JPH06237933A - 特性計測装置 - Google Patents

特性計測装置

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JPH06237933A
JPH06237933A JP5030312A JP3031293A JPH06237933A JP H06237933 A JPH06237933 A JP H06237933A JP 5030312 A JP5030312 A JP 5030312A JP 3031293 A JP3031293 A JP 3031293A JP H06237933 A JPH06237933 A JP H06237933A
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JP
Japan
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vibration
measured
point
impedance
velocity
Prior art date
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Application number
JP5030312A
Other languages
English (en)
Inventor
Noritoshi Nakabachi
憲賢 中鉢
Hiroshi Kanai
浩 金井
Mokun Boku
茂薫 朴
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ono Sokki Co Ltd
Original Assignee
Ono Sokki Co Ltd
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Publication date
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  • Investigating Or Analyzing Materials By The Use Of Ultrasonic Waves (AREA)
  • Measurement Of Mechanical Vibrations Or Ultrasonic Waves (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】例えば生体内の骨の特性をin−vivoで計
測する。 【構成】骨を伝搬する振動の位相速度cを、c=4・f
|xmax −xmin |に従って求め、特性インピーダンス
0 に対する端部の機械的インピーダンスZa の比率Z
a /Z0 を、Za /Z0 ={1−j・(vxmax
xmin)・tan(βx min )}/{(vxmax
xmin)−j・tan(βxmin )}、但し、β=2π
/(4・|xmax −xmin |)に従って求める。ただし
max は振動最大の点でx=0に最も近い点、xmin
振動最小の点の中でx=0に最も近い点、vxmax,v
xminはそれぞれ点xmax ,xmin における振動速度であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、所定方向に一次元的に
延びる被測定体の特性、即ち、被測定体中を伝搬する曲
げ波の速度や被測定体のインピーダンス特性を計測する
特性計測装置に関し、特に生体中の骨の特性をin−v
ivoで(その生体を破壊することなく生きたまま)計
測するに適した特性計測装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より例えば建物の柱や梁等一次元的
に延びる被測定体の特性を計測する手法が種々提案され
ている。ここでは種々の提案のうち、人体の骨の特性の
計測を試みた種々の従来例についてその概略を説明す
る。骨は、身体の内部支持機能とともに頭蓋骨や胸部内
部の器官を保護する機能を有する。またこれらの機械的
機能に加えて、骨は血中や体液中のカルシウム濃度の平
衡調節にとって必要なカルシウムの動的貯蔵庫として重
要な代謝上の役割を演じている(William Bl
oom, Don W. Fawcett:A TEX
TBOOK OF HISTOLOGY, W.B.
Saunders Company 参照)。また、古
い骨は吸収(破壊)され、同じ量の新しい骨と置き換わ
っていくのである。そのバランスがとれていれば問題は
ないが、年をとるにしたがって骨の吸収と形成のバラン
スが崩れ、骨を構成する成分であるカルシウム、リン、
コラーゲンが減っていく。このような状態が長く続く
と、骨がスカスカになってしまう。これが最近注目を集
めている骨粗鬆症(Osteoporosis)と呼ば
れる病気である。アメリカでは千五百万人〜二千万人が
この病気になり、年間百二十万人が大腿骨頚部骨折を起
している。日本では、「厚生省シルバーサイエンス研究
老人性骨粗鬆症の予防及び治療法に関する総合的研究
班」が行った初の全国調査(87年)によると、新しく
生じた患者数は五万三千二百人になると推計されてい
る。さらに日本には四百万人〜五百万人の骨粗鬆症の患
者がいると考えられている。今後、老人人口が増えるに
つれ、患者数が増加していくことは確実である。
【0003】従来から骨の機械的特性の診断法について
様々な研究がある。Jouristは、尺骨(Uln
a)の共振周波数を測定することによって骨の弾性応答
をin−vivoで評価した。尺骨の共振周波数と長さ
の積はこの骨の音の速度に比例する。ここで、音の速度
は密度に対するヤング率の1/2乗に比例する。ヤング
率が正常の場合と骨粗鬆症の場合で異なることを示した
(J.M.Jurist: Invivo deter
mination of the elastic r
esponse of bone I. Method
of ulnar resonant freque
ncy determination,PHY.ME
D.BIOL. vol.15, No.3 PP41
7−426)(以下「文献1」と称する)参照)。また
Thompsonは、正弦的な加振による骨の応答をモ
ニタするため、振動の駆動点における力を測定すること
によって骨の機械的な性質を評価した(G.A.Tho
mpson: In vivo determinat
ion of bone properties fr
om mechanical impeadance
measurements: Reprints, A
nnu. Sci. Meeting Aerosp.
Med. Ass., Las. Vegas, N
V, May1973, PP133−134(以下
「文献2」と称する)参照)。
【0004】また、古渡千桂はインパルス衝撃法によっ
て骨折の治癒過程を定量的に評価する方法に関して述べ
た。ここでは、頚骨の長さと固有振動数から得られる、
骨密度に対するヤング率の比の値を骨の力学的特性を表
わす指標とした(C.Kowatari, Y.Nak
atuchi, A.Nomura, S.Shimo
mura, F.Kobayashi, Y.Sait
o, T.kano:The evaluation
of healing of a longbone
fracture and measurement
of mechanical properties
of tibia in vivoby impuls
e response method, 電子情報通信
学会,MEとバイオサイバネティックス研究会資料 M
BE92−51(1992−09)(以下「文献3」と
称する)参照)。
【0005】さらに、Katzは、共振周波数が5MH
zの2つのトランスデューサを用いて(22±1)°の
温度で大腿骨の縦波の伝搬時間を測定し、超音波伝搬速
度を求めた。ここで、超音波速度に対する周波数の範囲
は1MHz〜10MHzである。求めた伝搬速度を用い
て骨の異常の診断の可能性を示した(J.L.Kat
z, A.Meunier, H.S.Yoon,
P.K.Das, L.Biro, R.Mahari
dge, F.Vosburgh, P.Christ
el: An in vitro study of
normal and pathological h
uman femora, Biomechanics
in China, Japan, and U.
S.A.(1984) SCIENCE PRESS,
BEI−JING, CHINA(以下「文献4」と
称する)参照)。
【0006】Heaneyは、比較的海綿骨が多い膝蓋
骨を取り上げて研究を進めている。これは音の見かけ上
の伝搬速度(AVU)が、その経路上の骨密度と構造及
び材料特性によって影響されることに着目し、膝蓋骨の
両側にトランスデューサを取付け、100KHz〜60
0KHzの超音波が1つの検知器からもう1つの検知器
まで伝わるのにかかる時間を計測するものである。その
結果、AVUが骨粗鬆症患者と健康な女性との間で明瞭
な差異を示すことを報告した(R.Heaney,
L.Avioli, C.Chesnut III,
J.Lappe,R.Recker, G.Brand
enburger: Osteporotic bon
e fragility, JAMA, Vol.26
1, No.20(1989)(以下「文献5」と称す
る)参照)。
【0007】Brandenburgerは、2つのト
ランスデューサの距離と伝搬時間を測定し、超音波の伝
搬速度を求めた。これを用いて骨粗鬆症により骨の折れ
やすさを評価した(G.Brandenburger,
L.Avioli, C.Chesnut III,
R.Heaney, R.Poss, G. Pra
tt, R.Pecker: In vivo mea
surement of osteoporotic
bone fragility with appar
ent velocity of ultrasoun
d, Ultrasonics Symposium
PP.1023−1027(1989)(以下「文献
6」と称する)参照)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上述のように骨の特性
測定が従来より種々試みられているが、上述した文献1
〜文献3で提案された手法を用いて骨の特性をin−v
ivoで計測しようとすると、骨を覆っている筋肉や皮
膚の影響が避けられず、したがって正確な計測は困難で
ある。また上述した文献4〜文献6で提案された手法で
は、骨を伝搬させる音波(超音波)の周波数が極端に高
すぎるため、音波の減衰が激しく、このためS/Nが悪
く、したがってやはり正確な計測は困難である。
【0009】本発明は、上記事情に鑑み、所定方向に延
びる被測定体の特性を正確に計測することができ、例え
ば生体内の骨の特性の計測に適用した場合であっても正
確な計測を行うことのできる特性計測装置を提供するこ
とを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明の第1の特性計測装置は、 (1)所定方向に延びる被測定体の所定点を前記所定方
向と直交する直交方向に加振する加振器 (2)被測定体の、上記所定方向の各点における上記直
交方向への振動の速度を検出するセンサ (3)上記センサで検出された振動の速度分布に基づい
て被測定体を伝搬する曲げ波の速度を求める曲げ波速度
算出手段を備えたことを特徴とする。
【0011】上記曲げ波速度算出手段では、被測定体の
直交方向への振動の周波数をf、被測定体の直交方向へ
の周波数fの振動の速度が極大および極小となる、互い
に隣接する2つの点の座標をそれぞれxmax ,xmin
したとき、曲げ波の速度cが、 c=4・f・|xmax −xmin | ……(1) に従って算出される。
【0012】尚、本発明には(1)式と実質的に等価な
他の演算式が含まれることは言うまでもなく、また本発
明は(1)式もしくはこれと実質的に等価な他の演算式
に基づく演算の実現形態、例えばハードウェア的に実現
するか、コンピュータソフトウェアで実現するか等を問
うものでもない。また、上記目的を達成するための本発
明の第2の特性計測装置は、 (4)所定方向に延び両端がそれぞれ同一のもしくは互
いに異なる第2のインピーダンスで終端された、第1の
インピーダンスを有する被測定体の所定点を上記所定方
向と直交する直交方向に加振する加振器 (5)被測定体の、上記所定方向の各点における上記直
交方向への振動の速度を検出するセンサ (6)上記センサで検出された振動の速度分布に基づい
て上記第1のインピーダンスと上記第2のインピーダン
スとの比を算出するインピーダンス比算出手段を備えた
ことを特徴とする。
【0013】上記インピーダンス算出手段では、被測定
体の所定の一端と振動の速度が極小となる第1の点との
間の距離をxmi n 、この第1の点における振動の速度を
xmin、上記所定の一端と振動の速度が極大となる、上
記第1の点に隣接する第2の点との間の距離をxmax
この第2の点における振動の速度をvxmax、被測定体を
伝搬する曲げ波の位相定数をβとしたとき、上記所定の
一端を終端する第2のインピーダンスZa の、上記第1
のインピーダンスZ0 に対する比Za /Z0 が、式 Za /Z0 ={1−j・(vxmax/vxmin)・tan(βxmin )} /{(vxmax/vxmin)−j・tan(βxmin )} ……(2) 但し、β=2π/(4・|xmax −xmin |) に従って算出される。
【0014】尚、(1)式の場合と同様に、本発明には
(2)式と実質的に等価な他の演算式も含まれ、また、
その演算の実現形態を問うものでもない。また、上記セ
ンサは、被測定体の直交方向への振動の速度を、この振
動に起因するドップラー効果を利用して測定するもので
あることをが好ましく、特に、被測定体に向けて超音波
を送信するとともに被検査体で反射した超音波を受信す
る超音波振動子を備えたいわゆる超音波ドプラであるこ
とが好ましい。
【0015】また、本発明における被測定体は、例えば
生体の骨であってもよい。以下に、上記(1)式,
(2)式の算出について、生体中の骨を被測定体として
説明する。 (骨の分布定数線路モデル)1つの骨の両端の機械的な
インピーダンスをZa ,Zb として、分布定数線路モデ
ルを用いて定在波に関する位相速度と両端の機械的なイ
ンピーダンスを求める原理について述べる。
【0016】まず、1本の骨を、機械的な特定インピー
ダンスZ0 の均一な梁と近似し、骨の分布定数線路モデ
ルを図1のように表わす。即ち、点x=0で骨の径方向
の振動を励振ための大型の加振器を設置することを想定
し、その際の骨表面の径方向の速度分布を超音波ドプラ
ー装置を用いて測定するものとする。ここで速度を電
圧、力を電流に対応させ、大型の加振器を、内部インピ
ーダンスが零の定電圧源と近似する。
【0017】受電端電圧V0 ,電流I0 によって、任意
点xの電圧Vx ,電流Ix を表せば、 Vx =V0 +exp(γx)+V0 -exp(−γx) Z0x =V0 +exp(γx)−V0 -exp(−γx) ……(3) となる(喜安善市,斉藤伸自 電気回路 第8,9章
朝倉書店 1977年)(以下、「文献7」と称する)
参照)。ここで、V0 +とV0 -は、各々、点x=0におけ
る入射波電圧と反射電圧を表わす。従って、点x=0に
おいては、次式が成り立つ。
【0018】 V0 =V0 ++V0 -00 =V0 +−V0 - ……(4) ここで用いたZ0 は特性インピーダンス、γ(=α+j
β)は伝送定数、αは減衰定数、βは位相定数である。
また、両端の機械的なインピーダンスZa ,Zbを用い
て、両端における電圧は各々次のように表わされる。
【0019】 V0 =Za ・I0 ……(5) Vd =−Zb・d ……(6) (位相速度の算出)図2は図1の分布定数線路モデルに
おける電圧分布(骨の振動分布)の一例を示した図であ
る。
【0020】骨表面上で測定した速度分布の定在波の波
長λとその定在波の周波数fを求めることによって位相
速度cを次式によって計算することができる。 c=λ・f =4・f・|xmax −xmin | ……(7) ここで、図2に示すように、xmax は電圧最大の点の中
でx=0に最も近い点、xmin は電圧最小の点の中でx
=0に最も近い点である。この(7)式は前述した
(1)式そのものである。
【0021】(両端の機械インピーダンスの算出)図1
のモデルを用いて、まず分布定数線路の左端の機械的な
インピーダンスを求める原理を述べる。式(4)から点
x=0における入射波電圧と反射波電圧V 0 +,V0 -は次
のように得られる。
【0022】
【数1】
【0023】ここで式(8)を式(3)に代入すると
【0024】
【数2】
【0025】が得られる。さらに双曲線関数の公式
【0026】
【数3】
【0027】を用いれば式(9)は次のように変形でき
る。
【0028】
【数4】
【0029】となる。式(10)と式(5)から点xに
おけるインピーダンスを求めると、
【0030】
【数5】
【0031】である。従って、電圧最小の点xmin にお
けるインピーダンスZxminは次式で与えられる。
【0032】
【数6】
【0033】ここで、定在波の定在波比uは、電圧最大
の点xmax における電圧値をvxmaxとし、電圧最小の点
min における電圧値をvxminとすれば、次式で定義さ
れる。 u=vxmax/vxmin ……(13) また、Zxminに関しては次式が成立する(前述した文献
7参照)。
【0034】
【数7】
【0035】この式に(13)の定在波比uを代入すれ
ばZxminは次式で表わすことができる。 Zxmin=Z0 /u ……(15) 式(15)を式(12)に代入すると
【0036】
【数8】
【0037】となる。これをZa に関して整理すると
【0038】
【数9】
【0039】ここで、定在波比u、左端x=0から電圧
の最小の点までの距離xmin は、各々定在波分布から決
定することができる。また、伝送定数γ=α+jβに関
しては、減衰定数αを十分小さいものと仮定し、位相定
数βに関しては、
【0040】
【数10】
【0041】となる関係を用いれば、同様に定在波分布
からβを決定できる。ここで、式(19)のγにjβを
代入することによって、分布定数線路の特性インピーダ
ンスZ o に対する左端の機械的インピーダンスZa の比
の値を、次式によって算出できる。
【0042】
【数11】
【0043】すなわち、x=0の負荷から電圧最小点ま
での距離xmin と定在波比uを測定すれば、左端の正規
化機械インピーダンスZa /Z0 を求めることができ
る。この(19)式は、前述した(2)式そのものであ
る。同様に、右端の正規化機械インピーダンスZb /Z
0 は、右端x=dと右端からみたときの電圧最小点x’
min (x’min <d)までの距離(d−x’min )と定
在波比を用いて次式で表わすことができる。
【0044】
【数12】
【0045】この(20)式も、d−x’min →xmin
と置き換えれば、即ち座標の取り方を変更すれば前述し
た(2)式そのものとなる。尚ここでは生体の骨を被測
定体とした場合であるが、被測定体は生体の骨に限られ
るものではなく、例えば建物の梁などであってもよい。
【0046】
【作用】本発明は、上述したように被測定体を分布定数
線路モデルに置き換えて算出した(1),(2)式、も
しくはこれらの式と実質的に等価な式に基づいて被測定
体の特性を計測するものであり、後述する実施例に示す
ように、被測定体の特性を高精度に計測することができ
る。特にセンサとして超音波ドプラを採用すると、体内
の骨の振動を体外からin−vivoで高精度に検出す
ることができる。
【0047】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。こ
こでは先ず、レーザドプラ振動計を用いて加振時(白色
雑音)の梁(黄銅)表面における速度分布を測定し、次
に超音波ドプラ装置を用いて加振時(白色雑音)の骨表
面における速度分布を測定する。ここでは、梁と骨の表
面における速度分布の定在波の波長から算出される位相
速度と、特性インピーダンスに対する両端に存在する機
械的なインピーダンスの比を前述した測定原理を用いて
計算する。
【0048】図3に、長さ30cm、直径2mmの梁
(黄銅)表面の速度分布をレーザドプラ法によって計測
するシステムのブロック図を示す。両端を単純支持した
梁の中心を白色雑音u(t)を用いた加振器で加振す
る。図4は、図3に示す各点における周波数特性を示し
た図である。その加振点で、入力すなわち白色雑音u
(t)とレーザドプラ法によって計測した出力y(t;
x)がほぼ同じパワースペクトルになるようにイコイラ
イザを用いて調節する。これによって梁の各点での振動
をレーザドプラ振動計を用いて計測した際に加わる加振
器やレーザドプラの周波数特性を白色と近似することが
できる。
【0049】図3の測定システムで、その梁の左端の位
置(x=0)からレーザドプラを1cmずつ移動しなが
ら各位置x点における加振信号u(t)から梁の振動y
(t;x)への伝達関数H(f;x)、コヒーレンス関
数γ2 (f;x)を次のように求める。入力u(t)と
出力y(t;x)のフーリエスペクトルをそれぞれU
(f),Y(f;x)とすれば、伝達関数H(f;x)
は次式によって決定される。
【0050】
【数13】
【0051】一方、コヒーレンス関数は次式で表わされ
る。
【0052】
【数14】
【0053】ここで求めた速度分布H(f;x)から定
在波比uを得ることによって、梁の位相速度cと両端の
インピーダンスZa ,Zb を求めることができる。曲げ
波の伝搬速度と波長は、周波数と板の厚みに関係し、次
の式で示される(子安勝,中野有朋,五十嵐寿一,橋秀
樹,時田保夫:音響工学講座騒音・振動(下),日本音
響学会編,コロナ社(1982) 参照)。ここで、こ
の曲げ波は板の曲げ変化に対する応力で生ずる波であっ
て屈曲波とも呼ばれる。
【0054】 cB =√(1.8cL hf) ……(23) λB =√{(1.8cL h)/f} ……(24) 但しλB >6hである。ここで、cB は曲げ波の伝搬速
度、cL は縦波の伝搬速度、fは周波数、hは板の厚み
である。この方法で点x=14cmに関して測定したレ
ーザドプラの出力y(f;x)のパワースペクトルを図
5(a)に示す。ここで求めた135Hzのピーク周波
数を用いて測定した、梁(黄銅)における速度分布H
(f;x)の絶対値|H(f;x)|を図5(b)に示
す。図5(c)はこの際のコヒーレンス関数γ2 (f;
x)を示している。コヒーレンス関数の値はほぼ1であ
り、計測が信頼できることがわかる。ここで求められた
特性インピーダンスに対する両端の機械インピーダンス
a /Z0 ,Zb /Z0 と、速度分布の定在波の波長か
ら算出される位相速度cと、曲げ波の伝搬速度cB の値
は次のようになる。
【0055】 Za /Z0 =0.039 Zb /Z0 =0.029 c=40.50m/s cB =40.04m/s (f=135Hz) ここで、梁(黄銅)の縦波の伝搬速度は3300m/s
である。速度を電圧と対応させているから、求めた両端
のインピーダンスの値は図1のモデルと対応しているこ
とがわかる。
【0056】図6(a)は点x=14cmに関して測定
したレーザドプラの出力y(t;x)のパワースペクト
ルを示す。ここで求めた295Hzのピーク周波数を用
いて測定した梁における速度分布H(f;x)の絶対値
|H(f;x)|を図6(b)に示す。図6(c)はこ
の際のコヒーレンス関数γ2 (f;x)を示している。
相関の値はほぼ1であり、計測が信頼できることがわか
る。ここで求めた特性インピーダンスに対する両端の機
械インピーダンスZa /Z0 ,Zb /Z0 と、速度分布
の定在波の波長から算出される位相速度cと、曲げ波の
伝搬速度cB の値は次のようになる。
【0057】 Za /Z0 =0.058 Zb /Z0 =0.026 c=59.00m/s cB =59.20m/s (f=295Hz) ここで求めた両端の機械インピーダンスの値も図1のモ
デルと対応している。 (骨表面の速度分布測定)超音波ドプラ法による骨表面
の速度分布のin−vivo計測のブロック図を図7に
示す。白色雑音u(t)を用いて大型加振器で左手の尺
骨の手首部分を加振した。手首を加振したのは他の部分
より肉の影響が少く加振しやすいためである。その手首
の反対側の撓骨の位置をx=0とし、そこから超音波プ
ローブを2cmずつひじ方向へ移動しながら撓骨の径方
向の振動y(t;x)の計測を行い、黄銅の梁の場合と
同様にu(t)からy(t;x)への伝達関数H(f;
x)、コヒーレンス関数γ2 (f;x)を求める。
【0058】(レーザドプラ法と超音波ドプラ法の比
較)図7と同様な条件で、レーザドプラ法と超音波ドプ
ラ法を用いて30〜350Hzの白色雑音による加振時
の撓骨上の位置xにおける皮膚表面と骨表面の振動y
(t;x)を各々計測した。図8(a)と(b)は各々
レーザドプラ法と超音波ドプラ法で伝達関数H(f;
x)を測定した際の加振器の入力信号u(t)と計測さ
れた振動y(t;x)との間のコヒーレンス関数γ2
(f;x)を示している。この実験結果から骨表面の振
動は超音波ドプラ法を用いて測定する方が有効であると
言える。また、50Hzから250Hzの帯域における
振動はin−vivoでも十分計測可能であることがわ
かる。
【0059】(骨表面の速度分布のin−vivoでの
測定)図9(a)は被験者Aに対する点x=14cmに
関して測定した超音波ドプラの出力y(t;x)のパワ
ースペクトルを示す。ここで求めた111.25Hzの
ピーク周波数を用いて得られた撓骨における速度分布H
(f;x)の絶対値|H(f;x)|を図9(b)に示
す。図9(c)はこの際のコヒーレンス関数γ 2 (f;
x)を示している。コヒーレンス関数の値はほぼ1であ
り、計測が信頼できることがわかる。ここで求めた特性
インピーダンスに対する両端のインピーダンスZa /Z
0 ,Zb /Z0 と、速度分布の定在波の波長から算出さ
れる位相速度cと、曲げ波の伝搬速度cB の値は次のよ
うになる。
【0060】 Za /Z0 =2.76+j4.57 Zb /Z0 =−0.098−j0.202 c=86.78m/s cB =87.23m/s (f=111.25Hz) ここで、骨の縦波の伝搬速度を1900m/sとしてい
る。なお、この実験において、上記f=111.25H
zのxmax 点における骨の径方向の振動速度は0.08
4mm/sであった。
【0061】図10(a)は被験者Bに対する点x=1
4cmに関して測定した超音波ドプラの出力y(t;
x)のパワースペクトルを示す。ここで求めた131.
25Hzのピーク周波数を用いて得られた撓骨における
速度分布H(f;x)の絶対値|H(f;x)|を図1
0(b)に示す。図10(c)はこの際のコヒーレンス
関数γ2 (f;x)を示している。コヒーレンス関数の
値はほぼ1であり、計測が信頼できることがわかる。求
めた特性インピーダンスに対する両端のインピーダンス
a /Z0 ,Zb /Z0 と、速度分布の定在波の波長か
ら算出される位相速度cと、曲げ波の伝搬速度cB の値
は次のようになる。
【0062】 Za /Z0 =0.2966−j0.085 Zb /Z0 =0.357−j0.447 c=89.25m/s cB =94.75m/s (f=131.25Hz) ここでも縦波の伝搬速度を1900m/sとしている。
なお、この実験において、上記f=131.25Hzの
max 点における骨の径方向の振動速度は0.139m
m/sであった。なお、加振器の振幅は0.679μm
である。
【0063】上記のように、ここでは梁と骨の表面にお
ける速度分布を測定し、速度分布の定在波の波長から算
出される位相速度と、特性インピーダンスに対する両端
に存在する機械的なインピーダンスの比を求めた例を示
した。いずれの場合も精度の高い測定結果が得られた。
【0064】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
被測定体を伝搬する曲げ波の速度ないしインピーダンス
比が高精度に計測され、特に生体の骨のin−vivo
での計測にも有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】骨の分布定数線路モデルを示した図である。
【図2】図1の分布定数線路モデルにおける電圧分布
(骨の振動分布)の一例を示した図である。
【図3】レーザドプラ法による梁の振動計測システムを
示した図である。
【図4】図3に示す各点における周波数特性を示した図
である。
【図5】梁表面の振動の、レーザドプラ法による測定結
果を示した図である。
【図6】梁表面の振動の、レーザドプラ法による測定結
果を示した図である。
【図7】超音波ドプラ法による骨振動計測システムを示
した図である。
【図8】レーザドプラ法と超音波ドプラ法の比較を表わ
した図である。
【図9】骨表面の振動の、超音波ドプラ法による測定結
果を表わした図である。
【図10】骨表面の振動の、超音波ドプラ法による測定
結果を表わした図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G01N 29/18 8105−2J (72)発明者 金井 浩 宮城県仙台市青葉区中山4丁目18−1− 301 (72)発明者 朴 茂薫 宮城県仙台市青葉区三条町19−1 国際交 流会館B棟606号

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定方向に延びる被測定体の所定点を前
    記所定方向と直交する直交方向に加振する加振器と、 前記被測定体の、前記所定方向の各点における前記直交
    方向への振動の速度を検出するセンサと、 前記センサで検出された前記振動の速度分布に基づいて
    前記被測定体を伝搬する曲げ波の速度を求める曲げ波速
    度算出手段とを備えたことを特徴とする特性計測装置。
  2. 【請求項2】 前記曲げ波速度算出手段が、前記被測定
    体の前記直交方向への振動の周波数をf、前記被測定体
    の前記直交方向への周波数fの振動の速度が極大および
    極小となる、互いに隣接する2つの点の座標をそれぞれ
    max ,xmi n としたとき、前記曲げ波の速度cを、 c=4・f・|xmax −xmin | に従って算出するものであることを特徴とする請求項1
    記載の特性計測装置。
  3. 【請求項3】 所定方向に延び両端がそれぞれ同一のも
    しくは互いに異なる第2のインピーダンスで終端され
    た、第1のインピーダンスを有する被測定体の所定点を
    前記所定方向と直交する直交方向に加振する加振器と、 前記被測定体の、前記所定方向の各点における前記直交
    方向への振動の速度を検出するセンサと、 前記センサで検出された前記振動の速度分布に基づいて
    前記第1のインピーダンスと前記第2のインピーダンス
    との比を算出するインピーダンス比算出手段とを備えた
    ことを特徴とする特性計測装置。
  4. 【請求項4】 前記インピーダンス算出手段が、前記被
    測定体の所定の一端と前記振動の速度が極小となる第1
    の点との間の距離をxmin 、前記第1の点における前記
    振動の速度をvxmin、前記所定の一端と、前記振動の速
    度が極大となる、前記第1の点に隣接する第2の点との
    間の距離をxmax 、前記第2の点における前記振動の速
    度をvxmax、前記被測定体を伝搬する曲げ波の位相定数
    をβとしたとき、前記所定の一端を終端する第2のイン
    ピーダンスZa の、前記第1のインピーダンスZ0 に対
    する比Za /Z0 を、式 Za /Z0 ={1−j・(vxmax/vxmin)・tan(βxmin )} /{(vxmax/vxmin)−j・tan(βxmin )} 但し、β=2π/(4・|xmax −xmin |) に従って算出するものであることを特徴とする請求項3
    記載の特性計測装置。
  5. 【請求項5】 前記センサが、前記被測定体の前記直交
    方向への振動の速度を、該振動に起因するドップラー効
    果を利用して測定するものであることを特徴とする請求
    項1又は4記載の特性計測装置。
  6. 【請求項6】 前記センサが、前記被測定体に向けて超
    音波を送信するとともに該被検査体で反射した超音波を
    受信する超音波振動子を備えたものであることを特徴と
    する請求項5記載の特性計測装置。
  7. 【請求項7】 前記被測定体が、生体の骨であることを
    特徴とする請求項1又は4記載の特性計測装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008539884A (ja) * 2005-05-05 2008-11-20 ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア 骨折リスクを査定するための方法および器具
JP2011191202A (ja) * 2010-03-15 2011-09-29 Tobishima Corp 非破壊検出システムおよび非破壊検出方法

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