JP4171121B2 - 骨強度測定方法及び装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、測定対象である骨の超音波減衰値及び骨周波数特性値を掛け合わせて得られる音響学的骨強度値から骨の性状を把握する骨強度測定方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
骨粗鬆症に見られるような骨の老化に対し、予め老化の程度を知り、適切な老化予防や治療を施すことが望ましい。こうした観点から、様々な測定方法が提案されている。代表的なものに、放射線を利用するDXA法、SXA法、QCT法や、超音波を利用するQUS法がある。このうち、放射線を用いる測定方法は、若年者や妊婦の被爆が懸念されることから、近年では超音波を用いる測定方法が主流になってきている。超音波の利用形態は種々あるが、超音波を照射して骨を通過又は反射した超音波を測定するものが多い。例えば、特開平9-62056号「骨密度測定装置」は、空気中を伝播する超音波から骨中を伝搬する超音波の伝播速度を補正し、高精度に骨密度を測定する。また、特開平9-313483号「骨粗鬆症診断装置」は、骨に照射した超音波の反射波から音響インピーダンスを求め、骨密度を測定する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
超音波を用いる従来の測定方法には、測定値の経年的低下率を把握しにくい問題があった。測定値の経年的低下率が小さいと、正常者と異常者とを識別するカットオフ値の設定が困難になり、精度よく骨の性状を把握できなくなる。とりわけ男性の経年的低下率は小さく、従来の測定方法では、転倒等による軽微な外傷に基づく椎体骨折や大腿骨頚部骨折の存在を判別しにくかった。そこで、測定値の経年的低下率を捉らえやすく、より正確に骨の性状を把握できる測定方法を開発し、測定が容易かつ安全な測定装置を提供すべく、検討した。
【0004】
【課題を解決するための手段】
検討の結果開発したものが、測定対象である骨に超音波を照射して得られるBUA値(Broadband Ultrasonic Attenuation:超音波減衰値、単位dB/MHz)と、この骨の固有振動数を解析して得られるBFC値(Bone Frequency Characetristic:骨周波数特性値、単位Hz)とを掛け合わせて得られるABS値(Acoustic Bone Strength:音響学的骨強度値、単位μdB)の大小により骨の性状を把握する骨強度測定方法である。測定対象となる骨は自由に選択してよいが、従来の測定方法にも見られたように、踵骨を測定対象とすることが望ましい。
【0005】
本発明の測定方法は、それぞれ個別に経年的低下率を有するBUA値及びBFC値を掛け合わせることで経年的低下率の大きいABS値とし、このABS値をもって骨の性状を容易かつ正確に把握する。BUA値は骨質を評価する指標であり、皮質骨及び海面骨を合わせた骨梁数を反映する。BFC値は骨のヤング率を反映する値である。両値とも、20〜30歳でピークを迎え、その後加齢と共に減衰することが知られているが、単独では経年的低下を把握しにくい。ABS値は、両値を掛け合わせて各経年的低下を増幅し、変化をより把握しやすくした指標であり、値が大きいほど骨強度が高いと判定できる。また、BUA値及びBFC値はそれぞれ脊椎圧迫骨折の有無を判別する能力があるが、両者の積であるABS値は、前記判別能をより高めたものになっている。
【0006】
本発明の測定方法を具現化する場合、BUA値及びBFC値をそれぞれ単独の測定装置で計測し、別途コンピュータ等で数値化したBUA値及びBFC値を掛け合わせてABS値を取得してもよいが、BUA値及びBFC値を一連の作業で計測できるように、次のような装置を構成するとよい。すなわち、測定対象である骨を挟んで対峙する超音波発信用及び受信用トランスデューサからなる超音波測定部と、この骨に密接する圧電素子及び加振具からなる固有振動測定部と、各測定部の計測値を周波数変換する解析部と、この解析部の結果から骨のBUA値及びBFC値を特定し、得られた両値を掛け合わせてABS値を算出する演算部とからなる骨強度測定装置である。
【0007】
超音波測定部は、超音波発信用トランスデューサから骨に向けて超音波を発信し、骨を通過することで減衰した超音波を受信用トランスデューサで受信し、超音波のエネルギー損失を測定する。BUA値は、超音波測定部の計測値を周波数変換して特定できる。固有振動測定部は、加振具により骨に無痛下で振動を加え、この振動を圧電素子で検知する。BFC値は、固有振動測定部の計測値を周波数変換して特定できる。加振具は骨を叩く打鍵鎚や加振機等を用いることができる。圧電素子は、骨を覆う皮膚に密着させる方が好ましく、測定対象となる骨が踵骨の場合、踵骨アキレス腱付着部直上に密着させる。
【0008】
解析部は、各測定部が得た計測値を周波数解析する。この周波数解析にはFFTが好ましく、解析部へ送る計測値は、予め増幅回路により増幅しておくとよい。演算部は、解析部の結果から骨のBUA値及びBFC値を特定し、数値化した両値を掛け合わせてABS値を算出する。この演算部にはコンピュータを用い、ディスプレイに前記ABS値を数値又はグラフ化して表示するとよい。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について、図を参照しながら説明する。図1は本発明の骨強度測定装置の使用状態を表した側面図、図2はBUA値の基礎となる計測値を求める超音波測定部の部分破断正面図、図3はBFC値の基礎となる計測値を求める固有振動測定部を構成する圧電素子1の断面図、図4は本装置のブロック図である。本例は、BUA値については踵骨を、BFC値については楔上骨を打鍵鎚で叩いたときの踵骨を測定し、骨の性状として最終的にABS値を特定し、骨強度を把握する装置である。
【0010】
初めに、図1〜図3により、装置構成を説明する。測定台2はベース3上に傾斜して取り付けられており、測定台2より引き起こした足ガイド4に脹ら脛を宛てがうように足5を測定台2に載せる。この足5に対し、超音波測定部を構成する超音波送受信用トランスデューサ6,7が踵骨を挟むように、また固有振動測定部を構成する圧電素子1を踵骨アキレス腱付着部直上の皮膚に密着するようにそれぞれ配設している。
【0011】
超音波測定部は、図2に見られるように、踵骨を挟む位置関係で超音波送受信用トランスデューサ6,7を対向させ、互いが等量だけ接近離反する。両トランスデューサ6,7は等価な構成である。対向する面にウレタンゴム8を取り付けたハウジング9内に、超音波素子10を取り付けている。超音波素子10の一方に電圧を印加して超音波を発信する超音波送信用トランスデューサとし、他方で超音波を受信して骨を通過した超音波を測定する超音波受信用トランスデューサとしている。各ハウジング9,9は、両トランスデューサ6,7の対向方向に延びるボックス11上に立つスタンド12,12に支持され、両スタンド12,12がボックス11に対して摺動する。この両スタンド12,12は、精密レギュレータにより制御されるエアシリンダ13(図2中は向かって右側のスタンド12に対するエアシリンダ13のみを図示)の伸縮によって接近離反する。これにより、測定時には、常に一定の圧力で各トランスデューサ6,7が踵を挟持でき、測定の再現性が確保できる。また、被験者の足の大きさの違いによる測定誤差を軽減するため、ボックス11をベース3上にブラケット14によって支持し、ベース3に対するボックス11の距離を加減することで、各トランスデューサ6,7の高さ調節を可能にしている。
【0012】
固有振動測定部において、踵骨の振動のみを正確に測定するには、圧電素子1を不要な外部の振動から隔絶しておく必要がある。このため、図3に見られるように、まずウレタンゴム15を介して取付フランジ16に圧電素子1を固着し、この取付フランジ16をケーシング本体17に対してスプリング18で弾支し、更にウレタンゴム19を介してケーシング本体17を測定装置のベース3上のブラケット20に取り付けている(図1参照)。各ウレタンゴム15,19は外部からの振動に対して制振作用を発揮し、圧電素子1が踵骨の振動のみを正確に測定できるようにする。本例では、直接足が圧電素子1に触れないように、円弧状に切り欠いたカバー21内のケーシングヘッド22に薄厚のフィルム23を貼っている。被験者は、カバー21に踵を宛がうようにフィルム23を湾曲させながら、フィルム23を介して圧電素子1に踵を密着させる。
【0013】
このほか、測定装置の構成には、図1に見られるように、超音波受信用トランスデューサ6,7や圧電素子1からの電気信号を増幅する増幅回路24,24、増幅した電気信号を周波数解析する解析部としてのFFTアナライザ25,25、FFTアナライザ25からの信号を数値化し、BFC値、BUA値、そしてABS値を算出し、更に結果をディスプレイ26に表示するコンピュータ27や、電源回路28、超音波発信装置29、エアシリンダ用のエアコンプレッサ30、打鍵鎚31等がある。これらの関係を表したものが、図4に示すブロック図である。以下、このブロック図を参照しながら、測定手順について説明する。本例では、増幅回路24及びFFTアナライザ25はそれぞれ系統別に図示しているが、実際の装置では2系統の入出力を備えたものも少なくなく、兼用してもよい。
【0014】
図5は超音波測定部において踵骨に対して超音波を照射し、踵骨を通過した超音波を測定している状態を表したブロック図、図6は固有振動測定部において打鍵鎚31により振動させた踵骨の振動を測定している状態を表したブロック図、図7は得られたBFC値及びBUA値からABS値を算出し、このABS値を結果として表示している状態を表したブロック図である。BUA値及びBFC値についての測定順序は自由である。本例では、超音波測定部、固有振動測定部の順に説明する。
【0015】
測定装置に足5を載せた段階で、まず、図5に見られるように、超音波発振器29を作動させて超音波発信用トランスデューサ6から踵(踵骨)32に向けて超音波を照射し、対向する超音波受信用トランスデューサ7で受信する。超音波が空気中を伝搬することによる損失を抑えるため、各トランスデューサ6,7は踵32に密着させる。受信した超音波の強度は、超音波受信用トランスデューサ7から電気信号として出力され、増幅回路24で増幅した後、FFTアナライザ25で周波数解析してコンピュータ27に入力する。コンピュータでは、入力信号からBUA値と特定し、記憶しておく。測定に使用する超音波は200〜500kHzの範囲で定める。
【0016】
本例では、次のようにしてBUA値を特定する。超音波は、伝播媒体によって異なる減衰率で減衰しながら伝播する。よって、この減衰率を調べることは、伝播媒体、ここでは踵骨について調べることにほかならない。また、前記減衰率は周波数が高いほど顕著になる。そこで、超音波受信用トランスデューサが受信した超音波を電気信号として捉え、この電気信号をFFTによってパワースペクトルに変換することにより、周波数毎の減衰率(音圧:dB)がわかる。ここで、周波数に対する減衰率の勾配の絶対値を求めれば、これがBUA値となる。
【0017】
続いて、図6に見られるように、打鍵鎚31で楔上骨を叩き、この加振によって振動する踵骨の振動数を圧電素子1によって測定する。超音波測定部と異なり、測定者が打鍵鎚31により加振する固有振動測定部での測定においては、再現性を確認しておく必要がある。このため、測定は複数回繰り返し、得られるBFC値(Hz)の偏差が一定値以下であることを確認するとよい。例えば、測定を3回繰り返し、BFC値の偏差が15Hz以内にあることを、再現性があることの一つの目安にする。試験的は、測定者による誤差は最大3%という結果が得られている。検知した振動の強度は、圧電素子1から電気信号として出力され、増幅回路24で増幅した後、FFTアナライザ25によって周波数解析してコンピュータ27に入力する。
【0018】
コンピュータ27では、入力信号のレベルに比例して電気信号を数値化し、これをBFC値として記憶しておくわけであるが、このBFC値の算出には、多孔性物質について得られる以下のアルゴリズムに基づいた計算を用いる。いわゆる多孔性物質の固有振動数fcは、材質、大きさ、孔の有無及び個数、測定時の固定条件等によって異なるものの、両端を固定した棒状多孔性物質(弾性体)のfcは次式により求めることができる。
【0019】
【数1】
fc=(n/2L)*(E/ρ)1/2
【0020】
nは自然数、Lは弾性体の長さ、Eはヤング率、そしてρは密度である。長さLが一定の場合、fcはヤング率の平方根に比例し、密度の平方根に反比例する。また、多孔性物質のヤング率は実験式として次式が与えられている。
【0021】
【数2】
E=E0*exp(-d*P)
【0022】
dは定数、Pは多孔性物質の気孔率であり、そしてE0はP=0におけるヤング率である。Eの式をfcの式に代入すると、fcは気孔率に概ね逆比例することが分かる。すなわち、多孔性物質(弾性体)の大きさ及び密度が一定であれば、fcはPを反映するのである。
【0023】
測定して得た物質の振動をはじめとする周波数計測値は、一般に、フーリエ解析によってパワースペクトルに分解できる。このパワースペクトルのうち、第1次ピークは、物質の第1次高調波振動数fpを表している。また、物質の振動は、復元力に対して抵抗を受けると振幅が減少し、同時に周期が長く、すなわち周波数が減衰する。このとき、物質の固有振動数fcと第1次高調波振動数fpとは、次式のような関係を有する。
【0024】
【数3】
fp=((2πfc)2−k2)1/2/2π
【0025】
【数4】
-ln(Xn+2/Xn)=(2πk)/((2πfc)2−k2)1/2
【0026】
kは一定の減衰率、定数であり、-ln(Xn+2/Xn)は対数減衰率である。両式から定数kを消去すれば、この物質の固有振動数fcは次式に第1次高調波振動数fpを当てはめることで求められるようになる。
【0027】
【数5】
fc=fp*(1+(2π)-2*(ln(Xn+2/Xn))2)1/2
【0028】
このように、物質の固有振動数fcは、振動波形より減衰率Xn+2/Xnを読み取り、パワースペクトルから第1次高調波振動数fpを求めて上式に代入すると、求めることができる。この固有振動数fc算出に必要な減衰率Xn+2/Xn及び第1次高調波振動数fpは、いずれも圧電素子が検知した振動波形をFFTにより得られるパワースペクトルの解析により特定できる。このため、本例ではFFTアナライザ25を利用しているのである。
【0029】
一般に、骨は骨梁と骨髄とからなる一種の多孔性物質と考えらており、上述の考え方を適用することで、骨の固有振動数を測定できると考えられる。これについては、実験により、fcは軟部組織による影響を受けにくいことが証明されているので、概ね妥当と思われる。記述したように、固有振動数は物質の多孔率に逆比例するから、骨の固有振動数を知ることは、この骨の空隙率、すなわち骨強度を知ることになるのである。
【0030】
ここで、fcは物質の大きさに反比例することから、骨強度の指標とするに当たり、算出結果を骨の大きさに基づく補正をしなければならない。本例では、身長による補正として次式を用い、この式の結果を最終的に得られるBFC値としている。htは身長(cm)であり、実験的に、161cmを標準として直線的な比例関係で補正している。
【0031】
【数6】
BFC=fc*ht/161(Hz)
【0032】
コンピュータ25では、図7に見られるように、上述までの測定及びアルゴリズムに則った算出により得られたBUA値、BFC値を掛け合わせてABS値を算出する。算出結果は、数値のまま、又はより視覚的に、平均値や通常値との対比をグラフ化し、ディスプレイ26に表示するとよい。BUA値及びBFC値を得るための測定は、放射線被爆がないことはもちろん、いずれも身体に対して非侵襲であり、測定時間も短い。しかしながら、経年的低下の程度を増幅した形のABS値の算出は、より確度の高い骨強度の判定指標であり、予防及び治療に対する有益な情報を提供してくれるのである。
【0033】
【実施例】
次に、具体的な測定を通して本発明の有効性を確認した。今回の試験では、BUA値及びBFC値をそれぞれ個別の測定装置で測定し、別途コンピュータにて数値化した両値を掛け合わせてABS値を得た。BUA値については、CUBA clinical(MuCue製)を用い、右踵骨について測定した。また、BFC値については、Bone Vibration Analyzer(ショーエーテクニカ製)を用い、同じく右踵骨について測定した。算出した値は、測定値の経年変化を表す年間変化率と、測定対象者の年代毎に20〜44歳の測定値から算出したYAM80%以下及びYAM70%以下との割合である。また、症例として独歩可能な男性680例(22〜89歳、平均年令55.3歳)のうち、197例に対してTh11からL5までの日本骨代謝学会診断基準に基づく椎体骨折の有無を調べ、各測定値毎の椎体骨折に対するリスクを計算した。更に、230例については、QDR1000W(HOLOGIC製)による第三腰椎前後方向のBMD値を測定し、経年的低下の検証データとした。
【0034】
年間変化率については、いずれの試験結果からも、50歳代前半にやや大きくなる傾向が見られた。具体的な数値は、BUA値が1.19%、BFC値が0.77%の低下であったのに対し、ABS値は1.89%の低下を示した。この低下率は、70歳代前半で最も顕著になり、BUA値が2.18%、BFC値が1.33%、そしてABS値は3.91%であった。BMD値については、加齢と共に微増傾向を示しいた。また、50〜54歳のBUA値、BFC値、そしてABS値それぞれにおけるYAM80%以下の全体に対する割合は、それぞれ24.4%、7.8%、そして40.4%であり、YAM70%以下の全体に対する割合は、それぞれ6.7%、2.2%、そして22.5%であった。60〜64歳になると、各値それぞれにおけるYAM80%以下の全体に対する割合は、それぞれ43.1%、13.9%、そして64.8%であり、YAM70%以下の全体に対する割合は、それぞれ16.7%、1.4%、そして45.1%であった。そして、これらから求められる脊椎骨折のリスクは、BUA値が3.63倍(95%CI、1.18〜11.1)、BFC値が1.33倍(95%CI、1.22〜46.0)、そしてABS値は3.91倍(95%CI、1.70〜36.5)であった。
【0035】
以上の結果から、ABS値が加齢による男性の骨変化を敏感に捉える指標として有効であることが分かる。この度使用したCUBA clinical(MuCue製)によるBUA値も敏感な値であるが、ABS値には及ばないことが、有効性を物語っている。また、BMD値の変化との比較により、ABS値が男性の脊椎骨折の有無をも反映することが分かる。このように、従来の測定では精度の高い骨強度を測定できなかった男性の骨の経年的低下を、本発明によればよりはっきりと把握できるようになる。
【0036】
続いて、上述と同様の試験装置の構成で、女性の右踵骨に対して試験を実施した。算出した値は、測定値の経年変化を表す年間変化率と、測定対象者の年代毎に18〜44歳の測定値から算出したYAM80%以下及びYAM70%以下との割合である。また、症例として独歩可能な女性4785例(18〜93歳、平均年令54.3歳)に対してTh11からL5までの日本骨代謝学会診断基準に基づく椎体骨折の有無を調べ、各測定値毎の椎体骨折に対するリスクを計算した。
【0037】
年間変化率は、40歳代後半から60歳前半にかけて、BUA値が2.57%、BFC値が1.09%、そしてABS値が3.49%で最大の低下率を示した。この低下率は、65〜75歳においてやや緩慢となり、70歳代後半には、BUA値が1.81%、BFC値が1.21%、そしてABS値が3.08%となった。50〜54歳のBUA値、BFC値、そしてABS値それぞれにおけるYAM80%以下の全体に対する割合は、それぞれ36.7%、17.3%、そして52.4%であり、YAM70%以下の全体に対する割合は、それぞれ16.0%、3.1%、そして33.6%であった。60〜64歳になると、各値それぞれにおけるYAM80%以下の全体に対する割合は、それぞれ82.5%、34.0%、そして89.4%であり、YAM70%以下の全体に対する割合は、それぞれ58.9%、9.4%、そして78.2%であった。以上から求められる脊椎骨折のリスクは、BUA値が6.45倍(95%CI、4.37〜9.51)、BFC値が11.8倍(95%CI、8.28〜16.9)、そしてABS値は14.9倍(95%CI、7.59〜29.2)であった。
【0038】
YAM80%、YAM70%といった値は、いわゆる測定値から骨性状を判断する際のカットオフ値となるが、従来の測定方法ではカットオフ値の設定が難しかった。これは、生体が水に近い性状であるために、超音波の速度の変動が、骨性状の劣化に拘わりなく、水中下の超音波の速度での微少な増減に留まっていたためと考えら得る。また、多くの超音波を用いた骨性状を調べる測定方法においては、加齢と共に測定値が減少していくことが、YAM値の設定を難しくしていた。これに対して、ABS値は経年的低下に敏感な数値であり、また40歳までに至る加齢では、減少が少ないためにYAM値の設定も比較的容易であることが分かった。このように、本発明の測定方法によれば、女性についてもより確度の高い良好な骨強度の測定が実施できることが分かった。
【0039】
【発明の効果】
本発明の骨強度測定方法により、女性については従来より確度の高い測定が、男性については従来では難しかった骨強度の測定が可能になるなど、確度の高い骨強度の性状判断、骨折予防及び予知ができるようになった。既に、BUA値を求める超音波測定については様々な方法が提案され、実績が上げられている。本発明はこうした方法を利用することもできる。また、BFC値を求める測定方法は、論理的及び実証的に妥当性が得られており、再現性も高い。すなわち、本発明による骨強度測定方法は、高い信頼性を有するのである。
【0040】
BUA値及びBFC値の測定はいずれも簡易であり、各測定を実現する測定部は、既に説明したように、一体の装置構成でまとめることができる。こうした測定装置は、測定に関わる一連の作業を手順よく実施して測定効率を高めるのに役立つ。また、一体化した装置は取扱いも便利であり、これらは本発明の効果をより高める働きを有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の骨強度測定装置の使用状態を表した側面図である。
【図2】 BUA値の基礎となる計測値を求める超音波測定部の部分破断正面図である。
【図3】 BFC値の基礎となる計測値を求める固有振動測定部を構成する圧電素子の断面図である。
【図4】本装置のブロック図である。
【図5】超音波測定部において、踵骨に対して超音波を照射し、踵骨を通過した超音波を測定している状態を表したブロック図である。
【図6】固有振動測定部において、打鍵鎚により振動させた踵骨の振動を測定している状態を表したブロック図である。
【図7】得られたBFC値及びBUA値からABS値を算出し、このABS値を結果として表示している状態を表したブロック図である。
【符号の説明】
1 圧電素子
6 超音波送信用トランスデューサ
7 超音波受信用トランスデューサ
25 FFTアナライザ
26 ディスプレイ
27 コンピュータ
32 踵(踵骨)

Claims (2)

  1. 測定対象である骨に超音波を照射して得られる超音波減衰値と、該骨の固有振動数を解析して得られる骨周波数特性値とを掛け合わせて得られる音響学的骨強度値の大小により骨の性状を把握することを特徴とする骨強度測定方法。
  2. 測定対象である骨を挟んで対峙する超音波発信用及び受信用トランスデューサからなる超音波測定部と、該骨に密接する圧電素子及び加振具からなる固有振動測定部と、各測定部の計測値を周波数変換する解析部と、該解析部の結果から骨の超音波減衰値及び骨周波数特性値を特定し、得られた両値を掛け合わせて音響学的骨強度値を算出する演算部とからなることを特徴とする骨強度測定装置。
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