JP3444949B2 - 強誘電体結晶基板への装荷膜およびその形成方法 - Google Patents
強誘電体結晶基板への装荷膜およびその形成方法Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、強誘電体結晶基板への
装荷膜、特に詳細には酸化ハフニウムの薄膜からなる装
荷膜、およびその形成方法に関するものである。
装荷膜、特に詳細には酸化ハフニウムの薄膜からなる装
荷膜、およびその形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、LiNbO3 、LiTaO3
等の強誘電体結晶の基板上に光導波路を形成し、この光
導波路において光を導波モードで伝搬させる光導波路素
子が種々提供されている。このような光導波路素子にお
いては、光導波路上に光学薄膜を装荷することが多い。
つまり、例えば光導波路上に光入出力用のグレーティン
グカプラが設けられる場合は、このような装荷膜により
高次回折光を干渉させて1次回折の高効率化を図ること
があり、また光導波路を電気光学光変調素子等に応用す
る場合は、Al等からなる金属電極を光導波路に直接装
荷した際に生じ得る導波光の吸収ロスを回避するため
に、金属電極と光導波路との間に中間隔離層として光学
薄膜を装荷することが多い。
等の強誘電体結晶の基板上に光導波路を形成し、この光
導波路において光を導波モードで伝搬させる光導波路素
子が種々提供されている。このような光導波路素子にお
いては、光導波路上に光学薄膜を装荷することが多い。
つまり、例えば光導波路上に光入出力用のグレーティン
グカプラが設けられる場合は、このような装荷膜により
高次回折光を干渉させて1次回折の高効率化を図ること
があり、また光導波路を電気光学光変調素子等に応用す
る場合は、Al等からなる金属電極を光導波路に直接装
荷した際に生じ得る導波光の吸収ロスを回避するため
に、金属電極と光導波路との間に中間隔離層として光学
薄膜を装荷することが多い。
【0003】この光導波路の装荷膜は、光伝搬損失が十
分に小さいことが求められる。つまり、この光伝搬損失
が大きいと、光導波路素子の光利用効率が低下して十分
な機能が発揮できなくなり、さらには、光吸収による発
熱のために熱ゆらぎによる素子性能の低下を招くからで
ある。
分に小さいことが求められる。つまり、この光伝搬損失
が大きいと、光導波路素子の光利用効率が低下して十分
な機能が発揮できなくなり、さらには、光吸収による発
熱のために熱ゆらぎによる素子性能の低下を招くからで
ある。
【0004】上記のような光導波路の装荷膜を構成し得
る光学材料の1つとして、酸化ハフニウム(HfO2 )
が知られている。この酸化ハフニウムは、紫外線波長域
までの透明性と、比較的高い屈折率を有するという点で
希少な材料であり、さらに、融点が酸化物中ではかなり
高い方にあって、高温安定性が期待されている材料であ
る。
る光学材料の1つとして、酸化ハフニウム(HfO2 )
が知られている。この酸化ハフニウムは、紫外線波長域
までの透明性と、比較的高い屈折率を有するという点で
希少な材料であり、さらに、融点が酸化物中ではかなり
高い方にあって、高温安定性が期待されている材料であ
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、酸化ハフニウ
ム薄膜の実用レベルでの応用例は反射防止コート等に留
まっており、光導波路の装荷膜として実用された例も見
当たらない。このように従来は、酸化ハフニウム薄膜か
ら光伝搬損失の小さい装荷膜を形成する技術は明らかに
されていなかった。
ム薄膜の実用レベルでの応用例は反射防止コート等に留
まっており、光導波路の装荷膜として実用された例も見
当たらない。このように従来は、酸化ハフニウム薄膜か
ら光伝搬損失の小さい装荷膜を形成する技術は明らかに
されていなかった。
【0006】すなわち、反射防止コート等の用途におい
ては、薄膜の厚さ方向とほぼ平行に光が入射するので、
この厚さ方向での屈折率および膜厚制御技術が要求され
ていた。それに対して光導波路に薄膜を装荷した構造に
おいては、薄膜の厚さ方向とほぼ垂直に、つまり薄膜面
内を光が導波するので、薄膜中の光の通過長は上記の場
合と比べて単純に103 〜106 以上も長く、光の導波中の
散乱および吸収によるロス(伝搬損失)が、無視し得な
いほど積算されることになる。さらに、一般的な真空薄
膜技術を適用して薄膜を形成する場合は、薄膜厚さ方向
に柱状構造が形成されることが多く、構造の異方性に起
因する、光入射方向による伝搬損失の違いも考えられ
る。
ては、薄膜の厚さ方向とほぼ平行に光が入射するので、
この厚さ方向での屈折率および膜厚制御技術が要求され
ていた。それに対して光導波路に薄膜を装荷した構造に
おいては、薄膜の厚さ方向とほぼ垂直に、つまり薄膜面
内を光が導波するので、薄膜中の光の通過長は上記の場
合と比べて単純に103 〜106 以上も長く、光の導波中の
散乱および吸収によるロス(伝搬損失)が、無視し得な
いほど積算されることになる。さらに、一般的な真空薄
膜技術を適用して薄膜を形成する場合は、薄膜厚さ方向
に柱状構造が形成されることが多く、構造の異方性に起
因する、光入射方向による伝搬損失の違いも考えられ
る。
【0007】このような背景の下、酸化ハフニウム薄膜
からなる低伝搬損失の装荷膜を光導波路に設ける構造、
およびその形成方法を得ることは従来全くなされていな
かったのである。
からなる低伝搬損失の装荷膜を光導波路に設ける構造、
およびその形成方法を得ることは従来全くなされていな
かったのである。
【0008】そこで本発明は、上に述べたような優れた
特性を有する酸化ハフニウムを利用して、光伝搬損失が
十分に小さい強誘電体結晶基板への装荷膜、特に光導波
路の装荷膜を得ることを目的とするものである。
特性を有する酸化ハフニウムを利用して、光伝搬損失が
十分に小さい強誘電体結晶基板への装荷膜、特に光導波
路の装荷膜を得ることを目的とするものである。
【0009】また本発明は、そのような強誘電体結晶基
板への装荷膜を形成する方法を提供することを目的とす
るものである。
板への装荷膜を形成する方法を提供することを目的とす
るものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明による強誘電体結
晶基板への装荷膜は、光導波路が形成された強誘電体結
晶基板に装荷される装荷膜において、主として微結晶の
斜方晶系成分より構成され、単斜晶系成分を含まない酸
化ハフニウムの薄膜からなることを特徴とするものであ
る。
晶基板への装荷膜は、光導波路が形成された強誘電体結
晶基板に装荷される装荷膜において、主として微結晶の
斜方晶系成分より構成され、単斜晶系成分を含まない酸
化ハフニウムの薄膜からなることを特徴とするものであ
る。
【0011】
【0012】一方、本発明による第1の強誘電体結晶基
板への装荷膜の形成方法は、上記酸化ハフニウムの薄膜
を、5.0 ×10-3Torrより高いガス圧下でスパッタリング
法により形成することを特徴とするものである。
板への装荷膜の形成方法は、上記酸化ハフニウムの薄膜
を、5.0 ×10-3Torrより高いガス圧下でスパッタリング
法により形成することを特徴とするものである。
【0013】また本発明による第2の強誘電体結晶基板
への装荷膜の形成方法は、上記酸化ハフニウムの薄膜を
蒸着法により形成することを特徴とするものである。
への装荷膜の形成方法は、上記酸化ハフニウムの薄膜を
蒸着法により形成することを特徴とするものである。
【0014】
【作用および発明の効果】酸化ハフニウムは、図2のP
−T(圧力−温度)状態図から明らかな通り、2つの結
晶形を持っている。低圧相が単斜晶系であり、高圧相が
斜方晶系である。また、前述の通り酸化ハフニウムは高
融点酸化物であるので、実用的な基板温度(室温〜300
℃程度)で薄膜化した場合は、基本的にほとんどアモル
ファス状態となる。
−T(圧力−温度)状態図から明らかな通り、2つの結
晶形を持っている。低圧相が単斜晶系であり、高圧相が
斜方晶系である。また、前述の通り酸化ハフニウムは高
融点酸化物であるので、実用的な基板温度(室温〜300
℃程度)で薄膜化した場合は、基本的にほとんどアモル
ファス状態となる。
【0015】しかし、本発明者等の解析の結果、このア
モルファス状態の中で微結晶化状態が観察され、その状
態が下記の2種類に別けられることが分かった。
モルファス状態の中で微結晶化状態が観察され、その状
態が下記の2種類に別けられることが分かった。
【0016】1つは単斜晶系(Monoclinic)の微結晶と
斜方晶系(Orthorhombic)の微結晶とを含む状態であ
り、この状態の酸化ハフニウムからなる薄膜は膜内にマ
イクロクラック(微小亀裂)を含み、それが散乱源とし
て作用するために光伝搬損失が大きいことが判明した。
なおこのマイクロクラックは、単斜晶が斜方晶へ相変態
する際に生じるとみられる体積変化に起因して発生する
と考えられる。
斜方晶系(Orthorhombic)の微結晶とを含む状態であ
り、この状態の酸化ハフニウムからなる薄膜は膜内にマ
イクロクラック(微小亀裂)を含み、それが散乱源とし
て作用するために光伝搬損失が大きいことが判明した。
なおこのマイクロクラックは、単斜晶が斜方晶へ相変態
する際に生じるとみられる体積変化に起因して発生する
と考えられる。
【0017】もう1つは斜方晶系の微結晶のみを含む状
態であり、この状態では上記の相変態も生じないから、
この状態の酸化ハフニウムからなる薄膜は膜内にマイク
ロクラックを含まない。そこで、ほぼこの斜方晶系の微
結晶のみからなり、単斜晶系の微結晶を含まない酸化ハ
フニウムの薄膜から構成した本発明による光導波路の装
荷膜は、マイクロクラックによる散乱がなく、光伝搬損
失が十分に小さいものとなる。
態であり、この状態では上記の相変態も生じないから、
この状態の酸化ハフニウムからなる薄膜は膜内にマイク
ロクラックを含まない。そこで、ほぼこの斜方晶系の微
結晶のみからなり、単斜晶系の微結晶を含まない酸化ハ
フニウムの薄膜から構成した本発明による光導波路の装
荷膜は、マイクロクラックによる散乱がなく、光伝搬損
失が十分に小さいものとなる。
【0018】以上のように斜方晶系の微結晶のみからな
り、単斜晶系の微結晶を含まない酸化ハフニウムの薄膜
は、本発明の第1の方法のようにスパッタリング法を適
用して、あるいは本発明の第2の方法のように蒸着法を
適用して形成することができる。
り、単斜晶系の微結晶を含まない酸化ハフニウムの薄膜
は、本発明の第1の方法のようにスパッタリング法を適
用して、あるいは本発明の第2の方法のように蒸着法を
適用して形成することができる。
【0019】なお上記第1の方法において、スパッタリ
ングを行なう際のガス圧が低過ぎると、装荷膜にマイク
ロクラックが多発し、光伝搬損失が大幅に増大してしま
う。このような不具合をなくすために、本発明による第
1の方法においては、スパッタリングを前述した通り5.
0 ×10-3Torr以上のガス圧下で行なうものである。
ングを行なう際のガス圧が低過ぎると、装荷膜にマイク
ロクラックが多発し、光伝搬損失が大幅に増大してしま
う。このような不具合をなくすために、本発明による第
1の方法においては、スパッタリングを前述した通り5.
0 ×10-3Torr以上のガス圧下で行なうものである。
【0020】しかしその半面、反対にこのガス圧が高過
ぎると装荷膜の緻密性が失われ、吸湿による屈折率変化
が著しく大きくなり、光学設計上問題となる。このよう
な問題を防止し、なおかつ上のマイクロクラック発生の
問題も防止するためには、このスパッタリング時のガス
圧を8.0 ×10-3〜2.0 ×10-2Torrの範囲に設定するのが
望ましい。
ぎると装荷膜の緻密性が失われ、吸湿による屈折率変化
が著しく大きくなり、光学設計上問題となる。このよう
な問題を防止し、なおかつ上のマイクロクラック発生の
問題も防止するためには、このスパッタリング時のガス
圧を8.0 ×10-3〜2.0 ×10-2Torrの範囲に設定するのが
望ましい。
【0021】
【実施例】以下、図面に示す実施例に基づいて本発明を
詳細に説明する。
詳細に説明する。
【0022】<実施例1>図1は本発明の第1実施例に
よる装荷膜が形成された光導波路素子を示すものであ
る。この光導波路素子は、一例として5at%のMgO
がドープされたLiNbO3 (以下、MgO−LiNb
O3 と称する)の結晶からなるXカットの基板10上に、
プロトン交換およびアニールにより実効深さ2.1 μmの
薄膜光導波路11が形成され、この+X面に形成された光
導波路11の上側から基板10に酸化ハフニウム(Hf
O2 )薄膜12が装荷されてなるものである。
よる装荷膜が形成された光導波路素子を示すものであ
る。この光導波路素子は、一例として5at%のMgO
がドープされたLiNbO3 (以下、MgO−LiNb
O3 と称する)の結晶からなるXカットの基板10上に、
プロトン交換およびアニールにより実効深さ2.1 μmの
薄膜光導波路11が形成され、この+X面に形成された光
導波路11の上側から基板10に酸化ハフニウム(Hf
O2 )薄膜12が装荷されてなるものである。
【0023】本発明による上記のHfO2 薄膜12は、以
下のようにして形成されたものである。まず、薄膜光導
波路11が形成された後の基板10をスパッタリング装置に
セットし、クライオポンプにより装置内部を真空度5.0
×10-7Torrとなるまで排気した。次いで装置内部にAr
ガス:60sccm(standard cc/min )およびO2 ガス:
72sccmを導入し、酸素分圧比が40%となるように調整す
る。その後、隔膜式圧力計(バラトロン)でモニターし
ながら、排気口のコンダクタンスバルブを絞り、混合ガ
ス圧が1.0 ×10-2Torrになるように調整した。この状態
下で直径8inch(=203.2 mm)×厚さ3mmのHf
(ハフニウム)金属ターゲットをカソード、基板10をア
ノードとして高周波放電させ、カソードへの印加電圧1
kWで30分間のプレスパッタリングをした後、シャッタ
ーを開いて基板10上にHfO2 薄膜12を形成した。この
間の成膜速度は概ね4nm/min であり、HfO2 薄膜
12の膜厚は約 600nmとした。
下のようにして形成されたものである。まず、薄膜光導
波路11が形成された後の基板10をスパッタリング装置に
セットし、クライオポンプにより装置内部を真空度5.0
×10-7Torrとなるまで排気した。次いで装置内部にAr
ガス:60sccm(standard cc/min )およびO2 ガス:
72sccmを導入し、酸素分圧比が40%となるように調整す
る。その後、隔膜式圧力計(バラトロン)でモニターし
ながら、排気口のコンダクタンスバルブを絞り、混合ガ
ス圧が1.0 ×10-2Torrになるように調整した。この状態
下で直径8inch(=203.2 mm)×厚さ3mmのHf
(ハフニウム)金属ターゲットをカソード、基板10をア
ノードとして高周波放電させ、カソードへの印加電圧1
kWで30分間のプレスパッタリングをした後、シャッタ
ーを開いて基板10上にHfO2 薄膜12を形成した。この
間の成膜速度は概ね4nm/min であり、HfO2 薄膜
12の膜厚は約 600nmとした。
【0024】上記構成の光導波路素子において、Arレ
ーザーから射出させた波長 514.5nmのレーザービーム
13を、HfO2 薄膜12上に配したプリズムカプラ14によ
り光導波路11に入射させ、そこを導波させた。このと
き、CCDカメラにより撮影した散乱光の減衰曲線から
光伝搬損失を求めたところ、0.4 dB/cmであった。
なおこの場合の導波距離L(図1参照)は約20mm、実
際にCCDカメラに散乱光を取り込んで減衰を計算する
のに用いた長さL’は16mmであった。
ーザーから射出させた波長 514.5nmのレーザービーム
13を、HfO2 薄膜12上に配したプリズムカプラ14によ
り光導波路11に入射させ、そこを導波させた。このと
き、CCDカメラにより撮影した散乱光の減衰曲線から
光伝搬損失を求めたところ、0.4 dB/cmであった。
なおこの場合の導波距離L(図1参照)は約20mm、実
際にCCDカメラに散乱光を取り込んで減衰を計算する
のに用いた長さL’は16mmであった。
【0025】一方、HfO2 薄膜12を形成する前に、同
様にしてレーザービーム13を光導波路11において導波さ
せ、そのとき上記と同じ方法により求めた光伝搬損失は
0.3dB/cmであった。この光伝搬損失測定の分解能
は0.1 dB/cmであり、それを考慮すると、HfO2
薄膜12による光伝搬損失はほとんど無い(<0.1 dB/
cm)と言える。
様にしてレーザービーム13を光導波路11において導波さ
せ、そのとき上記と同じ方法により求めた光伝搬損失は
0.3dB/cmであった。この光伝搬損失測定の分解能
は0.1 dB/cmであり、それを考慮すると、HfO2
薄膜12による光伝搬損失はほとんど無い(<0.1 dB/
cm)と言える。
【0026】次に、X線回折法によりHfO2 薄膜12の
結晶性を評価した。ここで、MgO−LiNbO3 基板
10とHfO2 薄膜12とでは回折ピークの重なりが有り、
基板10にHfO2 薄膜12を装荷した状態ではHfO2 薄
膜12の微結晶性の判定が困難であるので、上記実施例と
同様にして合成石英基板上にHfO2 薄膜を形成し、そ
の結晶性を評価した。この場合、図3に示すように斜方
晶系の微結晶が観測され、単斜晶系の微結晶は観測され
なかった。
結晶性を評価した。ここで、MgO−LiNbO3 基板
10とHfO2 薄膜12とでは回折ピークの重なりが有り、
基板10にHfO2 薄膜12を装荷した状態ではHfO2 薄
膜12の微結晶性の判定が困難であるので、上記実施例と
同様にして合成石英基板上にHfO2 薄膜を形成し、そ
の結晶性を評価した。この場合、図3に示すように斜方
晶系の微結晶が観測され、単斜晶系の微結晶は観測され
なかった。
【0027】また、それと併せて、光学顕微鏡により基
板10上のHfO2 薄膜12の内部を観察したが、膜内にマ
イクロクラック(微小亀裂)等の異常が無いことが確認
された。
板10上のHfO2 薄膜12の内部を観察したが、膜内にマ
イクロクラック(微小亀裂)等の異常が無いことが確認
された。
【0028】ここで、上記MgO−LiNbO3 基板10
とHfO2 薄膜12の回折ピークの重なりについて説明す
る。HfO2 薄膜12の膜厚は約 600nmであり、それに
対して基板10の厚さは3mmと著しく大きい。この場
合、一例としてCuKα特性のX線(Niフィルター透
過)を用いてX線回折パターンを求めるが、HfO2 薄
膜12の主要な回折ピークは回折角2θ=20〜50°程度の
範囲に含まれる。上述のように膜厚約 600nmのHfO
2 薄膜12の単位時間の計測率は相対的に低く、そしてM
gO−LiNbO3 基板10の主要な回折ピークも上記と
同程度の範囲に含まれるため、基板10にHfO2 薄膜12
を装荷した状態での測定では、HfO2 薄膜12の回折ピ
ークは、十分に厚いMgO−LiNbO3 基板10の回折
ピーク(第1〜第3ピーク)の中に埋もれてしまう。
とHfO2 薄膜12の回折ピークの重なりについて説明す
る。HfO2 薄膜12の膜厚は約 600nmであり、それに
対して基板10の厚さは3mmと著しく大きい。この場
合、一例としてCuKα特性のX線(Niフィルター透
過)を用いてX線回折パターンを求めるが、HfO2 薄
膜12の主要な回折ピークは回折角2θ=20〜50°程度の
範囲に含まれる。上述のように膜厚約 600nmのHfO
2 薄膜12の単位時間の計測率は相対的に低く、そしてM
gO−LiNbO3 基板10の主要な回折ピークも上記と
同程度の範囲に含まれるため、基板10にHfO2 薄膜12
を装荷した状態での測定では、HfO2 薄膜12の回折ピ
ークは、十分に厚いMgO−LiNbO3 基板10の回折
ピーク(第1〜第3ピーク)の中に埋もれてしまう。
【0029】MgO−LiNbO3 基板10の上にHfO
2 薄膜12を十分に厚く装荷すれば、上記の不具合も無く
して実際的な測定が可能になるが、光導波路にHfO2
薄膜を装荷する上で、実用的な膜厚から逸脱してHfO
2 の結晶性を評価しても無意味であることから、上述の
通りの測定方法を採用したものである。
2 薄膜12を十分に厚く装荷すれば、上記の不具合も無く
して実際的な測定が可能になるが、光導波路にHfO2
薄膜を装荷する上で、実用的な膜厚から逸脱してHfO
2 の結晶性を評価しても無意味であることから、上述の
通りの測定方法を採用したものである。
【0030】<比較例1>次に、本発明の作用、効果を
確認するための比較例1について説明する。この比較例
1のHfO2 薄膜は、スパッタリング装置の混合ガス圧
を5.0 ×10-3Torr(実施例1では1.0 ×10-2Torr)とす
る以外は、すべて実施例1と同様にしてMgO−LiN
bO3 基板上に形成されたものである。また、この基板
も実施例1における基板10と同じである。
確認するための比較例1について説明する。この比較例
1のHfO2 薄膜は、スパッタリング装置の混合ガス圧
を5.0 ×10-3Torr(実施例1では1.0 ×10-2Torr)とす
る以外は、すべて実施例1と同様にしてMgO−LiN
bO3 基板上に形成されたものである。また、この基板
も実施例1における基板10と同じである。
【0031】この比較例1のHfO2 薄膜が形成された
光導波路素子の光伝搬損失を、上記と同様にして測定し
たところ、42.0dB/cmであった。この値と比べる
と、実施例1の光伝搬損失0.4 dB/cmは著しく小さ
いものである。なお、膜中の酸素欠損に起因するHf金
属による光吸収も考えられるので、SIMS(2次イオ
ン質量分析法)により実施例1と比較例1のO/Hf比
を比較したが、有意差は認められなかった。したがっ
て、比較例1における大きな光伝搬損失の原因は、光吸
収以外の散乱要因が支配的になっていると推定される。
光導波路素子の光伝搬損失を、上記と同様にして測定し
たところ、42.0dB/cmであった。この値と比べる
と、実施例1の光伝搬損失0.4 dB/cmは著しく小さ
いものである。なお、膜中の酸素欠損に起因するHf金
属による光吸収も考えられるので、SIMS(2次イオ
ン質量分析法)により実施例1と比較例1のO/Hf比
を比較したが、有意差は認められなかった。したがっ
て、比較例1における大きな光伝搬損失の原因は、光吸
収以外の散乱要因が支配的になっていると推定される。
【0032】次に、合成石英基板上に比較例1と同様の
HfO2 薄膜を形成し、その結晶性を評価した。この場
合、図4に示すように単斜晶系の微結晶が観測された。
HfO2 薄膜を形成し、その結晶性を評価した。この場
合、図4に示すように単斜晶系の微結晶が観測された。
【0033】また、それと併せて、光学顕微鏡によりこ
の比較例1のHfO2 薄膜の内部を観察したところ、膜
内にマイクロクラック(微小亀裂)の発生が認められ
た。したがってこの比較例1においては、マイクロクラ
ックが散乱源として働き、そのために光導波路素子の光
伝搬損失が著しく大きくなるものと考えられる。
の比較例1のHfO2 薄膜の内部を観察したところ、膜
内にマイクロクラック(微小亀裂)の発生が認められ
た。したがってこの比較例1においては、マイクロクラ
ックが散乱源として働き、そのために光導波路素子の光
伝搬損失が著しく大きくなるものと考えられる。
【0034】以上説明した実施例1および比較例1から
明らかな通り、スパッタリング法によりHfO2 薄膜を
形成する場合は、高屈折率が要求される場合の膜緻密化
の手法として知られている低ガス圧でのスパッタリング
を行なうと、HfO2 薄膜内にマイクロクラックが発生
しやすい。そこで本発明においては、ガス圧をある程度
高く設定してスパッタリングを行なうのが望ましく、そ
のようにすれば、斜方晶系の微結晶のみからなりマイク
ロクラックの無いHfO2 薄膜を形成することができ
る。
明らかな通り、スパッタリング法によりHfO2 薄膜を
形成する場合は、高屈折率が要求される場合の膜緻密化
の手法として知られている低ガス圧でのスパッタリング
を行なうと、HfO2 薄膜内にマイクロクラックが発生
しやすい。そこで本発明においては、ガス圧をある程度
高く設定してスパッタリングを行なうのが望ましく、そ
のようにすれば、斜方晶系の微結晶のみからなりマイク
ロクラックの無いHfO2 薄膜を形成することができ
る。
【0035】<実施例2>次に、本発明の別の実施例に
よる装荷膜が形成された光導波路素子について、図5を
参照して説明する。この実施例2の装荷膜もHfO2 か
らなる薄膜であるが、実施例1のものとは形成方法が異
なるものである。一方、それが装荷される基板10や光導
波路11は前述のものと同様である。
よる装荷膜が形成された光導波路素子について、図5を
参照して説明する。この実施例2の装荷膜もHfO2 か
らなる薄膜であるが、実施例1のものとは形成方法が異
なるものである。一方、それが装荷される基板10や光導
波路11は前述のものと同様である。
【0036】この実施例2のHfO2 薄膜22は、以下の
ようにして形成されたものである。まず、薄膜光導波路
11が形成された後の基板(5at%のMgOがドープさ
れたLiNbO3 のX板)10を、例えばDENTON VACUUM
INC.製の冷陰極型イオンガンを備えたイオンアシスト蒸
着装置にセットし、クライオポンプにより装置内部を真
空度4.0 ×10-6Torrとなるまで排気した。次いで装置内
部にO2 ガス:25sccmを導入し、排気口のコンダクタン
スバルブを絞り、ガス圧が2.5 ×10-4Torrになるように
調整した。この状態で蒸着材料であるHfO2 ペレット
に電子ビームを照射して、ペレットの脱ガス処理を十分
に行なった後、シャッターを開いて基板10上にHfO2
薄膜22を形成した。この際、同時に酸素イオンを基板10
に照射して、膜の緻密化を促進した。イオン照射条件
は、ドライブ電圧400 V、ソース電流700 mAとした。
またこの間の成膜速度は概ね9nm/min であり、Hf
O2薄膜22の膜厚は約 600nmとした。
ようにして形成されたものである。まず、薄膜光導波路
11が形成された後の基板(5at%のMgOがドープさ
れたLiNbO3 のX板)10を、例えばDENTON VACUUM
INC.製の冷陰極型イオンガンを備えたイオンアシスト蒸
着装置にセットし、クライオポンプにより装置内部を真
空度4.0 ×10-6Torrとなるまで排気した。次いで装置内
部にO2 ガス:25sccmを導入し、排気口のコンダクタン
スバルブを絞り、ガス圧が2.5 ×10-4Torrになるように
調整した。この状態で蒸着材料であるHfO2 ペレット
に電子ビームを照射して、ペレットの脱ガス処理を十分
に行なった後、シャッターを開いて基板10上にHfO2
薄膜22を形成した。この際、同時に酸素イオンを基板10
に照射して、膜の緻密化を促進した。イオン照射条件
は、ドライブ電圧400 V、ソース電流700 mAとした。
またこの間の成膜速度は概ね9nm/min であり、Hf
O2薄膜22の膜厚は約 600nmとした。
【0037】上記構成の光導波路素子において、Arレ
ーザーから射出させた波長 514.5nmのレーザービーム
13を、HfO2 薄膜22上に配したプリズムカプラ14によ
り光導波路11に入射させ、そこを導波させた。このと
き、実施例1に対するのと同様にして光伝搬損失を求め
たところ、0.3 dB/cmであった。
ーザーから射出させた波長 514.5nmのレーザービーム
13を、HfO2 薄膜22上に配したプリズムカプラ14によ
り光導波路11に入射させ、そこを導波させた。このと
き、実施例1に対するのと同様にして光伝搬損失を求め
たところ、0.3 dB/cmであった。
【0038】一方、HfO2 薄膜22を形成する前に、同
様にしてレーザービーム13を光導波路11において導波さ
せ、そのとき上記と同じ方法により求めた光伝搬損失は
0.3dB/cmであった。この光伝搬損失測定の分解能
も0.1 dB/cmであり、それを考慮すると、HfO2
薄膜22による光伝搬損失はほとんど無い(<0.1 dB/
cm)と言える。
様にしてレーザービーム13を光導波路11において導波さ
せ、そのとき上記と同じ方法により求めた光伝搬損失は
0.3dB/cmであった。この光伝搬損失測定の分解能
も0.1 dB/cmであり、それを考慮すると、HfO2
薄膜22による光伝搬損失はほとんど無い(<0.1 dB/
cm)と言える。
【0039】次に、X線回折法によりHfO2 薄膜22の
結晶性を評価した。この場合も、合成石英基板上に実施
例2と同様にしてHfO2 薄膜を形成し、その結晶性を
評価したが、図3に示したのと同様の斜方晶系の微結晶
が観測され、単斜晶系の微結晶は観測されなかった。
結晶性を評価した。この場合も、合成石英基板上に実施
例2と同様にしてHfO2 薄膜を形成し、その結晶性を
評価したが、図3に示したのと同様の斜方晶系の微結晶
が観測され、単斜晶系の微結晶は観測されなかった。
【0040】また、それと併せて、光学顕微鏡により基
板10上のHfO2 薄膜22の内部を観察したが、膜内にマ
イクロクラック(微小亀裂)等の異常が無いことが確認
された。
板10上のHfO2 薄膜22の内部を観察したが、膜内にマ
イクロクラック(微小亀裂)等の異常が無いことが確認
された。
【0041】そしてこの実施例2のHfO2 薄膜22にお
いては、イオンアシスト効果により、スパッタ膜である
実施例1のHfO2 薄膜12と比べて、マイクロクラック
無しに約0.1 の屈折率の向上、すなわち膜の緻密化が認
められた。
いては、イオンアシスト効果により、スパッタ膜である
実施例1のHfO2 薄膜12と比べて、マイクロクラック
無しに約0.1 の屈折率の向上、すなわち膜の緻密化が認
められた。
【0042】また、SIMSによる不純物測定の結果、
HfO2 薄膜22には1.0 at%以下の微量のZr(蒸着
材料であるHfO2 ペレットに混入していたもの)が観
測され、これらが微量含まれていても、膜質上問題ない
ことが判明した。
HfO2 薄膜22には1.0 at%以下の微量のZr(蒸着
材料であるHfO2 ペレットに混入していたもの)が観
測され、これらが微量含まれていても、膜質上問題ない
ことが判明した。
【0043】<比較例2>次に、本発明の作用、効果を
確認するための比較例2について説明する。この比較例
2のHfO2 薄膜は、前記イオンアシスト蒸着装置のO
2 ガス導入量を10sccm(実施例2では25sccm)、ガス圧
を1.0 ×10-4Torr(実施例2では2.5 ×10-4Torr)とす
る以外は、すべて実施例2と同様にしてMgO−LiN
bO3 基板上に形成されたものである。また、この基板
も実施例2における基板10と同じである。
確認するための比較例2について説明する。この比較例
2のHfO2 薄膜は、前記イオンアシスト蒸着装置のO
2 ガス導入量を10sccm(実施例2では25sccm)、ガス圧
を1.0 ×10-4Torr(実施例2では2.5 ×10-4Torr)とす
る以外は、すべて実施例2と同様にしてMgO−LiN
bO3 基板上に形成されたものである。また、この基板
も実施例2における基板10と同じである。
【0044】この比較例2のHfO2 薄膜が形成された
光導波路素子の光伝搬損失を、上記と同様にして測定し
たところ、10.0dB/cmであった。この値と比べて、
実施例2の光伝搬損失0.3 dB/cmは著しく小さいも
のである。
光導波路素子の光伝搬損失を、上記と同様にして測定し
たところ、10.0dB/cmであった。この値と比べて、
実施例2の光伝搬損失0.3 dB/cmは著しく小さいも
のである。
【0045】次に、合成石英基板上に比較例2と同様の
HfO2 薄膜を形成し、その結晶性を評価した。この場
合も、図4に示したのと同様に、斜方晶系の微結晶と単
斜晶系の微結晶の双方が観測された。
HfO2 薄膜を形成し、その結晶性を評価した。この場
合も、図4に示したのと同様に、斜方晶系の微結晶と単
斜晶系の微結晶の双方が観測された。
【0046】また、それと併せて、光学顕微鏡によりこ
の比較例2のHfO2 薄膜の内部を観察したところ、膜
内全面にマイクロクラック(微小亀裂)の発生が認めら
れた。したがってこの比較例2においても、マイクロク
ラックが散乱源として働き、そのために光導波路素子の
光伝搬損失が著しく大きくなるものと考えられる。
の比較例2のHfO2 薄膜の内部を観察したところ、膜
内全面にマイクロクラック(微小亀裂)の発生が認めら
れた。したがってこの比較例2においても、マイクロク
ラックが散乱源として働き、そのために光導波路素子の
光伝搬損失が著しく大きくなるものと考えられる。
【0047】なお、このイオンアシスト蒸着法によるH
fO2 薄膜は、上記の通り光伝搬損失が低い上に、屈折
率が相対的に高い(波長 514.5nmに対して1.90〜2.0
5)ので、膜の耐久性も実用上十分であり、実用的価値
が非常に高いと言える。
fO2 薄膜は、上記の通り光伝搬損失が低い上に、屈折
率が相対的に高い(波長 514.5nmに対して1.90〜2.0
5)ので、膜の耐久性も実用上十分であり、実用的価値
が非常に高いと言える。
【0048】<実施例3>次に、本発明の別の実施例に
よる装荷膜が形成された光導波路素子について説明す
る。なおこの光導波路素子は、HfO2 からなる装荷膜
の形成方法が実施例1および2とは異なるものであり、
基板10や光導波路11は前述のものと同様であるので、以
下では図5中の付番を参照して説明する。
よる装荷膜が形成された光導波路素子について説明す
る。なおこの光導波路素子は、HfO2 からなる装荷膜
の形成方法が実施例1および2とは異なるものであり、
基板10や光導波路11は前述のものと同様であるので、以
下では図5中の付番を参照して説明する。
【0049】この実施例3のHfO2 薄膜22は、以下の
ようにして形成されたものである。まず、薄膜光導波路
11が形成された後の基板(5at%のMgOがドープさ
れたLiNbO3 のX板)10を蒸着装置にセットし、ク
ライオポンプにより装置内部を真空度4.0 ×10-6Torrと
なるまで排気した。次いで装置内部にO2 ガス:25sccm
を導入し、排気口のコンダクタンスバルブを絞り、ガス
圧が2.5 ×10-4Torrになるように調整した。この状態で
蒸着材料であるHfO2 ペレットに電子ビームを照射し
て、ペレットの脱ガス処理を十分に行なった後、シャッ
ターを開いて基板10上にHfO2 薄膜22を形成した。こ
の際、基板10を200 ℃に加熱して、膜の緻密化を促進し
た。この間の成膜速度は概ね9nm/min であり、Hf
O2 薄膜22の膜厚は約 600nmとした。
ようにして形成されたものである。まず、薄膜光導波路
11が形成された後の基板(5at%のMgOがドープさ
れたLiNbO3 のX板)10を蒸着装置にセットし、ク
ライオポンプにより装置内部を真空度4.0 ×10-6Torrと
なるまで排気した。次いで装置内部にO2 ガス:25sccm
を導入し、排気口のコンダクタンスバルブを絞り、ガス
圧が2.5 ×10-4Torrになるように調整した。この状態で
蒸着材料であるHfO2 ペレットに電子ビームを照射し
て、ペレットの脱ガス処理を十分に行なった後、シャッ
ターを開いて基板10上にHfO2 薄膜22を形成した。こ
の際、基板10を200 ℃に加熱して、膜の緻密化を促進し
た。この間の成膜速度は概ね9nm/min であり、Hf
O2 薄膜22の膜厚は約 600nmとした。
【0050】上記構成の光導波路素子において、Arレ
ーザーから射出させた波長 514.5nmのレーザービーム
13を、HfO2 薄膜22上に配したプリズムカプラ14によ
り光導波路11に入射させ、そこを導波させた。このと
き、実施例1,2に対するのと同様にして光伝搬損失を
求めたところ、0.5 dB/cmであった。
ーザーから射出させた波長 514.5nmのレーザービーム
13を、HfO2 薄膜22上に配したプリズムカプラ14によ
り光導波路11に入射させ、そこを導波させた。このと
き、実施例1,2に対するのと同様にして光伝搬損失を
求めたところ、0.5 dB/cmであった。
【0051】一方、HfO2 薄膜22を形成する前に、同
様にしてレーザービーム13を光導波路11において導波さ
せ、そのとき上記と同じ方法により求めた光伝搬損失は
0.3dB/cmであった。この光伝搬損失測定の分解能
も0.1 dB/cmであり、それを考慮すると、HfO2
薄膜22による光伝搬損失はほとんど無い(<0.1 dB/
cm)と言える。
様にしてレーザービーム13を光導波路11において導波さ
せ、そのとき上記と同じ方法により求めた光伝搬損失は
0.3dB/cmであった。この光伝搬損失測定の分解能
も0.1 dB/cmであり、それを考慮すると、HfO2
薄膜22による光伝搬損失はほとんど無い(<0.1 dB/
cm)と言える。
【0052】次に、X線回折法によりHfO2 薄膜22の
結晶性を評価した。この場合も、合成石英基板上に実施
例3と同様にしてHfO2 薄膜を形成し、その結晶性を
評価したが、図3に示したのと同様の斜方晶系の微結晶
が観測され、単斜晶系の微結晶は観測されなかった。
結晶性を評価した。この場合も、合成石英基板上に実施
例3と同様にしてHfO2 薄膜を形成し、その結晶性を
評価したが、図3に示したのと同様の斜方晶系の微結晶
が観測され、単斜晶系の微結晶は観測されなかった。
【0053】また、それと併せて、光学顕微鏡により基
板10上のHfO2 薄膜22の内部を観察したが、膜内にマ
イクロクラック(微小亀裂)等の異常が無いことが確認
された。
板10上のHfO2 薄膜22の内部を観察したが、膜内にマ
イクロクラック(微小亀裂)等の異常が無いことが確認
された。
【0054】以上の通り、イオンアシストを行なわない
コンベンショナルな蒸着方法を適用しても、基板を高温
に保ち、適当な酸素アシスト条件で成膜すれば、光伝搬
損失が低いHfO2 薄膜22を形成することができる。
コンベンショナルな蒸着方法を適用しても、基板を高温
に保ち、適当な酸素アシスト条件で成膜すれば、光伝搬
損失が低いHfO2 薄膜22を形成することができる。
【0055】<比較例3>次に、本発明の作用、効果を
確認するための比較例3について説明する。この比較例
3のHfO2 薄膜は、蒸着時に基板10を無加熱とする
(実施例3では200℃に加熱)以外は、すべて実施例3
と同様にしてMgO−LiNbO3 基板上に形成された
ものである。また、この基板も実施例3における基板10
と同じである。
確認するための比較例3について説明する。この比較例
3のHfO2 薄膜は、蒸着時に基板10を無加熱とする
(実施例3では200℃に加熱)以外は、すべて実施例3
と同様にしてMgO−LiNbO3 基板上に形成された
ものである。また、この基板も実施例3における基板10
と同じである。
【0056】この比較例3のHfO2 薄膜が形成された
光導波路素子の光伝搬損失を、上記と同様にして測定し
たところ、4.0 dB/cmであった。この値は、光導波
路単体の光伝搬損失0.3 dB/cm、および実施例3の
光伝搬損失0.5 dB/cmと比べてかなり大きいもので
ある。
光導波路素子の光伝搬損失を、上記と同様にして測定し
たところ、4.0 dB/cmであった。この値は、光導波
路単体の光伝搬損失0.3 dB/cm、および実施例3の
光伝搬損失0.5 dB/cmと比べてかなり大きいもので
ある。
【0057】次に、合成石英基板上に比較例3と同様の
HfO2 薄膜を形成し、その結晶性を評価した。この場
合も、図4に示したのと同様に、斜方晶系の微結晶と単
斜晶系の微結晶の双方が観測された。
HfO2 薄膜を形成し、その結晶性を評価した。この場
合も、図4に示したのと同様に、斜方晶系の微結晶と単
斜晶系の微結晶の双方が観測された。
【0058】また、それと併せて、光学顕微鏡によりこ
の比較例3のHfO2 薄膜の内部を観察したところ、膜
内全面にマイクロクラック(微小亀裂)の発生が認めら
れた。したがってこの比較例3においても、マイクロク
ラックが散乱源として働き、そのために光導波路素子の
光伝搬損失が著しく大きくなるものと考えられる。
の比較例3のHfO2 薄膜の内部を観察したところ、膜
内全面にマイクロクラック(微小亀裂)の発生が認めら
れた。したがってこの比較例3においても、マイクロク
ラックが散乱源として働き、そのために光導波路素子の
光伝搬損失が著しく大きくなるものと考えられる。
【0059】以上、2次元(薄膜)光導波路が形成され
た基板に装荷された実施例について述べたが、本発明の
装荷膜は、3次元光導波路が形成された基板にも適用可
能であり、その場合にも同様の効果が得られる。
た基板に装荷された実施例について述べたが、本発明の
装荷膜は、3次元光導波路が形成された基板にも適用可
能であり、その場合にも同様の効果が得られる。
【図1】本発明の第1実施例の装荷膜を有する光導波路
素子の斜視図
素子の斜視図
【図2】本発明に関わる酸化ハフニウムのP−T(圧力
−温度)状態図
−温度)状態図
【図3】上記第1実施例の装荷膜のX線回折法による結
晶状態を示すグラフ
晶状態を示すグラフ
【図4】本発明に対する比較例の装荷膜のX線回折法に
よる結晶状態を示すグラフ
よる結晶状態を示すグラフ
【図5】本発明の第2実施例の装荷膜を有する光導波路
素子の斜視図
素子の斜視図
10 MgO−LiNbO3 結晶基板
11 光導波路
12、22 HfO2 薄膜
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(56)参考文献 特開 平5−188229(JP,A)
Applied Optics,1993
年,Vol.32 No.28,p.5567−
5574
Jpn.J.Appl.Phys.P
art1,1992年,Vol.31 No.
8,p.2501−2504
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
G02B 6/10 - 6/138
Claims (3)
- 【請求項1】 光導波路が形成された強誘電体結晶基板
に装荷される装荷膜において、主として微結晶の斜方晶
系成分より構成され、単斜晶系成分を含まない酸化ハフ
ニウムの薄膜からなることを特徴とする強誘電体結晶基
板への装荷膜。 - 【請求項2】 請求項1に記載の酸化ハフニウムの薄膜
を、5.0 ×10-3Torrより高いガス圧下でスパッタリング
法により形成することを特徴とする強誘電体結晶基板へ
の装荷膜の形成方法。 - 【請求項3】 請求項1に記載の酸化ハフニウムの薄膜
を蒸着法により形成することを特徴とする強誘電体結晶
基板への装荷膜の形成方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1027094A JP3444949B2 (ja) | 1994-02-01 | 1994-02-01 | 強誘電体結晶基板への装荷膜およびその形成方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1027094A JP3444949B2 (ja) | 1994-02-01 | 1994-02-01 | 強誘電体結晶基板への装荷膜およびその形成方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07218736A JPH07218736A (ja) | 1995-08-18 |
JP3444949B2 true JP3444949B2 (ja) | 2003-09-08 |
Family
ID=11745632
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP1027094A Expired - Fee Related JP3444949B2 (ja) | 1994-02-01 | 1994-02-01 | 強誘電体結晶基板への装荷膜およびその形成方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3444949B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP7061752B2 (ja) * | 2018-08-31 | 2022-05-02 | Tdk株式会社 | 強誘電性薄膜、強誘電性薄膜素子、圧電アクチュエータ、圧電センサ、ヘッドアセンブリ、ヘッドスタックアセンブリ、ハードディスクドライブ、プリンタヘッド、及びインクジェットプリンタ装置 |
-
1994
- 1994-02-01 JP JP1027094A patent/JP3444949B2/ja not_active Expired - Fee Related
Non-Patent Citations (2)
Title |
---|
Applied Optics,1993年,Vol.32 No.28,p.5567−5574 |
Jpn.J.Appl.Phys.Part1,1992年,Vol.31 No.8,p.2501−2504 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH07218736A (ja) | 1995-08-18 |
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