JP3438769B2 - プレストレスコンクリートのグラウト充填度診断方法及び装置 - Google Patents

プレストレスコンクリートのグラウト充填度診断方法及び装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンクリート構造
の1様式であるプレストレスコンクリートの内部に骨子
として配置された鋼棒,鋼線等の鋼材の軸方向周囲に当
該鋼材の腐食防止等を目的に充填されるグラウトの充填
度を診断する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のプレストレスコンクリートのグラ
ウト充填度診断技術としては、プレストレスコンクリー
ト内に配置された鋼棒,鋼線等の鋼材の一端近傍におけ
るコンクリート表面に振動センサ(加速度センサ)を取
付けるとともに、当該鋼材の他端近傍におけるコンクリ
ート表面から機械的衝撃を与え、この衝撃によって生じ
た機械的振動を前記センサで検出し、その機械的振動の
レベルから作業員が経験的にグラウトの充填度を診断す
る技術が知られていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記従来
のグラウト充填度診断技術においては、鋼材近傍のコン
クリート表面から機械的衝撃を与えるため、鋼材及びグ
ラウトへの衝撃による振動エネルギーの伝播効率が悪い
上、コンクリート内部のノイズの影響を受け易く、信頼
性の高い診断を行えなかった。また、センサが検出した
機械的振動のレベルのデータを作業員が現場で収集し、
その後収集したデータを経験的に解析してグラウトの充
填度を診断していたので、作業時間を要していた。
【0004】本発明はこのような事情に基づいてなされ
たもので、その目的とするところは、プレストレスコン
クリートにおけるグラウトの充填度を、特別な経験則を
持たない作業員でも即座に高い精度をもって診断するこ
とができるプレストレスコンクリートのグラウト充填度
診断方法及び装置を提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本願請求項1記載の発明
は、プレストレスコンクリート内に骨子として配置され
た鋼材の一端に振動を検出するセンサを直接取付け、こ
のセンサで当該鋼材の他端を直接打撃することで生じる
振動を検出する検出ステップと、この検出ステップで検
出した振動の縦振動波形から固有振動モードの波形を再
現し、この固有振動モードの減衰振動波形から減衰定数
を算出する算出ステップと、この算出ステップで算出し
た減衰定数に基づいて当該鋼材の軸方向周囲に充填され
るグラウトの充填度を診断する診断ステップとから、プ
レストレスコンクリートのグラウト充填度を診断する方
法である。
【0006】ここで、診断ステップは、当該鋼材と同一
形態でグラウト未充填の鋼材における縦振動の減衰定数
を予め設定し、この設定値と算出ステップで算出した当
該鋼材の縦振動の減衰定数とを比較して診断することが
好ましい。
【0007】また、検出ステップは、当該鋼材を打撃す
るエネルギーを検出し、所定の規格内のエネルギーで打
撃されたときの振動を抽出してセンサで検出することが
好ましい。
【0008】本願請求項2記載の発明は、プレストレス
コンクリート内に骨子として配置された鋼材の一端にて
当該鋼材の他端を直接打撃することで生じる振動を直接
検出する振動検出手段と、この振動検出手段により検出
した振動の縦振動波形から固有振動モードの波形を再現
し、その固有振動モードの減衰振動波形から減衰定数を
算出する信号処理手段と、この信号処理手段により算出
した減衰定数に基づいてグラウトの充填度を診断する診
断手段と、この診断手段による診断結果を出力する出力
手段とを備えたプレストレスコンクリートのグラウト充
填度診断装置である。
【0009】このものにおいて、診断手段としては、当
該鋼材と同一形態でグラウト未充填の鋼材における縦振
動の減衰定数を予め設定し、この設定値と信号処理手段
で算出した当該鋼材の縦振動の減衰定数とを比較して診
断する手段が考えられる。
【0010】また、振動検出手段としては、当該鋼材を
打撃するエネルギーを検出し、所定の規格内のエネルギ
ーで打撃されたときの振動を抽出して検出する手段が考
えられる。
【0011】本発明では、既供用のプレストレスコンク
リート構造物の場合、鋼材が配置されたコンクリート部
分をはつり等の作業で剥して鋼材の両端部を露出させた
後、鋼材の他端に衝撃を与える。こうすることにより、
鋼材に縦振動モードの振動を励起させることができる。
鋼材の縦振動は、鋼材の材質,断面及び施工上の張力
(応力)が定まっているなら、鋼材の長さとグラウトの
接触状態のみの関数で表される。鋼材の長さは予めわか
っているので、鋼材に生じる縦振動の減衰定数がグラウ
トの接触状態と一意的に対応する。したがって、鋼材に
生じる縦振動の減衰定数からグラウトの充填度を高精度
に診断できるようになる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施の形態を図
面を用いて説明する。
【0013】図1は本発明に関わるプレストレスコンク
リートのグラウト充填度診断装置の構成図である。はじ
めに、プレストレスコンクリートについて説明する。同
図において、符号1はプレストレスコンクリート構造物
であり、2は上記コンクリート構造物1内に形成された
パイプ状のシースであり、3は上記シース2内に当該プ
レストレスコンクリート構造物1の骨子として配置され
た鋼材である。上記鋼材3は、その両端で定着板4a,
4bによりコンクリート構造物1に支持され、かつ固定
治具(ナット)5a,5bにより一定の張力をかけて締
付固定されている。このものにおいて、上記鋼材3が挿
入されたシース2内には、鋼材3の腐食防止などを目的
にグラウト6が注入され、鋼材3の軸方向周囲を覆うよ
うに充填されている。なお、鋼材3としては、棒状の鋼
棒,線状の鋼線,複数本の鋼線をよった鋼より線などが
用いられる。
【0014】次に、グラウト充填度診断装置について説
明する。この装置は、FFT(高速フーリエ変換)アナ
ライザを用いた診断装置本体7と、前記鋼材3の両端部
にそれぞれ設けられる第1及び第2の振動センサ8a,
8bとを有している。第1の振動センサ8aは前記鋼材
3の一端3aに直接取付けられ、当該鋼材3の他端3b
をハンマ9で軸方向に直接打撃することによって生じる
振動を検出するものである。第2の振動センサ8bは前
記鋼材3の他端3b近傍に取付けられ、やはり上記他端
3bをハンマ9で直接打撃することで生じる振動を検出
する。
【0015】診断装置本体7は、上記第1,第2の振動
センサ8a,8bからのアナログ信号を受信し増幅して
ディジタル信号に変換するセンサ信号入力変換部71、
このセンサ信号入力変換部71で得られるディジタル信
号を処理して、前記第1の振動センサ8aで検出した振
動の縦振動波形から固有振動モードの波形を再現し、そ
の固有振動モードの減衰振動波形から減衰定数を算出す
る信号処理部72、グラウト充填度診断に必要なデータ
を予め記憶したデータベース73、前記信号処理部72
により算出した減衰定数と前記データベース73に記憶
されたデータとを用いてグラウトの充填度を診断する診
断部74、この診断部74での診断結果を記憶する記憶
部75及びその診断結果を表示出力する表示部76とを
有している。そしてこの診断装置本体7は、電源部10
からの電力供給により駆動するものとなっている。ま
た、キーボードなどの入力部11を着脱自在に接続でき
るようになっている。
【0016】ここに、第1のセンサ8aは振動検出手段
を構成し、信号処理部72は信号処理手段を構成し、診
断部74は診断手段を構成し、表示部76は出力手段を
構成する。
【0017】前記データベース73には、図2に示すよ
うに、プレストレスコンクリートに用いられる各種鋼材
別に、材質(鋼棒,鋼線,鋼より線など),径(断面の
直径),(軸方向の)長さ,(施工上の)張力のその鋼
材が有する各要素のデータとともに、基準減衰定数α0
及び係数κを設定記憶したテーブル20が形成されてい
る。因みに、基準減衰定数α0 は対応する鋼材の各要素
(材質,径,長さ,張力)と同一形態でグラウト未充填
の鋼材の固有振動数を算出し、その固有振動数を基に算
出した縦振動の減衰定数である。また、係数κは対応す
る鋼材の施工条件(材質の違いやコンクリート強度の違
いなど)から定まる係数である。なお、このテーブル2
0は予め入力部11を介して必要なデータを入力するこ
とにより作成する。
【0018】図3は前記診断装置本体7の診断アルゴリ
ズムを示す流れ図である。以下、この流れ図を用いて、
グラウト充填度診断方法について説明する。
【0019】先ず、診断前工程として、既供用のプロス
トレスコンクリート構造物1内に配置された鋼材3の軸
方向周囲に充填されるグラウト6の充填度を診断する場
合には、当該鋼材3の両端付近のコンクリート部分をは
つり等の作業で剥して鋼材3の両端部3a,3bを露出
させる。そして、この露出した一方の端部3aに第1の
振動センサ8aを直接取付け、他方の端部3bの近傍に
第2の振動センサ8bを取付ける。また、この被診断体
である鋼材3の材質,径,長さ及び推定される張力によ
って定義された当該鋼材3の種類に関する情報を入力部
11を介して診断装置本体7に入力する。
【0020】以上の前工程を終了したならば、作業員
は、露出した鋼材3の他端3bを軸方向にハンマ9で打
撃する。すると、その打撃によって生じた振動が第1,
第2の振動センサ3bによってそれぞれ検出され、検出
信号がそれぞれセンサ信号入力変換部71に入力され
る。
【0021】ここで、センサ信号入力変換部71は、図
3のP1として第2の振動センサ3b(打撃側センサ)
からのアナログ信号を入力するとその信号レベルを調
べ、P2としてその信号レベルが予め設定された規格範
囲内か否かを判断する。そして、規格範囲内の場合に
は、P3として第1の振動センサ3b(受信側センサ)
からのアナログ信号を取得し、増幅後、ディジタル信号
に変換してメモリで一時記憶する。次に、P4として第
1の振動センサ3bからの信号を所定数取得したか否か
を判断し、取得していない場合にはP1に戻り、第2の
振動センサ3bからの次の信号を入力する。一方、P2
にて第2の振動センサ3bからの信号のレベルが規格範
囲外の場合には、第1の振動センサ3bからの信号を取
得することなくP1に戻り、第2の振動センサ3bから
の次の信号を入力する。
【0022】これにより、センサ信号入力変換部71
は、予め規格化された打撃エネルギーで鋼材3の他端3
bが打撃された際の一端3aに生じた振動を複数回抽出
して検出することになる。
【0023】P4にて第1の振動センサ3bからの信号
を所定数取得したことを判断した場合には、信号処理部
72が作用する。先ず、P5としてメモリで一時記憶し
ている所定回数分の第1の振動センサ3bで検出した振
動波形を平均化する。次に、P6としてその平均化した
振動波形について高速フーリエ順変換を行ってスペクト
ル分布を計算する。次に、P7としてこのスペクトル分
布波形より縦振動成分を抽出したならば、P8としてそ
の抽出した固有振動スペクトル成分について高速フーリ
エ逆変換を行って固有振動波形を再現する。しかる後、
P9として上記固有振動波形の減衰振動波形から振幅包
落線を求め、その包落線のピーク値から順に振幅強度I
n及び時間tnを順次サンプリングする。そしてサンプ
リング後、P10として次の(1)式により、指数関数
近似によって減衰定数αを計算する。なお、この(1)
式において、kは2以上の整数であり、n<kの関係を
有する。
【0024】
【数1】 こうして、被診断体である鋼材3の縦振動の減衰定数α
を算出したならば、次に、診断部74が作用する。先
ず、診断部74は、P11として次の(2)式により診
断に用いる充填パラメータΔGを算出する。なお、この
(2)式において、αは前記信号処理部72で算出され
た鋼材3の縦振動の減衰定数αであり、α0 及びκは、
当該鋼材3と同一形態でグラウト未充填の鋼材の縦振動
の基準減衰定数及び係数であって、この基準減衰定数α
0 及び係数κは、前工程において入力された鋼材3の種
類に関する情報に対応して前記データベース73のテー
ブル20に設定された値である。
【0025】
【数2】 次に、診断部74は算出した充填パラメータΔGの値を
基に、次の(3),(4),(5)式で定義される範囲
により、グラウト6充填状態(Aランク),グラウト6
不完全状態(Bランク),グラウト6未充填状態(Cラ
ンク)の3段階でグラウト充填度が診断される。なお、
この(3),(4),(5)式において、g1,g2は
予め設定されたしきい値であり、g1<g2の関係を有
する。
【0026】 Aランク: ΔG<g1 …(3) Bランク:g1<ΔG<g2 …(4) Cランク:g2<ΔG …(5) こうして、グラウト充填度の診断を完了したならば、診
断部74は、P13としてその診断結果(被診断体であ
る鋼材3の種類,診断ランクなど)を記憶部75に記憶
し保存するとともに、表示部76に表示させて作業者に
告知する。以上で、グラウト充填度の診断を完了する。
【0027】このように本実施の形態においては、プレ
ストレスコンクリート構造物1の内部に配置された鋼
棒,鋼線等からなる鋼材3の両端を露出させ、その一端
3aに第1の振動センサ8aを直接取付ける。またこの
鋼材3の材質,径,長さ及び施工上の張力が予めわかっ
ているので、これらの要素によって定義される当該鋼材
3の種類の情報を入力部11を介して診断装置本体7に
入力する。しかる後、他端3bをハンマ9で軸方向に複
数回打撃する。
【0028】これにより、鋼材3に縦振動モードの振動
が励起され、この振動が第1の振動センサ8aによって
検出される。縦振動モードの振動は鋼材3の断面に依存
しないので、鋼材3の材質及び施工上の張力(応力)が
定まっているならば、鋼材3の縦振動は鋼材3の長さと
グラウトの接触状態のみの関数で表される。鋼材3の長
さは予めわかっているので、鋼材3に生じる縦振動の減
衰定数はグラウトの接触状態と一意的に対応する。
【0029】そこで本実施の形態では、第1の振動セン
サ3aで検出した振動波形について高速フーリエ順変換
の処理によりスペクトル分布が計算される。次いで、縦
振動モードの固有振動スペクトル成分が抽出され、高速
フーリエ逆変換の処理により固有振動波形が再現され
る。そしてこの固有振動波形の減衰振動波形から振幅包
落線が求められ、その複素包絡線から縦振動の減衰定数
が算出される。そしてこの減衰定数に基づいて当該鋼材
3のシース2内に充填されるグラウト6の充填度がA
(グラウト充填状態),B(グラウト不完全状態),C
(グラウト未充填状態)の3ランクで診断され、その診
断結果が記憶部75に記憶保持されるとともに、表示部
76に表示される。
【0030】したがって、作業員は被診断体としての鋼
材3の種類さえ特定できれば、その鋼材3のシース内に
充填されるグラウト6の充填度を診断することができ
る。この場合において、鋼材3に対して直接インパルス
打撃を与えるばかりか、そのときに鋼材3に生じた振動
を振動センサ3aが直接検出しているので、振動エネル
ギーの伝播効率が良好な上、コンクリート内部のノイズ
の影響を受けにくく、精度のよい診断を行うことができ
る。また、診断を行う上で作業員の経験則が不要であ
り、即座にその場でグラウトの充填度診断ができる。
【0031】また、本実施の形態では、インパルス打撃
を与える鋼材3の他端近傍にも第2の振動センサ3bを
設け、この第2の振動センサ3bによって当該鋼材3を
打撃するエネルギーを検出し、所定の規格内のエネルギ
ーで打撃されたときの振動のみを抽出して第2の振動セ
ンサ3aで検出している。しかも、この規格内の打撃が
行われたときの振動を複数回検出し、各振動波形を平均
化した波形から固有振動モードの波形を再現している。
したがって、より信頼性の高い診断を行うことができ
る。
【0032】図4はグラウト未充填状態(Cランク)の
鋼材3を診断した場合の検出波形S1(図3P5の処理
で得た波形),スペクトル分布波形S2(図3P6の処
理で得た波形)及び固有振動波形S3(図3P8の処理
で得た波形)を示しており、図5はグラウト充填状態
(Aランク)の鋼材3を診断した場合の同様な波形S
1,S2,S3を示している。図示するように、グラウ
ト未充填状態の鋼材3は固有振動波形S3の減衰振動波
形は時間に伴って緩やかに減衰するのに対し、グラウト
充填状態の鋼材3は時間に伴って急激に減衰し、減衰定
数αはグラウト未充填状態のものと比べて大きい値をと
る。
【0033】図6は32mmφ×450mm長の鋼棒を供試
体として用いてグラウト充填度を変えたときの減衰定数
αの分布を示す。なお、コンクリート供試体は150×
150平方ミリメートル断面×450mm長とした。ま
た、図中“白丸”は供試体を吸音材(スポンジ)に載せ
て試験をした場合であり、図中“黒丸”は供試体を実験
室の床において試験をした場合である。
【0034】資料番号1〜5はグラウト充填度がAラン
ク(グラウト充填状態)のものであり、資料番号6〜9
はBランク(グラウト不完全状態)のものであり、資料
番号10〜15はCランク(グラウト未充填状態)のも
のである。図からわかるように、減衰定数αは供試体の
外部状態に余り影響されず、A及びBランクで0.15
〜0.33(1/S)程度の値をとり、Cランクの減衰
定数αは0.03〜0.14(1/S)程度の値をと
る。
【0035】一方、図7は26/32mmφ×1200mm
長の鋼棒を供試体として用いてグラウト充填度を変えた
ときの減衰定数αの分布を示す。なお、コンクリート供
試体は520mm高さ×1340mm幅×1050mm長の直
方体とした。また、図中“白丸”は第1の振動センサ3
aによって測定される振動波形を単発で受信した場合で
あり、図中“黒丸”は第1の振動センサ3aによって測
定される振動波形を10回受信し平均化処理をした場合
である。
【0036】資料番号1〜4はグラウト充填度がAラン
ク(グラウト充填状態)のものであり、資料番号5〜9
はCランク(グラウト未充填状態)のものである。図か
らわかるように、減衰定数αは、平均化処理をしない場
合はAランクで0.17〜0.29(1/S)、Cラン
クで0.13〜0.16(1/S)の値をとり、平均化
処理をした場合はAランクで0.20〜0.22(1/
S)、Cランクで0.14〜0.16(1/S)の値を
とる。したがって、平均化処理をした方が減衰定数の範
囲が狭くなるので、精度が高くなる。
【0037】なお、前記一実施の形態では、グラウト充
填度を3段階で診断したが、しきい値の設定如何により
2段階若しくは4段階以上で診断することも可能であ
る。また、診断結果の出力手段は表示に限定されるもの
ではなく、例えば媒体への記録により出力してもよい。
【0038】また、鋼材3の種類を入力するのでなく、
要素(材質,径,長さ,張力)を入力し、診断装置本体
7においてこれらの入力要素からテーブル20を参照し
て最も類似した鋼材種類を自動的に判別し、その基準減
衰定数α0 及び係数κを決定して診断するようにしても
よい。
【0039】
【発明の効果】本発明によれば、プレストレスコンクリ
ートにおけるグラウトの充填度を、特別な経験則を持た
ない作業員でも即座に高い精度をもって診断することが
できるプレストレスコンクリートのグラウト充填度診断
方法及び装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態の構成図。
【図2】 図1のデータベースに記憶するテーブルの構
成図。
【図3】 同実施の形態の診断アルゴリズムを示す流れ
図。
【図4】 グラウト未充填状態の鋼材診断時の要部信号
波形図。
【図5】 グラウト充填状態の鋼材診断時の要部信号波
形図。
【図6】 供試体による実験での減衰定数の分布図。
【図7】 別の供試体による実験での減衰定数の分布
図。
【符号の説明】
1…プロストレスコンクリート構造物 2…シース 3…鋼材 6…グラウト 7…診断装置本体 8a,8b…第1,第2の振動センサ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 奥山 暁人 東京都台東区元浅草三丁目18番10号 ア イレック技建株式会社内 (56)参考文献 特開 平10−123105(JP,A) 特開 平10−54140(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 29/00 - 29/28 E04B 1/22

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プレストレスコンクリート内に骨子とし
    て配置された鋼材の軸方向周囲に充填されるグラウトの
    充填度を診断する方法であって、 前記鋼材の一端に振動を検出するセンサを直接取付け、
    このセンサで当該鋼材の他端を直接打撃することで生じ
    る振動を検出し、この検出した振動の縦振動波形から固
    有振動モードの波形を再現し、この固有振動モードの減
    衰振動波形から減衰定数を算出し、この減衰定数に基づ
    いて前記グラウトの充填度を診断するようにしたことを
    特徴とするプレストレスコンクリートのグラウト充填度
    診断方法。
  2. 【請求項2】 プレストレスコンクリート内に骨子とし
    て配置された鋼材の軸方向周囲に充填されるグラウトの
    充填度を診断する装置であって、 前記鋼材の一端にて当該鋼材の他端を直接打撃すること
    で生じる振動を直接検出する振動検出手段と、 この振動検出手段により検出した振動の縦振動波形から
    固有振動モードの波形を再現し、その固有振動モードの
    減衰振動波形から減衰定数を算出する信号処理手段と、 この信号処理手段により算出した減衰定数に基づいて前
    記グラウトの充填度を診断する診断手段と、 この診断手段による診断結果を出力する出力手段と、を
    具備したことを特徴とするプレストレスコンクリートの
    グラウト充填度診断装置。
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Cited By (3)

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