号を出力する。
【0113】圧力予測手段95に、この判断信号とロッ
ク信号との2つの信号が入力すると、圧力予測手段95
はエマージャンシー判断手段94に旋回前における第3
油室Cの圧力信号P。を出力する。すると、圧力センサ
96によって検出された第3油室Cの検出信号Pと旋回
前の圧力信号P。との大小がエマージャンシー判断手段
によって判断され、P>P。の場合は正常と判断する
(ステップ12)。
【0114】P>P。でない場合には故障と判断し、警
報ブザー97に信号が出力されて(ステップ13)警報
ブザー97がONするとともに、ウォーニングランプ9
8を点灯させる(ステップ14)ことにより、ドライバ
に故障であることを知らせる。以上説明したように、本
実施形態では、油圧シリンダ65の油圧を検出し、これ
を基準となる圧力信号P。と比較することにより、油圧
系統が故障か否かを判断し、故障の場合には警報措置を
とるものであり、比較的簡素な構成により油圧系統の故
障を迅速かつ容易に知ることができ、車両の安全の万全
を期することができる。
【0115】
【発明の効果】請求項1に記載の発明では、シリンダ本
体内に右側及び左側の2つのピストンを有し、右側のピ
ストンは右側のスタビライザに連係し、左側のピストン
は左側のスタビライザに連係し、かつ右側及び左側ピス
トンによりシリンダ本体内には3つの油室が形成され、
各油室には第1、第2及び第3の管路がそれぞれ接続さ
れているから、フリー状態において、右側及び左側のピ
ストンは、右側及び左側のスタビライザからの入力を受
けて互いに独立に動くことができる。
【0116】このため、車両の左右の荷重のバランスが
ずれても、そのずれを自動的に補正することができ、し
たがって、ロック状態からフリー状態にするとき、車両
の荷重のバランスがすでにずれていた場合でも急にロー
ルすることがない。また、直進走行状態で凹凸のある路
面を走行しても、ねじり剛性はきわめて低いため、乗心
地が悪化することがない。
【0117】さらに、従来のように、ロック状態にする
場合でもスタビライザを中立位置に強制的に復帰させる
必要がなく、したがってこのための油圧回路やセンサ等
を省略することができ、構成の簡素化を図ることができ
る。請求項2に記載の発明では、車両のスタビライザ装
置の制御態様としてオートモード、ロックモード及びフ
リーモードの三態様を有するので、車両の走行状態に応
じて適正なモードを選択することができ、したがって、
乗心地の向上を期することができる。特に、オートモー
ドを選択した場合には、車両に作用する予測の横加速度
に応じて自動的に油圧シリンダがロック状態又はフリー
状態に設定されるので、ドライバの負担が軽減される。
【0118】請求項3に記載の発明では、油圧シリンダ
の油圧を検出し、これを基準となる圧力信号と比較する
ことにより、油圧系統が故障か否かを判断し、故障の場
合には警報措置をとるものであり、比較的簡素な構成に
より油圧系統の故障を迅速かつ容易に知ることができ、
車両の安全の万全を期することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る車両のスタビライザ装置の一実施
形態を示す斜視図。
【図2】同じく、油圧シリンダを含む油圧回路図。
【図3】同じく、モードスイッチの説明図。
【図4】同じく、コントローラの説明図。
【図5】同じく、制御フロー図。
【図6】同じく、予測横加速度と第1及び第2方向切換
弁の励磁状態との関係を示す説明図。
【図7】同じく、車両のロール特性を示すグラフ。
【図8】本発明の他の実施形態を示す図2相当図。
【図9】同じく、図5相当図。
【図10】同じく、図4相当図。
【図11】従来の車両のスタビライザ装置の斜視図。
【図12】同じく、スタビライザの作動状態を示す説明
図。
【符号の説明】
50 アクスル 51 エアスプリングサポート 52 エアスプリング 55 スタビライザバー 56 スタビライザ 65 油圧シリンダ 65a シリンダ本体 66 右側ピストンロッド 67 左側ピストンロッド 69 右側ピストン 70 左側ピストン 72 第1管路 74 第2管路 75 第1方向切換弁 76 第3管路 77 第2方向切換弁 78、178 コントローラ 82 モードスイッチ 86 オートモード 87 フリーモード 88 ロックモード 96 圧力センサ A 第1油室 B 第2油室 C 第3油室 M 第1方向切換弁の第1位置 N 第1方向切換弁の第2位置 P 第2方向切換弁の第1位置 Q 第2方向切換弁の第2位置 X アキュムレータ

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両の進行方向に向かって左側及び右側
    に位置する車輪の荷重を支える、車両の進行方向に対し
    てほぼ直交するように配置されたアクスルと;前記アク
    スルに基部が固定されかつ先端部がアスプリングを支持
    する左右のエアスプリングサポートと;前記エアスプリ
    ングサポートの先端部に固定され、車両の進行方向に対
    してほぼ直交するように配置されたスタビライザバー
    と;前記スタビライザバーの端部に一端部が固定され、
    車両の進行方向に沿って配置された左右のスタビライザ
    と;シリンダ本体と、シリンダ本体に往復動自在に嵌挿
    された第1ピストン及び第2ピストンと、シリンダ本体
    の外部に突出する第1ピストンに接続された第1ピスト
    ンロッドと、第1ピストンロッドと反対方向に向けてシ
    リンダ本体の外部に突出する第2ピストンに接続された
    第2ピストンロッドとを有する油圧シリンダと;前記左
    側のスタビライザの他端部と前記第1ピストンロッドの
    突出端とに連結され、該スタビライザの回動と第1ピス
    トンロッドの往復動とを連係させる第1リンク機構と;
    前記右側のスタビライザの他端部と前記第2ピストンロ
    ッドの突出端とに連結され、該スタビライザの回動と第
    2ピストンロッドの往復動とを連係させる第2リンク機
    構と;前記第1ピストンと前記第1ピストンロッドが貫
    通するシリンダ本体の端壁との間の第1油室に接続され
    た第1管路と;前記第2ピストンと前記第2ピストンロ
    ッドが貫通するシリンダ本体の端壁との間の第2油室に
    接続された第2管路と;前記第1管路と第2管路とが合
    流する第3管路に接続されたアキュムレータと;前記第
    1管路、第2管路及び第3管路に接続され、第1油室と
    第2油室とアキュムレータとを連通させる第1位置と、
    第1油室と第2油室とアキュムレータとの連通を遮断す
    る第2位置とをとる第1方向切換弁と;前記第1ピスト
    ンと第2ピストンとの間の第3油室と前記第3管路とを
    接続する第4管路と;前記第4管路に設置され、前記ア
    キュムレータと第3油室とを連通させる第1位置と該ア
    キュムレータと第3油室との連通を遮断する第2位置と
    をとる第2方向切換弁とを有することを特徴とする車両
    のスタビライザ装置。
  2. 【請求項2】 車両の進行方向に向かって左側及び右側
    に位置する車輪の荷重を支える、車両の進行方向に対し
    てほぼ直交するように配置されたアクスルと;前記アク
    スルに基部が固定されかつ先端部がエアスプリングを支
    持する左右のエアスプリングサポートと;前記エアスプ
    リングサポートの先端部に固定され、車両の進行方向に
    対してほぼ直交するように配置されたスタビライザバー
    と;前記スタビライザバーの端部に一端部が固定され、
    車両の進行方向に沿って配置された左右のスタビライザ
    と;シリンダ本体と、シリンダ本体に往復動自在に嵌挿
    された第1ピストン及び第2ピストンと、シリンダ本体
    の外部に突出する第1ピストンに接続された第1ピスト
    ンロッドと、第1ピストンロッドと反対方向に向けてシ
    リンダ本体の外部に突出する第2ピストンに接続された
    第2ピストンロッドとを有する油圧シリンダと;前記左
    側のスタビライザの他端部と前記第1ピストンロッドの
    突出端とに連結され、該スタビライザの回動と第1ピス
    トンロッドの往復動とを連係させる第1リンク機構と;
    前記右側のスタビライザの他端部と前記第2ピストンロ
    ッドの突出端とに連結され、該スタビライザの回動と第
    2ピストンロッドの往復動とを連係させる第2リンク機
    構と;前記第1ピストンと前記第1ピストンロッドが貫
    通するシリンダ本体の端壁との間の第1油室に接続され
    た第1管路と;前記第2ピストンと前記第2ピストンロ
    ッドが貫通するシリンダ本体の端壁との間の第2油室に
    接続された第2管路と;前記第1管路と第2管路とが合
    流する第3管路に接続されたアキュムレータと;前記第
    1管路、第2管路及び第3管路に接続され、ON信号が
    入力すると第1油室と第2油室とアキュムレータとを連
    通させる第1位置をとり、OFF信号が入力すると第1
    油室と第2油室とアキュムレータとの連通を遮断する第
    2位置をとる第1方向切換弁と;前記第1ピストンと第
    2ピストンとの間の第3油室と前記第3管路とを接続す
    る第4管路と;前記第4管路に設置され、ON信号が入
    力すると前記アキュムレータと第3油室とを連通させる
    第1位置をとり、OFF信号が入力するとアキュムレー
    タと第3油室との連通を遮断する第2位置をとる第2方
    向切換弁と;オートモードとロックモードとフリーモー
    ドとのうちから選択されたモードの信号を出力するモー
    ドスイッチと;前記モードスイッチからオートモードの
    信号が出力された場合には、車両の予測の横加速度の絶
    対値αと基準の横加速度α0とを比較し、絶対値α>α
    0のときは第1方向切換弁と第2方向切換弁とにOFF
    信号を出力し、絶対値α>α0でないときは第1方向切
    換弁と第2方向切換弁とにON信号を出力し、 前記モードスイッチからロックモード信号が出力された
    場合には、前記第1方向切換弁と第2方向切換弁とにO
    FF信号を出力し、 前記モードスイッチからフリーモード信号が出力された
    場合には、前記第1方向切換弁と第2方向切換弁とにO
    N信号を出力するコントローラとを有することを特徴と
    する車両のスタビライザ装置。
  3. 【請求項3】 前記シリンダ本体内部の圧力を検出し、
    検出した圧力信号Pを前記コントローラに出力する圧力
    センサを有し、 前記コントローラは、前記モードスイッチからオートモ
    ード信号又はロックモード信号が出力されている場合で
    あって、絶対値α>α0かつ基準圧力P。に対する圧力
    信号Pの大小関係がP>P。でない場合には、油圧回路
    が故障と判断して警報信号を出力することを特徴とする
    請求項2に記載の車両のスタビライザ装置。
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