一例として示す非破壊検出システムの構成図である図1等を参照し、本発明に係る非破壊検出システムおよび非破壊検出方法の詳細を説明すると、以下のとおりである。なお、図2は、一例として示すセメント硬化物11の模型の斜視図であり、図3は、図2の3−3線矢視断面図である。図4は、図2の4−4線矢視断面図であり、図5は、セメント硬化物11の表面12に対する弾性波第1〜第n検出センサS1〜Snの配置の一例を示す図である。図6は、セメント硬化物11の表面12に対する検出センサS1〜Snの配置の他の一例を示す図であり、図7は、一例として示す鋼球ハンマー13の斜視図である。
図2〜6では、縦方向を矢印A、横方向を矢印Bで示し、深さ方向を矢印Cで示す。図5,6では、検出センサS1〜Snどうしを結ぶ仮想線を一点鎖線で示す。なお、図5は、セメント硬化物11の健全部16に対する検出センサS1〜Snの配置を示す。図6は、空間15a〜15dが生じたセメント硬化物11(空間検出対象セメント硬化物11)に対する検出センサS1〜Snの配置を示す。図5,6のセメント硬化物11の物性(セメント種類同一、骨材同一等)は同一である。
非破壊検出方法を実行する非破壊検出システム10は、セメント硬化物11の一方の表面12に設置される弾性波第1〜第n検出センサS1〜Snと、それら検出センサS1〜Snの近傍(直近)を打撃して所定波長の表面波やその表面波を含む所定波長の弾性波を発生させる複数種類の鋼球ハンマー13と、それら検出センサS1〜Snが検出した弾性波を用いて表面波トモグラフィ解析を行うコンピュータ14とから構成されている。
セメント硬化物11には、図2の模型の他に、コンクリートによって作られたダムやトンネル、橋梁、建築物等のあらゆるコンクリート構造物(モルタルで作られたモルタル構造物を含む)が含まれる。セメント硬化物11は、荷重や乾燥収縮、温度変化、鉄筋腐食等による影響により、その内部にひび割れや空洞、空隙等の空間15a〜15dが発生する場合がある。セメント硬化物11の内部に生じた空間15a〜15dは、その面積や深さ、発生箇所、その分布度等によってセメント硬化物11の機能を大きく低下させる。セメント硬化物11の機能を回復させるためには補修が必要であるが、補修の前に空間15a〜15dの位置と規模とを正確に検出する必要がある。この非破壊検出システム10によって実行される非破壊検出方法は、セメント硬化物11を痛めることなく、セメント硬化物11の内部に生じた空間15a〜15dをその一方の表面12から検出する。
図2のセメント硬化物11は、矩形の各面が交差する六面体である。セメント硬化物11では、その内部に4個の空間15a〜15dが人工的に作られている。それら空間15a〜15dは、その平面形状が円形であり、その面積が略等しい。セメント硬化物11の内部に作られたそれら空間15a〜15dは、図3,4に示すように、セメント硬化物11の一方の表面12からの深さ寸法(深度)が異なっている。セメント硬化物11では、空間15aが1番浅い深さ(セメント硬化物11の表面12から深さ方向へ30mm)に作られ、空間15bが2番目の深さ(表面12から深さ方向へ60mm)に作られているとともに、空間15cが3番目の深さ(表面12から深さ方向へ100mm)に作られ、空間15dが4番目の深さ(表面12から深さ方向へ140mm)に作られている。したがって、それら空間15a〜15dの表面12からの深さ寸法は、空間15a<空間15b<空間15c<空間15dの順になる。
弾性波第1〜第n検出センサS1〜Snは、セメント硬化物11を伝播する表面波や弾性波を検出し、検出した表面波や弾性波をコンピュータ14に出力する。それらセンサS1〜Snは、コンピュータ14にインターフェイス(有線または無線)(図示せず)を介して接続されている。なお、それらセンサS1〜Snが検出した表面波や弾性波を所定のメモリデバイス(図示せず)に格納し、表面波や弾性波をメモリデバイスからコンピュータ14に入力することもできる。
セメント硬化物11の健全部15(空間15a〜15dが生じていないセメント硬化物11)に対する弾性波第1〜第n検出センサS1〜Sn(弾性波第1〜第7検出センサS1〜S7)の配置は、図5に示すように、セメント硬化物11の一方の表面12(六面体の各面のうちの一面)において、それら検出センサS1〜S7を横方向(一方向)へ等しい間隔で並べ、縦方向へ4つのセンサ列R1〜R4を作る。横方向へ並ぶそれらセンサS1〜S7どうしを結ぶ仮想線(一点鎖線)は直線である。なお、それら4列のセンサS1〜S7の個数を図示の7個に限定するものではなく、セメント硬化物11の大きさや形状等によってセンサS1〜Snの個数を任意に決定することができる。また、縦方向へ5列以上のセンサ列を作ってもよい。模型以外の実際のセメント硬化物11の健全部16を計測する場合のそれらセンサS1〜Snの配置や間隔は、模型の健全部16のそれらと同一である。
弾性波第1〜第7検出センサS1〜S7では、鋼球ハンマー13の打撃箇所の近傍(直近)に配置された検出センサS1,S2(横方向両端に配置されたセンサS1,S2)を発振センサS1,S2とし、発振センサS1,S2を除く残余の検出センサS1〜S7を受振センサS1〜S7とする。なお、センサS1〜S7どうしを結ぶ仮想線(一点鎖線)が直線を形成することが好ましいが、必ずしも直線である必要はない。
空間15a〜15dが生じたセメント硬化物11に対する弾性波第1〜第n検出センサS1〜Sn(弾性波第1〜第16検出センサS1〜S16)の配置は、図6に示すように、セメント硬化物11の一方の表面12(六面体の各面のうちの一面)において、それら検出センサS1〜S16を縦方向へ等しい間隔で並べるとともに横方向へ等しい間隔で並べる。それらセンサS1〜S16は、セメント硬化物11に作られた空間15a〜15dを取り囲んでいる。縦方向へ並ぶそれらセンサS1〜S16どうしを結ぶ仮想線(一点鎖線)と横方向へ並ぶそれらセンサS1〜S16どうしを結ぶ仮想線(一点鎖線)とが格子を形成し、セメント硬化物11の表面12が格子状の複数の領域17(36個のセル)に分割されている。なお、センサS1〜S16の個数を図示の16個に限定するものではなく、セメント硬化物11の大きさや形状等によってセンサS1〜Snの個数を任意に決定することができる。模型以外の実際のセメント硬化物11に生じた空間15a〜15dを計測する場合のそれらセンサS1〜Snの配置や間隔は、模型のそれらと同一である。
弾性波第1〜第16検出センサS1〜S16では、鋼球ハンマー13の打撃箇所の近傍(直近)に配置された検出センサS1〜S16を発振センサS1〜S16とし、発振センサS1〜S16を除く残余の検出センサS1〜S16を受振センサS1〜S16とする。なお、センサS1〜S16どうしの間隔に特に限定はなく、間隔を任意に設定することができる。また、センサS1〜S16どうしを結ぶ仮想線(一点鎖線)が格子を形成することが好ましいが、必ずしも格子状である必要はなく、仮想線(一点鎖線)が任意の形状を形成してもよい。
鋼球ハンマー13は、そのハンマーヘッド18の直径Lが3mm、8mm、15mmの3種類を使用しているが、それら直径Lを有するハンマー13のみならず、他の直径を有するハンマー13を使用することもできる。鋼球ハンマー13は、各センサS1〜Snの近傍(直近)を順に打撃し、所定波長の表面波やその表面波を含む所定波長の弾性波を発生させる。なお、鋼球ハンマー13によって発生する波長(深度)は、セメント硬化物11の健全部16において事前に計測した値である。鋼球ハンマー13の打撃によってセメント硬化物11に発生した表面波やその表面波を含む弾性波は、各受振センサS1〜Snに受信される。
このシステム10では、異なる直径Lを有する複数種類の鋼球ハンマー13によって健全部16に設置された検出センサS1,S2の近傍を所定時間内に所定回数打撃し、発振センサS1,S2から第1〜第n表面波を発振するとともに、発振センサS1,S2から発振された第1〜第n表面波を各受振センサS1〜S7が受振するように、発振センサS1,S2からの表面波の発振と各受振センサS1〜S7による表面波の受振とを行う。また、鋼球ハンマー13によって空間検出対象セメント硬化物11に設置されたそれら検出センサS1〜S16の近傍を所定時間内に所定回数打撃し、各発振センサS1〜S16から第1〜第n弾性波を発振するとともに、発振センサS1〜S16から発振された第1〜第n弾性波を各受振センサS1〜S16が受振するように、各発振センサS1〜S16からの弾性波の発振と各受振センサS1〜S16による弾性波の受振とを行う。発振センサS1〜S16の近傍における鋼球ハンマー13の打撃時間(所定時間)は3〜7秒、好ましくは5秒であり、0.2〜0.3秒間隔で1回発振センサS1〜S16の近傍を打撃する。
コンピュータ14は、中央処理部(CPUまたはMPU)とメモリとを有し、大容量ハードディスクを内蔵している。コンピュータ14には、マウスやキーボード等の入力装置、ディスプレイ19やプリンタ等の出力装置がインターフェイスを介して接続されている。コンピュータ14のメモリには、各種手段(各種プロセス)をコンピュータ14に実行させるためのアプリケーション(表面波トモグラフィ解析アプリケーションを含む)が格納されている。コンピュータ14のハードディスクには、表面波トモグラフィ解析のための初期モデルが格納されている。
表面波トモグラフィ解析では、コンピュータ14が反復解析法を実行する。反復解析法においてコンピュータ14は、初期モデルを作成し、理論走時を計算する。次に、その理論走時と実際に測定した観測走時を比較し、それらの間の残差が小さくなるようにモデルを修正しつつ、残差が許容誤差以内になるまで繰り返し計算して最終の速度分布を求める。コンピュータ14の中央処理部は、オペレーティングシステムによる制御に基づいて、メモリからアプリケーションを起動し、起動したアプリケーションに従って、以下の各手段(各プロセス)を実行する。
コンピュータ14の中央処理部は、発振センサS1,S2から発振され、それら受振センサS1〜S7に受振された健全部16における複数の表面波の波形を収集する健全部波形収集手段(健全部波形収集プロセス)を実行する。健全部波形収集手段(健全部波形収集プロセス)では、第1〜第n表面波の波形を重ね合わせて合成波形を生成し、生成した合成波形のうちの表面波成分の初動を示す振幅以外の不要合成波形を除去して健全部における表面波波形を抽出する。健全部16のそれら表面波波形は、受振センサS1〜S7またはメモリデバイスからコンピュータ14に入力される。コンピュータ14は、健全部16の不要合成波形を除去した表面波波形をセメント硬化物11に関連付けた状態(セメント硬化物11を特定する識別子を設定した状態)でハードディスクに格納する健全部波形記憶手段(健全部波形記憶プロセス)を実行する。
コンピュータ14の中央処理部は、健全部波形収集手段(健全部波形収集プロセス)によって抽出された健全部16における表面波波形(発振センサS1,S2から発振された表面波)がそれら受振センサS1〜S7に達する時間(到達時間)を計測する到達時間計測手段(到達時間計測プロセス)を実行する。コンピュータ14は、計測した時間をセメント硬化物11に関連付けた状態(セメント硬化物11を特定する識別子を設定した状態)でハードディスクに格納する到達時間記憶手段(到達時間記憶プロセス)を実行する。
コンピュータ14の中央処理部は、到達時間計測手段によって計測した時間と発振センサS1,S2からそれら受振センサS1〜S7までの距離とを用い、健全部波形収集手段(健全部波形収集プロセス)によって抽出された健全部16における表面波波形(発振センサS1,S2から発振された表面波)の発振センサS1,S2からそれら受振センサS1〜S7までの伝播速度を算出する伝播速度算出手段(伝播速度算出プロセス)を実行する。コンピュータ14は、算出した伝播速度をセメント硬化物11に関連付けた状態(セメント硬化物11を特定する識別子を設定した状態)でハードディスクに格納する伝播速度記憶手段(伝播速度記憶プロセス)を実行する。
コンピュータ14の中央処理部は、健全部波形収集手段(健全部波形収集プロセス)によって抽出された健全部16における表面波波形(発振センサS1,S2から発振された表面波)から健全部16におけるそれら表面波の周波数を求め、求めた周波数と伝播速度算出手段(伝播速度算出プロセス)によって算出した伝播速度とから各鋼球ハンマー13の打撃によって発生した弾性波の波長(ハンマー波長)を各ハンマー13毎に算出するハンマー波長算出手段(ハンマー波長算出プロセス)を実行する。
コンピュータ14は、求めた周波数をセメント硬化物11に関連付けた状態(セメント硬化物11を特定する識別子を設定した状態)でハードディスクに格納する周波数記憶手段(周波数記憶プロセス)を実行する。さらに、算出した各ハンマー13の波長をセメント硬化物11に関連付けた状態(セメント硬化物11を特定する識別子を設定した状態)でハードディスクに格納するハンマー波長記憶手段(ハンマー波長記憶プロセス)を実行する。なお、コンピュータ14は、伝播速度算出手段(伝播速度算出プロセス)によって算出した伝播速度と健全部波形収集手段(健全部波形収集プロセス)によって収集した波形から求めた周波数とを表面波トモグラフィ解析の初期モデルの初期値として使用する。
コンピュータ14の中央処理部は、発振センサS1〜S16から発振され、それら受振センサS1〜S16に受振された空間検出対象セメント硬化物11における複数の弾性波の波形を収集する波形収集手段(波形収集プロセス)を実行する。波形収集手段(波形収集プロセス)では、第1〜第n弾性波の波形を重ね合わせて合成波形を生成し、生成した合成波形のうちの表面波成分の初動を示す振幅以外の不要合成波形を除去して表面波波形を抽出する。空間検出対象セメント硬化物の不要合成波形を除去した表面波波形(弾性波の波形)は、受振センサS1〜S16またはメモリデバイスからコンピュータ14に入力される。コンピュータ14は、空間検出対象セメント硬化物11の表面波波形を各受発振センサS1〜S16とセメント硬化物11とに関連付けた状態(受発振センサS1〜S16を特定する識別子およびセメント硬化物11を特定する識別子を設定した状態)でハードディスクに格納する波形記憶手段(波形記憶プロセス)を実行する。
コンピュータ14の中央処理部は、波形収集手段(波形収集プロセス)によって抽出された表面波波形からそれら弾性波の波長と周波数とを求め、求めた波長と周波数とからそれら領域17毎(16個の各セル毎)の表面波位相速度を算出する表面波位相速度算出手段(表面波位相速度算出プロセス)を実行する。コンピュータ14は、求めた波長および周波数を各受発振センサS1〜S16とセメント硬化物11とに関連付けた状態(受発振センサS1〜S16を特定する識別子およびセメント硬化物11を特定する識別子を設定した状態)でハードディスクに格納する波長・周波数記憶手段(波長・周波数記憶プロセス)を実行する。さらに、算出した表面波位相速度を各領域17とセメント硬化物14とに関連付けた状態(各領域17を特定する識別子およびセメント硬化物11を特定する識別子を設定した状態)でハードディスクに格納する表面波位相速度記憶手段(表面波位相速度記憶プロセス)を実行する。
コンピュータ14の中央処理部は、位相速度算出手段(位相速度算出プロセス)によって算出した表面波位相速度のそれら領域17毎(36個の各セル毎)における表面波位相速度分布を表面波トモグラフィ解析を行うことで表示し、それによってセメント硬化物11の内部に生じた空間15a〜15dを可視化する内部空間可視化手段(内部空間可視化プロセス)を実行する。コンピュータ14は、可視化した画像をセメント硬化物11に関連付けた状態(セメント硬化物11を特定する識別子を設定した状態)でハードディスクに格納する可視化画像記憶手段(可視化画像記憶プロセス)を実行する。コンピュータ14は、可視化した画像をディスプレイ19に表示するとともに、プリンタを介して出力する可視化画像出力手段(可視化画像出力プロセス)を実行する。
コンピュータ14のハードディスクには、検出対象セメント硬化物11(健全部16を含む)の特定情報が格納される。特定情報には、セメント硬化物番号、セメント硬化物11の名称、セメント硬化物11が存在する場所の住所、セメント硬化物11の表面画像、検出する箇所の順番を示す番号、検出日時、センサ個数、センサ間隔、センサ列数がある。それら特定情報には、セメント硬化物11を個別に識別する識別子が設定される。
図8は、このシステム10において実行される各手段(各プロセス)を示すフローチャートであり、図9は、収集した波形の一例を示す図である。図10は、不要合成波形を除去した表面波波形の一例を示す図であり、図11は、図10の波形を高速フーリエ変換した場合の出力図である。図9,10では、縦軸に波形を表し、横軸に時間を表している。図11では、縦軸に波形を表し、横軸に周波数スペクトルを表している。
コンピュータ14を起動すると、コンピュータ14は、メモリに格納されたアプリケーションを起動し、図示はしていないが、非破壊検出システム10の初期画面をディスプレイ19に表示する。初期画面には、スタートボタン、ログアウトボタンが表示される。ログアウトボタンをクリックすると、システム10を閉じる。スタートボタンをクリックすると、コンピュータ14は、システム10を利用可能とし、ディスプレイ19に健全部検出ボタン、空間検出ボタン、可視化表示ボタン、キャンセルボタンを表示する(図示せず)。キャンセルボタンをクリックすると、初期画面に戻る。
健全部検出ボタンをクリックすると、コンピュータ14は、健全部16に対する検出センサ設置指示メッセージをディスプレイ19に表示するとともに、設置完了ボタン、キャンセルボタンをディスプレイ19に表示する(図示せず)。セメント硬化物11の健全部16に検出センサS1〜S7を設置した後、設置完了ボタンをクリックする。健全部16には、検出センサS1〜S7が等しい間隔で直線状に配置され、4列のセンサ列R1〜R4が形成される(図5参照)。キャンセルボタンをクリックすると、初期画面に戻る。
設置完了ボタンをクリックすると、コンピュータ14は、図示はしていないが、健全部打撃指示メッセージをディスプレイ19に表示するとともに、打撃時間入力エリア、鋼球ハンマー番号入力エリア、ハンマーヘッド直径入力エリア、名称入力エリア、住所入力エリア、表面画像入力エリア、日時入力エリア、センサ個数入力エリア、センサ間隔入力エリア、センサ列数入力エリア、実行ボタン、クリアボタン、キャンセルボタンをディスプレイ19に表示する。クリアボタンをクリックすると、入力エリアに入力された各データが消去される。キャンセルボタンをクリックすると、初期画面に戻る。
入力装置を利用し、打撃時間入力エリアに健全部16の打撃時間(3〜7秒)を入力(プルダウンリストから打撃時間を選択)し、鋼球ハンマー番号入力エリアに鋼球ハンマー番号を入力(プルダウンリストから鋼球ハンマー番号を選択)し、ハンマーヘッド直径入力エリアにハンマーヘッド18の直径Lを入力(プルダウンリストから直径鋼球ハンマー番号を選択)する。必要であれば、名称入力エリアにセメント硬化物11の名称を入力し、住所入力エリアにセメント硬化物11が存在する場所の住所を入力し、表面画像入力エリアにセメント硬化物11の表面画像を入力する。さらに、日時入力エリアに健全部16の検出日時を入力(プルダウンリストから日時を選択)し、センサ個数入力エリアに設置したセンサ個数(たとえば、7)を入力(プルダウンリストから個数を選択)する。センサ間隔入力エリアにセンサS1〜S7どうしの離間間隔(たとえば、0.1〜0.15m)を入力(プルダウンリストから間隔を選択)し、センサ列数入力エリアにセンサ列数(たとえば、4)を入力(プルダウンリストから列数を選択)する。
各入力エリアにデータを入力した後、実行ボタンを押すと、コンピュータ14は、ユニークな識別子(セメント硬化物11を特定する識別子)と識別子に関連するセメント硬化物番号とを生成し、生成した識別子を入力された各データ(セメント硬化物番号を含む)に設定した後、それらデータ(識別子を含む)をハードディスクに格納するとともに、第1回ハンマー打撃開始メッセージをディスプレイ19に表示する(図示せず)。
コンピュータ14の指示に従って、第1列R1の検出センサS1〜S7のうちの一方の端に位置するセンサS1の近傍(センサS1を中心としてその径方向0.03〜0.05mの範囲)を鋼球ハンマー13で打撃する。打撃時間は3〜7秒、打撃間隔は0.2〜0.3秒に1回である。センサS1の近傍を打撃すると、発振センサS1から第1回の第1〜第n表面波が発振され、それら表面波が受振センサS2〜S7に受信される。第1〜第n表面波を受振した受振センサS2〜S7は、その表面波をコンピュータ14に出力する。
コンピュータ14は、受振センサS2〜S7から出力された健全部16における第1回の第1〜第n表面波の波形を収集する(健全部波形収集手段、健全部波形収集プロセス)(S−10)。コンピュータ14は、収集した第1〜第n表面波の波形を重ね合わせて合成波形を生成する。表面波の合成波形は、セメント硬化物番号とともにディスプレイ19に表示される。表面波の合成波形は、図9に示すように、不要合成波形を除去した表面波波形のみならず、余分な反射波や回析波等の不要合成波形が含まれる。表面波の合成波形は、プリンタを介して出力することができる。
コンピュータ14は、生成した合成波形のうちの表面波成分の初動を示す振幅以外の不要合成波形を除去して健全部16における表面波波形を抽出する。不要合成波形を除去した表面波波形は、セメント硬化物番号とともにディスプレイ19に表示される。不要合成波形を除去した表面波波形は、図10に示すように、表面波成分の初動を示す振幅以外の不要合成波形が除去されている。不要合成波形を除去した表面波波形は、プリンタを介して出力することができる。
コンピュータ14は、抽出した表面波波形の高速フーリエ変換による周波数応答特性を調べる。高速フーリエ変換によって算出された表面波の周波数スペクトルは、図11に示すように、セメント硬化物番号とともにディスプレイ19に表示される。高速フーリエ変換によって算出された表面波の周波数スペクトルは、プリンタを介して出力することができる。コンピュータ14は、健全部16の不要合成波形を除去した表面波波形(不要合成波形を除去する以前の表面波波形や高速フーリエ変換によって算出した周波数スペクトルを含む)をセメント硬化物11を特定する識別子に関連付けた状態(第1回フラグおよびセメント硬化物11を特定する識別子を設定した状態)でハードディスクに格納する(健全部波形記憶手段、健全部波形記憶プロセス)。
コンピュータ14は、健全部波形収集手段(健全部波形収集プロセス)によって抽出された健全部16における表面波波形(発振センサS1から発振された表面波)がそれら受振センサS2〜S7に達する時間(到達時間)を計測する(到達時間計測手段、到達時間計測プロセス)(S−11)。コンピュータ14は、計測した時間をセメント硬化物11を特定する識別子に関連付けた状態(第1回フラグおよびセメント硬化物11を特定する識別子を設定した状態)でハードディスクに格納する(到達時間記憶手段、到達時間記憶プロセス)。なお、図示はしていないが、時間(到達時間)は、セメント硬化物番号とともにディスプレイ19に表示される。
コンピュータ14は、到達時間計測手段によって計測した時間と発振センサS1からそれら受振センサS2〜S7までの距離(離間間隔、センサ個数による離間間隔の和)とを用い、健全部波形収集手段(健全部波形収集プロセス)によって抽出された健全部16における表面波波形(発振センサS1から発振された表面波)の発振センサS1から受振センサS2〜S7までの伝播速度を算出する(伝播速度算出手段、伝播速度算出プロセス)(S−12)。具体的には、発振センサS1から受振センサS2〜S7までの伝播速度の回帰曲線を求め、その回帰曲線の勾配から伝播速度を算出する。コンピュータ14は、算出した第1回の伝播速度をセメント硬化物11を特定する識別子に関連付けた状態(第1回フラグおよびセメント硬化物11を特定する識別子を設定した状態)でハードディスクに格納する(伝播速度記憶手段、伝播速度記憶プロセス)。なお、図示はしていないが、伝播速度は、セメント硬化物番号とともにディスプレイ19に表示される。
コンピュータ14は、第1回の伝播速度をハードディスクに格納した後、第2回ハンマー打撃開始メッセージをディスプレイ19に表示する(図示せず)。コンピュータ14の指示に従って、第1列R1の検出センサS1〜S7のうちの他方の端に位置するセンサS7の近傍(センサS7を中心としてその径方向0.03〜0.05mの範囲)を鋼球ハンマー13で打撃する。打撃時間は3〜7秒、打撃間隔は0.2〜0.3秒に1回である。センサS7の近傍を打撃すると、発振センサS7から第2回の第1〜第n表面波が発振され、それら表面波が受振センサS1〜S6に受信される。第1〜第n表面波を受振した受振センサS1〜S6は、その表面波をコンピュータ14に出力する。
コンピュータ14は、受振センサS1〜S6から出力された健全部16における第2回の第1〜第n表面波の波形を収集する(健全部波形収集手段、健全部波形収集プロセス)(S−10)。コンピュータ14は、収集した第1〜第n表面波の波形を重ね合わせて合成波形を生成する。表面波の合成波形は、セメント硬化物番号とともにディスプレイ19に表示される(図9参照)。
コンピュータ14は、生成した合成波形のうちの表面波成分の初動を示す振幅以外の不要合成波形を除去して健全部16における表面波波形を抽出する。不要合成波形を除去した表面波波形は、セメント硬化物番号とともにディスプレイ19に表示される(図10参照)。
コンピュータ14は、抽出した表面波波形の高速フーリエ変換による周波数応答特性を調べる。高速フーリエ変換によって算出された表面波の周波数スペクトルは、セメント硬化物番号とともにディスプレイ19に表示される(図11参照)。コンピュータ14は、健全部16の不要合成波形を除去した表面波波形(不要合成波形を除去する以前の表面波波形や高速フーリエ変換によって算出した周波数スペクトルを含む)をセメント硬化物11を特定する識別子に関連付けた状態(第2回フラグおよびセメント硬化物11を特定する識別子を設定した状態)でハードディスクに格納する(健全部波形記憶手段、健全部波形記憶プロセス)。
コンピュータ14は、健全部波形収集手段(健全部波形収集プロセス)によって抽出された健全部16における表面波波形(発振センサS7から発振された表面波)がそれら受振センサS1〜S6に達する時間(到達時間)を計測する(到達時間計測手段、到達時間計測プロセス)(S−11)。コンピュータ14は、計測した時間をセメント硬化物11を特定する識別子に関連付けた状態(第2回フラグおよびセメント硬化物11を特定する識別子を設定した状態)でハードディスクに格納する(到達時間記憶手段、到達時間記憶プロセス)。なお、図示はしていないが、時間(到達時間)は、セメント硬化物番号とともにディスプレイ19に表示される。
コンピュータ14は、到達時間計測手段によって計測した時間と発振センサS7からそれら受振センサS1〜S6までの距離(離間間隔、センサ個数による離間間隔の和)とを用い、健全部波形収集手段(健全部波形収集プロセス)によって抽出された健全部16における表面波波形(発振センサS7から発振された表面波)の発振センサS7から受振センサS1〜S6までの伝播速度を算出する(伝播速度算出手段、伝播速度算出プロセス)(S−12)。具体的には、発振センサS7から受振センサS1〜S6までの伝播速度の回帰曲線を求め、その回帰曲線の勾配から伝播速度を算出する。コンピュータ14は、算出した第2回の伝播速度をセメント硬化物11を特定する識別子に関連付けた状態(第2回フラグおよびセメント硬化物11を特定する識別子を設定した状態)でハードディスクに格納する(伝播速度記憶手段、伝播速度記憶プロセス)。なお、図示はしていないが、伝播速度は、セメント硬化物番号とともにディスプレイ19に表示される。
第1列R1のセンサS1,S7近傍を打撃し、第1列R1の伝播速度を求めた後、第2列〜第4列R2〜R4のセンサS1,S7近傍を順番に打撃する。コンピュータ14は、所定数の伝播速度を算出したかを判断し(S−13)、伝播速度の算出が所定数未満の場合、伝播速度の算出が所定数になるまでステップ(S−10)〜ステップ(S−12)までを繰り返す。コンピュータ14は、第1列R1と同様の手順で第2列〜第4列R2〜R4の伝播速度を算出し、合計8つの伝播速度を算出する。
コンピュータ14は、8つの伝播速度の平均値を算出し、算出した伝播速度平均値をセメント硬化物11を特定する識別子に関連付けた状態(平均値フラグおよびセメント硬化物11を特定する識別子を設定した状態)でハードディスクに格納する(伝播速度記憶手段、伝播速度記憶プロセス)。なお、図示はしていないが、伝播速度の平均値は、セメント硬化物番号とともにディスプレイ19に表示される。
コンピュータ14の中央処理部は、健全部波形収集手段(健全部波形収集プロセス)によって抽出された健全部16における表面波波形(高速フーリエ変換によって算出された周波数スペクトル)から健全部16におけるそれら表面波の周波数を求め、求めた周波数と伝播速度算出手段(伝播速度算出プロセス)によって算出した伝播速度の平均値とから各鋼球ハンマー13の打撃によって発生した弾性波の波長(ハンマー波長)を各ハンマー13毎に算出するハンマー波長算出手段(ハンマー波長算出プロセス)(S−14)。
コンピュータ14は、求めた周波数をセメント硬化物11を特定する識別子に関連付けた状態(セメント硬化物11を特定する識別子を設定した状態)でハードディスクに格納し周波数記憶手段(周波数記憶プロセス)、算出したハンマー13の波長をセメント硬化物11を特定する識別子に関連付けた状態(セメント硬化物11を特定する識別子を設定した状態)でハードディスクに格納するハンマー波長記憶手段(ハンマー波長記憶プロセス)。ハンマー波長の測定は、ヘッド18の直径Lが異なる各ハンマー13毎に行われる。なお、図示はしていないが、求めた周波数やハンマー波長は、セメント硬化物番号とともにディスプレイ19に表示される。
コンピュータ14は、伝播速度算出手段(伝播速度算出プロセス)によって算出した伝播速度の平均値(伝播速度)と健全部波形収集手段(健全部波形収集プロセス)によって収集した波形から求めた周波数とを表面波トモグラフィ解析の初期モデルの初期値として使用する。コンピュータ14は、初期値を使用して表面波トモグラフィ解析のための初期モデルを生成し、生成した初期モデルをセメント硬化物11を特定する識別子に関連付けた状態(セメント硬化物11を特定する識別子を設定した状態)でハードディスクに格納する初期モデル記憶手段(初期モデル記憶プロセス)(S−15)。
コンピュータ14は、初期モデルを格納すると、健全部データ収集終了メッセージをディスプレイ19に表示するとともに、空間検出ボタン、キャンセルボタンをディスプレイ19に表示する(図示せず)。キャンセルボタンをクリックすると、初期画面に戻る。このシステム10では、セメント硬化物11の健全部16の物性と空間15a〜15dが生じたセメント硬化物11の物性とが異なる場合、空間15a〜15dが生じたセメント硬化物11の健全部16において新たにハンマー波長を求める必要がある。換言すれば、セメント硬化物11の健全部16の物性と空間15a〜15dが生じたセメント硬化物11の物性とが同一である必要がある。
非破壊検出システム10および非破壊検出方法は、セメント硬化物11に対する空間15a〜15dの検出可能な深さ(深度)が各ハンマー13によって異なるが、直径L(ハンマーヘッド18の直径L)が異なる各鋼球ハンマー13の打撃によって生じる弾性波の波長をセメント硬化物11の健全部16において確認することで、各ハンマー13のセメント硬化物11に対する空間15a〜15dの検出可能な深さ(深度)を事前に把握することができる。非破壊検出システム10および非破壊検出方法は、健全部16における表面波波形に余分な反射波や回析波等が含まれることはなく、各鋼球ハンマー13の打撃によって発生した弾性波の波長の算出過誤を防ぐことができ、各鋼球ハンマー13の打撃によって発生する健全部16の弾性波の波長を正確に求めることができる。また、検出センサS1〜S7が横方向へ等しい間隔で並ぶから、それらセンサS1〜S7によって検出される健全部16の表面波の波形のばらつきを防ぐことができ、ハンマーヘッド18の直径Lが異なる各鋼球ハンマー13の打撃によって生じる弾性波の波長を確実に確認することができる。
図12は、図8から続くフローチャートである。図13は、発振センサS1〜S16から発振された表面波波線経路を示す図であり、図14,15は、表面波位相速度算出の一例を示す図である。図16は、表面波位相速度と周波数との関係を表す図である。図16では、縦軸に表面波位相速度を表し、横軸に周波数を表している。継続してセメント硬化物11の空間15a〜15dの検出を行う場合は、空間検出ボタンをクリックする。空間検出ボタンをクリックすると、コンピュータ11は、セメント硬化物番号入力エリア、実行ボタン、キャンセルボタンをディスプレイ19に表示する。
セメント硬化物番号入力エリアにセメント硬化物番号を入力し、実行ボタンをクリックする。セメント硬化物番号入力エリアに入力するセメント硬化物番号は、健全部16のハンマー波長を求めたセメント硬化物11と空間15a〜15dを検出するセメント硬化物11とを一致させるため、健全部16のハンマー波長を求めたセメント硬化物11のセメント硬化物番号と同一の番号である。異なるセメント硬化物番号を入力すると、コンピュータ14は、番号エラーメッセージ、セメント硬化物番号再入力エリアをディスプレイ19に表示する。
実行ボタンをクリックすると、コンピュータ14は、空間検出対象セメント硬化物11に対する検出センサ設置指示メッセージをディスプレイ19に表示するとともに、設置完了ボタン、キャンセルボタンをディスプレイ19に表示する(図示せず)。空間検出対象セメント硬化物11に弾性波第1〜第16検出センサS1〜S16を設置した後、設置完了ボタンをクリックする。空間検出対象セメント硬化物11には、検出センサS1〜S16が等間隔で縦方向へ並ぶとともに等間隔で横方向へ並ぶ。セメント硬化物11の表面12は、それらセンサS1〜S16によって格子状の複数の領域17(セル)に分割される(図6参照)。キャンセルボタンをクリックすると、初期画面に戻る。
設置完了ボタンをクリックすると、コンピュータ14は、図示はしていないが、打撃指示メッセージをディスプレイ19に表示するとともに、打撃時間表示エリア、鋼球ハンマー番号表示エリア、ハンマーヘッド直径表示エリア、名称表示エリア、住所表示エリア、実行ボタン、キャンセルボタンをディスプレイ19に表示する。
打撃時間表示エリアや鋼球ハンマー番号表示エリア、ハンマーヘッド直径表示エリア、名称表示エリア、住所表示エリアには、健全部16の検出時に入力した打撃時間(3〜7秒)や鋼球ハンマー番号(複数表示)、ハンマーヘッド18の直径L(複数表示)、セメント硬化物11の名称、セメント硬化物11が存在する場所の住所が表示される。入力装置を利用し、鋼球ハンマー番号表示エリアに表示された鋼球ハンマー番号のうちのいずれかを選択(鋼球ハンマー番号のうちのいずれか反転)し、ハンマーヘッド直径表示エリアに表示されたハンマーヘッド18の直径Lのうちのいずれかを選択(ハンマーヘッド18の直径Lのうちのいずれか反転)した後、実行ボタンをクリックする。
実行ボタンをクリックすると、コンピュータ14は、表面画像入力エリア、順番入力エリア、日時入力エリア、センサ個数入力エリア、センサ間隔入力エリア、実行ボタン、クリアボタン、キャンセルボタンをディスプレイ19に表示する。クリアボタンをクリックすると、入力エリアに入力された各データが消去される。入力装置を利用し、必要であれば表面画像入力エリアにセメント硬化物11の表面画像を入力する。さらに、順番入力エリアに検出する箇所の順番を示す番号を入力(プルダウンリストから順番番号を選択)し、日時入力エリアに空間15a〜15dの検出日時を入力(プルダウンリストから日時を選択)する。センサ個数入力エリアに設置したセンサS1〜S16の個数(たとえば、16)を入力(プルダウンリストから個数を選択)し、センサ間隔入力エリアにセンサS1〜S16どうしの離間間隔(たとえば、0.1〜0.15m)を入力(プルダウンリストから間隔を選択)する。
各入力エリアにデータを入力した後、実行ボタンを押すと、コンピュータ14は、健全部16の検出において生成した識別子を入力された各データ(セメント硬化物番号を含む)に設定した後、それらデータ(識別子を含む)をハードディスクに格納するとともに、第1番目のハンマー打撃開始メッセージをディスプレイ19に表示する。
コンピュータ14の指示に従って、それら検出センサS1〜S16のうちの第1番目のセンサS1の近傍(センサS1を中心としてその径方向0.03〜0.05mの範囲)を鋼球ハンマー13で打撃する。打撃時間は3〜7秒、打撃間隔は0.2〜0.3秒に1回である。センサS1の近傍を打撃すると、発振センサS1から第1番の第1〜第n弾性波が発振され、図13に示すように、それら弾性波が受振センサS2〜S16に受信される。第1〜第n弾性波を受振した受振センサS2〜S16は、その弾性波をコンピュータ14に出力する。
コンピュータ14は、受振センサS2〜S16から出力された第1番の第1〜第n弾性波の波形を収集する(波形収集手段、波形収集プロセス)(S−16)。コンピュータ14は、収集した第1〜第n弾性波の波形を重ね合わせて合成波形を生成する。弾性波の合成波形は、セメント硬化物番号とともにディスプレイ19に表示される。弾性波の合成波形は、不要合成波形を除去した弾性波波形のみならず、余分な反射波や回析波等の不要合成波形が含まれる(図9参照)。弾性波の合成波形は、プリンタを介して出力することができる。
コンピュータ14は、生成した合成波形のうちの表面波成分の初動を示す振幅以外の不要合成波形を除去して空間検出対象セメント硬化物11の表面波波形を抽出する。不要合成波形を除去した表面波波形は、セメント硬化物番号とともにディスプレイ19に表示される。不要合成波形を除去した表面波波形は、表面波成分の初動を示す振幅以外の不要合成波形が除去されている(図10参照)。不要合成波形を除去した表面波波形は、プリンタを介して出力することができる。
コンピュータ14は、抽出した表面波波形の高速フーリエ変換による周波数応答特性を調べる。高速フーリエ変換によって算出された表面波の周波数スペクトルは、セメント硬化物番号とともにディスプレイ19に表示される(図11参照)。高速フーリエ変換によって算出された表面波の周波数スペクトルは、プリンタを介して出力することができる。コンピュータ14は、空間検出対象セメント硬化物11の不要合成波形を除去した表面波波形(不要合成波形を除去する以前の表面波波形や高速フーリエ変換によって算出した周波数スペクトルを含む)を各受発振センサS1〜S16を特定する識別子とセメント硬化物11を特定する識別子とに関連付けた状態(第1番フラグ、各受発振センサS1〜S16を特定する識別子、セメント硬化物11を特定する識別子を設定した状態)でハードディスクに格納する(波形記憶手段、波形記憶プロセス)。
コンピュータ14は、図14,15に示す式に基づき、波形収集手段(波形収集プロセス)によって抽出された表面波波形からそれら弾性波の波長と周波数とを求め、求めた波長と周波数とからそれら領域17毎(各セル毎)の表面波位相速度を算出する表面波位相速度算出手段(表面波位相速度算出プロセス)(S−17)。コンピュータ14は、求めた波長および周波数を各受発振センサS1〜S16を特定する識別子とセメント硬化物11を特定する識別子とに関連付けた状態(第1番フラグ、各受発振センサS1〜S16を特定する識別子、セメント硬化物11を特定する識別子を設定した状態)でハードディスクに格納する波長・周波数記憶手段(波長・周波数記憶プロセス)。
コンピュータ14は、算出した表面波位相速度を各領域17を特定する識別子とセメント硬化物11を特定する識別子とに関連付けた状態(第1番フラグ、各領域17を特定する識別子、セメント硬化物11を特定する識別子を設定した状態)でハードディスクに格納する表面波位相速度記憶手段(表面波位相速度記憶プロセス)。表面波位相速度は、図16に示すように、ディスプレイ19に表示される。
コンピュータ14は、図16に矢印Y1で示すように、表面波位相速度算出手段(表面波位相速度算出プロセス)によって算出した表面波位相速度のうちの健全部16において検出したハンマー13の周波数と一致する周波数に対応した表面波位相速度を抽出する。コンピュータ14は、抽出した表面波位相速度を各領域17を特定する識別子とセメント硬化物11を特定する識別子とに関連付けた状態(第1番フラグ、各領域17を特定する識別子、セメント硬化物11を特定する識別子を設定した状態)でハードディスクに格納する表面波位相速度記憶手段(表面波位相速度記憶プロセス)。
第1番目の弾性波から表面波位相速度を求めた後、コンピュータ14は、第2番目のハンマー打撃開始メッセージをディスプレイ19に表示する。コンピュータ14の指示に従って、それら検出センサS1〜S16のうちの第2番目のセンサS2の近傍(センサS2を中心としてその径方向0.03〜0.05mの範囲)を鋼球ハンマー13で打撃する。打撃時間は3〜7秒、打撃間隔は0.2〜0.3秒に1回である。センサS2の近傍を打撃すると、発振センサS2から第2番の第1〜第n弾性波が発振され、それら弾性波が受振センサS1,S3〜S16に受信される(図13参照)。第1〜第n弾性波を受振した受振センサS1,S3〜S16は、その弾性波をコンピュータ14に出力する。
コンピュータ14は、受振センサS1,S3〜S16から出力された第2番の第1〜第n弾性波の波形を収集する(波形収集手段、波形収集プロセス)(S−16)。コンピュータ14は、収集した第1〜第n弾性波の波形を重ね合わせて合成波形を生成する。弾性波の合成波形は、セメント硬化物番号とともにディスプレイ19に表示される(図9参照)。コンピュータ14は、生成した合成波形のうちの表面波成分の初動を示す振幅以外の不要合成波形を除去して空間検出対象セメント硬化物11の表面波波形を抽出する。不要合成波形を除去した表面波波形は、セメント硬化物番号とともにディスプレイ19に表示される(図10参照)。
コンピュータ14は、抽出した表面波波形の高速フーリエ変換による周波数応答特性を調べる。高速フーリエ変換によって算出された表面波の周波数スペクトルは、セメント硬化物番号とともにディスプレイ19に表示される(図11参照)。コンピュータ14は、空間検出対象セメント硬化物11の不要合成波形を除去した表面波波形(不要合成波形を除去する以前の表面波波形や高速フーリエ変換によって算出した周波数スペクトルを含む)を各受発振センサS1〜S16を特定する識別子とセメント硬化物11を特定する識別子とに関連付けた状態(第2番フラグ、各受発振センサS1,S3〜S16を特定する識別子、セメント硬化物11を特定する識別子を設定した状態)でハードディスクに格納する(波形記憶手段、波形記憶プロセス)。
コンピュータ14は、図14,15に示す式に基づき、波形収集手段(波形収集プロセス)によって抽出された表面波波形からそれら弾性波の波長と周波数とを求め、求めた波長と周波数とからそれら領域17毎(各セル毎)の表面波位相速度を算出する表面波位相速度算出手段(表面波位相速度算出プロセス)(S−17)。コンピュータ14は、求めた波長および周波数を各受発振センサS1〜S16を特定する識別子とセメント硬化物11を特定する識別子とに関連付けた状態(第2番フラグ、各受発振センサS1〜S16を特定する識別子、セメント硬化物11を特定する識別子を設定した状態)でハードディスクに格納する波長・周波数記憶手段(波長・周波数記憶プロセス)。
コンピュータ14は、算出した表面波位相速度を各領域17を特定する識別子とセメント硬化物11を特定する識別子とに関連付けた状態(第2番フラグ、各領域17を特定する識別子、セメント硬化物11を特定する識別子を設定した状態)でハードディスクに格納する表面波位相速度記憶手段(表面波位相速度記憶プロセス)。表面波位相速度は、ディスプレイ19に表示される(図16参照)。
コンピュータ14は、図16に矢印Y1で示すように、表面波位相速度算出手段(表面波位相速度算出プロセス)によって算出した表面波位相速度のうちの健全部16において検出したハンマー13の周波数と一致する周波数に対応した表面波位相速度を抽出する。コンピュータ14は、抽出した表面波位相速度を各領域17を特定する識別子とセメント硬化物11を特定する識別子とに関連付けた状態(第2番フラグ、各領域17を特定する識別子、セメント硬化物11を特定する識別子を設定した状態)でハードディスクに格納する表面波位相速度記憶手段(表面波位相速度記憶プロセス)。
第1番や第2番のセンサS1,S2近傍を打撃し、それらの表面波位相速度を求めた後、第3番〜第16番のセンサS3〜S16近傍を順番に打撃する。コンピュータ14は、所定数の表面波位相速度を算出したかを判断し(S−18)、表面波位相速度の算出が所定数未満の場合、表面波位相速度の算出が所定数になるまでステップ(S−16)〜ステップ(S−17)までを繰り返す。コンピュータ14は、第1番や第2番のセンサS1,S2と同様の手順で第3番目〜第16番目のセンサS3〜S16を発振センサとする表面波位相速度を算出し、合計16個の表面波位相速度を算出する。
コンピュータ14は、求めた波長および周波数を各受発振センサS1〜S16を特定する識別子とセメント硬化物11を特定する識別子とに関連付けた状態(第3番〜第16番フラグ、各受発振センサS1〜S16を特定する識別子、セメント硬化物11を特定する識別子を設定した状態)でハードディスクに格納する波長・周波数記憶手段(波長・周波数記憶プロセス)。
コンピュータ14は、算出した表面波位相速度を各領域17を特定する識別子とセメント硬化物11を特定する識別子とに関連付けた状態(第3番〜第16番フラグ、各領域17を特定する識別子、セメント硬化物11を特定する識別子を設定した状態)でハードディスクに格納する表面波位相速度記憶手段(表面波位相速度記憶プロセス)。表面波位相速度は、ディスプレイ19に表示される(図16参照)。
コンピュータ14は、図16に矢印Y1で示すように、表面波位相速度算出手段(表面波位相速度算出プロセス)によって算出した表面波位相速度のうちの健全部16において検出したハンマー13の周波数と一致する周波数に対応した表面波位相速度を抽出する。コンピュータ14は、抽出した表面波位相速度を各領域17を特定する識別子とセメント硬化物11を特定する識別子とに関連付けた状態(第3番〜第16番フラグ、各領域17を特定する識別子、セメント硬化物11を特定する識別子を設定した状態)でハードディスクに格納する表面波位相速度記憶手段(表面波位相速度記憶プロセス)。
図17〜図19は、ディスプレイ19に表示されたセメント硬化物11の内部状態を示す画像の図である。図17は、ハンマーヘッド18の直径Lがφ=3mm、ハンマー波長がλd=0.11mの場合の画像であり、図18は、ハンマーヘッド18の直径Lがφ=8mm、ハンマー波長がλd=0.18mの場合の画像である。図19は、ハンマーヘッド18の直径Lがφ=15mm、ハンマー波長がλd=0.24mの場合の画像である。
コンピュータ14は、抽出した表面波位相速度のそれら領域17毎(各セル毎)における表面波位相速度分布を表面波トモグラフィ解析を行うことで表示し、それによってセメント硬化物11の内部に生じた空間15a〜15dを可視化する内部空間可視化手段(内部空間可視化プロセス)。コンピュータ14は、可視化した画像をセメント硬化物11を特定する識別子に関連付けた状態(セメント硬化物11を特定する識別子を設定した状態)でハードディスクに格納する可視化画像記憶手段(可視化画像記憶プロセス)。
初期画面において可視化表示ボタンをクリックすると、コンピュータ14は、セメント硬化物番号入力エリア、表示ボタン、キャンセルボタンをディスプレイ19に表示する。セメント硬化物番号入力エリアに画像表示希望のセメント硬化物11の番号を入力し、表示ボタンをクリックする。表示ボタンをクリックすると、コンピュータ14は、図17〜図19に示すように、セメント硬化物番号に対応するセメント硬化物11の内部状態の可視化した画像をディスプレイ19に表示する可視化画像出力手段(可視化画像出力プロセス)。画像は、プリンタを介して出力することができる可視化画像出力手段(可視化画像出力プロセス)。
図17〜図19において、空間15a〜15dが生じていない箇所の色の濃淡が薄く表示され、空間15a〜15dが生じた箇所の色の濃淡が濃く表示されており、画像の見ることによってセメント構造物に生じた空間15a〜15dの場所と規模とがわかる。
非破壊検出システム10および非破壊検出方法は、セメント硬化物11の一方の表面12に設置された複数の弾性波第1〜第n検出センサS1〜Snが検出した複数の弾性波を用いて表面波トモグラフィ解析を行うことで表面波位相速度分布を表示し、それによってセメント硬化物11の内部に生じたひび割れや空洞、空隙等の空間15a〜15dを可視化するから、空間15a〜15dが明度の差や彩度の差によって表現され、セメント硬化物11の内部に生じた空間15a〜15dを視覚によって確認することができる。
非破壊検出システム10および非破壊検出方法は、セメント硬化物11を痛めることなく、セメント硬化物11の内部状態を検出することができ、セメント硬化物11の表面12からその内部の健全性の診断や補修による改良効果を検証することができる。非破壊検出システム10および非破壊検出方法は、表面波トモグラフィ解析を利用することで、セメント硬化物11の内部に生じた空間15a〜15dのセメント硬化物11における位置やその規模を把握することができる。非破壊検出システム10および非破壊検出方法は、弾性波第1〜第n検出センサS1〜Snをセメント硬化物11の一方の表面12に設置すればよく、それらセンサS1〜Snをセメント硬化物11の両面や内部に設置する必要がないから、一方の面だけにしかセンサS1〜Snを設置できないセメント硬化物11の内部の健全性を検証する場合に好適に使用することができる。
非破壊検出システム10および非破壊検出方法は、それら受振センサS1〜Snに受振された第1〜第n弾性波の波形を重ね合わせて合成波形を生成し、生成した合成波形のうちの表面波成分の初動を示す振幅以外の不要合成波形を除去して表面波波形を抽出し、抽出した表面波波形からそれら弾性波の波長と周波数とを求めるから、表面波波形に余分な反射波や回析波等が含まれることはなく、各種複数の弾性波や他の波が混合された混合波を利用することによる空間15a〜15dの検出誤差を防ぐことができ、セメント硬化物11の内部に生じた空間15a〜15dの正確な位置と規模とを検出することができる。