JP3442375B2 - 非晶質軟磁性合金 - Google Patents

非晶質軟磁性合金

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JP3442375B2 JP2001197157A JP2001197157A JP3442375B2 JP 3442375 B2 JP3442375 B2 JP 3442375B2 JP 2001197157 A JP2001197157 A JP 2001197157A JP 2001197157 A JP2001197157 A JP 2001197157A JP 3442375 B2 JP3442375 B2 JP 3442375B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、非晶質軟磁性合金
に関するものであり、特に、ガスアトマイズ法及び水ア
トマイズ法により製造可能な非晶質軟磁性合金に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、TM-Al-Ga-P-C-B-S
i系等(TMはFe、Co、Ni等の遷移金属元素)の組
成からなる合金は、合金溶湯を急冷することにより非晶
質相を形成し、これらは非晶質軟磁性合金を形成するも
のとして知られている。特に、この非晶質軟磁性合金の
うち特定の組成のものは、結晶化の前の温度領域におい
て広い過冷却液体の状態を有し、いわゆる金属ガラス合
金(glassy alloy)を構成するものとして知られている。
この金属ガラス合金は優れた軟磁気特性を示すととも
に、液体急冷法で製造した非晶質軟磁性合金の薄帯に比
べてはるかに厚いバルク状の板厚材を形成することが可
能である。
【0003】ところで、従来から金属ガラス合金は、単
ロール法に例示される液体急冷法等の手段によって製造
するために、合金自体の非晶質形成能がある程度高いこ
とが必要とされている。従って、金属ガラス合金の開発
は、合金の非晶質形成能の向上を主目的とし、この目的
を達成し得る合金組成の探索という視点で進められてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、合金の非晶質
形成能を高くさせ得る組成は、必ずしも軟磁気特性を高
くさせ得る合金組成に一致するものではないので、高飽
和磁化及び軟磁気特性の向上のために更なる改良の余地
が残されている。
【0005】また、金属ガラス合金は、従来から単ロー
ル法等によって製造されており、厚さが数十〜数百μm
程度の薄帯の形態のものが得られている。この薄帯状の
金属ガラス合金をトランスやチョークコイル等の磁気コ
アに適用する場合には、一例として、薄帯を粉砕して粉
体とし、この粉体に樹脂等の結着材を混合し、所定の形
状に固化成形することにより磁気コアを製造している。
ここで得られる粉体は薄帯を粉砕して得られたものであ
るため、薄片状のいびつな形状の粒子が多量に含まれて
おり、そのため磁気コアの成形密度が低く、粉末同士の
絶縁を確保しにくいため、磁気コア自体の磁気特性が劣
化する場合があった。
【0006】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
であって、合金組成を最適化によって、高い飽和磁化を
有すると共に軟磁気特性に優れ、かつ磁気コア等に用い
た場合でも磁気特性の劣化が小さな非晶質軟磁性合金を
提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明は以下の構成を採用した。本発明の非晶質
軟磁性合金は、ΔTx=Tx−Tg(ただしTxは結晶化開
始温度を示し、Tgはガラス遷移温度を示す。)の式で表
される過冷却液体の温度間隔ΔTxが20K以上の非晶
質相を主相とする組織からなり、かつX線回折パターン
がブロードであり、下記の組成式で表され、水アトマイ
ズ法により製造された球状粉からなることを特徴とす
る。 Fe100−x−y−z−w−tAl ただし、XはCr、Mo、Vより選ばれる1種または2
種以上の元素であり、組成比を示すx、y、z、w、t
は、原子%≦x≦10原子%、2原子%≦y≦15原
子%、0原子%<z≦11.5原子%、4原子%≦w≦
10原子%、0原子%≦t≦8原子%、70原子%≦
(100−x−y−z−w−t)≦79原子%、11原子
%≦(y+z+w)≦30原子%である。
【0008】
【0009】更に、本発明の非晶質軟磁性合金は、ΔT
x=Tx−Tg(ただしTxは結晶化開始温度を示し、Tgは
ガラス遷移温度を示す。)の式で表される過冷却液体の
温度間隔ΔTxが20K以上の非晶質相を主相とする組
織からなり、かつX線回折パターンがブロードであり、
下記の組成式で表され、水アトマイズ法により製造され
た球状粉からなることを特徴とする。 Fe100−x−v−z−w−tAl(P1−bSi) ただし、XはCr、Mo、Vより選ばれる1種または2
種の元素であり、組成比を示すb、x、v、z、w、t
は、0.1≦b≦0.28、原子%≦x≦10原子
%、2原子%≦v≦15原子%、0原子%<z≦11.
5原子%、6原子%≦w≦10原子%、0原子%≦t≦
8原子%、70原子%≦(100−x−v−z−w−t)
≦79原子%、11原子%≦(v+z+w)≦30原子%
である。
【0010】
【0011】また、本発明の非晶質軟磁性合金は、先の
いずれかに記載の非晶質軟磁性合金であって、合金の融
点をTmとしたとき、Tg/Tm≧0.57であるととも
に、飽和磁化σsが180×10-6Wb・m/kg以上
であることを特徴とする。
【0012】上記の非晶質軟磁性合金によれば、磁性を
示すFeと、非晶質形成能を有するP、Si、C、Bと
いった半金属元素とを具備しているので、非晶質相を主
相とするとともに優れた軟磁気特性を示す非晶質軟磁性
合金を構成することが可能となり、またAlは非晶質形
成能を高める作用があるので、組織全体が完全に非晶質
相である非晶質軟磁性合金を構成することが可能にな
る。そして、Feの組成比を70原子%以上79原子%
以下とし、Alを0原子%以上10原子%以下とし、
P、C、B、(Si)の合計を11原子%以上30原子%
以下とすることにより、Tg/Tmを0.57以上にする
とともに、飽和磁化σsを180×10−6Wb・m/
kg以上にすることが可能になる。尚、Tg/Tmはいわ
ゆる換算ガラス化温度と呼ばれるもので、非晶質軟磁性
合金の非晶質形成能の程度を示す指標であり、このTg
/Tmが0.57以上と比較的高いので、ガスアトマイ
ズ法等の手段により非晶質相を主相とする組織の合金を
容易に得ることが可能になる。また、CrまたはMo、
Vを添加することにより、非晶質軟磁性合金の耐食性を
向上させることが可能になる。
【0013】また、少なくともFeとP、C、Bとを含
む上記の非晶質軟磁性合金の前記組成比x、y、z、
w、tの好ましい範囲は、0原子%≦x≦6原子%、2
原子%≦y≦15原子%、0原子%<z≦11.5原子
%、6原子%≦w≦10原子%、0原子%≦t≦4原子
%、76原子%≦(100−x−y−z−w−t)≦79
原子%、18原子%≦(y+z+w)≦24原子%の範囲
である。また、少なくともFeとP、C、B、Siとを
含む上記の非晶質軟磁性合金の前記組成比x、v、z、
w、tの好ましい範囲は、0原子%≦x≦6原子%、2
原子%≦v≦15原子%、0原子%<z≦11.5原子
%、6原子%≦w≦10原子%、0原子%≦t≦4原子
%、76原子%≦(100−x−v−z−w−t)≦79
原子%、18原子%≦(v+z+w)≦24原子%の範囲
である。
【0014】そして、上記の好ましい組成の非晶質軟磁
性合金においては、合金の融点をTmとしたとき、Tg/
Tm≧0.57であるとともに、飽和磁化σsが200×
10 -6Wb・m/kg以上であることを特徴とする。
【0015】かかる非晶質軟磁性合金によれば、Feの
組成比を、76原子%以上79原子%以下とし、Alを
0原子%以上6原子%以下とし、P、C、B、(Si)の
合計を18原子%以上24原子%以下とすることによ
り、Tg/Tmを0.57以上にするとともに、飽和磁化
σsを200×10−6Wb・m/kg以上にすること
が可能になる。
【0016】更に、少なくともFeと、P、C、Bとを
含む上記の非晶質軟磁性合金の前記組成比x、y、z、
w、tのより好ましい範囲は、原子%≦x≦5原子
%、2原子%≦y≦15原子%、0原子%<z≦11.
5原子%、6原子%≦w≦10原子%、0原子%≦t≦
3原子%、77原子%≦(100−x−y−z−w−t)
≦79原子%、18原子%≦(y+z+w)≦23原子%
の範囲である。また、少なくともFeと、P、C、B、
Siとを含む上記の非晶質軟磁性合金の前記組成比x、
v、z、w、tのより好ましい範囲は、0原子%≦x≦
5原子%、2原子%≦v≦15原子%、0原子%<z≦
11.5原子%、6原子%≦w≦10原子%、0原子%
≦t≦3原子%、77原子%≦(100−x−v−z−
w−t)≦79原子%、18原子%≦(v+z+w)≦2
3原子%の範囲である。
【0017】また、上記の非晶質軟磁性合金の組成を表
す組成比tは、2原子%≦t≦8原子%の範囲であって
も良く、2原子%≦t≦4原子%の範囲であっても良
く、2原子%≦t≦3原子%の範囲であっても良い。組
成比tが2原子%以上であれば、合金の耐食性をより向
上させることができ、また組成比tが4原子%以下であ
れば磁気特性を向上させることができ、組成比tが3原
子%以下であれば磁気特性をより向上させることができ
る。
【0018】そして、上記のより好ましい組成の非晶質
軟磁性合金においては、合金の融点をTmとしたとき、
Tg/Tm≧0.57であるとともに、飽和磁化σsが2
10×10-6Wb・m/kg以上であることを特徴とす
る。
【0019】かかる非晶質軟磁性合金によれば、Feの
組成比を77原子%以上79原子%以下とし、Alを0
原子%以上5原子%以下とし、P、C、B、(Si)の合
計を18原子%以上23原子%以下とすることにより、
Tg/Tmを0.57以上にするとともに、飽和磁化σs
を210×10−6Wb・m/kg以上にすることが可
能になる。
【0020】上述したように、本発明の非晶質軟磁性合
金は、合金溶湯を水とともに霧状に噴霧させて急冷する
ことにより形成されたものである 合金溶湯を霧状に噴
霧させて急冷することにより、粒状あるいは略球状の粒
子からなる非晶質合金粉末を得ることができ、この粉末
は、薄帯を粉砕して得た粉末と比較していびつな形状の
粒子を含まないので、この粉末を固化成形して成形体と
した場合に成形体の充填密度を高くでき、粉末間の絶縁
が確保しやすくなるので、磁気コア等に加工した場合で
も磁気特性が劣化せず、優れた透磁率及び直流重畳特性
を発現させることができる。また、非晶質軟磁性合金の
非晶質形成能を示すTg/Tmが0.57以上であるの
で、合金溶湯を水により噴霧するだけで非晶質単相組織
の合金を得ることができ、優れた軟磁気特性を発現させ
ることが可能になる。なお、合金溶湯の急冷は、溶湯を
不活性ガスにより噴霧するようにしてもよい。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を詳細
に説明する。本発明の非晶質軟磁性合金は、Feと、
P、C、Bとを少なくとも具備してなり、非晶質相を主
相とする組織からなるものである。また本発明の非晶質
軟磁性合金は、ΔTx=Tx−Tg(ただしTxは結晶化開
始温度、Tgはガラス遷移温度を示す。)の式で表される
過冷却液体の温度間隔ΔTxが20K以上を示すもので
ある。
【0022】従来から非晶質軟磁性合金の1種として、
Fe-Al-Ga-C-P-Si-B系の金属ガラス合金が知
られている。この従来の組成系の金属ガラス合金は、F
eに非晶質形成能を有するAl、Ga、C、P、Si及
びBを添加したものである。この従来の非晶質軟磁性合
金に対して本発明の非晶質軟磁性合金は、Feと、P、
C、BとX(Cr、V、Moより選ばれる1種または2
種以上の元素)とを少なくとも含有し、必要に応じてS
iを添加したものであり、Gaを除去してこのGa置換
でAl及びFeを増量させたものであり、従来から必須
元素と考えられてきたGaを除去しても非晶質相を形成
することが確認され、更には過冷却液体の温度間隔ΔT
xをも発現することが見出された。
【0023】更に本発明の非晶質軟磁性合金は、非晶質
の粉末を作る上で必要な非晶質形成能を十分に維持しつ
つ、従来のFe-Al-Ga-C-P-Si-B系合金よりも
磁気特性を向上させることができ、なおかつ、ガスアト
マイズ法、水アトマイズ法など、様々な粉末形成方法に
耐え得る耐食性を得ることができるものである。
【0024】本発明の非晶質軟磁性合金は、磁性を示す
Feと、非晶質形成能を有するP、C、Bを少なくとも
具備しているので、非晶質相を主相とするとともに優れ
た軟磁気特性を示す。更にP、C、Bに加えてSiを添
加しても良い。またX(Cr、V、Moより選ばれる1
種または2種以上の元素)を添加しても良く、非晶質形
成能を更に向上させるためにAlを添加しても良い。
【0025】この非晶質軟磁性合金は、20K以上の過
冷却液体の温度間隔ΔTxを示す金属ガラス合金であ
り、組成によってはΔTxが30K以上、さらには50
K以上という顕著な温度間隔を有し、これまでの知見か
ら知られる他の合金からは全く予期されないものであ
り、軟磁性についても室温で優れた特性を有しており、
これまでの知見に見られない全く新規なものである。
【0026】本発明の非晶質軟磁性合金は、従来のFe
-Al-Ga-C-P-Si-B系合金よりもFeといった磁
性元素を多く含むために高い飽和磁化を示す。従って本
発明の非晶質軟磁性合金は、従来の金属ガラス合金より
も飽和磁化を格段に向上させることができる。また組織
全体が完全な非晶質相であることから、適度な条件で熱
処理した場合に結晶質相が析出させることなく内部応力
を緩和でき、軟磁気特性をより向上させることができ
る。
【0027】また本発明の非晶質軟磁性合金は、過冷却
液体の温度間隔ΔTxが大きいために、溶融状態から冷
却するとき、広い過冷却液体領域を有し、結晶化するこ
となく温度の低下に伴って、ガラス遷移温度Tgに至っ
て非晶質相を容易に形成する。従って、冷却速度が比較
的遅くても充分に非晶質相を形成することが可能であ
り、例えばガスアトマイズ法のように、合金溶湯を不活
性ガスにより噴霧して急冷する方法によって、非晶質相
組織を主体とする粉末状の合金を得ることができ、実用
性に優れたものとなる。
【0028】上記の非晶質軟磁性合金の一例として、下
記の組成式で表すものを挙げることができる。 Fe100−x−y−z−w−tAl ただし、XはCr、Mo、Vより選ばれる1種または2
種以上の元素であり、組成比を示すx、y、z、w、t
は、原子%≦x≦10原子%、2原子%≦y≦15原
子%、0原子%<z≦11.5原子%、4原子%≦w≦
10原子%、0原子%≦t≦8原子%、70原子%≦
(100−x−y−z−w−t)≦79原子%、11原子
%≦(y+z+w)≦30原子%である。
【0029】
【0030】
【0031】更にまた、上記の非晶質軟磁性合金のその
他の例として、下記の組成式で表すものを挙げることが
できる。 Fe100−x−v−z−w−tAl(P1−bSi) ただし、XはCr、Mo、Vより選ばれる1種または2
種の元素であり、組成比を示すb、x、v、z、w、t
は、0.1≦b≦0.28、原子%≦x≦10原子
%、2原子%≦v≦15原子%、0原子%<z≦11.
5原子%、6原子%≦w≦10原子%、0原子%≦t≦
8原子%、70原子%≦(100−x−v−z−w−t)
≦79原子%、11原子%≦(v+z+w)≦30原子%
である。
【0032】上記の組成の非晶質軟磁性合金は、合金の
融点をTmとしたとき、Tg/Tm≧0.57を示すとと
もに、飽和磁化σsが180×10-6Wb・m/kg以
上を示す。
【0033】また、FeとP、C、Bとを少なくとも含
む上記の非晶質軟磁性合金の好ましい組成範囲は、前記
の組成比のうちのx、y、z、w、tが、原子%≦x
≦6原子%、2原子%≦y≦15原子%、0原子%<z
≦11.5原子%、6原子%≦w≦10原子%、0原子
%≦t≦4原子%、76原子%≦(100−x−y−z
−w−t)≦79原子%、18原子%≦(y+z+w)≦
24原子%となる範囲である。また、FeとP、C、
B、Siとを少なくとも含む上記の非晶質軟磁性合金の
好ましい範囲は、前記の組成比のうちのx、v、z、
w、tが、0原子%≦x≦6原子%、2原子%≦v≦1
5原子%、0原子%<z≦11.5原子%、6原子%≦
w≦10原子%、0原子%≦t≦4原子%、76原子%
≦(100−x−v−z−w−t)≦79原子%、18原
子%≦(v+z+w)≦24原子%となる範囲である。
【0034】上記の好ましい組成範囲の非晶質軟磁性合
金においては、Tg/Tm≧0.57を示すとともに、飽
和磁化σsが200×10-6Wb・m/kg以上を示
す。
【0035】更に、FeとP、C、Bとを少なくとも含
む上記の非晶質軟磁性合金のより好ましい組成範囲は、
前記の組成比のうちのx、y、z、w、tが、原子%
≦x≦5原子%、2原子%≦y≦15原子%、0原子%
<z≦11.5原子%、6原子%≦w≦10原子%、0
原子%≦t≦3原子%、77原子%≦(100−x−y
−z−w−t)≦79原子%、18原子%≦(y+z+
w)≦23原子%となる範囲である。更にまた、Feと
P、C、B、Siとを少なくとも含む上記の非晶質軟磁
性合金のより好ましい組成範囲は、前記の組成比のうち
のx、v、z、w、tが、0原子%≦x≦5原子%、2
原子%≦v≦15原子%、0原子%<z≦11.5原子
%、6原子%≦w≦10原子%、0原子%≦t≦3原子
%、77原子%≦(100−x−v−z−w−t)≦79
原子%、18原子%≦(v+z+w)≦23原子%となる
範囲である。
【0036】上記のより好ましい組成の非晶質軟磁性合
金においては、Tg/Tm≧0.57を示すとともに、飽
和磁化σsが210×10-6Wb・m/kg以上を示
す。
【0037】また、上記の非晶質軟磁性合金を示す組成
比tは、2原子%≦t≦8原子%の範囲であっても良
く、2原子%≦t≦4原子%の範囲であっても良く、2
原子%≦t≦3原子%の範囲であっても良い。
【0038】以下に、本発明の非晶質軟磁性合金の組成
限定理由について説明する。Feは磁性を担う元素であ
って、本発明の非晶質軟磁性合金に必須の元素である
Feの組成比を高くすると、非晶質軟磁性合金の飽和磁
化σsを向上できる。
【0039】Feの組成比は、70原子%以上79原子
%以下であることが好ましく、76原子%以上79原子
%以下であることがより好ましく、77原子%以上79
原子%以下であることが更に好ましい。Feの組成比
70原子%未満では、飽和磁化σsが180×10−6
Wb・m/kg未満に低下してしまうので好ましくな
い。また、組成比が79原子%を越えると、合金の非晶
質形成能の程度を示すTg/Tmが0.57未満になり、
非晶質形成能が低下するので好ましくない。尚、組成比
が76原子%以上であれば合金の飽和磁化σsを200
×10−6Wb・m/kg以上にでき、組成比が77原
子%以上であれば合金の飽和磁化σsを210×10
−6Wb・m/kg以上にできる。
【0040】
【0041】Alは、本発明の非晶質軟磁性合金の非晶
質形成能を向上させるために必要に応じて添加する元素
である。Alの組成比xを0原子%以上10原子%以下
の範囲とすることにより、合金の非晶質形成能を更に向
上させることができる。具体的には、組成比xが0原子
%以上10原子%以下であるときに、合金の非晶質形成
能の程度を示すTg/Tmが0.57以上となり、飽和磁
化σsが180×10-6Wb・m/kg以上にできる。
しかし、AlをFe置換で添加する場合、飽和磁化σs
が低下し、コストも増大するため、Alは必要に応じて
添加するのがよい。またAlは、Feとの間での混合エ
ンタルピーが負であり、Feよりも原子半径が大きく、
更にFeよりも原子半径が小さいP、B、Siとともに
用いることにより、結晶化し難く、非晶質構造が熱的に
安定化した状態となる。Alの組成比xは、0原子%以
上10原子%以下であることが好ましく、0原子%以上
6原子%以下であることがより好ましく、0原子%以上
5原子%以下であることが更に好ましい。組成比xが1
0原子%を越えると、Fe量が相対的に低下して飽和磁
化σsが低下し、またTg/Tmが0.57未満になって
非晶質形成能が低下するので好ましくない。また、Al
を添加する場合、Alの添加効果、即ち、非晶質形成能
と熱的安定性の向上を得るためには、少なくとも1原子
%以上添加することが好ましい。
【0042】また、Feの組成比が76原子%以上であ
り、かつAlの組成比xが0原子%以上6原子%以下の
場合に、合金の飽和磁化σsを200×10−6Wb・
m/kg以上にできる。更に、Feの組成比が77原子
%以上であり、かつAlの組成比xが0原子%以上5原
子%以下の場合に、合金の飽和磁化σsを210×10
−6Wb・m/kg以上にできる。
【0043】C、P、B及びSiは、非晶質形成能を高
める元素であり、FeとAlにこれらの元素を添加して
多元系とすることにより、FeとAlのみの2元系の場
合よりも安定して非晶質相が形成される。特にPはFe
と低温(約1050℃)で共晶組成を持つため、組織の全
体が非晶質相になるとともに過冷却液体の温度間隔ΔT
xが発現しやすくなる。またPとSiを同時に添加する
と、過冷却液体の温度間隔ΔTxがより大きくなって非
晶質形成能が向上し、非晶質単相の組織を得る際の製造
条件を比較的簡易な方向に緩和できる。
【0044】Siを無添加とした場合におけるPの組成
比yは、2原子%以上15原子%以下であることが好ま
しく、5原子%以上15原子%以下であることがより好
ましく、7原子%以上13原子%以下であることが最も
好ましい。Pの組成比yが上記の範囲であれば、過冷却
液体の温度間隔ΔTxが発現して合金の非晶質形成能が
向上する。
【0045】PとSiを同時に添加する場合は、PとS
iの合計量を示す組成比vが2原子%以上15原子%以
下であることが好ましく、8原子%以上15原子%以下
であることがより好ましく、10原子%以上14原子%
以下であることが最も好ましい。PとSiの合計量を示
す組成比vが上記の範囲であれば、過冷却液体の温度間
隔ΔTxが向上し、これにより合金の非晶質形成能が向
上する。
【0046】また、PとSiを同時に添加した場合のS
iとPとの比を表す組成比bは、0.1≦b≦0.28
であることが好ましい。組成比bが0.1未満ではSi
の添加効果が見られないので好ましくなく、組成比bが
0.28を越えるとSiの量が過剰になって過冷却液体
領域ΔTxが消滅するおそれがあるので好ましくない。
PとSiの組成比を示すb、vを上記の範囲とすれば、
過冷却液体の温度間隔ΔTxを向上させ、非晶質単相と
なるバルクの大きさを増大させることができる。
【0047】またBの組成比wは、4原子%以上10原
子%以下であることが好ましく、6原子%以上10原子
%以下であることがより好ましく、6原子%以上9原子
%以下であることが最も好ましい。更にCの組成比z
は、0原子%を越えて11.5原子%以下であることが
好ましく、2原子%以上8原子%以下であることがより
好ましく、2原子%以上5原子%以下であることが最も
好ましい。
【0048】そして、これらの半金属元素C、P、B及
びSiの合計の組成比(y+z+w)または(v+z+w)
は、11原子%以上30原子%以下であることが好まし
く、18原子%以上24原子%以下とすることがより好
ましく、18原子%以上23原子%以下とすることが更
に好ましい。半金属元素の合計の組成比が11原子%未
満であると、非晶質軟磁性合金の非晶質形成能が低下し
て非晶質相単相組織を得ることができないので好ましく
なく、半金属元素の合計の組成比が30原子%を越える
と、特にFeの組成比が相対的に低下し、飽和磁化σs
が低下するので好ましくない。
【0049】また、Feの組成比が76原子%以上のと
きに、半金属元素C、P、B及びSiの合計の組成比
(y+z+w)または(v+z+w)を18原子%以上24
原子%以下とすることにより、合金の飽和磁化σsを2
00×10−6Wb・m/kg以上にできる。更に、
eの組成比が77原子%以上のときに、半金属元素C、
P、B及びSiの合計の組成比(y+z+w)または(v
+z+w)を18原子%以上23原子%以下とすること
により、合金の飽和磁化σsを210×10−6Wb・
m/kg以上にできる。
【0050】また、Crを添加することによって合金の
耐食性が向上する。例えば、水アトマイズ法において、
溶湯が直接水に触れたとき、更には粉末の乾燥工程にお
いて生じる錆の発生を防ぐことができる(目視レベ
ル)。Crの組成比tは、0原子%以上8原子%以下で
あることが好ましい。Crを添加すると合金の耐食性を
高めることができるが、Crの組成比tが8原子%を越
えるとFe濃度が相対的に低下し、磁気特性が低下する
ので好ましくない。また組成比tは、0原子%以上4原
子%以下であることがより好ましく、0原子%以上3原
子%以下であることが更に好ましい。更に組成比tは、
1原子%以上8原子%以下でもよく、1原子%以上4原
子%以下でもよく、1原子%以上3原子%以下でもよ
い。組成比tが2原子%以上であれば合金の耐食性をよ
り向上させることができる。また、組成比tが4原子%
以下であれば飽和磁化σsを向上させることができ、組
成比tが3原子%以下であれば飽和磁化σsをより向上
させることができる。また、同様な効果はCrの他にM
o、Vにもあり、これらの元素を単独で添加するか、M
o、VとMo、CrとV、Cr及びCr、Mo、V等の組
合せで複合添加しても良い。これらの元素のうち、Cr
は耐食性に最も良く効き、Mo,Vは耐食性がCrより
若干劣るものの非晶質形成能が向上するため、必要に応
じてこれらの元素を選択する。また、上記の組成に、G
eが4原子%以下含有されていてもよく、Nb、Mo、
Hf、Ta、W、Zrのうち少なくとも1種以上が0〜
7原子%含有されていてもよい。上記のいずれの場合の
組成においても、本発明においては、過冷却液体の温度
間隔ΔTxは20K以上、組成によっては35K以上が
得られる。また上記の組成で示される元素の他に不可避
的不純物が含まれていても良い。
【0051】本発明に係る非晶質軟磁性合金は、溶製し
てから単ロールもしくは双ロールによる急冷法によっ
て、さらには液中紡糸法や溶液抽出法によって、あるい
はガスアトマイズ法または水アトマイズ法によって、も
しくは射出成形法によって、バルク状、リボン状、線状
体、粉末等の種々の形状として製造される。特に、従来
公知の非晶質軟磁性合金薄帯を粉砕して得られた薄片状
の粒子からなる粉末に対し、本発明では上記のガスアト
マイズ法または水アトマイズ法によって、形状が略球状
の粒子からなる合金粉末を得ることができる。
【0052】ガスアトマイズ法により得られた前記組成
の非晶質軟磁性合金は、室温において磁性を有し、また
熱処理によってより良好な磁性を示す。このため優れた
Softmagnetic特性(軟磁気特性)を有する材料として各種
の応用に有用なものとなる。なお、製造方法について付
言すると、合金の組成、そして製造のための手段と製品
の大きさ、形状等によって、好適な冷却速度が決まる
が、通常は1〜104K/s程度の範囲を目安とするこ
とができる。そして実際には、ガラス相(glassy phase)
に結晶相としてのFe3B、Fe2B、Fe3P等の相が
析出するかどうかを確認することで決めることができ
る。
【0053】上記の非晶質軟磁性合金の製造方法の一例
として、ガスアトマイズ法について説明する。ガスアト
マイズ法は、上述の組成からなる非晶質軟磁性合金の溶
湯を、高圧の不活性ガスとともに不活性ガスで満たされ
たチャンバ内部に霧状に噴霧し、該不活性ガス雰囲気中
で急冷して合金粉末を製造するというものである。
【0054】図1は、ガスアトマイズ法による合金粉末
の製造に好適に用いられる高圧ガス噴霧装置の一例を示
す断面模式図である。この高圧ガス噴霧装置1は、溶湯
るつぼ2と、ガス噴霧器3と、チャンバ4とを主体とし
て構成されている。溶湯るつぼ2の内部には合金溶湯5
が充填されている。また溶湯るつぼ2には加熱手段たる
コイル2aが備えられており、合金溶湯5を加熱して溶
融状態に保つように構成されている。そして、溶湯るつ
ぼ2の底部には溶湯ノズル6が設けられており、合金溶
湯5は溶湯ノズル6からチャンバ4の内部に向けて滴下
されるか、若しくは溶湯るつぼ2内に不活性ガスを加圧
状態で導入して合金溶湯5を溶湯ノズル6から噴出させ
る。
【0055】ガス噴霧器3は溶湯るつぼ2の下側に配設
されている。このガス噴霧器3にはAr、窒素等の不活
性ガスの導入流路7と、この導入流路7の先端部である
ガス噴射ノズル8とが設けられている。不活性ガスは、
図示しない加圧手段によってあらかじめ2〜15MPa
程度に加圧されており、導入流路7によってガス噴射ノ
ズル8まで導かれ、このノズル8からチャンバ4内部へ
ガス流gとなって噴出される。
【0056】チャンバ4の内部には、ガス噴霧器3から
噴出される不活性ガスと同種の不活性ガスが充填されて
いる。チャンバ4内部の圧力は70〜100kPa程度
に保たれており、また温度は室温程度に保たれている。
【0057】合金粉末を製造するには、まず、溶湯るつ
ぼ2に充填された合金溶湯5を溶湯ノズル6からチャン
バ4内に滴下する。同時に、ガス噴霧器3のガス噴射ノ
ズル8から不活性ガスを噴射する。噴射された不活性ガ
スは、ガス流gとなって滴下された溶湯まで達し、噴霧
点pにおいて溶湯に衝突して溶湯を霧化する。霧状にさ
れた合金溶湯はチャンバ4内で急冷凝固し、非晶質相を
主相とする略球状の粒子となってチャンバ4の底部に堆
積する。このようにして合金粉末が得られる。
【0058】合金粉末の粒径は、噴出する不活性ガスの
圧力、溶湯の滴下速度、溶湯ノズル6の内径等により調
整することができ、数μm〜百数十μmの粒径のものを
得ることができる。
【0059】得られた合金粉末は必要に応じて熱処理し
ても良い。熱処理をすることで合金の内部応力が緩和さ
れ、非晶質軟磁性合金の軟磁気特性をより向上できる。
熱処理温度Taは、合金のキュリー温度Tc以上ガラス遷
移温度Tg以下の範囲が好ましい。熱処理温度Taがキュ
リー温度Tc未満であると、熱処理による軟磁気特性向
上の効果が得られないので好ましくない。また熱処理温
度Taがガラス遷移温度Tgを越えると、合金組織中に結
晶質相が析出しやすくなり、軟磁気特性が低下するおそ
れがあるので好ましくない。また熱処理時間は、合金の
内部応力を充分に緩和させるとともに結晶質相の析出の
おそれのない範囲が好ましく、例えば30〜300分の
範囲が好ましい。
【0060】
【実施例】[実施例1:FeAlPCBSi系合金]F
e及びAlと、Fe-C合金、Fe-P合金、B及びSi
を原料としてそれぞれ所定量秤量し、減圧Ar雰囲気下
においてこれらの原料を高周波誘導加熱装置で溶解し、
種々の組成のインゴットを作製した。このインゴットを
図1に示す高圧ガス噴霧装置の溶湯るつぼ内に入れて溶
解し、溶湯るつぼの溶湯ノズルから合金溶湯を滴下する
とともに、図1に示すガス噴霧器からアルゴンガス流を
噴射して合金溶湯を霧状にし、チャンバ内で霧状の合金
溶湯を急冷させることにより、粒径が1〜150μmの
範囲の非晶質軟磁性合金の粉末を得た。
【0061】得られた非晶質軟磁性合金の粉末の組成
は、Fe100−x−rAl(P0.620.1
0.35Si0.13)なる組成(但し、xは1〜5,
7,8原子%、rは18、20〜23、28原子%)で
あった。なお、前記組成式中のrは、P、C、B、Si
の合計の組成比を示すものであり、上述した組成比(v
+z+w)に相当する。上記の各合金のうち、Fe77
Al9.232.27.7Si2.87なる組
成の非晶質軟磁性合金について、X線回折法により結晶
構造の解析を行った。結果を図2に示す。また、Fe
77Al9.232.27.7Si2.87
る組成の合金粉末を走査型電子顕微鏡(SEM)により観
察した。図3にSEM写真を示す。更に、Fe77Al
9.232.27.7Si2.87なる組成の
合金粉末をふるい分けし、DSC測定(Differential sc
anning caloriemetry:示差走査熱量測定)を行い、ガラ
ス遷移温度Tg及び結晶化開始温度Txを測定した。尚、
ふるい分けの範囲は、62〜105μm、25〜62μ
m、25μm以下の3通りの範囲に分けた。また同時
に、単ロール法で製造した同じ組成の合金薄帯について
もDSC測定を行った。これらの結果を図4に示す。
尚、DSC測定の際の昇温速度は0.67K/秒であっ
た。
【0062】また、得られた非晶質軟磁性合金の粉末に
ついて、DSC測定(Differentialscanning caloriemet
ry:示差走査熱量測定)を行い、ガラス遷移温度Tg、結
晶化開始温度Tx、キュリー温度Tc及び融点Tmを測定
するとともに、過冷却液体の温度間隔ΔTx及びTg/T
mを求めた。なお、DSC測定の際の昇温速度は0.6
7K/秒であった。図5にガラス遷移温度Tgの組成依
存性、図6に結晶化開始温度Txの組成依存性、図7に
過冷却液体の温度間隔ΔTxの組成依存性、図8にTg/
Tmの組成依存性、図9にキュリー温度Tcの組成依存性
をそれぞれ示す。
【0063】更に、得られた非晶質軟磁性合金の粉末に
ついて、VSMにより飽和磁化σsを測定し、インピー
ダンスアナライザーによって1kHzにおける透磁率μ
eを測定し、BHループトレーサにより保磁力Hcを測
定した。尚、保磁力Hc及び透磁率μeの測定は、同じ組
成の合金溶湯を単ロール法により急冷することにより製
造した合金薄帯を用いて行った。また、図10に飽和磁
化σsの組成依存性を示し、図11に1kHzにおける
実効透磁率μeの組成依存性を示し、図12に保磁力H
cの組成依存性を示す。
【0064】なお、図5〜図12の三角組成図中のプロ
ットの添え数字は、ガラス遷移温度Tg、結晶化開始温
度Tx、過冷却液体の温度間隔ΔTx、Tg/Tm、キュリ
ー温度Tc、飽和磁化σs、実効透磁率μe、保磁力Hc
の値をそれぞれ示すものである。また、図5〜図12の
三角組成図には、等温線若しくは等値線を記入してお
り、これらの線の近傍に付した数字はこれらの等温線若
しくは等値線の値を示すものである。
【0065】図2から明らかなように、Fe77Al1
9.232.27.7Si2.87なる組成の非晶質軟磁性合金の
粉末のX線回折パターンはブロードなパターンを示して
おり、非晶質相を主体とする組織を有していることがわ
かる。従ってFe、Al、P、C、BおよびSiからな
る合金であっても、非晶質相を主相とする非晶質合金を
形成できることがわかる。また、図3に示すように、得
られた粉末はほぼ球状の粒子から構成されていることが
わかる。図3で見る限り、粒子の粒径は10μm以下か
ら100μm程度の範囲ものが観察される。また、図4
に示すように、ふるい分けにより分別された合金のDS
C曲線は、どの粒径範囲のものでも大きな差はなく、ま
た、単ロール法により得られた合金薄帯と合金粉末との
間にも差は見られない。従って、粒径の違いや製造方法
の違いによっては、熱特性の変化が見られないことがわ
かる。尚、いずれの試料でも、ガラス遷移温度Tgは7
74K(501℃)であり、結晶化開始温度Txは811
K(538℃)であり、ΔTxは37Kであった。
【0066】次に各種の特性と合金組成との関係を見る
と、まず図5よりガラス遷移温度Tgは、Feの組成比
(100−x−r)の増加及び(PCBSi)の組成比rの
減少に伴って低下している。760K以下のTgを示す
領域は、図5中の等温線で示すように、Feが74原子
%以上の範囲、かつ(PCBSi)が21原子%以下の範
囲にある。また図5に示すように、(PCBSi)が18
原子%、かつFeが79原子%以上の範囲でガラス遷移
温度Tgが消失し、金属ガラス合金にならないものがあ
る。
【0067】また図6より結晶化開始温度Txは、Fe
の組成比(100−x−r)の増加に伴って低下してい
る。800K以下のTxを示す領域は、図6中の等温線
で示すように、Feが75原子%以上の範囲、かつ(P
CBSi)の組成比rが21原子%以下の範囲にある。
【0068】また図7に示すように、図5に示すTgの
760Kの等温線と、図6に示すTxの800Kの等温
線とに囲まれた範囲が、ΔTxの40Kの等温線の範囲
にほぼ相当し、この範囲内で過冷却液体の温度間隔ΔT
xが30〜40Kの範囲にある。また、ΔTxはFeの減
少に伴って増加し、Feが73原子%以上で50K以上
のΔTxを示している。
【0069】次に図8に示すTg/Tmの組成依存性は、
どの組成の合金でもTg/Tmが0.55〜0.60を示
しており、特にFeが79原子%以下の範囲でTg/Tm
が0.57以上を示している。Tg/Tmは、いわゆる換
算ガラス化温度と呼ばれ、合金の非晶質形成能の程度を
示す数値であり、数値が高いほど非晶質形成能が大きい
ことを意味する。即ち、Tg/Tmが大きくなるというこ
とは、融点Tmとガラス遷移温度Tgの温度差が小さいこ
とを意味し、遅い冷却速度で非晶質化しやすくなる。よ
って、Feが79原子%以下の範囲の組成の合金は、冷
却速度を低くしても非晶質相が形成されやすく、臨界冷
却速度が小さくなる。そのため、本発明の非晶質軟磁性
合金は非晶質形成能に優れることになる。
【0070】尚、図8と図7を比較すると、Tg/Tm=
0.56以上の領域が、図7に示したΔTxの30K以
上の領域に重複しており、Tg/TmとΔTxとの間に一
定の相関があるものと考えられる。
【0071】次に図9に示すようにキュリー温度Tc
は、Feが72原子%以上の範囲で600K以上を示し
ており、Feが多いほど磁気的な熱的安定性がが向上す
ることがわかる。
【0072】次に、図10に示すように飽和磁化σs
は、Feの組成比(100−x−r)の増加、かつAlの
組成比xの減少とともに高くなることがわかる。特にF
eが70原子%以上かつAlが10原子%以下で飽和磁
化σsが180×10-6Wb・m/kg以上となり、更
にFeが76原子%以上かつAlが6原子%以下で飽和
磁化σsが200×10-6Wb・m/kg以上となり、
更にFeが78原子%以上かつAlが5原子%以下で飽
和磁化σsが210×10-6Wb・m/kg以上とな
り、高い飽和磁化σsを示すことが分かる。
【0073】また図11に示すように、1kHzにおけ
る実効透磁率μeは、Feが77原子%、かつ(PCBS
i)が20〜22原子%のときに26800〜2700
0程度を示している。その他の組成の合金では、組成比
と実効透磁率μeとの間に明確な傾向がみられない。従
って透磁率μeの組成比に対する依存性は比較的小さい
ものと考えられる。また図12に示すように保磁力Hc
は、どの組成でも1.6〜3.0A/mを示し、全体的
に低い値を示しているが、飽和磁化σsやその他の熱特
性のように組成比に対する明確な依存性は見られない。
【0074】以上のことから、Tg、Tx、ΔTx、Tm、
Tg/Tmといった熱特性及び飽和磁化σsについては、
合金の組成比、特にFeの組成比に対する依存性が極め
て高いことが分かる。
【0075】図13は、合金の三角組成図に、Tg/Tm
=0.56,0.57の等値線と、飽和磁化σs=18
0×10-6Wb・m/kgの等値線をそれぞれ記載した
図である。そして、図中斜線部は、飽和磁化σsが18
0×10-6Wb・m/kg以上、かつTg/Tmが0.5
6以上の範囲を示している。この組成範囲は、Feが7
0原子%以上79原子%以下、Alが10原子%以下、
残部が半金属の組成の範囲である。この斜線の組成範囲
であれば、溶湯を不活性ガスとともに噴霧して急冷する
ガスアトマイズ法によって合金を製造した場合でも、組
織の全体が非晶質相であって過冷却液体領域の温度間隔
ΔTxを有し、しかも飽和磁化σsが180×10-6Wb
・m/kg以上の非晶質軟磁性合金を得ることができ
る。
【0076】180×10-6Wb・m/kgは1.3T
に相当する。従って、上記の組成範囲の非晶質軟磁性合
金粉末は、1.3T以上の飽和磁化を有し、この合金粉
末を樹脂とともに固化成形して磁気コアとした場合でも
1.1T程度の飽和磁化を示すものと考えられる。この
飽和磁化の値は、従来のFeAlSi系合金(センダス
ト)に比較しても高い値であり、従って上記組成範囲の
非晶質軟磁性合金は、センダストよりも磁気特性に優れ
ることがわかる。
【0077】[実施例2:FePC(B・Cr(V、M
o))系合金] Feと、Fe-C合金、Fe-P合金、B、Si及びCr
(V、Mo)を原料としてそれぞれ所定量秤量し、減圧
Ar雰囲気下においてこれらの原料を高周波誘導加熱装
置で溶解し、種々の組成のインゴットを作製した。この
インゴットを溶湯るつぼ内に入れて溶解し、溶湯るつぼ
の溶湯ノズルから合金溶湯を滴下するとともに水流を噴
射して滴下中の合金溶湯を霧状にし、この霧状の合金溶
湯を急冷させるいわゆる水アトマイズ法により、粒径が
1〜150μmの範囲の試料1〜22の非晶質軟磁性合
金の粉末を得た。得られた合金粉末について、真空中、
120℃で120分間加熱することにより乾燥を行っ
た。
【0078】各非晶質軟磁性合金の粉末の組成は、表1
に示す通りであった。各合金粉末についてDSC測定を
行い、ガラス遷移温度Tg、結晶化開始温度Tx、キュリ
ー温度Tc及び融点Tmを測定するとともに、過冷却液体
の温度間隔ΔTx及びTg/Tmを求めた。表1に、各合
金粉末のキュリー温度Tc、ガラス遷移温度Tg、結晶化
開始温度Tx、ΔTx及び換算ガラス化温度Tg/Tmを示
す。
【0079】更に、得られた非晶質軟磁性合金の粉末に
ついて、VSMにより飽和磁化σsを測定し、インピー
ダンスアナライザーによって1kHzにおける実効透磁
率μeを測定し、BHループトレーサにより保磁力Hc
を測定し、更に磁歪λsを測定した。尚、保磁力Hc、
透磁率μe及び磁歪λsは、同じ組成の合金溶湯を単ロー
ル法により急冷して製造した合金薄帯を用いて測定し、
また飽和磁化σsは、熱処理前の合金粉末を用いて測定
した。表1に各合金粉末の飽和磁化σs(×1
−6 、保磁力Hc、実効透磁率μe及び磁歪λsを示
す。
【0080】
【表1】
【0081】表1に示す試料2〜6の合金粉末は、Al
を0としたFePCB系またはFePCSi系合金であ
る。また試料7〜20の合金粉末は、Crを添加すると
共にAlを0としたFePCCr(B)系合金である。試
料1は、比較例の合金(FePC系合金)である。表1に
示すように、試料2〜20の非晶質軟磁性合金粉末は、
Alが添加されていないにもかかわらず、ΔTxが20
以上を示しており、金属ガラス合金であることが分か
る。次に試料2〜6を見ると、飽和磁化σsが180×
10−6Wb・m/kgを越えるとともに、実効透磁率
μeが10000を越えており、試料1(比較例)より
優れた磁気特性を示すことが分かる。
【0082】次にCrを添加した試料7〜20では、飽
和磁化σsが試料2〜6よりもやや低くなるものの、実
効透磁率μeはいずれも10000を越えており、特に
試料11のμeは26900と高い値を示している。従
ってCrの組成比が2〜3原子%の範囲では磁気特性が
劣化することなく、Cr無添加のものと比較して遜色の
ない程度の磁気特性を示している。更に試料7〜20
は、急冷直後に外観を観察したところ、製造時に水に触
れたにもかかわらず、Feの腐食による酸化鉄の発生が
認められなかった。このことはCr添加による耐食性向
上の効果が明確に現れていることを示している。一方、
試料2〜6では、急冷直後の外観観察の結果、製造時に
水に触れたことによると思われる腐食が発生し、赤茶色
の酸化鉄が一部生じていることが確認された。ただし試
料2〜6については、酸化鉄の発生がそれほど大量では
なかったため、磁気特性への悪影響が見られなかったも
のと思われる。また、Crに代えてMo、Vを添加した
試料21,22も各磁気特性は良好な値を示しており、
耐食性も良好であった。
【0083】次に、JIS C5028に基づき、塩化
ナトリウムの1級相当品の塩水を各試料に96時間噴霧
し、その外観を観察した結果、Cr若しくはMo、Vを
添加しない試料1〜6に関しては、その外観は著しく変
色し発錆していたのに対し、試料7〜12,14,1
6,17,19〜22はほぼ変色はなく発錆もしていな
かった。またCrを2原子%未満添加した試料13,1
5,18に関しては若干の変色が見られ、これらの試料
は水アトマイズの工程における耐食性は優れているもの
の、長時間の耐環境性はCr若しくはMo、Vを2原子
%以上添加したものより劣っていることが分かった。こ
れにより、Cr、Mo、Vより選ばれる1種または2種
以上の元素からなるXは、優れた耐食性を得るために2
原子%以上添加するのが好ましいことが分かる。
【0084】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明の
非晶質軟磁性合金は、過冷却液体の温度間隔ΔTxが2
0K以上の非晶質相を主相とする組織からなり、下記の
(1)〜()の組成式で表されるものであり、Feの組成
比を70原子%以上79原子%以下とし、Alを0原子
%以上10原子%以下とし、P、C、B、(Si)の合計
を11原子%以上30原子%以下とするので、Tg/Tm
が0.57以上になって非晶質形成能が高くなり、また
飽和磁化σsを180×10−6Wb・m/kg以上に
することができ、これにより優れた軟磁気特性を示す非
晶質合金を構成することができる。ただし、下記XはC
r、Mo、Vより選ばれる1種または2種以上の元素で
ある。 (1)Fe100−x−y−z−w−tAl (2)Fe 100−x−v−z−w−t Al (P 1−b Si )
【0085】また、本発明の非晶質軟磁性合金によれ
ば、上記組成式において、Feの組成比を、76原子%
以上79原子%以下とし、Alを0原子%以上6原子%
以下とし、P、C、B、(Si)の合計を18原子%以上
24原子%以下とするので、Tg/Tmが0.57以上に
なって非晶質形成能が向上し、また飽和磁化σsを20
0×10−6Wb・m/kg以上にすることができ、よ
りすぐれた軟磁気特性を示す非晶質合金を構成すること
ができる。
【0086】更に、本発明の非晶質軟磁性合金によれ
ば、上記組成式において、Fe単独またはFeと元素T
の合計の組成比を、77原子%以上79原子%以下と
し、Alを0原子%以上5原子%以下とし、P、C、
B、(Si)の合計を18原子%以上22原子%以下とす
るので、Tg/Tmが0.57以上になって非晶質形成能
が向上し、また飽和磁化σsを210×10−6Wb・
m/kg以上にすることができ、更にすぐれた軟磁気特
性を示す非晶質合金を構成することができる。
【0087】そして、本発明の非晶質軟磁性合金は、合
金溶湯を霧状に噴霧させて急冷することにより形成され
たものであり、これにより粒状あるいは略球状の粒子か
らなる非晶質合金粉末を得ることができ、この粉末は、
薄帯を粉砕して得た粉末と比較していびつな形状の粒子
を含まないので、反磁界の影響が小さく、磁気コア等に
加工した場合でも軟磁気特性が劣化せず、優れた磁気特
性を発現させることができる。また、非晶質軟磁性合金
の非晶質形成能を示すTg/Tmが0.57以上であるの
で、合金溶湯を噴霧するだけで非晶質相を主相とする組
織の合金を得ることができ、結晶質相が析出することが
なく、優れた軟磁気特性を発現させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態の非晶質軟磁性合金を製造
する際に用いて好適な高圧ガス噴霧装置の構造を示す断
面模式図である。
【図2】 Fe77Al19.232.27.7Si2.87なる
組成の非晶質軟磁性合金粉末のX線回折パターンを示す
図である。
【図3】 Fe77Al19.232.27.7Si2.87なる
組成の非晶質軟磁性合金粉末のSEM写真である。
【図4】 Fe77Al19.232.27.7Si2.87なる
組成の非晶質軟磁性合金粉末のDSC曲線を示す図であ
る。
【図5】 Fe100-x-rAlx(P0.420.10.35Si
0.13)rなる組成の非晶質軟磁性合金粉末のガラス遷移温
度TgのFe、Al及び(PCBSi)組成の依存性を示
す三角組成図である。
【図6】 Fe100-x-rAlx(P0.420.10.35Si
0.13)rなる組成の非晶質軟磁性合金粉末の結晶化開始温
度TxのFe、Al及び(PCBSi)組成の依存性を示
す三角組成図である。
【図7】 Fe100-x-rAlx(P0.420.10.35Si
0.13)rなる組成の非晶質軟磁性合金粉末の過冷却液体の
温度間隔ΔTxのFe、Al及び(PCBSi)組成の依
存性を示す三角組成図である。
【図8】 Fe100-x-rAlx(P0.420.10.35Si
0.13)rなる組成の非晶質軟磁性合金粉末のTg/TmのF
e、Al及び(PCBSi)組成の依存性を示す三角組成
図である。
【図9】 Fe100-x-rAlx(P0.420.10.35Si
0.13)rなる組成の非晶質軟磁性合金粉末のキュリー温度
TcのFe、Al及び(PCBSi)組成の依存性を示す
三角組成図である。
【図10】 Fe100-x-rAlx(P0.420.10.35Si
0.13)rなる組成の非晶質軟磁性合金粉末の飽和磁化σs
のFe、Al及び(PCBSi)組成の依存性を示す三角
組成図である。
【図11】 Fe100-x-rAlx(P0.420.10.35Si
0.13)rなる組成の非晶質軟磁性合金の実効透磁率μeの
Fe、Al及び(PCBSi)組成の依存性を示す三角組
成図である。
【図12】 Fe100-x-rAlx(P0.420.10.35Si
0.13)rなる組成の非晶質軟磁性合金の保磁力HcのF
e、Al及び(PCBSi)組成の依存性を示す三角組成
図である。
【図13】 Fe100-x-rAlx(P0.420.10.35Si
0.13)rなる組成の非晶質軟磁性合金粉末のTg/Tm及び
飽和磁化σsのFe、Al及び(PCBSi)組成の依存
性を示す三角組成図である。
【符号の説明】
1…高圧ガス噴霧装置、2…溶湯るつぼ、3…ガス噴霧
器、4…チャンバ、5…合金溶湯、6…溶湯ノズル、7
…導入流路、8…ガス噴射ノズル、g…ガス流、p…噴
霧点
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉田 昌二 東京都大田区雪谷大塚町1番7号 アル プス電気株式会社内 (72)発明者 水嶋 隆夫 東京都大田区雪谷大塚町1番7号 アル プス電気株式会社内 (56)参考文献 特開 平1−156452(JP,A) 特開 平6−158239(JP,A) 特開 平9−256122(JP,A) 特開 昭63−117406(JP,A) 特開 昭57−185957(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 45/02 H01F 1/153 B22F 9/08

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ΔTx=Tx−Tg(ただしTxは結晶化開
    始温度を示し、Tgはガラス遷移温度を示す。)の式で表
    される過冷却液体の温度間隔ΔTxが20K以上の非晶
    質相を主相とする組織からなり、かつX線回折パターン
    がブロードであり、下記の組成式で表され、水アトマイ
    ズ法により製造された球状粉からなることを特徴とする
    非晶質軟磁性合金。 Fe100−x−y−z−w−tAl ただし、XはCr、Mo、Vより選ばれる1種または2
    種以上の元素であり、組成比を示すx、y、z、w、t
    は、原子%≦x≦10原子%、2原子%≦y≦15原
    子%、0原子%<z≦11.5原子%、4原子%≦w≦
    10原子%、0原子%≦t≦8原子%、70原子%≦
    (100−x−y−z−w−t)≦79原子%、11原子
    %≦(y+z+w)≦30原子%である。
  2. 【請求項2】 ΔTx=Tx−Tg(ただしTxは結晶化開
    始温度を示し、Tgはガラス遷移温度を示す。)の式で表
    される過冷却液体の温度間隔ΔTxが20K以上の非晶
    質相を主相とする組織からなり、かつX線回折パターン
    がブロードであり、下記の組成式で表され、水アトマイ
    ズ法により製造された球状粉からなることを特徴とする
    非晶質軟磁性合金。Fe 100−x−v−z−w−t Al (P 1−b Si ) ただし、XはCr、Mo、Vより選ばれる1種または2
    種の元素であり、組成比を示すb、x、v、z、w、t
    は、0.1≦b≦0.28、0原子%≦x≦10原子
    、2原子%≦v≦15原子%、0原子%<z≦11.
    5原子%、6原子%≦w≦10原子%、0原子%≦t≦
    8原子%、70原子%≦(100−−v−z−w−t)
    ≦79原子%、11原子%≦(v+z+w)≦30原子%
    である。
  3. 【請求項3】 非晶質軟磁性合金の融点をTmとしたと
    き、Tg/Tm≧0.57であるとともに、飽和磁化σs
    が180×10 −6 Wb・m/kg以上であることを特
    徴とする請求項1または請求項2に記載の非晶質軟磁性
    合金。
  4. 【請求項4】 前記組成比のうちのx、y、z、w、t
    が、0原子%≦x≦6原子%、2原子%≦y≦15原子
    %、0原子%<z≦11.5原子%、6原子%≦w≦1
    0原子%、0原子%≦t≦4原子%、76原子%≦(1
    00−x−y −z−w−t)≦79原子%、18原子%
    ≦(y+z+w)≦24原子%の範囲であることを特徴と
    する請求項1に記載の非晶質軟磁性合金。
  5. 【請求項5】 前記組成比のうちのx、v、z、w、t
    が、原子%≦x≦6原子%、2原子%≦≦15原子
    %、0原子%<z≦11.5原子%、6原子%≦w≦1
    0原子%、0原子%≦t≦4原子%、76原子%≦(1
    00−x−−z−w−t)≦79原子%、18原子%
    ≦(+z+w)≦24原子%の範囲であることを特徴と
    する請求項2に記載の非晶質軟磁性合金。
  6. 【請求項6】 非晶質軟磁性合金の融点をTmとしたと
    き、Tg/Tm≧0.57であるとともに、飽和磁化σs
    が200×10 −6 Wb・m/kg以上であることを特
    徴とする請求項4または請求項5に記載の非晶質軟磁性
    合金。
  7. 【請求項7】 前記組成比のうちのx、y、z、w、t
    が、0原子%≦x≦5原子%、2原子%≦y≦15原子
    %、0原子%<z≦11.5原子%、6原子%≦w≦1
    0原子%、0原子%≦t≦3原子%、77原子%≦(1
    00−x−y−z−w−t)≦79原子%、18原子%
    ≦(y+z+w)≦23原子%の範囲であることを特徴と
    する請求項1に記載の非晶質軟磁性合金。
  8. 【請求項8】 前記組成比のうちのx、v、z、w、t
    が、原子%≦x≦5原子%、2原子%≦≦15原子
    %、0原子%<z≦11.5原子%、6原子%≦w≦1
    0原子%、0原子%≦t≦3原子%、77原子%≦(1
    00−x−−z−w−t)≦79原子%、18原子%
    ≦(+z+w)≦23原子%の範囲であることを特徴と
    する請求項2に記載の非晶質軟磁性合金。
  9. 【請求項9】 前記組成比のうちのtが、2原子%≦t
    ≦8原子%の範囲であることを特徴とする請求項1また
    は請求項2に記載の非晶質軟磁性合金。
  10. 【請求項10】 前記組成比のうちのtが、2原子%≦
    t≦4原子%の範囲であることを特徴とする請求項1、
    2、4、5のいずれかに記載の非晶質軟磁性合金。
  11. 【請求項11】 前記組成比のうちのtが、2原子%≦
    t≦3原子%の範囲であることを特徴とする請求項1、
    2、4、5、7、8のいずれかに記載の非晶質軟磁性合
    金。
  12. 【請求項12】 非晶質軟磁性合金の融点をTmとした
    とき、Tg/Tm≧0 .57であるとともに、飽和磁化σ
    sが210×10 −6 Wb・m/kg以上であることを
    特徴とする請求項7、8、11のいずれかに記載の非晶
    質軟磁性合金。
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