JPH0765954B2 - 計装化シャルピー試験機を用いた動的特性測定装置 - Google Patents

計装化シャルピー試験機を用いた動的特性測定装置

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JPH0765954B2
JPH0765954B2 JP61259303A JP25930386A JPH0765954B2 JP H0765954 B2 JPH0765954 B2 JP H0765954B2 JP 61259303 A JP61259303 A JP 61259303A JP 25930386 A JP25930386 A JP 25930386A JP H0765954 B2 JPH0765954 B2 JP H0765954B2
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俊郎 小林
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ジャパンセンサー株式会社
株式会社トーシエンヂニアリング
伊藤 恒男
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Description

【発明の詳細な説明】 発明の目的 (産業上の利用分野) 本発明は動的特性測定装置に係り、詳しくは金属材料、
合成樹脂材料、無機材料、複合材料等の各種材料の動的
特性値を計装化シャルピー試験等の計装化衝撃試験から
測定するための装置に関するものである。
(従来の技術及び発明が解決しようとする問題点) シャルピー衝撃試験は、古くから金属材料の靭性評価手
法として普及し、金属材料の強靭性の研究に貢献してき
たが、あくまで経験法としての立場しか与えられていな
かった。このため、靭性値の定量的な評価に必要な荷重
−変位(打撃点の変位をいう。本明細書において同
じ。)曲線を記録できるように計装化する試みが行われ
るようになった。
材料及び機器・構造物の設計に破壊力学が取入れられる
ようになると、衝撃荷重下での破壊靭性値の評価が切望
されるようになり、最も簡便なシャルピー試験に注目が
集った。しかし、この方法で動的な破壊靭性値を有効に
評価するには、試験片寸法、衝撃に伴う振動波や応力波
の干渉、得られる値の正当性の判定基準等に大きな問題
があり、ASTM(米国材料試験協会)E24委員会でもスク
リーニング試験法として現在の所見をなしているにすぎ
ず、しかも線形破壊力学が成立する範囲での検討しか行
われていない。
また、例えば特公昭58−19979号公報や特開昭60−97237
号公報に見られるように、シャルピー試験機を計装化す
る試みもあるが、それらは荷重の検出についてだけの計
装化であり、試験片の変位の検出について計装化された
ものではなかった。そして、変位については時間から換
算しようとするものであった。しかし、実際の時間とは
完全に比例するものではなく、他に諸要因もあって、そ
の換算には誤差が避けられないものである。特に動的弾
塑性靭性値Jdやき裂の進展抵抗値Tmat(テアリングモジ
ュラス)を求めようとする場合には、試験片の変位を正
確に検出することが必須となる。また、荷重に重畳する
振動波の影響も適切に除去することも必須となる。
このような背景下で、本発明は計装化衝撃試験法をより
積極的発展させる目的でなされたものであって、単に荷
重−変位曲線を記録するだけでなく、その後の解析処理
を効率的に遂行し、さらに最近の弾塑性破壊力学基準に
基づく靭性評価の解析をより迅速かつ精度よく行うこと
もできる新しい動的特性測定装置を提供するものであ
る。
発明の構成 (問題点を解決するための手段) そこで第1の発明ではシャルピー試験機と、前記シャル
ピー試験機のハンマーと打撃部に設けられ、シャルピー
衝撃試験時に試験片に加わる荷重を検出する荷重検出器
と、前記荷重検出器によって得られた荷重信号を2〜8
μsの範囲で任意に設定した周囲でサンプリングしディ
ジタルの荷重データに変換する荷重用ADコンバータと、
前記荷重データを記憶する荷重用メモリ装置と、前記シ
ャルピー試験機のハンマーの回転軸に設けられ、シャル
ピー衝撃試験時に試験片の曲げによる変位を検出する変
位検出器と、前記変位検出器によって得られた変位信号
を2〜8μsの範囲で任意に設定した周期でサンプリン
グしディジタルの変位データに変換する変位用ADコンバ
ータと、前記変位データを記憶する変位用メモリ装置
と、次の処理(イ)(ロ)(ハ)を行う演算装置と、 (イ)前記荷重用メモリ装置に記憶された荷重データに
移動平行法を行い、過度の修正にならないよう前記荷重
信号に重畳した振動波を消去する。
(ロ)前記振動波消去後の荷重データと前記変位用メモ
リ装置に記憶された変位データとによる荷重−変位曲線
から、コンプライアンス変化率を各変位データに対して
計算していき、同コンプライアンス変化率の急変点を試
験片のき裂発生点とする。
(ハ)前記荷重−変位曲線から、前記き裂発生点までに
試験片に吸収されたエネルギを計算し、同エネルギに基
づいて動的弾塑性靭性値Jdを求める。
を備える構成とした。
また、第2の発明ではシャルピー試験機と、前記シャル
ピー試験機のハンマーの打撃部に設けられ、シャルピー
衝撃試験時に試験片に加わる荷重を検出する荷重検出器
と前記荷重検出器によって得られた荷重信号を2〜8μ
sの範囲で任意に設定した周期でサンプリングしディジ
ルの荷重データ変換する荷重用ADコンバータと、前記荷
重データを記憶する荷重用メモリ装置と、前記シャルピ
ー試験機のハンマーの回転軸に設けられ、シャルピー衝
撃試験時に試験片の曲げによる変位を検出する変位検出
器と、前記変位検出器によって得られた変位信号を2〜
8μsの範囲で任意に設定した周期でサンプリングしデ
ィジタルの変位データに変換する変位用ADコンバータ
と、前記変位データを記憶する変位用メモリ装置と、次
の処理(ニ)(ホ)(ヘ)(ト)を行う演算装置と、 (ニ)前記荷重用メモリ装置に記憶された荷重データに
移動平均法を行い、過度の修正にならないよう前記荷重
信号に重畳した振動波を消去する。
(ホ)前記振動波消去後の荷重データと前記変位用メモ
リ装置に記憶された変位データとによる荷重−変位曲線
において、同曲線の立上がり直線部から各荷重点に至る
塑性変位成分を求め、荷重−塑性変位成分曲線を作成す
る。
(ヘ)前記荷重−塑性変位成分曲線において、同曲線の
立上がり部から最大荷重点までの範囲についてキーカー
ブ近似を行い、各塑性変位成分点におけるき裂進展量を
求めるとともに、各塑性変位成分点までに試験片に吸収
されたエネルギを計算し、同エネルギから弾塑性破壊靭
性値Jdを求め、弾塑性破壊靭性値−き裂進展量曲線を作
成する。
(ト)前記弾塑性破壊靭性値−き裂進展量曲線の各き裂
進展量位置における傾きを求め、同傾きに基づいてテア
リングモジュラスTmatを求める。
を備える構成とした。
前記記憶装置としてはRAMを使用したディデタルメモリ
装置、フロッピーディスク装置を用いた外部記憶装置等
を例示することができ、前記演算装置としては専用のワ
ーキングメモリを備えたマイクロコンピュータ、汎用の
パーソナルコンピュータ等を例示することができる。
(作用) 第1の発明ではシャルピー試験機のハンマーの打撃部に
設けられた荷重検出器により試験片に加わる荷重を検出
し、また同ハンマーの回転軸に設けられた変位検出器に
より試験片の変位を検出する。そして、それら検出され
た信号を2〜8μsの範囲でサプリングしてそれぞれAD
コンバータによりデジタルの荷重データと変位データに
変換する。そして両データをそれぞれ荷重用メモリ装置
と変位用メモリ装置に記憶させる。そして、両メモリ装
置に記憶させた両データに基づいて演算装置により次の
ような処理を行って動的弾塑性破壊靭性値Jdを求めるよ
うにする。すなわち、記憶された荷重データを移動平均
法により過度の修正とならないように重畳した振動波を
消去し、精度が向上した荷重データと変位データにより
荷重−変位曲線を作成してコンプライアンス変化率を計
算する。コンプライアンス変化率が急に変化する位置を
き裂発生点とし、き裂発生点までに試験片に吸収された
エネルギを計算する。
第2の発明では第1の発明と同様して荷重データと変位
データを得て両データをそれぞれ荷重用メモリ装置と変
位用メモリ装置に記憶させる。そして、両メモリ装置に
記憶させた両データに基づいて演算装置により次のよう
な処理を行ってテアリングモジュラスTmatを得るように
する。すなわち、記憶された荷重データを移動平均法に
より過度の修正とならないように重畳した振動波を消去
し、精度が向上した荷重データと変位データにより荷重
−変位曲線を作成する。そして同曲線の立ち上がり直線
部から各荷重点に至る塑性変位成分を求めて荷重−塑性
変位曲線を作成する。同荷重−塑性変位曲線について曲
線の立ち上がり部から最大荷重点までのキーカーブ近似
を行って塑性変位成分点におけるき裂進展量を求め、か
つ塑性変位成分点までに試験片に吸収されたエネルギを
計算し同エネルギから弾塑性破壊靭性値Jdを求め弾塑性
破壊靭性値−き裂進展量曲線を作成する。そして、弾塑
性破壊靭性値−き裂進展量曲線の各き裂進展量位置にお
ける傾きを求める。
(実施例) 以下、本発明を具体化した一実施例を図面に従って説明
する。
本実施例の動的特性測定装置は、従来より存在する計装
化シャルピー試験機に接続されるものであるから、まず
計装化シャルピー試験機の概要を説明した後に、本動的
特性測定装置について詳細に説明することとする。
[計装化シャルピー試験機] 本実施例の計装化シャルピー試験機1の本体1a(容量49
0J)は、第2図に示すように、試験室の床に固定された
基体2、同基体2の下部に設けられた試験片3支持用の
アンビル4、同基体2の上端に回動可能に軸着されたハ
ンマ5等から構成されている。
基体2の上部とハンマ5の基部には、同ハンマ5を任意
の持上角に支持する支持機構7と、その持上レバー8及
び解除レバー9とが設けられ、このハンマ持上角を変え
ることによりハンマ5の打撃部6が試験片3に当たると
きの衝撃速度を0〜5.1m/sの範囲で任意に設定しうるよ
うになつている。
また、前記アンビル4はその構成部品を取り替えること
によって、種々の寸法の試験片3に対応することができ
るよう構成されている。
さらに、第3図に示すように、同アンビル4には後述す
るストップブロック試験法によって材料のき裂発生点と
動的弾塑性破壊靭性値を求めるためのストップブロック
装置11が着脱可能に装着される。同ストップブロック装
置11は試験片3の載置部12、試験片3の両端を支持する
取替可能のブロック13、ハンマ5の打撃部6が当たるハ
ンマ停止部14等から構成されている。
従って、種々の厚さのブロック13を取替えながら同スト
ップブロック装置11を用いれば、ハンマ5の打撃部6に
よって試験片3が0〜10mmの所定値まで変位したとき
に、同打撃部6はハンマ停止部14に当たって強制的に停
止する。このようにして試験片3の変位を中断させるこ
とにより、試験片3におけるき裂進展量を任意に変化さ
せ、き裂発生点を正確に求めることができる。なお、ス
トップブロック装置11は高硬度の工具鋼で形成され、少
なくともハンマ停止部14には表面焼入れが施されてい
る。
上記計装化シャルピー試験機1の本体は次のように計装
化されている。
ハンマ5の回転軸には同ハンマ5の回転角から試験片3
の変位を求めるための皮膜ポテンショメータ21が装着さ
れている。同皮膜ポテンショメータ21は感度及び精度を
上げるためにブリッジ回路に組まれており、同ブリッジ
回路の出力は基体2に設けられた変位出力端子22に接続
されている。
一方、ハンマ5の打撃部6の側面には同打撃部6の弾性
変形から試験片3に負荷される荷重を求めるための4枚
の半導体歪ゲージ23が貼着されている。これらの半導体
歪ゲージ23のうち2枚はその測定方向が打撃部6の前後
方向に貼着されてアクティブゲージ23aとして働き、他
の2枚はその測定方向が打撃部6の垂直方向に貼着され
てダミーゲージ23bとして働くようになっている。ま
た、これらの半導体歪ゲージ23もブリッジ回路に組ま
れ、同ブリッジ回路の出力は基体2に設けられた荷重出
力端子24に接続されている。
[動的特性測定装置] 本実施例の動的特性測定装置31は、移動可能なラック
32内に組み込まれた荷重用調整装置33、荷重用ディジタ
ルメモリ装置34、変位用調整装置35、変位用ディジタル
メモリ装置36及び第1演算装置としてのマイクロコンピ
ュータ37と、前記ラック32外に設けられた第2演算装
置としてのパーソナルコンピュータ38及び外部記憶装置
39と、外部表示装置その他の付属装置とから構成され
ている。以下、これらを順に詳述する。
前記荷重出力端子24には接続コード41を介して荷重用調
整装置33が接続され、同荷重用調整装置33は荷重信号の
零点設定及びキャリブレーションを行いうる図示しない
平衡回路を備えている。同荷重用調整装置33の出力には
荷重信号をディジタルデータに変換して記憶する荷重用
ディジタルメモリ装置34が接続されている。同荷重用デ
ィジタルメモリ装置34は、荷重信号を2〜999μsの範
囲で任意に設定しうる周期でサンプリングして12ビット
の荷重データに量子化するADコンバータ42と、同ADコン
バータ42に接続された記憶容量1024ワード×10チャンネ
ルのRAM(ランダム・アクセス・メモリ)43とから構成
されている。
従って、同荷重用ディジタルメモリ装置34はRAM43のチ
ャンネルを切り替えることによって、10本の試験片3に
おける荷重デーダを順に記憶することができる。
一方、前記変位出力端子22には接続コード44を介して変
位用調整装置35が接続され、同変位用調整装置35は変位
信号の零点設定及びキャリブレーションを行いうる図示
しない平衡回路と、ハンマ5の打撃部6が試験片3に近
接したときにトリガ信号を発生して前記荷重用ディジタ
ルメモリ装置34と次の変位用ディジタルメモリ装置36の
各記憶機能を開始させる図示しないトリガ回路とを備え
ている。同変位用調整装置35には、前記荷重用ディジタ
ルメモリ装置34と同様のADコンバータ45及びRAM46から
なる変位用ディジタルメモリ装置36が接続されている。
なお、両調整装置33,35の出力にはオシロスコープ47が
接続され、試験片破壊時の荷重−変位曲線を写真撮影す
ることができるようになっている。
次いで、荷重用ディジタルメモリ装置34及び変位用ディ
ジタルメモリ装置36にはCPUを専用のワーキングメモリ
とともに備えた第1演算装置としてのマイクロコンピュ
ータ37が接続され、同マイクロコンピュータ37は次の機
能〜を備えるようプログラミングされている。
荷重信号に重畳する振動波の消去 計装化シャルピー試験での荷重信号には、材料の真の破
壊に関係しない振動波が重畳するため、これを消去する
必要がある。ここでは、従来のアナログフィルタに比べ
て、精度あるいは多重演算などを行う上で優れている移
動平均法を採用して、振動波の消去を行うようプログラ
ミングされている。本手法では、サンプル値系列Xnの細
かい周期変動を消去するために、サンプル値の順番をず
らせながら一定の移動平均個数mずつ平均していく。す
なわち、移動平均をYnとすると、次式で表わされる。
カットオフ周波数fcはサンプリング周波数fs及び移動平
均個数mの影響を受け、次式で示される。
fc=0.443fs/m …(2) このことから、本マイクロコンピュータ37ではm値を変
化させ、過度の修正にならないようにその都度結果を判
定しながら、多重にフィルタリングを行なうようにして
ある。
最大荷重Pm及び降伏荷重Pyの決定 このようにして修正されたデータから、第4,5図に示す
ような流れにより最大荷重Pm及び降伏荷重Pyを決定す
る。
まず、最大荷重Pmは、荷重データ中の最大値を検索し
て、これをセーブする。
次に、降伏荷重Pyは、2番目の振動波の立上がり点から
検索を開始し、まず17ワードごとの平均勾配を求め、同
平均勾配の急変する点を求める。さらに、平均区間を5
ワードに縮めて同様の操作を行い、降伏荷重Pyとする。
このように、2番目の振動波の立上がりからデータの検
索を開始しているのは、アンビル4への試験片3の設置
等が不適当であるような場合に、慣性荷重によって最初
の振動波が大きく現われるため、これを無視することを
目的としているためである。なお、第4,5図におけるA,
B,C,D,xは説明の便宜上の記号である。
公称き裂発生エネルギEi及び公称き裂伝播エネルギEp
の計算 次に、荷重−変位データから荷重−変位曲線における最
大荷重Pmまでの積分値を計算して公称き裂発生エネルギ
Eiとし、同じく最大荷重Pm以後の積分値を計算して公称
き裂伝播エネルギEpとする積分計算プログラムが設けら
れている。
マイクロコンピュータ37のプログラミングは、以上の通
りである。
なお、前記マイクロコンピュータ37には図示しないイン
ターフェイスを介して、最大荷重Pm、降伏荷重Py、公称
き裂発生エネルギEi及び公称き裂伝播エネルギEpを印字
する印字装置48と、記憶された荷重−変位データから荷
重−変位曲線を表示するオシロスコープ49と、同じくX
−Yレコーダ50とが接続されている。
続いて、前記マイクロコンピュータ37及び両デイジタル
メモリ装置34,36には、ビットシリアル方式のインター
フェイスを介して第2演算装置としての汎用のパーソナ
ルコンピュータ38が接続され、同パーソナルコンピュー
タ38に接続された外部記憶装置39としてのフロッピーデ
ィスク装置は両ディジタルメモリ装置34,36に記憶され
た荷重−変位データと前記マイクロコンピュータ37によ
る計算結果とを記憶して永久保存できるようになってい
る。同パーソナルコンピュータ38は次の機能〜を備
えるようプログラミングされており、それらの機能はキ
ーボード51の操作により全部又は必要に応じて選択的に
行われ、随時CRTディスプレイ52に表示されるようにな
っている。
コンプライアンス変化率法によるき裂発生点の推定 本手法を模式的に第6図に従って説明する。同図からわ
かるように、荷重−変位曲線の初期弾性線より決定され
る弾性コンプライアンスCeと、各任意点でのコンプライ
アンスCとから、コンプライアンス変化率ΔC/Ceは次式
で定義される。
ΔC/Ce=(C/Ce)/Ce …(3) パーソナルコンピュータ38により、このコンプライアン
ス変化率ΔC/Ceを各変位に対して計算していくと、コン
プライアンス変化率ΔC/Ceに急変点が出現するため、そ
の点を検出してき裂発生点(き裂進展開始点をいう。以
下、同じ。)と推定する。
動的弾塑性破壊靭性Jdの測定 弾塑性破壊靭性値であるJ値は、次の簡便式によって算
出することができる。
J=2E/B(W−a0) …(4) ここで、Eは荷重−変位曲線下の面積(エネルギ)、B
は試験片の厚さ、Wは試験片の幅、a0は初期き裂長さで
ある。いま、上式のEにき裂発生点までに試験片3に吸
収されたエネルギE0′と代入すれば、動的弾塑性破壊靭
性値Jdを求めることができる。
そこで、まず荷重−変位曲線において前記コンプライア
ンス変化率法により推定されたき裂発生点までの積分値
を計算し、見掛けのき裂発生エネルギE0を求める。この
値はシャルピー試験機本体1の弾性変形によるエネルギ
分を含んでいるので、第7図に示すように、次式によっ
て試験片3のみに真に吸収されたき裂発生エネルギE0
に補正する。
E0′=E0×Cs/Ct …(5) ここで、Csは試験片のコンプライアンス、Ctは試験片の
コンプライアンスCsとシャルピー試験機本体1のコンプ
ライアンスCmとの和である。
パーソナルコンピュータ38は、このようにして真のき裂
発生エネルギE0′を計算し、(4)式から動的弾塑性破
壊靭性値Jdを計算するようプログラミングされている。
いま、次式を満足すう場合は平面歪条件におけるバリッ
ド(valid)なJ値として、Jd=JIdと表記する。
B,a0,W−a0≧25J/σ …(6) ここで、σは流動応力である。
キーカーブ法によるき裂進展抵抗曲線の解析 いま、第8図(a)に示すように、荷重−変位曲線にお
いて立上り直線部から各荷重点に至る塑性変位成分Δpl
を求め、第8図(b)に示すような荷重−塑性変位成分
曲線をえがく。この荷重−塑性変位成分Δpl曲線におい
て、最大荷重Pmまでの範囲について次式のキーカーブ近
似を行い、常数n,kを決定する。
P・W/b0 2=k(Δpl/W) …(7) ところで、き裂発生以後の任意点におけるき裂進展量Δ
aは上式を変形して、次式により予測される。
Δa=W−{(P・Wn+1/k・Δpl n1/2+a0}…(8) (8)式より各塑性変位成分Δplにおけるき裂進展量Δ
aが求められ、それまでの荷重−変位曲線下の面積から
のJ値を用いて、き裂進展抵抗曲線(J−Δa曲線又は
JR曲線ともいう。)が求められる。
き裂進展抵抗曲線によるテアリングモジュラスTmat
解析 上記のようにして求められたき裂進展抵抗曲線の各き裂
進展位置における傾き(dJ/da)を計算し、次式よりテ
アリングモジュラス(き裂進展抵抗)Tmatを算出する。
Tmat=(E/σ0 2)・(dJ/da) …(9) これより、テアリングモジュラスTmat−き裂進展量Δa
曲線を描くことが可能である。
リバウンドコンプライアンスによるテアリングモジュ
ラスTmatの解析 第9図に示すように、荷重−変位曲線において最大荷重
Pmの近傍の荷重降下部分の勾配の逆数(リバウンドコン
プライアンス)Crを求める。この近傍の傾きは負荷系の
もつばね定数に対し試験片のもつ破壊抵抗が釣合うかた
ちで安定破壊が起こるという仮定によって、次式により
テアリングモジュラスTmatを推定する。
Tmat=4PE/σ0 2bB{(C+Cnc)/[1+C(∂P/∂△c)]} −JE/σo 2b2 …(10) 本法によるテアリングモジュラスTmatの推定は、き列進
展抵抗曲線から求められるテアリングモジュラスTmat
対して、粗い推定を簡便に行う上で用いることができ
る。
パーソナルコンピュータ38のプログラミングは、以上の
通りである。
なお、前記パーソナルコンピュータ38には図示しないイ
ンターフェイスを介し、動的弾塑性破壊靭性値Jd、テア
リングモジュラスTmat等を印字する印字装置53と、コン
プライアンス変化率ΔC/Ce−変位曲線、き列進展抵抗曲
線(JR曲線)、テアリングモジュラスTmat−き裂進展量
Δa曲線等を表示するX−Yプロッタ54とが接続されて
いる。
さて、以上の通り構成された計装化シャルピー試験機1
及び動的特性測定装置31を用いて実際に行った計装化シ
ャルピー試験の結果と、動的特性測定装置31による作用
効果とを併せて説明する。
[試験材料及び試験方法の概略] 本試験では、試験材料として主に原子炉圧力容器用ASTM
A533B,クラス1鋼板を用い、一部、5083−O材(Al−
Mg合金)、7N01−T4材(Al−Zn−Mg合金)及びSS41(軟
鋼)を用いた。これらは、いずれも常温において延性を
示す代表的な延性材料である。
これらの試料から長手方向が圧延方向に平行に、切欠き
が板厚方向に平行になるように、第10図に示す標準Vノ
ッチシャルピー試験片3aと、第11図に示す深切欠き三点
曲げ試験片3bとを加工した。
標準Vノッチシャルピー試験片3aの寸法は、試験片長さ
L=55mm、試験片厚さB=10mm、試験片幅W=10mm、V
切欠き長さa=2mmである。
深切欠き三点曲げ試験片3bの寸法は、試験片長さL=55
mm、試験片厚さB=10mm、試験片幅W=10mm、U切欠き
長さa=4.5mm、U切欠き底の疲労予き裂長さa′=1.5
mm(この疲労予き裂はASTM E399に準拠して導入し
た。)であって、トータルの初期き裂と試験片幅の比a0
/W=0.6である。
これらの試験片3a,3bをアンビル4又はストップブロッ
ク装置11に設置してハンマ5で打撃すると、ハンマ5の
打撃部6の側面に貼着されたアクティブゲージ23aが抵
抗変化を起こしてブリッジ回路から荷重信号を出力す
る。この材料の動的破壊時の荷重信号は短時間で終了し
てしまうが、荷重用調整装置33を経て、荷重用ディジタ
ルメモリ装置34に記憶される。
これと同時に、ハンマ5の回転軸に装着された皮膜ポテ
ンショメータ21が抵抗変化を起こしてブリッジ回路から
変位信号を出力する。この変位信号は荷重信号と同様
に、変位用調整装置35を経て、変位用ディジタルメモリ
装置36に記憶される。
ここに、本実施例では両ディジタルメモリ装置34,36の
サンプリング周期を2〜999μsの範囲で任意に設定で
きるようにしたので、破断までの時間が異なる種々の材
料に対応することができる。また、両ディジタルメモリ
装置34,36とも10チャンネル分設けたので、10回の試験
における荷重−変位データを全て記憶しておくことがで
き、試験の迅速な進行を妨げないという効果がある。
続いて、両ディジタルメモリ装置34,36に記憶された荷
重−変位データに基づいて、第1演算装置としてのマイ
クロコンピュータ37による前記データ処理が行われ、さ
らに同データ及び外部記憶装置39に記憶されたデータに
基づいて、第2演算装置としてのパーソナルコンピュー
タ38による前記データ処理が行われる。
[マイクロコンピュータによるデータ処理の有効性] 荷重信号に重畳する振動波の消去を有効性 前述したように、移動平均法による修正では荷重用ディ
ジタルメモリ装置34におけるサンプリング周期Δtの影
響を受ける。その一例として、第12図(a)〜(c)に
7N01−T4材の標準Vノッチシャルピー試験片3aを衝撃速
度5.1mで計装化シャルピー試験したときの、荷重−時間
曲線の立上がり部分の修正波形(移動平均した波形)を
原波形とともに対比して示す。
同図(a)は、常用サンプリング周期Δt=2μsで記
録した荷重−時間曲線の修正結果を示しているが、修正
波形が原波形の中心部を正確にと通っており、設定した
カット・オフ周波数fcが適切であることがわかる。
同図(b)はサンプリング周期Δt=4μs、同図
(c)はサンプリング周期Δt=8μsで各々記録した
荷重−時間曲線の修正結果を示しているが、徐々に修正
が過度になっていく傾向がある。これは、本実施例のサ
ンプリング周期Δtが2μsを基準としていることが主
な原因であるが、サンプリング周期Δt≦8μsであれ
ば実用上問題はないと考えられる。しかし、8μsより
長いサンプリング周期では、そのサンプリング周期を考
慮したプログラムの作成が必要である。
最大荷重Pm及び降伏荷重Pyの決定の有効性 まず、最大荷重Pmは格別の問題もなく正確に決定するこ
とができた。
続いて、降伏荷重Pyは前記修正波形の勾配変化から評価
するため、修正法の有効性に影響される。第12図(a)
〜(c)には、各サンプリング周期での修正波形から決
定された降伏荷重Pyが示してあるが、各降伏荷重Py間に
は約20%の誤差が認められる。これは装置による誤差よ
りも、むしろ振動波の振幅の大きさ又は修正の程度の差
に原因していると考えられる。しかし、正確に動的降伏
荷重Pyを評価することは、本来かなり困難であることを
考慮すれば、本誤差範囲内で降伏荷重Pyを決定できれば
充分有効であると考えられる。
公称き裂発生エネルギEi及び公称き裂伝播エネルギEp
の計算の有効性 また、マイクロコンピュータ37による公称き裂発生エネ
ルギEi及び公称き裂伝播エネルギEpの計算制度は、従来
の写真撮影によるそれと比較し、充分高精度であること
を確認した。
なお、マイクロコンピュータ37による前記〜の解析
1回に要する時間はわずか40秒程度であり、従来の写真
撮影による解析と比較して著しく短縮することができ
た。
[ストップブロック試験] 次に、複数の深切欠き三点曲げ試験片3bを使用してスト
ップブロック試験を行い、き裂発生点と動的弾塑性破壊
靭性値Jdを求めた。このJd値は前述したパーソナルコン
ピュータ38による解析の有効性を確認するための基準と
なるものであるが、本試験自体、その解析をパーソナル
コンピュータ38で行うことができる非常に有用なもので
ある。
本試験は前記アンビル4にストップブロック装置11を装
着し、同ストップブロック装置11にASTM A533Bの深切
欠き三点曲げ試験片3bをセットし、ハンマ持上角40゜
(衝撃速度は2.72m/sである。)から打撃して、荷重−
変位曲線を記録した。また、本試験は1mmずつ厚さの異
なるブロック13を取り替えては別の試験片3bを用いて行
い、10本の試験片3bに各々1〜10mmの最大変位を与え
た。
打撃後、全試験片3bに加熱着色を施した後、液体窒素に
浸漬してから脆性破壊させて破面を現出した。その後、
工具顕微鏡を用いて疲労予き裂長さa′及びき裂進展量
Δaを測定し、き裂発生点を求めた。
第13図に本法から得られた荷重−変位曲線とき裂進展量
Δaとの関係を示す。明らかに、き裂発生点は最大荷重
Pm点前に存在することがわかる。このとき、き裂発生点
までに吸収されるエネルギE0は、公称き裂発生エネルギ
Eiの68%に当たる。E0/Eiの値は材料によって異なり、S
S41で0.42、5083(Al−Mg合金)で0.59であった。
本ストップブロック試験法により(4)式から求めたJd
値は253.8kJ/m2であった。なお、このJd値は(6)式の
バリッド条件を満足しなかったので、平面応力下での動
的破壊靭性値となった。第14図に本法より得られたき裂
進展抵抗曲線(JR曲線)を示す。
[パーソナルコンピュータによる解析の有効性] コンプライアンス変化率法によるき裂発生点の推定の
有効性 この試験では、A533Bの深切欠き三点曲げ試験片3bをハ
ンマ持上角140゜から打撃し、荷重−変位曲線を記録し
た。次に、変位に対してコンプライアンス変化率ΔC/Ce
をプロットし、き裂発生点を推定した結果を第15図に示
す。本法により推定したき裂発生点は前記ストップブロ
ック試験法によるものとほぼ一致しており、有効なもの
といえる。
なお、コンプライアンス変化率ΔC/Ceが立上がり始める
点は、降伏荷重Py点に対応する変位に相当する。
動的弾塑性破壊靭性値Jdの測定の有効性 上記コンプライアンス変化率法によって推定したき裂発
生点までに吸収されたエネルギE0を求め、(4)式から
算出したJd値は239.1kJ/m2であった。このJd値はストッ
プブロック試験法により得られたJd値よりやや小さ目で
あるが、ほぼ一致した。これより、コンプライアンス変
化率法は、簡便に計装化シャルピー試験法に適用して、
動き裂発生点を求められる可能性があることが認められ
た。本発明者は、その有効性を他の金属材料でも確認し
ている。
キーカーブ法によるき裂進展抵抗曲線の解析の有効性 第16図に、キーカープ法によって推定したき裂進展抵抗
曲線(JR曲線。ここではプロットで表示する。)を、ス
トップブロック法により評価されたそれと併記して示
す。両者は良好な一致を示しており、本法による解析は
有効なものといえる。
き裂進展抵抗曲線によるテアリングモジュラスTmat
解析の有効性 次に、第17図に上記キーカーブ法によるき裂進展抵抗曲
線駅(JR曲線)の傾きから求めたテアリングモジュラス
Tmatをき裂進展量Δaに対して示す。最大荷重Pm点直後
(Δa=1.0mm程度)まで延性き裂は安定成長してお
り、この範囲では本法によるテアリングモジュラスTmat
とストップブロック法によるTmatはほぼ一致しており、
有効なものといえる。
リバウンドコンプライアンスによるテアリングモジュ
ラスTmatの解析の有効性 さらに、リバウンドコンプライアンスCrを用いて求めた
Tmatの結果を第17図に併記したが、最大荷重Pm点直後で
はストップブロック法及びキーカーブ法とほぼ等しい値
を与えているといえ、本手法の有効性がわかる。
以上より、本実施例のマイクロコンピュータ37又はパー
ソナルコンピュータ38によって、材料の色々な動的特性
値を迅速かつ精度よく算出することができることが確認
された。
特に、本実施例によれば、極めて少ない試料、すなわち
わずか1本の試験片によって、材料の動的弾塑性破壊靭
性値Jd、テアリングモジュラスTmat等を簡便かつ迅速に
測定することができる。
これらの効果は簡便・迅速を求める現場の要請に応える
ものである。
なお、本発明は前記実施例の構成に限定されるものでは
なく、例えば以下のように発明の趣旨から逸脱しない範
囲で任意に変更して具体化することもできる。
(1) 本発明の動的特性測定装置は、計装化シャルピ
ー衝撃試験機以外の計装化衝撃試験機に接続するものと
して具体化することもできる。
(2) 本発明の動的特性測定装置は、前記試験例以外
の金属材料、合成樹脂材料、無機材料、これらの複合材
料等の各種材料の動的特性を測定するものとして具体化
することができる。
発明の効果 以上詳述したように、本発明によれば材料の靭性評価を
行う上で最も簡便かつ経済的な装置であるシャルピー試
験機を用い、荷重の検出と伴に特に従来できなかった変
位の検出とを行えるように計装化できる。更に、荷重デ
ータについては重畳する振動波を過不足なく適切に消去
できるようになった。そのため、より精度の向上した荷
重データを得ることができ、更にその精度の向上した荷
重データと新たな変位データに基づいて極めて精度よい
動的弾塑性破壊靭性値JdとテアリングモジュラスTmatを
簡便かつ経済的に求めることができるようにようになっ
た。また、材料の靭性に対する感心が高まってきている
時代の要請と、簡便・迅速を求める現場の要請に応える
ことができる。という優れた効果が奏させるようになっ
た。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の動的特性測定装置を具体化した実施例
のブロック図、第2図は同じく実施例の概略正面図、第
3図はストップブロック装置の斜視図、第4図(a)〜
(d)はマイクロコンピュータによる材料の最大荷重等
の決定方法を模式的に示す曲線的、第5図は同決定方法
の流れ図、第6図はコンプライアンス変化率法を用いた
き裂発生点の推定方法を模式的に示す曲線図、第7図は
き裂発生エネルギの修正方法を模式的に示す曲線図、第
8図(a)及び(b)はキーカープ近似法を模式的に示
す曲線図、第9図はリバウンドコンプライアンスを求め
る方法を模式的に示す曲線図、第10図は標準Vノッチシ
ャルピー試験片の斜視図、第11図は深切欠き三点曲げ試
験片の斜視図、第12図(a)〜(c)は前記マイクロコ
ンピュータによる荷重信号の修正例を示す特性図、第13
図は荷重−変位曲線にき裂発生点とき裂進展量とを併記
した特性図、第14図はストップブロック法により求めら
れたき裂進展抵抗曲線を示す特性図、第15図はコンプラ
イアンス変化率法を用いたき裂発生点の推定例を示す特
性図、第16図は前記キーカーブ法により推定したき裂進
展抵抗曲線(プロット)を示す特性図、第17図はストッ
プブロック法、キーカーブ法及びリバウンドコンプライ
アンス法により求められたテアリングモジュラスを示す
特性図である。 1……計装化シャルピー試験機、3……動的特性測定装
置、34……記憶装置としての荷重用ディジタルメモリ装
置、36……同じく変位用ディジタルメモリ装置、37……
演算装置としてのマイクロコンピュータ、38……同じく
パーソナルコンピュータ、39……記録装置としての外部
記憶装置。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】シャルピー試験機と、 前記シャルピー試験機のハンマーと打撃部に設けられ、
    シャルピー衝撃試験時に試験片に加わる荷重を検出する
    荷重検出器と、 前記荷重検出器によって得られた荷重信号を2〜8μs
    の範囲で任意に設定した周期でサンプリングしディジタ
    ルの荷重データに変換する荷重用ADコンバータと、 前記荷重データを記憶する荷重用メモリ装置と、 前記シャルピー試験機のハンマーの回転軸に設けられ、
    シャルピー衝撃試験時に試験片の曲げによる変位を検出
    する変位検出器と、 前記変位検出器によって得られた変位信号を2〜8μs
    の範囲で任意に設定した周期でサンプリングしディジタ
    ルの変位データに変換する変位用ADコンバータと、 前記変位データを記憶する変位用メモリ装置と、 次の処理(イ)(ロ)(ハ)を行う演算装置と、 (イ)前記荷重用メモリ装置に記憶された荷重データに
    移動平均法を行い、過度の修正にならないよう前記荷重
    信号に重畳した振動波を消去する。 (ロ)前記振動波消去後の荷重データと前記変位用メモ
    リ装置に記憶された変位データとによる荷重−変位曲線
    から、コンプライアンス変化率を各変位データに対して
    計算していき、同コンプライアンス変化率の急変点を試
    験片のき裂発生点とする。 (ハ)前記荷重−変位曲線から、前記き裂発生点までに
    試験片に吸収されたエネルギを計算し、同エネルギに基
    づいて動的弾塑性靭性値Jdを求める。 を備えた計装化シャルピー試験機を用いた動的特性測定
    装置。
  2. 【請求項2】シャルピー試験機と、 前記シャルピー試験機のハンマーの打撃部に設けられ、
    シャルピー衝撃試験時に試験片に加わる荷重を検出する
    荷重検出器と、 前記荷重検出器によって得られた荷重信号を2〜8μs
    の範囲で任意に設定した周期でサンプリングしディジル
    の荷重データに変換する荷重用ADコンバータと、 前記荷重データを記憶する荷重用メモリ装置と、 前記シャルピー試験機のハンマーの回転軸に設けられ、
    シャルピー衝撃試験時に試験片の曲げによる変位を検出
    する変位検出器と、 前記変位検出器によって得られた変位信号を2〜8μs
    の範囲で任意に設定した周期でサンプリングしディジタ
    ルの変位データに変換する変位用ADコンバータと、 前記変位データを記憶する変位用メモリ装置と、 次の処理(ニ)(ホ)(ヘ)(ト)を行う演算装置と、 (ニ)前記荷重用メモリ装置に記憶された荷重データに
    移動平均法を行い、過度の修正にならないよう前記荷重
    信号に重畳した振動波を消去する。 (ホ)前記振動波消去後の荷重データと前記変位用メモ
    リ装置に記憶された変位データとによる荷重−変位曲線
    において、同曲線の立上がり直線部から各荷重点に至る
    塑性変位成分を求め、荷重−塑性変位成分曲線を作成す
    る。 (ヘ)前記荷重−塑性変位成分曲線において、同曲線の
    立上がり部から最大荷重点までの範囲についてキーカー
    ブ近似を行い、各塑性変位成分点におけるき裂進展量を
    求めるとともに、各塑性変位成分点までに試験片に吸収
    されたエネルギを計算し、同エネルギから弾塑性破壊靭
    性値Jdを求め、弾塑性破壊靭性値−き裂進展量曲線を作
    成する。 (ト)前記弾塑性破壊靭性値−き裂進展量曲線の各き裂
    進展量位置における傾きを求め、同傾きに基づいてテア
    リングモジュラスTmatを求める。 を備えた計装化シャルピー試験機を用いた動的特性測定
    装置。
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