JP3436954B2 - 硬化性組成物 - Google Patents
硬化性組成物Info
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、硬化性組成物に関する
ものであり、更に詳しくは、加熱により、低温度、短時
間で硬化するカチオン重合性組成物に関する。該組成物
の硬化物は、優れた物性を有しているため成型樹脂、注
型樹脂、塗料、接着剤、インキ等の材料として好適に用
いられる。 【0002】 【従来の技術】カチオン重合開始剤およびその組成物が
記載されているものとして、特開昭58−37003
号、特開昭63−223002号、特開昭56−152
833号、特開平2−178319号、特開平3−17
119号などが知られている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】カチオン重合開始剤
は、カチオン重合性化合物を短時間に硬化することがで
きるものとして有用な開始剤である。特に、熱により重
合反応を開始する所謂熱潜在性カチオン重合開始剤は、
これまでのアミン化合物や酸無水物によるエポキシ樹脂
の硬化よりも低温、短時間硬化が可能とされ、一液化が
可能である重要な重合開始剤である。これらには、例え
ば、特開昭58−37003号等に記載されているスル
ホニウム塩化合物、及び特開平2−178319号等に
記載されているアンモニウム塩化合物などがある。 【0004】しかし、上記スルホニウム塩化合物では、
硫黄原子を含有するため、開始剤自身および硬化物に臭
気がある問題があり、上記アンモニウム塩化合物では、
硬化物特性が悪いという問題点を有している。更に、こ
れらの重合開始剤は、硬化温度も高く、低温硬化が困難
であり、また、これらの開始剤は何れも合成時にベンジ
ルハライド等の刺激性の高い化合物を使用するという欠
点がある。 【0005】本発明は、前に述べた事情からみてなされ
たもので、安価で簡便に合成が可能であるとともに無臭
で、低温度、短時間で硬化し、硬化物特性に優れた硬化
性組成物を提供することを目的としている。 【0006】 【問題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成するため鋭意検討したところ、特定の複素環式四
級アンモニウム塩化合物と加熱により活性ラジカルを発
生する化合物を併用することで、カチオン重合性化合物
を低温度、短時間で硬化させることを見出し、硬化物特
性に優れた硬化性組成物を完成するに至った。 【0007】本発明は、〔A〕N−アルキル化複素環式
四級アンモニウム塩化合物、〔B〕加熱により活性ラジ
カルを発生する化合物、及び〔C〕カチオン重合性化合
物を含有してなることを特徴とする硬化性組成物であ
る。以下、本発明を詳細に説明する。 【0008】本発明のN−アルキル化された複素環式四
級アンモニウム塩化合物〔A〕とは、メチル基、エチル
基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチ
ル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基等のC1 か
らC8 の直鎖又は分枝のアルキル基によって、複素環内
の窒素原子が4級化された複素環式四級アンモニウム塩
化合物である。 【0009】本発明に使用される含窒素複素環化合物と
しては、例えば、オキサゾール、イソオキサゾール、オ
キゾリン、イソオキサゾリン、オキサジアゾール、チア
ゾール、チアゾリン、イソチアゾール、イソチアゾリ
ン、チアジアゾール、ジチアゾール、オキサジン、イミ
ダゾール、イミダゾリン、ピラゾール、ピロリジン、ピ
ロール、ピリジン、キノリン、キノキサリン、アクリジ
ン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、チアジン、キ
ノリジン、ベンゾチアゾール、ベンゾオキサゾール、イ
ンドール、ベンズイミダゾール等の単環式含窒素複素環
化合物あるいは縮合環式含窒素複素環化合物を挙げるこ
とができる。 【0010】また、上記の含窒素複素環化合物は、フッ
素、塩素、臭素などのハロゲン原子、メチル基、エチル
基、メトキシカルボニルメチル基、エトキシカルボニル
メチル基、ベンジル基、p−クロロベンジル基、p−メ
チルベンジル基、p−ニトロベンジル基などの置換を有
していてもよいアルキル基、メトキシ基、エトキシ基な
どのアルコキシ基、ニトロ基、水酸基、シアノ基、アセ
チルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、フェニルアミノ基
等の置換基を有していてもよいアミノ基、フェニル基、
p−クロロフェニル基、p−ニトロフェニル基、p−メ
チルフェニル基などの置換基を有していてもよいフェニ
ル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等
のアルコキシカルボニル基、メチルチオ基、エチルチオ
基、フェニルチオ基、p−クロロフェニルチオ基、p−
メチルフェニルチオ基、p−ニトロフェニルチオ基、2
−ニトロフェニルチオ基、2,4−ジニトロフェニルチ
オ基、メトキシカルボニルメチルチオ基、エトキシカル
ボニルメチルチオ基等の一般式SR基で表される置換
基、メルカプト基、ベンツヒドリル基、フェナシル基、
α−フェニルフェナシル基、シンナミル基等の置換基で
置換されていてもよく、これらの化合物も本発明におい
て同様に使用することができる。 【0011】本発明のN−アルキル化複素環式四級アン
モニウム塩化合物の対イオンは、SbF6 ,AsF6 ,
PF6 又はBF4 であり、この内、SbF6 が好んで用
いられる。 【0012】本発明のN−アルキル化複素環式四級アン
モニウム塩化合物は、例えば、次のような方法により得
ることができる。ジメチル硫酸等のジアルキル硫酸又は
p−トルエンスルホン酸メチル等のスルホン酸アルキル
とピリジン誘導体、キノリン誘導体、アクリジン誘導
体、ピラジン誘導体、キノキサリン誘導体、ベンゾリア
ゾール誘導体、ベンゾオキサゾール誘導体等の含窒素複
素環化合物とを等モルづつ、必要に応じてメタノール、
ジオキサン、アセトニトリル等の溶媒存在下にて室温〜
120℃で、数時間〜30日間反応させ、次いで、得ら
れた固形物または液状物を水若しくは水−メタノール系
等の水−有機溶媒系に溶解せしめ、六フッ化アンチモン
酸ナトリウムを加え激しく攪拌し、析出した液状または
固形物の生成物を分離後、乾燥して得ることができる。 【0013】本発明の代表的な複素環式四級アンモニウ
ム塩化合物として、次の化1、化2及び化3のものが例
示される。但し、式中のXはSbF6 ,AsF6 ,PF
6 又はBF4 を表す。 【0014】 【化1】【0015】 【化2】【0016】 【化3】【0017】本発明において使用される加熱により活性
ラジカルを発生する化合物〔B〕とは、アゾイソブチロ
ニトリル等のアゾ化合物、アジド化合物、パーオキサイ
ド化合物などをいうが、特に、パーオキサイド化合物が
好ましく適用され、例えば、下記のようなものが使用さ
れる。 【0018】メチルエチルケトンパーオキサイド、シク
ロヘキサノンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオ
キサイドのようなケトンパーオキサイド;1,1−ビス
(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサノン、2,2−
ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタンのようなパーオキ
シケタール;t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメ
ンハイドロパーオキサイドのようなハイドロパーオキサ
イド:ジクミルパ−オキサイド、ジ−t−ブチルパーオ
キサイドノようなジアルキルパーオキサイド;イソブチ
ルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ベンゾイ
ルパーオキサイドのようなジアシルパーオキサイド;ジ
イソプロピルパーオキシカ−ボネートなどのパーオキシ
カーボネート;t−ブチルパーオキシアセテート、クミ
ルパーオキシネオデカネートのようなパーオキシエステ
ル;アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイ
ド、テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニルベンゾフ
ェノンなどが適用される。特に、芳香族のジアシルパー
オキサイドやパーオキシエステルが好ましく使用され
る。 【0019】本発明に使用されるカチオン重合性化合物
〔C〕としては、次のような化合物が挙げられる。 (a)エポキシ基を有する化合物として、1,1,3−
テトラデカジエンジオキサイド、リモネンジオキサイ
ド、4−ビニルシクロヘキセンジオキサイド、(3,4
−エポキシシクロヘキシル)メチル−3,4−エポキシ
シクロヘキシルカルボキシレート、ジ(3,4−エポキ
シシクロヘキシル)アジペート、フェニルグリシジルエ
ーテル、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ハロゲン化
ビスフェノールA型エポキシ樹脂、o−,m−,p−ク
レゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラ
ック型エポキシ樹脂、多価アルコールのポリグリシジル
エーテル等のエポキシ化合物 【0020】(b)ビニル化合物として、スチレン、α
−メチルスチレン、p−クロロメチルスチレン等のスチ
レン類;n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニル
エーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシ
ブチルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル類;
アリルビニルエーテル、1−オクタヒドロナフチルビニ
ルエーテル等のアルケニルビニルエーテル類;エチニル
ビニルエーテル、1−メチル−2−プロペニルビニルエ
ーテル等のアルキニルビニルエーテル類;フェニルビニ
ルエーテル、p−メトキシフェニルビニルエーテル等の
アリールビニルエーテル類;ブタンジオールジビニルエ
ーテル、トリエチレングリコールビニルエーテル、シク
ロヘキサンジオールジビニルエーテル等のアルキルジビ
ニルエーテル類;1,4−ベンゼンジメタノールジビニ
ルエーテル、N−m−クロロフェニルジエタノールアミ
ンジビニルエーテル、m−フェニレンビス(エチレング
リコール)ジビニルエーテル等のアラルキルジビニルエ
ーテル類;ハイドロキノンジビニルエーテル、レゾルシ
ノールジビニルエーテル等のアリールジビニルエーテル
類;N−ビニルカルバゾール、N−ビニルピロリドン等
のカチオン重合性窒素含有化合物等 【0021】(c)ビシクロオルソエステル化合物とし
て、1−フェニル−4−エチル−2,6,7−トリオキ
サビシクロ〔2,2,2〕オクタン,1−エチル−4−
ヒドロキシメチル−2,6,7−トリオキサビシクロ
〔2,2,2〕オクタン等 【0022】(d)スピロオルソカーボネート化合物と
して、1,5,7,11−テトラオキサスピロ〔5,
5〕ウンデカン、3,9−ジベンジル−1,5,7,1
1−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン等や1,
4,6−トリオキサスピロ〔4,4〕ノナン,2−メチ
ル−1,4,6−トリオキサスピロ〔4,4〕ノナン,
1,4,6−トリオキサスピロ〔4,5〕デカン等のス
ピロオルソエステル化合物等である。 【0023】これらは、単独若しくは2種以上を併用し
て用いても差し支えない。(a)〜(d)の内で、殊に
(a)のエポキシ基を有する化合物が好んで使用され
る。 【0024】本発明において、N−アルキル化複素環式
四級アンモニウム塩化合物〔A〕とカチオン重合性化合
物〔C〕との配合割合は、カチオン重合性化合物100
部に対し、複素環式四級アンモニウム塩化合物 0.01 〜
20 部、好ましくは 0.1〜 10 部の割合で配合する。こ
のN−アルキル化された窒素系の複素環式四級アンモニ
ウム塩化合物量が少いと、カチオン重合性化合物の硬化
性が低下し、過剰であると硬化物特性が低下する。 【0025】一方、加熱により活性ラジカルを発生する
化合物〔B〕とカチオン重合性化合物との配合割合は、
カチオン重合性化合物100部に対し、加熱により活性
ラジカルを発生する化合物 0.01 〜 20 部、好ましくは
0.1〜 10 部の割合で配合する。この加熱により活性ラ
ジカルを発生する化合物量が少いと、カチオン重合性化
合物の低温硬化性が低下し、過剰であると硬化物特性が
低下する。 【0026】本発明の硬化性組成物は、加熱により容易
に硬化できる。熱硬化する場合は、20〜200℃、好
ましくは、50〜180℃の範囲で使用される。また、
本発明の硬化性組成物は、α線、β線、γ線、中性子
線、X線、加速電子線のような電離性放射線によっても
容易に短時間で硬化することができる。電離性放射線に
よる硬化の場合は、通常0.5〜60Mradの線量の
範囲が使用でき、1〜50Mradの範囲が好ましい。
なお、電離性放射線及び熱を併用して硬化させることも
可能である。 【0027】また、本発明の硬化性組成物において、加
熱により活性ラジカルを発生する化合物にパーオキサイ
ドを使用する場合、フェロセン、ナフテン酸コバルト、
ナフテン酸マンガン等の一般に知られているパーオキサ
イドの分解促進剤を併用するとより低温で効率よく硬化
することができる。 【0028】本発明の複素環式四級アンモニウム塩化合
物と光ラジカル重合開始剤を併用して使用すると、カチ
オン重合重合性化合物を光硬化することができる。光ラ
ジカル重合開始剤としては、ベンゾフェノン、チオキサ
ントン、ベンズアントラキノン、ベンズアンスロン等の
水素引き抜き型の開始剤が好ましい。 【0029】本発明の複素環式四級アンモニウム塩化合
物は、カチオン重合開始剤として、一般に単独で使用さ
れるが、他のカチオン重合開始剤と併用して用いること
もできる。また、前記(a)のエポキシ基を有する化合
物を用いる場合は、エポキシ樹脂の硬化剤として通常用
いられている、フェノール系硬化剤、酸無水物類硬化剤
等の硬化剤を性能が損なわない範囲内で併用して用いて
もよい。前記のカチオン重合性化合物に本発明の開始剤
を配合して使用する際に、必要に応じて反応性希釈剤、
硬化促進剤、溶剤、顔料、染料、カップリング剤、無機
充填剤、炭素繊維ガラス繊維、界面活性剤等を添加して
使用される。 【0030】 【実施例】以下、本発明を合成例、実施例、比較例によ
り、更に具体的に説明する。但し、本発明は、これらの
実施例に何等限定されるものではない。 【0031】(合成例1)N−メチル−2−フェニル−
4−メトキシカルボニルキノリニウムヘキサフロロアン
チモネートの合成 ジメチル硫酸 3.78 gと2−フェニル−4−キノリンカ
ルボン酸メチル 7.90gを混合し、90℃で5時間反応
後、50℃で8日間反応させた。得られた化合物をエー
テルで洗浄し、40℃で減圧乾燥し、前駆体のN−メチ
ル−2−フェニル−4−メトキシカルボニルキノリニウ
ムスルフェートを得た。収率:98%N−メチル−2−
フェニル−4−メトキシカルボニルキノリニウムスルフ
ェート 3.89 gを蒸留水20gに溶解させ、六フッ化ア
ンチモン酸カリウム 3.30 gを加え、よく攪拌し冷却し
た。析出した化合物を分別し、40℃で減圧乾燥した。
収率:96% 得られたN−メチル−2−フェニル−4−メトキシカル
ボニルキノリニウムヘキサフロロアンチモネートのIR
スペクトルデータは下記のとおりであった。 IR(KBr,cm-1):1728,1603,157
3,1442,1358,1274,1248,100
7,772,710,661 【0032】(合成例2)N−メチル−2,6−ジクロ
ロピリジニウムヘキサフロロアンチモネトの合成 ジメチル硫酸 5.05 gと2,6−ジクロロピリジン 4.4
4 gを混合し、90℃で2日間反応後、50℃で5日間
反応させた。得られた化合物をエーテルで洗浄し、40
℃で減圧乾燥し、前駆体のN−メチル−2,6−ジクロ
ロピリジニウムスルフェートを得た。 収率:96% N−メチル−2,6−ジクロロピリジニウムスルフェー
ト 2.74 gを蒸留水20gに溶解させ、六フッ化アンチ
モン酸カリウム 3.30 gを加え、よく攪拌し、冷却し
た。析出した化合物を分別し、40℃で減圧乾燥した。
収率:68% 得られたN−メチル−2,6−ジクロロピリジニウムヘ
キサフロロアンチモネートのIRスペクトルデータは下
記のとおりであった。 IR(KBr,cm-1):3104,1627,160
0,1576,1504,1455,103,802,
657 【0033】(合成例3)N−メチル−2−メトキシ−
5−ニトロピリジニウムヘキサフロロアンチモネートの
合成 ジメチル硫酸 5.05 gと2−メトキシ−5−ニトロピリ
ジン 4.62 gを混合し、90℃で5時間反応後、50℃
で8日間反応させた。得られた化合物をエーテルで洗浄
し、40℃で減圧乾燥し、前駆体のN−メチル−2−メ
トキシ−5−ニトロピリジニウムスルフェートを得た。
収率:80% N−メチル−2−メトキシ−5−ニトロピリジニウムス
ルフェート 2.80 gを蒸留水5g、メタノール2g、メ
チルエチルケトン(以下、MEKと言う)2gの混合溶
媒に溶解させ、六フッ化アンチモン酸カリウム 3.30 g
を加え、よく攪拌した。この溶液に蒸留水45gを加
え、よく攪拌し冷却した。析出した化合物を分別し、4
0℃で乾燥した。 収率:50% 得られたN−メチル−2−メトキシ−5−ニトロピリジ
ニウムヘキサフロロアンチモネートのIRスペクトルデ
ータは下記のとおりであった。 IR(KBr,cm-1):1673,1608,156
1,1346,1316,1110,840,758,
653 【0034】(合成例4)N−エチル−2−シアノピリ
ジニウムヘキサフロロアンチモネートの合成 ジエチル硫酸 6.94 gと2−シアノピリジン 4.16 gを
混合し、50℃で4日間反応させた。得られた化合物を
エーテルで洗浄し、40℃で減圧乾燥し、前駆体のN−
エチル−2−シアノピリジニウムスルフェートを得た。
収率:98% N−メチル−2−シアノピリジニウムスルフェート 2.5
8 gを蒸留水20gに溶解させ、六フッ化アンチモン酸
カリウム 3.30 gを加え、よく攪拌し、冷却した。析出
した化合物を分離し、40℃で減圧乾燥した。 収率:
76% 得られたN−メチル−2−シアノピリジニウムヘキサフ
ロロアンチモネートのIRスペクトルデータは下記のと
おりであった。 IR(KBr,cm-1):3109,1618,151
2,1478,1456,1165,786,660 【0035】(合成例5)N−メチル−3−ヒドロキシ
−6−メチル−2−ニトロピリジニウムヘキサフロロア
ンチモネートの合成 ジメチル硫酸 3.78 gと3−ヒドロキシ−6−メチル−
2−ニトロピリジン4.62gを混合し、90℃で6時間反
応後、50℃で3日間反応させた。得られた化合物をエ
ーテルで洗浄し、40℃で減圧乾燥し、前駆体のN−メ
チル−3−ヒドロキシ−6−メチル−2−ニトロピリジ
ニウムスルフェートを得た。収率:91% N−メチル−3−ヒドロキシ−6−メチル−2−ニトロ
ピリジニウムスルフェート 2.80 gを蒸留水5gとME
K2gの混合溶媒に溶解させ、六フッ化アンチモン酸カ
リウム 3.30 gを加え、よく攪拌した。この溶液に蒸留
水45gを加え、よく攪拌し、冷却した。析出した化合
物を分別し、40℃で乾燥した。収率:35% 得られたN−メチル−3−ヒドロキシ−6−メチル−2
−ニトロピリジニウムヘキサフロロアンチモネートのI
Rスペクトルデータは下記のとおりであった。 IR(KBr,cm-1):3394,1628,156
0,1515,1481,1407,1354,131
9,1266,12341198,837 ,695 【0036】(合成例6)N−メチル−8−ニトロキノ
リニウムヘキサフロロアンチモネートの合成 ジメチル硫酸 5.05 gと8−ニトロキノリン 5.22 gを
混合し、90℃で40時間反応後、50℃で47日間反
応させた。得られた化合物をエーテルで洗浄し、40℃
で減圧乾燥し、前駆体のN−メチル−8−ニトロキノリ
ニウムスルフェートを得た。 収率:97% N−メチル−2−ニトロキノリニウムスルフェート 3.0
0 gを蒸留水20gに溶解させ、六フッ化アンチモン酸
カリウム 3.30 gを加え、よく攪拌し冷却した。析出し
た化合物を分別し、40℃で減圧乾燥した。 収率:6
8% 得られたN−メチル−8−ニトロキノリニウムヘキサフ
ロロアンチモネートののIRスペクトルデータは下記の
とおりであった。 IR(KBr,cm-1):1630,1594,153
8,1454,1366,1342,1236,84
1,756,659 【0037】(合成例7)N−メチル−2−メトキシピ
リジニウムヘキサフロロアンチモネートの合成 ジメチル硫酸 3.78 gと2−メトキシピリジン 3.27 g
を混合し、室温で19時間反応させた。得られた化合物
をエーテルで洗浄し、40℃で減圧乾燥し、前駆体のN
−メチル−2−メトキシピリジニウムスルフェートを得
た。収率:97% N−メチル−2−メトキシピリジニウムスルフェート
2.35 gを蒸留水50gに溶解させ、六フッ化アンチモ
ン酸カリウム 3.30 gを加え、よく攪拌し、冷却した。
析出した化合物を分別し、40℃で乾燥した。 収率:
59% 得られたN−メチル−2−メトキシピリジニウムヘキサ
フロロアンチモネートのIRスペクトルデータは下記の
とおりであった。 IR(KBr,cm-1):1642,1591,152
5,1480,1438,1320,1300,117
2,1016,778,656 【0038】(合成例8)N−メチル−2,6−ジメチ
ルピリジニウムヘキサフロロアンチモネートの合成 ジメチル硫酸 3.78 gと2,6−ルチジン 3.21 gを混
合し、室温で19時間反応させた。得られた化合物をエ
ーテルで洗浄し、40℃で減圧乾燥し、前駆体のN−メ
チル−2,6−ジメチルピリジニウムスルフェートを得
た。収率:91% N−メチル−2,6−ジメチルピリジニウムスルフェー
ト 2.33 gを蒸留水50gに溶解させ、六フッ化アンチ
モン酸カリウム 3.30 gを加え、よく攪拌し、冷却し
た。析出した化合物を分別し、40℃で乾燥した。 収
率:71% 得られたN−メチル−2,6−ジメチルピリジニウムヘ
キサフロロアンチモネートのIRスペクトルデータは下
記のとおりであった。 IR(KBr,cm-1):1634,1593,149
9,1449,1382,1260,1181,103
6,798,656 【0039】(合成例9)N−メチル−2−メチルチオ
ベンゾチアゾリウムヘキサフロロアンチモネートの合成 ジメチル硫酸 3.78 gと2−メチルチオベンゾチアゾー
ル 5.44 gをジオキサン3gに溶解させ、50℃で18
時間反応させた。得られた化合物をエーテルで洗浄し、
40℃で減圧乾燥し、前駆体のN−メチル−2−メチル
チオベンゾチアゾリウムスルフェートを得た。 収率:
98% N−メチル−2−メチルチオベンゾチアゾリウムスルフ
ェート 2.75 gを蒸留水50gに溶解させ、六フッ化ア
ンチモン酸カリウム 3.30 gを加え、よく攪拌し、冷却
した。析出した化合物を分別し、40℃で乾燥した。
収率:88% 得られたN−メチル−2−メチルチオベンゾチアゾリウ
ムヘキサフロロアンチモネートのIRスペクトルデータ
は下記のとおりであった。 IR(KBr,cm-1):1495,1468,145
1,1424,1402,1324,1145,112
0,775,656 【0040】(合成例10)N−メチル−3−ブロモキ
ノリニウムヘキサフロロアンチモネートの合成 ジメチル硫酸 3.78 gと3−ブロモキノリン 6.24 gを
混合し、室温で19時間反応させた。得られた化合物を
エーテルで洗浄し、40℃で減圧乾燥し、前駆体のN−
メチル−3−ブロモキノリニウムスルフェートを得た。
収率:99% N−メチル−3−ブロモキノリニウムスルフェート 3.3
4 gを蒸留水50gに溶解させ、六フッ化アンチモン酸
カリウム 3.30 gを加え、よく攪拌し、冷却した。析出
した化合物を分別し、40℃で乾燥した。 収率:98
% 得られたN−メチル−3−ブロモキノリニウムヘキサフ
ロロアンチモネートのIRスペクトルデータは下記のと
おりであった。 IR(KBr,cm-1):1578,1522,137
7,1222,1134,911,775,660 【0041】(合成例11)N−メチル−2−(エトキ
シカルボニルメチルチオ)ピリジニウムヘキサフロロア
ンチモネートの合成 2−エトキシカルボニルメチルチオピリジン5.92g
とジメチル硫酸3.78gを混合し、50℃で4日間反
応させた。得られた化合物をエーテルで洗浄し、40℃
で減圧乾燥し、前駆体のN−メチル−2−(エトキシカ
ルボニルメチルチオ)ピリジニウムスルフェートを得
た。収率:98% N−メチル−2−(エトキシカルボニルメチルチオ)ピ
リジニウムスルフェート3.23gを蒸留水20gに溶
解させ、六フッ化アンチモン酸カリウム3.30gを加
え、よく攪拌し、冷却した。析出した化合物を分離し、
40℃で減圧乾燥させた。 収率:96% 得られたN−メチル−2−(エトキシカルボニルメチル
チオ)ピリジニウムヘキサフロロアンチモネートのIR
スペクトルデータは下記のとおりであった。 IR(KBr,cm-1):1726,1614,156
5,1497,1456,1275,1153,101
6,775,660 【0042】(合成例12)N−メチル−2−(α−フ
ェネチルチオ)ベンゾチアゾリウムヘキサフロロアンチ
モネートの合成 ジメチル硫酸3.78gと2−(α−フェネチルチオ)
ベンゾチアゾール8.14gを混合し、50℃で4日間
反応させた。得られた化合物をエーテルで洗浄し、40
℃で減圧乾燥し、前駆体のN−メチル−2−(α−フェ
ネチルチオ)ベンゾチアゾリウムスルフェートを得た。
収率:87% N−メチル−2−(α−フェネチルチオ)ベンゾチアゾ
リウムスルフェート3.98gを蒸留水20gに溶解さ
せ、六フッ化アンチモン酸カリウム3.30gを加え、
よく攪拌し、冷却した。析出した化合物を濾別し、40
℃で減圧乾燥させた。 収率:78% 得られたN−メチル−2−(α−フェネチルチオ)ベン
ゾチアゾリウムヘキサフロロアンチモネートのIRスペ
クトルデータは下記のとおりであった。 IR(KBr,cm-1):1588,1494,145
2,1425,1403,775,759,703,6
58 【0043】(合成例13)N−メチル−2−シンナミ
ルチオベンゾチアゾリウムヘキサフロロアンチモネート
の合成 ジメチル硫酸3.78gと2−シンナミルチオベンゾチ
アゾール8.50gをジオキサン2gに溶解させ、90
℃で30分間反応させた後、50℃で3日間反応させ
た。得られた化合物をエーテルで洗浄し、40℃で減圧
乾燥し、前駆体のN−メチル−2−シンナミルチオベン
ゾチアゾリウムスルフェートを得た。収率:98% N−メチル−2−シンナミルチオベンゾチアゾリウムス
ルフェート4.10gを蒸留水5gとMEK2gの混合
溶媒にに溶解させ、六フッ化アンチモン酸カリウム3.
30gを加え、よく攪拌した。この溶液に蒸留水45g
を加え、よく攪拌し、冷却した。析出した化合物を分離
し、40℃で減圧乾燥させた。 収率:96% 得られたN−メチル−2−シンナミルチオベンゾチアゾ
リウムヘキサフロロアンチモネートのIRスペクトルデ
ータは下記のとおりであった。 IR(KBr,cm-1):1590,1494,145
1,1422,1058,972,756,699,6
58 【0044】(合成例14)N−メチル−2−デシルチ
オベンゾチアゾリウムヘキサフロロアンチモネートの合
成 ジメチル硫酸3.78gと2−デシルチオベンゾチアゾ
ール7.23gをジオキサン2gに溶解させ、50℃で
5日間反応させた。得られた化合物をエーテルで洗浄
し、40℃で減圧乾燥し、前駆体のN−メチル−2−デ
シルチオベンゾチアゾリウムスルフェートを得た。 収
率:98% N−メチル−2−デシルチオベンゾチアゾリウムスルフ
ェート4.88gを蒸留水5gとMEK5gの混合溶媒
に溶解させ、六フッ化アンチモン酸カリウム3.30g
を加え、よく攪拌した。この溶液に蒸留水45gを加
え、よく攪拌し、冷却した。析出した化合物を分離し、
40℃で減圧乾燥させた。 収率:92% 得られたN−メチル−2−デシルチオベンゾチアゾリウ
ムヘキサフロロアンチモネートのIRスペクトルデータ
は下記のとおりであった。 IR(KBr,cm-1):1681,1595,146
5,1449,1388,1273,1200,99
3,766,702,657 【0045】(合成例15)N−メチル−2−(2,4
−ジニトロフェニルチオ)ベンゾチアゾリウムヘキサフ
ロロアンチモネートの合成 ジメチル硫酸4.41gと2−(2,4−ジニトロフェ
ニルチオ)ベンゾチアゾール10.00gをジオキサン
7gに溶解させ、90℃で6時間反応させた。得られた
化合物をエーテルで洗浄し、40℃で減圧乾燥し、前駆
体のN−メチル−2−(2,4−ジニトロフェニルチ
オ)ベンゾチアゾリウムスルフェートを得た。 収率:
59% N−メチル−2−(2,4−ジニトロフェニルチオ)ベ
ンゾチアゾリウムスルフェート4.59gを蒸留水20
gに溶解させ、六フッ化アンチモン酸カリウム3.30
gを加え、よく攪拌し、冷却した。析出した化合物を分
離し、40℃で減圧乾燥させた。 収率:68% 得られたN−メチル−2−(2,4−ジニトロフェニル
チオ)ベンゾチアゾリウムヘキ サフロロアンチモネー
トのIRスペクトルデータは下記のとおりであった。 IR(KBr,cm-1):1703,1645,159
7,1469,1451,1292,1215,119
0,967,845,705,657 【0046】(実施例1〜23)合成例1〜15で合成
した化合物をプロピレンカーボネートに溶解させ、ER
L−4221(UCC社製、脂環エポキシ)に純分とし
て2.5部になるように添加し、更に、各パーオキサイ
ドを2.5部添加し、配合物を調整した。これらの硬化
性組成配合物についてDSC測定を行い、発熱ピークの
トップ温度を求めた。なお、DSC測定条件は、下記の
通りであり、その測定結果を表1および表2に示した。 【0047】 【表1】【0048】 【表2】 【0049】−DSC測定条件− DSC測定機器 : DSC220C(セイコー電子工
業社製) 雰囲気 : 窒素ガス気流中 30ml/分 昇温温度 : 10℃/分 サンプル量 : 0.3〜0.8mg 【0050】(比較例1)本発明の比較用試料として、
ベンジル−4−シアノピリジニウムヘキサフロロアンチ
モネートを開始剤に用い、該化合物をプロピレンカーボ
ネートに溶解させ、ERL−4221に純分として 2.5
部になるように添加して硬化性組成配合物を調整した。 【0051】(比較例2)本発明の比較用試料として、
N−ベンジル−N−メチル−N−エチルアニリニウムヘ
キサフロロアンチモネートを開始剤に用い、該化合物を
プロピレンカーボネに溶解させ、ERL−4221に純
分として 2.5部になるように添加して硬化性組成配合物
を調整した。上記の比較例1、比較例2の配合物につい
て、実施例同様にDSC測定を行い、発熱ピークのトッ
プ温度を求めた。これらの結果を纏めて表2に示した。 【0052】 【発明の効果】以上説明したように、本発明の硬化性組
成物は、表1および表2に見られるように、加熱処理に
より、極めて迅速に重合、硬化させることができる。ま
た、本発明に使用される芳香族複素環式四級アンモニウ
ム塩化合物は、無臭気であるとともに、合成が容易かつ
安価にできる。
ものであり、更に詳しくは、加熱により、低温度、短時
間で硬化するカチオン重合性組成物に関する。該組成物
の硬化物は、優れた物性を有しているため成型樹脂、注
型樹脂、塗料、接着剤、インキ等の材料として好適に用
いられる。 【0002】 【従来の技術】カチオン重合開始剤およびその組成物が
記載されているものとして、特開昭58−37003
号、特開昭63−223002号、特開昭56−152
833号、特開平2−178319号、特開平3−17
119号などが知られている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】カチオン重合開始剤
は、カチオン重合性化合物を短時間に硬化することがで
きるものとして有用な開始剤である。特に、熱により重
合反応を開始する所謂熱潜在性カチオン重合開始剤は、
これまでのアミン化合物や酸無水物によるエポキシ樹脂
の硬化よりも低温、短時間硬化が可能とされ、一液化が
可能である重要な重合開始剤である。これらには、例え
ば、特開昭58−37003号等に記載されているスル
ホニウム塩化合物、及び特開平2−178319号等に
記載されているアンモニウム塩化合物などがある。 【0004】しかし、上記スルホニウム塩化合物では、
硫黄原子を含有するため、開始剤自身および硬化物に臭
気がある問題があり、上記アンモニウム塩化合物では、
硬化物特性が悪いという問題点を有している。更に、こ
れらの重合開始剤は、硬化温度も高く、低温硬化が困難
であり、また、これらの開始剤は何れも合成時にベンジ
ルハライド等の刺激性の高い化合物を使用するという欠
点がある。 【0005】本発明は、前に述べた事情からみてなされ
たもので、安価で簡便に合成が可能であるとともに無臭
で、低温度、短時間で硬化し、硬化物特性に優れた硬化
性組成物を提供することを目的としている。 【0006】 【問題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成するため鋭意検討したところ、特定の複素環式四
級アンモニウム塩化合物と加熱により活性ラジカルを発
生する化合物を併用することで、カチオン重合性化合物
を低温度、短時間で硬化させることを見出し、硬化物特
性に優れた硬化性組成物を完成するに至った。 【0007】本発明は、〔A〕N−アルキル化複素環式
四級アンモニウム塩化合物、〔B〕加熱により活性ラジ
カルを発生する化合物、及び〔C〕カチオン重合性化合
物を含有してなることを特徴とする硬化性組成物であ
る。以下、本発明を詳細に説明する。 【0008】本発明のN−アルキル化された複素環式四
級アンモニウム塩化合物〔A〕とは、メチル基、エチル
基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチ
ル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基等のC1 か
らC8 の直鎖又は分枝のアルキル基によって、複素環内
の窒素原子が4級化された複素環式四級アンモニウム塩
化合物である。 【0009】本発明に使用される含窒素複素環化合物と
しては、例えば、オキサゾール、イソオキサゾール、オ
キゾリン、イソオキサゾリン、オキサジアゾール、チア
ゾール、チアゾリン、イソチアゾール、イソチアゾリ
ン、チアジアゾール、ジチアゾール、オキサジン、イミ
ダゾール、イミダゾリン、ピラゾール、ピロリジン、ピ
ロール、ピリジン、キノリン、キノキサリン、アクリジ
ン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、チアジン、キ
ノリジン、ベンゾチアゾール、ベンゾオキサゾール、イ
ンドール、ベンズイミダゾール等の単環式含窒素複素環
化合物あるいは縮合環式含窒素複素環化合物を挙げるこ
とができる。 【0010】また、上記の含窒素複素環化合物は、フッ
素、塩素、臭素などのハロゲン原子、メチル基、エチル
基、メトキシカルボニルメチル基、エトキシカルボニル
メチル基、ベンジル基、p−クロロベンジル基、p−メ
チルベンジル基、p−ニトロベンジル基などの置換を有
していてもよいアルキル基、メトキシ基、エトキシ基な
どのアルコキシ基、ニトロ基、水酸基、シアノ基、アセ
チルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、フェニルアミノ基
等の置換基を有していてもよいアミノ基、フェニル基、
p−クロロフェニル基、p−ニトロフェニル基、p−メ
チルフェニル基などの置換基を有していてもよいフェニ
ル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等
のアルコキシカルボニル基、メチルチオ基、エチルチオ
基、フェニルチオ基、p−クロロフェニルチオ基、p−
メチルフェニルチオ基、p−ニトロフェニルチオ基、2
−ニトロフェニルチオ基、2,4−ジニトロフェニルチ
オ基、メトキシカルボニルメチルチオ基、エトキシカル
ボニルメチルチオ基等の一般式SR基で表される置換
基、メルカプト基、ベンツヒドリル基、フェナシル基、
α−フェニルフェナシル基、シンナミル基等の置換基で
置換されていてもよく、これらの化合物も本発明におい
て同様に使用することができる。 【0011】本発明のN−アルキル化複素環式四級アン
モニウム塩化合物の対イオンは、SbF6 ,AsF6 ,
PF6 又はBF4 であり、この内、SbF6 が好んで用
いられる。 【0012】本発明のN−アルキル化複素環式四級アン
モニウム塩化合物は、例えば、次のような方法により得
ることができる。ジメチル硫酸等のジアルキル硫酸又は
p−トルエンスルホン酸メチル等のスルホン酸アルキル
とピリジン誘導体、キノリン誘導体、アクリジン誘導
体、ピラジン誘導体、キノキサリン誘導体、ベンゾリア
ゾール誘導体、ベンゾオキサゾール誘導体等の含窒素複
素環化合物とを等モルづつ、必要に応じてメタノール、
ジオキサン、アセトニトリル等の溶媒存在下にて室温〜
120℃で、数時間〜30日間反応させ、次いで、得ら
れた固形物または液状物を水若しくは水−メタノール系
等の水−有機溶媒系に溶解せしめ、六フッ化アンチモン
酸ナトリウムを加え激しく攪拌し、析出した液状または
固形物の生成物を分離後、乾燥して得ることができる。 【0013】本発明の代表的な複素環式四級アンモニウ
ム塩化合物として、次の化1、化2及び化3のものが例
示される。但し、式中のXはSbF6 ,AsF6 ,PF
6 又はBF4 を表す。 【0014】 【化1】【0015】 【化2】【0016】 【化3】【0017】本発明において使用される加熱により活性
ラジカルを発生する化合物〔B〕とは、アゾイソブチロ
ニトリル等のアゾ化合物、アジド化合物、パーオキサイ
ド化合物などをいうが、特に、パーオキサイド化合物が
好ましく適用され、例えば、下記のようなものが使用さ
れる。 【0018】メチルエチルケトンパーオキサイド、シク
ロヘキサノンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオ
キサイドのようなケトンパーオキサイド;1,1−ビス
(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサノン、2,2−
ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタンのようなパーオキ
シケタール;t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメ
ンハイドロパーオキサイドのようなハイドロパーオキサ
イド:ジクミルパ−オキサイド、ジ−t−ブチルパーオ
キサイドノようなジアルキルパーオキサイド;イソブチ
ルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ベンゾイ
ルパーオキサイドのようなジアシルパーオキサイド;ジ
イソプロピルパーオキシカ−ボネートなどのパーオキシ
カーボネート;t−ブチルパーオキシアセテート、クミ
ルパーオキシネオデカネートのようなパーオキシエステ
ル;アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイ
ド、テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニルベンゾフ
ェノンなどが適用される。特に、芳香族のジアシルパー
オキサイドやパーオキシエステルが好ましく使用され
る。 【0019】本発明に使用されるカチオン重合性化合物
〔C〕としては、次のような化合物が挙げられる。 (a)エポキシ基を有する化合物として、1,1,3−
テトラデカジエンジオキサイド、リモネンジオキサイ
ド、4−ビニルシクロヘキセンジオキサイド、(3,4
−エポキシシクロヘキシル)メチル−3,4−エポキシ
シクロヘキシルカルボキシレート、ジ(3,4−エポキ
シシクロヘキシル)アジペート、フェニルグリシジルエ
ーテル、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ハロゲン化
ビスフェノールA型エポキシ樹脂、o−,m−,p−ク
レゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラ
ック型エポキシ樹脂、多価アルコールのポリグリシジル
エーテル等のエポキシ化合物 【0020】(b)ビニル化合物として、スチレン、α
−メチルスチレン、p−クロロメチルスチレン等のスチ
レン類;n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニル
エーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシ
ブチルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル類;
アリルビニルエーテル、1−オクタヒドロナフチルビニ
ルエーテル等のアルケニルビニルエーテル類;エチニル
ビニルエーテル、1−メチル−2−プロペニルビニルエ
ーテル等のアルキニルビニルエーテル類;フェニルビニ
ルエーテル、p−メトキシフェニルビニルエーテル等の
アリールビニルエーテル類;ブタンジオールジビニルエ
ーテル、トリエチレングリコールビニルエーテル、シク
ロヘキサンジオールジビニルエーテル等のアルキルジビ
ニルエーテル類;1,4−ベンゼンジメタノールジビニ
ルエーテル、N−m−クロロフェニルジエタノールアミ
ンジビニルエーテル、m−フェニレンビス(エチレング
リコール)ジビニルエーテル等のアラルキルジビニルエ
ーテル類;ハイドロキノンジビニルエーテル、レゾルシ
ノールジビニルエーテル等のアリールジビニルエーテル
類;N−ビニルカルバゾール、N−ビニルピロリドン等
のカチオン重合性窒素含有化合物等 【0021】(c)ビシクロオルソエステル化合物とし
て、1−フェニル−4−エチル−2,6,7−トリオキ
サビシクロ〔2,2,2〕オクタン,1−エチル−4−
ヒドロキシメチル−2,6,7−トリオキサビシクロ
〔2,2,2〕オクタン等 【0022】(d)スピロオルソカーボネート化合物と
して、1,5,7,11−テトラオキサスピロ〔5,
5〕ウンデカン、3,9−ジベンジル−1,5,7,1
1−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン等や1,
4,6−トリオキサスピロ〔4,4〕ノナン,2−メチ
ル−1,4,6−トリオキサスピロ〔4,4〕ノナン,
1,4,6−トリオキサスピロ〔4,5〕デカン等のス
ピロオルソエステル化合物等である。 【0023】これらは、単独若しくは2種以上を併用し
て用いても差し支えない。(a)〜(d)の内で、殊に
(a)のエポキシ基を有する化合物が好んで使用され
る。 【0024】本発明において、N−アルキル化複素環式
四級アンモニウム塩化合物〔A〕とカチオン重合性化合
物〔C〕との配合割合は、カチオン重合性化合物100
部に対し、複素環式四級アンモニウム塩化合物 0.01 〜
20 部、好ましくは 0.1〜 10 部の割合で配合する。こ
のN−アルキル化された窒素系の複素環式四級アンモニ
ウム塩化合物量が少いと、カチオン重合性化合物の硬化
性が低下し、過剰であると硬化物特性が低下する。 【0025】一方、加熱により活性ラジカルを発生する
化合物〔B〕とカチオン重合性化合物との配合割合は、
カチオン重合性化合物100部に対し、加熱により活性
ラジカルを発生する化合物 0.01 〜 20 部、好ましくは
0.1〜 10 部の割合で配合する。この加熱により活性ラ
ジカルを発生する化合物量が少いと、カチオン重合性化
合物の低温硬化性が低下し、過剰であると硬化物特性が
低下する。 【0026】本発明の硬化性組成物は、加熱により容易
に硬化できる。熱硬化する場合は、20〜200℃、好
ましくは、50〜180℃の範囲で使用される。また、
本発明の硬化性組成物は、α線、β線、γ線、中性子
線、X線、加速電子線のような電離性放射線によっても
容易に短時間で硬化することができる。電離性放射線に
よる硬化の場合は、通常0.5〜60Mradの線量の
範囲が使用でき、1〜50Mradの範囲が好ましい。
なお、電離性放射線及び熱を併用して硬化させることも
可能である。 【0027】また、本発明の硬化性組成物において、加
熱により活性ラジカルを発生する化合物にパーオキサイ
ドを使用する場合、フェロセン、ナフテン酸コバルト、
ナフテン酸マンガン等の一般に知られているパーオキサ
イドの分解促進剤を併用するとより低温で効率よく硬化
することができる。 【0028】本発明の複素環式四級アンモニウム塩化合
物と光ラジカル重合開始剤を併用して使用すると、カチ
オン重合重合性化合物を光硬化することができる。光ラ
ジカル重合開始剤としては、ベンゾフェノン、チオキサ
ントン、ベンズアントラキノン、ベンズアンスロン等の
水素引き抜き型の開始剤が好ましい。 【0029】本発明の複素環式四級アンモニウム塩化合
物は、カチオン重合開始剤として、一般に単独で使用さ
れるが、他のカチオン重合開始剤と併用して用いること
もできる。また、前記(a)のエポキシ基を有する化合
物を用いる場合は、エポキシ樹脂の硬化剤として通常用
いられている、フェノール系硬化剤、酸無水物類硬化剤
等の硬化剤を性能が損なわない範囲内で併用して用いて
もよい。前記のカチオン重合性化合物に本発明の開始剤
を配合して使用する際に、必要に応じて反応性希釈剤、
硬化促進剤、溶剤、顔料、染料、カップリング剤、無機
充填剤、炭素繊維ガラス繊維、界面活性剤等を添加して
使用される。 【0030】 【実施例】以下、本発明を合成例、実施例、比較例によ
り、更に具体的に説明する。但し、本発明は、これらの
実施例に何等限定されるものではない。 【0031】(合成例1)N−メチル−2−フェニル−
4−メトキシカルボニルキノリニウムヘキサフロロアン
チモネートの合成 ジメチル硫酸 3.78 gと2−フェニル−4−キノリンカ
ルボン酸メチル 7.90gを混合し、90℃で5時間反応
後、50℃で8日間反応させた。得られた化合物をエー
テルで洗浄し、40℃で減圧乾燥し、前駆体のN−メチ
ル−2−フェニル−4−メトキシカルボニルキノリニウ
ムスルフェートを得た。収率:98%N−メチル−2−
フェニル−4−メトキシカルボニルキノリニウムスルフ
ェート 3.89 gを蒸留水20gに溶解させ、六フッ化ア
ンチモン酸カリウム 3.30 gを加え、よく攪拌し冷却し
た。析出した化合物を分別し、40℃で減圧乾燥した。
収率:96% 得られたN−メチル−2−フェニル−4−メトキシカル
ボニルキノリニウムヘキサフロロアンチモネートのIR
スペクトルデータは下記のとおりであった。 IR(KBr,cm-1):1728,1603,157
3,1442,1358,1274,1248,100
7,772,710,661 【0032】(合成例2)N−メチル−2,6−ジクロ
ロピリジニウムヘキサフロロアンチモネトの合成 ジメチル硫酸 5.05 gと2,6−ジクロロピリジン 4.4
4 gを混合し、90℃で2日間反応後、50℃で5日間
反応させた。得られた化合物をエーテルで洗浄し、40
℃で減圧乾燥し、前駆体のN−メチル−2,6−ジクロ
ロピリジニウムスルフェートを得た。 収率:96% N−メチル−2,6−ジクロロピリジニウムスルフェー
ト 2.74 gを蒸留水20gに溶解させ、六フッ化アンチ
モン酸カリウム 3.30 gを加え、よく攪拌し、冷却し
た。析出した化合物を分別し、40℃で減圧乾燥した。
収率:68% 得られたN−メチル−2,6−ジクロロピリジニウムヘ
キサフロロアンチモネートのIRスペクトルデータは下
記のとおりであった。 IR(KBr,cm-1):3104,1627,160
0,1576,1504,1455,103,802,
657 【0033】(合成例3)N−メチル−2−メトキシ−
5−ニトロピリジニウムヘキサフロロアンチモネートの
合成 ジメチル硫酸 5.05 gと2−メトキシ−5−ニトロピリ
ジン 4.62 gを混合し、90℃で5時間反応後、50℃
で8日間反応させた。得られた化合物をエーテルで洗浄
し、40℃で減圧乾燥し、前駆体のN−メチル−2−メ
トキシ−5−ニトロピリジニウムスルフェートを得た。
収率:80% N−メチル−2−メトキシ−5−ニトロピリジニウムス
ルフェート 2.80 gを蒸留水5g、メタノール2g、メ
チルエチルケトン(以下、MEKと言う)2gの混合溶
媒に溶解させ、六フッ化アンチモン酸カリウム 3.30 g
を加え、よく攪拌した。この溶液に蒸留水45gを加
え、よく攪拌し冷却した。析出した化合物を分別し、4
0℃で乾燥した。 収率:50% 得られたN−メチル−2−メトキシ−5−ニトロピリジ
ニウムヘキサフロロアンチモネートのIRスペクトルデ
ータは下記のとおりであった。 IR(KBr,cm-1):1673,1608,156
1,1346,1316,1110,840,758,
653 【0034】(合成例4)N−エチル−2−シアノピリ
ジニウムヘキサフロロアンチモネートの合成 ジエチル硫酸 6.94 gと2−シアノピリジン 4.16 gを
混合し、50℃で4日間反応させた。得られた化合物を
エーテルで洗浄し、40℃で減圧乾燥し、前駆体のN−
エチル−2−シアノピリジニウムスルフェートを得た。
収率:98% N−メチル−2−シアノピリジニウムスルフェート 2.5
8 gを蒸留水20gに溶解させ、六フッ化アンチモン酸
カリウム 3.30 gを加え、よく攪拌し、冷却した。析出
した化合物を分離し、40℃で減圧乾燥した。 収率:
76% 得られたN−メチル−2−シアノピリジニウムヘキサフ
ロロアンチモネートのIRスペクトルデータは下記のと
おりであった。 IR(KBr,cm-1):3109,1618,151
2,1478,1456,1165,786,660 【0035】(合成例5)N−メチル−3−ヒドロキシ
−6−メチル−2−ニトロピリジニウムヘキサフロロア
ンチモネートの合成 ジメチル硫酸 3.78 gと3−ヒドロキシ−6−メチル−
2−ニトロピリジン4.62gを混合し、90℃で6時間反
応後、50℃で3日間反応させた。得られた化合物をエ
ーテルで洗浄し、40℃で減圧乾燥し、前駆体のN−メ
チル−3−ヒドロキシ−6−メチル−2−ニトロピリジ
ニウムスルフェートを得た。収率:91% N−メチル−3−ヒドロキシ−6−メチル−2−ニトロ
ピリジニウムスルフェート 2.80 gを蒸留水5gとME
K2gの混合溶媒に溶解させ、六フッ化アンチモン酸カ
リウム 3.30 gを加え、よく攪拌した。この溶液に蒸留
水45gを加え、よく攪拌し、冷却した。析出した化合
物を分別し、40℃で乾燥した。収率:35% 得られたN−メチル−3−ヒドロキシ−6−メチル−2
−ニトロピリジニウムヘキサフロロアンチモネートのI
Rスペクトルデータは下記のとおりであった。 IR(KBr,cm-1):3394,1628,156
0,1515,1481,1407,1354,131
9,1266,12341198,837 ,695 【0036】(合成例6)N−メチル−8−ニトロキノ
リニウムヘキサフロロアンチモネートの合成 ジメチル硫酸 5.05 gと8−ニトロキノリン 5.22 gを
混合し、90℃で40時間反応後、50℃で47日間反
応させた。得られた化合物をエーテルで洗浄し、40℃
で減圧乾燥し、前駆体のN−メチル−8−ニトロキノリ
ニウムスルフェートを得た。 収率:97% N−メチル−2−ニトロキノリニウムスルフェート 3.0
0 gを蒸留水20gに溶解させ、六フッ化アンチモン酸
カリウム 3.30 gを加え、よく攪拌し冷却した。析出し
た化合物を分別し、40℃で減圧乾燥した。 収率:6
8% 得られたN−メチル−8−ニトロキノリニウムヘキサフ
ロロアンチモネートののIRスペクトルデータは下記の
とおりであった。 IR(KBr,cm-1):1630,1594,153
8,1454,1366,1342,1236,84
1,756,659 【0037】(合成例7)N−メチル−2−メトキシピ
リジニウムヘキサフロロアンチモネートの合成 ジメチル硫酸 3.78 gと2−メトキシピリジン 3.27 g
を混合し、室温で19時間反応させた。得られた化合物
をエーテルで洗浄し、40℃で減圧乾燥し、前駆体のN
−メチル−2−メトキシピリジニウムスルフェートを得
た。収率:97% N−メチル−2−メトキシピリジニウムスルフェート
2.35 gを蒸留水50gに溶解させ、六フッ化アンチモ
ン酸カリウム 3.30 gを加え、よく攪拌し、冷却した。
析出した化合物を分別し、40℃で乾燥した。 収率:
59% 得られたN−メチル−2−メトキシピリジニウムヘキサ
フロロアンチモネートのIRスペクトルデータは下記の
とおりであった。 IR(KBr,cm-1):1642,1591,152
5,1480,1438,1320,1300,117
2,1016,778,656 【0038】(合成例8)N−メチル−2,6−ジメチ
ルピリジニウムヘキサフロロアンチモネートの合成 ジメチル硫酸 3.78 gと2,6−ルチジン 3.21 gを混
合し、室温で19時間反応させた。得られた化合物をエ
ーテルで洗浄し、40℃で減圧乾燥し、前駆体のN−メ
チル−2,6−ジメチルピリジニウムスルフェートを得
た。収率:91% N−メチル−2,6−ジメチルピリジニウムスルフェー
ト 2.33 gを蒸留水50gに溶解させ、六フッ化アンチ
モン酸カリウム 3.30 gを加え、よく攪拌し、冷却し
た。析出した化合物を分別し、40℃で乾燥した。 収
率:71% 得られたN−メチル−2,6−ジメチルピリジニウムヘ
キサフロロアンチモネートのIRスペクトルデータは下
記のとおりであった。 IR(KBr,cm-1):1634,1593,149
9,1449,1382,1260,1181,103
6,798,656 【0039】(合成例9)N−メチル−2−メチルチオ
ベンゾチアゾリウムヘキサフロロアンチモネートの合成 ジメチル硫酸 3.78 gと2−メチルチオベンゾチアゾー
ル 5.44 gをジオキサン3gに溶解させ、50℃で18
時間反応させた。得られた化合物をエーテルで洗浄し、
40℃で減圧乾燥し、前駆体のN−メチル−2−メチル
チオベンゾチアゾリウムスルフェートを得た。 収率:
98% N−メチル−2−メチルチオベンゾチアゾリウムスルフ
ェート 2.75 gを蒸留水50gに溶解させ、六フッ化ア
ンチモン酸カリウム 3.30 gを加え、よく攪拌し、冷却
した。析出した化合物を分別し、40℃で乾燥した。
収率:88% 得られたN−メチル−2−メチルチオベンゾチアゾリウ
ムヘキサフロロアンチモネートのIRスペクトルデータ
は下記のとおりであった。 IR(KBr,cm-1):1495,1468,145
1,1424,1402,1324,1145,112
0,775,656 【0040】(合成例10)N−メチル−3−ブロモキ
ノリニウムヘキサフロロアンチモネートの合成 ジメチル硫酸 3.78 gと3−ブロモキノリン 6.24 gを
混合し、室温で19時間反応させた。得られた化合物を
エーテルで洗浄し、40℃で減圧乾燥し、前駆体のN−
メチル−3−ブロモキノリニウムスルフェートを得た。
収率:99% N−メチル−3−ブロモキノリニウムスルフェート 3.3
4 gを蒸留水50gに溶解させ、六フッ化アンチモン酸
カリウム 3.30 gを加え、よく攪拌し、冷却した。析出
した化合物を分別し、40℃で乾燥した。 収率:98
% 得られたN−メチル−3−ブロモキノリニウムヘキサフ
ロロアンチモネートのIRスペクトルデータは下記のと
おりであった。 IR(KBr,cm-1):1578,1522,137
7,1222,1134,911,775,660 【0041】(合成例11)N−メチル−2−(エトキ
シカルボニルメチルチオ)ピリジニウムヘキサフロロア
ンチモネートの合成 2−エトキシカルボニルメチルチオピリジン5.92g
とジメチル硫酸3.78gを混合し、50℃で4日間反
応させた。得られた化合物をエーテルで洗浄し、40℃
で減圧乾燥し、前駆体のN−メチル−2−(エトキシカ
ルボニルメチルチオ)ピリジニウムスルフェートを得
た。収率:98% N−メチル−2−(エトキシカルボニルメチルチオ)ピ
リジニウムスルフェート3.23gを蒸留水20gに溶
解させ、六フッ化アンチモン酸カリウム3.30gを加
え、よく攪拌し、冷却した。析出した化合物を分離し、
40℃で減圧乾燥させた。 収率:96% 得られたN−メチル−2−(エトキシカルボニルメチル
チオ)ピリジニウムヘキサフロロアンチモネートのIR
スペクトルデータは下記のとおりであった。 IR(KBr,cm-1):1726,1614,156
5,1497,1456,1275,1153,101
6,775,660 【0042】(合成例12)N−メチル−2−(α−フ
ェネチルチオ)ベンゾチアゾリウムヘキサフロロアンチ
モネートの合成 ジメチル硫酸3.78gと2−(α−フェネチルチオ)
ベンゾチアゾール8.14gを混合し、50℃で4日間
反応させた。得られた化合物をエーテルで洗浄し、40
℃で減圧乾燥し、前駆体のN−メチル−2−(α−フェ
ネチルチオ)ベンゾチアゾリウムスルフェートを得た。
収率:87% N−メチル−2−(α−フェネチルチオ)ベンゾチアゾ
リウムスルフェート3.98gを蒸留水20gに溶解さ
せ、六フッ化アンチモン酸カリウム3.30gを加え、
よく攪拌し、冷却した。析出した化合物を濾別し、40
℃で減圧乾燥させた。 収率:78% 得られたN−メチル−2−(α−フェネチルチオ)ベン
ゾチアゾリウムヘキサフロロアンチモネートのIRスペ
クトルデータは下記のとおりであった。 IR(KBr,cm-1):1588,1494,145
2,1425,1403,775,759,703,6
58 【0043】(合成例13)N−メチル−2−シンナミ
ルチオベンゾチアゾリウムヘキサフロロアンチモネート
の合成 ジメチル硫酸3.78gと2−シンナミルチオベンゾチ
アゾール8.50gをジオキサン2gに溶解させ、90
℃で30分間反応させた後、50℃で3日間反応させ
た。得られた化合物をエーテルで洗浄し、40℃で減圧
乾燥し、前駆体のN−メチル−2−シンナミルチオベン
ゾチアゾリウムスルフェートを得た。収率:98% N−メチル−2−シンナミルチオベンゾチアゾリウムス
ルフェート4.10gを蒸留水5gとMEK2gの混合
溶媒にに溶解させ、六フッ化アンチモン酸カリウム3.
30gを加え、よく攪拌した。この溶液に蒸留水45g
を加え、よく攪拌し、冷却した。析出した化合物を分離
し、40℃で減圧乾燥させた。 収率:96% 得られたN−メチル−2−シンナミルチオベンゾチアゾ
リウムヘキサフロロアンチモネートのIRスペクトルデ
ータは下記のとおりであった。 IR(KBr,cm-1):1590,1494,145
1,1422,1058,972,756,699,6
58 【0044】(合成例14)N−メチル−2−デシルチ
オベンゾチアゾリウムヘキサフロロアンチモネートの合
成 ジメチル硫酸3.78gと2−デシルチオベンゾチアゾ
ール7.23gをジオキサン2gに溶解させ、50℃で
5日間反応させた。得られた化合物をエーテルで洗浄
し、40℃で減圧乾燥し、前駆体のN−メチル−2−デ
シルチオベンゾチアゾリウムスルフェートを得た。 収
率:98% N−メチル−2−デシルチオベンゾチアゾリウムスルフ
ェート4.88gを蒸留水5gとMEK5gの混合溶媒
に溶解させ、六フッ化アンチモン酸カリウム3.30g
を加え、よく攪拌した。この溶液に蒸留水45gを加
え、よく攪拌し、冷却した。析出した化合物を分離し、
40℃で減圧乾燥させた。 収率:92% 得られたN−メチル−2−デシルチオベンゾチアゾリウ
ムヘキサフロロアンチモネートのIRスペクトルデータ
は下記のとおりであった。 IR(KBr,cm-1):1681,1595,146
5,1449,1388,1273,1200,99
3,766,702,657 【0045】(合成例15)N−メチル−2−(2,4
−ジニトロフェニルチオ)ベンゾチアゾリウムヘキサフ
ロロアンチモネートの合成 ジメチル硫酸4.41gと2−(2,4−ジニトロフェ
ニルチオ)ベンゾチアゾール10.00gをジオキサン
7gに溶解させ、90℃で6時間反応させた。得られた
化合物をエーテルで洗浄し、40℃で減圧乾燥し、前駆
体のN−メチル−2−(2,4−ジニトロフェニルチ
オ)ベンゾチアゾリウムスルフェートを得た。 収率:
59% N−メチル−2−(2,4−ジニトロフェニルチオ)ベ
ンゾチアゾリウムスルフェート4.59gを蒸留水20
gに溶解させ、六フッ化アンチモン酸カリウム3.30
gを加え、よく攪拌し、冷却した。析出した化合物を分
離し、40℃で減圧乾燥させた。 収率:68% 得られたN−メチル−2−(2,4−ジニトロフェニル
チオ)ベンゾチアゾリウムヘキ サフロロアンチモネー
トのIRスペクトルデータは下記のとおりであった。 IR(KBr,cm-1):1703,1645,159
7,1469,1451,1292,1215,119
0,967,845,705,657 【0046】(実施例1〜23)合成例1〜15で合成
した化合物をプロピレンカーボネートに溶解させ、ER
L−4221(UCC社製、脂環エポキシ)に純分とし
て2.5部になるように添加し、更に、各パーオキサイ
ドを2.5部添加し、配合物を調整した。これらの硬化
性組成配合物についてDSC測定を行い、発熱ピークの
トップ温度を求めた。なお、DSC測定条件は、下記の
通りであり、その測定結果を表1および表2に示した。 【0047】 【表1】【0048】 【表2】 【0049】−DSC測定条件− DSC測定機器 : DSC220C(セイコー電子工
業社製) 雰囲気 : 窒素ガス気流中 30ml/分 昇温温度 : 10℃/分 サンプル量 : 0.3〜0.8mg 【0050】(比較例1)本発明の比較用試料として、
ベンジル−4−シアノピリジニウムヘキサフロロアンチ
モネートを開始剤に用い、該化合物をプロピレンカーボ
ネートに溶解させ、ERL−4221に純分として 2.5
部になるように添加して硬化性組成配合物を調整した。 【0051】(比較例2)本発明の比較用試料として、
N−ベンジル−N−メチル−N−エチルアニリニウムヘ
キサフロロアンチモネートを開始剤に用い、該化合物を
プロピレンカーボネに溶解させ、ERL−4221に純
分として 2.5部になるように添加して硬化性組成配合物
を調整した。上記の比較例1、比較例2の配合物につい
て、実施例同様にDSC測定を行い、発熱ピークのトッ
プ温度を求めた。これらの結果を纏めて表2に示した。 【0052】 【発明の効果】以上説明したように、本発明の硬化性組
成物は、表1および表2に見られるように、加熱処理に
より、極めて迅速に重合、硬化させることができる。ま
た、本発明に使用される芳香族複素環式四級アンモニウ
ム塩化合物は、無臭気であるとともに、合成が容易かつ
安価にできる。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(56)参考文献 特開 平5−222111(JP,A)
特開 平5−222112(JP,A)
特開 平4−63801(JP,A)
特開 平7−25852(JP,A)
特開 昭57−102922(JP,A)
特開 平5−255256(JP,A)
特許3267329(JP,B2)
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
C08F 4/00 - 4/82
C08G 59/00 - 59/72
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】下記の〔A〕、〔B〕および〔C〕を含有
してなること特徴とする硬化性組成物。 〔A〕N−アルキル化複素環式四級アンモニウム塩化合
物 〔B〕加熱により活性ラジカルを発生する化合物 〔C〕カチオン重合性化合物
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